↑ 左のレントゲン画像は、第2腰椎が損壊し、変形しています。右のMRI画像では、椎体の一部が脊柱管内に突出し、脊髄を圧迫しているのが確認できます。
<総合南東北病院 低侵襲脊髄手術センター長 水野 順一先生のHPから画像を引用しています。>
(1)病態
圧迫骨折は、前柱のみの楔状変形で安定型骨折でしたが、破裂骨折では、前柱だけでなく、中央柱にも骨折がおよび、中央柱から遊離した骨片が脊柱管内に突出して、脊髄損傷をきたすことがあります。
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↑ 左のレントゲン画像は、第2腰椎が損壊し、変形しています。右のMRI画像では、椎体の一部が脊柱管内に突出し、脊髄を圧迫しているのが確認できます。
<総合南東北病院 低侵襲脊髄手術センター長 水野 順一先生のHPから画像を引用しています。>
(1)病態
圧迫骨折は、前柱のみの楔状変形で安定型骨折でしたが、破裂骨折では、前柱だけでなく、中央柱にも骨折がおよび、中央柱から遊離した骨片が脊柱管内に突出して、脊髄損傷をきたすことがあります。
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胸・腰椎圧迫骨折(きょう・ようついあっぱくこっせつ)
(1)病態
自動車の横転や転落、バイク、自転車の転倒で、ドスンと尻もちをついたときに発症しています。つまり、脊椎を構成する椎体に縦方向の重力がかかると、上下に押し潰されて圧迫骨折するのです。好発部位は、第11胸椎、T11~第2腰椎、L2です。XPの側面像では、脊椎の椎体前方、腹側が、楔状変形しているのが確認できます。
(2)症状
骨折部に激痛が走ります。腰部を動かすと痛みが増強するので、起き上がること、立ち上がることができません。ただし、半年もすれば、痛みは軽減・消失しているようです。弊所の30人に及ぶ圧迫骨折の被害者さん(11級、8級の認定)を追跡すると、重篤な後遺症なく、改善傾向です。 逆に高齢者の場合は、受傷時の痛みは若者程でもないのですが、骨再生が遅く、あるいは再生しないまま腰が曲がり、痛みも残る方が多かった印象です。
お年寄りで腰の曲がった方のXP・MRI画像を観ると、歳と共に複数の胸椎・腰椎が変性し、自然な圧迫骨折のように潰れています。加齢に伴い、筋力の衰えと椎間板の変性によって老人性円背(ろうじんせいえんぱい)が起きます。その円背が進むと胸椎・腰椎が多発性圧迫骨折に発展するようです。 高齢者ゆえに圧迫骨折が見逃された実例 👉 11級7号:胸椎・腰椎圧迫骨折(80代女性・東京都) (3)治療
治療は、骨折部が安定していれば、入院下でギプスやコルセットで固定し仮骨形成を待ちます。骨折部位が不安定なときは、手術が選択されています。上肢や下肢に麻痺が残ったときは、装具の装用や、リハビリ治療で改善を目指します。
骨粗鬆症が進行している高齢者では、軽微な追突事故であっても、その衝撃で、胸椎や胸椎と腰椎の移行部で圧迫骨折を発症することがあります。こうなると、損害賠償では、素因減額が議論されることになります。自賠責保険の後遺障害認定は、骨粗鬆症の関与にわりと寛容でしょうか。 続きを読む »
頚椎棘突起骨折(けいついきょくとっきこっせつ) (1)病態
頚椎骨折=首の骨の骨折とは大変なケガのように聞こえます。しかし、骨折部位によっては、一生残るような深刻な後遺症を残さないケースがあります。まず頚椎の図からみてみましょう。
首の骨は全部で7つ、上からC1~C7と呼んでいます。加えて上の図のように細かな名称があります。棘突起とはそれぞれの椎骨の後ろに飛び出た出っ張りです。経験上、もっとも出っ張っている第7頚椎の棘突起が最も折れやすいと思います。それは首の後ろを触ればわかります。転倒で強打する、強い外力が加わることにより棘突起部が折れます。むち打ちでも、強度の衝撃で折れた例がありました。水平図は↓の通りです。
むち打ちでの受傷例 👉 14級9号:頚椎棘突起骨折(40代女性・茨城県)
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涙滴骨折(るいてきこっせつ)
椎体骨折では比較的珍しい折れ方です。医師によっては単に「破裂骨折」、単純に一つのかけらに分離する場合は「隅角骨折」と診断名を打つ場合もあります。秋葉事務所での等級認定にはなく、相談例として2件のみです。
(1)病態
頚椎が、外力で屈曲が強制され、同時に、上方向からの圧迫力が加わったときに、中・下部頚椎に発生する骨折のことで、上位椎体が下位椎体を圧迫したときに、椎体前方部分を破壊し、これが涙の滴のように前方へ分離することから、涙滴骨折=ティアドロップ骨折と呼ばれています。
交通事故では、正面や側面衝突などの高エネルギー衝突で発生しています。出合い頭衝突の勢いで、電柱や立木、高速道路壁に激突など、かなりひどい事故状況です。交通事故以外では、浅いプールや海などへの飛び込みにより頭部を水底に打ち付けることや、高所からの転落事故で発生しています。 (2)症状
骨折部の激痛と腫れ、C2~3など頚椎が高い部位では可動域制限。 付随して頚部神経症の発症もあります。 (3)治療
安定型であれば、仰臥位で砂嚢による固定、頚椎に配列異常があれば、持続的牽引の保存療法が行われます。椎体後柱部の骨折では、後方へ転位し、棘間靱帯や後縦靭帯の損傷による頸椎の後弯、前方辷り、椎間関節や棘突起の間隔の開大などにより高度の脊髄損傷を合併すること予想されます。この場合は、緊急手術で強固な内固定が行われています。 (4)後遺障害のポイント
Ⅰ.
(1)病態
圧迫骨折は、椎骨の前柱が空き箱を押し潰したようにひしゃげる骨折で、椎体後方部分が脊柱管内に転位することは、ほとんどなく、安定型の骨折です。
これに対して、破裂骨折は、椎骨前柱の圧迫骨折にとどまらず、後柱の骨折を合併し、骨折片が後方に突き出すもので、滅多にありませんが、脊柱管内に骨折片が突き刺さると、脊髄損傷をきたします。したがって、破裂骨折は不安定型骨折に分類されています。交通事故では、自動車同士の正面衝突など、高エネルギー外傷で発生しています。 (2)症状
頚部の激痛、腫れ、頚部の可動域制限、激痛のため立つことも座ることもできません。 (3)治療
XP、CTで確定診断されていますが、麻痺などが生じているときは、MRI、脊髄造影も行われています。不安定骨折であり、遅発性の脊髄損傷を防止し、早期の離床を目的に、内固定術が行われています。 (4)後遺障害のポイント Ⅰ.
頚椎楔状圧迫骨折(けいついけいじょうあっぱくこっせつ)
(1)病態
いわゆる頚椎の圧迫骨折のことで、中・下位頚椎損傷の中では最も頻度の高い骨折型です。椎体の前上・下縁に骨折が生じ、椎体は前方部分が骨折するため楔状に変形・圧壊します。
椎体後方部分が脊柱管内に転位することは稀であり、安定型損傷で、一般的に、麻痺を合併することはありません。交通事故では、車の横転、崖下転落、自転車、歩行者が大きく跳ね飛ばされたときに発生しています。 (2)症状
頚部痛と頚部の運動制限が中心ですが、事故直後は、頚部の激痛で立つことはできません。 (3)診断と治療
XPで確認できますが、新鮮骨折あるいは陳旧性かは、MRIで確認されています。治療は、保存的治療で、消炎鎮痛剤の内服と頚椎カラーの外固定による安静加療が実施されます。
新鮮骨折あるいは陳旧性か? 👉 圧迫骨折の注意点 (4)後遺障害のポイント Ⅰ.
軸椎関節突起部骨折(じくついかんせつとっきぶこっせつ)
(1)病態
頚椎損傷の中で頻発する骨折型であり、C2、軸椎両側の椎弓根部が骨折するものです。軸椎は前方へ亜脱臼するため、脊髄損傷を合併することは、ほとんどありません。
交通事故では、シートベルト着用が法制化される前は、自動車事故でハンドルやダッシュボードで顎や前額部を強打し、頚椎が過伸展を強制されたときに発症していました。現在では、自動車同士の正面衝突、自動車対自転車・バイク・歩行者の事故では、跳ね飛ばされ、頭部から転落したときなどに発生しています。
軸椎関節突起間骨折は、絞首刑が執行された受刑者の頚椎に認められることから、ハングマン骨折と呼ばれてもいます。首にかけられたロープにより、頭頚部が過伸展、伸長されることで、軸椎関節突起間部に骨折が生じるのです。 (2)症状
項頚部の激痛、頚部の可動域制限、上肢のしびれ 等 (3)治療
② ③ ④では、骨折にC2/3の椎間板損傷、前・後縦靭帯、棘間靭帯の損傷などを伴うため、不安定性があること、そして骨癒合が不良であることから、手術による内固定が選択されています。最新の治療では、前方固定よりも、後方固定が主流であると報告されています。
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歯突起骨折(しとっきこっせつ)
(1)病態
先に解説の環軸椎亜脱臼・脱臼は、交通事故などにより、後頭部方向から大きな外力が加わり、過屈曲が強制されることで、軸椎の歯突起が骨折、それに伴って、環椎が前方に転位し、環軸椎亜脱臼・脱臼を発症したものですが、同じ受傷機転でも、軸椎・歯突起の骨折は、亜脱臼に発展することなく、歯突起のみの骨折にとどまるものです。
↓ 歯突起骨折のCT画像
環軸椎脱臼・亜脱臼(かんじくついだっきゅう・あだっきゅう)
(1)病態
頚椎は正面から見ると7つの椎体の連なりであり、C1、環椎とC2、軸椎は独特な形状をしています。軸椎には歯突起があり、軸を中心に環軸が回転することで、頚部を左右に回転させることができます。軸椎以下の頚椎は、椎間板という軟骨の座布団で椎体間が連結されており、これにより、頚椎がしなるように動くことができるのです。
環椎破裂骨折=ジェファーソン骨折(かんついはれつこっせつ)
(1)病態
頭側からの垂直圧迫力の作用で、第1頚椎=環椎が外に向かって弾けるように骨折するものを環椎破裂骨折=ジェファーソン骨折といいます。環椎の前弓および後弓の抵抗の弱い4カ所が骨折するのですが、外側塊が外方に転位、脊柱管は拡大するので脊髄損傷は、ほとんど見られません。
プールに、頭から飛び込んだとき、交通事故では、自動車同士の正面衝突、バイクの崖下への転落、歩行中に自動車の追突を受けて跳ね飛ばされたなどで発生しています。 (2)症状
後頭部痛、頚部痛、頚椎の可動域制限。ある被害者さんは、事故直後、疼痛のため、立つことも座ることもできない、首を動かすとコクッとクリック音があり、激痛が走るので、両手で頭を支えていないと不安になると訴えていました。 (3)治療
頚椎側面像、開口位正面像、正側面断層など4方向のXP、CT撮影で確定診断されています。
治療は、保存的治療で、ハローベストによる外固定が行われています。被害者さんによると、しばらく動きが制限されて苦痛だそうです。
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環椎後頭関節脱臼(かんついこうとうかんせつだっきゅう)
(1)病態
高速道路などにおける大型トラック対自動車の追突事故で発生しています。追突を受けた被害者の体幹はシートベルトで固定されていますが、頭部は固定されていないので、高エネルギー衝突により、頭蓋骨と頚椎のつなぎ目である環椎後頭関節が脱臼することがあります。
頭蓋から頚椎に移行する部位には、延髄、脊髄、小脳などの神経組織や、脳に血液を送る椎骨動脈などが存在しており、完全脱臼では、呼吸麻痺により、救急車が到着するまでに心肺停止をきたします。
交通事故110番の宮尾氏によると、保険調査員時代に経験があるそうです。夜間の高速道路上で、トレーラーが4トンとラックに追突し、4トンとラックの運転手が環椎後頭関節脱臼で死亡しました。 「環椎後頭関節脱臼」、次回の「環椎破裂骨折」共に命に関わるケガですが、命を取り留め、障害が残った場合は次回にまとめます。 次回 ⇒ 環椎破裂骨折
昨年はめまい案件が3件あり、その内1件は無事に認定となりました。久々にめまい12級を取りたかったところです。おまけと言うべきか、難聴の認定も確保できました。
ポイントは、受傷初期からの耳鼻科の受診と検査を重ねること、加えて、どのようケガをしたのか(受傷機転)と、被害者さんの信用性(信頼に足る人間性?)でしょうか。本件はその点で問題なく、他の1件と明暗を分けました。もう1件は苦戦中です。
めまいの解説はこちら 👉 頭部外傷 ⑦ めまい(めまい・失調・平衡機能障害)Ⅰ
こちらも 👉 耳の後遺障害 ⑬ 良性発作性頭位めまい BPPV
12級13号:良性発作性めまい症(60代女性・東京都)11級5号:両感音性難聴(60代女性・東京都)
後遺障害が一つ認定が過半数ですが、複数の等級認定も少なくありません。最終的な併合等級を追って、複眼的に認定計画を進めます。やはり、受傷初期からの相談が吉、治療と並行してじっくり準備ができるからです。
本件も取りこぼしなく、後の交渉解決へ向かいました。
複数の障害、ご本人にとっては大変です
12級6号:橈尺骨遠位端開放骨折(40代男性・群馬県)
14級9号:臼蓋骨折
9級16号:顔面線状痕
(1)病態
気道確保の目的で気管切開を行い、気管カニューレ=通称Tチューブを挿管するのですが、稀に、肉芽の増殖、気管切開の位置や管理上の問題で抜去ができなくなることがあります。気管や咽頭を受傷しても、同様のことが考えられます。
傷病名は、気管カニューレ抜去困難症と診断されます。交通事故110番では1例を経験したのみで、極めて稀な傷病名です。 (2)治療
医学の進歩は目覚ましく、気管カニューレ抜去困難症であっても、オペで除去することができるようになっています。しかし、予後は、術後に誤嚥をきたすか、肉芽が再増殖してくるかの2つのリスクがあり、いつでも、このオペで成功するのではありません。 (3)後遺障害のポイント
Ⅰ.
舌骨骨折(ぜつこつこっせつ)
男性では、喉の外側から、喉仏=アダムのりんご、喉頭隆起の位置が分かります。喉仏を、手の親指と人差指で、挟むように触れると、上側に、喉仏より柔らかい正中甲状舌骨靭帯があり、その靭帯を上方に辿っていくと、V状の固い骨らしきものに触れます。それが、舌骨です。
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(4)後遺障害のポイント Ⅰ. 交通事故による口や咽頭の外傷で、かすれ声を除き、言語に機能障害を残した例を経験したことはありませんが、それはともかくとして、認定基準を解説しておきます。 ① 言語の機能を廃したものとは先の4種の語音のうち、3種以上の発音が不能になったものであり、3級2号が認定されます。
② 言語の機能に著しい障害を残すとは、4種の語音のうち2種が発音不能になったもの、または綴音機能に障害があり、言語では意思を疎通させることができないものであり、6級2号が認定されます。
③ 言語の機能に障害を残すものとは、4種の語音のうち1種の発音不能のものであり、10級3号が認定されます。
④ 声帯麻痺による著しいかすれ声は、12級相当となります。 そしゃくの機能の著しい障害=6級2号と言語機能の障害=10級2号の組み合わせは併合して5級相当となります。
そしゃく機能の用を廃したもの=3級2号と言語の機能の著しい障害=6級2号の組み合わせは併合すると1級になりますが、これでは序列を乱すことになり、2級相当が認定されます。 Ⅱ.
反回神経麻痺(はんかいしんけいまひ)・・・言語の機能障害
← 秋葉の声帯
人の発声器官は咽頭です。咽頭には、左右の声帯があり、この間の声門が、筋肉の働きで狭くなって、呼気が十分な圧力で吹き出されると、声帯が振動し、声となるのです。
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咽頭外傷では、嚥下障害以外にも、呼吸障害や発声障害を残すことが予想されます。 呼吸障害の立証は、追って胸腹部臓器の後遺障害「気管・気管支断裂」で解説します。 Ⅲ.
Ⅱ. 外傷性食道破裂後に想定される後遺障害は、瘢痕性食道狭窄による嚥下(えんげ)障害です。
① 嚥下障害とは?
交通事故では、咽頭外傷で舌の異常や、食道の狭窄をきたしたとき、頭部外傷後の高次脳機能障害により咽頭支配神経が麻痺したこと、頚椎前方固定術後で、椎体後方の食道や気管を圧迫したときに、また、少数例ですが、外傷性食道破裂でも、複数例の嚥下障害を経験しています。
嚥下障害とは、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になることをいいます。咀嚼した食物は、舌により咽頭へ送り込まれて、飲み下すのですが、そのときは、軟口蓋が挙上して、口腔と鼻腔が遮断、喉頭蓋で気管に蓋をし、飲み込む瞬間だけに開き、食道へと送り込まれているのです。これらの複雑な運動に関わる神経や筋肉に障害が生じたときに、嚥下障害を発症します。
嚥下障害の原因、傷病名 👉 唐突ですが、嚥下障害
② 嚥下障害の立証
瘢痕性食道狭窄は、耳鼻咽喉科における喉頭ファイバー=内視鏡検査で明らかにします。
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咽頭外傷(いんとうがいしょう)・・・呼吸障害、嚥下障害、開口障害、嗄声、発声障害
ヒトの咽頭は、鼻・口から入った空気が、気管・肺へと向かう通り道と、口から入った食物が、食道から胃へと向かう通り道の交差点であり、空気と食物の通過仕分けをしています。
喉頭は気管の入り口にあり、喉頭蓋=喉頭の蓋や声帯を有しています。喉頭蓋や声帯は、呼吸では開放されており、物を呑み込むときには、かたく閉鎖され、瞬間的には、呼吸を停止させ、食物が喉頭や気管へ流入することを防止しています。声帯は、発声では、適度な強さで閉じられ、吐く息で振動しながら声を出しています。
喉頭は、① 呼吸する、② 食物を呑み込む、③ 声を出す、3つの重要な役目を果たしているのです。 (1)病態
咽頭外傷は、広い意味で、食道破裂のカテゴリーですが、交通事故では、受傷機転が異なります。そして、件数においては、圧倒的に咽頭外傷が多いので、ここで解説しておきます。
喉頭部に対する強い外力で、咽頭外傷が発生し、咽頭部の皮下血腫、皮下出血、喉頭軟骨脱臼・骨折などを発症します。プロレスの技で言えば、ラリアットをイメージしてください。交通事故で、大きな外力を前方向から喉頭に受けると、後方に脊椎があるため、前後から押しつぶされる形となり、多彩な損傷をきたし、呼吸、発声、嚥下の障害を引き起こすのです。 (2)症状
症状として、事故直後は、破裂した部位の疼痛を訴え、痛みで失神することもあります。2次的には、食道が破裂、損傷することにより、縦隔気腫、縦隔血腫を、食道内の食物が、縦隔内に散乱して、縦隔炎を合併し、それらに伴って、呼吸困難、咳、痰、発熱などの症状が出現します。
頚部や胸部の皮下に皮下気腫を認めることもあります。重症例では、食道からの出血に伴い貧血、出血性ショック症状を合併することもあり、要注意です。 ※ 縦隔気腫・縦隔血腫 縦隔の内部に空気が漏れ出したものを縦隔気腫、血液が溜まったものを縦隔血腫といい、どちらも胸部の外傷が原因で、気管、食道、血管などから空気や血液が漏れ出し、重篤な症状をもたらします。 (3)治療
まず交通事故による鈍的外傷では、なにより、呼吸路の確保が優先されます。呼吸困難では、必ず、気管を切開して気道を確保します。
軽いものでは、安静と、声帯浮腫を防止する必要から喉頭ネブライザーの併用ですが、通常は、呼吸が確保されていることを前提に、喉頭内視鏡検査、CTなどの画像診断、喉頭機能、呼吸、嚥下、発声を評価する各種検査が実施されます。骨折整復は、受傷後早期に行う必要があり、手術で軟骨の露出、喉頭を切開、損傷した部位の粘膜縫合や骨折整復の手術が行われています。
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