昨年は真田丸フィーバーの真っ最中、信州上田への病院同行がありましたが、今年も大河ドラマのご当地に病院同行、14級を取りました。    本件は静岡県の浜松相談会での受任でした。浜松から遠州鉄道に乗り換えて最寄り駅で下車、そこからはタクシーで病院に向かいました。丘の上をぐんぐん登っていきます。この辺一体は三方ケ原の古戦場です。運転手さんによると、「来年の大河ドラマ(おんな城主 直虎)の舞台、井伊谷城跡、龍潭寺も5分で行けるよ」とのことでした。 naotora  病院同行の業務日誌はこちら → 三方ケ原 病院同行

 浜松は他にも2件担当しています。病院同行で歴史に思いをはせる・・遠出もいいものです。  

併合14級:頚椎・腰痛捻挫(30代女性・静岡県)

【事案】

横断歩道を歩行横断中、左方よりの自動車に衝突され、受傷。診断名は頚椎・腰椎捻挫、その後症状が長引き、10ヵ月後に相談会に参加された。

【問題点】

左上肢、左下肢への痺れが顕著であったが、MRIが未検査であった。

【立証ポイント】

早速、MRI検査を指示した。主治医が相手保険会社にOKを取り付けて実施して頂いた。画像を観ると、案の状、頚椎はストレートネックで正中にヘルニア、左神経根も軽度であるが圧迫所見が確認できた。続いて、病院に同行して主治医に神経学的所見を盛り込んだ後遺障害診断書の記載をお願いした。

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 交通事故から精神的に参ってしまい、PTSD(心的外傷後ストレス症候群)、鬱、パニック障害、フラッシュバックなどを訴える被害者さんは珍しくありません。

 誰しも突然降りかかった災難と、治療や相手との交渉、あらゆるストレスから心を病んでしまうものです。しかし、そのほとんどがPTSDではありません。多くは2次的な心身症気味(?)を訴えているに過ぎず、事故によって精神を破壊するほどの強烈な体験がなければ、障害の対象となりません。その点、労災も自賠責も明確な基準によって区別・審査しています。

 その根拠は「厚生労働省 非器質性精神障害判定基準」に細かく設定があり、以下の項目を出発点に細かく審査基準が定められています。

PTSD 診断の基準  ICD-10 ① 自ら生死に関わる事件に遭遇したり、他人の瀕死の状態や死を目撃した体験、などの破局的ストレス状況に暴露された事実があること。 ② 自分が「危うく死ぬ 、重傷を負うかもしれない」という体験の存在 ③ 通常では体験し得ないような出来事 ④ 途中覚醒など神経が高ぶった状態が続く ⑤ 被害当時の記憶が無意識のうちに蘇る ⑥ 被害を忘れようとして感情が麻痺する、そのために回避の行動を取る ...

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 今回のセミナーは東京駅近くの会場で弁護士先生と共催しました。

 秋葉の担当したテーマは毎回のごとく「人身傷害」。人身傷害の補償範囲、とくに交通乗用具と付帯特約について、国内社・通販系・共済、合せて21社の一覧表を作成しました。約款と格闘10時間、しんどい作業でした。

 2部は弁護士先生による講義、「被害者専門の弁護士とは」について解説頂きました。

 image000  そして、終了後はお楽しみの懇親会へと突入しました。  

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佐藤イラストsj年間120件の病院同行は伊達じゃない!    先日、依頼者とともに個人整形外科へ同行したときのことです。後遺障害診断書と今までに撮影したレントゲンを依頼したところ、後遺障害診断書はすんなりOK。しかし、画像については改めて医師面談の予約を取ってからでないと渡せないとの事でした。本来、患者さんの個人情報なので、本人が希望すればいいのではないか?と心の中で思いつつ、医師の指示に従い再度予約を取り、医師面談へ。

 ところが、「今まで被害者側の調査員から画像を要求されたことがないし、今まで治療費を支払っていたのは保険会社だから、患者側に画像を出すことはできない。」と態度が急変してしまったのです。(前回、お邪魔したときは医師面談さえしてもらえれば画像は出せると仰っていたのに…。)

 そこで、今回の事情を説明すると、「保険会社の担当者に画像を提供していいか聞いてみて許可が出れば、出しますよ。」と態度が軟化しました。事務の女性も被害者請求の事が分かっていないだろうと思い、担当者への伝言をお願いし、待合室で待機することに。数分後に院長からお声が掛かり、「保険会社の許可が出たので今回は特別に画像を渡します。」と画像を頂く事が出来ました。

 もちろん患者さんに優しい病院や、医師もたくさんいらっしゃいますが、後遺障害申請に協力的な病院や医師はそうそういらっしゃいません。さらに保険会社とのやりとりも関係してきます。加害者は保険会社という大きな味方に守られていますが、被害者は一人で戦わなければならないのです。少しでも被害者の味方が増えるように、また被害者が一人で戦わずに済むような世の中になるといいですね。今後、交通事故で苦しむ被害者が少なくなるように、私も日々精進していきます。

 20070418  医師は診断書や画像の手配が面倒なのです・・特に保険会社がらみの患者は  

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 昨日、秋葉は仙台出張でした。

 sendai←この写真は6年前の夏、まだ震災の名残りが・・

 今年に入ってみちのくは3回目、寒い時期に東北の病院同行が続きます。ミッションは中学生の高次脳機能障害の症状固定です。主治医と限られた時間ながら、綿密な打ち合わせが必要です。診断書の記載内容から、障害の有無・程度が定まるのです。まさに被害者さんの運命が決まる瞬間でもあります。「障害は裁判所ではなく、現場(医師面談)で決まるもの!」と日夜、メディカルコーディネーターは奔走しています。    山本は、同じく高次脳機能障害の診断書の修正で栃木の「おもちゃのまち」に・・駅前は殺風景ですが、駅名の通り、ここにはバンダイミュージアムがあります。なんでも等身大のガンダムがあるそうです。  HP ⇒ http://www.bandai-museum.jp/collection/japan.html#japan01

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 続いて、JA(農協)、マイカー共済(全労災)の共済2社、通販社を見てみましょう。    内容的には国内社のBタイプとほぼ同じです。しかし、家族限定に関しては特約を設定していない会社(ソニー、チューリヒ)もあります。年齢条件不適用特約はあくまでイレギュラーな救済措置です。約款のどこにあるのか、探すのに一苦労でした。  

会社名

約款

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 まずは国内社からです。

 各社、概ねBタイプを標準としています。富士火災、AIU、全労災は古いAタイプを残したまま?と思います。それぞれ、内容・条件の違いではなく、約款構成・説明の違いです。

 ※ 家族限定(本人・配偶者限定)では2つの場面が想定されます。2段書きとなっている約款は、上段「本人限定で新たに配偶者・子供が増えた場合、本人・配偶者限定で新たに子供が免許を取った場合に、異動手続き漏れを救済する特約」と、下段「家族から外れた運転者が事故を起こした場合を救済する特約」です。

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 ご存知の通り、任意保険には「年齢条件」があります。高い年代ほど割引率が増し、掛け金が安くなります。 しかし、契約時に定めた年齢条件に合致しない運転者が事故を起こした場合、原則、保険金はでません。しかし、自動車保険の性質上、事故でケガをさせた場合の賠償金には一定の救済措置があります。ケガをさせられた方は、相手が任意保険の年齢条件に違反したことなど無関係ですから、保険が効かなかったら大変です。

 おさらい ⇒ 年齢条件違反でも保険は使える?

 それでは、一覧表に入る前に、久々に「年齢条件不適用特約」について、各社の最新約款を確認してみましょう。目まぐるしく改定の進む約款ですが、この特約は落ちついた感がします。しばらく改定はないでしょう。右側に家族限定等の不適用特約も加えました。 表を見る前にA、Bの内容をおさらいします。   A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢と35歳未満不担保の掛金差はおよそ100:50なので、保険金も半分だけ払うイメージ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。   B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 ...

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 指が切断されたのであれば、特に後遺障害の立証作業は必要ないでしょう。

 しかし、機能障害(曲がりが悪くなったケース)では、その可動域の正しい計測だけではなく、なぜ曲がりが悪くなったのかを証明しなければなりません。しかし、自動的に証明されるのでしょうか。医師に診断書の記載を促し、検査を任せればいい?・・それは、無理です。診断書はたいていおざなり、まして、障害の立証のための検査など医師の仕事ではないからです。医師は治療の終わった患者に対して、関わっている時間も情熱も無いことが普通です。

 それでは、誰が助けてくれるのか? 残念ながら、本件の弁護士先生はできませんでした。交通事故外傷はそれだけ奥が深い、専門分野といえるのです。 山本さんイラストsj本件は山本の仕事 「指はお任せ下さい!」

非該当⇒10級7号:母指基節骨粉砕骨折 異議申立(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進のところ、右方よりの自動車と出会いがしら衝突。衝突により、母指基節骨、膝蓋骨、肋骨をそれぞれ骨折した。このうち、母指基節骨については粉砕骨折であった。

【問題点】

症状固定時期には母指、膝の各箇所に痛みが残存し、かつ、母指のIP関節(指節間関節)に可動域制限が残存した。前任弁護士が後遺障害の申請をするも非該当であった。IP関節の機能障害の立証・・経験のない先生では限界か。前任弁護士を解任した上で受任した。なお、異議申立をする頃には、膝の痛みは軽減していた。

【立証ポイント】

相談会で母指の基節骨をCTで確認したところ、関節面の不整を確認した。後遺障害診断書にもその旨の記載及び、それによる可動域制限についても記載があるにもかかわらず、可動域の数値が2分の1以下になっていなかった。日本整形外科学会の計測方法でもう一度計測を主治医に依頼したところ、2分の1以下の数値を計測した。ここまでは基本作業である。 続きを読む »

 むちうちで神経症状を発症するケースは事故の衝撃が起点となりますが、もともと年齢変性で頚部の神経の通りが狭くなっていたり、椎骨の変形や椎間板の突出で神経が圧迫されている状態が普通です。ここに事故の衝撃が加わり、事故前には無かった強烈な痛み、しびれが惹起されるのです。所謂、引金論です。

c_kei_25 しかし、保険会社は「既往症」(元々の病気)との烙印を押し勝ちで、後遺障害の認定も簡単ではありません。事故前から「割れ茶碗」の状態だったと・・。

 ここで手術を行えば、即、因果関係の争いに突入です。以後、治療経緯は何かと混乱します。何もしないで症状固定を待つなど言語道断です。

 本件は弁護士交代の末、体制を整えましたが、二度の申請となってしまいました。救われるべき被害者が簡単に救われない・・被害者は大変なのです。

 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫 異議申立(30代男性・埼玉県)

【事案】

通勤中、交差点で信号待ち停車のところ後続車に追突された。直後から上肢のしびれのがひどく、元々の脊柱管狭窄症の影響もあったが、MRI画像で顕著な圧迫所見が確認された。その後、紹介先の病院で椎弓拡大形成術を施行。しかし、しびれの改善は進まなかった。 続きを読む »

佐藤イラストsj佐藤が担当しました  同乗者同時申請効果・・後遺障害等級が認められる場合、同乗車全員に認められる傾向があるように思います。同じ衝撃で、同じ症状を訴え、同じような治療経過を辿れば、確かに後遺障害も一緒になります。秋葉事務所でも数々の同乗者ダブル・トリプル認定を得ています。

 本件は片方だけに14級が認定された状態で相談にいらっしゃいました。自動車保険の契約をしていた方が非該当、助手席のご友人は14級、しかも、友人は今後の解決に弁護士費用が使え、別途、後遺障害の傷害保険も下りる。これでは契約者さんがあまりにも気の毒です。

 異議申し立てを敢行、両者14級にして連携弁護士につなげた。 よかった。 c_y_48

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫 異議申立(30代男性・埼玉県)

【事案】

自動車搭乗中、高速道路が渋滞のため停止中、後続車から追突を受ける。事前認定で後遺障害申請をするも、結果は非該当であった。

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 毎年、2月の参加者は少なめです。それでも、なんとか先週の土曜日は8名様にご利用頂きました。

 久々の所感ですが、やはり、今年1~2月の傾向もセカンドオピニオンが多いようです。

 既に弁護士に依頼しながら、何故か相談にいらっしゃる。

 その相談内容は個人情報からお話できませんが、一般的な表現で書きますと・・   1、裁判を任せている先生とは別に意見書を書いて欲しい

2、裁判を任せている先生とは別に画像鑑定の手配をして欲しい

3、交渉を任せている先生の言っている事は正しいのか?    一体、何のために弁護士にお願いしたのでしょうか。これらは委任中の弁護士先生が手配・解決する問題ではないですか。信頼関係が破綻しているとまでは言いませんが、こんな相談を持ちかけられた当方も困惑するばかりです。紳士的な対応を心がけていますし、事案の進行具合から安易に解任など提案できません。    かつて、交通事故で高名な弁護士先生がこう言いました。

 「弁護士選定を誤れば被害者の2次被害となる。 残念ながらこれも被害者の運命。」    交通事故、それも大ケガを伴うような事故は一生でそう何回も起きないでしょう。代理人を選ぶ際にはくれぐれも慎重にして頂きたいと思います。少なくとも3事務所に伺い、じっくり解決方針を聞いて弁護士の力量を計るべきと思います。その審査眼に自信がなければ、早期に有用な相談会へ参加頂きたいと思います。手前味噌になりますが、私どもの相談会は弁護士の選定に関しても、数十人の弁護士と仕事をした経験から、忌憚のないアドバイスをしています。

 012-1    手遅れになる前に、是非、お声がけ下さい!  

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 先日、会食のため、飛び込みで入った日本橋の居酒屋が地味にすごかった。

 お母さん一人で切り盛りしている。席は16席ほど。「予約しないとダメよ」、来客は次々と入店を拒まれる。

 生ビールのお代わりは同じグラス。いっぺんに料理を頼むと怒られる。メニューにあるものがいつもでるとは限らない。お酒の銘柄はお母さん次第。そんな小粋なお店ですが、素朴な家庭料理ながらどれもみな上手い。簡単な調理であっても味付けのセンスが秀逸なのだと思う。特に馬刺しはどんな高級店を上回る。肉質はやわらかく舌にまとわりつくようで、溜まり醤油と少々のにんにくを添えれば上品な甘みが乗っかってくる。臭みはまったく感じず、肉のうまみだけが喉を通り、箸と杯が進む。

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 焼酎も良質の銘柄あり、赤芋のボトルを入れた。いずれまた来るかもしれない。予約しなければならないのが面倒かな。   

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 前日に続き、高齢者の高次脳機能障害 立証の記録。

 高齢者は足を軽く骨折しただけで、それが2週間の入院ともなれば、歩けなくなることがあります。まして、脳外傷を受けたら・・そこから認知症を発症してもおかしくありません。本件はさらに主治医まで外傷性の関与に懐疑的なのです。

 高齢者の高次脳機能障害は常に認知症との切り分けと、介護状態との因果関係の証明に奔走することになるのです。本件も全力を尽くし、なんとか障害の立証に成功しましたが、介護等級に及ばず7級の判断に。完全勝利というわけにはいかず、事務所は毎回ハードな戦いの連続です。

 秋葉先生イラスト鳥無しsjこの分野、全力で取り組んでいます!

7級4号:高次脳機能障害(80代女性・長野県)

【事案】

自動車に同乗中、交差点で自動車と出会い頭衝突、受傷したもの。診断名は外傷性くも膜下出血。救急搬送後、大事無いと判断されたが、数日後から急激に認知症状が発症した。せん妄、情動障害がみられ、見当識・記銘力の低下もあった。

【問題点】

主治医は認知症と外傷性精神障害が半々?とグレーな判断であり、急性期の治療は必要なく、介護施設への移動を示唆した。このままでは単なる痴呆で介護状態に陥ったことになる。また、相手保険会社も症状と事故外傷の関係に疑問を持ち、治療費の打切りの様相を呈してきた。不安にかられたご家族から依頼を受けた。

【立証ポイント】

専門医による確定診断が必要である。早速、病院同行にて主治医から紹介状、検査記録を取得し、県内の高名な専門医への転院の段取りをつけた。そこでようやく「交通事故外傷による高次脳機能障害」の確定診断となった。ただちに新しい診断書、検査データを連携弁護士に託し、相手保険会社の治療費継続を取り付けた。さらに、医師と打合せを重ね、症状固定までにいくつか追加検査をお願いして、後遺障害診断書一式を完備した。

また、被害者は独居でご家族と同居していなかったので、日常生活状況の克明な説明は困難であった。そこで、介護施設での記録、近隣の友人の意見書も添付してこれを補強した。

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 最近、高齢者ドライバーの事故がニュースで採り立たされています。以前にも記事にしたように、国内人口のおよそ3割が60歳以上であることを前提にすれば、高齢者ドライバーの人口比率はうなぎ登りですから事故も当然多くなるわけです。高齢者と事故の関係はそれ程単純な問題ではないと思います。

 それでも、対象を”交通事故被害者”とすれば、今も昔もお年寄りに集中します。秋葉事務所における依頼者の年齢層では、60歳以上は20%ほどですが、とりわけ重傷のケースが多く、昨年の高次脳機能障害の受任数13件の内、4件にも及びます。

 本シリーズ「昨年の重傷案件」、高齢者層の被害者さまが続きます。 c_g_a_4

別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(70代男性・山梨県)

【事案】

自転車で直進中、後方から追い抜きざまの自動車のサイドミラーの接触を受けて転倒したもの。診断名は頭蓋底骨折、頬骨骨折、骨盤骨折、他に脳挫傷があり、直後から見当識・記銘・言語に障害があり、右半身麻痺から車椅子となった。また、認知症の発症・進行も指摘された。

【問題点】

本人はリハビリ入院中であり、息子さんご夫婦が相談会に参加された。やはり、高齢者の高次脳機能障害であるため、認知症との切り分けがポイントとなった。また、介護状態が年齢相応のものか事故外傷によるものか、この問題も常に付きまとう。

【立証ポイント】

認知機能の低下、言語障害のため神経心理学検査は限定される。障害の種類によっては正確な検査数値が反映されないからである。診断書の作成には主治医と打ち合わせを重ね、ご家族とは日常生活状況報告書の作成に通常より大幅に時間を割いた。その他、精神障害者手帳の申請をサポートし、既得の介護2級と併せて申請に付した。

体の麻痺は軽減し、車イスを脱するまで回復した。それでも、日常生活に随時介護の必要が認められ、別表Ⅰの判定となった。客観的な検査データが乏しくとも、家族や周囲の観察を丁寧に説明することで道は開ける。  

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 昨日、28年度の行政書士試験・合格発表がありました。

 数年来、8万人以上が出願するようなフィーバーは収束、ここ数年は減少し、5万人代に落ちつたようです。それでも、その20~30%は受験料7000円を払っただけで欠席します。国家資格で最も欠席率の高い受験のようです。合格率は年によってばらつきがありますが、およそ10%前後で推移しています。今年も新たに約4千人が行政書士となるはずです。ここまでの統計数字も変ですが、なんと言っても特徴的なのは、毎年この合格者の30%程度しか行政書士にならないことです。???、つまり、合格しても書士会に登録をしないのです。登録しなければ行政書士業をできませんし、行政書士を名乗れません。これは合格者のほとんどが登録する税理士さん、司法書士さん、社労士さんと比べると大変に異常な現象と言えます。

 行政手続きの専門家である、行政書士の活躍が望まれる場面は多肢に渡ります。その職業的魅力は、出願数をみれば士業の中でも人気はトップクラスです。しかし、せっかく合格しても・・登録しない。一体、何のために行政書士試験を受けたのでしょうか?疑問は尽きません。合格者の3割ほどしか行政書士にならず、また、登録しても周囲は特認書士(公務員経験年数で自動的に行政書士になった先生、申請者の全員が書士になりますので、試験組登録者より多いことも・・)ばかり、新規参入の厳しさからか10年以内の廃業が多いようで・・結局、厳しい業界なのでしょう。これでは、数字上、試験をする意味がわかりません。毎年、特認組の登録だけで行政書士は足りてしまうのではないかと。試験に集まる莫大な受験料(7000円×5万人=〇億円!はどこへ?)が無駄に思えてしまいます。

 弊所でも通年、補助者の募集をしています。しかし、業務内容が行政書士とは離れたものからか新人の応募は少なく、逆に私と同世代どころか、年上の応募者が多いのです(年配の先生は逆に人を雇い、指導する立場でなければ困りますよね)。中高年を雇用差別しているわけではありません。業界の将来のためには、若年層に給与を支給、生活保障のもとに育てることが最優先であるからです。 一体、若い合格者はどこへ進路をとっているのでしょうか。    このように、なかなか事務所は増員できません。それでも毎年数千人の合格者さんがいるわけで、医療調査業にもう少し感心を持ってもらえないものか・・思案の毎日です。もっとも、行政書士資格と関係ない業務であるので、募集には資格にこだわらず門戸を広げています。

 一介の書士が業界の試験制度を語るには驕慢にみえますが、少々寂しい気がします。趣味で合格証を手にしただけでしょうか? 数千人の中にはすぐれた人材がいるはずです。だからこそ、行政書士を若くして志す、将来性のある人材に期待してしまうのです。    

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 毎年の傾向ですが、2月の交通事故相談会への参加は少なめです。世間一般の2(月)・8(月)の売上減少とは思いませんが・・。

 いつも呼びかけていますが、交通事故の解決は「早期に解決までのロードマップ」を策定することです。2/18、2/25はまだ予約の空きがございます。自信を持ってご利用をお勧めします。

 あらためて相談会の流れを紹介しましょう。  

① 過失割合を検証

→ 大型モニターを使い、実際の現場を見ながらバーチャル現場検証 → ミニチュアを使い、事故状況を再現

まずは事故状況の詳細を確認します。過失割合の決着は最後の賠償交渉ですが、事故状況の調査、刑事記録の取り寄せなど、手を打つ必要があります。

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山本さんイラストsj連続で!

⑤ デビロービング損傷による場合

 これまでの可動域制限について後遺障害が認められる場合として、骨折や靱帯損傷等の他覚的、客観的な所見が認められる場合に信用される旨、説明してきました。

 今回は骨折も靱帯損傷、神経損傷もない場合の可動域制限についてです。

 デビロービング損傷とは、広範囲皮膚剥脱をいい、交通事故の場合ですと、交通事故の際に皮膚を巻き込んではがれてしまう場合を指します。はがれた皮膚を外傷後すぐに合わせればそのまま再接着して元に戻ることがあります。しかし、損傷があまりにもひどい場合や、皮膚がはがれた後、摩擦熱などで火傷した際に皮膚の再接着・再生ができない場合があります。再接着できなかった場合の手術方法として、植皮術(別の部位から皮膚を切り離して移植する方法)、皮弁術(損傷した皮膚の隣接部位から血流のある皮膚を覆いつなげる移植方法)があげられます。

 皮膚がうまく皮下組織に接着したとしても、大抵は醜状痕が残ります。そこでも等級は認められる場合がありますが、手術後、皮膚が固まってしまい、関節が動かなくなることもあります。 この場合、骨折等をしていない部位であっても、デビロービング損傷によって他覚的、客観的な所見が認められることになります。

 皮膚を原因とする可動域制限はレアケースですが、弊所の記録にあります。⇒ 足関節の機能障害  

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山本さんイラストsj久々の登場!

④ 神経が切断された場合

 交通事故外傷により、身体を強打し、治療後リハビリを開始しようとしても、関節が動かないもしくは腕や足そのものが動かないことがあります。交通事故外傷により腕や足を動かすための神経が切断もしくは、絞扼(こうやく=締め付けられて)され、神経の通りが悪くなり、程度によっては完全に四肢が動かなくなります。また、麻痺の結果、関節が曲がり切らないことがあります。神経のケーブルが引き抜かれた場合、とくに「引き抜き損傷」といいます。 20151708_2

 このように神経がうまく働かないと、運動神経麻痺や感覚神経障害などが生じ、関節が動かず、拘縮が生じ、関節が曲がらなくなることがあります。ひどい場合には神経が損傷した上肢や下肢がやせ細った状態で拘縮することがあります。  なお、診断名に神経叢(しんけいそう)損傷とある場合がありますが、これは、神経の集まり部分が損傷したり、引き抜かれたりする場合の診断名です。

 治療としては、脊髄造影、神経根造影、自律神経機能検査、電気検査などを行って神経がやられているかを確認し、確認できましたら、早期に神経縫合や神経移行術等を受ける必要があります。

 外観上(骨折していたとしても)、神経がやられているかどうかは不明確です。軽度の引き抜き損傷の場合、ムチウチのような症状として現れることもありますので、上記した検査を受けられる病院で専門医に診て頂く必要があります。  

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 高齢者の高次脳機能障害は加齢による認知症状と切り分ける作業となります。

 ポイントはまず、画像所見です。脳の実質的変化を把握します。認知症状をもたらす病変部とは別に、急性期の損傷及び、関連する脳萎縮等と症状の関連性を明確にしなければなりません。さらに、家族にしか知りえない事故前後の症状のコントラストを強調する必要があります。言葉で言うには易しく、綿密な調査が必要で、実際に現場に行かねばなりません。したがって、遠隔地ともなれば、一種の”賭け”になります。高次脳機能障害で国内トップの実績を誇る弁護士事務所が敬遠した本件は、その賭けに勝ちました。

 なにより、震災に被らなくて良かった。震災後の数ヶ月間、病院は野戦病院状態、交通事故の障害立証などに関わっている暇はないのです。  

別表Ⅰ 2級1号:高次脳機能障害(80代男性・熊本県)

【事案】

自動車運転中、センターラインオーバーの対向自動車と正面衝突、前額部をフロントガラスに強打した。診断名は外傷性くも膜下出血、他に胸椎、肋骨骨折となった。見当識の低下、記憶混濁、情動障害があり、高齢から認知症を発症したとされた。

【問題点】

現役で農業に従事していたが、高齢から事故外傷の影響だけではなく、認知症発症の疑いがあった。リハビリ先でも転倒から下肢の骨折、また内臓疾患での入院も重なり、事故外傷による高次脳機能障害を浮き彫りにする必要があった。

しかし、家族が地元の弁護士数件に相談したところ、「等級が出るまで待ってます」の対応ばかり。どの弁護士も認定結果を様子見しているかのよう。仕方なく、主治医に後遺障害診断書の記載をしていただいたものの、不安は尽きない。東京に在住する家族が、高次脳ではNo1の弁護士に相談したが、「等級認定は難しい」と謝絶され・・・途方にくれて、秋葉事務所に相談にいらした。

【立証ポイント】

高齢者の受任経験が豊富であり、年齢相応の認知機能低下と高次脳機能障害を切り分ける・・秋葉事務所の得意とするところです。早速、本人と主治医への面談を果たすべく、熊本へ飛んだ。本人と家族、主治医と面談、診断書や画像を確認し、「高次脳での等級はいける!」と判断した。もう、これは勘としか説明できません。

脳はレントゲンとCTのみしか撮っていなかったので、MRI検査を追加手配し、脳外科医と画像の精査にあたった。くも膜下出血は受傷した前額部、つまり、前頭葉に出血痕がみられた。しかし、後頭葉に脳挫傷がみられる。これは額をフロントガラスに打ち付けた際、対側損傷と言って、衝撃が脳の反対側に及び、脳が傷つけられたものと判断した。この主治医との打合せを基に画像分析レポートを作成、後遺障害診断書に添付した。

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