サッカー選手にとって職業病、MCL(内側側副靱帯)損傷です。

 膝関節の動揺性について、最近はニーラックスなる測定器もあるようです。しかし、自賠責の判定はストレスXP(レントゲン)が絶対です。医師によるとニーラックスはあくまで簡易的な計測器で、正確な数値を出すには難しいと聞きました。

  main  インデックス有限会社さまHP写真より(購入を検討しますね)  

12級7号:内側側副靱帯損傷(30代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進、対抗右折自動車と衝突、転倒した。左膝の内側側副靱帯を損傷、歯も3本破損した。

【問題点】

動揺関節の立証について、主治医の理解を得ることに尽きる。

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 続いて、足指の用廃=2分の1の可動域制限に至らずとも、疼痛の残存で評価されたものです。

 本件のように気付けばよいですが・・・骨折までしながら14級すら取らずに示談してしまっている被害者さんも多いのではないでしょうか。  

14級9号:中足骨骨折(30代男性・山梨県)

【事案】

自転車で直進走行中、後方より自動車の追突を受けて転倒した。脳挫傷、頚椎捻挫、顔面挫傷、そして第5趾の中足骨を骨折した。

【問題点】

ケガに比し回復は良く、深刻な後遺症が残らなかった。それでも12級を追い、少なくとも神経症状の14級をしっかり確保する必要がある。 c_g_l_86【立証ポイント】

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 可動域の計測で「指」ほど敬遠されるものはないでしょう。専用のゴニオメーター(写真の下 事務所内では三節棍などと呼んでいます)も使いづらく、小型のゴニオメーターで計測しています。

 今日、明日と足指の障害を取り上げます。

kansetu_4 上から大、小、そして三節棍?  

14級8号:中足骨・基節骨骨折(50代女性・神奈川県)

【事案】

横断歩道を横断中、自動車に足をひかれ、第4趾の中足骨と第5趾の基節骨を骨折した。

【問題点】

お医者さんが最も面倒がる足趾(足の指)の計測である。医師面談ではやはり協力的ではなかった。 続きを読む »

 プレート固定による骨整復の進歩から、近年、長官骨の変形は少なくなったと言えます。骨折部に張り付けるプレート、スクリューの形状・種類も増え、余程ひどい骨折(もしくはヤブ医者)じゃなければ変形癒合は起きません。 c_g_l_27  ↑ 医師の最悪例(変形の結果、脚が外側に開いてしまったのに・・)    本件は被害者さんの自覚症状から回旋変形を模索した結果、珍しく認定を得たものです。変形は逃すだろうと予想していましたがやってみるものです。  

併合11級:大腿骨骨折(40代女性・神奈川県)

【事案】

バイクで直進中、対抗自動車が駐車場に入るため右折してきて衝突、顔面と左大腿骨、両恥骨を骨折した。大腿骨は骨幹部を骨折、プレート固定後、抜釘を待って症状固定とした。

【問題点】

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win

 今回は②任意保険の場合をあげてみたいと思います。

 ②任意保険の場合、(1)被害者自身の任意保険と、(2)加害者側の任意保険、とに分けられます。

(1)被害者自身の任意保険の場合について

 被害者が契約されている保険特約で、後遺症(後遺障害)の申請前、申請中段階でお金が欲しい場合にご確認して頂きたいものとして、A:搭乗者傷害保険、B:人身傷害特約、C:無保険車傷害特約、が主にあげられます。

A:搭乗者傷害保険について  これは、簡単に述べますと、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故に遭った場合にお金が支払われる特約です。また、これは保険会社によって傷害一時金と改名されています。死亡、後遺症(後遺障害)で等級が認められたりした場合にも支払われますが、傷害の場合、後遺症(後遺障害)で等級申請する前の段階でも支払われます。

 怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化しますが、基本的に通院に数が5日以上になった場合に支払われます。なお、損保ジャパン日本興亜の最新の約款では、人身傷害特約内に搭乗者傷害保険の内容が収められております。

B:人身傷害特約について  人身傷害特約については、別の記事で説明しました。この特約も、保険契約した自動車に乗っているときに交通事故で死亡、受傷した場合にお金が支払われる保険です。Aの搭乗者傷害保険との違いは怪我の部位、症状によって支払われる金額が変化するわけではなく、実際にかかった費用が(支払限度額は契約で定めます。5000万円の契約が多いようです。)支払われる点にあります。

 怪我が重く、しかも、加害者が自賠責のみしか入っていない(最悪、自賠責にも入っていないこともあります)場合、実際にかかった治療費全額が手に入らない場合に大変有効な特約です。

C:無保険車傷害特約、  この特約についても、別の記事で人身傷害特約との比較の際に説明しました。これは、死亡と後遺障害に限定されますが、交通事故加害者が保険に入っていない場合や、保険に入っていても被害者への支払が不十分であったり、まったく支払われなかったりする場合に、不足分の金額を被害者自身の保険から回収するものです。Bの人身傷害特約と同じく、加害者が自賠責のみしか入っていない場合や、自賠責にも入っていない場合に有効な特約である点で共通しています。

 実際の運用も、B:人身傷害特約とほぼ同様の流れになりますので、保険会社によっては一時期、人身傷害特約と一緒になったり、独立したり、と変遷がありましたが、現在ではどちらか一方のみを適用し、もう一方は適用しないという流れが主流になっています。

※なお、近日中にメインブログで東京海上日動火災の最新約款についてボスがまとめる予定です。その中には無保険車傷害特約についても触れますので、お楽しみにお待ちください。

 人身傷害特約と無保険車特約のどちらを適用するかは、別の記事でも触れましたが、前者は被害者に過失があった場合にも満額獲得できるのに対し、後者では請求者の過失が反映されます。また、人身傷害特約の場合、多くの契約が5000万円程度であるのに対し、無保険車傷害特約の場合、基本的に2億円~無制限です。 よって、過失の有無やその重さ、怪我の重さも加味した上で、どちらを適用するのかを決めることをお勧めします。  

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 現在、HPの改定を進めています。事務所の陣容も変わり、今までのような秋葉のマニアックかつ独白型ではなく、広く閲覧者さま、とくに被害者の皆様に訴えかけるものに変容させなければなりません。

 そもそもHPは宣伝・集客媒体であるはずです。ところが当HP、管理者が自由闊達に語るパーソナルなブログのようでした。これでは本来、相談先を探している被害者さんに対して求心力が乏しいと判断しました。事実、話を聞いてみると弁護士・行政書士等同業の皆様からのアクセスが多いそうです。他のHPやブログでリンク・引用されていること自体、まことに光栄ですが・・。

 来年には大幅な改編を予定していますが、年内はマイナーチェンジを加えたいと思います。まずは最大の売りである「実績ページ」そして、4人揃った「プロフィール」を改変します。今日はページに使用するパイロット写真(ボツ写真集?)を先行紹介します。

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA  スタッフ紹介用

 OLYMPUS DIGITAL CAMERA続きを読む »

 先週の土曜日は東京相談会でした。新進気鋭の弁護士の参加を得て、後遺障害と賠償交渉、二つ局面に国内最高の対応を実現していると自負しております。

 しかしながら、例年に比べ今年は参加者が減少傾向です。他の弁護士事務所を見ても首都圏各県の中規模事務所は交通事故の相談・依頼が軒並み減少、70%減もあるようです。やはり大手法人事務所のネット攻勢により、業界の趨勢は決したかに見えます。それでも長年の伝統でしょうか、東京相談会は盛り返しを見せています。今月は20名に迫る勢いでした。

 しぶとく継続できるのも参加される相談者さまのおかげです。これは口コミもあり、また、他の相談会に参加された方、既に他の事務所に契約された方の盛況も、このセカンドオピニオンでまざまざと実力の差を感じたからに他なりません。 

 交通事故の知識は法律、医療、保険など他肢に渡る天井知らずの世界です。大勢の相談者さんを励みに驕ることなく、日々精進していきたいものです。

 2015101717190000 2015101717190001   今月はハロウィン仕様

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 本件は足関節の立証はおまけ作業、顔面で悪戦苦闘した記録です。これは頭部・顔面の障害で改めて紹介したいと思います。  

12級7号:距骨骨折(30代男性・神奈川県)

【事案】 被害者は歩行者で道路を横断中、左方よりの自動車に跳ねられ受傷。右足首(距骨)、顔面(頬骨)を骨折した。 c_h_17-2 【問題点】

足は整形外科、顔面は形成外科、そして、噛み合わせに不安を残すため口腔外科と3科を受診した。各科の医師はそれぞれ後遺症に対する認識が違うため、後遺障害診断書を科ごと3枚に分けた。

足関節は歩行には問題が無いくらい回復したが、機能障害、つまり12級7号の数値の確保がミッション。

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 秋も深まり、今年の残り日数を数える時期になりました。まだ投稿していなかった下肢をシリーズで整理したいと思います。実績ページの改造・充実に併せ、珍しい案件ももらさず紹介していきたいと思います。全国の後遺症を検索している皆様に引っかかることを祈って。  

併合11級:両大腿骨骨折(80代女性・埼玉県)

【事案】

自転車後部座席に同乗中、その自動車がセンターラインオーバーして対抗自動車に正面衝突。ほぼ100:0の事故。運転手は死亡、同乗者もそれぞれ骨折等ケガを負った。中でも本件の被害者は4本の手足すべて骨折した。

【問題点】

高齢のために骨癒合に時間がかかった。可動域は回復傾向であるものの、自力歩行が不能、車イスとなる。それでも自賠責の基準上では手足の機能障害から等級を重ねるしかない状況。 kurumaisu3賠償金については運転手の任意保険(対人賠償)に請求した。被害者にとって運転手は親戚かつ好意同乗(みずから進んで乗せてもらった)、そして故人のため、裁判上のやり取りを避けたい意向があった。

【立証ポイント】

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win   方法としては、①自賠責保険の場合、②任意保険の場合、に分けられます。

 今回は①自賠責保険の場合あげてみたいと思います。  

① 自賠責保険の場合

 (1)被害者請求(16条請求)

 加害者が自賠責には入っていても、任意保険に入っていなかったり、仮に任意保険にも入っていたとしても、被害者の過失が大きく、相手の保険会社が一括対応してくれなかったりする場合もあります。

このような場合に、治療費が膨大になり、治療を受けたりすることが困難であることがあります。被害者が治療や交通事故による損害賠償を受けるために、自賠責は16条で被害者が加害者の加入している自賠責に対して、請求できるようにしました。

 これまでは、後遺症(後遺障害)の申請段階での説明を主にしてきましたが、後遺症(後遺障害)申請以前に被害者が実質的に治療費を回収できるようになっているのです。但し、この手続きは後遺症(後遺障害)の申請と同様、審査に時間がかかります。迅速に治療を受けたい場合には、以下の(2)仮渡金請求の方法もとることができます。   (2)仮渡金請求(17条請求)

 この請求は、賠償金支払い前に、治療費や生活費、葬儀費等が必要な被害者が請求するものです。この請求方法も、上記(1)の被害者請求と同様、加害者が任意保険に入ってない、または、被害者の過失が大きく、加害者の任意保険会社が一括対応をしないような場合に有効です。

 急ぎお金が必要なときには、以下の通り、治療中でも一時金を請求できます。(1)被害者請求と異なる特徴として、死亡や一定の傷害があった場合に、診断書さえあれば診療報酬明細書や治療費の領収書がなくても支払われるという迅速性があげられます。一定の場合に支払われる金額は、以下の通りです。

① 死亡の場合:290万円

② 傷害の場合

A:入院14日以上で、かつ治療に30日以上を要する場合や背骨等の骨折で脊髄を損傷した場合。→40万円 B:入院14日以上を要する場合や上腕又は前腕の骨折の場合。→20万円 C:上記以外で治療11日以上を要する場合。→5万円

 詳しくは ⇒ 自賠責保険の請求形態について

 仮渡金請求は被害者請求と比較して迅速に進められますが、被害状況がはっきりしている場合には、被害者請求を並行して進めることもできます。

 ただし、最近では、任意保険の特約の発展(人身傷害保険等)により、仮渡金請求を利用せずに治療費等を確保できるので請求の機会は少なくなっているようです。  

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win

 交通事故に遭われて被害者となった方は、まず、怪我を治せるかどうかが気になるかもしれません。しかし、それと同時に問題となるのは、治療費や収入についてではないでしょうか。

 これまでは後遺症(後遺障害)の申請で等級を得た上でのお金の得方を説明していきました。

 しかし、後遺症(後遺障害)の申請に行きつく前に費用面で満足に治療を受けられない場合もあります。

 例えば、加害者が自賠責以外の保険に入っていなかったり、最悪、自賠責にも入っていなかったりする場合(日本人であればほとんどこのような場合はありませんが、外国人の場合、未加入の者もおりました。)もあります。仮に、加害者が任意保険に入っていても、被害者の過失が大きくて一括対応してくれない場合等、治療費が賄えない場合があります。   c_y_164  怪我が軽ければ自腹でも大丈夫かもしれません。しかし、怪我が重い場合もあり、金銭的に治療が受けられず、また、もっとひどい場合、仕事ができず、収入がなくなり、ご自身の生活が立ち行かない場合もあります。

 基本的に、賠償関係は弁護士が最後(等級を獲得してから)にまとめてするものです。しかし、これらのような事情の場合、後遺症(後遺障害)申請に行きつく以前の問題です。

 これまでに説明してきた内容と一部重なりますが、次回から後遺症(後遺障害)の申請前、ないしは申請中の段階で治療費等のお金を先取りする方法ついてまとめていきたいと思います。  

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 (業務日誌が遅れて投稿されていますので日付が少しずれています)月曜日が体育の日で、今月も3連休があります。もちろん3日も休んでいられません。土曜日は事務所の電話回線の工事でした。

 工事に立会いしている時、ふと窓に目をやると銀座のビルの谷間から見慣れない真っ黒い煙が立ち上ってきました。これはもしや火事?と思ってしばらく見ていたら、案の定、消防車が数台集まってきました。ニュースでは幸い軽傷者2名、そして類焼せず間もなく鎮火したようです。これから空気が乾燥してきますので火の元には注意が必要ですね。

 火事つながりですが、実家の火災保険が今月満期を迎えます。契約先は損保ジャパン(当時は安田火災?)、20年ほどの長期契約でしたが、近時の改定で長期契約は10年が限度となるそうです。通常、契約は1年毎ですが、数年まとめての契約ですと、長期率(割引)が適用されてお得なのです。

(例)1年間契約:50000円 ⇒ 

 500000円×10年×長期率0.9=45万円(1年あたり45000円となる)

 ちなみに自動車保険も主要社では3年程度の複数年契約があります。現場の代理店さんは自動車保険の複数年契約をそれ程歓迎していないように感じます。やはり、毎年こまめに調整すべきだからでしょうか。対して火災保険の場合、毎年そう変化はありませんので長期が望ましいと思います。他社さんも10年までなのか?今度、各社の代理店さんに聞いてみようと思います。

0151010at20_t  火事はマガジンハウスさんの向かいのビルのようです。数件先に行きつけのクリーニング屋さんがあります。そういえば、夏物はまだ出してなかった。週明けには出そう。  

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 神経系統の障害は諸々の症状を包括的に判断します。例えば脳損傷となり、記憶障害が9級程度、めまいが12級程度、排尿障害が11級程度・・これらを併合せず、ひっくるめて総合判断で7級とするような・・。これは自賠責が労災認定基準の「神経系統の障害を労働能力の喪失程度から判定する」ことを基にしているからです。

 さて、本件盛りだくさんの障害を明らかにしましたが、高次脳機能障害まで立証し切れませんでした。まず、自覚症状(高次脳の場合、家族の観察)がどの程度なのかが出発点です。初回の本人面談で私は高次脳を予断しました。しかし、続く家族の観察から障害の表出が乏しく、最後まで疑問のままでした。つまり、本件は予断をはずしたようです。こうして高次脳未満は「高次脳崩れ」の12級13号確保が目標になります。  本件、提出書類から状態を見極めた自賠責・高次脳審査会の慧眼には恐れ入りました。  

12級13号:脳挫傷・14級9号:頬骨骨折・12級相当:味覚障害・13級5号:歯牙欠損・14級相当:嗅覚障害(50代男性・神奈川県)

【事案】

自転車で直進走行中、前走バイクが急転回し、衝突したもの。頬骨骨折により、顔面に神経性疼痛、嗅覚・味覚の異常も生じた。また、脳挫傷があり頭痛やめまいに悩まされる。その他、歯を数本折った。 リハビリ後も完全回復とならず、現場の仕事から内勤に転任を余儀なくされていた。

【問題点】

相談会で高次脳機能障害の精査を必要と感じた。早速、主治医に面談し各種検査を行ったが、家族からの観察に比して整合性のある結果とならかった。果たして脳障害はあるのか?迷いの中、作業が進んだ。

高次脳機能障害で一くくりにできれば良いのだが・・・高次脳が否定された場合、はっきりと数値に出る検査のない頭痛、めまい・ふらつき、顔面の痛み、これらを神経系統の障害としてまとめる作業となる。

【立証ポイント】

味覚・嗅覚はおなじみの検査を実施するのみ。歯については既存障害歯と事故で欠損した歯を分けて把握する必要がある。歯科医と打合せし、XP画像を預かり、専用診断書に記載頂く。 結果、味覚喪失で12級相当、嗅覚減退で14級相当とした。歯については事故前からの障害歯と新たに折れた歯を合計、現存障害として13級5号(本件の場合、併合ルールの優位により加重障害とならず)。 c_g_m_3 続きを読む »

 頬骨骨折、肩腱板損傷・・・それ程多くない傷病名です。しかし、実績ページを観ていただければお分かりと思いますが、頬骨骨折も肩腱板損傷も私の事務所ではレアな傷病名ではありません。実績があるから的確な立証作業が可能となります。

 本件は当時、新人の補助者山本が終始すべてを担当、不利な状況を覆して見事に立証を成功させました。事務所の実例資料と秋葉の指示があれば大丈夫。これが実績蓄積の力なのです。   20101209_2-300x237 20141126_2

12級13号:頬骨骨折(30代男性・東京都)

【事案】

自転車走行中、交差点の横断歩道上で対抗自動車が右折進入して衝突した。右頬骨を骨折し、プレート固定術を受けた。

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 交通事故外傷のおよそ80%が捻挫・脱臼、そして挫傷です。その中で後遺症が残るようなケガは10%にも満たない数です。後遺症自体がレア、珍しいケガなのです。そして、後遺障害と認定される傷害名も60%近くがおなじみの「むち打ち」となります。

 今回取り上げるシリーズは後遺障害の中でも3%以下のケガを特集してみましょう。 c_g_sp_8

14級9号:股関節脱臼(20代女性・埼玉県)

【事案】

自転車でT字路を右折のところ、右方からの自動車と衝突、転倒したもの。歩行不能で救急搬送され、診断は股関節脱臼。搬送先では手に負えず、転院先にて股関節を数人がかりで徒手整復した。

【問題点】

レントゲンでも股関節は問題なく整復されている。リハビリの経過もよく、歩行できるまで回復した。しかし、痛み、違和感はそう簡単に消失するものではない。

【立証ポイント】

依頼を受けて、まずCT検査を行った。すると股関節の関節内にほんのわずかながら骨片を発見した。その存在を放射線科医に読影頂いた鑑定書を添えて自賠責審査に提出した。器質的損傷が画像上確認できるのであれば12級がターゲットとなる。

しかし、結果は14級に留まる。「脱臼後の整復および骨癒合は良好であり・・」との判断。骨片には触れてもこない。それでも疼痛・回復の程度や依頼者の意向を踏まえて14級を容認した。

このように立証側と審査側は画像を巡ってギリギリの攻防をしているのです。今回は勝ちを譲りましょう。

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 高次脳機能障害を抱える家族の苦悩は当事者にしかわからないことばかりです。一見、事故から回復して障害など無いように見える被害者さんもおります。すると、能力の低下や障害ゆえのミスを職場や近所、友人など周囲が理解できないのです。本件は非常に深刻で、情動障害によって退院後から様々なトラブルが起きています。地域全体の理解・協力が無ければ生きていけないと言っても過言ではありません。

 まだ、事故は解決していませんが、やがて賠償交渉(裁判)は終わるでしょう。しかし、被害者と家族にとって完全解決などないのかもしれません。深刻な障害者とその家族にとって、障害と向き合うことは常に現在進行形なのです。  

3級3号:高次脳機能障害(10代女性・長野県)

【事案】

直進道路の左側を自転車で走行、右側へ横断した際、後続の自動車に衝突された。その際、右側頭部を自動車フロントガラスに打ちつけ、次に道路に飛ばされて左側頭部を路面に打ちつけた。意識不明の重態で救急病院に搬送され、緊急手術となった。診断名は主に右側頭骨骨折・右急性硬膜外血腫と左急性硬膜下血腫、左右両側の脳損傷である。

数度の開頭手術、長期の理学療法を続けたが、知能低下、短期記憶障害、失語(ウェルニッケ型)、注意・遂行能力低下、右片麻痺(右足関節・自動運動不能)、学習障害、情動障害が残存した。

最後の手術の直後、母と相談会にみえられた。

【問題点】

学習障害によって普通校の授業は不可能、知能は小学生低学年~幼児レベルに低下した。情動障害は特に深刻で、体力の回復と共に易怒性が強く表出して凶暴な行動にでるようになった。加えて幼児退行、羞恥心の欠如がみられ、周囲とのコミュニケーションが困難となった。女子高生としては相当に悲惨な状態である。

母子家庭なので受任後は仕事を持つ母親の合間に合わせて、何度も病院同行を重ねることになった。当初は私の仕事について、病院側の理解が得られずにやりづらい状況であった。さらに、本件最大の問題は現在進行形で情動障害が変化・重度化している点である。体力の回復によって、また、普通の年齢相応の情緒不安定も加わり、家庭内で暴れだすと手に負えずに警察を呼ぶような事態に発展する。何度か心療内科へ入院となり、その都度、症状固定とできない状態が続いた。

【立証ポイント】

診療を受けたすべての科の医師と面談した。主治医の脳神経外科医はもちろん、言語聴覚士、作業療法士、整形外科、リハビリ科、心療内科、ついには院長と面談し、すべての記録をまとめた診断書類を完成させた。泊まりも含め、長野へは10回も足を運ぶ結果となった。

神経心理学検査は言語系、知能系を中心に選択したが、知能・学習能力の低下から下位数値となった。下肢の麻痺については足関節、足趾(足指)を正確に記録した。日常生活状況は母親と作成、エピソードをもらさず文章化、看護記録なども添付した。事故前後の学力低下を克明にするため、高校の担任教師、(事故後の)支援校の担任教師にそれぞれ報告書を依頼した。

一番の仕事は、母親と深夜も含めてこまめに電話で連絡を取り合ったことです。高次脳機能障害を抱える家族へのメンタルケアは非常に重要です。(過去、家族が心身症になり自殺、自殺未遂となった件を経験しています。) 続きを読む »

 本件も受傷・認定部位は盛りだくさんながら、肝心の高次脳機能障害が認められず、10年戦争となった案件です。

 画像所見や意識障害が明確でなければ、労災・自賠責の高次脳機能障害の認定はありません。しかし、中には画像所見が不明瞭、もしくは意識障害の記録が見逃されてしまった被害者も存在します。一方、画像所見がなくとも脳障害を示すMTBI(外傷軽度脳損傷)の被害者も存在します。MTBIについては、臨床上では存在するものの、未だ医学的には完全に説明しきれていないようです。その患者の多くは事故外傷とは別の原因の可能性もあり、心因性を排除できないとの報告もあります。

 本件はMTBIではなく「見逃された高次脳機能障害」と確信しました。私は画像所見が見出せない高次脳機能障害とMTBIは違う概念と区別しています。  

併合9級⇒併合6級(非該当⇒7級4号):高次脳機能障害 訴訟認定(40代男性・東京都)

【事案】

バイクで交差点を直進中、対抗右折自動車と衝突した。主な診断名は急性硬膜下血腫、左尺骨神経麻痺、左脛骨高原骨折、左腓骨骨折。

尺骨神経は手術で縫合、知覚障害は残るが運動性を取り戻した。左脚は脛腓骨の骨折により腓骨神経麻痺が残った。また、左上肢・下肢の傷跡は醜状痕が残った。脳障害については物忘れ、注意力低下、遂行能力の低下が目立った。

【問題点】

血腫はほどなく消失し、医師も継続的な検査・治療を行わなかった。画像上、「脳への器質的損傷なし」、また「意識障害なし」、これでは自賠責での高次脳機能障害認定は絶望的。 また、被害者の業務歴、学習歴から知能が高く、一見、障害が分からない。検査でも知能系の数値が平均より高く、障害が見えづらいケースである。

受傷から2年後、高次脳機能障害の評価ができる拠点病院にて専門医が検査を実施、高次脳機能障害と診断されたが、案の定、自賠責保険での高次脳機能障害は否定された。認定結果は上肢知覚障害、腓骨神経麻痺、醜状痕等の評価で併合9級止まり。

それからさらに2年後、方向性が定まらない状態で受任となった。 絶対に諦めるわけにはいかない。被害者との面談、家族の聞き取りから、本件はMTBIではなく、高次脳機能障害であると確信したからである。高次脳機能障害は訴訟での認定を目指すことになった。

【立証ポイント】

まず、受任していただける弁護士探しからとなった。大御所弁護士が断る中、当時、独立したての弁護士先生が引き受けて下さった。 逆転勝利のためには徹底的な準備と新たな医証が必要である。手持ち資料から訴訟認定したケースの訴状等を準備、弁護士に託した。新たな医証としては別の専門病院で神経心理学検査を一からやり直し、記憶障害、注意・遂行能力の低下を示すデータを揃えた。 また、奥さんから事故前後の変化について徹底的に聞き込み、時間をかけて詳細な記録を作成した。些細な情報ですら漏らすことは出来ない。これは後の口頭弁論に活かされる資料となった。 続きを読む »

 脳に障害を負うケガとなれば、その他、人体に深刻なダメージがあって然りです。それらが障害として残れば余すところなく主張しなければなりません。綿密な立証計画を策定、丁寧に進める必要があります。仮に併合等級に影響がなくとも、その作業と認定結果は引き継いだ弁護士の賠償交渉に活かされます。

 また、素人と玄人の力量の差は歴然としています。それを被害者さん、又はご家族が早く気付かなければなりません。

 今夏~秋に認定、決着がついた高次脳機能障害を今日から3例紹介しましょう。   

併合5級:高次脳機能障害・視力障害・醜状痕(50代男性・長野県)

【事案】

交差点を歩行横断中、対抗右折自動車に跳ねられ受傷。右前頭葉脳挫傷、右眼窩吹抜け骨折、右脛骨プラトー骨折となった。 回復後も短期記憶障害、性格変化、易疲労性が見られた。

【問題点】

最初に依頼した弁護士は高次脳機能障害の知識に乏しく、後遺障害診断書の1枚のみの記載で十分との認識であった。主治医は「他にも必要な書類があるのでは?」と心配したが、「必要ない」との返事。また、性格変化を心配する奥さんに対しても「性格が穏やかになって良かったじゃないですか」との対応。挙句に「奥さんは口を出すな」・・とにかく早く相手保険会社の事前認定に進める姿勢であった。

不安に思った奥さんから当方にセカンドオピニオンとして相談を頂いた。そこで必要な手順、解決までのロードマップを説明した結果、ご本人ご家族は既契約弁護士に払った着手金を無駄にしてでも依頼を切り替える決心となった。

【立証ポイント】

主治医は別件で何度か面談したことがあったので、スムーズに診断書の追記、追加書類に応じていただけた。奥様と日常生活状況報告書を綿密に打合せして作成、特に性格変化の観察・記載に注力した。さらに眼科へ追加書類を依頼し、顔面醜状痕の計測・記載も追加した。

高次脳機能障害の立証に家族の協力は不可欠である。奥様には大いに口を出してもらった。結果、必要なことをしっかり抑えて、高次脳機能障害は想定どおりの7級とした。前任の弁護士のままでは9級の恐れもあった。当然だが視力障害と醜状痕による併合も無かっただろう。 続きを読む »

win 申請の際の提出書類について

c_g_a_5-118x300 被害者請求の場合、頚椎捻挫(ムチウチ)や腰椎捻挫を基準とすると、提出書類として、後遺障害診断書、通院期間分の診断書・診療報酬明細書(レセプト)、画像(フィルムやCD)、自賠責保険請求用の支払請求書、印鑑証明書、(弁護士等に委任している場合にはその旨の委任状)、事故状況報告書、事故証明書、が原則としてあげられます。事前認定の場合も基本的には提出書類は同じです。保険会社が主に行っている後遺症(後遺障害)の申請方法は事前認定です。事前認定の場合も基本的には提出書類は同じですが、交通事故の被害者に提出を求めるのは、後遺障害診断書です。何故なら、その他の書類(特に診断書や診療報酬明細書)に関しては基本的に保険会社が自賠責に請求するために集積しているからです。事前認定をする際、症状固定して後遺障害診断書を被害者から受け取ると、これら書類をすべて提出して申請をする流れになります。

※ ただし、自賠責に請求できる治療費は120万円までなので、それを超えると自賠責に請求できないことから書類の集積が途中で終わっている場合があります。その場合、保険会社は不足分の書類を改めて集積します。

 多くの交通事故で発症する頚椎捻挫(ムチウチ)、腰椎捻挫の場合、治療費が120万円を突破することは少ないので、書類は集まっていることが多いです。しかし、保険会社(担当者)の多くは頚椎捻挫(ムチウチ)、腰椎捻挫では簡単に後遺症(後遺障害)が認められないと考えております。そのため、申請のための書類集積を速やかにやることは考えにくいとみております。むしろ、このような事情から申請しても後遺症(後遺障害)が認められることはないので早く案件を処理したいと考えるのが通常です。

 そもそも、保険会社は早く治療費を打ち切りたいと考えております。

 実際の案件で、ムチウチで事前認定をした依頼者の交通事故に関する書類を保険会社から集積したところ、診断書等の中に、「医療照会・回答書」がありました。この書類には依頼者の症状について改善傾向にある旨の記載が多々ありました。日付からすると、症状固定後に調査事務所から病院に依頼していることがわかりました。この書類については依頼者も認知しておりませんでした。

 何故このようなことになったのでしょうか。

 これは、事前認定の申請者が保険会社であったので、調査事務所は保険会社に医療照会・回答書を依頼する流れになったのです。これでは、依頼者は何を書かれたのかをなにも確認できず、しかも医師の診断を受けずに依頼者の現在の状況について書いていることになります。

 これがもし、被害者請求の場合、申請者は被害者(弁護士を依頼している場合には弁護士)に依頼がきます。そのような場合、依頼者側は医師に依頼する際、医師とお話し(診断)した上で記載して頂くことができ、内容を確認できることになります。

 これまで申請者が保険会社なのか被害者なのかで差が出ることをいくつか述べさせて頂きました。

 結論として、書類の集積は大変ですが、後遺症(後遺障害)が認められた際に等級に応じた自賠責基準分の金額が自賠責から被害者に振り込まれること、申請時の書類について依頼者側が確認できること、から総合的にみて被害者請求の方が交通事故被害者には有利に働くことになると考えております。

 仮に被害者請求をしたくても、書類の集積が面倒であれば、被害者請求をやってもらえる士業者を探してみてください。以前にも述べましたが、一部士業者は事前認定のみしかやらないので、契約前に確認してみて下さい。  

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 私達は個人事務所としてそれぞれ独立して営業をしています。皆、後遺症に特化した専門事務所として日々活動しています。しかし、専門事務所であっても人体の数千種にも及ぶ交通事故外傷すべてに精通することは不可能です。もっとも、後遺症の立証に苦戦する被害者さんは一定の傷病名に集中します。それはおよそ50種程度でしょうか。それでも世の専門家を標榜する弁護士先生、行政書士とて、到底その50種の経験すら及ばないでしょう。

 しかし、私には強い味方が存在します。それは全国のチーム事務所です。本HPを観ていただいてもお分かりと思いますが、実績ページでおよそ数十種の傷病名が実際に受任・立証した実例として語られています。それを全国の仲間と共有し、お互いの経験値を高めています。どんなに優秀な個人、事務所であっても、経験数は限られます。これぞ、チームの力なのです。 tizu  昨日は久々に京都にチーム全員が集まっての会議でした。議題は被害者救済に向けての新たな施策など、各地域の情報を集約しました。また、当然ながらそれぞれの経験・知識の交換があり、実り多い一日でした。

 会議後の食事は秋の味覚、松茸を堪能しました。次回の忘年会までそれぞれ切磋琢磨し、より成長して再会したいものです。  

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