こんにちは、金澤です。

先日、上司と病院同行をご一緒させて貰いました。

我々の役目は後遺症の審査側に正しく明確な情報が伝わるようにする事。つまり診断書に、被害者の情報を正確に伝わりやすい形でお医者様に書いて頂くように、医師・患者の間に入り調整を図る役割です。どうしても、医療知識がなければ症状の事を的確に伝える事は非常に難しく、だからといってやみくもに痛い痛い、悪い!悪化している!と医師に訴えても、あまり良い結果にはなりません。

そこで我々が知識や経験から、そのような症状であればこのように伝えると、伝わりやすいかもしれませんね。等とアドバイスをしたり、お医者様に、この検査をお願いします!等とお願いをしたり。

現在身体の色々な部分に症状が出ているが、全てを訴えるのではなく、この部分とこの部分を重点的に訴え比率を調整したり、様々な事を考察し、ポイントを絞ることにより、等級を取る確率を上げることが出来るのです。

先日同行した病院のお医者様は、非常に患者さん思いの先生で、患者様の訴える症状・我々の願いに真摯に対応して頂き、丁寧な検査等をして頂けました。 患者に譲歩するのではなく、真摯に向き合ってくださる医師の姿勢に関心致しました。無事医師との面談も終え、良い結果となりました。

ですが、全ての医師がこのような対応をして下さるわけではありません。時には検査をしてもらえる様に現場判断で誘導することもありますし、診断書の記載を誘うときもあるのです。それは不正な記載を誘うのではなく、本当の患者の訴えを審査側に伝わるようにするサポートです。

この仕事に携わるまではそれがどれほど難しいことかは想像をしていませんでしたが、患者一人でこれをしていくにはあまりにも酷な事だと改めて痛感しました。

少しでも皆様のお役に立てるよう、頑張りたいと思います! 続きを読む »

 それでは、昨日の3つの誤った対応について、以下説明します。   >2 ウソはダメ!絶対に

 自身の立場と病院同行の目的、これを正々堂々と言うべきです。できれば数秒で。医師は正当な理由であれば、協力してくれるものです。嘘をつくなど、コソコソした態度は見抜かれます。私達とその仕事は、ただでさえ治療の邪魔になる、医師にとってうっとおしい存在です。誠実な姿勢だけが、医師の胸襟を開くものです。

 秋葉事務所では、仕事をスムーズに進める方便であっても、「嘘は絶対にダメ!」と指導しています。   >4 それを言ったらダメ!絶対に

 「(内心)前の医師が書かないということは、何か問題があるのだろう・・」、診断書の依頼を受けた医師は普通にこう考えるのです。また、病院同士の連携上、リハビリ院は手術した前院の指示に従う傾向があり、その上下関係からも、それを言ったらダメなのです。

 またしても嘘、そして、診断書依頼の基本を無視したNGワードです。このスタッフの経験不足、想像力の欠如が、被害者さんを二次被害に陥れてしまったのです。そして、その責任は、このスタッフを使った弁護士に帰着します。   >6 自賠責の審査は甘くない!絶対に

 受傷から2年、症状固定時期になって急に別の病院で診断書が浮上? 審査先の自賠責は普通に疑います。結局、主たる治療先である、前の2つの病院に医療照会をかけます。当然、病院側はミソのついたこの患者さんの賠償問題に関わりたくないもので・・非協力的な両院からは梨のつぶて、あるいは不正確な回答書が自賠責に戻り・・後遺障害申請は絶望的な結果で帰ってきます。    この前任スタッフには、まったく基本的教育が施されていないと思います。医師面談は簡単な仕事ではありません。仮に弁護士・行政書士・社労士の資格者であっても、専門的な知識や技術、そして教育と経験なくば、単なるど素人なのです。むしろ、対医師への謙虚さに欠けるきらいもあり、ご覧の通り、悪い方へ誘導する危険性があります。

 一方、患者の相手側である(病院に治療費を支払う)保険会社の医療調査員は、専門職ながらより過酷な立場です。医師に面談を申し入れても2ヶ月先にされ、その約束の日に行っても、「急患なので」と面談できなかったり、面談できてもわずか5分で切られ、さらに面談料5000円の請求です・・医師からの敵視が普通で、苦労の連続です。保険業界でも長く続かない職種の一つです。医療調査と医師面談の仕事は、医師から短時間で情報聴取できる専門知識、医師の警戒を和らげる誠実性・人間力、そして交渉力・忍耐力、これらが必要で、日夜、医療調査員は修練しているのです。

 基本は私達、被害者側の医療調査とて同じです。この仕事には十分な教育が必要なのです。弊所では、基礎となる保険会社側の医療調査からも学んでいます。本件は、秋葉事務所が最初から医師面談していれば、それ程難しい案件ではなかったのです。医師との関係を悪化させた状態からの受任でしたので、それは修復は大変でした。    ちなみに、先の例の続きですが、   7、秋葉と山本は、両方の病院に同行し、医師面談を重ね、医師の理解を得て無事に修正計測と新たな部位の計測を実施、診断書への追記を頂き・・紆余曲折をものともせず、正確な後遺障害診断書の完成と、審査側を助ける十分な書類の集積を完了しました。

 後は、8、無事に○級認定! を待つだけです。   続きを読む »

 以前、ネットで拝見した弁護士先生のホームページに、「医師面談を売りにしている事務所があるが、それは止めるべき」との意見を目にしたことがあります。

 理由ですが、「医師は賠償問題を持ち込まれることに警戒感と嫌悪感を持つので、却って患者と医師の関係を悪化させることになる」との説明です。

 受任のおよそ90%について医師面談を実施している私共にとって、まるで反対意見を突きつけられたようです。    秋葉の返答はこうです・・「同感です」。    以前の記事を読んで頂ければ、医師面談について慎重に考えていることがお判り頂けると思います。⇒ 改めて病院同行の是非を問う

 この記事を読めば本日の記事は終わりですが、あえてこのテーマを繰り返した理由があります。最近、弁護士事務所から医師面談の依頼を受けた件で、前任者のお粗末な仕事によって苦労させられたからです。事案の経緯から説明します。   1、自動車同士の衝突複数(0:100)で、複数の骨折を負った被害者さんですが、一定の治療を経た後、関節可動域の制限が残ったので、その計測と後遺障害診断書の記載依頼の為、(前任の)スタッフが付き添いました。   2、そのスタッフは、医師面談を前にして、被害者さんと「私は(被害者さんの)従妹ということで」という体で、口裏を合わせて臨んだそうです。   3、ここの医師は真面目で頑固さんタイプでした。一箇所の計測が独自方法(日本整形外科学会の計測基準と違う)、さらに、一箇所の計測を医学的な判断から拒みました。医師には臨床上の判断、専門職としての理由があります。それは尊重すべきで、逆らっても無駄です。   4、仕方ないので、リハビリ先の医師に計測を依頼することにしました。スタッフは事前に、「「前の病院が診断書の記載を拒んだので」、と言って書いてもらいましょう」と、言い訳を作って面談しました。   5、リハビリ先の医師は、「前院の主治医が書かないのなら、うちでも書きません」とぴしゃり。   途方に暮れて、「ダメでした」と弁護士に報告です。   6、窮した弁護士は、ここに至ってようやく、秋葉への依頼となったのです。それも依頼内容は、「新しい病院に連れて行って、診断書を書いて欲しい」です。    どこがまずかったのでしょうか?・・・3つの赤字について後編で指摘、いえ指導します。   続きを読む »

 交通事故で怪我をして、症状固定となり、腰痛が後遺症として残ったとします。    腰が痛いから整骨院で保険を使って通えるか?

 → 不可能です。

 ただし、何かをしていて急に痛みが増した。 その何をしていて痛めたかの具体的な原因があれば使うことは可能です。

 整骨院に来る患者様の中には慢性腰痛の患者様もいらっしゃいます。整骨院で保険適用になるのは、厚生労働省では現在の定義は外傷性が明らかな骨折、脱臼、打撲および捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれない」「外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力によって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、いずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないもの」と、されています。

 つまり慢性の腰痛などは一切保険適用とはなりません。私が以前働いていた整骨院では、自費診療に力を入れている整骨院でしたので、そのような慢性治療は完全自費で治療をしておりました。ですが世の中には慢性腰痛にも保険を適用している整骨院が80%以上だと思います。    その例 ⇒ 柔整師の健全化に僭越ながら提案    確かに、慢性的な痛みがある腰でも、捻る・かがむ等の動作で急激に痛みが強くなった場合はそれは急性の怪我として保険を使用することが出来ます。その治療を的確に行い、一刻も早い治癒を目指すのであれば立派だと思いますが、大体はだらだらと保険を引き延ばし、「次は肩で請求しておきますよ」等と言って、全身治療などと名目をうち、全身マッサージをしてあげているのです。整骨院に通う後期高齢のお年寄りを見ていると、内科に通い、使いもしない薬を大量に処方している医師もどうかと思いますが、柔道整復師業界もこのままでは困ったものだなと思います。

 では、実際に腰痛・慢性腰痛に対して、どのような基準で保険が効くのかを書いていきます。明らかな急性の腰痛であれば文句なしで保険が使えます。代表例としては、ぎっくり腰です。

 ぎっくり腰の中にも種類があり、

・筋肉を傷めたぎっくり腰

・関節を痛めたぎっくり腰

 等いろいろありますが、どちらも割と多いです。

 ただ保険を使えるか使えないかの線引きが難しいのが、慢性的に腰痛があるけれども、急に痛みが増したというパターンです。患者様が明らかに “何かをして痛めた” と訴えてきているのであれば保険は使えます。ただ、「いつも痛いけど“最近特に”○○日前位から特に痛い」と言われ、原因は?と聞いても具体的な原因が明らかではない。そんな場合は怪我としてみなすことが困難なので保険は使いません。(使えません)

 原因を一緒に見つけてあげられるなら〇だと思いますが、原因をでっちあげるのは×です。

 怪我をしているなら具体的な原因があるはずなんです。

・何かをしようと前かがみになってから痛みが増した

・掃除をした後から痛くなった

・朝起きて動き出そうとしたらピリッと痛みが走った

 等の原因がなければそれは慢性的な痛みの一つです。決して保険を使ってはいけません。まず今日はそんなところで!  

慰謝料を増額するためには緻密な戦略が必要です。

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こんにちは、金澤です。

今回は、少し面白い治療の話をしていきます。普通に今日の内容でお金を取りセミナーを開ける位のお話だと思います。お金を取るなら相当深いところまで掘り下げますが、今回は分かりやすくを目標に!治療といっても、柔整師の施術ですけどね!内容としては、精神的疾患に対して手技によるアプローチ。整骨院で働いていると色々な患者さんを診る事になります。よく観察をすればするほど、深い所まで診る事になります。

今回のテーマなのですが、実際整骨院に長く通う患者さんの半数以上は精神的な疾患を抱えている方と感じます。(あくまで私の感覚であり、残り半数弱は普通です。)程度は様々ですが、完全に鬱の患者さんもいれば、躁鬱の方もいます。整骨院に長く通う傾向にあるのは、精神的に弱い方が多い傾向にあると感じます。一見は普通そうだけれど目に元気が無い。もう心身ともに疲れが限界。と言う人が集まります。

完全に鬱の方に対しては毎日マイナスの発言を聞いたり、弱音を聞いたりしているとこちらの精神も疲労しますので、半分は聞き流したりと工夫が必要です。約5年現場で患者さんを診てきましたが、気持ちが落ち込んでしまっている患者さん・精神的疲労。慢性疲労がひどい人。全員に共通点があります。それは、ほぼ全員呼吸が浅いことです。極端な例えですが、普通なら一呼吸で肺に入る空気が100だとすると、大体60かそれ以下と言う方がほとんどです。呼吸が浅いと、身体の酸素濃度が薄くなります。酸素濃度が薄いと倦怠感も出ますし、頭の回転も落ち、ぼーっとします。細胞の活性も低くなり、身体の回復力も落ち疲れが一向にとれません。これが続くと、気持ちが滅入ってきて色々な事が重なると、心の中の何かが崩れてしまうのだと思います。

ただ問題なのが、呼吸を深くしようとしても、肺を包む肋骨が動かず、膨らまなくなってしまっていることが多いです。肋骨の間に肋間筋と言う筋肉があり、これが作用しないと肋骨も動かなくなります。この肋骨の動きをよくするために、肋間筋の治療・肋骨のモビリゼーション手技を用いる事で、肋骨の動きが良くなります。そうすると肺が膨らむスペースが出来ます。体内の酸素濃度が上がり、自己回復力が向上するのです。この治療+胸椎アジャストをしっかり決める事ができると、胸椎から出る肋骨のROMがさらに広がり、さらに胸椎に付着する交感神経幹のストレスを一気に取り除き、身体を一瞬で副交感神経優位に転換させることが出来るのです!

上記治療に+αで行うとしたら、実際に、呼吸に使う筋肉、主に横隔膜をはじめとした筋肉を治療します。これだけで相当呼吸が深くなり、患者さんの身体の負担を取り回復力を上げる事ができるのです。勿論、横隔膜の機能が徐々に低下していく場合もありますが、交通事故被害者の患者さんも大半がそのような状態になっている印象でした。

以前、参加した医師との勉強会での内容なのですが、交通事故・スポーツ外傷などの高エネルギー外傷が起こると一瞬で横隔膜・肋間筋が強縮し、肋間のROMが悪くなり呼吸が浅くなる。ついでに交通事故だと胸椎にまでムチウチが及び、胸椎から発生する肋骨の可動が落ちると習った事があります。あくまでも一つの考え方として参考程度ですが、施術の視野が広がる一つだと思います。

このように、簡単な治療一つでも非常に有効な効果が期待できるので、いつか整骨院と精神科医の連携が来る日があってもいいのにと思っています。精神科のお医者さんは、精神疾患は薬で治すもの、と言う固定概念があり、肋間筋やら胸椎やらに関心が無い方が多いと聞きました。また柔整師は柔整師で、相変わらず薬なんか使ったら余計悪くなる!等と頑固に主張します。そんなことよりお互いの関心が深まり、良いとこ取りをした治療の方が必ず患者さんは救われると思うんですが、いつか連携が訪れる事を願うばかりですし、そんな橋渡しができたらなとも思います。

勿論このような治療も正解の無い世界。私が交通事故被害者様に対し安易な口出し等することは有りませんし、そこばかり見ると他を見落としますので、少しでも観察する視野を広げる一つとしていきたいと思います。もし柔整師が読んでたら、必ず治療の幅が広がる良い記事だと思うんですが、いかんせん柔整師はプライドが高く素直じゃないからなー。

では、長くなりましたが終わりです。ありがとうございました。

 

なかなか、病院と整骨院の連携はうまくいきません。 →整形外科Vs接骨院・整骨院 医師と柔整師が少しでも歩み寄れる環境になるためにも、柔整師がきちんとする必要がありますよね~

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こんにちは、金澤です。    今回は、昔流行した「寝ているだけで筋トレ」について書いていきたいと思います。

 一昔前EMSと言う、主にお腹、太ももなど全身に電気を当てることで筋肉を運動させ、寝ているだけで筋力アップ・ダイエットの効果があるというものです。理にかなっていると言えば理にかなっていますが・・・

 整骨院やエステサロンでやるのは高すぎます。1回2000円~3000円程出して、効果が表れるまでには実に10回ほどは必要でしょう。効果が表れ始めるまでに30000円。とは言え、多くの人がそこまで続かないので、店も手をうち、回数券などを販売します。ですがそこまでお金をかけても結局微々たる効果です。過大広告のようにはいきません。

 ちなみにあの機械も高いです。よく営業さんが回ってきましたが、業務用は100万円です。私も知り合いの整骨院で使わせてもらいました。市販で2万そこらで売っている機械とどう違うのか、いまいちわかりませんでした。(笑) なんとなく気持ち筋肉が披露したような感じはありました。あ、ここで回数券を提案するのかな? と感じた瞬間でした。機械の投資分も改修しないといけないですしね。必死です。

 つまり、筋トレ・ダイエットは自分で努力するものであると思います。やはり甘えに寄り添ってきた脂肪、怠けた人のもとを去った筋肉どちらも取り戻すにはお金ではなく、努力なんだと思います。運動が苦手なら、他で努力すればいいのです、カロリー計算をして食事制限に気を使うなど、頑張ればいいだけです。  

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こんにちは、金澤です。見習い中は暇なんで連日の投稿です。   今日はちょっとした雑談のような小話を。

最近、特定商取引法違反の疑いで書類送検をされた某健康器具の会社がありましたね。 なんでも一つウン百万円の健康器具を売ったり、投資話を持ち掛けたり。まあ、法的な見解は特定商取引法に詳しい専門家に任せるとして。素人が効いても疑問を持つ内容であることは間違いないですよね。

ですが。ですがですよ。私は、被害に遭われた方に対してバカだなーなんて言えないのです。また整骨院時代の話にはなりますが。 (今は今の目標がきちんとありますから未練などは1ミリ位しかないです(笑)) (たまーに治療したくなる時はありますがそれも人間です、普通の感情だと思います) (一応お断りを入れておきます(笑))

いえ、本当に戻ってしまうんですが、 患者さんにいるんです。それもたくさん。今回の話はほんの1例の話ですが、紹介します。

腎臓の病気と糖尿も持っていて、全身の関節が変形し、特に膝の変形が強く膝が主訴の患者さん。こうなると治ることは有りません。 整形に月1回行き施されるのは大量の痛み止め、湿布。その方は一人暮らしでもう後期高齢者。毎日必ず通院していました。 いえ、毎日通院させるのが私の役目です。 毎日午前中に来てもらい、その日の午後の痛みを少しでも軽くする。 毎日の顔色を見たり、話を聞いてあげる。

ですが、健康保険を使えるのは急性期の症状のみ。 しかも、一つの症状で通えるのは3カ月までです。 それに毎日通うと行政から指導が入ることも有ります。ですが、正解は分からないですが、毎日通わせるのが私の役目だと思いました。 3カ月が過ぎ、自費で通院する財力もその人にはありません。 それ以上請求するのは不正請求のゾーンに入ります。

ですが私は、自費は不可能と判断し、請求先の国保に長期間、頻回の治療が必要な理由を文書でまとめて一緒に請求しました。 幸いにも、保険が下りました。そんな患者さんがいうのです。 「先生みて、この間体操クラブのお友達に誘われて健康セミナーに行ったら、これが膝に効くっていわれて買ったの。○○大学の共同研究なの」

見せられるのは磁器が8コ着いた膝サポーターです。あー磁石1コ1万5000円かー 自分の無力さを感じる瞬間です。 ...

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交通事故で脊髄を損傷したという相談があります。    相談者全員が完全に脊髄を損傷しているわけではありませんが、一部はMRIからも明らかで、かつ、首から下が動かなくなった等、本当にひどい怪我をしている方もいます。これまででは、脊髄を損傷した場合、救急搬送された後、一命をとりとめてからは抜本的な治療ができず、症状によっては寝たきりになってしまい、やむを得ず症状固定して、相手方保険会社に賠償請求をして終わりにするしかありませんでした。

 しかし、近年では幹細胞、iPS細胞等を用いた再生医療が活発になってきたため、これまで不可能であった治療が可能になってきました。先日、とあるTV番組で某大学病院が取り上げられておりましたが、簡単に説明すれば、患者自身から幹細胞を取り出し、培養、そして増やした幹細胞を患者に注入するというものです。番組では首から下が完全に麻痺してしまった患者でしたが、数週間で少しずつ回復していき、治療から数ヶ月で歩行できるレベルまで回復しておりました。

 他の患者をたくさん見てきたわけではないので、すべてがうまく行くとは言い切れませんが、これまで治療ができなかった中で、光明が見えてきたと言えます。また、上記番組では幹細胞が取り上げられておりましたが、iPS細胞の研究も進んでおり、今後再生医療の技術が急速に進み、新たな治療方法が発見される可能性は非常に高まってきているように感じます。

 他方で、現時点では再生医療はまだすべての病院でできるわけではなく、一部の病院でのみ実施できる状況でしかありません。住んでいる場所によっては近場で治療できず、遥か遠方に向かわなければならないこともあります。交通事故であった場合、保険会社に治療の必要性を説明して、治療費を出して頂く必要があります。自由診療だと、治療費のコストがかかり、担当者によっては首を縦に振らないこともあるかと思います。しかし、再生医療も健康保険が使えるようになりました。健康保険適用が認められましたので、治療内容も特に制限されず、かつ治療費も大幅に下げることができ、保険会社の理解を得やすくなると思います。

※ 交通事故では健康保険は使えないという偏見を持つ病院や医師がおりますが、そのようなことはあり得ません。

 医師の話では治療は、受傷時からなるべく早めに治療を開始した方がより効果が出やすいようです。これまでは、治療ができない以上、なるべく早めに症状固定し、等級を固めてから相手方保険会社に保険金や賠償金を請求して、今後の治療や生活に備えていく、という流れが主流でしたが、再生医療が進むと、早期治療をする必要性が高いのであれば、症状固定よりもまず先に再生医療による治療をして、その後半年から1年様子を見つつリハビリを経てから症状固定をする流れになるかもしれません。

 患者(相談者)にとって最も重要なのは何なのか、そのためにはどの病院の紹介状が必要なのか、保険金手続きで必要なことは何か、治療費の交渉からその後の賠償請求はどうすればいいのか、弊所では連携先の弁護士と共に常日頃、研究しております。事故に遭われた本人だけではなく、介護が必要になる以上、その家族も大変な状況になります。家族や本人が疲弊する前に、なるべく早めに対策を練ることをお勧めします。  

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③ 被害者請求拒絶型

 病院は治療費の清算のために、保険会社に診断書やレセプトを送ります。他方で、後遺障害診断書の場合は、多くの医師・病院は、後遺障害診断書は患者から依頼されるため、文書代は患者が支払い、出来上がった後遺障害診断書や画像は患者に渡されます。

 この点、後遺障害診断書を保険会社に送って後遺障害手続きを進めていく事前認定の方式をとるか、あるいは、被害者ご自身(代理人)で自賠責調査事務所に直接、必要な資料をすべて送って後遺障害続きを進めていく被害者請求(自賠責法16条)の方式をとるか、の選択ができるようになります。他のブログでも記載があるように、保険会社が一括意見書(依頼者がどんな人か等を担当者視点でまとめたもの)を提出することのリスクや、多忙な保険会社の担当者が資料不足のまま申請されてしまうリスクを回避するため、資料をすべて確認した上で安心して手続きを進めていけます。つまり、手続きの透明性から被害者請求を弊所としてはお勧めしております。このような事情を知った被害者さんの多くは、当然に被害者請求を希望します。

 しかし、医師の中には稀にですが、後遺障害診断書を患者(依頼者)に渡さず、保険会社に直送することがあります。被害者請求を知らずに悪気無くやっていた医師もおりましたが、他方で、被害者請求の存在を知った上で、あえて無視して保険会社に直送する医師もおりました。(患者が診断書を改ざんするとでも思うのでしょうか? 過去のケースでは、保険会社の担当者は、病院から後遺障害診断書が届いたのと同時に事前認定されてしまい、等級認定された場合もありましたが、資料の提出不足で非該当になり、異議申立てで等級が認定された場合もありました。診断書の内容を精査せず、提出書類も吟味せず、審査に回されてしまうことになるので、患者も私達も冷や冷やなのです。    被害者請求は、国が法律で定めた、交通事故の被害者に認めた、交通事故被害者の為の、大切な権利です。    しかし、医師・病院の方針で保険会社に後遺障害診断書を送られてしまい、被害者の知らない間に結果が出されることもあるという現実があります。弊所ではそのリスクをなるべく回避するために、症状固定後、後遺障害診断書を医師に依頼した日または近日中に、連携弁護士あるいは被害者さんから、保険会社の担当者に被害者請求する旨、宣言しています。これは、一括払いを続けてきた保険担当者への礼儀でもあります。   ④ 交通事故の診察拒否型

 医師も様々で、中には交通事故の被害者を診ない方針の医師・病院もあります。この場合は、やむを得ないので違う病院を探すことになります。はじめから診れない方針であることを教えて頂ける分、以前のケース(特に①~②)と比較すればとても紳士的といえます。    

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 弊所では後遺障害の申請やその他保険手続きの為に医師と会うことがあります。関東圏だけではなく、弊所は北海道から沖縄まで幅広く対応しておりますので、様々な病院や医師に接触する機会がありました。

 過去には保険手続きに対して理解を示して頂ける医師もいれば、特に何も言わず淡々と仕事をして頂ける医師、患者とも必要最低限のことしか対応しない医師等、様々な医師に会うことができました。他方で、保険手続きに理解を示して頂けない医師もおりました。共通しているのは、医師の皆様はご自身の仕事に誇りを持ち、責任感のある方が多いことです。しかし、残念ながら、保険手続きに理解を示して頂けないだけではなく、極端な対応をすることで私たちのような業者や保険会社だけではなく、患者まで困らせる医師も極稀におりました。

 依頼者(患者)の住む場所や受傷箇所によっては一部の病院でしか通院できないこともあり、飲食店のようにまずければ二度と行かないという方法も取れず、医師に不安を覚えて相談会に参加される方も過去に多くおりました。弊所の目的はあくまで保険手続きを無事に完了することにあります。弊所ではこれらのような医師であった場合でも保険手続きを進めていくことができるように、いくつかの対応策をもって臨んでおります。

 これまでの実績(後遺障害等級が認定された場合もあります)の中から、保険手続きに拒絶的な医師(病院)として、典型例と対策を挙げます。

① 面会(病院同行)拒絶型

 通常、依頼者の診察時についでに実施することが多く、診察の邪魔になるようなことはできませんので、事前に受付や診察日前に病院に連絡をして頂き、可能かどうかを確認します。その結果、医師が同室拒否することもありますが、その場合は無理に同室しません。事前に保険手続きでポイントとなる質問のやり方等を診察前にアドバイスする等して対応しています。

 実際、多くの医師は問題なく同室許可です。稀な同室拒否くらいではまだ問題はありませんが、一番問題なのは、依頼者である患者に強く当たることで、患者を不安にさせる医師です。過去に同行した事ある病院や医師であれば、おおよその見当はつきますが、行ったことがない病院やあったことがない医師であることが多くあるため、依頼者からどのような医師であるかを確認してから病院同行をするかどうかを慎重に検討します。

 突然、医師の方針や考え方に変化があったために、過去の情報が当てにならないこともあります。このことから、以前に会うことができて、その時は全く問題がなかった医師だからと言っても、事前に確認することや窓口での確認は必須といえます。とくに後遺障害診断書を依頼するという大切な手続きの当日にそのことが発覚した場合、トラブルを回避するためにも事前連絡を大切にしております。   ② 侮辱型

 面会拒絶型に近いですが、同室拒否するだけでなく、業者やその業者に依頼した患者に対して侮辱的な対応をする医師や怒鳴りつける医師もおりました。恐らく、過去に保険会社や関係業者とトラブルがあったのかもしれません。対応としては①とほぼ同じですが、症状固定時期はまだ先で、受傷からまだ間もない時期であれば早目の転院を希望した患者(依頼者)もおりました。

 よく診て頂いた医師の下で継続的に一貫した治療をした方が、治療効果が上がり、回復がスムーズになることもあります。他方で、保険手続きもスムーズに進められることから、なるべく同じ医師で診てもらうようアドバイスをすることもありますが、依頼者が完全に弱ってしまい、やむを得ない場合もありました。    つづく  

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 後遺障害立証の場面でやっかいなのが、自覚症状の代表「痛み」です。

 診断書では単に「疼痛」と書きますが、仮に「激痛」と書いたらより酷い痛み・・とは判断されません。痛みは客観的に程度を計り辛いのです。痛みやしびれ、異常感覚は神経症状の括りで12級13号と14級9号、2段階で評価されます。この二つの等級も、「すごく痛い」or「それなりに痛い」で判別されるわけではなく、画像や検査数値で客観的に判断できる12級と、自覚症状のみだが治療経過などから説明できる(信用できる)14級で分けられます。

 等級判断はもちろんですが、現代の医学は、痛みの程度を客観的に正確に数値化する技術に及んでいません。患部にあてるだけで痛みを数値化できるテスター・・・

 「はいっ、イタミハカール !」・・ドラえもんのポケットを期待するしかありません。  

痛みのスケール

 痛みのレベルは、被害者の感受性に左右されやすく、言葉や文字による説明だけでは、主治医に対しても、客観的な理解が得られません。そこで、 3 種類の痛みのスケールを紹介しておきます。ガン患者と医療スタッフの間で、実際に使用されているものです。   ( 1 ) NRS = Numerical Rating Scale 、数値的評価スケール、

「最大の痛みを 10 とした場合、今の痛みはどのあたりですか?」痛みが全くない状態を 0 、患者が想像できる最大の痛みを 10 で表します。

    ( 2 ) ...

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 私達の仕事を横文字でこう言っております。メディカルコーディネーター(以後、略してMC)、常態的に募集をかけていますが、一般的ではない職種ですので、認知度からその名目で募集をかけづらい一面があります。実際、応募は行政書士事務所ですので、行政書士から集中します。次いで、柔道整復師さんからも注目があるようです。採用率の悪さは相変わらずで、それら資格者あるいは受験生を年間数名面接するも、なかなかMCの適性が見出せません。

 行政書士と柔道整復師、いずれも国家資格です。医師と柔道整復師は医療従事者の括りで一緒ですが、医師資格と別格の存在です。また、柔道整復師と言われてもピンとこず、整骨院・接骨院の先生の方が一般的です。中には病院ともはっきり区別していない人もいるはずです。一方の行政書士は代書権をもつ代書屋さんですが、代理権を持つ弁護士とは、こちらもまったく隔絶した存在で、医師対柔道整復師に似たような対比に思えます。法律家とは呼べませんし、弁護士・司法書士とはっきり区別して説明できる人は少ないものです。

 行政書士会は自らを「町の法律家」と標榜していますが、法律関係の文章の作成には制限があり、代理権は官公庁に提出する書類の代理提出に絞られます。行政書士の私でさえ、その権能から法律家を名乗るに苦しい感じがします。大坂の弁護士会などは「行政書士ごときが法律家を名乗るな!」と激おこです。まぁ、資格の上下やヒエラルキーで比べるではなく、それぞれの資格に応じた部分の専門家として、役割分担すべきとひとまず結論します。

 今までも私達グループでは、被害者側の医療調査・自賠責保険手続きを行政書士だけではなく、柔道整復師も担ってきました。彼らは、曲がりなりにも医療従事者の端くれ、医学の基本知識は心得ており、なにより、実際に患者さんと接してきた経験は、MCの即戦力になりえます。その点、一から医療や保険を学ばなければならない行政書士はまったくに遠い存在で、不利だと言えます。

 それは、弁護士とて同じです。法律の専門家は賠償交渉が本分、医療調査においては、独自に勉強・経験を積まねば素人に変わりないものです。幸い、私のように保険会社・代理店出身は保険知識が土台、スタートラインが違うと自負できます。MCに必須の2大知識は「医療」と「保険」です。ですから、保険会社お抱えの医療調査員などはMCそのものです。ただし、彼らも今までの経験では・・どうもダメでした。彼らの非常に多い転職歴が影響するのでしょうか。

 保険調査員さんだけでなはく、今まで関わった柔道整復師さんもMCが続きません。両者とも知識・経験のアドバンテージがありながら不思議です。被害者側の医療調査の仕事はそれだけ難しく、医療知識だけでは務まらないのでしょうか。今のところ、MCに必要な「これだ!」と言う要素は、「被害者救済の志」しか浮かびません。確かに動機や人間性がより作用することは間違いないようです。果たして、MCの適性とは・・後進に指導することは、それを検証する作業なのかもしれません。

 今月より採用のMC候補は、久々に柔道整復師、しかも5年の事務経験を経ています。基礎知識でも、筋肉系の知識は私達を上回ります。交通事故外傷はどうしても骨に集中しますので、その点、知識の欠損を補う戦力になります。

 人を指導する事は、自らも学ぶ事です。共に成長し、MCの適性を考えていきたいと思います。  

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 最近の病院同行でのことです。膝の靱帯損傷による、動揺性(膝の関節がぐらぐら、階段を降りる際の膝崩れが怖い)について診断書に記載をお願いした際、主治医から計測基準に対する指摘がありました。    自賠責は、膝関節の動揺性の判断にまず画像所見を前提とします。相応の靱帯損傷、靱帯の部分断裂や伸びてしまった状態がなければなりません。装具の硬軟(堅い装具かサポーターのような装具か)なども、程度の判定に加味しているようです。そして、医師が徒手で行うラックマンテストや前方引き出しテストから、ぐらつき具合を、前方・後方・左右で「○cm」と計ります。医師は徒手検査の感触で○cmと判断します。また、ストレスXP画像に線を引いて、関節裂隙(かんせつれつげき・・・ 関節のすき間)を左右(健側・患測)比較して丁寧に計る医師もおりました。  動揺性、それが5mm前後であれば、多くは保存療法を選択します。リハビリでは、大腿四等筋を鍛えて弱くなった靱帯を助け、膝の安定性を確保することが目標となります。また、靱帯の完全断裂、又は1~2cmを越える高度な動揺性を示す場合、このレベルでは歩行に支障をきたすので手術(靱帯の再建術・・・膝蓋腱等から移植することもあります)の判断となります。

 しかし、医師によっては、「○cmとは、膝のどこを軸に計るのか」、「基準が曖昧で記載不可能」との声が上がります。これは実に正しい意見と思います。自賠責や労災では、具体的に等級判断の為の計測法や診断基準を公表しません、以下の表からでは、装具の使用状況のみです。労災は顧問医の診察から判断できますが、自賠責は画像と診断書から推察するのみ、医師に記載に必要なガイドを与えないのです。

 事前に示される基準は以下の通りてす。

 よく言えば「総合判断」、悪く言えば「曖昧」です。したがって、賠償上の判断基準と臨床上の計測・判断が繋がらない、または食い違うことが起きてしまいます。本例もその代表例です。これでは、明確な基準から正確な判断を求める、ある意味真面目な医師は記載に迷うと思います。一方、手で関節を引っ張って、なんとなく「前方1cm」と賠償上の目安に乗って記載して頂ける医師もおります。

 現場では、どちらが正しいか、議論の暇はありません。メディカルコーディネーターはどちらの医師であっても、審査側に明瞭な状態が伝わるよう、診断書の記載を誘う役割に徹します。原則、医師の判断に任せるも、等級基準に合致させる臨機応変な誘導をすることになります。それが、等級を取りこぼすレベルでなければ、医師との衝突は避けるべきです。本件の場合は12級確保が目的で、ストレスXP検査の了解を得たので、細かい数値にはこだわりませんでした。この調整力こそ大事で、単なる知識だけでは務まらないことが多いのです。  

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 本日は東武鉄道の特急りょうもうに乗って、群馬県まで事故相談。

 本件はかなりひどいプラトー骨折です。脛骨骨頭が砕けていますので、10級レベルの機能障害が予想されます。現在はプレート固定術を経て、骨の癒合を待つ段階です。早速、受傷直後と手術後のレントゲン画像を観ました。感嘆したことに、術前の砕けた状態から人工骨を埋没し、脛骨の両側をバランスよく、隙間無く、しっかりプレートで挟み込んでいます。つまり、術後の画像が綺麗なのです。今までも高原骨折の様々な形態、程度を観て来ましたが、術前⇒術後の整復状態で、なんとなく医師の技術が計れます(おこがましい言い方で済みません)。もちろん、素人目の感想に限らず、執刀数の多い熟練の専門医も術前・術後の画像から、その執刀医の技術レベル、手術の出来栄えがわかるそうです。

 本件の被害者さんは12級レベルまでの回復を果たすのではないか、と最初の予想を変更しました。 一体、誰が執刀したのか? すぐさま、その医師名をチェックします。執刀数多く信頼できる、要するに腕のいい整形外科医の情報を集めることも、私達の仕事と思っています。難治性骨折で苦労している受傷者さんを見る度に、最初の手術で下手していないか、執刀医の選択を誤ったのではないか、このような疑問を持ってしまうからです。日々、地域の病院情報、専門医・執刀医情報収集は大切なのです。  

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  (4)外分泌機能と内分泌機能の両方に障害が認められる場合

 服することができる労務が相当な程度に制限されると考えられるところから、9級11号が認定されています。   (5)膵臓損傷では、膵臓の切除術が実施されることが一般的ですが、 術後は、腹部にドレーンが挿入され、膵液の漏出に対応しています。

 膵液は、脂肪、蛋白、炭水化物を分解するための消化酵素を含んだ液です。 重症の膵液瘻では、多量の膵液漏出があり、電解質バランスの異常、代謝性アシドーシス、蛋白喪失や局所の皮膚のただれ、びらんが生じ、膵液ドレナージと膵液漏出に伴う体液喪失に対しては、 補液、電解質を供給するなどの治療が必要となります。つまり、このレベルでは、治療が必要であり、症状固定にすることはできません。

 しかし、軽微な膵液瘻で、治療の必要性はないものの、難治性のものが存在しているのです。これが続くと、瘻孔から漏れ出た膵液により、皮膚のただれ、びらんを発症します。 軽度な膵液瘻により、皮膚にただれ、びらんがあり、痛みが生じているときは、局部の神経症状として12級13号、14級9号のいずれかが認定されています。  

※ 代謝性アシドーシス  ヒトが生存していくには、体内の酸性とアルカリ性を、良いバランスに保たなければなりません。 これを、酸塩基平衡と呼ぶのですが、具体的には、ph=水素イオン濃度が7.4の状態です。 酸は、酸性、塩基は、アルカリ性、平衡は、バランスをとることなのです。 pHの数値が7.4以下となると、酸性に傾く=アシドーシス、以上では、アルカリ性に傾く=アルカローシス状態となります。 酸性の物質が体内に増えればアシドーシスとなるのですが、アルカリ性の物質を大量に喪失しても、酸性に傾きます。

 ひどい下痢で、アルカリ性の腸消化液を大量に喪失すると、pHは酸性に傾く、アシドーシス状態となり、 皮膚は弱酸性、腸液はアルカリ性ですから、下痢でお尻がヒリヒリするのです。ヒリヒリは、ただれることですが、医学となると、びらんと難しく表現するのです。

  (6)膵臓全摘、糖尿病型でインスリンの継続的投与が必要なもの

 交通事故では、不可逆的損傷も予想され、上記はあり得ます。交通事故で肝臓が破裂し、修復が不能のときは死に至ります。ところが、胆嚢や膵臓の破裂では、全摘術が行われているのです。

 膵臓全摘で生存するには、インスリン注射を継続しなければなりません。 ...

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(3)膵臓の内分泌機能の低下    経口糖負荷検査により判定します。

① 正常型 膵損傷後に障害を残さないものであって、

 空腹時血糖値<110mg/dlかつ75g OGTT 2時間値<140mg/dlであるもの

② 境界型 膵損傷後に軽微な耐糖能異常を残すもの

 空腹時血糖値≧110mg/dlまたは75g OGTT 2時間値≧140mg/dlであって、 糖尿病型に該当しないもの

③ 糖尿病型 膵損傷後に高度な耐糖能異常を残すもの

 空腹時血糖≧126mg/dlまたは75g OGTT 2時間値≧200mg/dlのいずれかの要件を満たすもの。要件を満たすとは、異なる日に行った検査により2回以上確認されたことを要します。

 内分泌機能の障害による後遺障害の認定基準

① 経口糖負荷検査で境界型または糖尿病型と判断されること。

 インスリン投与を必要とする者は除かれています。

② インスリン異常低値を示すこと。

 インスリン異常低値とは、空腹時血漿中のC-ペプチド=CPRが0.5ng/ml以下であるものを言います。

③ 2型糖尿病に該当しないこと。

 上記3つの要件を満たせば、内分泌機能の障害として、11級10号が認定されています。   ○ 経口糖負荷検査

空腹時血糖値および75gOGTTによる判定区分と判定基準 続きを読む »

 後遺障害は(1)切除、(2)部分切除、(3)内分泌機能の低下、と3分します。   (1)膵臓が切除されると、外分泌機能が障害され、低下することが通常とされています。 膵臓の部分切除がなされており、上腹部痛、脂肪便および頻回の下痢など、 外分泌機能の低下に起因する症状が認められるときは、 労務の遂行に相当程度の支障があるものとして11級10号が認定されています。

※ 脂肪便とは、消化されない脂肪が便と一緒にドロドロの状態で排出されるもので、 常食摂取で1日の糞便中、脂肪が6g以上であるものを言います。   (2)膵臓周囲のドレナージが実施されるも、部分切除が行われていないときは、

①  CT、MRI画像で、膵臓の損傷が確認できること、

②  上腹部痛、脂肪便および頻回の下痢など、外分泌機能の低下に起因する症状が認められ、かつ、PFD試験で70%未満または、糞便中キモトリプシン活性で24U/g未満の異常低値を示していること、

 上記の2つの要件を満たしているときは、11級10号が認められています。

 また、他覚的に外分泌機能の低下が認められる場合として、血液検査で血清アミラーゼまたは、血清エラスターゼの異常低値を認めれば、11級10号が認定されています。  

※ PFD試験=膵臓の外分泌機能検査

 膵臓は2つの異なる働きをしており、1つは、食物の消化に必要な消化酵素、炭水化物を分解するアミラーゼ、 蛋白を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどを含んだ膵液を12指腸に分泌する外分泌機能です。 2つ目の作用は、血糖を下げるインスリンと血糖を上げるグルカゴンを血液中へ分泌して、血糖を調節する内分泌機能です。

 PFDは、膵臓の外分泌機能検査法の1つです。薬剤を服用後、6時間尿を採取する方法ですので、体に負担はかかりません。 膵臓の外分泌機能が低下するような病気で、異常値、低値を示します。 この薬剤は小腸から吸収され、肝で化学変化を受けた後、腎から排泄されます。 したがって、膵外分泌機能の低下以外に、小腸における吸収低下のある場合、 肝機能や腎機能低下のある場合にも、尿中の値は低下します。

 早朝空腹時排尿後に、BT-PABAというPFD試薬500mgを水200mLとともに服用します。開始6時間後の尿を全部集め、尿量を測ります。 採取した尿の一部を使って、尿中PABA濃度を比色測定し、尿中PABA排泄率(%)を計算いたします。正常値は71%以上です。  

※糞便中キモトリプシン活性測定試験

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1、膵臓の働き

 膵臓はおたまじゃくしのような形で、胃の後ろに位置する長さ15cmの臓器で、消化液を分泌する外分泌機能とホルモンを分泌する内分泌機能の2つの機能を有しています。 膵液は、膵管を通して十二指腸内へ送られ、糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいます。また、膵臓のランゲルハンス島細胞からは、ブドウ糖の代謝に必要なインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンなどのホルモンが分泌されています。

 インスリンは、血液中のブドウ糖によりエネルギーを作るのですが、インスリンの不足、働きが弱くなると肝臓・筋肉・脂肪組織などの臓器でブドウ糖の利用や取り込みが低下し、血中のブドウ糖が増えることになり、血液中の血糖値が高くなります。 逆に、血液中の糖が低下すると、グルカゴンが分泌され、肝臓に糖を作らせて血糖値を上昇させます。 インスリンとグルカゴンによって、血液中のブドウ糖の量が一定になるように調節されているのです。 膵臓は、食物を消化し、ホルモンによって糖をエネルギーに変えるという、2つの働きを調節する役割を果たしているのです。

 膵臓は胃の後面の後腹膜腔に位置しており、前方向からの外力では、損傷されにくい臓器です。 損傷を受けたとしても初期に診断することは難しく、膵臓液が腹腔内に漏れて激しい腹痛を訴えるようになってから膵臓損傷が疑われています。 とは言え、日本では、交通事故による膵臓の損傷が増加しています。 バイク、ワンボックスの軽四輪では、ダッシュボードやハンドルなどで腹部を強打することにより、損傷しているのです。 事故直後は、おへその上部に、軽度の痛みを訴えるのみですが、時間の経過で、痛みは強くなり、背部痛、吐き気を訴え、実際に嘔吐することもあります。

 血液検査により、膵臓の酵素の1つ、アミラーゼの血中濃度がチェックされています。 一度正常化した値が、再び上昇するときには、膵臓損傷が疑われます。主膵管損傷を伴う膵臓損傷は、造影CTにより診断されています。 所見が明確でないときは、12時間後に再度、造影CTを行うか、内視鏡的逆行性膵胆管造影が実施され、確定診断がなされています。 主膵管損傷を伴う膵臓損傷に対しては、膵臓摘除術が選択されています。  

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 膵臓損傷を語る前に、膵臓の病気で代表的な膵炎から基礎知識を学びたいと思います。膵臓だけではなく、他臓器の損傷後に発症した患者さんがおりました。(内容はメディックノート様より引用)  

1、膵炎とは?

 膵炎には、急性膵炎と慢性膵炎があり、急性膵炎は何らかの原因でアミラーゼなどの膵臓の酵素が活性化して膵臓の組織にダメージを与える病気のことです。一方、慢性膵炎は長い間、膵臓に小さな炎症が繰り返されたことで徐々に破壊され、膵臓の機能が著しく低下する病気です。

 急性膵炎と慢性膵炎はどちらも男性に多く発症し、発症の原因はほぼ共通していますが、症状や経過は大きく異なります。

2、発症の原因と症状

○ 急性膵炎

 もっとも多い原因はアルコールの多飲によるもので、全体の約40%を占めます。次に多いのは胆石が膵管と胆管の合流部にはまりこんだもので、女性の急性膵炎に多いです。原因不明のものも約20%あります。そのほかには、内視鏡検査や手術などが原因となる医原性のもの、腹部外傷、膵臓や胆道の奇形、高脂血症、感染症などが挙げられます。

 急性腹症のひとつであり、症状は重症度によって大きく異なります。みぞおちから背中にかけての断続的で強い痛みが起こり、吐き気や嘔吐、発熱などの症状が続きます。また、重症になると、腹膜炎を併発し、腸管の運動が麻痺するために高頻度で腸閉塞が起こり、ショック状態となるため、全身状態としては、頻脈や血圧低下、出血傾向、呼吸障害などがみられ、非常に重篤な状態へ移行します。また、膵臓の組織が壊死えしを起こすため、膵臓から遊離した脂肪と血中のカルシウムが結合して低カルシウム血症を呈することがあります。また、慢性膵炎が急激に悪化すると、急性膵炎のような症状が現れることもあります。   ○ 慢性膵炎

 もっとも多い原因は急性膵炎と同じくアルコールの多飲によるもので、男性では70%を占めています。原因不明のものが約20%で、女性の慢性膵炎の約半数は原因不明の特発性とされています。そのほかには、胆石などの胆道系疾患、高脂血症、腹部外傷、奇形など急性膵炎と共通した原因となります。

 症状は発症してからの時間によって異なります。発症してから10年ほどは、主な症状はみぞおちから背中にかけての痛みであり、飲酒や脂肪が多い食事を食べた後にひどくなるのが特徴です。また、発症後10年以降には腹痛は軽減しますが、膵臓の機能が低下し、消化酵素やインスリンなどのホルモンの分泌が次第に減少します。このため、脂肪が消化されず、脂肪便や下痢、体重減少などがみられ、インスリンが正常に分泌されないことで糖尿病を併発します。慢性膵炎はしばしば急激に悪化することがあり、その場合には急性膵炎と同様の症状が現れます。   3、検査・診断

 膵炎の診断にはCT検査が有用です。そのほかにも補助的な診断や全身状態を評価する目的で、血液検査や他の画像検査、消化酵素やホルモンの分泌能を評価する検査などが行われます。

○ 画像検査

 造影剤を用いたCT検査がもっとも有用な検査です。急性膵炎では、膵臓の腫れや周囲の炎症がみられ、慢性膵炎では膵管の拡張や膵石がみられます。腹部超音波検査やMRCP検査なども膵管や膵石の状態を確認することができますが、第一に選択されるのは造影CT検査でしょう。また、もっとも簡便に行えるレントゲン検査では、腸閉塞や膵石を確認することができ、急性腹症の場合には緊急的に消化管穿孔などとの鑑別が行える検査です。   ○ ...

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1、実質臓器 腎臓の働き

 腎臓は、腰のやや上部、胃や肝臓の後ろ側に位置する2つが一対の臓器で、主に、血液中の老廃物をろ過し、尿を作る身体の排水処理工場の役目を担っています。 拳よりもやや大きめで、130gの重さがあり、脾臓と同じくソラマメの形をしています。

 腎臓には、心臓から血液が1分間に200ml程度送り込まれます。腎臓に送られた血液は、腎臓の糸球体でろ過され、原尿=尿のもとが作られています。腎臓でろ過される原尿は、1日あたりドラム缶1杯、150lですが、 糸球体でろ過された原尿は膀胱へ尿として貯められるまでに、 尿細管、集合管で必要な電解質やたんぱくなどが再吸収され、水分量の調整も行われています。原尿の99%は体内に再吸収され、最終的には約1.5リットルが尿として体外に排泄されています。 尿を生成する腎臓の部位は、糸球体と尿細管をあわせてネフロンと呼ばれます。1つの腎臓には約100万個のネフロンがあります。

 尿細管は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、重炭酸イオンなどの内、身体に必要なものを取り込み、また、不要なものを尿中へ分泌して排泄しています。これにより、体内のイオンバランスを一定に保ち、血液を弱アルカリ性に保っています。

 腎臓のろ過機能が円滑に働くには、血液の流れが一定に保たれている必要があるのですが、腎臓では血流の流れが悪くなるとそれを感知し、レニンという酵素が分泌されます。レニンが血液中のたんぱく質と反応して血管を収縮させて血圧を上昇させます。腎臓は、レニンの分泌量を増減させて血圧の調整もしているのです。

 腎臓は、エリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の数を調整しています。ビタミンDは肝臓で蓄積され、腎臓に移ると活性型に変化し、さまざまな働きをしています。活性型ビタミンDは小腸からのカルシウムの吸収を促進し、利用を高める作用があります。   2、 腎挫傷、腎裂傷、腎破裂、腎茎断裂

 交通事故における腎臓損傷は、それなりの件数が発生しています。バイクの事故で、身体を壁、電柱、立木などに強く打ちつけることで、腎 臓が破裂することもあります。自動車VS自動車の事故では、シートベルトによる損傷も経験しています。

 腎外傷では、あざができる軽度な挫傷から、尿や血液が周辺組織に漏出する裂傷や破裂、腎動脈が切断される腎茎損傷まで、大雑把には1下の4つがあります。

     ①     ②      ③     ④

① 挫傷、打撲、被膜下血腫 、 ② ...

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