会社は労災の請求に消極的です。

 また、社員も労災を請求したのですが、会社の顔色をうかがって遠慮してしまいます。使われている側なので仕方ありません。

 問題は、会社側に正しい知識がないことです。とくに、「労災を使うと、掛金が上がるから・・」、これについて、調べました。

   以下に該当する会社については、一定規模の基準によって労災掛金が±40%の範囲で増減します。   ○ 100人以上の労働者を使用する会社   ○ 建設業等で労災保険料が年間100万円の会社   ○ 20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上の会社    災害度係数とは{社員数×(業種ごとの労災保険料率-非業務災害率)}で算出します。この非業務災害率は現在0.06%となっております。

 従業員数80名の飲食業の場合、上記の計算式にあてはめると・・・ 80名×(0.3%-0.06%)=0.192≦0.4

 ・・・災害度係数は0.4未満となり、基準を満たさないため労災保険料が高くなることはありません。    つまり、労災保険料率が0.4%を超えない会社については、建設業(掛金100万超)を除き、100人未満であれば労災保険料率が高くなることはありません。20人未満の会社は当然に関係ありません。    また、通勤災害は、被害者・社員か、加害者が悪いのであって、会社にまったく責任がありません。労災側の調査によっては、労災掛金に影響ありません。  

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 労災と加害者側の賠償金(自賠責保険・任意保険)がかぶる場合、労災の障害給付は一時金でも年金であっても、「支給調整」を行います。ここが、皆様の知りたい核心ではないでしょうか。

○ 障害給付の支給調整

 第三者行為災害における損害賠償請求額と労災保険の給付の支給調整方法については、「求償」と「控除」の2種類があります。   ○「求償」とは、被災者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を、政府が保険 給付の支給と引換えに代位取得し、この政府が取得した損害賠償請求権を第三者 や保険会社などに直接行使することをいいます。   ○「控除」とは、第三者の損害賠償(自動車事故の場合自賠責保険等)が労災保険の 給付より先に行われていた場合であって、当該第三者から同一の事由につき損害 賠償を受けたときは、政府は、その価格の限度で労災保険の給付をしないことを いいます。   ① 労災の支給調整の対象は「逸失利益」

 逸失利益とは・・・本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われます。逸失利益の算定では果たしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく訴訟などでもよく争点となります。

 自賠責保険ではこの逸失利益の限度額を明確に定めており、限度額を下回る80歳超の高齢者を除いては、ほとんど限度額で頭打ちとなります。これは弁護士さんにも多いのですが、自賠責保険の後遺障害保険金を定額の慰謝料と読み違えています。自賠責保険金額はあくまで、定額の慰謝料+計算された逸失利益(限度有)の合計です。

 障害給付金は一定の治療後、後遺症による将来に向けた補償ですから、逸失利益と性質が同じものとされます。したがって、逸失利益と二重に支払われることなく、逸失利益を超えた金額を給付することになります。逆に、労災先行で労災を全額支給した場合、後に自賠責に求償することになります。

 尚、賠償金の内の慰謝料は「精神的損害」ですから、民事上の「償い」であるところ、公共の補償と相殺すべきではなく、別物と考えられます。    つづく(いずれ、計算例をUPします)  

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 交通事故の場合、真っ先に請求する相手は、通常、加害者の保険会社ではないでしょうか。

 それは通勤災害、業務災害の場面でも同じかと思います。まず、加害者が補償するのが筋です。多くの場合、労災適用など気にせずにスルー、相手の任意保険、その加入がない場合は自賠責保険に請求に留まることが多くを占めます。実際、労基に問い合わせも、「労災は、自賠責を使い切ってからですよ」と内規で制限しているような対応です。社会保障制度ですから、じゃぶじゃぶ使われるなど困ります。加害者に支払い能力、つまり何らかの保険がある場合は、そちらを優先させ、支払いを抑制しなければならないことは理解できます。

  

 しかし、労災の法律を紐解くと、健康保険に同じく、「使うか否か」、「その順番」でさえも、請求者の意思が第一です。とくに法律の規制などしていません。したがって、自己に過失がある場合の事故や、重傷で治療費が莫大となるケースは労災も併用すべきと思います。そして、最大の動機は、休業給付と障害給付で、相手からの賠償金とは別腹の「特別給付」がもらえることです。  さらに、再発申請やアフターケア制度もあります。至れり尽くせり、原則、労災使うべきと断言します。

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 そんなわけはありません。年金制度は国と国民の信用の根幹、これが反故にされたら、もはや国民国家ではありません。

 とは、言いたいものの、12年前、日本中を震撼させた「消えた年金問題」・・ミスで相当数の記録が消されました。昨年9月にも、労災の休業給付のデータがミスで抹消され、大幅な支給遅れとなったことは記憶に新しいと思います。

 亡くなった私の祖父は年金に関する疑念が強く、自営でしたがとうとう国民年金に加入せず、老後は年金がありませんでした。当時、戦争(報道)で国に騙されたと思った世代は、国家・行政への信頼が薄いのでしょうか。「消えた年金問題」とは、その疑念が本当になってしまった事件です。決して間違ってはいけない行政の制度ですが、所詮人のやること、ミスはどうしてもでてしまうものです。いつも思うのですが、何故か間違って多く払ってしまったケースが少ないことです。それはともかく、再発防止の努力と迅速なリカバリーをお願いしたいと思います。

 また、昨日の記事の通り、当時、私もたった12年前の厚生年金記録を消された1人です。「昔の手書きデータを電子化する際に漏れた」との言い訳が利かない年数です。今回の労災記録抹消も、何故バックアップしていなかったのか不思議に思います。やはり、国のやることであっても万全の信頼を置くことなく、自らがチェックすることが必要ではないかと思います。記録を修正してもらうことは当然ですが、責任を追及する手間はそれなりに大変です。ここで行政側のミスを責めても、苦言を呈しても、問題提議しても、何の得にもなりません。何事も取引は相互確認が大切です。それは、買い物をして、お釣りを確認する作業に等しいものかもしれません。  

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 少し古いニュースですが、昨年秋に厚労省から掲題のミスが報告されました。ちょうど、労災セミナーのレジュメを作成していましたので、改めて取り上げたいと思います。

 かつて、「消えた年金」が大問題になったことがありますが、当然、労災でもさもありなん、と思います。私も3年分の厚生年金の加入記録を見事に消されました(怒)。

 実際、労災請求の現場では、従前から「労災はできるだけ使わないように」と会社側が労災請求に消極的な姿勢を感じています。使われている側・社員も、会社に逆らってまで請求はできません。それが、パート・アルバイト、契約社員なら尚更です。構造的に労災はアンタッチャブルなのです。では、手続きを助けてくれる業者や士業の先生が望まれますが・・肝心の社労士先生は会社側から顧問料をもらっている、言わば会社側の立場です。会社の意向に逆らって従業員を助けるわけがありません。もちろん、福利厚生に理解ある社長、つまり、従業員を大切にしている企業であれば、顧問の社労士先生にお願いしていただけます。しかし、このような企業は少数ではないかと思っています。

 今回、問題となった休業給付の手続きも、まぁ面倒なもので、特別給付を知らない人も多い。一部上場企業ならまだしも、会社側の事務員が不慣れな書類作成に右往左往、社労士の先生の多くも会社の要請無くば、まして無償では手伝いません。そして、昭和のお役所体質は改善したとはいえ、厚労省職員の信じられない電子的なミス・・・やはり、誰かが、手続き面で目を光らせる必要があります。今のところ、交通事故絡みならば私達がそれを担っていますが・・。

 人は基本的にミスをするものです。二重三重にチェックをする必要があり、請求側=民間の自助努力として、労災事故で苦しむ被害者を救済する体制も望まれると思う次第です。、  

休業補償27億円、処理ミスで1.1万人分支給遅れ 厚労省

  厚生労働省は7日、休業中の賃金を補償する労災保険の休業給付と休業特別支給金について、約1万1千人分(総額約27億8千万円)の支払いが遅れていると発表した。職員のシステムの誤操作が原因。同省は14日までの支払いを目指すとしている。

休業給付と休業特別支給金は労働者災害補償保険法に基づき、業務上の負傷などで労働ができない場合、休業4日目から支給される。支給額は休業1日につき賃金相当額の8割程度。

同省によると、6日に担当職員が会計システム上で支給に関係ない事務処理をしていたところ、誤操作で支給に関するデータを消去。本来は7日または10日に支給予定だったが、ほとんどが復元できず、予定通りの支払いができなくなった。

会計システムの操作は通常、複数人でチェックする体制だった。同省は誤操作の理由を検証し、再発防止策を検討する。

これまでに支給の申請者から支払いの遅れに関する問い合わせの電話が100件以上寄せられているといい、ホームページに問い合わせ先を公表するなどして対応している。同省担当者は「発表が遅れ、多大なご迷惑をおかけして申し訳ない。適切に対処していきたい」としている。 <日本経済新聞 平成30年9月7日>  

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 近年、悪質・危険な運転者に対する罰則強化のために、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(略称:自動車運転死傷処罰法)が、平成26年5月20日施行されました。従前の過失運転致死傷罪とは別物になったのです。

 交通事故で他人を傷つけたとしても、それは故意犯=「わざとではない」ので、殺人罪に比べてはるかに軽い罪に扱われてきました。確かに、飲酒運転や悪質な運転で被害にあった人にとって、「過失によるもの」など受け入れがたく、故意犯に近い厳罰を求める声が強かった背景があります。早速、内容を確認してみましょう。

 

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 年末です。飲みの席が多いこの季節、注意したいのは飲酒運転です。罰則強化の影響で違反者・摘発数は減少傾向です。それでも、今年は元アイドルグループの飲酒ひき逃げ事故など、飲酒運転をする人は一定数いるものです。

 近年の改正で処分・処罰の範囲が広がっています。まずは、飲酒運転者の基準について復習したいと思います。  

(1)飲酒ドライバー

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 若手に指導する立場となって数年・・事務所でも偉そうに訓戒をたれている毎日です。

 知識は文献をあさり、技術は経験で磨くものと思います。さらに、現場での応用力は、その人の持つセンスや人間性を加味した総合力の結集です。弊所の医療調査業務も、応用力が究極のスキルです。それは、まず原則を知ることから始まり、例外の経験を重ね、終には原則を打ち破る仕事を到達点と考えています。

 他事務所に目を向けると、以前から気になっていたことですが・・交通事故の経験浅い弁護士が、相場を大きく上回る慰謝料・逸失利益で賠償請求、結果として交渉が難航、解決まで大幅に時間を食っていることです。他事務所のことでもありますし、また、法律の専門家に対して苦言をできる立場ではないことは重々承知しています。しかし、明らかに知識の欠如に思えるケースが目につくのです。

 実例で説明します。交通事故・後遺障害の実に70%近くを占める、頚椎捻挫(腰椎捻挫含む)で相手の損保に逸失利益(将来の損害)を請求する場合、特殊な事情がない限り、通常、裁判上でも喪失期間は最長5年が相場です。当然、個々の症状に軽重はありますが、生涯その障害で苦しむ事は極めて稀で、神経症状は数ヶ月~数年で収まります。それを越えるものは、単なる頚椎捻挫を越えるもので、別の診断名で手術適用となります。単純なむち打ちであれば、相手損保も医学的なデータから、神経症状の残存をおよそ2年と主張してきます。対して、弁護士は交渉あるいは斡旋機関、裁判で5年の満額を目指して戦うことになります。ところが、赤い本の慰謝料満額である110万は良いとしても、なんと、むち打ちでほとんど生涯をふいにする=67歳までの逸失利益を請求する先生が今まで何人かおりました。

 おそらく、相手損保の担当者も苦笑していることでしょう。「ど素人先生」と内心小バカにしているかもしれません。世の中には相場というものがあります。確かに交渉ごとですから、最初は大きくふっかけるものでしょうが、度を越した山盛り請求は逆に、相手どころか斡旋機関や裁判官の心証を損なうリスクとなって跳ね返ってきます。これは業界における無知をさらす事になるのです。大体、捻挫の診断名で神経症状が一生続くなど・・医学・法律以前に、まず一般常識で考えればわかるでしょう?と言いたくなります。とりあえず単純に「最大限の請求を!」と、論拠乏しく計算したのかと思います。その点、事務所のボス・先輩弁護士が、あまりにも手放しで案件を任せていることは気になります。無法図な主張を放置ですから、しっかり監督・指導していないのでしょう。

 では、原理・原則に縛られ、判で押したように相場の範囲の主張に終始する姿はいかがでしょう?

 被害者の症状・事情を鑑み、個別具体的な賠償論を構築することこそ、法律家ではないかと思います。それらが成果となれば、判例ジャーナル等に掲載されますので、類似ケースを戦う者にとって大きな指標になります。もし、医学的常識を越えるようなひどい症状の被害者に対して、67歳まで神経症状が続く理由を立証し、賠償金を獲得すれば、それは画期的な仕事に生まれ変わります。それこそ、「常識を知って、常識を打ち破る」仕事かと思います。

 もちろん、法律家に限らず、あらゆる職業で応用力を発揮し、新しいアイデアを打ち立て、刮目すべき成果を残す者がおります。攻める姿勢は、原則を熟知したところからスタートします。原則を知らずに突っ走るなど蒙昧の徒に他なりません。まず、原則を知って、原則に拘泥することなく挑戦する姿勢はすべての仕事に通じると思います。    <最期に例題を> 

 ご存知、漫画・アニメのタッチから。17歳高校生で甲子園予選を前に、交通事故で亡くなった、主人公 上杉 達也の双子の弟 上杉 和也くん。彼の死亡による逸失利益を最大限に獲得する法理論構成をお願いしたいと思います。

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佐藤が担当します    労災の後遺障害等級認定には面談があり、顧問医や職員が等級を決定する為に「調査結果復命書」というものを作成致します。その文書一式に「顧問医の等級認定に関する意見書」と資料、「認定理由書」が入っている為、審査請求を行う場合には開示することが必須かと思われます。手続きについては診療報酬明細書開示等とほとんど一緒ですが、記載していきます。   1、まずは、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードして、記入します。

2、具体的には、行政機関の長の欄には「労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長」を記入し、開示請求する個人情報には「私が、〇年〇月〇日に負傷した通勤災害にかかる、〇〇労働基準監督署から支給決定を受けた障害等級認定の決定理由がわかる調査結果復命書文書一式。(障害補償給付請求書及び診断書を含む。)」というような文言を記載すればよいでしょう。開示するには300円(収入印紙)がかかります。

3、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが、

 窓口であれば・「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部(各都道府県によって担当部署が違いますので、電話で確認をするとよいでしょう)に提出します。

4、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思を示します。開示書類の金額(切手)を支払うと、無事に資料が届きます。    ※:審査請求は、労災保険給付の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要がありますので、ご注意ください。 続きを読む »

 労災の申請の場合、治療費や休業給付はそれぞれ病院・会社に記載いただければ、記載を間違えない限り、支給金額は請求どおりに支給されます。ここで、油断できない請求項目は何と言っても後遺障害です。

 後遺障害は第1級から14級まで細かく規定されています。ご存知の通り、自賠責保険はこれを準用しています。双方、まず、主治医に記載をお願いしますが、脊髄損傷や高次脳機能障害はじめ、難しい傷病・障害となれば、A4の診断書1枚ではとても足りません。診断書に添付すべき準診断書や意見書、各種検査データ、レントゲン、MRI、CTなど画像もすべて揃えて提出する必要があります。もっとも、労基の担当者が追って五月雨に要請してきますし、最終的には労災顧問医の診断の機会があります。そこで、誤診(誤判断)がなければ、無事に等級認定となります。

 ちなみに、自賠責は書面審査が原則です。(醜状痕の面接はその例外です。)だからこそ、後遺障害診断書の記載が重要で、それがおざなりであれば、残念な結果となります。異議申立件数の多さがそれを物語っています。

 (しかしながら、再請求で等級変更となる率は、ここ数年約5%と残念な結果)

 顧問医の診断があるからと言って、労災の審査・認定にも間違いがないとは言えません。必要な検査と正確な診断書を漏らさないよう、しっかり取り組む必要があります。ここに、医学的な知識がないと、どんな検査が必要で、どのような診断書が望ましいのかわかりません。したがって、医師に丸投げではなく、正確な誘導ができる専門家が潜在的に望まれています。

 弊所では年間200~300件の病院同行(場合によっては紹介)と医師面談、検査誘致を実施、間違いのない障害認定を確実にしています。また、地域の医療情報の精通につながっています。    

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  カルテ開示手続きは病院によって違います

 初回の自賠責保険請求ではほぼ使用しないカルテですが、再請求(異議申立)をする際に、初期症状や症状の推移を確認をするため、また、裁判上で症状の有無・程度が争われる場合、病院で開示請求をする必要が出てくることがあります。実際に、自賠責調査事務所に異議申立てをした際、カルテの提出を指示されることがありました。

 しかし、カルテ開示の請求は病院にとって一番嫌うことです。なぜなら、治療に疑問を持たれたと思われる上に、膨大な量のカルテをコピーすることになるからです。

 後述しますが、このため、カルテ開示請求の方法は病院によって異なってきます。具体的なカルテ開示方法については以下説明していきます。    方法1:郵便での取得    カルテが必要になった旨、必要な期間について記載された依頼書・請求書を病院に郵送して依頼する方法です。但し、この方法を拒否する病院が一般的です。なぜなら、カルテは重要な個人情報であり、診断書に記載されている個人情報以上に外部に漏れた場合のリスクが高いからです。そんなに簡単に考えてもらっては困るのでしょう。   方法2:病院窓口での取得    カルテが必要になったことを病院で直接説明し、取得申込書等に記入して行う方法です。この方法を採る病院が多い印象を持ちます。直接請求者を確認し、請求の理由と意思を検討できます。やはり、患者本人からの申請が望ましく、本人が高齢者や障害者であって難しい場合はご家族からの申請を原則としているようです。

 自賠責調査事務所へ提出するために取得するのであれば、方法1、2によることが多くなります。上記の法1、2による場合でも、士業の方が取得するには同意書も必要になります。但し、士業等や代理人の場合、病院がカルテ開示を拒絶して、本人からの請求のみ対応する場合もあります。なぜなら、治療行為が特に問題がなかったとしても、病院は医療過誤訴訟を恐れる立場にあるため、とくに相手が弁護士ともなると、当然に慎重になります。   方法3:弁護士会や裁判所からの命令    数ある病院の中には、患者本人からも、士業からもカルテ開示を拒否する場合もあります。セカンドオピニオンや患者への事前説明が重要視されている昨今では、珍しい部類になってきていると思います。このような場合には、弊所では連携先の弁護士に協力を要請します。弁護士会照会による診療記録を取り寄せる方法や、裁判中であれば裁判所からの命令による取得方法もあるそうです。      病院によってなるべく避けたいカルテ開示であることから、その開示方法は決まっていないことが多く、またその方法も病院によって異なるため、事前に病院の医事課に連絡してカルテ開示の担当者と密に連絡を取っていくことが必要になります。    もっとも、被害者請求や異議申立てであっても、不用意に病院を刺激することになりますので、できればカルテ開示をしないことに越したことはないと考えています。  

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 基本は本人(あるいは代理者)記載、署名・印 ⇒ 会社の証明・印 ⇒ 病院の証明・印 ⇒労基に提出となります。(治療費に関するもの以外は病院を経ません)

 以下、主だった書類を整理します。   ① 第3者行為災害届

 事故状況はもちろん、相手と自分の任意・自賠責保険内容の記載はじめ、事故状況や診療内容まで4枚に及び、その他地図の記載など、初めて書く被害者にとって面倒なものです。

「第三者行為災害届」提出時に添付する書類一覧表 

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 裁判で勝っている弁護士先生、優秀な弁護士先生は押しなべて損害の「立証」が優れています。    交通事故裁判では、慰謝料の相場がある程度固定していますので、争点は逸失利益、次いで過失割合が多なります。加えて、金額の増額幅の大きさは介護費用が最たるものと思います。重度の障害で介護状態となった場合、その介護費用の取得に関して、優秀弁護士 or 残念弁護士 がぱっくり割れます。過去、一緒に仕事をした弁護士さんはもちろん、判例などに目を通すとその違いに刮目させられます。    (優れた先生)

 個別具体的なケースの証明に、家族介護人と職業介護人の併用、公的サービスと自助努力、これらについて詳細に表やグラフで示し、具体的に必要な金額を明瞭にします。そして、おむつ一つから細かい明細表を作成し、介護備品の必要性・金額を具体化します。自宅介護の場合は、工務店の改築見積程度ではなく、介護住宅専門の建築士の鑑定書を提出します。とにかく、細かく、具体的、現実的、誰もが納得できる案であり、これら資料の作成にまったく労を惜しまないのです。   (残念な先生)

 赤本の類似例や判例を検索、それを主張して終わりです。同等級・同年齢・同程度の損害の前例を用いて請求額の根拠としていますが、個別具体的な立証とは程遠く、これでは裁判官の心証を捉える事はできません。相手保険会社は様々な根拠を示して、介護にかかる諸費用の一般例で反論してきます。ほとんど前例 対 一般論の戦いです。これでは、裁判官の判断もおざなり、ぼんやりとした和解額を押し付けてきます。問題は、それでも相手保険会社の提示より増額していますから、依頼者に「勝った」と思わせてしまうことです。    自賠責の別表Ⅰ 1級:常時介護、2級:随時介護 ・・・これらはご本人はもちろん、ご家族にとって一生をかけた戦いなのです。緩い解決など絶対に出来ません。裁判で介護費用を最大に立証し、勝ち取れる先生に任せなければ、(勝った気分ながら?)数百万~数千万円を取りそびれることになります。    できれば弁護士に依頼する前に、「介護費用の請求について、どのような方策をお持ちでしょうか?」と聞いてみるべきです。そこで、具体的なプランを示すことがなく、不明瞭な回答、難しい法律論で煙を巻くような先生には、依頼しないことです。なぜなら、介護費用の請求方法を知らない、あるいは経験不足だからです。     現在、重度介護者の介護費用の獲得に向けて、弁護士事務所から様々な調査の指示を受けて動いております。”被害者側の調査”、これが勝負を決める事をその弁護士が承知しているからです。

介護は被害者だけではなく、家族の問題です

   

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 自賠責保険は労災をベースとしたものから独自の基準を加味して完成したもので、1955年(昭和30年)に「交通事故が発生した場合の被害者の補償」を目的として開始された対人保険制度です。

 その認定基準もほとんど労災を踏襲しますが、独自の判断基準も盛り込まれています。制度発足から60年を越えますので、その間、基準変更を繰り返してきました。運用基準的な細かいものは非公表ですが、認定等級の変更は公になっています。例えば、醜状痕の男女別等級認定の件は、京都地裁で2010年5月27日に、”男性の著しい外貌醜状障害について、女性の7級よりも低い12級と定めていた障害等級表を違憲”と判断、この判決を受けて、翌年に労災も自賠責も男女の区別なく等級を整理・改訂しました。判決を取った弁護士団の先生方の尽力に敬意です。

 自賠責保険の認定は自賠法に準じた画一的な基準ですから、個別具体的な事情を斟酌して判断することはなく、あくまで基準に則って等級認定を行います。基準に合致せず、不利益が生じるのであれば、それは後の賠償交渉、続く裁判上で立証を負い、審議に付す必要があります。その点、自賠責保険は被害者の個性とは対極にあるものです。性別、職業は当然に、外見や健康状態も既往症でない限り関係ありません。年齢からの区別は逸失利益の計算に影響しますが、高齢者でない限りその計算は自賠責保険金額の限度額をオーバーしますので、気になりません。    やはり、何事もスタンダード(基準)からのスタートが望ましいものです。まず、根拠がなければ世の揉め事は大渋滞を起こします。交通事故の障害認定も同じく、入り口の整理には「目安」「決まり事」が絶対に必要です。しかし、一方で基準に胡坐をかくことの弊害も起きるものです。自賠責保険でよくある「損する人」は以下の通りです。   ・醜状痕の男女平等、職業平等は絶対か?

⇒ 本音を言えば、損得に個人差はあると思います。いかつい中年男性と婚姻前の若い女性を平等に扱う事自体は?・・もちろん憲法上の平等には叶いますがねぇ。  また、当然ですが外貌・容姿を職業にしている、芸能人・モデルさんなどは画一的な基準ではまったく酷です。

・2.7cmの顔面線状痕、3mm足らず非該当に(泣)

⇒ 3cmで12級ですが、3mm満たないながら、非常に目立つ場合は気の毒です。ちょっとまけてくれないかなと思います。

・寝たきりとなった場合の介護費用、例えば自宅介護料は十分か?

⇒ 自賠責では別表Ⅰの別枠等級にて増額していますが、自宅介護ではまったく足りません。これは裁判必至なのです。

・上肢・下肢の機能障害は3区分(8級・10級・12級)できっちり分けられる

⇒ 患者の回復努力にて差がでます。元々、体力と根性のある方が苦労して、あるいは長期間リハビリを粘って回復を果たし、関節可動域制限のわずか5°のオーバーで等級を逃すことがあります。

 これらは、つまり個別の事情に即していません。自賠責保険の認定基準・等級を超越した賠償交渉が必要です。このような自賠責保険の判断のみで賠償交渉を終わらせるなど悔しいものです。    また、逆に自賠責保険の画一的な判断が被害者に対して有利に働く、「得する人」も生じます。   ・日焼けした精悍な男性が額に線状痕、12級ゲット!

⇒ ...

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 交通事故で加害者・被害者の双方が、文章に署名・捺印して示談書を交わしたら、これは正式に解決を証明するものとなり、法的にも絶対的になります。

 後で、「やっぱり、こうだ」と蒸し返しても、原則、ダメです。したがって、示談書を交わす場合は慎重に行わなければなりません。しかし、原則には例外があるもので、場合によっては成立した示談を無効にできる場合があります。法的には、示談内容を誤解した=錯誤無効を立証しなければなりません。あるいは、公序良俗に反する契約(示談)であったと無効を立証することでしょうか。例えば、入院中の朦朧としている時(正常な判断ができない)に示談した。監禁でもされて脅かされて示談した。・・・これら、極端なシチュエーション下である必要があり、立証はそれなりにハードルが高いものです。法律に関する学術的な見解は専門家に任せるとして、過去の経験から参考例を紹介します。   ○ 免許取りたての女子学生がタクシー運転者と交わした示談書を撤回させた件

 これは、代理店時代のことです。お客様(女子大生)が信号のない交差点で自動車同士の出会頭衝突となりました。直後・その場で、相手(タクシー)運転手から、「私に全面的に事故の責任があります」と示談書に署名させられた件です。

 本事故は、相手タクシーに一時停止があり、「20:80」でタクシーの責任が大きいものです。それは当然にタクシー運転手も知っていると思います。それが、その会社の方針なのか運ちゃんの悪知恵なのか、示談書を車内に常備しており、免許取りたて+初めての事故で気が動転している19歳の女子学生に、まんまと「100%過失を認める」示談書を書かせたものです。

 後に、事故連絡を受けた当方の保険会社担当者が交渉に当たりましたが、相手タクシーは示談書を楯にとり「100:0」を譲りません。膠着状態を見かねて、代理店の私が動くことになりました。

 ご本人を連れてタクシー会社を訪問し、まず、「私はその時、気が動転して・・怖くなって・・署名したものです。示談は撤回します。」と、本人に宣言させました。相手の担当者はそれでも、「示談書は有効に成立したものだ。法的手続きをとる」との返答です。

 同席の私は、「学生・未成年で、免許証をとって3ヶ月の女の子でしょ? 対しておたくの運ちゃんは2種免許取得者でこの道10年のベテランですよね? 一方的に脅かすような口調もありましたよね? 一時停止側の過失が大きいことは当然に知っていますよね? 法的手続きは望むところです。 こちらとしは、本件の経緯、つまり、会社ぐるみでこのような不当な示談行為をしていることを国土交通省(タクシーの管轄省庁)に陳情します。 また、ご本人からの撤回の宣言と今のやり取りは録音していますので、弁護士より裁判所に提出し、本件示談が錯誤無効ないしは公序良俗に反するとして撤回を主張します。 省庁や裁判所がどう判断しますかね」と畳みかけました。

 翌日、タクシー会社から「保険会社同士の話し合いに委ねます」と回答、事実上、示談書は撤回されました。    本件の場合、このような示談ではさすがにばつが悪く、お役所の目もあり・・タクシー会社は渋々引っ込めました。しかし、これが成人だった場合は、民法の原則通り「お互いで合意したこと」として、撤回は難しかったかもしれません。 悪質なドライバーにとって、弱腰の相手はいい鴨となります。  

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 よくある質問です。厚労省のHPからの引用で恐縮ですが、非常にわかり易いのでほとんどコピペに近い状態でまとめました。   Q.後遺障害となって障害年金を受け取る場合や、死亡で遺族年金などを受け取る場合、労災の年金と(厚生・国民)年金、両方を受け取ることはできるのでしょうか?     A.年金は全額受け取れますが、労災年金は調整されるため全額を受け取ることはできません。    例えば、障害厚生年金と労災の障害補償年金の両方を請求・受取る場合、労災年金の額は減額され支給されることになっています。しかし、障害厚生年金はそのまま全額支給されることになります。ただし、この減額に当たっては、調整された労災年金の額と厚生年金の額の合計が、調整前の労災年金の額より低くならないように考慮されています。   (調整の考え方)  これは、両制度からの年金が未調整のまま支給されますと、受け取る年金額の合計が、被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうからです。また、保険料負担について、厚生年金保険は被保険者と事業主とが折半で、労災保険は事業主が全額負担していることから、事業主の二重負担の問題が生じてしまうためです。

 この表から分かるように、障害厚生年金を受け取っている人が労災の障害補償年金を受け取る場合、障害厚生年金を全額受け取ることができますが、労災年金は0.83の調整率がかけられ全額を受け取ることはできません。しかし、障害厚生年金を受け取っている人が労災の(死亡で遺族が受取る)遺族補償年金を受け取る場合、調整は行われません。従って、厚生年金・労災年金ともに全額受け取れます。

 

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   (旧会社名)東京海上さんが平成23年に、続いて損保ジャパンさんも翌年の約款改定で交通乗用具(への補償)を廃止しました。24年内に、各社も続きました。しかし、三井住友さん、あいおいさん、日新さん、AIG(富士火災時代から)、全労災までも(?)が、何故か堅持しています。

 このシリーズの冒頭にも言いましたが、廃止の理由はリザルト(損害率=支払保険金/掛金)の悪化とされます。では、堅持してる会社はそれが保てているのでしょうか?

 某保険会社の社内資料、「交通乗用具廃止のお知らせ」には、より詳しく説明されています。それは、「人身傷害の自転車単独事故での支払が増えたこと、それも、事故状況に疑いが残るものが大半」とのことです。私も、廃止の真の理由は、偽装請求が多発したことが大きいと思っています。その、某保険会社が以下のように例示しています(注意すべき情報の為、事故内容は脚色します)。   ○ 詐欺が疑われる手口   (例1)自転車走行中に転倒、アキレス腱を断裂しました

Aさん、休日に自転車でテニスに行って、その帰宅中に自転車が転倒して受傷、病院に入院しました。診断はアキレス腱の断裂で、治療費(手術費用・入院費用含む)と、休業損害、該当期間の慰謝料を請求、保険会社はAさんが加入する自動車保険の人身傷害(交通乗用具)で支払いました。事故に関する証明は、診断書と本人記載の事故状況説明書のみです。

しかし、担当者は疑惑を持っています。本当に自転車の転倒なのか? 自転車転倒の目撃者はいません。また、この契約者さんは過去に、テニスでアキレス腱を何度か痛めたことがあるそうです。本件事故の当日もテニスに行っています。ゲーム中にケガをしたのでは?とも考えられます。友人とのゲームですから(友人が口裏を合わせれば)第三者的な目撃者もいません。結局、Aさんを信じるしかありません。   (例2)歩行中、自転車と接触・転倒、手首を骨折(橈骨にひび)しました

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 人身傷害保険はその補償範囲の面で、ぱっくり二つのグループに分かれます。

 交通乗用具を人身傷害の補償範囲から廃止した会社と、残している会社です。

 飛行機や船、またはエレベーターや人力車での事故は、それなりにレアケースです。やはり、自転車単独事故、自転車同士の事故でも人身傷害が適用される、(以下、赤字で示した)日新、全労災、三井住友、あいおい、AIGの会社の優位性が引立ちます(この保険の収支も赤字にならないとよいのですが)。

 とくに、ご主人が自転車通勤をしている、子供さんが自転車を乗り回している・・・このようなご家族は、絶対に日新、全労災、三井住友、あいおい、AIGを選ぶべきです。乗合代理店さんにとって、お客様にお勧めする保険会社を選ぶ際には重要ポイントと思います。   ○ 交通乗用具を廃止した会社、対象外の会社

東京海上日動 損保ジャパン日本興亜 朝日火災 セコム損害 セゾン火災 ソニー損保 そんぽ24 イーデザイン 続きを読む »

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