当HPも開設以来約3年、毎日たくさんのアクセスを頂いております。トップページで「行政書士、医療機関、弁護士の連携でトータルサポート」と書いています。看板に偽りなく、後遺障害の検査、立証、賠償のプロセスにて多くの被害者の救済を果たしてきたと自負しています。定例の相談会では、後遺障害専門の行政書士、NPO職員、保険調査員、保険代理店、そして弁護士と多種多様の専門家の参加でワンストップサービスを目指してきました。今年さらに進化したのは昨日の日誌にあるように、放射線科医の参加に漕ぎつけたことでしょうか。

 多くの自治体で交通事故の相談窓口が開かれています。弁護士や行政書士による相談会も珍しくありませんが、いかに「我こそ専門家!」を標榜しようと、それはそれぞれ一つの専門家による一つの局面の相談相手に留まるだけです。法律相談だけでよければ弁護士、医療相談だけなら医師、自賠責保険の請求だけなら行政書士、後遺障害のことはどうしよう??・・・これでは被害者はあちらこちらに回る必要が生じてしまいます。一貫した戦略など立てようがありません。

 交通事故の解決に必要な知識は法律知識、医療知識、保険知識が三本柱と考えます。さらにそれぞれ専門家のネットワークが必要です。実際に検査可能な病院や専門医、判例実績のある弁護士に誘致できなければ意味がありません。知識・ノウハウだけでは絵に描いた餅なのです。  必要な事はすべての段階での相談が可能であり、様々な局面への実動が可能である、つまりトータルで交通事故を解決させる体制です。そして相談会における最大の目標は「交通事故解決までのロードマップ」をひくことです。それを実現するために一つの相談窓口で完結する、ワンストップサービスにたどり着くことになります。

 相談会の流れの一例を紹介します。

① 過失割合を検証

 → 大型モニターを使い、実際の現場を見ながらバーチャル現場検証

 → ミニチュアを使い、事故状況を再現

× 『判例タイムス』を開いて「3:7ですね」と一般論を解説するだけ・・・この程度は弁護士でなくてもできます。

    弁護士と共に大型モニターを使い事故現場を検証(25年11月大宮会場)

② 診断書+画像をもとに後遺障害を予断

 → シャウカステン(レントゲン)、モニターを使い医師(の参加があるとき)が所見を解説

 → 骨格モデルを使用し、解剖学的に後遺障害を解説

 → 関節可動域などはゴニオメーターを使い、実際に計測します。

× ...

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 後遺障害の予断に画像診断は欠かせません。問題なのはレントゲンのみならず、MRI、CTなどの画像を整形外科医が正しく判断できるか?です。これは大変失礼な物言いになりますが、画像の読影は医師と言えども相当の専門分野であり、専門の学習、多くの臨床を経験しなければ正確な読影は難しいのです。それは医療先進国のドイツやアメリカを例に取ればご理解いただけると思います。これらの国では、患者を診る医師と画像読影をする医師の分業化が進んでいます。医師は画像検査を指示し、その読影・解析を放射線科の医師にオーダーします。そして専門医による読影レポートを基に診断し、治療方針のデータとしているのです。特に医療過疎地などは村の診察所からデータ通信を介して、専門医による読影・診断を仰ぐことができます。

 このような背景から日本でも読影専門医のニーズが高まりつつあります。放射線科医を抱える大病院なら院内で完結しますが、町の個人病院においても進んで画像検査と読影を外注する仕組みが広がることが望まれます。

 さて交通事故外傷の現場でも医師の正確な読影なしに障害立証は困難なケースが続出しています。私たちのチームでも専門医に画像の読影を依頼することは日常の作業です。であれば相談会の段階からある程度画像に踏み込みたい、これは自然な欲求です。既に関西では先駆けて放射線科の医師が参加し、町の整形外科医では難解なMRI、CTについてその場で暫定的な読影をしていただいています。  このように医療判断が必須である交通事故外傷の相談において、究極のスタイルを実現しているのです。

 次回12/14、ついに有楽町相談会でも放射線科の医師が初参加します。すでに多くの予約を頂いておりますが、まだ数名予約可能です。是非、画像(XP、CR、CT、MRI)持参でお越し下さい。フィルムでもCD-ROMでもOKです。 

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 高次脳機能障害で日常生活状況報告書を記載する際に注意すること、それは医師の判断と家族の観察の一致です。これは高次脳機能障害に限らず、あらゆる障害で他覚的所見と自覚症状を一致させる基本に他なりません。今週は2件の作成に心血を注いでいます。日常生活状況報告の記載では語りつくせないので、必ず別紙に具体的なエピソードを挿入しながら説明しています。  この2件で共通していることは医師の判断が家族の観察に比べ、かなり重いことでしょうか。限られた診断時間でしか患者を観察できない医師の判断と、回復の希望がこもった家族の判断が離れてしまう事が往々にしてあります。特に障害の重篤度にかい離をみせる傾向です。そのかい離をできるだけ防ぎ、いかに適切な障害を主張するか?高次脳機能障害の立証で重きをなす作業です。

① 医師との面談に何度も付き添い、事前に適切な情報を医師に伝えること。

② 家族と何度も日常生活状況報告書を書き治すこと。

③ 詳細を語りつくすべく、別紙でエピソーソを挿入すること。

④ そして全体像を見直し、修正を加えていくこと。

 このような繊細な作業を続けています。まるで私が審査しているよう・・・正当な等級を認定をすべく精査する審査側の苦労もよくわかります。

 障害の程度を測る上で、医証の不一致があってはなりません。等級が認定された後、弁護士の賠償交渉において不整合な医証を残すことになってしまうからです。これは相手保険会社の反撃の的となります。かつて等級の認定のみを念頭に奮闘し、等級獲得で完結するような仕事をした結果、引き継いだ弁護士に苦言を言われたことがあります。

 立証作業はつまり賠償交渉も見据えて進めるべきなのです。

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 今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。  ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。  交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。

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 私は最初に被害者さんの後遺障害の予断、つまり想定等級を定めてから着手、必要な検査計画を立てます。多くの場合、読み通り(ニヤリ!)となりますが、あいにく検査結果にでないこともあります。

 もちろん、それは回復が進んだことでもあるので、喜ばしいことかもしれません。しかし障害は僅かであっても残存しているのです。これが等級の認定を得なければ、事故後の賠償・補償上、存在しないもの=0 とされるのです。

・わずかに残った可動域制限

・検査数値に出ない排尿障害

・画像所見となる時期を逸したMRI

・中途半端に回復した視力、聴力・・・

・何度も手術をして薄くなった線状痕

      

 回復への努力をしたことは当然賞賛すべきことです。しかしケガの痛みに苦しみ、数度の手術に耐え、血の出るようなリハビリに取り組み、結果として補償面で振るわない結果となってしまう・・・実に悔しい思いです。

 一定期間は治療・リハビリに専念し、回復を目指します。そして症状の回復度合いが一定、もしくは一進一退となる時期を見定めて症状固定とし、後は賠償問題に取り組むべきです。長期にわたり回復努力を続け、中途半端な障害を残してしまうと、障害の基準以下となって等級が認定しづらくなるのです。これは賠償金目当ての「早期治療打切り」を言っているのではありません。症状固定日を正しく策定すべきと主張しているのです。

 私たちは回復と補償についてバランスの良い解決ロードをひきたいのです。そのためにできるだけ早期の相談を強く訴えます。

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 (まず前日の記事を読んで下さい)

 

<若手弁護士A先生> クレサラ方式の解決・・・う~ん、考えさせられますね。大量受任と早期解決、確かに事務所を経営する以上、経営効率は大事です。しかし依頼者に対して誠実な仕事とは言えませんね。

<秋葉> では誠実な仕事でありながら早期解決を達成している事務所を紹介します。

 (C先生) C先生とは3年以上一緒に仕事をしています。交通事故を専門に受任しており、とくに14級9号を大量に解決してきました。C先生は赤本の満額獲得を必須目標として取り組んでいます。14級9号での平均的な賠償獲得額は赤本基準で300万前後です。   C先生は最初に損保会社に賠償提示を行い、損保の回答が「先生、訴外交渉なら提示金額の70%~80%でどうでしょう?」とくれば迷わず、「請求額から歩み寄る気はありません。交通事故紛争センターの斡旋にふしましょう」と宣戦布告します。また請求額や争点の性質からから裁判を選択することもあります。対して損保会社は「うっ、この事務所は(妥協解決に)乗ってこないな・・・」と印象を持ちます。  それではと、損保会社は紛争センターにおいて全力で応戦してきます。しかし紛争センターの性質上、斡旋弁護士は既に認定された後遺障害等級を審議なく踏襲する傾向にあり、細かな論点も時間の関係から避けがちです。もちろんC先生、ここでも妥協的な斡旋なら裁判を辞さない姿勢を堅持します。およそ月1回合計3~4回の協議でほぼ赤本基準の斡旋案に落ち着きます。損保側は紛争センターの斡旋案を尊重する立場なので、余程の反論がない限り飲みます。まれに審査会に進みますが、大きな変更は極めて限られたケースとなります。

 費用対効果で見ると、交渉解決なら1~2か月で解決のところ紛争センターの斡旋により3~4か月解決が伸びてしまいます。しかし依頼者が手にする賠償金は、8割の妥協的交渉解決に比し60万ほど増額します。3か月解決が遅れる事と60万、どっちがいいか?依頼者は迷わず60万を待ちます。

 こうしてC先生は100件を超える事案を紛争センターで解決させました。さて、こうなるとある変化が起きます。損保側は「C弁護士は赤本満額を譲らない→紛争センターに持ち込まれるので面倒だし時間の無駄→しょうがない満額支払うか」となります。C先生は主要損保からこのように評価されます。こうして早期交渉解決で満額獲得できる=実力ある弁護士となったのです。  現在C先生は受任の70%を交渉にて満額獲得しています。譲らない損保社には裁判、紛争センターの斡旋解決へ進めます。それが残りの30%になります。通販系損保も支払いを渋るので30%に入ります。結果としてクレサラ方式事務所に劣らない解決スピードとなりました。こうして交渉力(実力)と早期解決(経営効率)の両方を実現しているのです。    経営効率主義のクレサラ方式解決事務所:β事務所と赤本満額解決主義の実力交渉C先生、同じ交通事故弁護士でも違いが生じるのです。損保会社はこのC先生を手ごわい相手と感じ、逆に昨日のβ事務所へは足元を見た対応を続けます。そして依頼者は迷わずC先生を選ぶべきです。

 さて、A先生はどちらの道を進みますか?

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 昨年、某法人弁護士事務所にて事務所内研修の質疑応答から・・・

 

テーマ:交通事故の交渉解決について

Q、<若手弁護士A先生> 秋葉先生、保険会社と交渉を開始すると、まず「訴外交渉(裁判をしないで交渉解決)なら赤本の70%、80%でどうか」と回答しくることが多いようです。依頼者の希望で早期解決を目指すなら、多少妥協してもいいのではないでしょうか? 

A、<秋葉> この保険会社への対応如何で交通事故業務における”弁護士事務所の格”を決定づけることになります。実在する2つの事務所のケースから説明しましょう。

(β法律事務所)クレサラ業務(過払い金返還請求等)を中心とした大手法人事務所β、クレサラ業務の減少に伴い、交通事故にも力を入れ始めました。この事務所の交通事故解決はほとんどが交渉解決です。まず賠償金請求書を保険会社に送り、赤本基準の70%位の回答が来ると、それでOKをだして示談成立します。多少は上乗せ交渉をするとしても、難しい交渉一切抜き、超スピード解決です。

 ちなみに追突事故、主婦でむち打ち14級9号の案件について、賠償金を赤本基準で計算すると320万円ほどになります。この7~8割解決ですと230万~260万円です。赤本の満額で解決する金額から60万~90万円少ないことになります。β事務所の弁護士は依頼者に「相手保険会社から250万で回答を受けました。急いで解決するならこの金額です。」と説明します。満額は320万円になることについて依頼者へは言いません。そして多くの依頼者は「(解決の相場がわからないので)先生にお任せします」と答えます。何故なら保険会社は最初150万円位の提示をしてきましたので「100万円もUPした!さすがβ先生」と思います。  こうして簡単に早期示談解決が量産されていきます。事務は弁護士⇒保険会社、相互にFAXや文書のやり取りをおよそ3往復で終わります。そうです似ています、クレサラ業務に・・・。

 毎月、莫大な広告費をかけて交通事故被害者を集め、裁判などを避けてどんどんこの方式で解決していきます。受任量を増やし、獲得金額より処理速度を重視します。経営効率としては良いでしょう。このような事務所に対し、保険会社は「先生、今回も7掛けでいかがでしょうか?」と水を向けてきます。保険会社も赤本満額から30%支払い削減でき、早期に案件処理ができますので歓迎です。それに敵であるはずの弁護士が「これ位の金額で手を打つべき」と被害者を説得してくれる(?)形となり、大助かり。このように損保会社とβ事務所は利害が一致するのです。まるで示し合わせたようなぬるい交渉で保険会社は「β事務所は7割が相場!」との対応をずっと続けていきます。

 なにか腑に落ちない話ですが、早期解決だけは達成しています。しかし一方で赤本の満額を毎度普通に獲得している事務所も存在します。しかも解決スピードも決して劣りません。 (明日に続く)

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 明日は弁護士事務所でひき逃げ事案の引き継ぎです。本件は政府保障事業に申請をかけ、1年の審査の結果、ようやく高次脳機能障害5級が認定されました。今後の保険請求について、弁護士代理による保険を熟知したテクニカルな請求を遂行していくことになります。

 毎年、数多くのひき逃げや加害者が無保険の相談を受けております。ひき逃げの場合、当然ながら相手からの補償は受けられません。そうなるとご自身が加入している保険を総動員し、一番有利な支払いを受けるべく計画的に進めねばなりません。ケースによってたくさんの選択肢がありますが、まず人身傷害特約(以下、人傷)の加入がある場合とない場合で2分します。

1、治療費

<人傷がある場合>  人傷から支払いを受けられます。そして損保は安く抑えるために健保、業務中・通勤中であれば労災の使用を推奨します。通常、交通事故で相手の保険があり、自身の過失がなければ(少なければ)、病院が喜ぶので自由診療を原則とします。しかしひき逃げの場合の健保使用は病院も仕方ないと思ってくれます。したがって健保、労災の使用で大丈夫と思います。損保と病院の合意が取れれば一括払い(損保会社が病院に直接治療費を支払てくれる)も可能です。  相手がいないので求償することがでできず、損保は大変です(損保も最終的に自賠責に対して求償するように政府の保障事業に求償したいのですが、国は民間で払われるものですら控除すべきとして拒否しています。)

<人身傷害がない場合>  健保、労災の使用は必須です。そして政府の保障事業への請求を進めます。政府の保障事業とは相手がいない場合、国が肩代わりして補償してくれる制度です。自賠責保険と同じく国土交通省の管轄で、審査も自賠責調査事務所で行います。厳密に言いますと自賠責の調査・支払事務は民営化されていますが、政府の保障事業の事務は国交省の公務員が行います。  支払い内容は、自賠責保険とほぼ同じと言っていいでしょう。120万円まで治療費や休業損害、入通院慰謝料が確保できます。限度額がある以上、入通院慰謝料の額を確保するために、健保、労災を使用し治療費を圧縮する必要があります。自由診療では健保の2~3倍の費用がかかりあっという間に120万円を使い切ってしまうからです。                                     

★ まず人身傷害特約が入っているかを調べて!

 この保険の適用如何でその後の運命が分かれます。ご自身の自動車に乗っているときだけではなく、他の自動車や自転車、歩行中の交通事故にも適用できる可能性があります。多くの場合、ご自身だけではなく同居の家族、別居の未婚の子も補償対象に含まれます。

人身傷害特約の復習  ⇒ そして『無保険車傷害特約』は吸収された・・・

別居の未婚の子の復習 ⇒ 「別居の未婚の子」とは・・・

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 昨日、ノルウェーから交通事故相談のメールが入りました。なんでノルウェーから???差出人は「ノルウェーの森です」とあります。誰だ?ノルウェーに知人はいません。おっかなびっくり開いてみました。メールの文字は日本語のフォントとなっています。読んでいく内にようやく思い出しました。

 10年前、ロシアの旅先で会った日本人です。数日一緒につるんだバックパッカー仲間の森君でした。なんでもオスロで交通事故に遭い、日本のサイトを検索していたらこのHPにたどり着いたようです。相変わらず定職に就かず世界中を回っているようです。しかしよくみつけましたねぇ。  質問内容は、事故相手が無保険らしいのですが、日本の強制保険みたいなものはないのか?ということです。「そんなの知るか!」と思いましたが、一応調べて回答しました。

 なんと最初に自動車の強制保険加入を義務付けたのはノルウェーです。さすが福祉大国というべきでしょうか。100年前の1912年には自賠責保険加入が強制化されています。その他ヨーロッパで自賠責保険が次々と制度化され、デンマークやスウェーデンの北欧諸国、そして西欧のイギリス・ドイツが続きました。現在東欧を除きヨーロッパのほとんどがほぼ制度化されているようです。(ちなみにアメリカは最低補償金額を任意保険で加入するよう義務づけられています。)補償内容は対人だけではなく対物も設定されているようです。日本の被害者請求に類似する請求も可能のようです。  幸い軽傷のでした。後は現地で調べてもらいたいとこです。オスロの日本大使館に相談すればなんとかなると思います。  

 10年前、私はウラジオストックの広場でほんの一日ですがギター弾き語りをしていました ・・・ビートルズの「ノルウェーの森」を歌うと、知り合ったばかりの森君は「じゃ北欧にでも行ってみるか・・・」ウオッカ片手につぶやいていたっけ。本当に行ったのだな。

 

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 脚の骨折、腕の骨折、骨折の形態も、横骨折、斜骨折、粉砕骨折、剥離骨折、亀裂骨折、挫滅骨折、いろいろ経験してきましたが、四肢すべて骨折は初めてです。右上肢は上腕骨幹部骨折、左上肢は橈骨遠位端、右下肢は大腿骨骨幹部、左下肢は近位端、そして年齢は80代。これではもう歩けません。痛みはもちろん日常生活の不自由は深刻です。年齢から回復は望むべくもなく、このまま衰弱していく・・・そのような危惧を家族も医師も抱いていたはずです。

 受傷から一年が過ぎ、症状固定を迎えました。歩行不能ですが車イスでなんとか自力移動できます。そして両腕は事故前の筋力が戻りました。年齢からすると驚異的な回復です。関節可動域制限も残りましたが、12級レベルまで戻っています。事故に遭うまで農家の畑仕事は現役でした。平素維持した体力はもちろん、若いころから我慢強く、80超えてもなお精神力を保っています。

 感嘆すべきおばあちゃんです。対してむち打ちで1年もだらだら通院し、仕事に復帰しない若者もいます。被害者の務めはなにより回復努力と日常生活への復帰です。治療をする医師や補償問題に取り組む私達はそのお手伝いをしているに過ぎません。被害者には事故に負けずに頑張って欲しいのです。

                      

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 今日は仙台まで高次脳機能障害が疑われる被害者さんの医師面談です。先に依頼した検査の結果を伺いました。今回はご家族による患者の観察から「記憶」、「遂行能力」に焦点を当てた検査を組みました。主治医の先生にオーダーしたその検査内容は?

1、WaisⅢ ・・・総合的な知能検査

 大きくわけて「言語」能力、「動作」能力を測ります。受傷箇所が右側頭葉(動作)か左側頭葉(言語)かのいずれかである場合、対応する障害と一致しているかを確認できます。本件は脳の広範囲に及ぶびまん性損傷なので、極端な左右差、つまり「言語」「動作」に差が出ませんでした。全般的な低下傾向です。

2、三宅式記憶検査 ・・・記銘力(≒即時記憶)検査。言葉のペアを暗記できるか

3、ベントン記銘検査 ・・・図形を記憶できるか

4、リバーミード記憶検査 ・・・日常生活に即した様々な記憶検査

 総合検査であるウェクスラー成人記憶検査(WMS-R)は行いませんでしたが、細かく記銘力をデータ化できました。

5、トレイルメイキングテスト ・・・数字、文字を素早くつなげるか

6、パサート ・・・暗算の繰り返しを処理できるか

7、ウェスコンシン・カードソーティングテスト(KWCST)   ・・・ルールの変化に対応できるか

 家事の段取りが悪くなったとのことでしたので、遂行能力について3つの検査を実施しました。

    KWCST検査の様子

 このように家族の観察=障害の訴えについて、客観的な検査で裏付けを取ります。そしてこれら一致したデータから主治医の診断を導き出すのです。科学的な理系作業ようで、実は論理的な文系作業と思っています。  

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 昨日からつづき・・・

 

Z先生:「しかし、なんといっても早期解決を目指すべきでは・・・」

秋葉:「もちろん被害者の希望が白黒はっきりした決着や、遅延利息5%+弁護士費用10%の増額よりも一刻も早い解決を望むのならそうです。であれば、そもそも裁判などせずに交渉もしくは紛争センターで解決する道がベターと思いますが・・・。  ここである弁護士先生を例にとります。この先生、判決まで徹底的に争うことで有名で、保険会社もこの先生が手強いことを知っています。昨年、私が担当した後遺障害3級被害者の対J○社案件をこの先生に引き継いだところ、J○社は請求額全額をあっさり認め、争わずさっさと保険金を支払いました。裁判で負けて、遅延利息や弁護士費用まで取られるくらいなら・・という判断です。  普段から判決まで争う姿勢の弁護士、また判例実績のある弁護士は『戦わずして勝つ』早期解決を成し遂げていますよ。結局のところ本気で判決による解決を基本姿勢にしている弁護士を保険会社はリスペクトしています。徹底的に戦う戦略の延長線上に「和解解決」が選択肢としてある・・・これこそ交渉力と思いませんか?」

Z先生:「確かに『戦わずして「妥協金額ではなく、勝訴金額を取って」勝つ』ことが一番の理想です。」

秋葉:「Z先生も頑張ってそのような弁護士になって下さい!」

   訴えたい事はつまり、障害の立証は難しく手間がかかるので、それを避ける弁護士が多いということです。そしてZ弁護士に「和解」が普通・正当と思わせてしまった保険会社の脅威を語りたいのです。保険会社は若い弁護士を協力弁護士として雇い、交通事故の実務を依頼します。その内容は問題のある被害者への対応が中心です。まともに話し合いができない人、保険金詐欺・詐病者、心身症者などの対応ばかりです。問題のない被害者への対応、つまり被害者救済の仕事は経験しません。 またZ先生のように、ほぼ全件和解とする裁判の経験から交通事故裁判は和解が当然と認識してしまうのです。  保険会社は誰より交通事故のプロです。それに戦えるのは弁護士だけです。その弁護士がいつの間にか保険会社であたかも(骨抜きにするための?)研修、ではなく、経験をされている事実を保険会社にいるときから目の当たりにしてきました。そもそも被害者のために戦う弁護士は保険会社側から依頼される仕事をしないはずです。

 もっとも問題なのは、裁判を避けがち、起こしても全件「和解」、基本姿勢が「交渉解決」前提のクレサラ方式事務所です。その事務所は、保険会社から先に「先生、今回も赤本の7掛けでどうでしょう?」と打診される始末、これでは依頼者への背信とも思えてきます。これを早期解決などと呼んではいけないと思います。

 昨日から続く本記事は被害者に「和解が常道となってしまった交通事故裁判の実情」、それを「普通のことと認識してしまっている弁護士の多いこと」、さらに「早期解決の美名のもと、保険会社と談合的な示談をしている事務所があること」を知ってもらう目的で書きました。  単に知人の紹介で弁護士を選ぶのではなく、交通事故で戦ってくれる弁護士なのか否か・・・被害者自らがしっかり見極める必要があります。

                       

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 最近、既に弁護士に依頼済であるにもかかわらず、裁判の進行についての質問が寄せられています。もちろん賠償交渉は私の専門外です。しかし平素から座視できない交通事故裁判の現実について言及することがあります。それに対し、ある中堅弁護士Z先生からご意見をいただきました。そのZ先生との対話を(一部脚色が入りますが)披露します。  

弁護士Z先生:「秋葉先生は80%以上の交通事故裁判が和解前提で、弁護士が戦ってくれないと言いますが、交通事故で多くの場合、判決まで争っても被害者の望む決着は難しく、裁判官も和解を強く勧めます。総合的に見て和解の方が被害者の利益となるケースが多いのでないですか?」

 これは交通事故裁判の80%以上が和解となることを憂慮する私の主張への反論と思います。

秋葉:「お答えする前に、Z先生にお聞きします。先生は保険会社の顧問弁護士、もしくは協力弁護士をやっておられましたか?」

Z先生:「ええ10年やりました。ここで交通事故の実戦を積みました。交通事故の審議は長引きがちです。多くの場合、保険会社との和解がベターであると経験しました。」

秋葉:「それはある意味当然です。保険会社との交渉では全件、和解となる構造になっているからです。なぜなら保険会社の提示する賠償基準は判例と比べ、半分以下のケースが多く、勝ち負けをはっきりつけなくても、相互の歩み寄りにより、つまり和解でも被害者の得る賠償金は大幅にUPするからです。そして後遺障害の賠償金については医学的な判断が非常に難解かつ時間を要します。対して保険会社側は長年の蓄積により傷病に対して膨大なデータを持っています。それを使い顧問医の意見書としてすみやかに提出してきます。対して被害者側の弁護士は証拠=医師の意見書等の取得に苦戦し、なかなか提出してこないので審議が進みません。これを裁判官が嫌うのです。こうして和解による相互歩み寄りが推奨されるのですね。」

Z先生:「そうです。医師の協力を得ることは至難です。障害の立証は医師次第となっている現実があります。」

秋葉:「同感です。立証は医師次第です。だから私たちメディカルコーディネーターは早期から数度の医師面談を通じて、医師に対し障害の立証について協力を取り付けています。裁判に耐えうる証拠集めは何と言っても医師の診断、検査結果を引き出すことです。そして後遺障害等級の獲得がなによりの挙証となります。被害者側で医証を集めること=16条請求(被害者請求)はそのような意味もあるのです。先生は事前認定(加害者側保険会社に障害認定作業を任せる)をしていませんか?」

Z先生:「・・・・・・。しかし自賠責で認定された等級も裁判で再度検証されます。交通事故裁判はとても時間がかかります。被害者の経済的事情も考える必要から和解が良いケースもありませんか。」

秋葉:「だから16条(被害者)請求で自賠責保険金をまず確保する必要があるのですよ。話を戻しますが、もちろん経済的事情の他、戦略的に和解に持ち込むケースもあるでしょう。例えば障害と既往症の関連が強く素因減額で不利になりそうなケース、または自賠責の後遺障害認定でかなり実情より有利な等級がついてしまったケース、これら白黒つける審議に耐えられないケースには和解が有効なオプションであることに変わりありません。しかしいくらなんでも交通事故裁判全体の80%超はないでしょう。多くのケースで和解による早期解決を立証努力しないこととすり替えていませんか?障害で苦しむ依頼者は、裁判で自分の窮状を認めて欲しいのではないですか?それに答えるのが弁護士であり、それをお手伝いするのが私たちではないでしょうか」

 つづく

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 土日の相談会、出張が続きますと平日にお休みを頂くことになります。  ぼちぼち忘年会の日程も固まりました。今年も実働あと1か月あまりですが、少し休憩です。

松屋通りはホワイトカラーに切り替わりました。

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 清々しい天気でした。山梨遠征はいつも好天に恵まれています。

 さて本日の内容は、中学生の骨端線損傷の異議申立についてです。既に事前認定で「非該当」なっております。自賠責保険の回答は「骨折等、器質的損傷がない・・」ことを理由に、疼痛と可動域制限を否定しています。しかし事故後1年以上も症状が収まりません。おそらく自賠は「成長痛」によるものと判断しているようです。  では成長痛を少し調べてみましょう。

成長痛 

 12歳未満の小児に多く、4人に一人の頻度で起きると言われています。特に原因なく夜間、両下肢に痛みが生じ、翌日になると痛みが軽快して障害などは全くなく普通に歩けるようになります。。痛みの出現は両側で、大腿、膝、下腿など下肢に多く出現します。時に前腕、頭部などの痛みを伴ないますが、下肢の痛みと同時に出現します。  成長痛の特徴として、筋肉、関節、骨などには異常を一切認めません。仮に異常があれば別の疾患となりますので、鑑別疾患を疑う必要があります。仮に異常があれば捻挫、打撲、骨折など別の疾患を考える必要があります。  治療は保存療法です。傷病ではないのでそのままにするしかありません。疼痛の緩和のために投薬やマッサージも有効ですが、中学校を卒業するまでにほとんどが消失します。

 このように成長期の子供さんにとっては「既往症」なのでしょう。しかし本件の場合は受傷した右脛骨・腓骨の遠位端、つまり右足首のみに疼痛が出現しています。両足ではないのです。単なる成長痛で諦めるわけにはいきません。なんらかの器質的損傷があったのかもしれません。これについて骨端線の観察、関節裂隙の左右比較を主治医に主張し、原因究明のため両足のXP 、ヘリカルCT検査を快諾して頂けました。これから専門医の読影を乞い、画像の解明作業です。

 

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 今日はくたくたで仕事になりません。なんとか急ぎの事務だけはこなしておきたいところです。

 2連日の相談会ですが、やはりむち打ちが半数を占めています。むち打ち以外の傷病名を列挙しますと・・・

 頬骨骨折と嗅覚障害、TFCC損傷、骨盤(恥骨・坐骨)骨折、高次脳機能障害、顔面神経麻痺・・・顔、頭のケガが多かったように思います。頭部や顔面のケガは視覚、聴覚、嗅覚、味覚に障害を残す可能性があります。これらは異変があっても見逃されやすい症状です。それは脳神経外科、整形外科、形成外科、耳鼻科と受診科が複数にわたり、相互の情報伝達が潤滑でなければ患者の訴えが届かないことがあるからです。整形外科医:「匂いがしない?それは耳鼻科で診てもらって」・・・極端な言い方ですが整形外科医は骨折の癒合にしか興味がありません。また他の専門分野に言及することに慎重です。患者がうまく医師に症状を伝え、他の科に受診するときにしっかり「匂いがしません」、「嗅覚の検査を」と話を向けねばなりません。

 いつだって自らを治す責任は被害者にあります。また障害の立証(挙証)責任も被害者にあるのです。被害者だからと言って安穏とはしていられませんよ。

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 本日の病院同行は荒川区。メトロ日比谷線で三ノ輪駅で地上に、そこから4号線を200m歩き、レトロな商店街を抜けると都電荒川線の小さい駅です。チンチン♪と鐘が鳴り、電車は狭い住宅街を走り抜けます。

 このような風情ある路線を残した東京都はすばらしいです。高校生の時によく乗った電車は当時と変わりなく、木目調の車内も健在です。ただし切符ではなくスイカ、パスモにはなっていました。

特に三ノ輪~東尾久間は下町風情が残っています。

 

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 老眼は正式には『老視』と言う眼の老化現象で、眼のピントを調節する機能が衰え、近くが見えなくなる症状です。正確には、近くだけでなく、普段ピントを調節しなければ見れない範囲は全て見にくくなります。最近私も老眼気味?で本が読みづらいことがあります。まぁ新聞の文字は問題ないのでもう数年は大丈夫かと思います。  さて交通事故外傷においても、眼球自体の直接的な受傷はもちろん、顔面のケガ、とくに眼窩底骨折やルフォーⅡ型~Ⅲ型の頬骨の骨折でこの調節能力に障害を残すことがあります。高齢ですと元々老眼であるケースが多いため判別が難しくなりますが、やはり専門的な検査で立証する必要があります。代表的な検査方法を3つ挙げます。

1、石原式近距離視力表

 この検査で異常があれば、各種の精密な調節検査を行います。この検査は老眼鏡を処方する場合の検査に必須です。眼前30cmの距離で明視できる最小の字づまり視標でその眼の近距離視力を求めます。5mの遠距離視力が裸眼または矯正眼鏡にて1.0であるのに、近距離視力が同じ条件下で1.0より低ければ調節障害となります。

2、石原式近点計

 調節障害が疑われた場合に調節の近点がどの位置にあるかを調べます。接眼部の試験枠にレンズを加入することによって、人工的な近視を作れば、この機械にて遠点も計測できます。調節幅の測定は精密な調節機能を知るために必要です。調節幅の検査では、被検眼の矯正視力、被検者の努力、注意、集中力、視標を移動させる速度、視標の大きさ、コントラスト、明るさなどが影響する。また、ピントがぼけ始めた点を正確に答えるのもむずかしい、さらに調節lag(lag of accommodation)として、正確に調節を行っていなくてもピントが合ったように見える現象がある場合があります。この調節lagには、ピンホール効果としての小瞳孔や乱視の存在などが影響しており、自覚的検査での調節幅は、他覚的に求めた真の屈折力の変化としての調節幅よりも大きな値となります。

3、アコモドポリレコーダー

 毎度カミカミでうまく言えません。この検査は遠方と近方に置かれた視標にピントが合うまでの時間の長さから調節障害を診断する専用の機器のことです。内蔵された視標はレンズによって光学的に遠方と近方に設置され、電動式に遠方視標と近方視標が交互に点灯するようになっている。視標にピントが合うまでの時間を調節時間として反復測定する。近方視標にピントが合うまでの時間を緊張時間、遠方視標にピントが合うまでの時間を弛緩時間として調節時間の現れ方をいくつかの型に分類し、調節障害の性格を明らかにすることができます。  この検査も自覚的な検査であり、被検眼の矯正視力、被検者の努力、注意、集中力が影響し、ピントがぼけ始めた時点を正確に応答するむずかしさが課題です。また、調節lagも混入することは石原式と同様ですが、調節幅を求める検査ではなく、調節時間の型からどのような調節障害かを診断することを目的となります。検査結果の再現性が得にくいこと、正常者あるいは異常者であっても、いくつかの型に当てはまってしまうために、検査結果(アコモドグラムパターン)だけから診断することは難しいとも言えます。したがって検査は治療の初期から症状固定まで3回ほど行い、あまり数値に変化がないことが望ましいのです。

後遺障害の判定と等級は

調節機能に関すること

11 級 1 号 両眼の眼球に著しい調節機能障害または運動障害を残すもの、アコモドポリレコーダーによる調節力が ...

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 それではダメなのです。最近の例を一つお話しします。  

 被害者Aさんは交通事故で顔面に線条痕を負い、さらに目や耳、視覚・聴覚にも障害を負っています。それぞれ治療を進める傍ら、知人の紹介の弁護士β先生に解決の依頼をしました。その弁護士の対応ですが・・・。

 着手金はAさん加入の自動車保険会社C社に請求するのでご安心下さいとのことです。β先生はまず相手の保険会社ではなくC社に弁護士費用特約の請求ということで連絡をしました。しかし数か月たっても動いてくれる気配がありません。問い合わせると、「後遺障害等級が取れないと着手金の請求ができないので、早く医師に診断書を書いてもらって下さい」と言いました。しかしAさんはまだ治っていないので症状固定+後遺障害診断に進めません。それから数か月・・・。

 その後相手の保険会社Dから治療費打ち切りの打診が入りました。D社は積極的に病院に働きかけ、打ち切りを進めてしまいました。頼んでいた弁護士に問い合わせたところ、「それなら症状固定とすべきです」とすげない返事。せっかく代理人を入れたのに、まったく間に入ってくれる気配はありません。さらに数か月・・・。

 打ち切り後、病院から治療費の請求がされますが、自由診療なのでびっくりするくらいの金額です。健康保険を使いたくても、症状固定していないので病院から拒否されてしまいます。弁護士に相談しましたが、「まだ当方と正式な委任契約となっておらず相談中の段階ですので・・・ごにょごにょ・・・。」  Aさんはてっきり委任していると思っていましたが、そうではなかったのです。

 ここでようやく、β先生を見限りました。さてなぜこのような悪循環になってしまったのでしょうか?

① β先生は企業法務中心で交通事故に不案内の事務所・弁護士であった。

 当然ながら「何級となるのか?」後遺障害の予断がまったくできません。醜条痕や目や耳の立証など経験がありません。したがって等級が取れてからではないと何をしていいかわからない、つまり着手できないのです。

② 着手金の請求にしどろもどろ・・

 おそらく法外な着手金をC社に請求したところ厳しい回答をされたのかもしれません。等級が定まり、訴額のシミュレーションができないので弁護士費用特約の請求に躊躇している様子が伝わってきます。しっかり弁護士費用が請求できない事務所=保険会社から信頼されていない事務所です。

③ 治療費の打切り前に必須の検査をすべきところ、

 目や耳の後遺障害など未経験なのでしょう。「ゴールドマン視野計の検査を」、「オージオメーター検査を」などのアドバイスができません。だから先に進みません。

④ 相手保険会社の打ち切り攻勢に、

 ①~②の結果、もたもたして正式に委任契約がなされていません。したがってβ先生は間に入って保険会社との交渉ができません。

 結果としてAさんの解決は迷走状態になってしまいました。やはり受傷直後からしっかり被害者に寄り添い、保険会社との交渉、病院との折衝、後遺障害の立証と申請、これらができない弁護士先生は頼れる存在ではないのです。さらに交通事故外傷、自動車保険に関する知識がなければかえって悪い方向へ流れてしまいます。  もっとも問題なのは、この事務所は「交通事故解決に自信」「後遺障害はお任せ下さい」とホームページで謳っていることです。

 代理人選び・・・これが被害者にとって解決の第一歩です。くれぐれも慎重にお願いします。

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部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

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