今日は早朝から長野県飯山市です。先ほど東京に戻りました。野沢温泉にでも寄りたいところでしたが、早く東京に戻らねばなりません。
学生時代はスキーで志賀高原や野沢温泉に一晩かけてバスに揺られたものです。現在は長野新幹線を使えば3時間、そして来年は飯山駅まで新幹線が開通しますので、2時間ちょっとです。
博多や札幌も飛行機を使えば3時間(東京~羽田空港~市街)かからないのです。病院同行も全国対応が可能な時代です。
飯山駅 新幹線の新駅が完成まじかですが、風情ある駅舎も残してほしいものです。
出張続きで、またしても事務が大渋滞!明日も長野ですが、順次、頑張って仕上げていきます。
先月から高次脳機能障害の認定結果がいくつかでています。立証の努力が実り、納得の等級が認定されました。 高次脳機能障害は他の部位に比べて、想定したより高い等級が認定されることが多いように思います。医師の診断と家族の観察データを、書類のみで患者を一度も診ない(”見ない”が正しいかな)審査会の面々がどうとらえるか?一部の数値で測るのではなく、全体像をみて総合評価をしていると思います。今回は医師の診断は7級レベル、神経心理学検査の数値は正常値なので、外傷の程度(画像上の所見)からすれば12級程度、家族の観察は9級相当・・・立証上、整合性をつけるのに苦労しました。
結果は7級が認められ一安心ですが、今後裁判で相手の保険会社の猛烈な反撃が予想されます。例えば、「家族の観察では9級が妥当ではないか!」と被害者側の揚げ足取りに躍起になるはずです。それでも最初の等級認定にて、しっかりと上位等級を獲得した優位さは揺るぎません。賠償交渉上の戦術も幅が広がります。しばらくは弁護士との打ち合わせが続きそうです。
交通事故解決の道のりで2つの山があります。後遺障害等級認定は最初の大きな山です。後の賠償交渉という山を前に、絶対に軽視できない頂です。この登山道において、被害者の道案内をするのがメディカルコーディネーター(MC)の役割です。地味な役割のせいか現場ではまだ足りていません。法律家として事務所にどんと座り、賠償金の計算だけしている先生はたくさんいるのですけどね・・・。
【事案】
バイクで走行中に、右折車に巻き込まれたもの
【問題点】
意識障害についての所見が、高次脳機能障害としての認定のための要件を満たしていなかった。
【立証のポイント】
画像を精査し、右前頭葉と左側頭葉に脳挫傷痕を確認する。
意識障害の所見については要件を満たしていなかったため、医師に確認をする。その結果、カルテなども確認しながら正確に調べ上げていただき、訂正をいただくことができた。
その後は症状と画像を再検討し、必要であると考えられる神経心理学検査をオーダーし、症固定においては医師との入念な打ち合わせのもと後遺障害診断書の作成を依頼する。9級10号が認定される。
(平成25年4月) ★ チーム110担当
【事案】
バイクで走行中に右折車に巻き込まれる
【問題点】
10円銅硬貨大以上の陥没であることは明らかであったが、『人目に付く』とはやや言い切れない部位であった。
【立証のポイント】
写真を添付し、医師には正確な大きさの記載をお願いした。また、調査事務所の面接時には弁護士に立会いをお願いした。7級12号が無事に認定される。
(平成25年4月)
【事案】
バイクで走行中に右折車に巻き込まれる
【問題点】
眼窩骨折による視神経萎縮が考えられたため、眼窩骨折そのものの程度も確認をする必要があった
【立証のポイント】
視神経萎縮の原因たる眼窩骨折を3DCTで画像所見とする。そのうえでゴールドマン視野計にて視野障害を立証した。13級3号が認定される。
(平成25年4月)★ チーム110担当
交通事故外傷で回復の進行を阻むものに「浮腫」があります。浮腫とは簡単に言うと「むくみ」です。原因はリンパの滞りで、一般的にはさまざまな内臓疾患(心臓・腎臓・肝臓・甲状腺の異常、血管・リンパ系の循環障害、悪性腫瘍)の兆候と言われています。また局所性浮腫の原因には深部静脈血栓症等があります。
リンパ液の流れは、筋肉のポンプ作用と外部からの刺激に委ねられています。重力にまかせて下肢には流れていきますが、下肢から上に戻りにくいのがリンパの特徴です。交通事故で下肢を骨折して長期間ギブス固定を続けた、骨癒合が得られるまで動かさず安静にした・・・すると下肢の筋肉を使う頻度が減るのでリンパの流れが悪くなり、浮腫を併発します。
浮腫が受傷後も長く残存する場合、痛みからリハビリの進行を妨げてしまいます。その結果、筋肉が減ってしまうと、さらにむくみやすくなるという悪循環に陥ります。浮腫は男性より女性に多くみられます。これは筋肉量の差がある為です。早期のリハビリで下肢の筋肉を鍛える必要があります。またむくみのある部位は冷えますので、血液循環も悪くなり、ますますむくみがひどくなります。これを防ぐには冷やさないこと、具体的にはお風呂で温めることが推奨されています。
浮腫が直接、後遺障害と認められることはありませんが、リハビリを阻害するものとしてやっかいな存在です。骨折後の関節可動域制限の残存にも一定の影響、原因となるはずです。しかしながらら自賠責保険は関節可動域制限の原因を「本人のリハビリ不足」とばっさり切り捨てます。骨癒合が良好であるにも関わらず、高齢や浮腫の併発でリハビリが十分にできなかったために、関節可動域制限が残存した・・・このような原因であっても自賠責の審査基準に阻まれます。浮腫の併発で障害がより残存した場合、これは個別具体的な症状として評価されるべきと思います。現状では訴訟上での主張になるかと思います。
本日は膝関節専門医の初診に被害者と同行しました。
傷病名は腓骨近位端骨折とそれに伴う内側半月板損傷、外側側副靭帯の損傷です。
まず受傷時のMRIの読影です。骨折の形態、半月板や靭帯の損傷具合についてものすごいスピードで解明し、説明を頂きました。腓骨は顆上部の横骨折、脛骨に骨挫傷があること、外側側副靭帯の損傷は炎症、浮腫の残存・・・メモを取る私も目が爛々と輝いていたと思います。
続いて自覚症状を聞き取り、ROM(関節の可動域)の確認、内半・外反テストを行い動揺のレベルを測ります。専門医のすべてに共通していること、それはとにかく早い!よどみなく流れるように診断が続きます。「う~ん」と腕組みして考え込む医師とは隔絶した能力を見せます。
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本日の電話事故相談から。
Q、嗅覚、味覚の障害で申請中(事前認定・・・相手の任意保険会社に診断書を提出)です。なかなか結果がでません。診断書にしっかり嗅覚喪失とあるのに、追加検査の依頼があり、これも提出しました。しかしそれから1か月も音沙汰なしです。任意保険の担当者も「自賠責調査事務所からまだ回答がありません」・・とすげない返事です。どうなっているのでしょうか?
この質問から示唆されることは2つです。一つは主治医が診断書に「嗅覚障害」と書いても、調査事務所は検査によるデータを見ないと信じません。医師は患者を直接観ていますので「匂いがしない」ことを疑わず治療を進めます。しかし賠償金を払う側、まして書面審査のみの審査員は証拠がないと判断できません。万全の準備をしなければこのように審査が長引きます。最悪、追加調査などの依頼もせず、ばっさり「非該当」もあり得ます。したがって本件の調査事務所は大変親切と言えます。 本件はアリナミンPテスト、T&Tオルファクトメーター、ろ紙ディスク、味覚電気検査が必要です。
詳しくは・・・嗅覚 嗅覚、味覚の検査 味覚 嗅覚、味覚の検査2
もう一つ、任意保険担当者の立場を考えて下さい。調査事務所に対し、「大変気の毒な被害者です。等級が認められるよう、こちらでも万全の協力をするつもり・・」なわけないでしょう。等級が高ければ支払う賠償金も増大します。任意保険会社と被害者は利益が相反するのです。診断書を受け取るときも、「この検査が不足しています」、「調査事務所にしっかり伝えます」等、被害者のためになる計らいなど期待できようがありません。
被害者は孤軍奮闘、大変不利な立場なのです。交通事故賠償で勝つには、まず自分の不利な立場を認識する必要があります。だからこそ、いつも早めの相談を訴えています。
相談すべてを契約勧誘するわけではありません。半分以上の方はアドバイスを活かし、独力でよりより解決へ舵を切っています。私が介入しなければ埒が明かない案件についてのみ、契約を勧めています。安心してメールを下さい。
発行は警察ではありません。交通事故安全運転センターで行います。この証明書は事故の解決まで何かと必要になってきます。取得方法は3つあります。
① 郵便振替による申し込み
郵便振替用紙に必要事項を記入のうえ、最寄りの郵便局(振替窓口)に手数料を添えて申込みます。専用の振替用紙は交番や警察署にあります。交付手数料は1通につき540円です。 申請書1通で、何通でも申し込めます。
② 直接窓口での申し込み
交通事故安全センター事務所の窓口において、窓口申請用紙に必要事項を記入、手数料を添えて申込みます。交通事故資料が警察署等から届いていれば、原則として即日交付します。事故資料が届いていない場合は、後日、申請者の住所又は郵送希望宛先へ郵送します。
③ web請求 http://www.jsdc.or.jp/certificate/accident/index.html
交通事故の現場検証も警察官により完了しました。もし重症で救急車で運ばれ即入院となった場合の現場検証や供述の聞き取りは、後日行われます。後日の検証であっても、被害者と加害者の同時立ち合いが原則ですが、それが入院等で不可能な場合、それぞれ別に行うこともあります。
事故証明書の右下に「人身」か「物損」かの扱いが記載されています。この違いについては読んで字のごとくですが、問題なのはどちらにするかの選択を迫られた時です。明らかなケガ人がいれば当然「人身扱い」ですが、ケガが軽い、念のため1回だけ診断を受けてこよう・・・実際このような場面の方が大多数と思います。その場合、立ち合いの警察官がどちらにするか聞いてくるのです。迷っているとお巡りさんは「とりあえず物損扱いにしておきます。人身にするなら後で連絡して」と去ってしまいます。なぜなら警察は人身事故として受理すると、自動車運転過失致傷罪、つまり刑事事件として捜査をしなければならず、実況見分調書・供述調書などの刑事記録を作成して、検察庁へ送付しなければなりません。刑事記録の作成は、司法警察職員という資格を持った警察官でなければならないため、立ち合った交通課の警官が資格がない場合や、書類の作成が面倒などの理由で敬遠されがちなのです。 また加害者側へのペナルティも関わります。物損扱いなら罰金や減点はありません。しかし人身となると「刑事罰」の対象となります。さらに免許の点数が減点される「行政処分」が課されます。これはこのシリーズ中、表にまとめますね。
このように病院へ行くならなるべく「人身扱い」が良いのすが、何かと周囲の影響を受けます。
★ よくある間違い
追突してしまいました。被害者は大したことはないようなのですが、後になって治療費を請求されるかもしれません。運転の仕事をしていることもあり、なるべく物損扱いとしたいのですが、人身事故扱いにしないと保険がでないと言われました。
原則として、物損事故では保険会社の対人賠償は生じません。しかし人身事故と言っても数回の通院で済む軽傷事故が大多数なのです。すべて律儀に人身事故にしていては警察もパンクします。保険会社も杓子定規な対応はできません。そこで物損の事故証明に「人身事故取得不能理由書」を添付し、物損事故にとどめた理由を説明します。これによって治療費や休業損害など傷害の支払いを可能とします。これは自賠責保険の請求でも同じです。 人身扱いとしなかった理由の多くは「軽微なケガであったため・・」となるはずです。では大ケガの場合、問題が生じるのか?実際は後遺障害を残すような事故でも物損証明+人身事故取得不能理由書で通しています。これは調査事務所も審査する際、「今更、届出を変更できないし、事実障害があるのだから・・」としているようです。本音と建前の世界ですが、相当の治療が必要なケガの場合は必ず人身事故とすべきです。
人身事故取得不能理由書→http://www.jiko110.com/topics/syoshiki/higaisya_seikyu/1-12.pdf
交通事故でケガをしました。直後から被害者はこれから治療と並行してさま様々な事務手続きを強いられます。周囲に相談できる詳しい人がいればよいのですが、ほとんどがそれぞれの窓口で一つ一つ聞きながら進めていきます。自動車保険の代理店さんなどが手伝ってくれれば良いのですが・・それでも結構大変です。また正確な答えを示してもらえないこともあります。各手続の窓口の人でさえ、間違った知識で対応することもあるのです。したがって「よくある間違い」も適時、挿入します。 ケースbyケースの時も多々ありますが、今日からシリーズで基本的な手続きを説明していきます。
ご自身が被害者となり、ケガを負ったケースを中心に進めていきますが、加害者の義務にも触れておかねばなりません。事故が起きて、まず何を優先すべきか?以下3つを行います。
1、被害者の救護 2、安全措置 3、警察への届出
けが人が道路に横たわったままでは危ないです。危険回避のため、路側帯に移動させます。また一刻も早く救命措置が必要の場合、止血や人工呼吸も必要です。これについては周囲に人がいれば、助けを求めることも重要です。同時に救急車を呼びます。車両は路側帯に停止させ、停止表示を置く、発煙筒を焚く、トランクを開けるなど後続車による2次的な事故を防ぎます。基本は救命と安全措置です。
以上が確保されたら、警察への報告をします。これは人身事故でも物損事故でも同じく、道路交通法に定められています。
第七十二条 交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
このように、負傷者の救護、安全措置、警察への報告(下線)の3つが定められています。
最後に自動車保険に加入していれば、保険会社に連絡します。アメリカでは先に弁護士に連絡ですが、日本はまだそこまではいってませんね。
★ よくある間違い 1
軽い追突事故に遭いました。特にケガもないようで、加害者も「後で見積もりを送ってくれれば修理費を払うよ」と言っています。そこでお互いの連絡先を交換してその場は分かれました。急いでいたので警察への届け出はできませんでした。
これはつまり先の道路交通法72条違反です。事故の軽重に関わらず、報告しなければなりません。そうは言っても急いでいるときなど面倒なケースもあります。その場合は警察に電話をして事情を説明し、後日、当事者双方で出頭すればOKです。しかしそれが許されるのは「事情」の内容によります。仕事で急いでいた、飛行機に間に合わない、などは考慮すべき事情とはなりません。命に係わる急病、出産などで急いでいるなどに限定されます。
★ よくある間違い 2 軽い物損事故でしたが届け出をしたら、交通課のお巡りさんが「(届け出をして)事故証明がでないと保険が下りないのでしょ、何とかならないの(=続きを読む »
今日は横殴りの雨で、傘をさしていてもスーツがびしょ濡れでした。雨風に桜の花びらも交じり、まさに春の嵐!
東京の桜は散ってしまいましたが、今月も長野、甲府出張にて開花に当たりそうです。だから出張はやめられません。
さて先日、食道、胃の不調から病院で胃カメラ検査をしてきました。特に痛みがあるわけではないのですか、さすがに若くないので、多少の違和感でも心配です。銀座のど真ん中にある、とてもおしゃれな病院で、女医さんや看護師さんもとても丁寧で親切でした。いつも仕事で訪問する整形外科とは大違い(?)です。
初の胃カメラですが、検査中モニターで視認できます。医師の説明を聞きながら進めますが、質問したくても口はふさがれています。「綺麗なサクラ色ですよ~」などと褒められて複雑な心境です。 さて、肝心の結果ですが、胃潰瘍の中レベルが検出されました。より詳細に言うならば「逆流性胃腸炎」から発症しているようです。特に重度ではないので、お薬で完治するようです。問題なのは生活習慣の改善です。食事の時間が超不規則、寝る前に食事をとる、睡眠不足、ストレス、過度の飲酒、これらはご法度だそうです。なかなか難しい課題ですが、健康管理もプロの仕事、「しっかり守ります、先生」と言って病院を後にしました。
毎度、被害者の皆様から医療写真の提供、協力をいただいておりますので、たまには自らも写真公開します。
交通事故被害者が痛み止めのロキソニンを服用した際も、胃壁が荒れることがあります。ムコスタを同時に服用するのは胃壁の保護・修復のためです。ムコスタはそもそも胃潰瘍のためのお薬です。
数年前、風邪をおして4ステージを歌ってひどく喉を潰したことがありました。ボイストレーナーによるとELTの持田香織さんが声を壊したときと同じ症状とのこと。ポリープがあるかも?と思っていましたが、写真のように大丈夫のようです。
本日、苦い結果を受け取りました。
手指のしびれが深刻な被害者さんです。過去3つの病院でそれぞれ「手根骨骨折」、「頚椎捻挫による末梢神経障害」、「肩腱板損傷」と診断され、しびれの原因が特定されない状態ながら、一番重い後遺障害等級が取れそうな「肩腱板損傷」を主訴として別の事務所に委任し、申請を行いました。14級9号は認定されたのですが、しびれは評価されませんでした。その後、手の専門医を受診、「手根管症候群」が新たに判明し、その評価を求めて異議申立をしました。ここまで受傷から2年以上経過しています。 結果は前回同様14級9号、「手根管症候群」は一切無視されました。
さて、調査事務所はなぜ異議申立てを認めなかったのでしょうか。
まず、いくつかの病院でしびれの原因が間違っていた、もしくは特定できていなかったことが挙げられます。これは被害者に非はないことですが、そのような状況であるにもかかわらず漫然と治療してきたことは責められます。医師も人間ですから間違えることもあり、また症例の経験から医師によって違う診断を下すことがあります。そのような時は専門医に早くから受診し、しかるべく検査をした上で、確定診断に漕ぎ着け初回申請に臨むべきです。症状固定日以後、ましてや受傷から2年も経ってから専門医の受診をしても遅すぎるのです。自分のケガを治すのに一番努力しなければいけないのは当然ながら被害者自身です。
本件の審査について調査事務所はこう考えます。「ははぁ、「肩腱板損傷」で12級が取れなかったので、今度は「手根管症候群」ね、次は「胸郭出口症候群」で来るぞ。」・・・このように被害者が保険金目的で傷病を取り上げてきているものと疑うのです。申請ごとに傷病名が変わるようでは、あたかも「後出しじゃんけん」と思われてしまいます。実際は単に診断力のない医師に症状を見逃され続けただけであってもです。これでは被害者がかわいそうです。しかし傷病名がコロコロ変わる、受傷から1年以上たってから新しい傷病名がでてくる・・・このような被害者は間違いなく疑われます。昔から「李下に冠をたださず」と言われているように、不自然な治療経過をしてはいけないのです。
私もできるなら時間を巻き戻してなんとか助けてあげたいと思います。しかし治療経過は厳然たる事実として残り、仮にそれが間違っていたとしても、医師は自らの診断権に基づいて下した診断の誤りをそうは認めません。
被害者には病院の選択と治療の努力が求められます。厳しいようですがこれが現実です。
一年は1月から始まりますが、新入学、新学期など4月スタートの刷り込みでしょうか、春から一年が始まる感覚も捨てがたいところがあります。 日々の業務に追われて新しいアイデアを練る、新機軸を打ち出すことができないジレンマの毎日ですが、病院へ行き先生方とお会いし、相談会害で相談者さんたちと向き合うことが一番の基本業務であることは間違いありません。しかし如何せん体が足りない!!
新年度からは被害者救済の志を持ったメディカルコーディネーターを発掘、育成することも急務です。そしてなんと言っても弁護士先生の力がまだまだ必要です。弁護士の代理交渉を前進させて被害者救済事業と発展させねば、あまねく被害者を救うことができません。この業界に参入している者がそれぞれの都合、スタンスでバラバラに動いていては、いつまでたっても保険会社主導の交通事故業界は変わりません。それだけ保険会社の浸透は深く強固です。
交通事故賠償における保険会社の功罪の2面性、良い面は加害者対被害者の紛争化の拡大を防ぎ、一定の社会秩序をもたらしていることです。悪い面は裁判判例の賠償基準に比べ、著しく低額の支払い基準がまかり通っていることです。大多数の小損害事故に対して、穏便な解決が図れていることは重要な社会的寄与と思います。反面、後遺障害を伴う深刻な被害者の多くは半分程度の賠償金額で泣き寝入りの状態です。これに対し行政指導はなく、法律業界からの苦言も効果がありません。それは保険会社が一民間企業で営利会社であるからです。この構造はそう変わものではありません。資本主義社会において、保険会社だけに被害者救済の公共性を強く求めることに限界があります。だからこそ被害者側に立つ業者も、草の根からコツコツ努力を積み重ねなければなりません。
目の前の一被害者を救うことも、交通事故業界全体の大きな視点に立って考え行動することも、結局は目標が一緒です。それをどのようにバランスの良い両輪システムとするか?これが新年度の課題と思っております。話が大上段かつ抽象的で短い文面では説明しきれませんが、これを新年度の抱負としたいと思います。
まずは・・・本日、健康診断に行ってきます。健康第一!
骨折や靭帯損傷など目に見える「器質的損傷」がない、あるいは微妙なケース、筋電図や検査数値で異常が検出されないもの、これらは他覚的症状がないものとして後遺障害は認められません。しかしながら治療状況、症状の推移から、一定の障害があると推測できるものには14級9号認定の救済(?)が果たされます。
自賠責の認定基準は以下の労災の認定基準に準じています。
そして「局部の神経症状」について、以下のように労災の認定基準が定められてます。
14級9号 局部に神経症状を残すもの 労働には通常差し支えないが、医学的に説明可能な神経系統又は精神の障害を残す所見があるもの。医学的に証明されないものであっても、受傷時の態様や治療の経過からその訴えが一応説明つくものであり、賠償性神経症や故意に誇張された訴えではないと判断されるもの。 医学的に証明しうる精神神経学的症状は明らかではないが、頭痛、めまい、疲労感などの自覚症状が単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの 労働には差し支えないが、医学的に証明できる神経症状をいう。 知覚障害、局部のしびれ感、麻痺があるとき、それがレントゲン写真・CT写真・脳波検査・脳血管写・気脳写・筋電図等の検査によって証明される場合。自賠責は下線部に書かれているように、受傷機転、治療経過から説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されれば、14級9号が認定されます。この解釈に多くのむち打ち被害者は救われています。しかし、治療期間において任意保険会社に詐欺まがい・非常識な請求をした、担当者と大喧嘩した、精神病的な症状となり治療が長引いた・・これらの被害者は、「説明できる・推定される障害」とされない可能性が高まります。自賠責調査事務所はそのような情報を調査権限に基づいてキャッチするからです。
もちろん詐病者や大げさな症状を訴える被害者を排除することは良いことですが、逆を言えば審査する担当者によっていかようにも判断できる危険性をはらんでいます。
14級9号が認定されるであろう被害者、認定が危ない被害者について、事前に受傷からの治療状況を聞けば、私たちはほぼ予想がつきます。対して、JA共済の判断にはびっくりさせられることが多いように思います。自賠責共済ではなく、自賠責保険なら、認定は「損害保険料率算出機構・自賠責損害調査事務所」で行います。
しかし、JA自賠責共済は、各都道府県のJA共済連にて独自に審査を行います。
自賠責保険の調査事務所は一応、第三者機関ゆえ、公平中立である? という議論は別として、JAは単なる身内審査ではないか! 農協の職員に高度な医学的判断ができるのか! このような批判も挙がって良いと思います。 共済連の審査が独自と言っても根拠法は自賠法であり、その認定基準は同じく労災に準じています。しかし、どうも判断の自由幅が自賠責保険調査事務所より広く感じます。普通に14級9号が推測→認定される案件も、なぜかばっさり非該当とされることが多いように思います。また、どう考えても自賠責の基準上、間違っている判断も目にしました。
JAは任意保険でも他損保と一線を置いた対応を見せます。損保は良くも悪くも横並び意識が強いので、対応・判断が読みやすいのですが・・・。
やはり、JAの身内審査は不公平であり、何故、そのようなことが許されているのか疑問を感じています。 ★ 本記事は2013.3月投稿です。 現在、JAの後遺障害審査は自賠責保険・調査事務所へ委託されました(喜!) 詳しくは ⇒ 朗報! ついにJAが自賠責審査をやめる!
長野県の小諸を拠点に、上田、佐久の病院へ被害者同行です。長野県では高次脳機能障害の検査が可能な病院を2か所把握しております。病院の検査体制の確認や医師の協力を乞うためには、ドクターとの面談が「いろはのい」です。また先月の相談会では時間の関係から十分にお話を聞けなかった被害者さん、ご家族と病院内のレストランでじっくり打ち合わせをしてきました。
この地方も県内有数の温泉地です。駅前のビジネスホテルでは興ざめ、しっかり宿を選びました。
【事案】
追突事故により受傷したもの
【問題点】
・初回申請は別の行政書士に依頼しており、非該当となっていた。
・治療機関が長期にわたっており、治療状況の精査が困難であった
・近々に、海外へ留学に行く予定のため残された時間が限られていた
【立証のポイント】
治療実績を今一度精査して、治療期間の空白がないかを徹底的に調べた。症状の一貫性・治療の連続性を改めて医証により補完し、異議申立を行う。異議申立においては、医学的な観点はいっさい触れず、徹底的に症状の一貫性と治療の連続性を有することを訴えた。無事に14級9号が認定された。
(平成25年3月)★ チーム110担当
【事案】
自転車で走行中に、横から走行してきたトラックにはねられ、頭部を受傷したもの。
【問題点】
・広島での事故であり、引っ越し前の医証がすべて広島にあった
・広島での入院・通院中には神経心理学検査がまったく実施されていなかった
・性格変化、自発性の低下、記憶障害、遂行機能障害が特に顕著な症状であり、性格変化をどう客観的に評価していくか?という点が難しい点であった
私は弁護士事務所の受任率に注目しています。とりわけ後遺障害案件の受任率を注視します。
交通事故で大きな収益を上げている事務所は後遺障害案件の受任率が高い。このような事務所は事故相談の場面でも被害者さんが即断、契約します。つまり「等級が取れてからまた来て」などとせず、しっかり初期対応ができる上、後遺障害等級を獲得する実力が評価されたからです。
実力のある事務所は物損のみの事故、加害者側の依頼は極力引き受けません。やはり後遺障害案件が中心です。重篤な被害者の救済を第一に考えていることもありますが、後遺障害を伴う被害者は賠償金額が大きく、弁護士の収益も大きいからです。弁護士にかかる費用を考慮すれば、軽い損害の事故は保険会社に任せるべきで、代理人を用いるべき仕事ではないと言えます。
交通事故に特化し、多くの被害者を救い、結果として大きな収益を上げるには、後遺障害の獲得にかかっていると思います。交通事故の支払保険金額の85%が後遺障害の損害額なのです。交通事故に真剣に取り組むのであれば、答えは明快です。「後遺障害等級獲得に強い」事務所になることです。そのためにも「受傷直後から受任」しければなりません。一人で保険会社と対峙する被害者は正しい誘導を失い、等級を取りそびれることが多くなるからです。
後遺障害が見込まれる被害者であれば、病院同行、医師面談、検査誘致が重要な作業となります。この場面こそメディカルコーディネーター(MC)の仕事が必要とされます。弁護士事務所内、もしくは外部でMCが活躍すれば、飛躍的に後遺障害案件の受任率は伸びます。これは昨年の連携先事務所の数字で如実に表れています。
「すべて着手金無料」、「画一的な報酬設定」では後遺障害を獲れる事務所にはなりません。また学習を積んだ被害者にも見透かされます。
過払い利息金返還請求、いわゆるクレサラ業務で大きな収益を上げた弁護士事務所は、次の分野として交通事故に注目しています。しかしクレサラ方式で参入できるほど、交通事故は甘くありません。合理性で臨んでも長続きしません。後遺障害獲得能力を磨かないため、いつまでたっても軽傷ばかり受任し続け、宣伝費ばかりが増大していきます。 そして保険会社はとても手強い相手です。東京海上や損保ジャパンは武富士やアコムではないのです。決して潰れませんし、何があっても保険会社はしっかり利益を得ていきます。対して重篤な案件が少ないため、めったに訴訟をしない弁護士は交渉能力が伸びません。実力がないから重傷被害者は来なくなる悪循環。結果として撤退は目に見えています。
交通事故業務は被害者救済事業であると認識していただければ、おのずと道は定まるはずです。私たちも本気で交通事故に取り組む事務所、志のある弁護士との連携を求めています。私たちMCは初期対応と後遺障害認定、この分野で汗をかく準備ができています。そのシステムが長じれば「被害者側の交通事故サービスセンター」が形成されるはずです。サービスセンターとは保険会社の事故処理部門の呼称です。この加害者側のセンターばかりではなく、潜在的に被害者側にもセンターが求められています。受傷直後から被害者を解決まで担当する体制・・これを弁護士が担わなければ、誰が担うのでしょうか?
日本全国の弁護士事務所に、とりわけ交通事故に取り組む弁護士先生にこのシリーズの主張を強く訴えていきたいと思います。そのために今夏を目標に『交通事故・初期対応マニュアル』の執筆を予定しています。まずは被害者救済業務の技術、ノウハウを全国的に披露しなければなりません。