前回に続きます。まず下線部を解説します。

 保険会社にも6000万円の賠償を、とあります。これは被害者側に人身傷害特約(おそらくご家族加入の自動車保険)が加入されており、そこから6000万円の支払いを受けていたことを示します。保険会社もこの既払いにつき、加害者に求償を行うべく、この裁判に訴訟参加したものと思います。

 そして注目すべき論点が2つあります。

① 保険会社の人身傷害が9500万円の判決額全額を支払わない点です。

 人身傷害は保険会社の約款で「当社の基準で計算した額を払う」とありますので、普通は対人賠償とほぼ同額の基準で計算されます。つまり裁判の判決額はそれよりもはるかに高額な基準で計算されます。その差は2~3倍に及びます。この人身傷害が限度額(6000万円)いっぱいであれば問題はないですが、1億や無制限だったら・・・。

 私は判決額が決定したら、この判決額9500万円全額を保険会社に請求すべきと思います。 もちろん、保険会社は「当社の基準で支払うと決まっているので・・」と反論しますが、今まで同様のケースで判決額を全額請求した結果、なぜか保険会社は自社基準額を押し通さず、判決額を渋々支払います。人身傷害の支払基準は司法を介すると玉虫色となるのです。

 これは2年前、人身傷害の求償額をめぐった裁判で、「被害者救済上、約款基準より判決額を重視した」判決がでています。以降、保険会社は建前(約款)上は自社基準、司法が絡めば裁判基準とし、人身傷害の支払い基準は混とんとしたままなのです。

 この問題は「そして無保険車傷害は(人身傷害特約に)吸収された」のシリーズの続編として後日書きたいと思います。

★ しかし本件の場合、既払額6000万円はきりが良すぎる数字です。保険会社は既に契約限度額まで支払ったのかもしれません。ただし契約限度額=6000万円は半端な数字です。人身傷害特約は最低3000万円から無制限まで限度額を決めて契約しますが、もっとも多いのが5000万円、次に3000万円です。1億や無制限はかなり少ないはずです。したがって6000万円ちょうど、もしくはそれ以上の契約額もちょっと考えずらい。

 もしかしたら家族の車2台の人身傷害特約がそれぞれ限度額3000万円で、両方の限度額の合計6000万円を支払ったのかもしれません。であるならば既に支払った保険金で限度額いっぱいとなり、判決額全額を請求する議論とはなりません。  

② 現在の人身傷害特約では「自転車対歩行者」事故に関して、多くの保険会社は無責です。

 本件事故は今から5年前です。当時は自転車搭乗中のケガ、自転車による被害事故も対象となっていましたが、現在多くの損保会社はこれを補償から除外しました(三井住友、あいおいニッセイ同和、AIG、日新、全労災は補償範囲を堅持)。歩行中、自転車搭乗中のケガでは相手が自動車でなければ補償の対象外なのです。もしこの事故が現在に起きれば、被害者女性に支払われる賠償金に対応する保険は無く、加害者親子に丸々9500万円賠償金の支払いが請求されることになります。

 近年自転車の加害事故も重大化、賠償金も高額化しています。道路交通法上、自転車は軽車両となっております。自転車もある意味、自動車扱いなのです。再び人身傷害特約でこの部分も補償してもらえないものか・・・本件のような被害者はもちろん、加害者にとっても悲惨な事故から切に望まれます。

続きを読む »

親に9500万円賠償命令 少年が自転車で人はねた事故

 自転車で女性(67)をはねて寝たきり状態にさせたとされる少年(15)=当時小学5年=の親の賠償責任が問われた訴訟の判決が4日、神戸地裁であった。田中智子裁判官は「事故を起こさないよう子どもに十分な指導をしていなかった」と判断。少年の母親(40)に対し、原告の女性側と傷害保険金を女性に支払った損保会社に計9500万円を賠償するよう命じた。  判決によると、少年は2008年9月22日夜、神戸市北区にある坂をマウンテンバイクで時速20~30キロのスピードで下っていた際、知人の散歩に付き添い中の女性に衝突した。女性は頭の骨が折れ、現在も意識が戻っていない。  判決は「少年の前方不注意が事故の原因」と認定。少年側は「危険な走行はしておらず、日頃から指導もしていた」として過失責任を否定したが、判決は母親が唯一の親権者としての監督義務を十分に果たしていなかったと判断した。そのうえで、女性が事故に遭ったために得ることができなくなった逸失利益や介護費などを考慮し、母親には女性側へ3500万円、損保会社へ6千万円の賠償責任があるとした。 (25.7.5 朝日新聞より)

   本件は少年(15歳)の親御さんに「親権者責任」をずしりと科した点がポイントです。裁判では”親権者としての監督義務がちゃんと行われていたか否か”が争われました。でもどう考えても少年の事故における過失と、親の日ごろの指導は直接結びつかないように思います。つまり直接、事故に関与したわけではないが、少年に事故の責任がある以上、民事上の損害賠償責任を取るのは少年に代わって親、ということが本音でしょうか。確かに被害者側にとっては、「少年に支払い能力がないからチャラ」といわけにはいかないでしょう。

続きを読む »

【事案】

信号待ちをしていたところ、後方から2トントラックに追突され、その勢いで前方の自動車に追突し受傷したもの。

【問題点】

・兵庫県からの遠距離サポート ・自宅の最寄りの整形外科にしたが、診察時の主治医が怖くて不安との声

 

【立証のポイント】

福岡の相談会にお呼びして被害者の不安をお聞きし、相談会の翌日に、治療初期でしたが、医師面談を行った。治療早期は、治療開始時期であり、医師面談するのが良いか悪いか、判断が分かれるところだが、ケースバイケースと考えます。問題の医師は私も怖くて不安を感じたので、協力的と確信出来る医院に即、転院して頂いた。半年間、快適に安心して信頼できる医師の元で通院するのは、治療効果の上でも大切な事と考えます。

転院先の主治医は優しく協力的で、十分な治療を受けて頂いた。 症状固定日には、再び福岡に訪れ後遺障害診断書の作成を医師に依頼したところ、非常に協力的に承諾下さり、問題なく14級9号が認定された。

(平成25年7月)

続きを読む »

【事案】

横断歩道を歩行中、自動車が接触し転倒して受傷したもの。

【問題点】

・相談会でお越しになった際に、現主治医に対する不信感を訴えていた。

【立証のポイント】

相談会にて契約後、被害者の不安を確認すべく、迅速に医師面談を行った。問題の主治医は、医師面談の面談料はしっかり請求しながらも、面談自体は2分しないうちに、診察室から私自身を追い出しまともな話はほとんどさせてもらえなかった。

その後すぐに、被害者の通院可能地域で協力的な開業医を紹介し、転院して頂いた。協力的な医師の元、安心して通院して頂き、症状固定時には丁寧な後遺障害診断書の作成を医師に依頼したことにより、何の問題もなく14級9号が認定された。

(平成25年6月)

続きを読む »

行政書士法1条

第一条の二  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。 2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

 

 この下線部によって、行政書士に役所への申請書類の代書、代理提出以外にも、一般的な法律書類も含んだ代書権がありとされています。ここで注意が必要なのはすべての法律書類ではありません。「権利義務、事実証明」に限定されています。これが弁護士と行政書士の仕事の境界線となります。  これは「事件性の必要説、不必要説」と呼ばれる学説の対立に及ぶ話なので、本一冊では済まなくなりますのでスルーします。大まかな対立は、過去の判例で、「法律書類は弁護士のみ:A説」と判決されたこと、「もめごとに発展するまでは他士業でもOK:B説」とされたこと、この2つの説の対立につきます。現状は決着がついたとは言い難いようです。 実例で話を進めましょう。   

続きを読む »

【事案】

自転車で走行中、信号のない四つ角で出合いがしらの衝突。

【問題点】

頭蓋骨骨折による平衡機能障害があるも、その点に関してあまり積極的に立証されていないまま、症状固定直前でのご相談。 【立証ポイント】

総合病院に通院して見えたので、そこの耳鼻咽喉科を紹介してもらい医師面談。協力的な先生でしたが、検査機械があまり充実していないため、検査が可能な病院をさらに紹介していただく。紹介先で何度も先生と打ち合わせして、何とか事故後のめまいが立証できないか話し合う。当初通院していた脳神経外科と2枚の後遺障害診断書を付けて申請、顔面醜状痕で9級16号、平衡機能障害で12級13号、併合8級が認定される。

※ 併合のため分離しています

(平成25年3月)  

続きを読む »

【事案】

自転車で走行中、信号のない四つ角で出合いがしらの衝突。

【問題点】

頭蓋骨骨折による平衡機能障害があるも、その点に関してあまり積極的に立証されていないまま、症状固定直前でのご相談。

【立証ポイント】

総合病院に通院して見えたので、そこの耳鼻咽喉科を紹介してもらい医師面談。協力的な先生でしたが、検査機械があまり充実していないため、検査が可能な病院をさらに紹介していただく。紹介先で何度も先生と打ち合わせして、何とか事故後のめまいが立証できないか話し合う。当初通院していた脳神経外科と2枚の後遺障害診断書を付けて申請、顔面醜状痕で9級16号、平衡機能障害で12級13号、併合8級が認定される。

※併合のため分離しています

(平成25年3月)  

続きを読む »

【事案】

自転車で走行中、脇道から出てこようとしている車を確認するも、車が減速したため直進すると、 急に加速してきて衝突される。

【問題点】

通院していた整形外科では、半月板に関してあまり積極出来ではなかったので、 検査目的で通院していた総合病院で医師面談し、診断を仰ぐ。

【立証ポイント】

通院していた整形外科で、総合病院の医師の所見を後遺障害診断書に記載頂き、 頚椎捻挫14級9号、腰椎捻挫14級9号、半月板損傷で14級9号認定となる。

(平成24年12月)

※併合のため分離しています

続きを読む »

【事案】

自転車で走行中、脇道から出てこようとしている車を確認するも、車が減速したため直進すると、 急に加速してきて衝突される。

【問題点】

通院していた整形外科では、半月板に関してあまり積極出来ではなかったので、 検査目的で通院していた総合病院で医師面談し、診断を仰ぐ。

【立証ポイント】

通院していた整形外科で、総合病院の医師の所見を後遺障害診断書に記載頂き、 頚椎捻挫14級9号、腰椎捻挫14級9号、半月板損傷で14級9号認定となる。

(平成24年12月)

※併合のため分離しています

続きを読む »

【事案】

自転車で走行中、脇道から出てこようとしている車を確認するも、車が減速したため直進すると、急に加速してきて衝突される。

【問題点】

通院していた整形外科では、半月板に関してあまり積極出来ではなかったので、検査目的で通院していた総合病院で医師面談し、診断を仰ぐ。 【立証ポイント】

通院していた整形外科で、総合病院の医師の所見を後遺障害診断書に記載頂き、頚椎捻挫14級9号、腰椎捻挫14級9号、半月板損傷で14級9号認定となる。

※併合のため分離しています

(平成24年12月)  

続きを読む »

【事案】

優先道路をオートバイで直進中、脇道から出て来た車に衝突される。

【問題点】

下肢の醜状痕と、下肢の神経症状でどこまでの等級が獲得できるか。

【立証ポイント】

何度も主治医と面談し、どのような検査をすれば下肢の神経症状が残存している事を証明できるか打ち合わせをする。こちらがオーダーした検査を、すべて快く行っていただけた。手術中の写真もお貸し頂き、万全の態勢で申請。

下肢醜状痕で12級相当、下肢の神経症状で12級13号、併合11級が認定される。

※併合のため分離しています

(平成25年1月)  

続きを読む »

【事案】

優先道路をオートバイで直進中、脇道から出出来た車に衝突される。

【問題点】

下肢の醜状痕と、下肢の神経症状でどこまでの等級が獲得できるか。

【立証ポイント】

何度も主治医と面談し、どのような検査をすれば下肢の神経症状が残存している事を証明できるか打ち合わせをする。 こちらがオーダーした検査を、すべて快く行っていただけた。 手術中の写真もお貸し頂き、万全の態勢で申請。 下肢醜状痕で12級相当、下肢の神経症状で12級13号、併合11級が認定される。

(平成25年1月)

※併合のため分離しています

続きを読む »

【事案】

自動車を運転中、渋滞で前の車が停止したため自身も停止したところ、後ろから追突される。 20120822 【問題点】

自身で後遺障害の申請するも非該当で、そのまま示談の話し合いをしている段階でのご相談。

症状固定からかなりの期間がたつが、固定後の通院実績がほとんどない。

【立証ポイント】

きちんと見てくれる整形外科を紹介し、転院していただく。

しばらく通院したのち、間違いのない診断書を作成していただき申請、14級9号が認定される。

(平成25年3月)★ チーム110担当   

続きを読む »

 私は一応、行政書士資格にて仕事をしていますが、交通事故業務でこの資格を根拠をして行う事務は非常に限定されています。やはり交通事故業務は弁護士の代理権のもとに行うことが適法ですし、また全面的な被害者救済を果たすにもっとも合理的と思います。  そうは言っても交通事故取り巻く環境は有象無象、様々な業界の人が介入し、かなり曖昧であるのが実状です。そして毎年のように非弁行為で捕まる示談屋さんはもちろん、行政書士や各士業者が後を絶ちません。

 研修では「できること、やってはいけないこと」を説明することから始まります。退屈ですが法律解釈の時間もとります。いくつか触れてみましょう。

弁護士法72条

第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。  簡単に言うと「お金をもらって、人様に代わり、もめごとの解決をできるのは弁護士だけ」ということです。これはもめごとに介入してお金を取る示談屋さんを違法とし排除する根拠法となります。もちろん無償で相談に乗ることは問題ないのですが、それで代金を取ってはこの72条違反を構成します。日常、人のあるところもめごとは存在しますが、もめごと=紛争性の高い事件の仲裁はお金になるもので、大昔から仲裁屋、示談屋が存在するのです。 

 しかしすべての代理権がこの法律によって弁護士のみとされていては、回らなくなるのが世の常です。他士業もその業務の専権内である程度の権利を確保しています。それを許すのが下線部の例外条項です。例えば簡易裁判所にて訴額140万までの事件は司法書士にも代理権が認められています。同様に労災申請の代理は社労士に、税金の代理申告は税理士に。もちろん行政書士にも一定の法律文章について代書権が明文化されています。

 明日に続く

続きを読む »

 本日からMC(メディカルコーディネーター)の研修も並行して行います。

 研修と言っても座学での講義はわずかです。現場へどんどん行きます。実際に病院同行をすることによって自ら問題点、疑問点を浮き彫りにします。それから「調べる」→「質問する」→「解決する」→「経験則とする」。この過程をOJTにより繰り返します。このように経験を通して脳を鍛えなければ何も得ることはできません。経験の伴わない知識など役に立たないからです。

 昨年、大型法人弁護士事務所にて補助者にMC研修を行いましたが、まさにこの手法、病院同行に随伴してもらい現場で教えていきました。依頼者=被害者を初期から担当することは、交渉力にすぐれた弁護士とは別に、きめ細やかな感性をもった人材が被害者に寄り添いフォローしていくことが理想です。この事務所でも優秀なMCが育っています。

 この経験を生かし、人材をどんどん養成していきたいと思います。そしてかねてよりの目標でもありました、研修プログラム、初期対応マニュアルの作成を同時進行で進めていく予定です。

 交通事故被害者の過酷な環境を改善する者は、一に保険会社、二にMC、三に弁護士  ・・・このような図式の確立が夢なのです。

続きを読む »

 私は学校を卒業後、直ちに損保業界に入り、その後、一貫して交通事故分野一筋でやってきました。最近、依頼者さんから質問を受けました。    「秋葉さんはなぜこの仕事を選んだのですか?」    この質問には即座に答えることができます。この機会に少し語りましょう。    損保会社勤務の時、担当する顧客さまの御嬢さんが自転車でおばあちゃんにぶつかり、骨盤骨折をさせる交通事故がありました。この顧客さまの契約に個人賠償責任保険が付帯されており、この保険を使っておばあちゃんへの賠償を行うことになりました。このおばあちゃんは御年80歳、このケガから排尿障害や歩行不能となり、ほぼ寝たきりの状態になってしまいました。ご家族は会社員のご長男のみ。対して担当する顧客様(加害者側)に個人賠償責任保険の加入があり、最高3000万円まで支払えます。

 その後、10か月を超える治療を行いましたが、回復の兆しはありません。ついに、治療の長期化を懸念する保険会社の指示のもと、治療費打切り=示談の運びとなりました。事故後、数度にわたり顧客様(加害者)と謝罪に訪れ、それなりに馴染んでいる私が示談交渉に同席しました。

 最近の個人賠償責任保険はある程度、保険会社の示談代行が可能となりましが、この時代は示談代行ができず、顧客様が示談交渉を行います。しかし、示談金がいくらになろうとも支払額は保険会社の認定額までです。つまり、保険会社の認定額以上の示談金は顧客負担となってしまいます。したがって、心配なので営業担当ながら私も同席し、示談交渉を手伝います。これは実質、担当者である私が示談代行(代理交渉だと違法です。保険会社の人間はあくまで「代行」なので違法ではないと解釈されています)をすることになります。

 そこで被害者親子に保険会社の提示額320万円の説明を行い、「申し訳ありません。これ以上支払いはできません」とひたすら土下座です。

 対して、心優しい親子は、    「秋葉さんがそう言うのなら仕方ないです。それで示談でいいです」と・・・。    会社に戻り、支払担当者から「秋葉くん、よくまとめてくれた!さすがだね!」と賛辞の嵐、支払部門は大喜びです。このように保険会社時代、営業担当でありながら、いくつもの交通事故を解決させました。

 この被害者さんは、骨盤骨折癒合不良による股関節の可動域制限、排尿障害で併合9級(自賠責基準で616万)となるような障害です。介護料なども勘案すれば少なくとも2000万程度の損害賠償が見込まれます。しかし、後遺障害のことなどまったく触れずに示談成立です。

 当時は現在のように後遺障害、賠償の知識がありませんでしたが、320万はあり得ない、その倍額位にはなるのでは?と思っていました。これからおばあちゃんはどのくらい苦しむのだろう・・・息子さんは介護のために仕事を犠牲にするのだろうか・・・それとも自費で介護を行うのか・・・320万では焼け石に水です。    もうね、嫌になったのですよ、保険会社側の仕事が。    このようなケースは決して珍しくありません。交通事故の実際とは、そして保険会社とは・・・時に被害者にとって大変厳しいものなのです。もちろん、保険会社の存在が、広く被害者を助けている現実は承知しています。それでも、重傷者の多くは十分な損害の立証を経ないまま、余りにも低い賠償金で解決されています。被害者が損害の立証方法や賠償額の相場を「知らない」が故、320万円で許すと言えば確かに民事上の契約成立=示談です。なんら違法ではありませんし、安い支払いに抑えることが営利企業である保険会社の望ましい立場です。それはわかっています。そこで割り切れるか否か、先のような経験が少なければ損保業界に残っていたでしょう。残念ながらそのような経験の数は多く、私は割り切れませんでした。しばらく腐って仕事はそこそこに、ロックバンドに加入、ライブ活動中心に生きていました。  

 それからなんだかんだで10数年、腐ったままにはあまりにも長い年月を経て思い立ちました。保険会社は確かに被害者を助けていますが、それはあくまで加害者側の責任を全うすることであり、契約者である加害者を助ける仕事です。結果として、反射的に”広く浅く”被害者を助けているに過ぎません。    そこからこぼれた被害者を担う、”狭く深く”助ける人も絶対に必要です。どうせ仕事をするのなら、そこで仕事をしよう!・・・そして現在に至るのです。    今なら、先の親子のために後遺障害9級の認定を行ない、弁護士と共に1000万を超える額を得るために戦うでしょう。    これが私の原点です。保険会社の社員・関係者は国内に10万人、少しくらい被害者の味方になっても良いと思います。

 すべての仕事に共通しますが、「志」のない仕事は単なる金儲けです。この精神を来月から研修を受け持つ後進に伝えていきたいと思います。  

続きを読む »

 本日は足首(距骨)の骨折で足関節が良く曲がらなくなった被害者さんの病院同行です。

 相談会に見えられたときにはすでに後遺障害診断書は完成しており、他動値は以下の通り・・・ 健側:左             患側:右  (けがをしていない方)    (けがをした方) 背屈 10°  底屈 35°    背屈 10°  底屈 30°                 さて以下の表と比べてみましょう。 

部位

続きを読む »

【事案】

横断歩道を歩行中、右折車と衝突し、転倒受傷。左膝を強打。

【問題点】

左膝に痛みが残り、膝関節の可動域も制限されていた。

【立証ポイント】

MRI検査では関節液の貯留は無く、骨や軟骨にも異常は見られなかった。前・後十字靭帯、内・外側側副靭帯にも異常無し。症状固定日には可動域測定に立ち会い、間違いのない計測値を監視した。膝関節においては12級程度の可動域で測定され、診断書に記載されたが、その可動域の原因となる画像所見は認められず、結果、局部の神経症状、痛みの残存として14級が認められた。

(平成25年6月)  

続きを読む »

 久々に自動車を使って遠征です。あいにくの雨ですが、6:30に事務所を出発、まずは茅ヶ崎。昨日サザンオールスターズの活動再開が発表され、FMラジオはサザンが鳴りっぱなし!そして昼食は烏帽子岩の見えるレストランでした。

 その後山梨県南アルプス市へ4時間かけて移動、pm7:00に相談者宅へ訪問ですが、まず今宵の宿、芦安温泉へ。恒例の温泉レポを簡単に。

 無色透明無味無臭、普通泉に近いアルカリ性塩化物です。Ph値9.3のアルカリ性ながらカルシウム成分のせいか、ぬるぬる感をキシキシ感が打消し、ちょうど中性のような肌触りです。泉温も40度の他、ぬる湯の浴槽(38度)もあり、この季節、長時間浸かれ、湯疲れのない温泉です。極端な酸性泉、強烈な硫黄泉などが大好物ですが、疲れを取るにはこのように微妙な浴感と低温が効果的です。例えるなら、高級豆ではなく、香りも控えめだが、癖がなく毎日飲めるコーヒーとでも言いましょうか。結局1時間浸かってしまった。

 朝の濃霧は晴天の前触れか・・

 翌日は朝方の雨も上がり晴天、暑い一日となりました。甲府市内の病院2件を同行し、渋滞にぶつからないよう急ぎ事務所へ戻りました。PM6時を過ぎており、事務処理もそこそこに早めに休みました。明日も早いのでね。

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年8月
« 7月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

月別アーカイブ