障害給付・・後遺症が残った場合ですから、基本的な申請書類とは呼べないかもしれません。しかし、交通事故を扱う私達にとってはお馴染みの書式になります。
労災では「障害(補償)給付」、自賠責では「後遺障害」と名称を区別しています。
(1)給付内容 障害等級は重い準から、下表の通り1~14級まで区分されています。
14級から8級までは一時金支給、7級以上は年金となります。
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【事案】
道路を横断中、自動車の衝突を受けたもの。骨折箇所は、上肢は左上腕骨骨幹部、下肢の脛骨・腓骨は骨幹部、右肋骨、左骨盤、右足趾は母指・基節骨、第2~5中足骨。加えて頭部・顔面の打撲。
【問題点】
額の擦り傷は、時間と共に消えるはず、後遺障害の計算に入れていなかった。
【立証ポイント】
症状固定時まで傷の炎症を繰り返した。高齢者なので、抵抗力弱く無理はない。写真と共に申請の対象とした。
これは、高齢者故の「治りが悪い」事情に関わらず、顔面瘢痕として認定された。
(令和3年2月)
※ 併合の為、分離しています
この書類の作成ですが、請求書は治療費請求とほとんど変わりません。しかし、休業日額の算定にあたり、面倒な「別紙」の作成が必要です。これは通常、会社に記載してもらいます。ここでも、会社担当者、顧問社労士の経験が作用します。すぐに書いてくれる会社もあれば、社労士先生や労基と相談しながら長々とかかるケース、提出後も補正がかかるケースが少なくありません。被害者さん独力では苦労するはずです。
なお、一日あたりの休業給付額は、およそ賃金の60%程度の計算になります。それを補うわけではありませんが、別枠で「特別給付20%」が加算されます。これは大変にお得です。なぜなら、交通事故など第3者による被害では、相手から賠償金が入ることがあります。交通事故の場合、相手の自賠責保険や任意保険の休業補償にあたります。それらと労災・休業給付の2重取りはできません。それら賠償金は労災支給額から控除されます。しかし、この特別給付は控除の対象ではなく、丸々、請求者に支払われるからです。
また、休業給付は、最初の3日間は控除されます。つまり、10日休んでも7日分の支給になります。
(1)給付日額の計算 ① 休業給付 給付基礎日額・・・平均賃金= 発病・負傷直前の賃金締切日から遡って3ヶ月の賃金総額続きを読む »
基本的な書類を説明します。 多くの場合、治療費と休業給付を請求することになるはずです。最初の治療費の請求の用紙は、業務災害(様式第5号)、通勤災害(様式第16号の3)となります。業務災害は5号から順番に番号が続きますが、通勤災害の書類は16号の○、○の番号が続く・・と覚えておくとよいです。
【治療費】
労災指定を受けた病院であれば、以下の書類を窓口に提出すれば、自ら治療費を立替えることなく、労基に書類を送付して治療費を請求してくれます。下の書式はすべて通勤災害の16号です。業務災害は(様式○号)になります。 ① 療養給付たる療養の給付請求(16号の3)(5号)
最初に提出する書類です。(左:表、右:裏)
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労災の申請や書類の記載について、詳しく書かれている書籍は少ないものです。この手の相談は被害者さんだけではなく、弁護士や社労士さんからも少なくありません。社労士さんによると、専用ソフトでサクサク申請書を作り、申請慣れしている先生は一部で、驚くことにほとんど申請業務をしないそうです。専門と思われる社労士先生でさえ面倒なようです。
理由は、労災事故は労基と病院が絡み、とくに病院の窓口ルールが病院ごとに違うものですから、ややこしい事に巻き込まれる印象を持ちます。とくに、交通事故など第3者行為の場合、保険会社や加害者がそれに加わるものですから・・社会保険の知識だけではなく、各方面への横断的な知識とそれをさばいていく交渉力・推進力が必要です。もし、その膨大な手間に対して、見合った費用や報酬が入れば報われますが、顧問先企業から支払われる顧問料だけなら、進んではやりたくないでしょう。中には顧問契約に「労災申請業務は除く」とし、一切やらない先生もおりました。
これは構造的な問題でもあります。そもそも、社労士先生に顧問料を払うのは企業(社長さん)であって、ケガをした従業員さんではありません。すると、社長さんが「こいつ(ケガをした従業員)は大事な社員だから面倒見てくれ」とでも言わない限り、助ける責任はないことになります。これも労災請求の闇の部分かもしれません。
構造的な問題と各ジャンルにまたがる業務の煩雑さから、誰も手を差し伸べず、被害者さんが独力で進めているケースが多くなります。労災申請、第2の壁と思います。 労災の申請書類の基本的な流れは、
各請求書に、本人(あるいは代理者)記載、 署名・印
⇒ 会社の証明・印
⇒ 病院の証明・印(治療費に関するもの以外は病院を経ません)
⇒労基に提出となります。 書類はすべて厚労省HPからダウンロードできます ⇒ https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken06/03.html
今年は観測史上、最も早い開花のようです。東京駅から茅場町に続くさくら通り、すでに5分咲きでしょうか。来週半ばには満開になると思います。
毎年、開花前~開花時期は天気が荒れる傾向です。明日から連休は強い風雨になるようです。
零細企業では、いまだに無労災で従業員を雇用している会社が存在しています。
昭和の時代は、中小企業で無労災はかなり多く、建築や運送、飲食店で1~10名程度では、珍しくないものでした。そのような会社に在籍中、大ケガをした場合は大変です。会社は責任逃れを考えますが、労災には被雇用者救済の制度があります。それが、「事後適用」です。この情報にたどり着き、社長さんの理解を促し、労基にて手続きを行い、やっと申請にたどり着くことになります。 事後適用
事業主(会社・個人事業主)が故意または、重大な過失により労災保険の加入手続きをしていない期間中に労災事故が起き、労災保険から給付が行われた場合、事業主は最大2年間遡った労働保険料及び追徴金と以下の費用を徴収されます。
1、労働保険の加入手続きについて行政機関等から加入勧奨や指導を受けていた場合
→ 事業主が故意に手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の100%を徴収
2、1以外で労働保険の適用事業所となってから1年を経過していた場合
→ 事業主が重大な過失により手続きを行わなかったと認定され、保険給付額の40%を徴収
事故が起きた後に、掛け金を払って、保険がでる・・・極めて珍しい制度です。数ある保険でも、労災だけでは?と思っています。それだけ、労働者は保護の対象として、手厚く守られていると言えます。
ただし、それでも会社側に保険料の追徴と、上記のようにに加算金が課されるので・・社長が駄々をこねて払わない、それを労基職員が説得する、かつてこのようなケースを見ました(その後、どうなったのかは知りません)。 現在、非正規雇用が増えた理由の一つに、「正社員に払う社会保険料が企業の負担になっている」ことが挙げられます。確かに健康保険、厚生年金の負担は企業を圧迫します。ただし、労災と雇用保険(失業保険)の掛け金はわりと安いものです。零細企業の社長さんとはいえ、それ位の負担は何とかして欲しいものです。 つづく
通勤中の交通事故は通勤災害、業務中の交通事故は業務災害、いずれも労災を適用することが可能です。しかし、現実的にはすんなり労災が適用されないことが目立ちます。私どもが担う交通事故の諸事務では、多くの案件でこの労災申請が付いてきます。
改めて数回に渡って、労災について復習・解説したいと思います。 (1)労災請求の実際
ご存知の通り、被害者が労働基準局に申請(届出)さえすれば、労災の適用可否の審査を経て、労災は支給されます。ところが、多くの被害者は、「会社が労災支給を判断する」呪縛にかかっています。また、会社側も積極的に労災を使わせようとしない傾向です。
何より、あえて労災を請求しない・・立場の弱い従業員側の事情も存在します。会社側が労災使用に対して難色を示せば、強く言えないのが使われている側の立場です。もちろん、各種申請書には会社の署名・捺印が必要です。それは、確かに第一の関門かもしれませんが、もし、会社にお願いして拒否されたら、労基に提出の際、「会社が判を押してくれない」と言えば、労基から会社に(行政指導まではいかないまでも)電話がいきます。ただし、これは会社を辞める覚悟を伴った非常手段です。会社は、「従業員が労基にたれ込んだ!」と恨むことになるからです。
やはり、労災制度の利用は簡単ではないのかもしれません。
また、中小企業では日雇い労働者などのすべてに労災加入しているとは言いがたく、無労災で人を雇っている企業も未だに存在します。建築業では孫請けとなる1人親方の場合、その全てが専用の「特別加入制度」に加入しているわけではありません。
労災未加入を貫く悪質な企業は罰則がありますが、重大事故の場合は、なんとか事故後適用(事故が起きてからの労災加入でも適用してくれる)をやってもらわなければなりません。
以上、労災断念を、レアケースとは思っていません。保険と事故の業界に身を置いて今年で30年、何度も「労災がでない」悲劇をみてきました。 労災申請は、その入口が最も大きい壁と言えます。
つづく
昨日、ハローワークから電話がありました。企業の求人数が低下している中、業種ごとの求人動向、経営状態をアンケートしているとのことです。 昨年からのコロナ不況がひしひしと感じられるのは、消費の落ち込み以上に、求人数低下が最も深刻となっているようです。企業が求人するのは、将来の増収の見通しあってこそです。今年の春の新卒採用率も当然に低下、さらに、非正規社員は派遣切りや雇止めが一層進むはずです。いったいつまでコロナ禍が続くのか・・先行きを考えれは当然の傾向と言えます。 秋葉事務所では、以前からハローワークさんにお世話になっていました。実際、行政書士の求人を出すと、毎回3か月で30件程の応募がありました。多くは、行政書士資格を取得したばかり、あるいは勉強中の方々でした。実務経験を積むことが第一目標のようですが、対して求人をだしている行政書士事務所は、一都三県ですら10件程度、地方は0の県がほとんどです。求人は無きに等しいものなのです。その事務所も、ほとんどが行政書士業務をメインとしない税理士・司法書士・社労士との併設事務所です。ピンの行政書士(法人)による求人は、東京・大阪など都市圏でようやく2~3か所です。「行政書士事務所の求人は、ほぼない」と言っても嘘にならないでしょう。 令和3年1月末集計では、行政書士の総数は49748名、その内使用人行政書士の数は847名ですから、単純計算でも一人開業が98.3%を占める業界です(無資格の被雇用者を含めませんが、それ程多くないと思います)。行政書士事務所とは、そもそも人を雇う業種ではないのです。一人開業、事務所は自宅の応接間、事務員は奥様のみ、これが普通です。ハローワークの方に冒頭から、そのような説明をしたところです。「行政書士の求人動向など参考にならない」、としか言いようがないのです。 弊所の今までの応募者をみると、さらに暗たんたる気持ちになります。行政書士の応募者は、試験合格者より、特認行政書士(公務員として通算17年以上(中学校卒業程度の場合は20年以上)勤務で、希望すれば資格を授与される)が多い位です。年齢も50代後半から80代の大先輩もおりました。初年19万円の給与なのに、一体全体なんで応募してくるのか不思議です。普通は天下り先で後進の指導にあたるか、恩給もらって悠々自適な後半生をおくってもらいたいところです。就労意欲は尊敬しますが、うちの事務所の新人指導係は20代です。子供どころか孫の下について修行をすることになるのです。その先輩方は「それでも構いません」と言いますが、「こっちが困ります」。
実際、行政書士会があまり出さない集計ですが、49748人中、およそ半分は特認が占めているのではないかと思います。このような業界ですから、行政書士が社会的な認知と評価を得るのは、今世紀中には無理なのでは?と思います。弁護士や税理士、司法書士、社会保険労務士に等しく、士業事務所として確立させるには、特認制度を改正して人数を減らすか、別資格に分化するか、いずれにしても行政書士は試験組を主体に、修習制度を充実させてしっかり独立開業を後援すべきと思います。全体の数も減らして個々の業務量を増やし、せめて30%でも自宅外事務所を持つ業態に変える必要があると思います。
「街の法律家」などと標榜していますが、今のままでは、法律家どころか一士業者としての尊敬は得られないと思います。まぁ、そりゃ、関係者の誰でもわかっていることですが・・利権構造が絡んだ旧態然とした体制は、一朝一夕では変わらないものです。 以上、ハローワークさんに愚痴っても仕方ない話ですが、行政書士を語ると実に寂しい気持ちになります。
昨年の自賠責の審査結果には、疑問が多かったと記憶しています。おかけで再請求(異議申立)が頻発しました。 自賠責保険の後遺障害審査ですが、14級程度の審査や明らかな障害では地区審査で判定します。申請のほぼ80%はそうではないかと思っています。しかし、高度な判断が必要となる案件は上部審査に上がり、顧問医の判断が加わることになります。今まで、上部審査とその顧問医の判断に一定の信頼を持っていました。
それが近年、運用に変化があったのか、専門的な判断が必要なケースを地区審査で済ませる件が目立ちます。それは、審査期間からわかるもので、1か月~40日で結果がでます。上部審査へ上がる場合は2か月以上かかるもので、その通知が届きます。本件の初回審査はおよそ1か月、主治医に診断書と別に記載頂いた意見書、検査画像など、特別用意したものはスルーされました。恐らく画像など観ていない、あるいはチンプンカンプンなのでしょう。恣意的と言うよりは、難しい判断から逃げたかのようです。それなら、「顧問医に聞いてくれよ!」と思います。少なくとも、慎重な審査とは言えません。
結果的に3度の申請を強いられました。初回から(一応、専門家を名乗る)秋葉が全面的にフォローしながらです。障害の真実に到達するには・・「被害者さんにかくも茨の道を課すものなのか」と、悲嘆しています。
高度な後遺障害は秋葉に相談して下さい・・としか言いようがありません
非該当⇒12級7号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県)
【事案】
狭い路地で歩行中、後方から自動車の衝突を受け受傷した。主な診断名は、腓骨近位端開放骨折、腓腹筋部分断裂、そして前十字靭帯損傷。前十字靭帯は再建術を行ったが、膝関節の不安定感は解消しなかった。
また、膝関節の複合的な損傷から、動揺性の程度は12級を上回っており、事実、硬性装具を常時使用していた。つまり、10級の立証が到達点と覚悟して受任した。 初回および再審査の結果は ⇒ 非該当⇒12級7号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県) 【問題点】
前十字靭帯の再建術後もなお残る動揺性について、その程度から12級を10級に引き上げるミッションである。靭帯、筋腱の複合的な損傷であることから、前方動揺性だけではない、高度な不安定感を立証しなければならない。 【立証ポイント】
まず、セカンドオピニオンで他の医師の見解を求めた。ここで、膝関節の外旋(下図)のゆるみを確認した。続いて、虎の子である膝関節・専門医の受診に進めた。その診断によると、同じく前方動揺性に加え、回旋動揺性の指摘を受けた。その動揺性について徒手検査で明らかにして頂き、それぞれ検査数値を意見書にまとめて頂いた。 こうして、最後の勝負にでた。
弊所では初となる、回旋動揺性の立証を果たして10級を獲得、今後の経験則に大いに寄与することになった。専門医の知見と協力に感嘆・感謝はもちろん、長い戦いについてきて頂いた、本件被害者さんの執念には頭が下がる思い。
(令和3年3月)
【事案】
狭い路地で歩行中、後方から自動車の衝突を受け受傷した。主な診断名は、腓骨近位端開放骨折、腓腹筋部分断裂、そして前十字靭帯損傷。前十字靭帯は再建術を行ったが、膝関節の不安定感は解消しなかった。
また、膝関節の複合的な損傷から、動揺性の程度は12級を上回っており、事実、硬性装具を常時使用していた。つまり、10級の立証が到達点と覚悟して受任した。 【問題点】
基本取り、ストレスXP(動揺関節を明らかにするレントゲン撮影)を実施、膝関節の動揺性について、専用の意見書の記載も併せ審査に提出した。しかし、わずか1か月後に「骨の癒合は問題ない」、「明らかな靭帯断裂は認められない」ことから「非該当」、ストレスXPを無視した信じられない結果に。ついた等級は、わずかに下肢の神経症状14級9号と醜状痕の12級相当のみ。
今まで、膝関節の動揺性についての読影と判断は本部審査(上部審査)がデフォと期待したが、地区審査で素人判断をされたよう。
(参考画像:テロスを使ったストレスXP)
【立証ポイント】
通常、本部審査に上がり、顧問医あるいは専門医の判断で動揺性が認められるべき案件である。仕方なく即座に再請求を行った。初回の提出資料でほぼ問題ないはずだが、今度は本部審査でしっかり見て頂く前提で、画像鑑定を依頼、前十字靭帯及び外側側副靭帯の損傷と腓腹筋断裂の影響を執拗に説明した。加えて、初回同様に該当画像の打ち出しを多数用意して提出した。
今度はまともに審査され、動揺性が認められ12級7号、最低限の回答を得た。しかし、本件はここからが勝負、再々申請に臨むことに。
初回申請はまったくの無駄。自賠責の審査に不審感が残った。
(令和2年6月)
【事案】
狭い路地で歩行中、後方から自動車の衝突を受け受傷した。主な診断名は、腓骨近位端骨折、腓腹筋部分断裂、そして前十字靭帯損傷。
【問題点】
膝関節の動揺性の立証が最大のポイント、醜状痕は開放骨折ゆえに、明らかな開放創と、靭帯再建術による手術創があったため、容易と言えた。
【立証ポイント】
写真の提出から、問題なく認定に。
※併合の為、分離しています
(令和2年6月)
本件は、降車の際の転倒ですから、自損事故と言えます。それを助けてくれた人身傷害保険様々です。ですから、普通に傷害保険に請求する感覚となります。しかし、妥協できないのは、後遺障害です。この等級次第で、保険金が桁違いとなることがあります。したがって、基本通りに立証作業を進めます。その点、本件は秋葉事務所にご依頼下さって正解でした。
また、保険金提示に対しても注意が必要です。人身傷害保険の特徴は、治療費や休業損害の実額だけでなく、慰謝料と逸失利益が計算・支払われます。約款上、慰謝料は入通院日数からの計算式、等級ごとの定額が明記されています。これは約款通りの提示となります。しかし、逸失利益は自由度が高いもので、年収または平均賃金から計算され、喪失率や喪失期間も担当者判断です。この計算で、いかようにも調整が可能なのです。
本件の場合も、比較的高齢から、「もう隠居でしょ」と勝手に判断されて、最初は低い提示でした。しかし、復職を果たしている事実、まだ数年は労働が見込める点から、ご家族が交渉しました。結果、数十万円も増額しました。もっとも、加害者のいない事故で、助けてくれた保険会社相手にゴリ押しは遠慮したいところ、それなりの交渉で手を打つよう、アドバイスしました。
人身傷害も丁寧に申請すべきです
人身傷害12級6号 :橈骨遠位端骨折(60代女性・神奈川県)
【事案】
停車後、降車の際に転倒し、手をついて手首を骨折したもの。
【問題点】
骨折後にわずか変形癒合があり、手首の動きがギリギリ12級の数値を示していた。ただし今回は相手がいない事故なので、相手保険会社や自賠責は使えない。相手がいる事故であれば自信をもって12級を狙いに行くのだが、相手のいない事故で自身の保険会社に請求する上で、強交渉は遠慮がち。
【立証ポイント】
まずは手首の状態を確認する為3DCTを撮影、次に本人の診察時に病院へ同行し、レントゲン記録や治療記録等も確認した結果、14級を確実に抑えつつ、12級も狙える内容にする方針を固める。2回目の病院同行前にその3DCTの打出しを作成した。その打ち出しを主治医に提示したものの、変形癒合の判断までは難色を示す。あくまでも本人は治療結果に満足をしている意思を伝え、対保険請求としての意見を求めなんとか記入頂けた。
その他、診断書に12級妥当となる情報をカルテから引っ張って記入頂いた結果、12級の判断を頂いた。
ちなみに、人身傷害の保険金提示では、毎度のことだが逸失利益の少額示など、支払い渋り、否、厳しい査定が続いた。納得のいかないご家族の粘り強い交渉から、70万円近く増額となった。場合によりますが、人身傷害保険も交渉次第なのです。
【事案】
停車後、降車の際に転倒し、手をついて手首を骨折したもの。
【問題点】
骨折後にわずか変形癒合があり、手首の動きがギリギリ12級の数値を示していた。ただし今回は相手がいない事故なので、相手保険会社や自賠責は使えない。相手がいる事故であれば自信をもって12級を狙いに行くのだが、相手のいない事故で自身の保険会社に請求する上で、強交渉は遠慮がち。
【立証ポイント】
まずは手首の状態を確認する為3DCTを撮影、次に本人の診察時に病院へ同行し、レントゲン記録や治療記録等も確認した結果、14級を確実に抑えつつ、12級も狙える内容にする方針を固める。2回目の病院同行前にその3DCTの打出しを作成した。その打ち出しを主治医に提示したものの、変形癒合の判断までは難色を示す。あくまでも本人は治療結果に満足をしている意思を伝え、対保険請求としての意見を求めなんとか記入頂けた。
その他、診断書に12級妥当となる情報をカルテから引っ張って記入頂いた結果、12級の判断を頂いた。
ちなみに、人身傷害の保険金提示では、毎度のことだが逸失利益の少額示など、支払い渋り、否、厳しい査定が続いた。納得のいかないご家族の粘り強い交渉から、70万円近く増額となった。場合によりますが、人身傷害保険も交渉次第なのです。
(令和2年11月)
環境省はコンビニ店に使い捨てのフォークやスプーンの提供を規制することなどを盛り込んだプラスチック新法案をまとめました。有料化も検討されています。
9日に閣議決定されたプラスチック新法案では、使い捨てプラスチックを大量に無償提供している事業者に削減の義務を課すことが盛り込まれています。命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科されます。
コンビ二店で弁当を購入すると配られるスプーンやフォーク、ホテルのアメニティーなどが想定されていて、今後、対象となる事業者や有料化を含む具体的な削減方法が示されます。
小泉環境大臣は「これからは無料でスプーンが出てこなくなる。レジ袋有料化の発展版だ」としています。
新法案は今国会で審議され、来年4月に施行される見通しです。 <テレビ朝日さまニュースより>
ビニール袋有料化になって、すっかりビニール袋が貴重になりました。わざわざ購入までは至りませんが、色々な用途に使っていました。買い物ごとに自然と溜まっていくものですから、有料化前までは不足に困ったことなどなかったです。コンビニやスーパーで付いてくるスプーンも割と重宝しまして、洗って数回は使っています。対してフォークはほとんど使わず、増える一方です。したがって、スプーンの有料化は困るなぁと思います。
もちろん、スプーンは今でも金属製が主流です。子供時代、食卓には大きめのコップに何本も刺さっていました。ほとんど半永久的に使用するものです。対して、プラスティック製はすぐ折れるので、やはり使い捨てになります。資源保護という点では、大量に使い捨てせず、家庭では金属製の使用が好ましいことに異論はありません。
このスプーン、かつての思い出を語りましょう。時は1970年代末、世紀末の雰囲気の中、テレビでは超能力ブームが起きていました。その中心は、ユリ・ゲラー氏です。50歳以上の人で知らない人はいないでしょう。超能力者ユリ・ゲラー氏、その最初の超能力はスプーン曲げでした。スプーンを握って、とくに力を入れずとも念じるだけで金属製のスプーンやフォークがぐにゃぐにゃに曲がるのです。当時のテレビ放送では高視聴率、テレビを視聴していた人は皆真似をして、念を受けたのかスプーンを曲げだす子供が続出しました。
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ワクチン接種が進む中、その副作用として連日取り上げられていますアナフィラキシーショック、医療従事者とって常識的な言葉ですが、私達も抑えておきましょう。 アナフィラキシーショックとは <メディカルノートさまより引用> 1,概要
アナフィラキシーショックとは、何かしらのアレルゲンなどに対して全身性のアレルギー反応が引き起こされ、血圧の低下や意識状態の悪化が出現した状態を指します。アナフィラキシーショックが生じた際には、迅速な治療が必要です。また、一度アナフィラキシーショックを起こしたことがある方は、再度同じ原因物質に曝露されることで同じように非常に重い症状を起こします。
2,原因
アナフィラキシーショックは、ハチの毒や、ある種の薬剤、食物など、アレルギーを起こす物質に体が曝露されることで発症します。アレルギー反応を起こす可能性がある代表的な物質として、下記があげられます。
かつて損保時代、蜂に刺されて救急搬送されたお客様がおりました。これがまさにアナフィラキシ-で、蜂の毒成分はアレルギー成分のアミン系(ヒスタミンなど)、いわば神経毒です。日本での害獣・害虫によるケガ・死亡の第一位は、毎年、熊でも鮫でもなくスズメバチなのです。ちなみに、蜂害による入通院・死亡は傷害保険の対象です。 3,薬剤
・抗菌薬 ・解熱鎮痛薬 ・麻酔薬 ・造影剤 ・血液製剤 など 交通事故外傷では、やはり外科的処置において麻酔薬が関わります。また、頚部神経症状の緩和に神経ブロック注射が用いられますが、この注射の成分は、キシロカイン、カルボカインですから、処置前にアレルギーの既往を聞かれます。キシロカインショックの症状も同じで、アナフィラキシーショックの典型例です。
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今回は、醜状痕と脊柱の変形の両方が認定されたケースです。それに、神経症状の14級9号の認定が加わりました。 前回 ⇒ 実績投稿:神経症状の認定にこだわる ① 顔面の骨折、その逸失利益請求に備える
実績投稿:神経症状の認定にこだわる ② 脊柱の骨折、その逸失利益請求に備える もっとも、本件の場合、剛腕振るって認定をねじ込んだわけではなく、頚髄損傷の診断名から14級認定が容易でした。頚髄損傷(脊髄損傷)も軽重、症状の差があります。しびれも深刻な症状ですが、完全麻痺ですと一生手足が動かなくなります。奇跡でもなければ、ほぼ治りません。それに比べれば、痛み・しびれは軽減の余地がありますから、14級は妥当かもしれません(画像所見さえ抑えられたら12級13号ですが・・)。
医師の初期診断では、MRIを診ずに脊髄損傷(の疑い)の診断名は多いものです
14級9号:中心性頚髄損傷(40代女性・埼玉県)
【事案】
醜状痕の後遺障害認定基準は ↓ にまとめてあります。
実績ページ:醜状痕
問題は、この表に合致しないケースです。今までもいくつかありましたが、面接による審査で柔軟に判定頂きました。本例もそれを期待しましたが、追加提出の写真から普通に基準に当てはめた判断でした。その認定自体、不当とまでは思いませんが、被害者さんの心情を思うと、もう少し悩んで欲しかったように思います。
面接審査が減る一方に感じます
12級14号:顔面瘢痕(40代女性・埼玉県)
【事案】
歩行中、信号のない道路を横断中、原付バイクから衝突される。腰椎破裂骨折、頚髄損傷の他、顔面を強打した。
【問題点】
額に皮下血腫、顎下に4cm以上の線状痕があったが、線状痕については、正面からは分からない場所にあった。また、皮下血腫については、10円玉以上の瘢痕があったが、7級の「組織陥没」に皮下血腫の凹凸が適用されるのかが問題となった。
【事案】
歩行中、信号のない道路を横断中、原付バイクから衝突される。腰椎破裂骨折、頚髄損傷の他、顔面を強打した。
【問題点】
額に皮下血腫、顎下に4cm以上の線状痕があったが、線状痕については、正面からは分からない場所にあった。また、皮下血腫については、10円玉以上の瘢痕があったが、7級の「組織陥没」に皮下血腫の凹凸が適用されるのかが問題となった。
【立証ポイント】
症状固定時に顔面部の写真を撮影し、後遺障害診断書に添付した。あえてメジャーをあてた写真とせず、面接審査での判定を期待した。しかし、コロナ禍の影響からか、調査事務所から毎度の「目盛を当てた状態での写真提出」を求められ、指示に従い追加提出したところ、12級14号の判定となった。
血腫の隆起による醜状痕では、回復余地の為かその大きさからか、7級の評価はやはり厳しかった。
顎下の線状痕についても、認定されれば12級14号相当の長さであるが、「正面視で確認できる」ことが条件、真正面から見えない場所にあるため、該当せず。
(令和3年3月)
※ 併合の為、分離しています