交通事故のケガでお仕事を休んだ場合、保険会社から「職場で休業損害証明書ご記載いただき、事故前年の源泉徴収票(写)と一緒に提出して下さい」と指示されます。サラリーマンの場合はもちろん、パート、アルバイトも基本的には変わりません。これは、職場や税金の申告を経た上での証明書類なので、それなりの信用があることになります。

 自営業者の場合は、前年の申告書の本人控ないし写しを求められます。「できれば税務署の印影がついているもの」と言われます。これも同じく税金の申告を経た証明書なので、税務署の承認を経ていることになります。

 つまり、常に第3者の承認を欲しています。それは、「交通事故被害者は、自らの被害を過大に請求してくるもの」との危惧があるからだと思います。今まで、保険会社が眉をひそめた例は以下の通り。   ・自営業者「前年の申告書?もう捨てた・失くした」と、手書きの収入記録(一月あたり100万円?) ⇒ では、税務署で、申告書の控を再発行して下さい。納税証明書でも良いです。 → 「そんな面倒、被害者がするのか!」(逆ギレ)   ・中小企業に勤務の会社員から提出されたのは、紙切れに手書きで休業日と日給額が書かれた職場の台帳だけ。 ⇒ 出勤・休業を示す賃金台帳ですが、シフトが複雑な業種であれば添付が必要です。しかし、賃金台帳やタイムカードだけでは、いくらでも偽造できます。およそ提出されたものは・・いかにもお手盛り感満載なのです。職場とグルになれば、休業日や賃金を水増しすることができますから、公的証明書が付されないと信用できないのです。    ・無職・ニートさんだったはずが、委託雇用契約書でどこぞの会社から仕事を受注していた ⇒ これも、その会社とグルになれば容易に労働実績を繕うことができます。対する損保は、「その間の支払いについて明細書はありますか?」 ⇒ ありません(もしくは、これも偽造して提出) ⇒ その金額は振込先の銀行の通帳で確認できますか? ⇒ いえ、現金払いでした(今どき?) ⇒ 損保「う~ん(これでは証明されたとは言えない・・怪しいぞ)」となります。おそらく、この委託雇用契約書は事故が起きてから作ったものでしょう。      これらのケース、最後に被害者が逆ギレし、話にならないと判断した損保側は弁護士を立てることになります。損保側弁護士は一層冷たく、「公的な証拠書類を提出しないと休業損害は認められません」と突っぱねます。仮に、出るところにでた場合(裁判)、損保側が勝つでしょう。

 さらに、被害者にとって最悪なことは、休業損害の不正請求を試みたとされる被害者に対して、今後、提出してくる請求のすべてが疑われることになります。そして、最大の賠償金になるであろう後遺障害の審査に暗い影を落とす事になると思います。審査は自賠責保険・調査事務所が第3者的な視点で公平に審査することになりますが、画像や検査で明確な所見のでない14級9号「局部に神経症状を残すもの」の場合は、被害者の訴える症状の信憑性が命です。先の休業損害のやり取りが伝われば・・・私が審査員なら絶対「非該当」にすると思います。ここで自賠責の言う非該当の理由は、「故意の誇張」をする被害者と判断するからです。    一部の被害者は、賠償金を多く取ろうと悪知恵を働かせますが、損保はある意味、疑うのが仕事で、何よりこの手のプロです。ほとんどの手口を経験済と思います。不正請求を試みた被害者は、鉄仮面の弁護士を入れられ、後遺障害の非該当で手痛い仕返しをされることになります。  

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