頭をケガした場合、その程度はまず頭蓋骨の外と中で区別します。頭部外傷(外側)か脳外傷(頭蓋内)か・・外側の場合、頭部裂傷、頭部打撲など、切り傷と皮下血腫(いわゆるたんこぶ)となります。これらは、キズの縫合を含めて止血処置や消炎鎮痛処置となります。

 やはり、深刻なのは脳外傷です。脳に何等かのキズや損傷、出血があれば、即、脳神経のダメージになりますから、精神および肉体への影響が心配されます。脳外傷への診断名を順に解説する前に、必ず触れておかなければならない3要件を解説します。これは、自賠責保険が脳損傷、それに連なる高次脳機能障害を認定する条件としているからです。
 
 最初に、3要件の一つ、外傷後の「意識障害」の基準を整理しましょう。
 
(1)頭部外傷後の意識障害、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害が存在すること
 
① 当初の意識障害、半昏睡~昏睡で、開眼・応答しない状態、JCS3~2桁、GCS12点以下が少なくとも6時間以上続いていることが確認できる症例
 
② 健忘あるいは軽度意識障害、JCS1桁、GCS13~14点が、少なくとも1週間以上続いていることが確認できる症例
 
 以下の表に照らして、意識障害のレベルを記録します。救急救命の場面では、単に「JCS3桁です!」と隊員が言っています。

 上記の他、R(不穏)I(糞便失禁)A(自発性喪失)など、付加情報をつけてJCS200-Iなどと表すこともあります。

 幼児の場合は、以下の表を用います。上記の表では判定できないからです。

 
 GCSは国際基準です。しかし、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)も根強く残っており、両者を併記していることが多いようです。

 GCSの場合、最高15点、最低3点となります。 通常11点以上で中程度の障害を残し、7点以下の被害者は死亡、植物状態の可能性が高いと言われています。JCSは3桁が重度な意識障害で、GCSは点数が低いほど重度な意識障害となります。
 
 健忘の記録も参考にされます。頭を打てば一瞬の記憶が飛ぶなど、一過性の健忘はあるものです。事故の状態を覚えていないことが普通に多いと思います。その一瞬の記憶を除き、全般的に記憶が曖昧で、それが何日も続くようであれば、脳損傷が疑われると思います。もっとも、そのような患者さんは、JCSやGCSでそれなりの数値になっているはずです。

  
 高次脳機能障害の審査ですが、「審査会 高次脳機能障害専門部会」の審議になります。意識障害のレベルは高次脳機能障害の有無・程度を測る上で非常に重視されます。軽度の意識障害(JCS1桁やGCS13~14)では、それほど深刻な障害は残さない(例外はありますが)と考えているようです。JCS3桁やGCS1桁台であれば、重い障害が残って当然と判断されているようです。

 経験上、9級レベルの障害では、意識障害がほとんどなかったケースでも認定例がありますが、7級以上ともなれば、意識障害のない患者がいくら症状を訴えても疑われます。
 
 意識障害のない9級認定例 👉 9級10号:高次脳機能障害(80代女性・埼玉県)
 
 次回 ⇒ 高次脳機能障害認定の3要件 ~ Ⅱ 画像所見