20140613083012 今日から2014サッカーワールドカップが開催です。残念ながらこの忙しい中、ゆっくりテレビを見る暇はないです。

 それほどサッカー好きというわけではありませんが、世界各地どこへ行っても共通の話題はサッカーでした。言葉が通じない国でもサッカー選手の名前を挙げれば会話が成立しました。それはイタリア、ドイツなど盛んな国に限らず、トルコでもロシアでもタイでも会話のつかみはサッカーです。

   さて本日の病院同行で降り立った駅は浦和美園駅です。ご存知と思いますがここは埼玉スタジアムの為にできた駅です。ここで12年前の2002日韓ワールドカップでは因縁の対決、イングランドvsアルゼンチンの試合が行われました。この埼玉の片田舎に世界中から4万人が集まったなんて信じられません。埼玉史上、もっとも国際的であった1か月でした。試合はベッカムがシメオネの挑発に乗って退場となったことが記憶に残っています。

 そのようなことに思いをはせ、病院へ向かうバスに乗り込みました。梅雨の谷間の晴天、日差しは容赦ない真夏のそれ、しかしどこかで雨が降っているのか、時折、涼やかな風がそよぎます。このままバスでどこまでも行ってみたい気分でした。

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 先日まで①~⑤のシリーズで軽傷事案の解決方法について長々と書きました。

 保険会社と妥協的な示談解決でもそれほど損はでない・・・このような結論が見えているのに、数字を出してシミュレーションしてみました。冗長で無意味な文章にも思えましたが、一度整理しておきたかったテーマでした。  

 さて、類似のテーマ・解説をネットで探してみました。結果は市販されている交通事故解決本の教科書的な記述一辺倒でした。専門家を名乗る弁護士や行政書士のホームページのほとんどが教科書的な解説で、自らの言葉で語っているページは少ないようです。そこで思い当たるのがホームページ製作会社のひな形です。業者によると販売用に「交通事故弁護士」「交通事故行政書士」のひな形が完成されているそうです。それにはノウハウ、知識のコンテンツがぎっしり詰め込まれています。制作を依頼した事務所は定型化されたものを流用しているに過ぎないのです。どうりで同じような解説ばかりだなぁ、同じ本から写しているのかな・・と感じていました。専門家を名乗る法律家が自らの言葉で書いていないのは寂しい限りです。

 依頼者(被害者)が自らの窮状を救ってくれる専門家を綿密に調べているとします。やはり頼りになるのはホームぺージです。しかしそこで書かれていることを信じていざ面談してみたところ、対応した先生がホームページに書かれていることをまったく理解していない、説明できない?なんて珍場面も想像できます。

 しょせんホームページは宣伝媒体、言わば食堂のディスプレイです。しかし席に着いて注文したらメニュー(写真)と違う食べ物がでてきたらどうでしょう? 

 と言いながら、このホームページも交通事故110番のコンテンツをリンクしています。書かれていることは責任を持って説明できるよう、必死に勉強・実戦を積んでいるつもりですけど・・・

   やはり自らの言葉で語る、記事を作っていく、これを愚直に続けていきたいと思います。

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 さて、昨日の試算から軽傷案件は費用倒れすれすれであることがわかりました。「弁護士先生、なんとか報酬20万円以下でお願いします!」の状態です。方々の交通事故相談に出向きましたが、なかなか引き受けてくれる先生が見つかりません。どうしましょうか?  

保険会社マターとするか弁護士マターとするか

 以上から軽傷案件の場合、保険会社と争わずに速やかな解決を目指すなら、慰謝料は少ないですが直接交渉でも良いような気がします。このような案件を私は「保険会社マター」と呼んでいます。

c_y_79 保険会社は支払額が自賠責保険以内なら自腹が痛みませんので、提示に対して印鑑を押すだけで解決が可能です。保険会社は3か月程度の捻挫・打撲では常に自賠責保険の範囲での解決を目指しています。治療費や休業損害で交渉余地が少なく、経済的利益がわずかしか見込めないなら、妥協的な解決でも仕方ありません。実際、ほとんどの軽傷事案は保険会社マターで解決しています。

 しかし感情的になってしまい、保険会社と上手く交渉できない被害者や弁護士の交渉で増額が見込める余地が相当にあれば、弁護士に依頼することも一考です。問題は引き受けてくれる弁護士をみつけることででしょうか。  

そうだ、弁護士費用特約があるじゃないか

 弁護士費用特約(以下 弁特)に加入している被害者であれば、弁護士への報酬は保険で賄えます。試算ではおよそ20万円前後に損得の判断がかかっていますが、その心配はなくなります。    弁護士事務所の多くが弁護士費用特約がある場合、旧日弁連基準とほぼ同じ報酬体系を打ち出しています。仮に弁特社(自身が弁特に加入している保険会社)に20万円の増額に対して、その基準で報酬を計算しますと・・・

(計算) 着手金  8% 成功報酬 16%

合計 200000円×(8%+16%)=48000円+消費税8%=51840円 ...

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 先日の内容から弁護士に依頼した場合の損得勘定をしてみましょう。    ueshima 訴えてやる!

① 治療の継続による治療費請求

 弁護士の交渉により1か月通院が伸びました。治療費は病院に払われるものですので賠償金として加算しません。

 しかし延長の条件として健康保険を使った場合は別です。自己負担額(0~30%)がありますのでその分は獲得した賠償金と言えます。

(計算例)   一回のリハビリの点数を200点としますと、健保治療の場合1点=10円ですので2000円、そこから3割負担の国保(自営業)なら600円が自己負担です。その600円×1か月の実治療日数が15日なら、600円×15日=9000円をゲットしたことになります。これがこの弁護士の交渉による成果といえます。  

② 休業損害の証明

 この自営業者さんは保険会社の最低補償である5700円/1日から7000円へアップできました。

(計算例)  受傷から3か月間の実治療日数45日までが認められたとして、7000円-5700円=1300円×45日=58500円の増額を弁護士の交渉により、勝ち取ったことになります。  

③ 慰謝料の妥当性

 これは先日の表を見れば一目瞭然、弁護士が介入しなければ認めてくれなかった赤本基準をしぶしぶ保険会社は払います。

(計算例)  3ヵ月の保険会社慰謝料378000円が530000円に、さらに治療期間の延長により4か月=670000円。 670000-378000円=292000円です。

 もし治療の延長がダメだったとしても152000円の増額です。    

軽傷の場合、弁護士に依頼した方が良いのか否か?

 今回のシミュレーションではやっと受任してくれる弁護士を見つけ、その交渉により、① 治療費で9000円、② 休業損害で58500円、③ 慰謝料で292000円の合計359500円の増額を勝ち取りました。

 さて問題はここから弁護士に報酬を支払った結果の費用対効果です。

 この弁護士は着手金を20万とし、成功報酬を20%で契約しました。  

(計算例) 着手金  = 200000円 成功報酬 359500×20%=71900円 続きを読む »

 先日のプラトー骨折で膝関節の可動域制限が用廃レベル(8級=15°までしか曲がらない、もしくは健側(ケガをしていない方)に比べて10分の一以下しか曲がらない)の被害者さんを対応しました。骨折部は手術でプレート固定とし、リハビリを続けていました。幸い癒合状態も良く、9か月後に抜釘(金属を抜く)をし、症状固定を迎えました。しかし関節の可動域はある時期から回復せず、関節硬縮を起しています。 

部位

主要運動

膝関節

屈曲

伸展

合計

正常値

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 中断していましたが、再開します。  

 人身事故で95%を占める、後遺障害のない、どちらかと言えば軽傷事故。それでも多くの場合に争点となるのが、

① 治療の継続による治療費請求

② 休業損害の証明

③ 慰謝料の妥当性

 前回は被害者が相手保険会社と交渉するケースを検証しました。それでは、この煩わし交渉を弁護士に依頼した場合をシミュレーションしてみましょう。

 

2、弁護士に依頼

① 治療費

 治療期間が3か月に及ぶ頃、相手保険会社が「そろそろいかがでしょうか?」と電話がかかってくるようになりました。まだ痛むと言って治療を伸ばしても担当者はだんだん強硬になってきました。そこで知人の紹介で弁護士の紹介を受け、相談したところ、「むち打ち」程度の軽傷では受任しないそうです。そこでホームページで交通事故に強いとある弁護士に相談しましたが、「後遺障害の等級が取れてからまた連絡を」との対応です。さらに検索してようやく数件目で受任してくれる弁護士事務所を見つけました。  その弁護士さんは治療の延長を交渉し、なんとかあと1か月の延長を取り付けました。代理人・弁護士のおかげで少しの間、一心地です。  

② 休業損害

 しかし休業損害の延長については弁護士もあきらめムードです。なぜなら、むち打ちで何か月も会社を休むなどそれ相当の医師の診断がなければ難しいと言われました。

 もっとも問題となっていたのは休業日額です。自営業者で所得は実態より少な目に申告していますが、その申告書の数字から相手保険会社は譲りません。現状、1日=5700円の最低補償(自賠責)基準の算定額しかくれません。

 弁護士は「売上-経費=所得」の計算を少し修正しました。売り上げから引かれている経費の項目で水道光熱費、損害保険料(自動車保険の掛け金、個人事業税)など、被害者本人が休業していても待ったなしにかかってしまう経費を所得に加算しました。これで相手保険会社の5700円から7000円にアップしました。これ以上の金額は総勘定元帳などを作成して交渉することになります。弁護士は税理士にお金をかけてまで立証書類を作成する増額効果が少ないこと、倫理的には申告書を基とすべきことから、これ以上は断念するようにとのことです。  

③ 慰謝料

〇 自賠責保険の慰謝料計算 通院1日4200円、3か月間:2日に1回ペースで通院 ⇒ 378000円

〇 任意保険の3か月慰謝料は 上と同じ頻度で通って ⇒ 378000円

〇 赤い本基準のでは 同条件で ⇒ 530000円

 (別表Ⅱ⇒むち打ちはここでみます)

 慰謝料はズバリ以下の表をみて検討してみましょう。

 傷害部分の慰謝料比較(単位 万円)

傷害部分慰謝料

治療期間

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 福生(東京)、松戸(千葉)、湘南(神奈川)、川中島(長野)、川越(埼玉)、5都県にまたがり今週は連日、病院同行です。月・火は一早く猛暑の気配、しかし水曜の長野では涼しい風が衣替えしたシャツの裾をすり抜けました。涼しくなったと思ったら、どうやら梅雨入りのようです。今度は連日の雨。

 急激な寒暖の差で体力を奪われていますが、大勢の依頼者様、弁護士先生が成果を待っています。頑張らねば!

20140605154637   事務所前の紫陽花です

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 昨日の例の他、弁護士の仕事について等級認定後の賠償交渉によって獲得した金額のみを成果とし、「自賠責保険の金額を成功報酬の対象計算から控除して下さい」とする保険会社が少なくないようです。実例から説明します。(やはり仮名)  

後遺障害等級は自然に決まるもの?

 大島先生率いるAKB法律事務所は本格的に交通事故業務に力を入れています。

『これからの交通事故は等級認定前から受任して、しっかり等級認定からお手伝いすること、初期対応することです。これこそ被害者救済であり、「等級が認定されてからまた来てください」などと言う旧来の事務所の姿勢ではダメです!』  大島弁護士はこのような交通事故対応を掲げて、受傷直後から被害者に寄り添い、物損の解決、休業損害の請求、労災の手続きなど手続きはもちろん、病院同行を繰り返した末に後遺障害・被害者請求を行いました。そして12級を獲得、その後は紛争センターに持ち込み、あっさり赤本満額で解決を果たしました。  依頼者は想像以上の高額の賠償額でびっくりです。何より大島先生は受傷直後から色々な手続きをしてくれた上、病院にまで一緒に来てくれ、一生懸命、等級の認定に尽くしてくれたので大満足です。

 大島弁護士は最後に弁特社(被害者側の保険会社)に弁護士費用特約を請求しました。後遺障害12級(自賠責で先に224万円獲得)に加えて最終受取額が700万円です。合計924万円に対して成功報酬を計算、1656000円の請求額です。  

 しかし弁特社の担当者の支払い回答は・・・  

担当者:「大島先生、自賠責の224万は報酬計算から引いて下さいよ」  

大島弁護士:「えっ?うちは受傷直後から等級認定も含めて仕事をしているのですよ」  

担当者:「いえ、等級認定は医師が書いた診断書を出すだけなので先生の仕事ではないですよね?」  

大島弁護士:「失礼な!本件は病院同行して、検査先に誘致して、陳述書を添えて・・・大変な作業で乾坤一擲、12級認定を勝ち取ったのですよ!」  

担当者:「それなら事前認定(相手保険会社に認定業務を任す)すればよかったのではないですか」   

大島弁護士:「キーッ!」

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 等級認定後の受任ならば当然として、確かに等級認定作業を「事前認定」つまり加害者側保険会社に任せれば、その事務所は立証作業を放棄しているのですから報酬計算に自賠責保険金額を含めないことは正当な考えです。しかし本件のように等級認定に関する立証作業と書類集積作業が代理人の腕の見せ所であり、むしろ賠償交渉より大変な作業となることもあります。

 後遺障害は被害者請求を基本とし、交通事故の初期対応を売りとしているAKB事務所のような弁護士事務所も増えてきました。さらに私のように「後遺障害の立証作業が事故解決の勝負どころ」と捉えている業者も存在します。「後遺障害の立証など無用、何もしなくても自然に等級が決まる」など、保険会社のあまりにも建前的、独善的な発想と思います。もちろん立証作業の効果薄い案件(足の切断のように見たままの障害)は除きますが。

   このように、なんとしても保険金支払いを削減したい保険会社と法律家の弁護士費用特約をめぐる争いは続きます。いい加減な仕事で多額の弁護士費用を請求する弁護士、行政書士が大勢存在するのが問題の根底です。それらの困った先生が存在する以上、保険会社の意地悪な支払い対応はなくなりません。真面目な大島先生の苦労は絶えないのです。  

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 弁護士費用特約は交通事故で代理人を雇う場合、被害者にとって重宝する特約です。しかし普及率は上昇するも使用率は低く、まだ一般的な印象は受けません。しかも保険会社の支払い基準は不明瞭で、各社、各担当者、案件ごとにまったく統一的な運用が成されていません。また、依頼を受けた弁護士・行政書士が費用を依頼者からではなく、直接、保険会社に請求することから、保険会社ともめることが多いようです。

 さて、最近の払い渋り、いえ、支払額提示で面白い対応をした保険会社をある弁護士先生から聞きました。今回はそれを紹介します。(仮名とします)  

弁護士に支払う報酬は人身傷害特約の支払い基準を超えた額から計算します

 AKB法律事務所の前田先生は被害者の後遺障害の申請を代理し、被害者請求にて等級獲得後、賠償交渉を経て解決させました。最終的な賠償獲得額は1500万円です。ここから着手金と成功報酬を合わせて252万円(旧日弁連基準報酬)を保険会社に報酬を請求したところ、請求額全額に応じられないとの返答です。その保険会社の計算とは・・・  

担当者:「本件の場合、弊社の契約に付帯していただいている人身傷害特約に先に請求して下されば700万円を支払うことができました。したがって弊社の特約を使わずに相手から獲得した賠償額は実質800万円と考えます。よって800万円に対する報酬を旧日弁連基準で計算します・・・

 800万円×(5%+10%)+9万円+18万円= 147万円 をお支払いします。  

前田弁護士:「えーっ! 頑張って後遺障害認定業務も行ったのですよ!」  

担当者:「いえ、頑張ってもらわなくても弊社の人身傷害特約を使っていただければ、700万まではお支払できたのです。それを敢えて被害者請求を行ったので、弊社としては700万円を超えた額である800万円を対象として計算します。」

  前田弁護士:「そりゃないよ~」

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 この担当者の払い渋り、いえ、報酬計算には思わず「座布団一枚!」、一休さんのとんちを見るようです。このような鮮やかな(へ)理屈を持ち出す保険会社、さすがとしか言いようがありません。

 しかし本例の場合、契約者(代理人 弁護士)の意向は、あえて人身傷害特約を請求せずに相手に賠償請求をすることです。契約者の代理人が行った一連の作業とその成果を尊重しない保険会社の姿勢はやはり問題があると言えます。これを弁護士費用特約のスタンダードな報酬計算とすれば、金融庁だけではなく契約者からも非難は避けられないと思います。   

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 本日の病院同行は軸椎の椎弓骨折の被害者さんです。事故から2年、受傷後2本のスクリューで椎弓固定術を施し、昨年末、抜釘しました。本人のリハビリ努力の成果で可動域も回復傾向です。  本件の問題は未だ医師の経過観察が続き、症状固定していないため、補償問題が進まないことです。早速、医師面談で骨の癒合状態、経過の説明を受けました。癒合も完了し、特に異常はないとのこと。画像も見せて頂きましたが変形・転位もなく、可動域制限の回復も頷けます。

 医師は「次は11月の診断にしましょう、予約日はいつにしますか?」と言いました。

 すでに被害者さんと症状固定と後遺障害診断へ進めることを打ち合わせ済です。

 私は「症状固定と判断できる状態であれば、補償問題に進みたいので、先生いかがでしょうか?患者さんも早く解決へ舵を切りたい意向です」と意見具申しました。

 医師は患者の意向を尊重し、後遺障害診断書の記載を快諾いただけました。

 おそらく一番ほっとしているのは相手保険会社の担当者さんでしょう。

 症状固定日は患者の状態を見て判断するのが第一ですが、予後の観察を慎重にするあまり、いたずらに解決を伸ばすのは決してよい判断とは言えません。

 メディカルコーディネーターの仕事は結果として相手の保険会社さんに感謝されることもあります。

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 前日より続きます。

 人身事故で95%を占める、後遺障害のない、どちらかと言えば軽傷事故。それでも多くの場合に争点となるのが、

① 治療の継続による治療費請求

② 休業損害の証明

③ 慰謝料の妥当性  でしょうか。  

 通院交通費や雑費は実際にかかった額を明示するだけで、非常識な額を請求しないことが前提となるので割愛します。また物損にまつわる争点はテーマを違えますので、別の機会に。

 まず弁護士に依頼する前に自力交渉を検討してみましょう。

 

1、自力交渉

① 治療費

c_s_t_1 骨折のない打撲・捻挫では受傷直後に鎮痛消炎処置を施し、あとは保存療法、疼痛緩和処置です。したがって靭帯や軟骨の損傷、神経症状(による痛み、しびれ、その他)が起きない限り3か月を超える治療期間を保険会社に認めさせるのは困難でしょう。「まだ痛い」と訴えても最悪、治療費打切りが待っています。自力交渉では自身の訴える「痛い」ではなく、疼痛が長期化する他覚的所見、つまり医師の診断を示す必要があります。しかしむち打ちや腰椎捻挫の場合は明確な所見がないことの方が多いものです。交渉むなしく保険会社が治療費を切り上げた場合、健康保険を使って治療継続することが現実的と思います。  それでも長々と通院を続ければ弁護士対応が待っています。やはり治療が長引いている証拠がなければ、無駄な抵抗は止めるべきです。もちろん打ち切り後の治療費を自分で負担すれば問題ありません。相手に出してもらう以上、何かと軋轢が生じるのです。  

② 休業損害

c_s_t_20 源泉徴収票で証明されるサラリーマン、公務員の休業損害は明確です。実際の休業日の請求の場合、交渉の余地は薄いと言えます。問題は自営業者です。実際の収入より過少申告となっている方が少なくありません。所得税の申告書が一級の証明書です。その数字が収入の根拠とされます。これは自らが招いたことなので仕方ありません。しかし実態収入を総勘定元帳、賃金台帳、入金口座の通帳などで明らかにすることができないわけではありません。これらを誠実に提示し、保険会社担当者に訴えるしかありません。やはり苦しい交渉となります。  

③ 慰謝料 続きを読む »

 人身事故と言っても後遺障害が残るような大ケガは少ないもので、損保協会のデータは以下の通りです。  

 平成23年 被害者内訳

ケガをした人  jinnsinnjiko ][  およそ 116万人

後遺障害となった方 およそ 6万人

亡くなった方    およそ 4700人

 

 近年の死亡者数の減少は好ましい傾向です。ではケガについてですが、私は後遺障害に特化した仕事をしていますので、いつも後遺障害のことばかり、年がら年中、重傷者と対峙しています。しかし統計のように現実には後遺障害を残すような方は、交通事故でケガを負った被害者の5%ほどなのです。やはり重傷は少ないようです。

 今日から取りあげるのは後遺障害のない軽傷被害者(便宜的に軽傷とします)の解決についてです。

 

軽傷者の解決の実際

 まず軽傷者を「打撲・捻挫の診断名で、後遺症とならずに治った」と定義します。ここでは後遺症があるのに後遺障害等級が認められずに解決した被害者は除きます。

 相手に任意保険会社があれば、その一括払い(保険会社が病院に直接、治療費支払い)で治るまで治療費を負担し、その後は傷害慰謝料や休業損害などを支払って解決となります。ここで問題になるのは治療内容の妥当性、休業損害金額の適否、慰謝料の金額でしょうか。これらの金額について、95%ほど(保険会社資料)が保険会社と被害者との直接交渉で示談となります。もちろん、「ある病院での治療費が認められない!」、「休業損害が実際より少ない!」、「慰謝料が少ない!」などの争点はありますが、保険会社は提出書類にもとづいて常識的な判断・数字を提示をすることが多いので、交渉してもなかなか思い通りの金額は取れません。

 この軽傷者のほとんどが通院3か月で治療費の打ち切りを迫られます。「まだ痛い、通院を続けたい」と言っても打撲・捻挫では説得力がありませんし、事実、多くの被害者は治っているはずです。

 休業損害の金額も提出した源泉徴収票や所得税申告書などの証明書から算出します。ここで所得を過少申告していた自営業者は少々痛い目にあいます。実際の所得で請求できないことが、おなじみの争点と言えます。

 慰謝料についても3か月以内の通院ではどの保険会社も自賠責保険の基準である、1日=4200円の計算とほぼ同じ金額を提示してきます。  

 そしてこれらの争点について、被害者はそもそも請求金額が少ないことから法的手段や調停などの斡旋機関を利用することなく、「まぁ、しぶしぶ従って」示談といったところでしょうか。

 では、ここで弁護士など業者の力を使って解決を図るケースを検討してみたいと思います。

 つづく

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 熱を下げたり、痛みをやわらげるお薬です。 成分はアセトアミノフェンです。

karona-ru 「アスペイン」、「アテネメン」、「アトミフェン」、「アニルーメ」、「アンヒバ」、「カルジール」、「カロナール」、「トーワサール」、「ナバ」、「ネオセデナール」、「ピリナジン」、「ピレチノール」これらの薬品名はアセトアミノフェンが主成分となっています。  

【効果】

 作用のおだやかな解熱鎮痛薬です。皮膚の血管を広げて熱を放散させる作用や、痛みの感受性を低下させる作用があります。ただし、対症療法薬ですので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。

【薬理】

 アスピリンと同様にシクロオキシゲナーゼ (COX) 活性を阻害することでプロスタグランジンの産生を抑制します。しかし前述のとおり、アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と異なり、抗炎症作用をほとんど持っていません。

 正常な服用量においてアセトアミノフェンは非ステロイド性抗炎症薬と異なり、胃を刺激せず、血液凝固、腎臓あるいは胎児の動脈管収縮などの影響がありません。また、オピオイド系鎮痛剤(モルヒネなど、トラムセットが有名)と異なり、興奮、眠け、などの副作用がなく、依存性、抵抗性および禁断症状がないという利点を持っています。

【交通事故外傷では】 

 打撲・捻挫、骨折で急性期の炎症の鎮痛に登場します。しかし炎症そのものに効くわけではないので、痛み止めのエース、ロキソニンに合わない患者(ロキソンニンは胃を強烈に刺激するので胃が弱い人)や、発熱を伴うケースに処方されます。

 私見ですが、カロナールなどアセトアミノフェン系の痛み止めが処方される患者のケガはわりと軽傷と思っています。後遺障害が残るような頚椎捻挫では特にロキソニンのアレルギーや特別な理由がない限り、あまり処方されない方が良いような印象をもちます。    

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 日曜日は京都・山科で会議でした。関西の仲間を中心に夏の研修をはじめ、堆積した課題についてつめてきました。新幹線を使えば往復5時間ですが、休日返上で動き回って疲労も堆積です。

 今日は事務中心で、17時終了を目標に頑張ります。有用な記事とならず済みません。

20140525180710   ブルコギ鍋? おいしかった!スタミナつきます。あと脂肪も(´_`。)

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 相談会会場前で鉄道祭り(だったかな?)をやっていました。大宮と言えば鉄道の街です。長らく電車の基地・整備施設がありました。

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 今回の相談会の所感ですが、「依頼者のニーズ」について。

 交通事故被害者、相談者は何を求めて相談のドアをノックするのでしょう?もちろん、事故の解決に他なりませんが、やはりその目的にも具体的な要望があります。ここで話を難しくするのが、その要望を具体的に説明できない、そして自らもその要望に気付いていないケースです。

 昨日の例では、医師との折衝を苦手とする被害者さんでした。それなりに重傷であるため保険会社の打ち切りは急がされませんでしたが、しばらくして示談金の提示となりまた。慌てて医師に後遺障害診断を依頼しようにも、長い治療期間を要したため、医師が交替していたり、医師が患者にできるだけの治療を終え、治ったとの認識になっていたり・・つまり患者への興味が薄れてしまったのです。

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 全国の仲間から実績投稿があがってきています。交通事故外傷で最大勢力であるむち打ち・頚椎捻挫・腰椎捻挫での14級9号認定は数が多すぎて投稿を控えざるをえません。それでもレアな障害、先鋭的な取り組みなど、弁護士他士業の皆様からも好評をいただいおります。また、最近の行政書士HPを見ると似たような実績ページが増えたようで、もし影響を与えたとしたら光栄なことです。なにより被害者の皆様にご自身の解決に向けて役に立つ情報となり、ダイナミックな現場の空気を感じて頂けれたら幸いです。

 では本日の投稿を!

 

自動車保険に精通し、保険会社・代理店・契約者の機微を理解した者に成しうる解決事例。

 

【事案】

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 今年の病院同行ペースは昨年の250軒/1年に比べ、30%ペースを落としています。それだけ書類作成業務、事務に影響が深刻だからです。事務と言ってもそれほどのボリュームはありません。神経を使うのは弁護士事務所からの診断書・画像分析業務です。とくに電話帳サイズで来ると悲鳴ものです。もちろんこれは誰にでもできる仕事ではなく、また秋葉の技量を期待しての依頼なので人任せにできません。

 これは病院同行にも言えます。ただ病院に診断書を持参するだけの仕事ならわざわざ同行の必要はありません。検査の依頼、紹介状の依頼、可動域の計測など、診断書の記載内容に踏み込む場合、知識・経験と臨機応変な対応、そしてなにより医師と交渉し、信頼される人間力が要求されます。後遺障害診断は交通事故解決の最初の勝負どころです。被害者の運命がかかっています。事務員に書類を持たせて派遣するような軽率な仕事はできないのです。

 秋葉さんも人を雇えば?と言われますが、即戦力となるような人材の確保は相当に困難です。行政書士を採用しても、交通事故業務と全く無関係な資格なので一からの指導になります。新人さんの戦力化には長い時間がかかるのです。それでも人を雇って業務拡大すればとたんに仕事の質が落ちます。なぜなら知識・経験の不足のため、マニュアルに頼った仕事にならざるをえないからです。「マニュアル」は「臨機応変」と対極の行動です。わずかの研修を終えた程度の初心者に病院同行や診断書分析、画像読影など任せられません。やはり産業化に向かない職種と思っています。

 そんなわけでこの業務、つくづく職人仕事だなぁと思います。   biz5

 交通事故分野で代書業務などほんのわずかです。外に出て関係各所に話を付けくるて行動力・調整力そして人間力が求められます。  

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 私は被害者側の仕事をしています。損保出身ですが現在は一切損保会社と取引はありません。では損保会社は絶対的に利益相反する敵でしょうか。いえ、場合によってはお互い協力することもあり、稀に共同戦線もありえます。  

 昨日の案件は相手損保が一括対応(治療費支払い)を打ち切ったため、自身が契約している人身傷害特約へ請求を行っている被害者の件です。ケガと既往症の関係が不明瞭で、かなり迷走しています。このようなもつれた糸を解きほぐし、解決へのレールをひく仕事が必要です。かなり大変な作業ですので、損保担当者の協力があれば大助かりです。昨日はそのようなことから人身傷害の担当者に来訪いただき、打合わせを行いました。

 このような時に心配されるのは、依頼者を置き去りにした損保&士業の癒着構造です。依頼者に背信となるような保険会社との折衝は絶対にいけません。  普通 被害者側:士業vs加害者側:保険会社 の構図がメインです。しかし過失に争いがある事故では、相手損保にできるだけ求償したい人身傷害の保険会社と、これから賠償に取り組む弁護士&立証作業に入る私の利害が一致することが起きます。あたかも「呉越同舟」のようです。

 もちろん前提となるのはコンプライアンスを順守していること、正当な立証作業を行っている行政書士であることの評価・評判です。保険会社からある種の信頼が必要なのです。私見では損保会社の多くは、交通事故業務を行っている行政書士を「小ズルい存在」、もしくは「代書屋ごとき」と思って良い評価をしていません。この業界、少なくとも「いまいましいが、一目置いている」存在にはなりたいものです。

 さて、交通事故は複雑です。本件のように敵対関係の構図ではない利害関係が生じる時に限っては、協力関係も辞さないのです。もっとも平素、保険会社の顧問・協力弁護士が被害者側から依頼を受けた場合、関係損保に対して敵対する受任はできないでしょう。私も損保ジャパン代理店時代は対損保ジャパンの案件は敬遠しました。世の中が資本主義である以上、商売の取引関係は無視できません。やはり信頼できるのは損保から仕事をもらっていない弁護士と思います。そして保険会社は敵でもあり、時として味方でもある不思議な存在と思います。 20111122_1

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 医療調査、障害立証を業とする私の仕事は「交通事故被害者の救済」を信条としております。しかし相談にいらっしゃるすべての被害者を助けるわけにはいきません。被害者に中には一定数の詐病者、心因性被害者が混入しているからです。

 各地の相談会で「この被害者はおかしい」と判断せざるを得ない場面があります。交通事故相談では受任してはいけない被害者を見抜かなければなりません。しかしこれがなかなか難しい。交通事故の経験豊富な弁護士でさえ騙されることがあります。どうやって見抜くのか?そこで少し古い話題ですが、興味深い記事を目にしましたので引用します。話題の二人について学者の難しい分析より、マジシャンであるマギー司郎さんの意見に大いに共感しました。  

 「5月10日『東京新聞』 虚と実のあいだ」 より

 obo「…テレビ、舞台は心が映るレントゲン」って弟子たちには言っているんです。身振り手振り口ぶりを通して自分自身が全部出てしまう。佐村河内さんの謝罪会見を見たけれど、隠し事をしているように感じたなあ。一方、小保方さんはうそを言っているようには見えなかった。何か思い込み、考え違いが根っこにあったのかもしれないね。…」  

 すっと得心しました。私は話題の二人の記者会見と交通事故被害者の観察に類似性を感じます。もちろん二人を詐病者、心因性と断罪する文意ではありません。マギー師匠の観察に同じく、この2人の記者会見から被害者を見抜く・見分けるコツがあるように思ったのです。言い換えると確信犯と盲信者の違い、でしょうか。

 詐病者は何らかの目的をもって、それはもちろん保険金・賠償金ですが、嘘の傷病、重い症状を装います。これは犯罪者なので絶対に排除しなければなりません。また心因性被害者も困ったもので、悪気はないにせよ自身を重大なケガと思い込み、本当にどんどん悪くなっていきます。信じる者にはどんな説得もお手上げです。これも事故の保険・賠償金の対象から遠ざけなければなりません。一概に言い切るには乱暴ですが敢えて言いますと、詐病者は男性に圧倒的に多く、心因性被害者は圧倒的に女性に多いようです。    保険会社は常に疑いの目をもって被害者に対峙しています。私たちは本当に助けるべき被害者と排除すべき被害者を見分けなければなりません。問題のある被害者を助ける事は保険会社の支払いをより頑なにするだけではなく、保険会社からの信用を無くすことになるからです。

 新人の補助者、期の若い弁護士と一緒に仕事する機会が多い中、なかなか難しいのですが、見抜く目を感覚的に教えていくしかありません。被害者をよく観察することが基本としながら私もよく迷っています。  

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 相談会で多い相談の一つに、「後遺障害の審査で「非該当」の通知を受け、納得がいかない」があります。

 理由は様々ですが、そもそも後遺障害の基準に達していないケースが多いようです。しかし中には障害等級がつくようなケガ・自覚症状を示しながら、必要な検査を行っていないものが少なくありません。

20140508_3 症状固定時になって初めて「匂いがしない」、「腱損傷がある」、「実は骨折していた」など、なんで受傷してから今まで気づかなかったのよ!と医師を責めたくなる診断書を目にします。しかし医師に必要な検査を依頼し、自らの治療はもちろん、障害の立証をするのは被害者自身です。ダメな医師なら早々に見切りをつける決断も必要なのです。しかしこれは初めての事故、初めてのケガ・症状では少々酷な話でもあります。いつも早めの相談を呼びかけているのはそのためです。

 最近の例では、腱損傷を診断名に書きながらXP(レントゲン)しか撮っていないケースがありました。XP、CTは基本的に骨しか見えません。骨折の診断のための検査です。筋肉、軟骨の類はMRIでないと写りません。したがって診断名に「腱損傷」とあってもそれが写っている証拠(MRI)がなければ、なんの判断もできないのです。これでは却下(非該当)で当然です。

 つまり勝負以前に「土俵に上がっていない」のです。こんな無駄な試合で悔しい思いをしてほしくないのです。  

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