「自動車保険の更新、ちょっと待って! もっと安くなるかもしれませんよ!」

 通販型自動車保険の宣伝、その決め文句ですが、毎年自動車保険の更新について細かく検討している人は少ないと思います。何と言っても分かり辛い。字が小さい。どこも同じでしょ・・・そんな印象からじっくり証券やパンフレットを見ることは少ないと思います。そして「昨年と同じでいいです」と更新します。しかし私たちのように交通事故、自動車保険に深く関わる仕事をしていますと、保険内容の細部にまで注目しています。

 昨年の更新で保険証券に若干の変化がありました。以下保険証券から抜粋した『人身傷害特約』の欄をご覧下さい。

(クリックするとはっきり見ることができます)

『無保険車傷害』⇒ 注:『人身傷害で補償されます』

   …ん、これはどういうことでしょうか?

 さりげなく書かれていますが、これは被害者にとって隠れた大問題です。  

 まずは『無保険車傷害特約』からおさらいしましょう。これは保険に入っていない、支払い能力のない加害者にケガをさせられた時、もしくはひき逃げ被害などで相手から補償が受けられない分を自分の自動車保険で補償してくれる有難い特約です。あまり馴染みのない保険ですね。もう少し説明を加えましょう。

 ある時、自動車事故に遭って大ケガをしました。死亡事故はもちろん、後遺障害を負うようなケガとなると賠償金は大金になります。また車の修理費を相手はちゃんと補償してくれるでしょうか?「相手の保険から払ってもらうので大丈夫では」・・このように考える方も多いと思います。しかし、相手が任意保険に加入していなかった場合、相手はすんなり自身のお財布からお金を払ってくれるでしょうか?任意保険に入らない精神の持ち主ですよ。もしくは掛け金が払えない経済状態?・・このような人からお金を取ることは絶望的です。

 それでは、任意保険に加入せずに走っている自動車はどのくらいあるのでしょうか?

 任意保険の加入車は各社の統計で容易に割り出せます。そして全登録車を分母にすれば、大まかな加入率が割り出せます。最新の統計を見てみましょう。

 全保有台数78660773台の内、対人・対物賠償の加入率の全国平均は73.4%です。(平成23年3月末 損害保険算出機構データ)

 使用していない自動車を差し引く必要がありますが、約80%が保険加入車と想像できます。そうなると任意保険に加入しないで走っている自動車は2割ほどということになります…。5台に1台、けっこう多いと思いませんか。

 「自賠責保険(強制保険)があるから大丈夫」、このような反論もあるかと思います。多くの方が誤解していますが、強制保険は補償が非常に限定されたものです。死亡の場合3000万円、後遺障害の場合4000万円、加えてケガの補償は120万までです。大ケガの場合、当然足りなくなります。そして対人賠償限定なので、車の修理費など物の損害はでません。  このような場合、ケガをしたご自身が自動車任意保険に加入していれば、『人身傷害特約』もしくは『無保険車傷害特約』で補てんすることが可能です。ちなみに車の損害の場合は『車両保険』です。自分が悪くない事故の時に自分の保険を使うのは理不尽ですが、これにより一定の救済が図れますので、「入っていてよかった~」ことになります。

    ちなみにゴールデンウィークに『無保険車傷害特約』を取り上げましたところ大変な反響を頂きました。 ...

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実話 「隠れ特約」に翻弄されて 最終回

 あ○おい担当者:「割合に応じて49%払えます。したがって利害関係を持つ弊社も訴訟参加します」  何を今更!それなら最初に言ってくれよ あ○おいさん! このまま裁判沙汰にでもならなければ黙っていたつもり?事故から5年も経って「実は半分くらいは払えます、だから裁判にも口を出しますよ」ですって。呆れます。

 ちなみに裁判の結果に利害関係をもつ者が顔を出してくることを訴訟参加といいます。この者を補助参加人と呼びます。これで本裁判の顔が出揃いました。   原告: Bさん  原告代理人: D弁護士  被告: A君   被告代理人: C弁護士 補助参加人: あ〇おい損保    参加人代理人: E弁護士 補助参加人: ア〇サダイレクト損保  参加人代理人: F弁護士  とまぁ、豪華絢爛、この裁判の出演者はこのように整理できます。普通、原告、被告、補助参加人の2社は裁判所に出廷しません。したがって実質はD弁護士 対 C、E、F弁護士 です。(弁護士は大繁盛ですね)    あ○おいさんは裁判で「Bさんの請求額に対して意見がある」とし、今まで5年間特約の存在を黙っていながら堂々と医療調査を要求して、収束しかけた裁判を長引かせています。2度も自賠責保険調査事務所による医療審査を経ているのに、この場に及んでケチをつけてくる。今まで黙って様子見しておいて、いざ払う羽目になってから、反論してくる?これは厚顔無恥です。  そもそもA君が訴えられているわけで、A君の弁護士に任せればいいのに?と思います。おそらく加害者側は心情的に被害者にできるだけ保険金を払ってあげたいのです。その気持ちを代理人であるC弁護士が汲み、反論が鈍る危険性を感じ…あ〇おいさんは黙っていられないのでしょう。    もう被害者も加害者も関係なし、とにかくあ〇おいもア○サも「少しでも支払いを減らしたい!」のです。    これはもはや交通事故、加害者と被害者 の争いではありません。   「障害補償を少しでも多く求める被害者」と「少しでも払いたくない保険会社」の争いです。       続きを読む »

 ゲームの世界では「隠れアイテム」「隠れキャラ」などの言葉があります。これはゲームの製作者が意図的にその存在をマニュアル等に載せず、ゲームをやりこんだマニアにそれを発見させる楽しみを与えるものです。

 これがあるのです。自動車保険にも。

 いざというとき、つまり交通事故では自動車保険がもっとも頼りになる救済システムです。それは掛金を払っている契約者(加害者)はもちろん、相手(被害者)に対しても同様です。  しかしこれから紹介する特約を知っている人はどれだけいるでしょう?私の聞き込みでは大手損保会社の数億円収保の大型プロ代理店、保険支払部門勤務30年のベテラン社員でさえこの特約の請求に遭遇したことがないそうです。この方達が勉強不足であるとは思えません。それほど珍しいケースなのでしょうか・・・。

隠れ特約① 無保険車傷害特約

 無保険車傷害保険とは(超簡単に説明します)・・・

 事故相手が自動車保険に入っていない、効かない、または保険は入っていても支払額が足りないとき、自分が契約している自動車保険から肩代わりして支払ってくれます。乗っていた車の保険が適用される方や搭乗中の方が死亡、後遺障害を負った場合に保険金をお支払いします。記名被保険者とそのご家族(別居の未婚の子を含む)についてはご契約のお車に搭乗中以外(自転車、歩行中など)の事故も補償します。加害者が負担すべき損害賠償額のうち、自賠責保険の保険金を超える部分に対して、被保険者1名につき2億円を限度に保険金をお支払いします。ただし、加害自動車に対人賠償保険が(足りない額だけど)ついている場合や他の無保険車傷害保険(特約)の適用がある場合は調整して支払います。 続きを読む »

 つまり「自身が何等級であるか」分析する冷静さがないとダメなんです。そして認定理由を理解し、第3者が納得できる文章を書く国語力が必要です。  実践的な話に移ります。  

■ 異議申立の進め方

① 認定理由をよく読む  残存する症状についてなぜ認められないか、症状別に細かく書いてあるはずです。そこをしっかり読み取って下さい。

 例えば、「頚部が痛い、重い」 「腕がしびれる」 「関節が曲がらない」 「めまい、吐き気がする」 ・・・これらは自覚症状です。世の中の人間がすべて天使のように清純であればいいのですが、残念ながら嘘の症状、大げさな症状を訴える被害者も少なくないのです。審査する側はまず疑ってかかっていることを肝に銘じて下さい。つまり「どの主張が信じてもらえなかったのか?」を抽出します。

② 自覚症状と他覚症状を結び付ける

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 1 「同部に骨折、脱臼等の損傷が認められず ~ 自覚症状を裏付ける客観的な医学的所見に乏しいことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」      否定の理由はようするに他覚的見地が乏しいのです。これはずばり医師の診断、検査・画像所見の不足を指します。

 ・ 不足している検査はないか    神経麻痺なら筋電図や神経伝達速度検査が行われていたか。

 ・ 症状を裏付ける画像は      骨折の場合レントゲンでOKですが、筋損傷はMRIじゃないと写りません。

 ・ 可動域制限が正しい計測か   間違った計測は測り直す必要がありますが、そもそも器質的損傷が伴わないのに「曲がりません」と言っても信じてもらえません。

③ その症状はいつから?

調査事務所 お決まりの非該当決め言葉 2 「これらの症状の出現時期は少なくとも受傷から約○日経過した平成○年○月○日以降と捉えます ~ したがって本件事故との相当因果関係を有する障害と捉えることは困難なことから、自賠責保険が認める後遺障害には該当しないと判断します」    これが一番やっかいです。受傷当時に医師が見逃した為に症状の発見が遅れたケースです。最近頻発しています。  症状の出現時期までの経過日数が長ければ長いほど絶望度は高まります。この場合、受傷当時からのカルテを回収し、せめて自身が痛みや症状を訴えていた時期を特定し、切々と確定診断が遅れた状況・理由を説明していくしかありません。  この項目がもっとも調査事務所からの信用度合が試されると思います。

④ 漏れている症状はないか

 複数のケガの場合、大きなケガの認定にスポットがあたり、見逃されている症状があります

 ・ 神経麻痺の場合   足首の可動制限だけか?足指の可動制限が見逃されているケースがあります。

 ・ 前腕骨の骨折で癒合良好    しかし痺れ、手首の可動制限が残っている場合、橈骨神経麻痺を精査します。

 ・ 高次脳機能障害が認定      体の麻痺等の症状をすべて高次脳の等級に含めますが、嗅覚脱出やめまいなどを別系統として併合する余地あります。  

 自信がなければ専門家に依頼するのも良いと思います。特に異議申立てに熱心な事務所も存在します。異議申立ての成功率も7割を超える優れた先生もいるそうです。

 最後に、 原則 異議申立ては受任しません。 続きを読む »

 原則 異議申立ては受任しません。

 しかしどうしてもやらざるを得ない気の毒な被害者さんも存在します。極めて限定的ですがお引き受けすることもあります。私たち協力行政書士や連携弁護士は仕事の基本を、「受傷から解決までを間違いなく案内する船頭たるべし」としているからです。    ご自身で動き、つまづきがあった結果、かなり厳しい状態からのスタートになります。幸い異議申立てに積極的な事務所も多いので、そちらへご紹介していこうと考えています。

 さて、それでも今年数件の異議申立て、再異議申立て、自賠責紛争機構への異議申立てといくつか手がけました。作業として最初に「なぜこの等級が認められなかったのか?」を分析します。そこで失敗続きの原因が浮き彫りになります。そして決まりきった失敗パターンの存在に気づきます。  

■ 異議申立てが不調となる理由

・ 非該当もしくは認定された等級の理由書をよく読んでいない。

 自賠責保険調査事務所は必ず「理由」を明示しています。自賠法16条の4および5 (最下段参照)で決められているからです。ですからその理由に対しての反論が必要です。それなのに「なぜ私のケガが○級なのか!非該当はおかしいのではないでしょうか!まったく理解できません!審査に納得がいきません、どうしてなんでしょうか?」・・・単に怒っている、愚痴をいっていっている、文句を言っている、再質問をしている類の文章が多いです。理由を理解しない被害者です。これでは会話になりません。

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 おはようございます。毎度のことですが、交通事故相談で「相談者自身の保険契約を精査すること」、これを忘れないようにしています。  

<実例>

 自転車で走行中、交差点で自動車と出合い頭で衝突し、足を骨折しました。そして自分にも事故の責任を指摘され、相手との過失割合が10:90となりました。結果として最終的に賠償額から10%削減されて支払われることになりました。 

 「悔しいです・・なんとか0:100にできませんか」  

★ ポイント1

 しかし、必死になって過失割合の交渉をしなくても、ご自身が契約の自動車保険の人身傷害特約でその削減分を請求し補填することが可能です。これは自動車との事故であれば、契約自動車に乗っていない場合、歩行中や自転車搭乗中でもOKなのです。

 ※ ただし「搭乗中のみ担保特約」となっていれば、契約自動車搭乗中に限定されます。   通販型の保険はこれが多いので注意です。  

★ ポイント2

 この自身契約の自動車保険ですが、自分が契約していなくても、「同居の親族」の誰かが契約していれば、保険が適用されます。

★ ポイント3

 さらに、被保険者(保険が受けられる人)の欄に「同居の親族」だけではなく「別居の未婚の子」が記載されていませんか?この別居の未婚の子とは、通学のために別居に下宿している子などが代表例です。しかし、学生に限らず、独身の40歳OL一人暮らしも範囲に入ります。このOLさんが東京で交通事故でケガをして、なんと!九州の実家の親の自動車保険が使えるケースが有り得るのです。

※ 「別居の未婚の子」に年齢制限はありません。婚姻歴無のみが条件です。  一度結婚し、離婚して独身になってもダメです。ですので18歳で結婚し、19歳で離婚バツ1となった人は、未成年であっても「別居の未婚の子」から外れます。なんか腑に落ちませんが、保険約款が民法の「成年擬制」の条項に準じているためと思われます。

<民法第753条>

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法上、未成年でも婚姻すれば成年と同じように行為能力者とみなします。男子の場合18歳、女子の場合16歳になると婚姻をする事ができますが、婚姻によっても成年に達したものとみなされます。これによって親権者の同意を得ずに単独で法律行為が可能になります。この効果は離婚しても消滅しません。つまり、法律上20歳で大人ですが、未成年でも1度結婚したら大人と扱う、ということです。

  ★ ポイント4

 この「別居の未婚の子」の解釈は他の特約や保険でも共通です。

・ 弁護士費用特約   ・ 無保険車傷害特約 ・ 個人賠償責任保険 ・ 家族傷害保険(共済)      <まとめ>   保険適用に気付かずに請求漏れが多いと推測します。請求しなければ保険会社は払ってくれませんので。また、弁護士や行政書士に相談しても、その先生方が保険に精通していなければ見落とします。

事故相談で必ずすること・・・「自身の保険契約を洗い直す!」です。

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 搭乗者傷害保険とは読んで字のごとく「車に乗っている時にケガをしたら」支払われる保険です。自動車に運転中、あるいは同乗中の交通事故でケガをした場合はもちろんですが、色々なケースを想定してみましょう。今日はクイズ形式でいきます。面倒がらず考えてみて下さい。  

次の場合、搭乗者傷害保険はおりるでしょうか? 

<Q1> 法事の帰り、お清めをした(ビールを飲んだ)主人に代わり、お酒を飲んでいない奥様が運転していて電信柱に衝突する事故を起こしました。2人とも1週間ほど通院するケガを負いました。この場合2人に保険はおりるでしょうか?

<Q2> 運送業に勤めるAさんは運転中居眠りをしてしまい、追突事故を起こしてしまいました。幸い相手にはケガはありませんでしたが自身は顔面を3針縫うケガを負いました。この場合は?

<Q3> 東北大震災の津波で車が横転、幸い自衛隊のヘリに救助されたが、右腕を骨折するケガを負った。

<Q4> 信号待ちをしていて、後続車に追突されケガをしました。相手は任意保険に入っており、通院10日の治療費、休業補償、慰謝料、車の修理費などすべての損害を支払ってくれました。その場合でも重ねて搭乗者傷害保険はおりるのでしょうか?

<Q5> ゴミ収集車で作業補助をしているBさん、車を降りようとドアを開けて足を降ろした際、先に車から降りていたCさんが誤ってドアを閉めてしまい、足を挟んでしまいました。足首の靭帯を痛めてしまい通院しています。この場合は?

<Q6> 若い時やんちゃだったCさん、久し振りに昔の仲間と会ってはめを外しドライヴ、走行中ドアから上半身を乗り出し、ドアに腰かけてた状態(いわゆる箱乗り)の時に電信柱に肩をぶつけケガをしました。この場合は?

<Q7> GWに伊豆へドライヴに行きました。天気が良いので窓を開けて走行していましたが、山道で蜂が車内に飛んできて腕に止まりました。払いのけようとしたら刺されてしまい、腫れがひどかったので病院によって消毒してもらいました。この場合は?

   ■ 答え

{A1} 夫婦両方とも支払われます。

 飲酒や薬物、無免許運転でのケガはでません。しかし同乗者はお酒を飲んでいても問題ありません。 ちなみにもしご主人が飲酒運転をして同乗の奥様がケガをした場合、これはご主人は当然免責ですが、奥様は飲んでいようといまいと有責(保険でます)です。巻き添えはOKなのです。

{A2} 居眠り運転は支払われます。

 故意(自殺目的で海に飛び込む等)は免責です。しかしこれは「故意」にあたらないからです。

{A3} 地震、噴火、津波は免責です。保険はでません。 

 他に、戦争、内乱、暴動、放射能汚染も免責です。

{A4} 重ねて支払われます。

 相手からもらうお金は賠償金、つまり償い・弁償ですが、自身が契約して掛け金を払っている搭乗者傷害保険は別物です。請求漏れのないようにしましょう。  ちなみに人身傷害特約は相手からの支払が得られないとき、足りないときに支払われます。ここが搭乗者傷害保険との一番の違いです。

{A5} 払われます。 

 交通事故とは思えない事故でも対象です。実際ドアの開け閉めのケガが意外に多いのです。しかし車外からドアを締めようと自分の指を挟んだ場合はダメです。これは乗っていないからです。

{A6} 支払われません。

 これは乗り方が問題です。約款上「正規の乗車構造装置のある場所に搭乗中の者」とあります。ドアはイスではありません。またトラックの荷台に乗っている場合もダメです。

{A7} 支払われます。

 傷害保険支払いの3要件…「急激」かつ「偶然」かつ「外来」の事故です。虫刺されはこの3要件に当てはまってしまうのです。保険の不思議さを感じます。

 ちなみに・・   ・ 長時間運転していて腰痛になった → × これは「急激」にあたりません。  ・ 運転中、盲腸炎になった → × これは体内なので「外来」にあたりません。  ・ 運転中、O157に感染した → × 何故か普通の傷害保険はでます。上の3要件にあてはまるからです。しかし搭乗者傷害はダメです。運転中の感染なのか判別不可能だからです。

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 昨日に引き続き搭乗者傷害保険の後遺障害保険、重度後遺障害保険金、死亡保険金について解説します。  

■ 後遺障害保険金

 「部位・症状別定額払い」と違い急いで請求する必要はないです。基本通り180日経過後、後遺障害診断書を提出して請求します。保険会社所定の診断書を使うケースが多く、認定基準はその保険会社の内部規定に照らします。その基準は約款上明記されていませんが、おそらく自賠責保険の認定基準に準じたものと思います。そして自賠責保険の等級認定ほどシビアな審査ではないと思います。

      等級と金額は以下の表の通りです。(損保ジャパン)

等級 保険金割合 死亡保険金1000万円とした場合の金額 1級 100% 1000万円 2級 89% 890万円 3級 78% 780万円 4級 69% 690万円 5級 59% 590万円 6級 50% 500万円 7級 42% 420万円 8級 34% 340万円 9級 26% 260万円 10級 20% 200万円 11級 15% 150万円 12級 10% 100万円 13級 7% 70万円 14級 4% 40万円

    ■ 重度後遺障害保険金

 上記の表の1級、2級、または3級3号(神経系統の障害)もしくは4号(胸腹部臓器の障害)が生じ、かつ介護を必要と認められた場合、死亡保険金額の60%=1000万円の場合600万円が加算されて支払われます。2000万円契約の場合でも600万円が限度となります。

■ 死亡保険金

 保険証券に書いてある通りの金額です。死亡保険金1000万円=1000万円  

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 私たちグループ行政書士が巷の法律家の行う交通事故相談と一線を画すわけ・・・それは実践的な戦略会議であることです。「・・・この場合は法律的にはこうなります」といった被害者の疑問にお答えするだけで終わらず、さらに解決までの手続き・やるべき事を列挙して、具体的な作業に及ぶことです。 典型的な例をお話します。ある相談者さんは自動車通勤途上の交差点事故で首を痛め、それが原因で会社を辞めざるをえなくなりました。当座のお金にも困っています。そして「無料相談」にひかれ、先に弁護士と行政書士にそれぞれ相談に行きました。しかし労災や健康保険の手続き、自動車保険の請求に話が及ぶと「それは各窓口で聞いて下さい」と言って知識のないことを露呈したそうです。そして弁護士は賠償金、行政書士は自賠責保険請求の話に終始しました。本人の主張も過失割合(20:80じゃ納得できない!)のことばかりです。

 この方がまず先にやるべき事は・・・

 1、治療費の労災変更手続き 2、主治医と面談し、初診時から頚部神経症状の確定診断がとれているかの確認と検査 3、自身の自動車保険から搭乗者傷害保険の請求  4、労災又は相手保険会社へ休業損害の請求  5、加害者側保険会社と物損の示談   このようにたくさんの手続きをお手伝いする必要があります。特に法律家に依頼したくても経済的に困難であれば、3の搭乗者傷害保険の部位・症状別定額払いを有効活用します。これは治療日数が5日以上になれば請求可能です。自身契約の保険会社に連絡し、即6万円の支払を受けられました。これを使って着手金に充当しました。これでバリバリ作業が進められます。既に職場の担当者に話をつけて労災対応に切り替えています。返す刀で相手保険会社に労災使用の宣言と物損(車の修理費)の請求です。労災使用なら対応も友好的になります(治療費の支払手続きをしないで済み、自由診療と違って安く上がりますから)。物損は15:85でさっさと示談、すぐ修理費を払わせました。並行して主治医へ面談し、想定される後遺障害について検査や記録をお願いします。漫然と治療を続けるだけではなく、立証作業への理解を得ることが大事なのです。  あとは半年後の症状固定日に向けて間違いのない後遺障害等級認定へまっしぐらです。この間被害者は安心して治療やリハビリに専念、再就職へ向けて歩みだします。

 これが普通の法律家では成しえない戦略的解決方法です。ほとんどの弁護士先生は後遺障害が認定されるまで動きません。行政書士も半年後の自賠責の被害者請求と賠償金の計算で報酬を得ようとしています。被害者自身もいつまでも僅か数万円しか増減しない過失割合でだらだらもめていて肝心の手続きをしないとどうなるか?・・後遺障害立証自体が手遅れになってしまいます。

 話がテーマから逸れました。この搭乗者傷害について・・

  搭乗者傷害保険 (自動車任意保険に付帯して契約します)

■ 支払項目

① 死亡保険金 ② 後遺障害保険金及び重度後遺障害保険金 ③ 医療保険金

 今回の例で支払いを受けたのは③の医療保険金です。以前は日額払い(死亡1000万円で契約の場合、入院1日15000円、通院1日10000円)が主流でした。これは治療が完了した段階で日数を数えて支払います。しかし最近は部位・症状別定額払いが一般的です。これは治療が5日以上に及べばケガの症状によって5万円~95万円(各社若干の違いあり)が即座に支払われます。さらに別枠で治療給付金1万円もおります。

③医療保険金の支払金額 (簡略)

1、打撲・捻挫・挫傷は全身どこでも5万円均一 2、挫創は部位によって5~35万 3、骨折は部位によって10~60万 4、筋断裂は部位によって10~30万 5、欠損は部位によって5~55万 6、脳内出血は部位によって5~55万 7、神経の損傷は部位によって10~95万 8、臓器の損傷は部位によって50~85万 9、熱傷は部位によって5~35万

 使い勝手がいい保険なので忘れずに真っ先に請求したいところです。 明日は肝心の②後遺障害保険金を解説します。

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 おはようございます。週末も相談者が事務所にいらしゃいました。たまに交通事故以外の相談もあります。ケガを負うのは交通事故とは限りませんので当然と言えば当然です。なかでもご自身が契約している保険の請求や内容についての質問が目立ちます。  後遺障害となる大きなケガをした場合、自分が契約している生命保険からはどんな条件で、いくら、払われるのだろうか???意外に盲点です。早速、日本生命、損保ジャパンひまわり生命、プルデンシャル生命の約款を確認してみました。

 呼び名は各社多少の違いはありますが「高度障害保険金」が一般的のようです。

 赤字は自賠責保険に相当する等級です。これ以上の重篤な障害が対象となっています。

■ 高度障害保険金の支払条件   ○ 両眼の視力を全く永久に失った

1級1号

○ 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失った

  3級2号

○ 中枢神経系または精神に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級1号

○ 胸腹部臓器に著しい障害が残り、終身常に介護を必要とする

  別表1の1級2号

○ 両上肢ともに、手関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級3号   用廃 1級4号

○ 両下肢ともに、足関節以上で失った、またはその用を全く永久に失った

  欠損 2級4号   用廃 1級6号

○ 一上肢を手関節以上で失い、かつ一下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失った

  一上肢欠損 5級4号 と 一下肢欠損 5級5号 又は 一下肢用廃 5級7号 ...

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 交通事故を警察に届けると、その事故が起きた事実を証明する「事故証明」の発行が可能になります。これは警察や裁判所が発行するものではなく、交通事故安全センターが発行業務を行っています。事故後3週間~1か月で発行可能となります。  「交通事故証明書」は自賠責保険の請求、労災の請求、健康保険への届け出(第3者行為届出)で必須添付です。通常、事故相手に任意保険会社がついていれば、その担当者が取り寄せをするので、こちら(被害者側)で必要な場合、写しを下さいと言えば入手できます。  加害者が任意保険をかけていない場合、交番で事故証明書請求の申請用紙をもらい、郵便局で振り込んだものです。料金は600円+120振込料だったと記憶しています。

 本日のポイントは「この事故証明がインターネット請求ができるようになっていた!」です。最近まで知りませんでした。ただし請求は本人のみで代理人は今まで通り郵便用請求書の使用となります。ということは保険会社の担当者はインターネット申請ができないはず?です。今度聞いてみます。

交通事故安全センター http://www.jsdc.or.jp/index.html

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 交通事故被害者は自動車運転、同乗中、2輪車、自転車、歩行者と分類されますが、常に被害者であるとは限りません。 たとえば自転車がいきなり路外から道路に飛び出して車に衝突した場合、自転車の過失の方が大きくなる場合があります。また自転車で走行中、歩行者に衝突の場合もです。

 15年位前でしょうか自転車総合保険の団体契約を扱っていたとき、契約者の女子高生が自転車で歩道を走行中、お年寄りにぶつかり転倒させてしまいました。そのおばあちゃんは骨盤を骨折し、これをきっかけに寝たきりの状態になってしまいました。この場合、自転車総合保険に付帯された個人賠償責任保険にて対応が可能です。しかし当時この保険は自動車保険のように示談交渉付きではありませんでした。あくまで保険会社が認定した額を限度に支払う保険です。治療費など請求金額が明確なものについては問題ないのですが、慰謝料や介護費用など当事者同士が直接、または保険代理店が間に入って交渉するしかありません。事故から10か月くらいのち、当事者の高校生と父親を伴い3人で相手宅にお伺いしました。

 交渉相手は息子さんです。事故が原因で寝たきりになった、との主張は予想通りでした。これについては因果関係が問題となり保険会社もすんなり認めないことはわかっています。お祖母ちゃんの若いころの話やお孫さんの話や雑談が続きます。一向に核心に話が進みません。  そして1時間が過ぎ、息子さんも「保険では厳しいんでしょ、かといって直接払ってとは言えない。秋葉さん、なんとかならないの?」と。そして自賠責保険の基準での金額を提示し、「なんとかこれでお許しいただけませんか」と3人で平謝りです。  幸い、諦め気味に納得して示談に応じていただきました。契約者親子はほっとしたと思います。しかし私は漠然とした不満を感ました。 自動車保険のように示談代行ができない賠償保険は欠陥商品ではないかと。

 数年後、東京海上日動は示談交渉ができる内容に約款改定しました。保険会社にとって大きな一歩と思います。しかしまだすべての損保はこの示談交渉付きにしていません。自転車事故だけではなくスキー場での接触事故や子供同士のけんかや細かなもめごとは日常茶飯事です。軽微な事故では弁護士を介入させることなく保険を使った解決が図れるのならそれに越したことはありません。

 個人賠償責任保険、3000万円限度で年間1500円位の掛け金です。この保険、示談代行付きを必須とし更なる改良が望まれます。

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