先日の内容から弁護士に依頼した場合の損得勘定をしてみましょう。    ueshima 訴えてやる!

① 治療の継続による治療費請求

 弁護士の交渉により1か月通院が伸びました。治療費は病院に払われるものですので賠償金として加算しません。

 しかし延長の条件として健康保険を使った場合は別です。自己負担額(0~30%)がありますのでその分は獲得した賠償金と言えます。

(計算例)   一回のリハビリの点数を200点としますと、健保治療の場合1点=10円ですので2000円、そこから3割負担の国保(自営業)なら600円が自己負担です。その600円×1か月の実治療日数が15日なら、600円×15日=9000円をゲットしたことになります。これがこの弁護士の交渉による成果といえます。  

② 休業損害の証明

 この自営業者さんは保険会社の最低補償である5700円/1日から7000円へアップできました。

(計算例)  受傷から3か月間の実治療日数45日までが認められたとして、7000円-5700円=1300円×45日=58500円の増額を弁護士の交渉により、勝ち取ったことになります。  

③ 慰謝料の妥当性

 これは先日の表を見れば一目瞭然、弁護士が介入しなければ認めてくれなかった赤本基準をしぶしぶ保険会社は払います。

(計算例)  3ヵ月の保険会社慰謝料378000円が530000円に、さらに治療期間の延長により4か月=670000円。 670000-378000円=292000円です。

 もし治療の延長がダメだったとしても152000円の増額です。    

軽傷の場合、弁護士に依頼した方が良いのか否か?

 今回のシミュレーションではやっと受任してくれる弁護士を見つけ、その交渉により、① 治療費で9000円、② 休業損害で58500円、③ 慰謝料で292000円の合計359500円の増額を勝ち取りました。

 さて問題はここから弁護士に報酬を支払った結果の費用対効果です。

 この弁護士は着手金を20万とし、成功報酬を20%で契約しました。  

(計算例) 着手金  = 200000円 成功報酬 359500×20%=71900円 ...

続きを読む »

 中断していましたが、再開します。  

 人身事故で95%を占める、後遺障害のない、どちらかと言えば軽傷事故。それでも多くの場合に争点となるのが、

① 治療の継続による治療費請求

② 休業損害の証明

③ 慰謝料の妥当性

 前回は被害者が相手保険会社と交渉するケースを検証しました。それでは、この煩わし交渉を弁護士に依頼した場合をシミュレーションしてみましょう。

 

2、弁護士に依頼

① 治療費

 治療期間が3か月に及ぶ頃、相手保険会社が「そろそろいかがでしょうか?」と電話がかかってくるようになりました。まだ痛むと言って治療を伸ばしても担当者はだんだん強硬になってきました。そこで知人の紹介で弁護士の紹介を受け、相談したところ、「むち打ち」程度の軽傷では受任しないそうです。そこでホームページで交通事故に強いとある弁護士に相談しましたが、「後遺障害の等級が取れてからまた連絡を」との対応です。さらに検索してようやく数件目で受任してくれる弁護士事務所を見つけました。  その弁護士さんは治療の延長を交渉し、なんとかあと1か月の延長を取り付けました。代理人・弁護士のおかげで少しの間、一心地です。  

② 休業損害

 しかし休業損害の延長については弁護士もあきらめムードです。なぜなら、むち打ちで何か月も会社を休むなどそれ相当の医師の診断がなければ難しいと言われました。

 もっとも問題となっていたのは休業日額です。自営業者で所得は実態より少な目に申告していますが、その申告書の数字から相手保険会社は譲りません。現状、1日=5700円の最低補償(自賠責)基準の算定額しかくれません。

 弁護士は「売上-経費=所得」の計算を少し修正しました。売り上げから引かれている経費の項目で水道光熱費、損害保険料(自動車保険の掛け金、個人事業税)など、被害者本人が休業していても待ったなしにかかってしまう経費を所得に加算しました。これで相手保険会社の5700円から7000円にアップしました。これ以上の金額は総勘定元帳などを作成して交渉することになります。弁護士は税理士にお金をかけてまで立証書類を作成する増額効果が少ないこと、倫理的には申告書を基とすべきことから、これ以上は断念するようにとのことです。  

③ 慰謝料

〇 自賠責保険の慰謝料計算 通院1日4200円、3か月間:2日に1回ペースで通院 ⇒ 378000円

〇 任意保険の3か月慰謝料は 上と同じ頻度で通って ⇒ 378000円

〇 赤い本基準のでは 同条件で ⇒ 530000円

 (別表Ⅱ⇒むち打ちはここでみます)

 慰謝料はズバリ以下の表をみて検討してみましょう。

 傷害部分の慰謝料比較(単位 万円)

傷害部分慰謝料

治療期間

続きを読む »

 昨日の例の他、弁護士の仕事について等級認定後の賠償交渉によって獲得した金額のみを成果とし、「自賠責保険の金額を成功報酬の対象計算から控除して下さい」とする保険会社が少なくないようです。実例から説明します。(やはり仮名)  

後遺障害等級は自然に決まるもの?

 大島先生率いるAKB法律事務所は本格的に交通事故業務に力を入れています。

『これからの交通事故は等級認定前から受任して、しっかり等級認定からお手伝いすること、初期対応することです。これこそ被害者救済であり、「等級が認定されてからまた来てください」などと言う旧来の事務所の姿勢ではダメです!』  大島弁護士はこのような交通事故対応を掲げて、受傷直後から被害者に寄り添い、物損の解決、休業損害の請求、労災の手続きなど手続きはもちろん、病院同行を繰り返した末に後遺障害・被害者請求を行いました。そして12級を獲得、その後は紛争センターに持ち込み、あっさり赤本満額で解決を果たしました。  依頼者は想像以上の高額の賠償額でびっくりです。何より大島先生は受傷直後から色々な手続きをしてくれた上、病院にまで一緒に来てくれ、一生懸命、等級の認定に尽くしてくれたので大満足です。

 大島弁護士は最後に弁特社(被害者側の保険会社)に弁護士費用特約を請求しました。後遺障害12級(自賠責で先に224万円獲得)に加えて最終受取額が700万円です。合計924万円に対して成功報酬を計算、1656000円の請求額です。  

 しかし弁特社の担当者の支払い回答は・・・  

担当者:「大島先生、自賠責の224万は報酬計算から引いて下さいよ」  

大島弁護士:「えっ?うちは受傷直後から等級認定も含めて仕事をしているのですよ」  

担当者:「いえ、等級認定は医師が書いた診断書を出すだけなので先生の仕事ではないですよね?」  

大島弁護士:「失礼な!本件は病院同行して、検査先に誘致して、陳述書を添えて・・・大変な作業で乾坤一擲、12級認定を勝ち取ったのですよ!」  

担当者:「それなら事前認定(相手保険会社に認定業務を任す)すればよかったのではないですか」   

大島弁護士:「キーッ!」

20140508_7

 等級認定後の受任ならば当然として、確かに等級認定作業を「事前認定」つまり加害者側保険会社に任せれば、その事務所は立証作業を放棄しているのですから報酬計算に自賠責保険金額を含めないことは正当な考えです。しかし本件のように等級認定に関する立証作業と書類集積作業が代理人の腕の見せ所であり、むしろ賠償交渉より大変な作業となることもあります。

 後遺障害は被害者請求を基本とし、交通事故の初期対応を売りとしているAKB事務所のような弁護士事務所も増えてきました。さらに私のように「後遺障害の立証作業が事故解決の勝負どころ」と捉えている業者も存在します。「後遺障害の立証など無用、何もしなくても自然に等級が決まる」など、保険会社のあまりにも建前的、独善的な発想と思います。もちろん立証作業の効果薄い案件(足の切断のように見たままの障害)は除きますが。

   このように、なんとしても保険金支払いを削減したい保険会社と法律家の弁護士費用特約をめぐる争いは続きます。いい加減な仕事で多額の弁護士費用を請求する弁護士、行政書士が大勢存在するのが問題の根底です。それらの困った先生が存在する以上、保険会社の意地悪な支払い対応はなくなりません。真面目な大島先生の苦労は絶えないのです。  

続きを読む »

 弁護士費用特約は交通事故で代理人を雇う場合、被害者にとって重宝する特約です。しかし普及率は上昇するも使用率は低く、まだ一般的な印象は受けません。しかも保険会社の支払い基準は不明瞭で、各社、各担当者、案件ごとにまったく統一的な運用が成されていません。また、依頼を受けた弁護士・行政書士が費用を依頼者からではなく、直接、保険会社に請求することから、保険会社ともめることが多いようです。

 さて、最近の払い渋り、いえ、支払額提示で面白い対応をした保険会社をある弁護士先生から聞きました。今回はそれを紹介します。(仮名とします)  

弁護士に支払う報酬は人身傷害特約の支払い基準を超えた額から計算します

 AKB法律事務所の前田先生は被害者の後遺障害の申請を代理し、被害者請求にて等級獲得後、賠償交渉を経て解決させました。最終的な賠償獲得額は1500万円です。ここから着手金と成功報酬を合わせて252万円(旧日弁連基準報酬)を保険会社に報酬を請求したところ、請求額全額に応じられないとの返答です。その保険会社の計算とは・・・  

担当者:「本件の場合、弊社の契約に付帯していただいている人身傷害特約に先に請求して下されば700万円を支払うことができました。したがって弊社の特約を使わずに相手から獲得した賠償額は実質800万円と考えます。よって800万円に対する報酬を旧日弁連基準で計算します・・・

 800万円×(5%+10%)+9万円+18万円= 147万円 をお支払いします。  

前田弁護士:「えーっ! 頑張って後遺障害認定業務も行ったのですよ!」  

担当者:「いえ、頑張ってもらわなくても弊社の人身傷害特約を使っていただければ、700万まではお支払できたのです。それを敢えて被害者請求を行ったので、弊社としては700万円を超えた額である800万円を対象として計算します。」

  前田弁護士:「そりゃないよ~」

               c_y_193

 この担当者の払い渋り、いえ、報酬計算には思わず「座布団一枚!」、一休さんのとんちを見るようです。このような鮮やかな(へ)理屈を持ち出す保険会社、さすがとしか言いようがありません。

 しかし本例の場合、契約者(代理人 弁護士)の意向は、あえて人身傷害特約を請求せずに相手に賠償請求をすることです。契約者の代理人が行った一連の作業とその成果を尊重しない保険会社の姿勢はやはり問題があると言えます。これを弁護士費用特約のスタンダードな報酬計算とすれば、金融庁だけではなく契約者からも非難は避けられないと思います。   

続きを読む »

 前日より続きます。

 人身事故で95%を占める、後遺障害のない、どちらかと言えば軽傷事故。それでも多くの場合に争点となるのが、

① 治療の継続による治療費請求

② 休業損害の証明

③ 慰謝料の妥当性  でしょうか。  

 通院交通費や雑費は実際にかかった額を明示するだけで、非常識な額を請求しないことが前提となるので割愛します。また物損にまつわる争点はテーマを違えますので、別の機会に。

 まず弁護士に依頼する前に自力交渉を検討してみましょう。

 

1、自力交渉

① 治療費

c_s_t_1 骨折のない打撲・捻挫では受傷直後に鎮痛消炎処置を施し、あとは保存療法、疼痛緩和処置です。したがって靭帯や軟骨の損傷、神経症状(による痛み、しびれ、その他)が起きない限り3か月を超える治療期間を保険会社に認めさせるのは困難でしょう。「まだ痛い」と訴えても最悪、治療費打切りが待っています。自力交渉では自身の訴える「痛い」ではなく、疼痛が長期化する他覚的所見、つまり医師の診断を示す必要があります。しかしむち打ちや腰椎捻挫の場合は明確な所見がないことの方が多いものです。交渉むなしく保険会社が治療費を切り上げた場合、健康保険を使って治療継続することが現実的と思います。  それでも長々と通院を続ければ弁護士対応が待っています。やはり治療が長引いている証拠がなければ、無駄な抵抗は止めるべきです。もちろん打ち切り後の治療費を自分で負担すれば問題ありません。相手に出してもらう以上、何かと軋轢が生じるのです。  

② 休業損害

c_s_t_20 源泉徴収票で証明されるサラリーマン、公務員の休業損害は明確です。実際の休業日の請求の場合、交渉の余地は薄いと言えます。問題は自営業者です。実際の収入より過少申告となっている方が少なくありません。所得税の申告書が一級の証明書です。その数字が収入の根拠とされます。これは自らが招いたことなので仕方ありません。しかし実態収入を総勘定元帳、賃金台帳、入金口座の通帳などで明らかにすることができないわけではありません。これらを誠実に提示し、保険会社担当者に訴えるしかありません。やはり苦しい交渉となります。  

③ 慰謝料 続きを読む »

 人身事故と言っても後遺障害が残るような大ケガは少ないもので、損保協会のデータは以下の通りです。  

 平成23年 被害者内訳

ケガをした人  jinnsinnjiko ][  およそ 116万人

後遺障害となった方 およそ 6万人

亡くなった方    およそ 4700人

 

 近年の死亡者数の減少は好ましい傾向です。ではケガについてですが、私は後遺障害に特化した仕事をしていますので、いつも後遺障害のことばかり、年がら年中、重傷者と対峙しています。しかし統計のように現実には後遺障害を残すような方は、交通事故でケガを負った被害者の5%ほどなのです。やはり重傷は少ないようです。

 今日から取りあげるのは後遺障害のない軽傷被害者(便宜的に軽傷とします)の解決についてです。

 

軽傷者の解決の実際

 まず軽傷者を「打撲・捻挫の診断名で、後遺症とならずに治った」と定義します。ここでは後遺症があるのに後遺障害等級が認められずに解決した被害者は除きます。

 相手に任意保険会社があれば、その一括払い(保険会社が病院に直接、治療費支払い)で治るまで治療費を負担し、その後は傷害慰謝料や休業損害などを支払って解決となります。ここで問題になるのは治療内容の妥当性、休業損害金額の適否、慰謝料の金額でしょうか。これらの金額について、95%ほど(保険会社資料)が保険会社と被害者との直接交渉で示談となります。もちろん、「ある病院での治療費が認められない!」、「休業損害が実際より少ない!」、「慰謝料が少ない!」などの争点はありますが、保険会社は提出書類にもとづいて常識的な判断・数字を提示をすることが多いので、交渉してもなかなか思い通りの金額は取れません。

 この軽傷者のほとんどが通院3か月で治療費の打ち切りを迫られます。「まだ痛い、通院を続けたい」と言っても打撲・捻挫では説得力がありませんし、事実、多くの被害者は治っているはずです。

 休業損害の金額も提出した源泉徴収票や所得税申告書などの証明書から算出します。ここで所得を過少申告していた自営業者は少々痛い目にあいます。実際の所得で請求できないことが、おなじみの争点と言えます。

 慰謝料についても3か月以内の通院ではどの保険会社も自賠責保険の基準である、1日=4200円の計算とほぼ同じ金額を提示してきます。  

 そしてこれらの争点について、被害者はそもそも請求金額が少ないことから法的手段や調停などの斡旋機関を利用することなく、「まぁ、しぶしぶ従って」示談といったところでしょうか。

 では、ここで弁護士など業者の力を使って解決を図るケースを検討してみたいと思います。

 つづく

続きを読む »

 本日良い知らせが届きました。私が担当した高次脳機能障害7級の被害者さんの裁判が1年かけて収束しそうです。連携弁護士は判決による解決を信条に戦う常勝の先生ですので、審議の過程で裁判官も勝負ありとみたのでしょう。ほぼ勝訴の内容です。妥協的な和解とは180度違うものです。和解のデメリットとして弁護士費用や遅延利息がないことですが、現在、調整金の名目である程度まで確保できます。やはり良い和解と悪い和解があるように思います。

 私の仕事は後遺障害の立証ですが、やはり賠償金の獲得は弁護士の緻密な立証と交渉力が決め手です。物損事故や軽いケガであれば、弁護士を介さない解決でもそれなりの決着がつけられると思います。しかし被害者本人とご家族の一生がかかっているようなケガ、重い後遺障害が残った場合の解決は弁護士の力が必要です。しかし弁護士も色々で、当然ながら能力、経験の差があります。ある脊髄損傷1級の被害者さんのケースですが、被害者さんの知り合いのA弁護士先生に相談したところ、「自賠責保険の限度4000万しか取れない。これで諦めるべき」と言われたそうです。私はそんなことないと思い、連携弁護士B先生を紹介、念のため相談するよう勧めたところ・・・B先生「介護費用を含めれば8000万、あと4000万取ってあげる」と回答、当然、被害者さんはA先生に見切りをつけてB先生に依頼しました。

 このように弁護士ほど能力の差がでる仕事はないのではないか?と思うようなことがしばしばあります。とはいえ、初めての事故で弁護士の良し悪し、選択は難しいものです。私の弁護士連携先は首都圏だけでも8事務所、全国では20事務所を超えています。迷ったら、困ったら、ご相談下さればと思います。

girlball 試合を決めるシュートはストライカーである弁護士、そのお膳立てをするのが立証作業の私です。良いパスを出しますよ!

続きを読む »

 本日のニュースはSK氏の記者会見一色でしたね。やはり聴覚障害に触れないわけにはいかないでしょう。

c_g_ea_2

  

       さて、本件で問題となっているのは身体障害者手帳の等級です。

 自賠・労災よりはシンプルです。そして全ろう、それに近い重篤な難聴しか認定等級がありません。手続きですが、医師の診断書とオージオメーター(聴力検査)の検査表を市役所に提出すれば該当の等級が認定されます。問題はオージオメーターは本人の意思で嘘の検査値を出すことが可能な事です。これについては耳鼻科の医師によると、経験にもとづいて嘘を見抜くことはできると言っています。

 等級は以下の通り、平衡機能の障害と一緒の表になっています。  

等級

聴覚障害

平衡機能障害

1

  続きを読む »

20140219104348 記録的な大雪の週明け、都内の雪はあっという間に溶けましたが、今日の本厚木の積雪はすごかった。まるでスキー場に来たよう。

 当然ながら雪災の事故報告が殺到です。損保ジャパンの代理店さんによると埼玉だけでも1万件を超える見通しとのことです。火災保険の雪災とその他対象保険を解説します。   

(1)風災・雹災(ひょうさい)・雪災

 風災・雹災(ひょうさい)・雪災により家屋が損傷した、などの損害に、保険金をお支払いします。対象は家屋のみならず、通常、ガレージ・物置・門塀垣根も含まれますので証券にそれらが含まれているか確認して下さい。今回もガレージが潰れた被害が多かったようです。また雨どいが落ちたなどの損害も対象なので、家の周りをチェックして下さい。

★ フランチャイズ20万とは?

 注意が必要なのは、「20万円以上の損害に対し支払います」と条件が付いている場合です。これは20万円以上の損害となった場合は支払いますという条件で、19万円の見積もりでは保険は出ませんが、見積もりが20万円を超えれば全額支払われます。  最近の火災保険には少なくなった条件です。証券をよく確認して下さい。

※ 雪災:豪雪、雪崩(なだれ)等をいい、融雪洪水を除きます。 ※ 雨・雪・雹(ひょう)または砂塵の吹込みによって生じた損害については建物またはその開口部が風災、雹災(ひょうさい)または雪災によって直接破損したために生じた場合にかぎります。

(2)残存物取片づけ費用保険金

 損害保険金が支払われる場合に損害を受けた保険の対象の残存物の取片づけに必要な費用で、実際にかかった費用をお支払いします。 支払いする費用保険金の額:実費(損害保険金×10%限度です。)

(3)臨時費用保険金

 損害保険金にプラスしてお支払いします。保険のご契約をされている建物や家財が損害を受け、損害保険金が支払われる場合に、損害保険金とは別にお支払いする費用保険金を「臨時費用保険金」といいます。臨時費用保険金は、損害保険金との合計額が保険金額を超過する場合でもお支払いします。  

 東京海上さんの不払い問題も細かい特約の支払い漏れです。請求する側もしっかり確認して積極的に請求をしなければなりません。  

続きを読む »

 本日は山梨県の竜王へ。前日は東京も雪でしたが、幸い積もるほどではありませんでした。甲府盆地もそれほど深刻な積雪はない地域ですが、途中の大月~笹子付近は結構降ったようです。    さて今回の病院同行は、相手保険会社打ち切り後、健康保険で通院を続けた被害者の症状固定と、後遺障害診断書の依頼です。通常、病院の窓口では交通事故診療と健保診療を明確に分けています。交通事故は加害行為なので自由診療を基本とし、自分で転んだケガなどは健康保険治療となります。両者の一番の違いは病院の利益が2~3倍の差が生じることです。

 自由診療は文字通り、治療費の点数1点=〇円を自由に設定します。もっとも20~30円と地域ごとに申し合わせがあるようで、相場があります。対して健保は1点=10円、労災は1点=12円と決められています。このように同じ治療でも病院にとって収入が倍以上変わってくるのです。だからとは言えませんが、健保治療にはなにかと制限がつきます。賠償交渉が付きまとう後遺障害診断書はその最たるもので、健保治療では記載を拒否する医師すらいます。(これは医師法上、少し問題があると言えますが・・・。)したがって、健保治療での診断書記載には、大変申し訳ない気持ちでお願いすることになります。東京から足を運んで懇願、誠意を示すしかありません。

26.2.5

 毎回、山梨出張は好天に恵まれます。朝日に輝く雪景色はそれは美しいものでした。  

続きを読む »

 昨日は自賠責保険の請求形態を復習しました。いずれも請求者本人で手続をすることになりますが代理人による手続も可能です。つまり法的な代理権をもつ弁護士に代行してもらうことが可能です。ちなみに行政書士の代理請求も認められています(「行政書士はできない」という学説、見解もあり)。あまりケースはありませんが①保険会社の一括払い後の求償も理論的には弁護士等に委任ができます。

 さて、問題提起です。一昨日の話では委任請求は報酬の「取りっぱぐれ」を防ぐ手段であることを解説しました。もちろんこれは本音であって、建て前上は「プロによる委任請求なので安心です!」ということになります。もちろん委任された法律家の名前で保険金を受け取ることは代理権を持つ以上、不自然ではありません。が、しかし・・・請求を受けた自賠責にとっては受け取り方が違います。そもそも人身事故では請求の80%以上が①の保険会社による一括払い後の求償であって、当事者もしくはその代理人による請求は圧倒的に少なく、とても目立つのです。例えば被害者請求とした理由は「加害者側に任意保険がない」、もしくは「被害者に責任が大きい事故」である理由から加害者側保険会社の一括払いとならなったケースしかない・・・と自賠責側は思っています。したがって不自然な被害者請求は厳しくチェックされています。それが代理人によるものであれば尚更です。

 私は委任請求をまったくやならいわけではありませんが、原則しません。なぜなら後遺障害の立証を仕事をしている以上、このような自賠責側のチェックを避けたいと思っています。もちろん不正に障害を誇張したり、法的、道徳的に問題のあるような申請は絶対にしていません。しかし自賠責調査事務所は常に詐病者(うそのケガ)など不正請求や大袈裟な被害者の訴えに騙されないよう、厳しく審査しているのです。後遺障害等級を獲ってあげたい業者(からの申請)は調査事務所にとってまったく逆の立場、ある意味「敵」なのです。であれば、業者はなるべく目立たないようにする方が恣意的な審査を避けられると考えています。特に全申請の60%を超える「むち打ち」による14級は、被害者が「痛い」と言っているだけで、他覚的な症状が乏しいケースが圧倒的です。この場合、審査側は「症状の一貫性」「治療過程」等からしか判断できず、最終的には被害者の訴えている「痛い、しびれる」を”信じるか否か”で決定します。だからこそ業者による委任請求という緊張を与えず、フラットに審査していただきたいのです。  しかし被害者側に弁護士が早期に介入した事故であれば、弁護士が委任請求することはむしろ自然なので、余計な予断は与えないと思います。やはり問題なのは行政書士やその他の業者でしょう。

 昨年からむち打ちの認定は厳格化の傾向と聞きます。理由は単に業者による(認定に満たない)請求数が増えた結果かもしれません。それでも私のむち打ち認定は80%以上を確保しています。その全件、行政書士名による委任請求ではありません。委任請求を行い、私の名前を出すことで認定率が上がればそうしますが、保険会社のいらぬ予断を与える弁護士以外の委任請求は、特別な理由がなければ抑制すべきです。少なくとも保険会社出身の私はそう思っています。

 着手金無料を掲げる業者はほぼ全件、委任請求をしているはずです。しかし委任請求すべきか否かについて、案件ごとに判断する慎重さが必要かと思います。後遺障害審査で被害者の運命はほぼ決まります。決して神経質なことではないと思います。

続きを読む »

 昨日の話、自賠責保険の委任請求について続けたいのですが、先に請求方法について復習しましょう。

 自賠責保険の請求とは・・・自賠責保険の請求には分類すると4形態あります。申請数の多い順から説明します。教科書的な解説にならないよう、経験にもとづいた※の補足を加えています。

① 任意保険会社による一括払い後の求償

 現在およそ80%の自動車に任意保険が付保されています。多くの場合、交通事故の人身事故であれば加害者が加入している保険会社が治療費や慰謝料の話し合いや交渉を担当します。そして、示談の末、賠償金を支払うことになります。事故の解決後、あるいは途中、この任意保険会社は被害者に支払った分について、自賠責保険にこの金額を請求・回収します。入院・通院分の傷害支払限度は120万、後遺障害は4000万まで回収できます。一括払いはある意味、任意保険会社の立替え払いです。  数回通院した程度のケガであれば任意保険会社は自賠からほぼ100%回収可能です。超えた分が任意保険会社の負担分となります。

※ 被害者に相手保険の契約があるにも関わらず、自分の自動車保険の人身傷害特約から自らの治療費や慰謝料を受け取るケースもあります。多くは事故の責任が自分にあるケースでしょうか。これも同様に人身傷害特約を支払った任意保険会社が相手の自賠責保険に求償を行います。私は勝手に「16条的一括払い」と理解しています。(本文を読み進めればわかります)

② 被害者がみずから相手の自賠責保険に請求(16条請求)

 これは被害者が加害者もしくは加害者の任意保険会社に対してではなく、直接、自賠責保険に保険金の請求を行います。通常、①の一括払いのように任意保険会社が立替え払いとしてくれるので、わざわざ被害者が手続きをする必要がないとも言えます。しかし例えば相手に任意保険がない場合、また被害者の過失が大きい、責任関係がもめていて埒が明かない、そのような理由から相手の保険会社が対応してくれない場合などの場面には必要な救済方法です。

※ この被害者請求は後遺障害が残った事故の場合に私たちが推奨するやり方です。流れは通院期間の治療費や休業補償などは①の一括払いで任意保険会社にお世話になるとして、後遺障害の審査から②の被害者請求に切り替えます。これで相手保険会社と示談せずとも、後遺障害保険金の先取りが可能です。何より保険金をあまり払いたくない、利害が相反する相手の任意保険会社の手を借りずに自ら審査書類の精査・提出ができます。

③ 加害者が被害者に支払った分を請求(15条請求)

 限定的な方法ですが、典型的なケースで説明します。加害者が任意保険に未加入で被害者のケガについて治療費や慰謝料を自らのお財布から支払ったとします。その金額について自身の自動車についている自賠責保険に請求します。条件は実際に被害者や病院に支払った領収書があることです。特に慰謝料の回収は示談が完了している、つまり示談書の提出が必要です。慰謝料の金額は、あくまで自賠責基準以下を限度に加害者が支払った金額です。

※ 立替え分の回収と言えますので①の一括払いと同じことになります。任意保険会社の自賠責への回収は15条請求となります。  ちなみに③のケースについて私は保険代理店時代の20年で2度しか経験していません。いずれも加害者に任意保険がなく、加害者と被害者と間に入ってこの加害者請求にて解決させました。両件とも1ヵ月通院ほどの軽傷で治療費・休業損害・慰謝料の合計が120万円以下だったので、この加害者が先にお財布から払うことが可能でした。逆を言いますと大きい金額なら加害者の支払い能力が及ばず、結局多くの場合、被害者が②の被害者請求をすることになってしまいます。つまり加害者の経済的な理由(お金がない)、もしくは任意保険に入らない主義(このような人が素直に責任を認めるか?)、うっかり任意保険を切らした(だらしない)・・・このような加害者が誠意をもって自分のお財布から速やかに支払うことなど極めて稀なのです。

④ 仮渡金請求(17条請求)

 被害者が相手から治療費等支払いを受けられない場合、例えば相手に任意保険がない、被害者の責任が大きく相手の保険会社が一括払いをしてくれない等で、急ぎお金が必要なときに以下の表のとおり治療中でも一時金が請求できます。特徴は表の症状となる診断書さえあれば、領収証等がなくても支払われることです。言わば「予想払い」ですね。もちろんこの保険金は治療後の本請求で最終的な保険金から差し引かれます。

症状

金額

死亡

死亡された場合

290万円

重症1

脊椎の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの

左のいずれか

40万円

上腕または前腕の骨折で合併症を有するもの 大腿または下腿の骨折 内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの 14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの

重症2

脊柱の骨折

左のいずれか

20万円

上腕または前腕の骨折 内臓の破裂 病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの 14日以上病院に入院することを要する傷害

軽傷

医師の治療を要する期間が11日以上要する傷害 (上記、死亡・重症を除く)

5万円

  ※ 最新の自賠責保険請求案内から抜粋しました。今までは要件=症状が抽象的でわかり辛かったのでしょうか、改定のたびに具体的な症状の記載が増えています。

  ※ あまり知られていませんが診断書、診療報酬明細書(なくてもOKの場合あり)、治療費の領収書があり、被害者の負担が明らかであれば治療中でも仮渡金請求ではなく本請求(16条請求)が可能です。私の場合、当座のお金が必要な被害者に対し、本請求か仮渡金か、どちらの金額が多いかで選択しています。

続きを読む »

 昨日に続き先天性の体幹(骨)の等級表といきたいところですが、見ての通り体幹とは限定されていません。病気による障害も含むため、症状のカテゴリーが広範囲になるからです。また交通事故の自賠責、労災には先天性(生まれつき)という概念がないため、単純な比較は困難です。まったく別の等級表と思って下さい。?

続きを読む »

 上肢、下肢については割と労災・自賠責と同視できましたが、体幹(骨)からは独特のカテゴリーとなります。

 そもそも障害者手帳はケガのみならず病気のケースも含みます。また生まれつきである先天性、元気な人があるときケガや病気で障害を負うこともあります。交通事故は当然ながら「あるときに起きたケガ」なのでその程度・評価は限定的です。上肢・下肢では先天性と後天性の障害にそれほど差がないのでしょうか、同じ表となっています。しかし体幹では障害判定を分ける必要があるようで、障害等級は「あるとき」に負った後天性の障害と、「生まれつきの脳障害」である先天性の障害に区分されています。

 最初に体幹の定義ですが、一般に脊椎と胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨を指します。障害はそれぞれ骨折だけではなく、病気による変形(奇形)とそれに付随する運動障害(可動域制限)、荷重障害が該当します。

c_g_sp_1 c_g_sp_7 c_g_sp_8続きを読む »

 自賠責の後遺障害認定は交通事故被害者が加害側の自賠責保険に請求する際、自賠法によって定められたルールで認定されます。今回取り上げる身体障害者手帳とその等級は行政が障害者に対する福祉を目的として定めた制度です。したがって自賠責の等級とは意味合いも違い、認定される等級も関係ありません。

 税金や医療費、交通機関の割引等のメリットがあります。内容は自治体ごとに異なります。

 身体障害者手帳は、視覚、聴覚、平衡機能、音声・言語・そしゃく機能、肢体不自由、心臓・じん臓・呼吸器・ぼうこう又は直腸・小腸・肝臓・免疫機能に障害のある方に交付されます。 手帳の等級は、障害の程度により1級から6級までの区分があります。(7級は2つの障害が併合される場合に影響します=緑色太字)

 障害のカテゴリーごとに随時見ていきたいと思います。今回は「下肢」を取り上げます。

等級

続きを読む »

 後遺障害診断書の代金についてよく質問を受けます。教科書に載っていない実務的な回答をします。おなじみのQ&Aで。

 

Q. 後遺障害診断書の診断書代は非該当の場合、請求できるの?

 むち打ちで6か月通院しましたがまだ痛みが残っています。相手の保険会社の勧めもあったので医師に後遺障害診断書を書いて頂き症状固定としました。病院で診断書代10500円を自費で支払いました。  後日、後遺障害の判定は「非該当」となりました。仕方がないので示談とすることにしました。しかし相手保険会社からの賠償金提示に診断書代10500円は含まれていません。担当者は「非該当だったのだから出ません」とのことです。本当なのでしょうか?

 

A.この回答は規則(法律)と実際(運用)の2側面から整理します。

    民法の解釈で言えば、損害(本件の場合、後遺障害)の挙証責任(証拠を突きつける必要)は被害者にあります。そしてその立証にかかった費用は損害が認められない限り被害者の負担です。したがって後遺障害を立証すべく書いてもらった診断書の費用は、認定されればOK、非該当だったらNOとなります。以上、法的な結論です。

 もう一つの論点は自賠責保険が絡んだ実際です。人身事故には民法より優先する場面の多い自賠法の存在があります。自賠法=自賠責保険の支払い内容において診断書の発行費用は治療関係費の項目になり、支払い基準は「必要かつ妥当な実費」とあります。  任意保険会社の一括払い(病院に直接治療費を払ってくれる)の場合、後遺障害診断書の診断書代が最終月の治療費の中に含まれていると、仮に審査結果が非該当でも払われてしまいます。これは任意保険会社が自賠責保険会社に求償(後に120万円の限度まで請求)する際、問題になるはずです。しかし後で自賠から出なかったので被害者さんへ請求をするケースに出くわしたことがありません。きっと自賠責側も(面倒なので)「必要かつ妥当な費用」として処理したのだと思います。

 本件のように病院窓口で自費で診断書代を支払った場合も同じく、杓子定規に言えば「非該当」となれば認められません。しかしこれも相手保険会社に領収書を提出した結果、何も言われず支払ってもらったことは多いのです。症状固定後、「未精算治療費」の領収証とまとめて請求しますが、一緒に精算してもらっています。これも後に「非該当」が判明したとして、もはや治療費の一環として「必要かつ妥当な実費」として求償処理しているものと思います。

 私は厳密なルールを回避するために、症状固定後すぐに未精算治療費と一緒に請求するようアドバイスをしています。あとは担当者次第といったところでしょうか。無責任な回答ですが何事も規則通りとはならない曖昧な流れもあるです。

続きを読む »

 今年7月に記事出しした「自転車事故での高額判例」、ふたたび産経新聞で特集されました。気になっていた賠償額の内訳がおおまかに判明しました。以下、記事から抜粋してまとめてみました。

 記事の概要は・・・

 当時小学校5年生だった少年(15)が乗った自転車と歩行者との衝突事故をめぐる損害賠償訴訟で、神戸地裁は、少年の母親(40)に約9500万円という高額賠償を命じた。5年近く前に被害に遭った女性(67)は、事故の影響で今も寝たきりで意識が戻らない状態が続いているだけに、専門家は高額賠償を「妥当」と評価する。  ただ、子を持つ親にとって、1億円近い賠償を命じた今回の判決は、驚愕でもあり注目を集める。9500万円の内訳はどうなっているのか。一方で、保険加入義務がない自転車の事故をめぐっては、高額な賠償命令が出されるケースも多く、自己破産に至る例も少なくないという。こうした中、自転車の保険制度拡充を目指した動きも出始めている。

「監督義務果たしていない」

 子供の責任を親がとることになるのか?

 事故は平成20年9月22日午後6時50分ごろ、神戸市北区の住宅街の坂道で起きた。当時11歳だった少年は帰宅途中、ライトを点灯しマウンテンバイクで坂を下っていたが、知人と散歩していた女性に気づかず、正面衝突。女性は突き飛ばされる形で転倒し、頭を強打。女性は一命は取り留めたものの意識は戻らず、4年以上が過ぎた今も寝たきりの状態が続いている。判決で田中智子裁判官は、少年が時速20~30キロで走行し、少年の前方不注視が事故の原因と認定。事故時はヘルメット未着用だったことなどを挙げ、「指導や注意が功を奏しておらず、監督義務を果たしていない」として、母親に計約9500万円の賠償を命じた。

高額な賠償となった9500万円の内訳はどうなっているのか

田中裁判官の判断は・・・

(1)将来の介護費約3940万円 

 女性の介護費を1日あたり8千円とし、女性の平均余命年数を掛け合わせるなどして算出。

(2)事故で得ることのできなかった逸失利益約2190万円

 専業主婦の女性が入院中に家事をできなったとして月額約23万円の基礎収入を平均余命の半分の期間、得られなかったなどとして計算した。

(3)けがの後遺症に対する慰謝料2800万円

 後遺障害慰謝料 「赤い本」の1級。

この結果について記事より・・・

 これらに治療費などを加え、母親に対し、女性側へ約3500万円、女性に保険金を払った保険会社へ約6千万円の支払いを命じた。特に女性が意識が戻らぬままとなっていることで、慰謝料などが高額となり、賠償額が跳ね上がった。  交通事故弁護士全国ネットワークの代表を務める古田兼裕弁護士(第2東京弁護士会)は、今回の判決について「高額な賠償額だが、寝たきりで意識が戻っていない状況などを考えると妥当」と評価。ただ、「自転車だから責任が軽くなるとはいえないが、11歳の子供の事故で親がどれほど責任を負うかはもっと議論していく必要がある」と話す。

続きを読む »

 (まず前日の記事を読んで下さい)

 

<若手弁護士A先生> クレサラ方式の解決・・・う~ん、考えさせられますね。大量受任と早期解決、確かに事務所を経営する以上、経営効率は大事です。しかし依頼者に対して誠実な仕事とは言えませんね。

<秋葉> では誠実な仕事でありながら早期解決を達成している事務所を紹介します。

 (C先生) C先生とは3年以上一緒に仕事をしています。交通事故を専門に受任しており、とくに14級9号を大量に解決してきました。C先生は赤本の満額獲得を必須目標として取り組んでいます。14級9号での平均的な賠償獲得額は赤本基準で300万前後です。   C先生は最初に損保会社に賠償提示を行い、損保の回答が「先生、訴外交渉なら提示金額の70%~80%でどうでしょう?」とくれば迷わず、「請求額から歩み寄る気はありません。交通事故紛争センターの斡旋にふしましょう」と宣戦布告します。また請求額や争点の性質からから裁判を選択することもあります。対して損保会社は「うっ、この事務所は(妥協解決に)乗ってこないな・・・」と印象を持ちます。  それではと、損保会社は紛争センターにおいて全力で応戦してきます。しかし紛争センターの性質上、斡旋弁護士は既に認定された後遺障害等級を審議なく踏襲する傾向にあり、細かな論点も時間の関係から避けがちです。もちろんC先生、ここでも妥協的な斡旋なら裁判を辞さない姿勢を堅持します。およそ月1回合計3~4回の協議でほぼ赤本基準の斡旋案に落ち着きます。損保側は紛争センターの斡旋案を尊重する立場なので、余程の反論がない限り飲みます。まれに審査会に進みますが、大きな変更は極めて限られたケースとなります。

 費用対効果で見ると、交渉解決なら1~2か月で解決のところ紛争センターの斡旋により3~4か月解決が伸びてしまいます。しかし依頼者が手にする賠償金は、8割の妥協的交渉解決に比し60万ほど増額します。3か月解決が遅れる事と60万、どっちがいいか?依頼者は迷わず60万を待ちます。

 こうしてC先生は100件を超える事案を紛争センターで解決させました。さて、こうなるとある変化が起きます。損保側は「C弁護士は赤本満額を譲らない→紛争センターに持ち込まれるので面倒だし時間の無駄→しょうがない満額支払うか」となります。C先生は主要損保からこのように評価されます。こうして早期交渉解決で満額獲得できる=実力ある弁護士となったのです。  現在C先生は受任の70%を交渉にて満額獲得しています。譲らない損保社には裁判、紛争センターの斡旋解決へ進めます。それが残りの30%になります。通販系損保も支払いを渋るので30%に入ります。結果としてクレサラ方式事務所に劣らない解決スピードとなりました。こうして交渉力(実力)と早期解決(経営効率)の両方を実現しているのです。    経営効率主義のクレサラ方式解決事務所:β事務所と赤本満額解決主義の実力交渉C先生、同じ交通事故弁護士でも違いが生じるのです。損保会社はこのC先生を手ごわい相手と感じ、逆に昨日のβ事務所へは足元を見た対応を続けます。そして依頼者は迷わずC先生を選ぶべきです。

 さて、A先生はどちらの道を進みますか?

続きを読む »

人身傷害特約における休業損害のアドバンテージ

 休業損害の請求について・・・自賠責基準ではでは1日6100円の定額、それ以上の場合は収入証明(源泉徴収票、申告書)を示し19000円まで(この上限額は、近年、主要社の約款から消えています)。また、加害者に請求可能でそれらの保険基準を上回る場合、収入に関する証明を示した結果、加害者側(多くの場合、任意保険会社)が納得すればその額の支払いを受けられます。しかしひき逃げでは相手(相手保険)はいません。ご自身が人身傷害特約へ加入していた場合、まっさきに請求します。

 人身傷害特約の約款を読むと、休業損害は「別紙に定められた算定基準に従い算出」とあります。つまり、この別紙より実際の収入が高ければ「個別適用」となり、源泉徴収票や申告書など、現実収入の証明が必要になります。以下、別紙の平均賃金と自分の収入を損得を比べて高い方を請求します。もっとも、「現実収入が優先です」と言って、この平均賃金ではなく、(より低額の)現実収入で計算してくる担当者も多いものです。    まずは、自身の実収入と表と見比べて下さい(この表は平成23年当時の額で、現在は改定されてます)。

年令別平均給与額(月額)

年令

男性

女性

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年10月
« 9月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

月別アーカイブ