win  業務中の事故もしくは通勤中の事故の場合、労災を適用して治療することができます。

 交通事故の場合は、第三者行為災害届出、念書(兼同意書)(3枚)、交通事故証明書、をそれぞれ提出する必要があります。

 労災適用された場合、業務中の場合は、様式第5号を、通勤中の場合は様式第16号の3を、労災指定病院に提出した後、管轄の労働局に出すことになります。すると、病院でかかる治療費を療養(補償)給付として支給されます。

 ※ もし通院先が労災指定病院でない場合、業務中の場合は、様式第7号(1)を、通勤中の場合は様式第16号の5(1)を提出することになります。

 交通事故の場合、保険会社(多くは加害者側)が治療費を出しますが、労災適用の場合、保険会社が負担した分を労災に求償することになります。

 この治療費(療養給付)は、いつまでも支給されるわけではありません。支給されるのは、症状が安定し、医学上一般に認められる医療を行っても、回復・改善の効果が期待できなくなるまでです。これを「治ゆ」といいます。自賠責でいう「症状固定」と基本的には同じです。

※ 医学上一般に認められた医療とは、ここでは労災保険の療養の範囲で認められた医療を指します→実験や研究中の治療方法は含まれません。

(例1)打撲で3カ月通院して痛みがなくなった場合には、「治ゆ」となります。

(例2)ムチウチでリハビリ治療等を半年継続しても手のしびれ等の神経症状が残存してしまった場合に、医師と相談して「治ゆ」となります。

 上記例2のように、症状が改善されていないのに労災での治療ができなくなってしまう場合があります。  もし「治ゆ」となってもまだ症状が残存している場合、障害(補償)給付を受けられる可能性があります。また、健康保険に切り替えて通院を継続できます。

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rousai 労災の『障害認定必携』から抜粋します。改定は平成23年3月の第15版からの改定です。大変に遅ればせながら、内容を確認してみましょう。

 まず、7級の認定基準から線状痕(5cm以上)が消えました。5cm以上の線状痕は「9級11号の2」として新設されたことになります。

 自賠責は近時の認定例から、ほぼ間違いなく、そのまま労災の変更に合わせて変更・準用しているようです。興味深い点は労災は9級の場合、「9級11号の2」としているのに対し、自賠は「9級16号」としています。号の整理で相違が見られるようです。

 

旧基準

(1)外ぼうの醜状障害 

イ 「外ぼう」とは、頭部,顔面部,頸部のごとく、上肢及び下肢以外の日常露出する部分をいう。

ロ  外ぼうにおける「著しい醜状を残すもの」(=7級12号)とは、原則として、次のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものをいう。

(イ) 頭部にあっては、手のひら大(指の部分は含まない。以下同じ。)以上の瘢痕又は頭蓋骨の手のひら大以上の欠損

(ロ) ...

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 労災事故であるのにも関わらず、「健康保険を使って通院しています。」という相談をよく耳にします。実はこの行動、健康保険法違反だということをご存知でしょうか?   第一章 総則   第一条 この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。   第四章 保険給付   第五十五条 被保険者に係る療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、埋葬料、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費若しくは家族埋葬料の支給は、同一の疾病、負傷又は死亡について、労働者災害補償保険法、国家公務員災害補償法又は地方公務員災害補償法若しくは同法に基づく条例の規定により、これらに相当する給付を受けることが出来る場合には、行わない。     要約すると、労災事故に関しては労災を使いなさいということです。    労災を適用することによって、会社が不利益を被ることはないのですが、進んで労災を適用してくれる会社が少ないことも事実です。通常、労災は届出だけで使用できます。しかし、会社での立場等を考えて、自ら労災を適用しない被害者の方も多いようです。 c_h_22

 交通事故被害者の方が治療に専念できる環境を作ることが重要なことだと思うのですが…。私共は総合的にサポートしていきますので、事故に遭ったらまず、秋葉事務所へ連絡して頂ければと常に思っております。    

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 前回まで3メガ損保の約款を精査しました。その他の会社に目を移しましょう。

 あいおいニッセイ同和さんは損保J日興に同じく、「人身傷害は裁判基準」と潔くなっています。また、同じく掛金の安い、人身傷害が付いていない保険の場合は無保険車傷害特約の適用になります。その無保険車傷害の支払基準は三井住友のように、「当社との協議、それでまとまらなければ当社と裁判か調停をして下さい」ときました。加害者と裁判して、地裁で審議が終わっているのに、再び人身傷害の請求で裁判させる気でしょうか?なんたる不毛感、契約者を愚弄していると言っても言い過ぎではないような気がします。

 この、あいおいニッセイ同和型も1つのパターンとしましょう。これは「人身傷害は裁判基準、無保険車は原則・人傷基準&自社との交渉・裁判」型と呼ぶしかありません。そもそも数年前は全社、無保険車傷害は相手との裁判での判決額、つまり、裁判基準を認めていたのです。

 このように会社ごとに約款改定が進み、細部が違っています。面倒ですが、それぞれの会社の約款も確認しなければなりません。小さいに字に眼がしょぼしょぼ、おかげで老眼が進みます。

 まずは人身傷害、5年前のアンケート結果を確認します。平成23年6月、北海道の消費者団体がこの問題について、「訴訟基準差額説」or「人傷基準差額説」のどちらで支払うのか損保各社に質問状を送りました。回答は以下の通りです。

 今日の内容がわからない方⇒訴訟基準差額説、人傷基準差額説   

会社名

賠償義務者への 訴訟が先行した場合

人身傷害保険の 支払が先行した場合

改訂時期

回答

回答

あいニッセ同和

H22.10.1

訴訟基準

訴訟基準

アクサ

H22.4.1

人傷基準

訴訟基準

イーデザイン

H23.4.1

その他

訴訟基準

共栄火災

H23.4.1

その他

その他

セコム

H23.4.1

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 次に三井住友さんの約款です。損J日興、東海日動とも違う、微妙かつ独自の内容です。  

<人身傷害> 第5条 損害額の決定

  (1)次の①~③区分ごとに、自社基準で算定します。

① ケガの損害 ② 後遺障害の損害 ③ 死亡      (かなり略しました)   (2)(1)の規定に関わらず賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分ごとに<別紙>に定める基準により算定された金額のうち、賠償義務者に損害請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。  この場合における、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額とは、(1)①から③までの区分ごとに算定された金額に対し、次の手順に基づいて決定した賠償義務者の責任割合を乗じた額(賠償義務者がある場合において、自賠責保険等によって支払われる金額を下回る場合には、自賠責保険等によって支払われる金額とします。)の合計額とします。

① 当社と保険金請求者との間の協議

② ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。     相変わらず難解な文章です。弁護士の先生ですら「訳わからん」と言っています。訳します・・

 「まず、人身傷害の保険金は当社の基準で計算します。それで納得できなければ話し合いましょう。それでもダメなら、うちと裁判して決めようや。」    何とまぁ、三井住友さんの約款は関西っぽいノリを感じます。続いて無保険車傷害ですが、人身傷害約款の(2)とほぼ同じ意味です。あえて全文を対比してみましょう。  

<無保険車傷害> 第6条 損害額の決定

  当社が無保険車傷害を支払うべき損害の額は、賠償義務者が被保険者またはその父母配偶者もしくは子が被った損害に対して法律上負担すべきものと認められる損害賠償責任の額によって定めます。この場合における損害のは、保険金請求者と賠償義務者との間で損害賠償責任の額が定められているといないにかかわらず、次の手続きによって決定します。

① 当社と保険金請求者との間の協議

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 人身傷害を日本で初めて開発・発売した、まさにリーディングカンパニーを冠する東京海上さん。しかし、人身傷害の支払い問題となると、国内損保では一番遅れていると言わざるを得ません。

 もちろん、平成24年2月最高裁”人身傷害の求償額を巡る判決”で、「差額説」と決まった以降は人傷先行の場合は、裁判基準にて総損害額を算定することは約款上、約束されました。(その部分は約款の色を赤にしました)    まずは他社に比して細かく丁寧に規定されている約款を確認してみましょう。例によってわかりやすく、言い直し、省略=( )を加えています。  

<人身傷害>  第4条  お支払いする保険金 <無保険車傷害> 第6条 お支払いする保険金

 (無保険車傷害の約款は人身傷害の(1)(2)(3)(6)をほぼ踏襲、その他、多くの規定は人身傷害を準用しています)    (1)1回の人身傷害事故について、当会社は、被保険者1名について次の算式によって算出される額をを保険金として支払います。ただし、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について、保険証券記載の保険金額を限度とします。

 (2)の規定により決定された損害の額 - (5)の表の費用の額の合計額 = 保険金の額

  (2) ① 傷害      ② 後遺障害 続きを読む »

 損保ジャパンは1度、無保険車傷害特約を人身傷害・約款に吸収させて、算定基準を人身傷害と同一にしました。結果、裁判基準を認める無保険車傷害特約・約款の改悪、不合理の感が否めませんでした。その後、また分離させましたが、肝心の支払い基準はどうなったのでしょうか。これに関して旧損保ジャパンは、26年7月改定から先進的かつフェアな約款に改定済みです。    先に人身傷害を請求し、後に賠償請求を行った場合の求償に関しては、裁判基準で総損害額をみます。これは最高裁判例以来、全社認めて約款改定しました。残った問題である、先に加害者に賠償請求した場合、保険金算定の基となる総損害額を裁判で決まった額とするのか、あくまで自社の算定基準とするのか・・(「人傷基準差額vs裁判基準差額説」の対立で問題となっています)。

 これについて、以下の約款で明確に回答しています。つまり、人身傷害を先に請求しようが、相手から賠償金を先にとろうが、請求の順番に関わらず、「裁判で決まった額なのか否か」で支払い基準を合わせる事にしたのです。

 ここでは説明しきれないので、わからない方は過去記事を ⇒ すべては約款で準備されていた

 では、約款ですが、人身傷害も無保険車傷害もほぼ同じです。  

<人身傷害特約> 第6条(損害額の決定) <無保険車傷害特約> 第8条(損害額の決定)

  (1)損害額は、被保険者が第2章(保険金を支払う場合)(1)のいずれかに該当した場合の、次の区分(①~③)ごとの、それぞれ普通保険約款別表3に定める損害額算定基準に従い算出した金額と自賠責保険等によって支払われる金額(注1)のいずれか高い金額の合計額とします。

① ケガの損害 ② 後遺障害 ③ 死亡   (2)加重障害に関すること(省略)   (3)(1)および(2)の定に関わらず、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額(注2)が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額(注2)をこの特約における損害額とします。ただし、その損害額(注2)が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

(注1)自賠責保険が無い場合、政府の保障事業からの補償も対象 (省略)

(注2)訴訟費用、弁護士報酬、遅延利息、その他費用は損害額に含みませんので、差し引きます(省略)

  (解説)相変わらず、持って回った言い回しですが、つまり、「まずは(1)の自社基準で払います」「裁判できまった額なら(1)の自社基準ではなく、裁判基準で払います」とのことです。  

 この約款タイプは他に朝日、セゾン、セコム、そんぽ24、ソニーさんです。全社調べる時間があったら頑張ってみます。

 明日はこの問題に、頑固な東海日動さん  

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 前回から少し空きましたが、続けます。     無保険車傷害と人身傷害の(補償が)被る問題は約款上、一定の決着をみています。東海日動、三井住友の「吸収型」か、損保ジャパンの「人身傷害を先に請求、足りなければ無保険車」とした「序列型」に大別できます。

 整合性がついてすっきりと思いきや、一つだけ気持ち悪いことが残りました。それは、無保険車傷害が人身傷害の算定基準で計算されてしまうことです。もちろん、両者の支払い基準は(どの会社も)同じです。しかし、任意保険発売以来、「加害者と裁判をして、和解や判決で決まった額なら支払い額と認めましょう」とする無保険車傷害に対し、人身傷害は「あくまで保険会社の基準でしか払わない」と約款を盾に、裁判で決まった損害額を無視することです。既に数件、各地の弁護士先生から耳に入っています(怒)。

 裁判で決まった額を認めるのは、先に人身傷害から支払いを受けて、次に加害者から判決や和解で勝ち取った額に対する「既払い人身傷害保険の求償額を計算する時の全損害額」に対してのみです。これは平成24年2月「差額説」判決を受けてのことです。難しい論点ですが、あえて復習したい方は・・参照⇒差額説

 これでは、無保険車によって後遺障害や死亡となった、気の毒な契約者さんはせっかく裁判で勝っても、自身の保険会社にその額を請求したら・・「当社の基準額で払います」の一点張り、人身傷害基準の低い額しか支払われません。それが、掛金の高い人身傷害付き保険での結果です。

 対して、人身傷害の付いていない、かつてのPAP(現在、各社、別の名称)の場合、東海さん、損Jさん、三井さん他各社、無保険車傷害の適用になりますので、交渉次第で判決額が支払われることになります。つまり、無保険車傷害は長らく裁判での和解・判決の額を認めていたのです。

 後遺障害が残るような大ケガの場合、人身傷害の算定額よりも、裁判での判決・和解額が2倍以上も高額となることが多いのです。計算例から比較しましょう。一番軽い14級の被害者(主婦)さんを例にとっても以下の通りです。

費目 判決額 3246200円を 人身傷害に請求したら・・ 判決額 3246200円を 無保険車傷害続きを読む »

 過去、何度も自賠責の「加重」によって、煮え湯を飲まされ、時には救済されたものです。自賠責保険や労災の独自ルールながら、裁判でも同じ計算が踏襲される傾向でした。しかし、今年、加重ルールを否定する高裁判決がでました。遅ればせながら取り上げます。   「神経障害は同一」覆す  自賠責保険適用認める事故で新たに後遺症・東京高裁     脊髄損傷で車いす生活となった50代男性が、新たに車との接触事故で腕のしびれなどが生じたとして、運転女性と自動車損害賠償責任(自賠責)保険の加入先だった東京海上日動火災保険に約460万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が20日、東京高裁であった。杉原則彦裁判長は「事故前と事故後の障害は、一体的に評価されるべき同一の部位とは言えない」と述べ、約410万円の支払いを命じた一審さいたま地裁判決を支持し、女性側の控訴を棄却した。  男性側の弁護士は「神経系統は同一部位だとして新たに生じた障害への賠償を認めてこなかった自賠責保険の運用ルールを否定した画期的な判決。高裁レベルでは初めてではないか」と評価している。(時事通信社)

   加重とは・・同じケガが同一部位に加算されても、「元々の障害があるから、今回の障害は相殺ね」、もしくは「元々の障害を上回る障害が加わったら、新しい障害の保険金-元々の障害の保険金=支払い保険金としますね」との制度です。まず、公平、合理的なルールと思います。しかし何事も例外はあるもので、一部の被害者さんいとっては理不尽なルールとなります。

 この機に少し復習してみましょう。  

後遺障害等級における加重とは? 自賠法施行令2条2項では加重障害を規定しており、すでに後遺障害のある者が、自動車事故により同一の部位について後遺障害の程度を重くしたときは、加重した限度で保険金額を認定する、と記載されています。

すでに後遺障害がある者とは、本件事故の発生前に、すでに後遺障害のあった者のことです。 その後遺障害については、先天性、後天性、自動車事故によるもの、賠償を受けたか受けないかに関係なく、後遺障害等級表に定める程度の後遺障害が存在していた者をいいます。

加重とは、自動車事故により新たな傷害が加わった結果、後遺障害等級表上、既存障害よりも重くなった場合をいいます。 自然的経過や既存障害の原因である疾病の再発等、新たな自動車事故以外の事由で後遺障害の程度を重くしても、加重と判断されません。 同一部位に新たな傷害が加わったとしても、既存障害以上の後遺障害が発生しなければ、加重とはなりません。 1)受傷前の手指用廃、受傷後切断 Q事故前の業務中の受傷で右人差し指の用を廃していた被害者が、今回の事故で右人差し指を切断するに至りました。 自賠責保険の認定等級と保険金の支払額はいくらになるでしょうか?

右人差し指の用廃は12級10号、右人差し指の切断は11級8号です。 等級は、右手人差し指を亡失したものとして11級8号が認定されますが、保険金支払では、11級、331万円から12級224万円が差し引かれ、331万円-224万円=107万円の支払となります。 続きを読む »

 「人身傷害」と「無保険車傷害」の併存問題、続いて東京海上日動の整理を見てみましょう。   (3)東京海上日動

人身傷害条項 第5条(支払い限度額に関する特則)

(1)第4条(お支払いする保険金)(1)ただし書の規定にかかわらず、下表のすべてに該当する場合は、1回の人身傷害事故について当会社の支払う保険金の額は、被保険者1名について2億円を限度とします。

① 第1条(この条項の補償内容)(2)の表の①に該当する事故のうち、無保険車の運行に起因する事故により人身傷害事故が生じ、その直接の結果として、第4条(お支払いする保険金)(2)の表の②または同表の③に該当すること。 ② 賠償義務者があること。 ③ 保険証券記載の保険金額が無制限以外であること。    ①は読みづらいですが、従来の無保険車による傷害事故を指しています。②は事故の相手がいること、つまり、自爆事故ではないとの意味です。③は人身傷害の限度額が無制限であれれば、無保険車による被害は2億円ではなく無制限とします。

 要するに内容は三井住友と同じです。人身傷害約款に無保険車傷害を吸収させました。すると、三井住友同様、人身傷害を付保していない契約はどうなるのか?東海日動はしつこく?、いえ、論理的に整理しています。   18  無保険車事故傷害特約

第1条 (この特約の適用条件)  この特約は、この保険契約に対人賠償保険が適用され、かつ、人身傷害保険が適用されていない場合に適用されます。

19  無保険車事故傷害特約不適用に関する特約 第1条 (この特約の適用条件) 続きを読む »

 それでは人身傷害と無保険車傷害の競合問題について、3メガ損保の現約款を確認してみましょう。

 いずれも「27年10月改定」版からです。(最近は毎年のように約款改定が続き、追いかけるのが大変です!) c_y_1

(1)損保ジャパン日本興亜

4-5 無保険車傷害特約  第10条 支払い保険金の計算

⑦ 普通保険約款人身傷害条項第8条(支払い保険金の決定)の保険金が支払われる場合は、その保険金額 ・・を無保険車傷害の保険金から差し引きますよ。    つまり、無保険の自動車にケガをさせられた場合、多くは人身傷害で治療費や休業損害を賄っているはずです。続いて後遺障害が生じた場合も「まず人身傷害で支払い、足りなければ無保険車傷害から払います」、との意味になります。これは実務的な流れを裏付けるものです。

 損保ジャパンは日本興亜との合併前、一時期、人身傷害の約款に無保険車傷害を組み込みましたが、すぐに無保険車傷害を独立した約款に戻しました。結局、両者の約款を併存させたまま、被り問題をこの約款条文で調整しました。

 最初からこうすればよかったのにね。

★ 限度額は人身傷害付き契約(THEクルマの保険)、人身傷害がない契約(SGP)共に、限度額の記載がありません。2年前の改定から「2億円」⇒「無制限」に統一したようです。保険証券には「無制限」ときっぱり記載されています。

  (2)三井住友

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 会社で働く方たちは協会けんぽと組合けんぽという言葉をきいたことがありますよね?    全国健康保険協会(通称=協会けんぽ)と健康保険組合(通称=組合健保)があります。    協会けんぽは適用事業所である中小企業等で働く従業員やそのご家族が加入している保険です。保険料率は各都道府県や標準報酬によって決まり、事業主と被保険者の負担割合は折半になっています。    組合健保は政府に代わって健康保険事業を行う公法人であり、厚生労働大臣の許可を得て設立されます。1つの会社で700人以上の従業員がいる場合か、同じ業種の会社または同じ地域の会社が集まって3000人以上の従業員がいる場合に設立できます。    1、協会けんぽの場合、協会けんぽのサイトに「協会けんぽについて」→「個人情報保護」→「保有個人情報の開示請求について」→「診療報酬明細書(レセプト)の開示について(ご本人用)」をクリックすると、必要書類の欄に請求書のPDFデータがありますので、それをダウンロードして記入します。具体的には全国健康保険協会支部長の欄には、所属する支部を記入します。お手元の保険証の下の保険者名称の欄に支部名が記載されています。診療年月には開示を希望する期間を、診療報酬明細書等区分には病院の名称、所在地を記載し、必要な区分に〇をつけます。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。   2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書」を、郵送であれば「診療報酬明細書等開示請求書」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、全国健康保険協会の所属する支部に提出します。   3、その後、開示請求手数料の納付書が届きますので、その金額を納付し、領収書の写しをFAXで送信するとスムーズに進みます。その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。    組合健保の場合は、協会けんぽと流れはほぼ一緒ですが、申請書類様式が各組合よって異なりますので、ご自身が所属されている組合のホームページ又は会社の事務の方に聞くことが望ましいと思います。      

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 平成10年10月、東京海上から人身傷害特約(保険)が発売されました。以後、各社、ほぼ同内容で続きました。

 しかし、従来から存在していた、搭乗者傷害特約、無保険車傷害特約、自損事故特約と”自らの人身事故に支払われるもの”として、補償が被ることになりました。

 搭乗者傷害保険は重複して支払われるので問題ないとして、無保険者車傷害と自損事故は調整が必要となりました。損保ジャパンは無保険車傷害を一時期、人身傷害約款に組み込み、また独立させた経緯があり、軽く混乱したと言えます。また、各社、約款に不明記ながら、「人身傷害の金額を超えたら無保険車傷害で支払う」などの社内規定で整理したり、また、請求事故が起きたら、その都度、社内会議で決めていたようです。

c_y_200(例1)人身傷害と無保険車傷害が競合した場合

 人身傷害は最低保険金額が3000万円、最高は無制限です。保険金額は選択でき、最も多い契約金額は5000万円です。対して無保険車傷害は2億円、もしくは無制限が保険金額です。保険金額は選択できず、約款で決められています。

 ケガの治療費や休業損害は人身傷害で支払います。なぜなら、無保険車傷害は後遺障害と死亡のみの補償だからです。後遺障害が認定された場合、やはり、人身傷害特約で支払います。それが契約金額を超えた場合、ようやく無保険車傷害からの支払いとなります。

 明らかな高額賠償の場合、最初から治療費・休業損害・その他費用を人身傷害から、後遺障害・死亡保険は無保険車傷害からとばっさり分けたケースもありました。   (例2)人身傷害と自損事故が競合した場合

 自損事故は死亡1500万円、介護費用200万円、入院1日6000円、通院1日4000円の定額保険なので、支払い保険金は人身傷害の方がほとんどのケースで高額になります。したがって、約款上、人身傷害付きの保険では自損事故特約は消滅しています。     さて、(例1)の実務上の対応もさることながら、人身傷害と無保険車傷害の併存問題について、約款上の整理もしくは統合を各社、進めました。最新約款を確認してみたいと思います。 

 前置きが長くなりましたが、ここからが本シリーズの主題に入ります。

 続き⇒  

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セミナー表紙20160214_00002 昨年末から自動車保険の約款をテーマとしたセミナーが続いています。  約款と言えば「難解」、「何が言いたいのか解らない」等々・・約款をじっくり精読してから契約を検討する自動車保険の契約者さんは皆無でしょう。一部の約款マニアは別として、保険会社社員や代理店さんですら、余程必要がないかぎり、約款を開くことはありません。現場ではカラーで解りやすいパンフレットで十分なのでしょう。

 さて、被害者救済業を名乗る以上、約款の熟知・活用は私達にとって避けられない重要事項です。

 とくに、任意保険に未加入の自動車による被害者さんは、人身傷害特約、無保険車傷害特約が頼りとなります。無保険車の被害者にとって知られざる重大なテーマなのです。

 約款解説は毎回長文となり、シリーズ化しますが、まずは以前に使用した表をご覧下さい。自動車保険で自らのケガ・後遺障害・死亡に支払われる主要な補償は以下の通りです。見ての通り、いくつか補償がダブっています。平成10年10月に東京海上が開発、販売をスタートさせた人身傷害特約の登場によってダブりが頻発したと言えます。

 明日からの内容について、下表と併せて以下を復習しておくと理解が容易となります。(長いですよ)

そして『無保険車傷害特約』は吸収された・・・①~⑧

結局、無保険車傷害特約は独立した ①~③  

契約車 搭乗中 他車 搭乗中 歩行中 自転車 他の交通機関 保険金 計算方法 重複 払い  人身傷害保険 〇 △ (特約で選択) △ (特約で選択) 実額 × 無保険車 傷害 特約 〇 〇 〇 実額 × 自損事故特約 〇 〇 × 定額 × 搭乗者傷害保険 〇 × × 定額 〇

  ※ 保険金支払い方法

実額… 実際にかかった治療費、交通費の他、契約している会社の基準により慰謝料、逸失利益、休業損害を個別に計算する。

定額… 契約時に定めた死亡・後遺障害・手術・入院・通院・その他金額。その金額により入通院は1日当たり○○円、もしくは部位症状別に○○円と決まります。   ※ 重複払い

 搭乗者傷害(現在は多くの会社で「傷害一時金」と改名されています。あえて旧名で表記します。)のみ、上の3つに加算して支払われます。しかし治療費を人身傷害に、後遺障害を無保険車傷害にと、ケガと後遺障害を別々に請求する場合は重複とはなりません。

 つづく  

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mikurasu 初登場! 第2のカプセル怪獣ミクラス=MC佐藤    最近、診療報酬明細書(レセプト)開示請求が必要な場合が多かったのでそのことを記載したいと思います。

 診療報酬明細書(レセプト)開示?と思う方が多いと思います。多くの被害者の方は、加害者の任意保険会社の一括対応により支払いなく治療・入通院しているので、診断書・診療報酬明細書(レセプト)、事故証明書等は保険会社の担当者が持っています。ですので、それらの書類を取得するためには、担当者に連絡し、コピーを欲しいと言えば送って頂けるでしょう。

 しかし、相手が無保険であったりすぐに一括対応を打ち切られてしまい、ご自身の健康保険や、労災で通院した場合はどうでしょうか・・。

 相手が無保険の場合や保険会社が払ってくれなかった場合、それらの書類をご自身で取得しなければならいなのです。今回は稀ではありますが、そのような場合の手続きについて説明いたします。

 まずは一番書類がシンプルな労災編です。今回は治療先の病院が労災指定病院であると仮定します。

1、労災で通院している場合、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードし、記入します。具体的には、行政機関の長の欄には労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長を記入し、開示請求する個人情報には通院期間分のレセプトの事を記載します。開示する書類は年度ごと(毎年4月1日から翌年3月31日まで)によって手数料300円(収入印紙)がかかります。

2、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが必要書類が多少異なるので、注意が必要です。窓口であれば、「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を、郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部企画室に提出します。

3、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思と方法(閲覧かコピー請求)を示します。コピー請求の場合、開示書類の枚数によって該当金額を切手同封で支払うと、無事にレセプトが届きます。

 次回は健康保険の開示請求について説明いたします。  

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 続きまして、3メガ損保を比較してみましょう。まったくの横並びと思いきや、わずか違いがあるようです。もっとも、支払基準には社内マル秘運用マニュアルがあり、事案によって増減の調整があることもあります。そして、裁判となれば、和解・判決の額を渋々支払います。

 いずれも27.10改定約款を確認しました。地裁基準は「赤い本」です。

 かなり面倒、マメじゃないと出来ない作業です。   c_s_k_70

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 いきなり何のことやらわからないタイトルですが、何を意味するか?    

 これに即答できた方は後遺障害のプロ、認定でしょう。      

 答えは上肢の醜状痕の範囲です。

 

 下図の赤塗りの部分がそれぞれの範囲です。   

労災基準 自賠責基準 裁判 労災 自賠続きを読む »

 もう、普遍的な事となりました、他事務所からの契約切替えについて、意見します。

 せっかく弁護士他に依頼をしながら、その後の対応に不安・不満をもった被害者さんからの相談は、相談会参加者でも25%ほどまでに登ります。他の弁護士先生からも「今月は○○法律事務所から2件、△△法律事務所から1件、□□法律事務所から3件・・」と他事務所からの契約切替えを定期報告のように聞きます。

 確かに依頼をしてみた結果、「合わないな」と思って解任することもそれなりにあるでしょう。しかし、こと交通事故に関しては日常茶飯事、本当に多すぎるのです。それほど被害者さんは軽薄に契約しているのでしょうか。しっかり説明を受けて契約したはずです。また、依頼を受けた事務所も誠実に業務を遂行しているはずです。なぜ、交通事故に限って依頼先の変更が常態化してしまったのでしょうか?     交通事故で弁護士が活躍するのは、当然ですが賠償交渉です。そして、その前段階である諸手続き、損害の立証作業も腕の見せ所です。しかし、現実は前段階の事務をやらない、できない事務所が圧倒的多数です。賠償交渉ですが、裁判などは3%に満たない珍事であって、大多数は赤本などの基準表を見て計算し、相手保険会社と賠償金の計算書の交換をするだけで交渉が進みます。そうです、まるでクレサラ業務と同じ、すべてとは言いませんが楽~な作業なのです。近年、クレサラ事務所が交通事故に大挙参入してきたことと無縁ではないでしょう。

 対して、賠償交渉以前の事務では、ある程度、保険会社との折衝はするでしょうが、健保切替えに付随する第三者行為の書類作成、労災の手続き、身体障害者手帳の申請などすべて被害者に任せ、やってくれません。場当たり的なアドバイスはしますが、多くの弁護士は「それは窓口に聞いて進めて下さい」と丸投げです。さらに、後遺障害の立証も、被害者さんがすべて自分で医師と折衝し、検査を手配し、書類・画像を集め、争いとなれば自ら鑑定先を探し、異議申立て手続き・・頼るべき弁護士は等級が確定するまで待っているだけです。

 結局、このような事務所を選んだ被害者は、様々な対処に困って依頼したものの、全部自分で動かなければならないのです。

 弁護士たるもの「わからない」、「できない」、のであれば派手なホームページで「交通事故に強い」「後遺症も任せて」等、あたかもできるように書いてはいけないと思います。「当事務所は賠償交渉のみしかやりません」と書かなければ、誇大広告となるはずです。それでも生まれて初めての交通事故である被害者は比較しようもなく、宣伝だけで弁護士を選びがちです。    さて、それだけのことで済めば、どの商売でもよくある話です。交通事故の場合はそれだけでは済みません。普通、依頼を受けながら解任される弁護士事務所は、売り上げが逃げますのでそれなりに困るはずです。また、依頼者に問題がある場合を除き、解任自体を反省、恥じるべきです。しかし、弁護士費用特約(以後、弁特)の存在がそれらを打ち消します。

 契約を受けて、その依頼者の契約している保険会社に着手金を請求・受領すれば売上は達成されます。解約によって成功報酬はなくなるにせよ、ほぼ何もしないで、10~50万円を手に出来ます。そして、多くは(着手金はいかなる理由でも返還しない)契約を盾に着手金を返しません。やってくれた仕事と言えば、契約時の面談に、後は電話数本程度・・それでも頑として着手金を返しません。そもそも着手金の性質は手付け、経費の前払いとの理解です。業務量に見合った金額以外は返還するのが常識的な態度でしょう。しかし、依頼者も弁特からの支出ゆえ、自らの懐が痛んでいません。苦情もなくそのままに・・。

 こうして、依頼者に弁特があれば何でもかんでもとりあえず契約に持ち込み、着手金GET、その後何もしないで解約されても「あぁ、そうですか」で平然と応じます。弁特が無い場合は正式契約せず、相談を継続(実質、何もしない)して等級がでるまで様子見を決め込みます。この”相談状態”の宙ぶらりんな対応に不安を感じた(セカンドオピニオンとしての)2重相談者も非常に多い。残念ながら、少なからずの事務所がこの体たらくで、これが「異常に解約が多い」ことの温床になっていると思うのです。

 毎月何十件も受任している事務所は一定割合の解約もこのように利益にしています。弁特のおかげで、着手金稼ぎのビジネスが成立です。商売上手?ではなく、悪質とさえ思えてきます。保険会社も苦々しく思っており、いくつかの事務所に苦情を申し入れています。LAC(日弁連の)が着手金を「10万円まで!」に固執している理由は、この着手金稼ぎビジネスを防ぐためでもあるのです。    最後に最近の相談者さまを代弁して、  eEeS1ECvGkjZQON_VRgoj_67

「それが、お前らの、やり方かぁー!」

 

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win (2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について (物損の場合)

 治療費等、人傷の場合には、被害者請求や人身傷害特約を利用することで早期解決できるので、直接請求権の行使は現実的ではありませんでした。しかし、「直接請求権」は約款をみてみますと、人傷だけではなく、物損にも行使できる旨が記載されています。現在では普段の生活で自動車をよく利用される時代です。自動車の修理費は、人によっては治療費や慰謝料以上に強く求められることもあります。

 物損の場合、自賠責が適用されず、被害者請求はできない。また、人身傷害特約も物損には適用されません。加害者が物損の修理費を払いたくなく(経済的に支払えない場合もあります)、しかも自分の保険会社を利用しようともしない場合、泣き寝入りしてしまいます。そこで、相手方の任意保険会社に直接請求することを約款で認め、このような場合に泣き寝入りせずに物損解決ができるようになっております。

 この点、直接請求権を行使するための要件は、前回述べた内容と同様です。

 人傷の場合と同様、その中で最も現実的な方法は、「③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合」とみています。他方で、物損の場合、人傷の場合と異なり、賠償額の算定は比較的容易です。よって、前回述べた、「① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合」の方法も理論上できそうです。

 しかし、実際に①の方法を利用するとしても、弁護士に依頼しても受任してくれない可能性があります。何故なら、物損は人傷よりも多くの場合、賠償額が低いため、結果として弁護士の報酬が低くなり、弁護士を使うことが現実的ではなくなるからです。すると、物損のみの交通事故の場合、被害者自身が裁判等をすることになることも視野に入れなければなりません(本人訴訟)。

 なお、物損額が60万円以下であれば、少額訴訟という制度を利用でき、仮にその額を超える場合でも140万円を超えないのであれば、簡易裁判所で訴訟をすることになります。いずれも、端的に言えば、事件の早期解決を図れる点で共通しております。これらの制度については、裁判所や弁護士によく相談してみてください。

 この論点を含む、物損の直接請求権については、ボスがメインブログで、ストーリーを絡めて詳しく解説しておりますので、ご参照ください。  ⇒ 「事故の相手が保険を使ってくれない」  

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(2)加害者側の任意保険への直接請求権の行使について

 自賠責保険で、治療費等を回収する方法として、被害者請求を説明しました。上記タイトルの直接請求権とは、端的に言えば任意保険会社版の被害者請求です。つまり、交通事故の被害者が加害者の任意保険会社に直接、治療費等を請求することです。

 通常、交通事故があった場合、加害者が自分の任意保険会社に対応をお願いすることで、一括対応をすることになります。ただ、交通事故の当事者はあくまで、被害者と加害者です。加害者側の任意保険会社が勝手に被害者に治療費等を支払うことはしません。契約者である加害者から連絡がなければ積極的に支払う義務もありません。この点、加害者が「自分が悪く無い事故なのに責任を取りたくないから保険を使わないよ」と言って、被害者に治療費はおろか、加害者自身の任意保険会社にも連絡しないことがあります。

 この様な不都合を回避するために、被害者は加害者の任意保険会社に直接請求点を行使して治療費等を回収できます。しかし、直接請求権による方法はあまり現実的ではありません。治療費を被害者自身で賄うことが困難な被害者にとっては特に言えます。その原因は、直接請求権の要件の厳しさにあります。

 直接請求権を行使するための要件としては、以下の通りです(ある損保会社の約款を参考にしました)。

① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合

② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合

③ 損害賠償請求権者が被保険者に対する損害賠償請求権を行使しないことを被保険者に対して書面で承諾した場合

④ 法律上の損害賠償責任を負担すべきすべての被保険者について、次のア.またはイ.のいずれかに該当する事由があった場合

ア.被保険者またはその法定相続人の破産または生死不明 イ.被保険者が死亡し、かつ、その法定相続人がいないこと。    これらの中で、最も現実的な方法は、③の方法ではないかとみています。 ①の方法は、治療中で全体の被害額が確定していない状態であることから、裁判がやりづらいこと。 ②の方法は、加害者が任意保険会社を使用しないと言い張っている状況等で現実的に同意するわけがないこと。 ④の方法は、加害者が死んでしまったレベルでなければなりません。    繰り返しますが、以上の要件を満たすための手続きはとても厳しく、面倒です。これらの手続きをするのであれば、自賠責に被害者請求をする方が現実的です。最近では人身傷害保険が普及しているので、本人もしくは家族に加入がないか探して人身傷害に請求するケースが多くなりました。

 自賠責は対人事故に適用されますが、物損は適用外です。これに対し、直接請求権は物損でも利用できます。次回は、物損で自動車の修理代を回収することとからめて説明します。  

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