さて、先週末は月例の東京相談会でした。私が参加する前も含めれば、夏休みの8月を除いて実に14年間も毎月開催しています。今回は、相談者様がやや少なく5名、平均参加者の14枠が埋まりませんでした。「プライドが許さないので、中止にするか・・」とは、もちろん考えません。

 たった一人の相談者でも全力で対応することになります。主催者の宮尾氏は毎回前日入りしますが、今回は鉄道事故の影響で新幹線内に5時間缶詰、深夜に東京駅到着となりました。私達も含め、相談員は手弁当での参加ですが、告知した以上は万難を排して実施しています。ジュリーの件では、チケットを買った観客以外(つまり、被害者でもなく関係のない人達)から様々な意見が噴出、侃々諤々の様相です。しかし、人によって、ましてアーチストであれば、とりわけプライドの持ちようは違うと思います。文句が許されるのは、さいたまアリーナの観客のみです。ただ、ビックスターでもこの場合、ポ-ル・マッカートニーやミック・ジャガーだったら・・と思ってしまうのです。

 首都圏相談会はNPO法人の主催でスタートしました。過去、たったの一度も中止はありません。回を重ねるごとに、弁護士、医師、行政書士等のボランティア参加が続き、国内最高峰の相談会を目指して継続してきました。弊所も9年間欠かさず毎月参加してきました(秋葉はインフルエンザ罹患で1回だけ休みましたが)。相談会は最高の経験則の場、おかげさまで私達は多くの相談者さまから鍛えられているのです。

 何事も「継続」こそ最強、最も誇るべきもの=プライドではないでしょうか。

 今回の相談会の内容ですが、実に半数は既に弁護士に依頼していた被害者さんでした。受任者は受任したものの無策が続き、依頼者の不安を拭うことが出来ませんでした。この業界の難解さは、スマホの購入のように商品の比較ができないことに尽きます。生まれて初めて交通事故にあい、ネットで専門家を検索、わらをも掴む思いで依頼したが・・どうも宣伝と違う。これが、「次回は他メーカーにしよう」で済まないのが交通事故です。「解決方針を示さない」「対応が遅い」「連絡がつかない」「専門家ではないかも?」「宣伝と違う?」・・疑いを持ったら、交代も視野に入れるべきです。その判断が遅れると取り返しがつかないことになります。被害者さんにとって、依頼者を選任することは自己責任なのです。  

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【事案】

自動車走行中、交差点で左方から自動車が進入し、衝突したもの。直後から首の痛みだけではなく、上肢のしびれ等の神経症状に悩まされる。

【問題点】

交通事故に強いという前任の弁護士に依頼していたが、非該当となり、相談会に参加された。症状固定時に上肢のしびれが残存していおり、症状固定後も治療を継続していた。前任の弁護士は「あきらめましょう」と、異議申立てをしない方針であったため、やむを得ず、弁護士解任に踏み切った。  「後遺障害は無理だと思います・・」

【立証ポイント】

異議申立をするにあたって、主治医に症状固定時にしびれが残存していることを再度確認、診断書に追記頂き、さらに現在に至るまでの症状の推移を診断書にまとめて頂いた。

ほどなく、認定が届いた。これからようやく弁護士の出番です。初回申請でしっかり症状を後遺障害診断書に記載すべきところ、まったく時間を無駄にした。

(平成30年7月)  

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 私達は医師、弁護士、そしてあらゆる職業の依頼者さま・・多種多様な人間と接しています。様々な相手に対し、こちらの希望を伝え、意見を通すにも、その人その人によって話法・アプローチは違います。相手によって、対応を変えていく必要があるのです。この当たり前のセオリーですが、「言うは易し、行うは難し」です。日々、若手にうるさく指導していますが、私も完璧に出来ているとは思えません。相手の性格や考えをいち早く察知する、対人洞察力を磨かねばなりません。それには、多分野の人と交わり、様々な経験を積むことが効果的なようです。多様な考え方、物の見方を、心がけていきたいと思います。    さて、私の家族もしばしば世間様と一線を画す解釈をします。子供時代のように毎日顔を合わせていると気付かないことですが、大人になって客観的に振返ると、相当にズレていることに気付きます。

 以下、実家での親子の会話・・   (私)「ガッキー、いいよね」と話題を振ると、

 

(親)「えっ??」

(私)「新垣(あらがき)さんのことだよぅ」

(親)「あぁ、偽ベートーベンの人ね」

  → 何故に微妙に古い人? 読みも間違っているし、どうして 新垣 結衣さんではなく、忘れかけていた新垣 隆(にいがき)さんになるかなぁ?

(親)「あの人、元気のないテリー伊藤さんみたい」

  → お二人に対して同時に失礼です。

 ちなみに、新垣さんは本物の方で、偽は佐村河内 守さんです。一体どこから話題を修復すべきか・・。

・・・もはや、話題の継続を断念しました。    他にも、   (私)「宇多田ヒカルはすごい才能だよね」と話題を振ると、

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 最近、ポストに入るDMは少なくなったようです。あまり効果が見込めないのか、往時に比べ減ったと思います。電子メール、電話のキャッチセールスはぼちぼちでしょうか。ポストのDMやメールは捨てればすみます。この手間も塵も積もればの世界です。一体それらの対応に、年間どれくらいの時間を取られているのでしょう。

 何より忙しい時の電話は辟易させられます。それでも、「忙しい中、すみません」と切り出す姿勢には、最低の礼儀は存在しています。しかし、最近増えてきたFAXの宣伝には、差出人の恐縮を微塵も感じません。事務所のFAXはジェットプリンターの複合機です。毎回、当方の紙とインクがその宣伝に費やされます。捨てる手間だけでは済まず、見ず知らずの相手からの勝手な宣伝活動にこちらの実費が消費されているのです。

 チラシの印刷代に郵送料や配布費用をかけたDMは、少なくともこちらに実費はかかりません。しかし、通信料はかかるにせよ、こちら側の許可もなく、費用負担を強いるやり方はいかがなものでしょうか。宣伝側にしてみれば、その手間ひまにおいてFAX宣伝は楽でしょう。最初から紙・印刷代も払わずにすみます。その図々しい態度に沸々と怒りが沸いてきます。ほとんどのチラシには、「今後、FAXが不必要であれば、不要にチェックしてFAXを返送して下さい」とあります。またしても、こちらに送信料の負担をかけようとします。何故、相手の一方的な宣伝行為に、こちらがそこまで手間と費用をかけさせられるのでしょうか。このようなFAX宣伝をしている企業さん・・その根性が気に入らないと思うのは私だけでしょうか。

 

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 裁判で勝っている弁護士先生、優秀な弁護士先生は押しなべて損害の「立証」が優れています。    交通事故裁判では、慰謝料の相場がある程度固定していますので、争点は逸失利益、次いで過失割合が多なります。加えて、金額の増額幅の大きさは介護費用が最たるものと思います。重度の障害で介護状態となった場合、その介護費用の取得に関して、優秀弁護士 or 残念弁護士 がぱっくり割れます。過去、一緒に仕事をした弁護士さんはもちろん、判例などに目を通すとその違いに刮目させられます。    (優れた先生)

 個別具体的なケースの証明に、家族介護人と職業介護人の併用、公的サービスと自助努力、これらについて詳細に表やグラフで示し、具体的に必要な金額を明瞭にします。そして、おむつ一つから細かい明細表を作成し、介護備品の必要性・金額を具体化します。自宅介護の場合は、工務店の改築見積程度ではなく、介護住宅専門の建築士の鑑定書を提出します。とにかく、細かく、具体的、現実的、誰もが納得できる案であり、これら資料の作成にまったく労を惜しまないのです。   (残念な先生)

 赤本の類似例や判例を検索、それを主張して終わりです。同等級・同年齢・同程度の損害の前例を用いて請求額の根拠としていますが、個別具体的な立証とは程遠く、これでは裁判官の心証を捉える事はできません。相手保険会社は様々な根拠を示して、介護にかかる諸費用の一般例で反論してきます。ほとんど前例 対 一般論の戦いです。これでは、裁判官の判断もおざなり、ぼんやりとした和解額を押し付けてきます。問題は、それでも相手保険会社の提示より増額していますから、依頼者に「勝った」と思わせてしまうことです。    自賠責の別表Ⅰ 1級:常時介護、2級:随時介護 ・・・これらはご本人はもちろん、ご家族にとって一生をかけた戦いなのです。緩い解決など絶対に出来ません。裁判で介護費用を最大に立証し、勝ち取れる先生に任せなければ、(勝った気分ながら?)数百万~数千万円を取りそびれることになります。    できれば弁護士に依頼する前に、「介護費用の請求について、どのような方策をお持ちでしょうか?」と聞いてみるべきです。そこで、具体的なプランを示すことがなく、不明瞭な回答、難しい法律論で煙を巻くような先生には、依頼しないことです。なぜなら、介護費用の請求方法を知らない、あるいは経験不足だからです。     現在、重度介護者の介護費用の獲得に向けて、弁護士事務所から様々な調査の指示を受けて動いております。”被害者側の調査”、これが勝負を決める事をその弁護士が承知しているからです。

介護は被害者だけではなく、家族の問題です

   

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 事務所にこの秋、最大の贈り物が届きました。秋の味覚と言えば松茸、まさに秋の王様です。

 事務所の皆で2本ずつ分けました。その後、それぞれの家庭での賞味方法を追跡、確認しました。王道、松茸ご飯が3票、そのまま焼き松茸は1票、思案中が1票です。私はお腹が空いていたので、帰りの電車でそのまま生で丸かじり(ワイルドだぜぃ)・・・するわけはなく、実家に届けました。実家は相変わらず粗雑で、野菜炒めに混ぜたようです。  

 山梨のTさま、昨年のシャインマスカットに続き、お心遣いありがとうございました。  

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 秋葉事務所では恒常的に求人を続けておりますが、採用率が低く、常に苦戦しております。    通常、売上好調の企業は人手不足から求人を行うものです。一方、仕事を増やしたくても人がいないから、業務拡大できないとジレンマを抱える企業もあります。うちの場合は後者でしょうか。誰でもできる仕事と言っては失礼ですが、短期の養成で戦力になるのであれば、非正規雇用者(契約社員・パート・アルバイト)を採用すれば足ります。仕事の量で雇用調整ができますので、経営上も理にかないます。しかし、被害者と一緒に医師面談し、検査の依頼や正確な診断書の作成に誘導する仕事は、技術、経験、臨機応変が必須の専門的な技術職です。そして、何と言っても情熱と志が根底になければ、軽薄な調査業に成り下がります。被害者側の医療調査員=メディカルコーディネーター(MC)の登用と育成は簡単ではないのです。

 例えば、鎖骨骨折後の変形一つをとっても、医師が臨床上、「後遺症ほどでもない」と判断するところ、「自賠法上では後遺障害に該当する」ことをご理解頂き、後遺障害診断書に記載いただくよう、医師を説得するのです。医師も人間ですから、簡単に「はい、わかりました」となりません。このような折衝には、相当の交渉力と熱意が必要です。もう一例を挙げますと、顔面醜状痕を気にして形成手術を続ける女子に対しても、「早く顔のキズで12級の認定を受けて、その後、時間をかけて美容整形で改善していきましょう」と、損得勘定を促します。このような説得も、短時間で依頼者さまと信頼関係を形成しなければ上手くいきません。誠実さと人間力がものを言います。

 保険会社側の調査員は、事故の状況や損害程度について、公正中立に「事実」を調べる仕事です。当然、事実は一つです。そこには保険会社にとっての不利益も含まれるでしょう。その点、”保険会社から雇われた”彼らの立場に限界を感じてしまいます。逆に、私達の調査は同じ事実の追求であっても、あくまでも調査費用を負担した依頼者の利益を目指して出発します。しかし、利益優先で事実を歪曲するような調査があってはいけません。倫理感も絶対的に必要です。利益追求が過ぎれば、保険金詐欺の教唆・誘導へ、誤った方向へ進んでしまいます。事実という天床を限度に、どこまで依頼者の利益を引き上げるか・・この仕事は常にこのような葛藤を強いられているのです。

 簡単にMCを採用できない理由は、倫理感・人間性に行き着くことになります。そして、”自賠責保険が規定する1~14級まで140種の後遺障害・35系列の傷病名とその立証方法を熟知し、地域の専門医・検査先等、医療情報を把握、そこに被害者さんを誘致でき、後遺症を正確に後遺障害認定に結びつける作業”・・・この習熟には数年が必要です。マニュアル片手にではなく、できれば、徒弟制度のように専門事務所でしっかり実地経験を積む必要があると思います。    かつて、病院内で小学生の女の子の鎖骨骨折後の変形を確認・撮影したことがありました。泣きべそ寸前の女の子の洋服の胸元を引き下げながら、「もう少し、見えるように下げてね」とカメラ片手に中年男(私です)が奮闘しています。後ろにお母さんが控えていますが、お母さんが一言、

 「私が居なかったら、秋葉さん捕まりますよね」。

 私達の仕事はこのようなリスクも日常茶飯事なのです。

 そこで、本記事のタイトルに戻ります。女性特有の調査には、やはり、女子の担当者が必要なのです。他にも、骨盤骨折した年頃の女性に「おしっこが出ずらくなりませんか?」と聞く必要があります。中年女性の場合は、「先生、尿漏れもひどいのですが」と恥じらい無く聞かないことまでも説明してくれますが、若い女性は医師に対してさえ隠しがちです。隠れた後遺障害を聴取するにも、女子力が必要となります。

 だからこそ、今秋からの募集は女子MCの発掘を第一目標にしています。

 秋葉が捕まる前に、志ある女子は是非とも声をあげて頂きたいと思います。  

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 自賠責保険は労災をベースとしたものから独自の基準を加味して完成したもので、1955年(昭和30年)に「交通事故が発生した場合の被害者の補償」を目的として開始された対人保険制度です。

 その認定基準もほとんど労災を踏襲しますが、独自の判断基準も盛り込まれています。制度発足から60年を越えますので、その間、基準変更を繰り返してきました。運用基準的な細かいものは非公表ですが、認定等級の変更は公になっています。例えば、醜状痕の男女別等級認定の件は、京都地裁で2010年5月27日に、”男性の著しい外貌醜状障害について、女性の7級よりも低い12級と定めていた障害等級表を違憲”と判断、この判決を受けて、翌年に労災も自賠責も男女の区別なく等級を整理・改訂しました。判決を取った弁護士団の先生方の尽力に敬意です。

 自賠責保険の認定は自賠法に準じた画一的な基準ですから、個別具体的な事情を斟酌して判断することはなく、あくまで基準に則って等級認定を行います。基準に合致せず、不利益が生じるのであれば、それは後の賠償交渉、続く裁判上で立証を負い、審議に付す必要があります。その点、自賠責保険は被害者の個性とは対極にあるものです。性別、職業は当然に、外見や健康状態も既往症でない限り関係ありません。年齢からの区別は逸失利益の計算に影響しますが、高齢者でない限りその計算は自賠責保険金額の限度額をオーバーしますので、気になりません。    やはり、何事もスタンダード(基準)からのスタートが望ましいものです。まず、根拠がなければ世の揉め事は大渋滞を起こします。交通事故の障害認定も同じく、入り口の整理には「目安」「決まり事」が絶対に必要です。しかし、一方で基準に胡坐をかくことの弊害も起きるものです。自賠責保険でよくある「損する人」は以下の通りです。   ・醜状痕の男女平等、職業平等は絶対か?

⇒ 本音を言えば、損得に個人差はあると思います。いかつい中年男性と婚姻前の若い女性を平等に扱う事自体は?・・もちろん憲法上の平等には叶いますがねぇ。  また、当然ですが外貌・容姿を職業にしている、芸能人・モデルさんなどは画一的な基準ではまったく酷です。

・2.7cmの顔面線状痕、3mm足らず非該当に(泣)

⇒ 3cmで12級ですが、3mm満たないながら、非常に目立つ場合は気の毒です。ちょっとまけてくれないかなと思います。

・寝たきりとなった場合の介護費用、例えば自宅介護料は十分か?

⇒ 自賠責では別表Ⅰの別枠等級にて増額していますが、自宅介護ではまったく足りません。これは裁判必至なのです。

・上肢・下肢の機能障害は3区分(8級・10級・12級)できっちり分けられる

⇒ 患者の回復努力にて差がでます。元々、体力と根性のある方が苦労して、あるいは長期間リハビリを粘って回復を果たし、関節可動域制限のわずか5°のオーバーで等級を逃すことがあります。

 これらは、つまり個別の事情に即していません。自賠責保険の認定基準・等級を超越した賠償交渉が必要です。このような自賠責保険の判断のみで賠償交渉を終わらせるなど悔しいものです。    また、逆に自賠責保険の画一的な判断が被害者に対して有利に働く、「得する人」も生じます。   ・日焼けした精悍な男性が額に線状痕、12級ゲット!

⇒ ...

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 毎年、秋には2日ほど休暇を頂いております。

 昨年に同じく、無難なところで釣行にしました。初日は天候に恵まれて、日焼けで顔が真っ赤、ぱらぱらと皮が落ちてきます。面の皮が厚いと言われていますので、丁度よいです。 

 釣果は珍しく青物、30cmのワカシが2本あがりました。その他25cmメジナ(雑魚はリリース、餌取りのアイゴが多くて困った)

 ワカシという魚、ピンときませんが出世魚であるハマチの子です。味もハマチと同じで、刺身が一番です。ブリのような油味はありませんが、鮮烈な甘みとシャキッとした食感はヒラマサのようです。シンプルに醤油とわさびでOK。この機にブリに至るまでの名前を調べました。   (関東地方)ワカナゴ ⇒ ワカシ ⇒ イナダ ⇒ ワラサ ...

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 交通事故で加害者・被害者の双方が、文章に署名・捺印して示談書を交わしたら、これは正式に解決を証明するものとなり、法的にも絶対的になります。

 後で、「やっぱり、こうだ」と蒸し返しても、原則、ダメです。したがって、示談書を交わす場合は慎重に行わなければなりません。しかし、原則には例外があるもので、場合によっては成立した示談を無効にできる場合があります。法的には、示談内容を誤解した=錯誤無効を立証しなければなりません。あるいは、公序良俗に反する契約(示談)であったと無効を立証することでしょうか。例えば、入院中の朦朧としている時(正常な判断ができない)に示談した。監禁でもされて脅かされて示談した。・・・これら、極端なシチュエーション下である必要があり、立証はそれなりにハードルが高いものです。法律に関する学術的な見解は専門家に任せるとして、過去の経験から参考例を紹介します。   ○ 免許取りたての女子学生がタクシー運転者と交わした示談書を撤回させた件

 これは、代理店時代のことです。お客様(女子大生)が信号のない交差点で自動車同士の出会頭衝突となりました。直後・その場で、相手(タクシー)運転手から、「私に全面的に事故の責任があります」と示談書に署名させられた件です。

 本事故は、相手タクシーに一時停止があり、「20:80」でタクシーの責任が大きいものです。それは当然にタクシー運転手も知っていると思います。それが、その会社の方針なのか運ちゃんの悪知恵なのか、示談書を車内に常備しており、免許取りたて+初めての事故で気が動転している19歳の女子学生に、まんまと「100%過失を認める」示談書を書かせたものです。

 後に、事故連絡を受けた当方の保険会社担当者が交渉に当たりましたが、相手タクシーは示談書を楯にとり「100:0」を譲りません。膠着状態を見かねて、代理店の私が動くことになりました。

 ご本人を連れてタクシー会社を訪問し、まず、「私はその時、気が動転して・・怖くなって・・署名したものです。示談は撤回します。」と、本人に宣言させました。相手の担当者はそれでも、「示談書は有効に成立したものだ。法的手続きをとる」との返答です。

 同席の私は、「学生・未成年で、免許証をとって3ヶ月の女の子でしょ? 対しておたくの運ちゃんは2種免許取得者でこの道10年のベテランですよね? 一方的に脅かすような口調もありましたよね? 一時停止側の過失が大きいことは当然に知っていますよね? 法的手続きは望むところです。 こちらとしは、本件の経緯、つまり、会社ぐるみでこのような不当な示談行為をしていることを国土交通省(タクシーの管轄省庁)に陳情します。 また、ご本人からの撤回の宣言と今のやり取りは録音していますので、弁護士より裁判所に提出し、本件示談が錯誤無効ないしは公序良俗に反するとして撤回を主張します。 省庁や裁判所がどう判断しますかね」と畳みかけました。

 翌日、タクシー会社から「保険会社同士の話し合いに委ねます」と回答、事実上、示談書は撤回されました。    本件の場合、このような示談ではさすがにばつが悪く、お役所の目もあり・・タクシー会社は渋々引っ込めました。しかし、これが成人だった場合は、民法の原則通り「お互いで合意したこと」として、撤回は難しかったかもしれません。 悪質なドライバーにとって、弱腰の相手はいい鴨となります。  

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 皆さんも子供時代を思い出してください。注射もお薬も・・病院が嫌いだったはずです。

 子供さんの後遺障害認定の難しさは、その成長期の爆発的な回復力もさることながら、自覚症状の訴えに苦労します。早く学校に戻ってお友達と駆け回りたいのに、「痛い」などと言えば、病院から開放されません。医師が「どこか痛い?」と聞いても、首をぶんぶん振って「もう大丈夫」と答えます。親御さん位の歳になれば聞くまでもなく、あっちが痛いこっちが痛いと大層な表現がつらつら続きます。しかし、子供さんは得てして、病院に行きたくないことから、症状を隠すのです。骨の癒合も驚異的なスピードです。そして、痛みがなければ、何の後遺症も残さず完治となります。実に、(私達のような)業者泣かせなのです。

私も子供の頃は病院キライでした  

14級9号:大腿骨骨折(10代男性・群馬県)

【事案】

歩行中、猛スピードで走行してきた自転車に衝突され、脚を骨折した。

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【事案】

乗合タクシーに乗車中、運転手が標識柱に衝突・自爆事故を起こして受傷。直後から頚部痛のみならず、手のしびれ等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

相談を受けたのが受傷から9ヶ月後だったが、MRI検査すら実施していなかった。また、当日に病院に行ったにもかかわらず、加害者からお願いされて物件事故扱いのままになっていた。

【立証ポイント】

すぐに病院同行し、MRI検査依頼をおこなった。「この程度では後遺障害等級はつかない。」という主治医をなんとか説得して、後遺障害診断書を作成いただいた。今更、人身事故扱いには出来ない為、『人身事故取得不能理由書』を添付して申請。

不安はあったものの、約2ヶ月での14級9号認定となり、ご本人も大満足の結果となった。

(平成30年8月)  

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【事案】

自動車に搭乗中、信号待ちの為停止していたところ、後続車に追突される。直後から頚部痛のみならず、手のしびれ等、強烈な神経症状に悩まされる。 【問題点】

相談を受けたのが受傷から5ヶ月後だったが、保険会社から打切りを打診されていた。また、事故当日に病院へ行かなかったことも不安要素となっていた。

【立証ポイント】

相手保険会社にすぐに残り1ヶ月の治療延長依頼を指示し、なんとか支払ってもらえることになった。その後、日程を合わせて医師面談し、間違いのない後遺障害診断書を作成いただいた。

相談会では、MRI画像上、ヘルニアがあまりにもひどく、これは久々の12級13号の対象と色めき立った。しかし、自覚症状は比較的軽く、通院回数としても物足りない。総合的には14級9号認定も仕方ないところ。

(平成30年6月)  

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【事案】

歩行中、猛スピードで走行してきた自転車に衝突され、脚を骨折した。

【問題点】

約半年の入院生活であったが、育ち盛りの小学生だった為、退院後はどんどん回復していった。手術痕、可動域では等級認定は狙えない為、痛みの一貫性を主張するしかないが、子供さん特有の(「これ以上病院に行きたくない!」)感情からか、「痛み」についてはほとんど訴えが無かった。

また、本件は自賠責ではなく個人賠償責任保険が相手、つまり、相手保険会社の判定となる。こちらが意図した等級認定をしてくれない可能性があった。この点、自賠責保険と違って読みづらい。

【立証ポイント】

ご両親に自宅での様子や本人が母親にしか訴えない自覚症状など詳細を伺い、医師面談に臨んだ。しかしながら、本人からの訴えしか「自覚症状欄には記載しない」方針の病院だった為、少々薄まってしまった。

また、症状固定時のレントゲンで軽度の屈曲変形があった為、再度受診して、両脚を左右比較したレントゲン撮影を追加実施した。全ての画像と母親の申述書を添付して、相手方に審査を依頼し、なんとか14級9号認定は果たした。子どもさんの骨折は治りが良く、後遺障害がほとんど残らない傾向にあるので、それなりに難しい案件であった。

(平成30年9月)  

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【事案】

原付バイクにて走行中、前方を走行していた車の左折に巻き込まれ受傷、足関節の脱臼骨折となった。相談に時点で、受傷から8ヶ月経過しており、可動域も回復傾向にあり、12級7号のボーダーラインであった。

【問題点】

早速、MRI検査と両足関節を揃えたレントゲン撮影依頼をおこなった。可動域計測も全てその日に出来るとのことだったが、主治医の可動域計測が目視であまりにもずさんな為、理学療法士にリハビリ室にて検査するよう依頼した。日整会方式によって正確な計測をしていただき、12級7号の数値となった。画像上からは、可動域制限の確固たる立証は出来なかったことが原因か、後遺障害申請するも、わずか40日程で12級13号認定となった。 【立証ポイント】

想定した7号を逃したことから、認定後ただちに病院同行し、可動域制限の原因を再度追求した。

本件は労災事故でもあった為、平行して労災でも後遺障害申請を行い、こちらは顧問医の計測で12級7号認定がおりた。そこで、労災の後遺障害認定理由書を開示し、労災顧問医の計測データを回収、その書面を提出、「複数の医師による、3度の計測のいずれも左右差3/4以下の数値となっている」ことを主張した。

初回申請は40日程で認定されたが、2度目の申請も40日程で号変更の認定がおりた。等級は同じであっても号数の違いで、被害者が勝ち取る賠償金は別物(試算によると500万円も増額する)となる為、依頼者にとっては大喜びの結果となった。

(平成30年10月)  

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 重傷案件、珍しいケガの多い秋葉事務所ですが、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群など、いわゆるむち打ちの受任のない月はありません。交通事故外傷の、実に60%はむち打ち損害なのです。秋の認定例、佐藤担当のケースを紹介します。やはり、相談が遅れ、慌てて認定に漕ぎ着けた感があります。むち打ちに限らず、長期にわたる症状を後遺障害認定に結びつけるには、早めの対策が望まれます。

対策が遅れるとピンチです!

14級9号:頚椎捻挫(50代男性・東京都)

 

14級9号:頚椎捻挫(50代男性・長野県)

 

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 その代表が、鎖骨の変形ではないでしょうか。

 例えば、交通事故で鎖骨を骨折し、癒合部が変形で盛り上ることがあります。あるいは、肩鎖関節が脱臼し、肩鎖靱帯や鳥口肩鎖靱帯が伸びてしまった為に、肩峰と接合する鎖骨遠位が盛り上る、いわゆるピアノキーサインとなることがあります。

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 同じ等級でも号の違いで、後の逸失利益の算定期間から賠償金に大きな差が生じます。

 自賠責保険の保険金は、同じ等級なら何号であっても一律の保険金額になります。だからと言って、間違った号をそのままに弁護士に引き継ぐことなどできません!

 秋葉事務所は数度、号の変更を求めた再請求を実践・成功しています。弁護士からの感謝は言うまでもなく、依頼者さまも大増額の解決へ向かいます。    膝関節での代表例と、近時の足関節の変更例は以下の通り

12級13号⇒12級7号:脛骨近位端骨折 異議申立(40代男性・静岡県) 

機能障害は神経症状より優位な後遺症なのです!

12級13号⇒12級7号:足関節脱臼骨折・腓骨遠位端骨折 異議申立(30代男性・神奈川県)

 【事案】

原付バイクにて走行中、前方を走行していた車の左折に巻き込まれ受傷、足関節の脱臼骨折となった。相談に時点で、受傷から8ヶ月経過しており、可動域も回復傾向にあり、12級7号のボーダーラインであった。

【問題点】

早速、MRI検査と両足関節を揃えたレントゲン撮影依頼をおこなった。可動域計測も全てその日に出来るとのことだったが、主治医の可動域計測が目視であまりにもずさんな為、理学療法士にリハビリ室にて検査するよう依頼した。日整会方式によって正確な計測をしていただき、12級7号の数値となった。画像上からは、可動域制限の確固たる立証は出来なかったことが原因か、後遺障害申請するも、わずか40日程で12級13号認定となった。 続きを読む »

 久々に賠償論を

 「同じ等級でも最後に貰える賠償金がこんなに違うの!?」

 相談会に参加される方から、このようなお声をよく聞きます。今回は疼痛の残存である12級13号と、可動域制限である12級6号(上肢)、12級7号(下肢)の遺失利益について比較・説明します。

(例)Aさん(男性30歳 会社員 年収400万円)は横断歩道を歩いて渡っていたところ、前方不注意の車にぶつけられ、救急搬送。「左足関節脱臼骨折」と診断され、固定術が施行され約2週間の入院。その後、月1回の診察とリハビリにて経過観察中です。(過失はありません)

 さて、このような場合、今後どのように進めていけばいいでしょうか?

⇒ 答えは簡単です。まずは完治を目指して治療に専念しましょう。誰だって後遺症は残したくありませんから、一生懸命リハビリを頑張るでしょう。最初から後遺症を目指す人などいませんし、それは良いこととは思えません。(後遺症に特化した弊所が言うのだから信憑性がありませんか?(笑))後遺症に特化した弊所も最初から後遺症を狙うようなことはしません。但し、治療と並行して元に戻らなかった場合に備えることも重要です。    先の例の続きですが、骨癒合の経過もよく、事故から半年後に抜釘手術が施行されました。現在の症状としては、「まだ痛みが残っており、痺れや触った感覚も正常の右足と比べると鈍いように感じます。足首の曲がり具合も正常な足の半分程度は動くようになりました。」  さて、事故から半年が経過して良くなってきてはいるが、元には戻っていない。保険会社からも治療費についてはなにも言われていない。このような場合にどうしますか?

 ⇒ 色んな選択肢があると思いますが、弊所では迷わず症状固定に進みます。もちろん、症状固定してから治療費は一切出なくなりますが、その分メリットもあります。Aさんのお怪我と残存症状からすると足関節の可動域制限(12級7号 正常値の3/4制限)が認定される可能性が極めて高いと思います。12級7号が認定された場合には、逸失利益を相場である67歳まで請求・交渉しますので、Aさんの場合には37年(中間利息が引かれますが)となります。    一方、治療費は一切出したくないので、まだ事故として治療を続けます!と意気込んだAさんは、その後3ヶ月リハビリを行い、可動域も少し回復しましたが痛みや痺れ、感覚の低下はやはり元には戻りません。主治医からも症状固定を打診されたので、後遺障害診断を受けました。可動域は背屈15°、底屈40°で12級7号の対象ではなくなってしまいました。Aさんは12級13号が認定されたので、弁護士に示談交渉の依頼をしました。

 このAさんのような解決方法はよくあることですが、ここで号数による差額を計算してみましょう。(今回は遺失利益のみの差額を計算します)   <12級13号の場合>

年収400万円×労働能力喪失率14%×10年に対応するライプニッツ係数7.7217=432万4152円

<12級7号の場合>

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 10月1日 月曜日は台風一過、都内のJRダイヤも大いに乱れておりました。

 JR中央線が朝から止まっており、東京都の青梅線に乗り入るまでに何度も乗換えを繰り返し、苦労して病院にたどり着きました。しかし、気温32度は勘弁してもらいたいです。せっかく夏物を仕舞ったのですが、もう数日は必要です。えらく、体力を消耗した秋の一日でした。  (本日は、サボり記事にてすみません。)

   事務所から北西、東京駅方面を臨む  

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