【事案】
バイクを運転中に、自動車に接触され転倒し、受傷。
【問題点】
・MRI未撮影
・医師が非協力的(後遺症などあり得ない、と連発)
・どうも受傷機転が問題視されている???
【事案】
一般的な側面衝突事故。頚部神経症状の他に眼科領域の自覚症状も。
【証明ポイント】
このところ、耳鳴りで器質的損傷が無くても12級認定になるケースがあるため、視野検査など眼科領域も追いかけはしたが、やはり器質的損傷不明確として非該当。耳鳴りは可能性あり、眼科領域な無し?という一応の仮説が立つ。
本件は頚部損傷のみ14級9号の認定を受け、弁護士に対応を引き継いだ。
(平成24年12月)
事故で相当の外傷が無いのに神経性麻痺となり、上肢または下肢、あるいは四肢が動かなくなる患者さんがおりす。また、ケガは完治しているのに症状が変わらない、むしろ麻痺はひどくなる。昨日の年間ランクで「心因性ジストニア」は8位に甘んじましたが、今後上昇株の事故外傷「難病・奇病」の一つです。 多くは外傷性頚部症候群のカテゴリー、頚部神経根症による末梢神経障害と思われます。頚部から手指までしびれが残り、手の感覚異常、握力低下となります。しかし、腕が全く動かなくなるのは頚髄損傷のレベルです。どうにも症状が重すぎる。そしてどんどん悪くなっていく。これは心因性と考えられます。
人間の心(精神)が体に強い影響を持っていることは、多くの臨床実験でも解明されています。自分が病気だと思い込み、その思い込みが強ければ強いほど、本当に体が悪くなります。「動けない」と思えば本当に動かなくなるのです。これは交通事故など第三者の加害行為で、理不尽な被害を受けた患者が、強い被害者感情と結び付いたためと想像できます。長期にわたる痛みや、加害者側の保険会社や医師の冷たい対応も相まって、精神的に追い込まれます。普通、受傷直後がもっとも重篤で日ごとに軽快するのがケガの常識ですが、このようなストレスや周囲の無理解の影響で心身ともにどんどん病んでいくのです。
体はそれほどひどい症状ではない、痛みやしびれはそれほどでもない、ケガはほとんど治っている、ちゃんと体は動くはず・・・
そこで思い出すのが「クララとハイジ」です。
クララの病気は下肢麻痺です。偏食と閉じこもりがちのせいか、ビタミンD不足の「くる病」と思われます。
医師の治療でもう治ったはずとされていますが、本人はまだ立てないと思っています。事実、立てないのです。
男性視聴者も病弱美少女に萌え気味です。それに業を煮やしたのか、主役の天然元気少女ハイジがクララを叱責します。ある意味、超無神経なハイジが・・・
「クララのバカっ! 何よ意気地なしっ! 一人で立てないのを足のせいにして、足はちゃんと治ってるわ、クララの甘えん坊! 恐がり! 意気地なし! どうしてできないのよ、そんな事じゃ一生立てないわ! それでもいいの? クララの意気地なし! あたしもう知らない! クララなんかもう知らない!」
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さて、今年を振り返る時期です。今年もたくさんの交通事故相談会を開催しました。正確な集計データは年明けに発表しますが、ざっと数えただけでも30回、一回平均12人としてもおよそ360人の被害者さんとお会いしたわけです。 ほとんどの被害者に対して、何らかの解決策を講じて前へ進ませます。しかし、どうにもこうにも、らちがあかない被害者さんもいます。それは謎の症状、因果関係のはっきりしない症状を訴える患者です。この方たちのほとんどが骨折や入院などの重傷事案ではなく、むち打ちや打撲捻挫を契機として、受傷から日を追うごとに悪化し、ひどい症状に陥っています。当然、加害者側の保険会社は詐病(うその病気)、心因性(心の病気)として、冷たい対応に切り替わります。保険会社だけではなく、病院・医師からも、もてあまし気味に、さらに、自らの職場や家族にとっても困った存在になっています。 そこで心因性?と疑われる、今年の被害者から「難病・奇病 年間ベスト10」を発表します。
1 MTBI 脳外傷の傷病名がなく、画像も意識障害もあいまいにも関わらず些細な衝撃で脳障害を訴える… 今年、堂々の1位を獲得! 不定愁訴を訴える患者はすべてMTBIと診断する医師の活躍のおかげか?この業界での勢いはAKB48並み。 2 脳脊髄液減少症 ムチ打ちで脳の髄液が漏れた! 今年、健康保険再適用となり、迷走が続くこの疾患。もはや下火か、昨年1位から脱落、MTBIに首位を譲る。また、傷病名を変えて出直しか? 3 PTSD 事故で心の病気に… 「この子、事故に遭ってから自動車を見ると泣くのです」 → そりゃある意味、普通です。 家族の愛情で治しましょう。 4 脊髄損傷 ? ムチ打ちで脊髄に微細な損傷があったのかも? 普通は動けなくなります。医師に詳しく尋ねると、「う~ん、脊髄損傷の疑いかな」とトーンダウンします。この安易・軽率・大雑把な診断名で振り回される法律家が今年も多かった。 5 続きを読む »【事案】
強烈な玉突き事故。
【問題点】
転勤がありこれまでの病院に通えなくなる。この先、どこの病院に通院すれば良いのか。
【証明ポイント】
神経学的検査が丁寧な病院をご紹介して転院。同時に3テスラMRIもコーディネートして異常確認。すっきりした日常生活報告書も形にしてスマートに14級9号認定。弁護士に委任して最終決着へ。
(平成24年12月)
【事案】
車同士、出会い頭の強烈な衝突で頚部受傷。
【問題点】
建設業一人親方のため仕事を休めない。改善が第一も、もし完治しなければ絶対に後遺障害認定を受けたい状況。
【証明ポイント】
通院先の担当医を偵察し、画像所見確認、後遺障害診断時に詳細な神経学的検査を実施していただくと約束を交わす。申請時、日常生活状況報告においてボーリングという仕事の具体例を調査事務所に伝えるため、映画「アルマゲドン」の1シーンを使用。これが功を奏して?14級9号がスムーズに認定され、最終決着を連携する弁護士に委任した。

(平成24年12月)
【事案】
高速道路上の側面衝突事故。整骨院通院中、受傷直後のご相談。
【問題点】
①整骨院への通院のみでは、症状の改善が悪く後遺症残存した場合に後遺障害診断書が作成出来ない。 ②どうせ新規に整形外科に通うのであれば後遺障害手続きに前向きなドクターが良い。 ③独立開業したばかりで休業損害や逸失利益の計算に不安がある。
【証明ポイント】
神経学的検査が丁寧な病院をご紹介。同時に3テスラMRIもコーディネートして異常確認、全体像として14級9号が相当級か?⇒その通りの結果でした。③の問題点については私は一切ノータッチ。餅は餅屋が一番美味い。
(平成24年12月)
先日の相談者さんのケース・・・
原付バイク走行中、交差点で左方からの自動車と出合い頭衝突。むち打ちと左上肢の痛み・痺れがあります。
受傷直後に整形外科、その医師の指示で接骨院でリハビリ。施術の内容は針を定期的に打っています。接骨院への通院は100日、しかし整形外科へは10日程度。
頚部MRI画像は軽度のヘルニア、目立った神経症状はなし、腱反射正常です。肩のMRIは撮っていません。
受傷から6か月が経過し、相手保険会社から治療費の打ち切り宣告。しかし症状は改善しておらず、頚部の痛み、左上肢~指先にかけての痺れが残存、さらに左肩の痛みで腕が挙がりません。さらに治療を続けるか、後遺障害の申請を行うか・・・。
この時点での相談です。
ポイント① むち打ちで後遺障害等級は取れるか?
残念ながら頚椎捻挫、外傷性頚部症候群での等級は絶望的です。自覚症状(痛い、しびれ)のみで目立った画像、神経学的所見がありません。むち打ちで長い治療を続けている患者の大多数が自覚症状のみです。ほとんどの患者は曖昧な所見しかでてこないのです。これでは何をもって等級を認めるのか?それは整形外科における治療の一貫性と相当回数の治療実績です。続きを読む »
昨日まで3日連続の相談会でした。終了後の打ち合わせや忘年会もかさみ、またしても業務が停滞しています。体調万全とはいきませんが、必死に事務に取り組んでいます。お待たせしてしまっている皆様、もう少しご猶予を下さい。
12/14の東京駅と丸の内オアゾ
昨日の表を見て何が言えるでしょうか?
例外もありますが、あくまで一般的なケースに限定した内容をまとめました。まるで三つ巴の利害の上に成り立つバランス状態ですね。以下簡単に要約します。
病院:儲かる。
保険会社:自賠責限度の120万までなら腹は痛まない。しかし超えると自社持ち出しに・・・打ち切り攻勢、支払い削減モードに!
患者:治療費の精算の面倒がある場合が多い。第三者傷害届の記載・提出が必要。特殊なケガでは治療内容にやや心配。検査についても病院側の協力が得られるか心配。
病院:利益薄く、それなりの対応となる可能性あり。患者の言いなりにはならない。もちろん区別しない病院も大多数ですが。
保険会社:治療費の軽減に成功!代わりに被害者になんらかの見返りは、「しない」。あえて言えば厳しい打切り攻勢は弱く、ソフトな対応に。
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健保、自由診療をめぐる、患者、病院、任意一括社(事故相手側 保険会社)、3者は以下のような利害をはらんでいます。
健康保険
自由診療
(加害者側保険会社支払とします)
患者 利便性 何故自分が悪くないのに自分の保険を使うの?、と言った不合理感。自己負担分を窓口で建て替える面倒あり。健保への書類の記載・提出も必要。 相手保険会社が一括払いと言って治療費を直接病院へ精算してくるケースが多く、支払い面で楽です。 治療内容 健保適用外の手術や薬もあり、治療方法が限定されることがある。 患者の希望なども反映しやすい。高いお金を払っている患者は病院にとってお客様。事故との因果関係については、治療費を支払う相手保険会社が認めれば問題ない。認めなければ争い必至。 長期になれば打切り攻勢を受けます。 検査 事故との因果関係を重視、患者の自由なリクエストより医師の判断が重要。因果関係のない治療・検査は健保が支払いを拒否するからです。 病院 利益 健保(1点10円)ではねぇ…。対応について露骨に差をつける病院もあります。 大歓迎。 治療内容 健保が支払いを拒まない内容に限定。 患者の希望も通りやすいが、相手保険会社の厳しい目もある。しかしながら、けっこう病院側の都合?で高額な治療を行っている。 検査 因果関係を考慮。病院側が健保の審査を配慮し、必要性の判断をします。 相手保険会社のチェックも気にする必要があるが、割と患者主体。 保険 会社 利益 おおむね治療費が半分以下で済むので歓迎。 自賠責限度の120万円を超えない軽傷なら割とおおらかだが、超えると非常に困る。 重症なら絶対に健保にしてほしい。 治療内容 余分な治療・検査はされ辛い。健保のチェックがあるので、ひとまず安心。 診療内容・検査はレセプトで毎月チェックします。必要ないものは支払わず、争います。 そして何より早期打切りが至上命題。 検査何故、病院は自由診療にこだわるのでしょうか?もうお察しと思いますが、治療費を高く請求できるからです。治療費の請求内訳は点数で計算します。注射が300点、点滴が500点…などと診療報酬明細書に記載されています。この1点当たりいくらで設定するか?自由とはこの1点当たり○○円とする自由です。通常、各県医師会申し合わせの点数設定がなされています。1点は健康保険=10点、労災=12円、自由診療=12円と暫定的な指標を設定しています.
この2割増程度の差なら問題は起きませんが、交通事故をはじめ、第三者による加害行為での自由診療=12円ではない県が多いのです。 交通事故については損保業界と医師会の間でも1点12円の暫定的な合意がなされています。しかしあくまで暫定的、かつ各県医師会のそれぞれの合意に過ぎず、単価もバラバラ、そして東京都およびその近郊の県は未だ合意がありません。地域医師会が莫大な数の病院をまとめきれないこともあり、暗黙の了解事項ということで点単価の相場が1点20円となっています。東京、千葉、埼玉、茨城、神奈川など首都圏、大阪周辺などが20円以上となっています。とくに埼玉県は「20円と30円の混合方式。総額90万円を超えたら健康保険水準を適用しても構わない」…これが悪名高い「埼玉方式」です。
患者を無視した医師会と保険会社の勝手な合意は不健全とも言えますが、法的な見解ではいくつかの判例で違法とまでは判旨されていません。しかし少なくとも不透明には感じますね。
再開します。
「健康保険治療のデメリット」を解説する前に、まず「交通事故で健康保険が使えるか?」について。
交通事故の患者が病院にかかるとき、病院の窓口でほぼ健康保険の使用を拒否されます。これは病院側の内規のようなもので正式な法律・ルールではありません。
そもそも健康保険の趣旨は国民にあまねく治療が受けられるために、国家全体で患者を支えるセーフティーネットです。保険料(掛け金)と言わず、健康保険税(税金)と呼ぶことからもわかりますね。
したがって交通事故に限らず第三者の加害行為でケガをした場合、被害者は国民全体で支えるものではなく、第一にはその加害者が責任を負うべきである、とういう考えです。確かにその通り、筋は通っています。
しかし、加害者が保険をかけていない、支払い能力がない、または被害者自らにも過失責任がある場合など、治療費の支払いがかさみますので、健康保険が使用できないと困ります。しかし現実には多くの窓口で「使用できません」と対応されることが多いのです。
病院の窓口に「交通事故の場合、健康保険は使えません」という張り紙を目にすることがあります。
厳密に言えばこれは健康保険法違反です。
健康保険法第1条:健康保険ニオイテハ被保険者ノ業務外ノ事由ニ因ル疾病(負傷・死亡・分娩)ニ関シ保険給付ヲ為スモノトス
つまり業務中災害(労災適用)以外は健康保険の使用は可能です。加害者がいる場合は使えません、などとどこにも書いていません。これが冒頭の疑問に対する答えです。
これは病院側も承知していることなのですが、自由診療で受診してもらいたいがために、窓口の医事課の職員に細かい説明はせずに、「使用できない」と思い込ませているだけです。事実、責任者、多くの場合院長先生に事情を通すと、正当な理由があれば問題なく使えます。どうやら健保使用の可否判断を窓口の職員にさせないようにしているようです。できるだけ自由診療で押し通す姿勢ですね。この意地悪な対応に患者は悩まされています。そして加害者側の保険会社も困っている問題でもあります。
時間になってしまいました、、、明日もう少し掘り下げます。
ビーチボーイズの名作アルバム「Pet sounds」からのヒット曲
http://www.youtube.com/watch?v=AOMyS78o5YI
本日の病院同行をこの曲に引っ掛けて。
被害者Aさん、腕は橈骨と尺骨、足は腓骨、さらに肋骨骨折、頚椎も圧迫骨折、鼻骨も骨折、、、これだけの骨折があれば何かと変調があります。
「他に気づいたことは、何かおかしいことはないですか?」、被害者にあれこれ質問します。これは非常に大事な作業で、質問から障害が顕在化することがあります。
質問を続けます。「匂いや味で変化はないですか?」
Aさんの奥さんによると・・・「そういえばある匂いがしないかも?」
ここで耳鼻科の先生に診てもらったところ神経性の嗅覚異常が判明しました。
しかし医師は「脳に損傷や頭蓋底骨折がないので原因がわかりません。事故との因果関係はないかと・・・」
事故から嗅覚に異常が生じたことは、気づくのが遅かっただけで間違いないのです。しかしどれだけ検査をしても原因が特定できないことがあります。 医師が精査してもわからないことがあるのです。
そう、まさに「Good only knows (神のみぞ知る)」 しかしそうであっても因果関係を突き止める努力はやめません。色々な検査を行い、合理的な説明を加え、結果として審査する側である自賠責調査事務所の推定を引き出すことがメディカルコーディネーターの使命です。
「因果関係は明確ではなくとも、できるだけの検査や原因を追究する努力をさせて下さい。先生にはご迷惑をおかけしません」と医師の協力を取り付け、検査先の病院への紹介状を書いていただきました。
このような立証努力が実り、調査事務所の推定が及んだ結果、等級が認定されたことが少なからずあります。 ♪ You never need to doubt it (信じて欲しい)
自然科学的な証拠(検査数値、画像)が絶対である立証作業も、留まるところ「信じてもらう」ことが目標です。
【事案】
バイクを運転中に、自動車に追突され、受傷したもの。
【問題点】
初回の申請で非該当になっていた。
治療実績については問題がなかったが、どうも受傷起点と受傷直後のカルテについて、問題視がなされているようであった。
【立証】
症状固定後の診断書・レセプトを新資料の幹とし、異議申立を行う。
無事に14級9号が認定される。
(平成24年12月)★ チーム110担当
最近、等級認定結果に苦戦が続いていましたが、会心の結果がでました!
某弁護士事務所からの相談ですが、明らかな鎖骨骨折の変形があり、「12級は取れそう。しかし腕も上がらないのだが・・」状態でした。
私の回答は、「鎖骨の骨幹部骨折では肩関節の可動域制限の原因には成り辛いです。関節の可動域制限で10級を取るには、肩のMRI検査で腱板損傷を明らかにする等、原因の明確化と共に丁寧に検証を重なる必要があります。このままでは12級止まりです。」
しかし弁護士の働きかけに関わらず、病院が非協力的でMRI検査をしてくれません。弁護士も「このまま等級審査するしかないかな・・」と弱気です。そこでこの案件は私に預けてもらい、弁護士の下請けとして受任しました。作業は以下の通り。 1、検査もリハビリも非協力的な医師と面談、今後の協力継続を断念し、信頼できる病院へ誘致。 2、リハビリを継続し、まずできるだけの改善を図る。後遺障害を残さないのがベストであることは言うまでもありません。 3、MRI検査を依頼、肩の拳上不能の原因を追究する。棘上筋に損傷を発見する。 4、鎖骨の癒合状態(偽関節となっていた)について、医師と相談しながら詳細・正確な診断を促す。 5、症状固定時、肩関節の計測に立合、間違いのない計測に落ち着かせる。 6、肩の筋委縮を見てもらうよう、写真を添付する。 7、以上の検査数値、画像、資料を添付した、記載内容も完璧な後遺障害診断書を作成。 そして想定した最大の結果、鎖骨の変形12級+肩関節可動域10級=併合9級の認定を引き出しました。
あの時諦めていたら最悪12級止まりだったのを9級に仕立て上げたのです。
請求額も12級から9級では倍以上に膨らみます。弁護士の報酬もドカンとアップです。
これが被害者の運命を変えるメディカルコーディネーターの仕事です。(えへん)
後日、実績ページにドヤ顔でUPします。
続きます。
自賠責保険の基準内で解決する場合、健康保険を使って治療費を安くすれば、限度額120万までなら過失に関係なく全額支払いを受けられる。つまり最終的に手にする慰謝料が治療費に食われて減額することを防ぐことができる。
これは自身にも大きな過失がある場合の鉄則です。
相手保険会社の担当者は過失の有無に関係なく、賠償額を計算する際、自賠責基準と自社の任意保険基準の両方を試算します。そして原則多い方を提示します。(これは保険会社にいたからこそ知っている流れ)。
もっとも後遺障害の賠償金を除く、傷害分の慰謝料の場合、自賠責の金額を100とすると、任意保険の基準額はケガの軽~重に応じて100~120程度、つまり同額か~20%増し程度です。自賠基準は最低補償、それに色を付けた程度の任意基準も安いのです。
だからこそ裁判基準、首都圏では「赤い本基準」で請求しなければ話になりません。
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ネットを検索しているとき、他の弁護士や行政書士、その他交通事故相談サイトをみることがあります。その情報の多さにびっくりです。とても勉強になる情報もあれば、これって間違っているのでは?と思う情報もあります。
その中で一つ気になったことを。それは「自由診療か健康保険診療か?」の選択です。まずは質問と回答を見てみましょう。
質問者 交通 花子(仮名)
先日自動車運転中、交差点で出合い頭に衝突し、首を痛め、通院中です。相手も私も保険会社を通して交渉をしていますが、私が優先道路ながら過失が20%あるそうです。そして相手保険会社から「健康保険を使って」と頼まれています。なぜ事故の責任のない(少ない)私が自らの健康保険を使わなければならないのか納得がいきません。私の加入している保険会社まで、私にも過失があるので使った方がいいと言います。病院では「交通事故なので健康保険は使えません」と困惑しています。 もう何が正しいのかわかりません。アドバイスをお願いします。
回答者 保険代理店 Ζ さん
お話の事故状況であれば、優先道路の花子さんも過失があります。仮に交渉結果が20:80で決まったとします。そうすると相手からの治療費、休業損害、に慰謝料を加えた賠償金は20%カットされて支払われます。しかし自賠保険は限度額の120万までは過失減額なく全額支払います。健康保険を使った場合、自由診療の治療費は半分以下に圧縮されます。したがって自賠責保険の基準内で解決する場合は、治療費を圧縮するために健康保険を使う方が慰謝料のカットを防ぐことができて得です。 これはあくまで自分にも過失があり、自賠責保険の限度額120万円で収めた方が得であるというケースの場合です。もっとも、事故の多くは軽傷で120万以下に収まるので、ひとまず正答です。もう少し考察してみましょう。明日に続く