てんかん発作は、今まで受任した頭部外傷の中に一定数見られました。最大の問題は、再発作への警戒から症状固定日が遅れることです。ご本人ご家族にしてみれば、再発作に怯える毎日です。症状固定に進め、解決することに躊躇してしまうのです。  てんかんは論点が多く、3回にわけて解説したいと思います。   (1)病態

 頭部外傷後のてんかんの初期発作は、統計上は、約75%が1年以内となっており、開放性脳損傷は、閉鎖性脳損傷に比較すれば外傷性てんかんの発生頻度が著しく高く、陥没骨折後の発作頻度は、約30%と報告されています。

 専門医は、口をそろえて「2年間の観察と投薬、そして定期的に脳波検査」としています。   (2)症状

 外傷で、脳の実質部に残した瘢痕は、手術による摘出以外、消去することはできません。この瘢痕部から発せられる異常な電気的信号に、周辺の正常な脳神経細胞が付和雷同して大騒ぎをしている状態を、外傷性てんかん発作といいます。発作は、とき、ところを構わず、突然、発症しますが、時間的には、ほとんどが2、3分で終わります。

強直性全身痙攣発作

 

 発作には、大発作、焦点発作、精神運動発作がありますが、発作を繰り返すことにより、周辺の正常な脳神経細胞も傷つき、性格変化や知能低下の精神障害をきたします。高度になると痴呆・人格崩壊に至ります。

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 今日から頭部外傷をシリーズで掘り下げます。まずは、脳損傷に結び付く、頭蓋骨骨折から。  

A :陥没骨折  B:線状骨折(亀裂骨折)

 

 頭蓋骨は、身体の他の部位の骨が関節を形成したり、重力に対して体を支えたりしているのとは違って、脳を格納し、脳を守る容器としての役割を果たしています。頭蓋骨骨折は、見過ごすことのできない外傷ですが、すべてが重症化するのでもありません。

 ポイントは、頭蓋骨骨折に伴って、脳損傷を発症しているかどうかにあります。頭蓋骨骨折の衝撃で、脳損傷をきたすことも多発していますが、損傷に至らないこともあり得ます。逆に、頭蓋骨骨折がないときでも、びまん性軸索損傷などの重篤な後遺障害を残すことがあります。ここに立証側の着眼点を置くべきでしょう。

 頭蓋骨骨折には、以下の3つの病態があります。

 ① 線状骨折 ・・・文字通り骨にひびが入る。≒亀裂骨折。

 ② 陥没骨折 ・・・頭蓋骨が内側に凹んでいる骨折

 ③ 頭蓋底骨折 ・・・頭蓋骨の底辺部の骨折    今回は①と②を解説します。 ③ 頭蓋底骨折は、頭部外傷 ⑤ 頭蓋底骨折 Ⅰにて集中解説します。   ① 頭蓋骨線状骨折

 直接的な衝撃で、頭蓋骨に線状のひびが入った状態です。亀裂骨折との診断名を目にすることもあります。頭蓋骨は、脳を守る格納容器であり、線状骨折そのものが、手術の対象になることはありません。しかし、線状骨折するほどの衝撃を受れば、脳に対する影響が大きく問題視されるのです。XP撮影で線状骨折が診断されたときは、頭部CT検査が行われ、脳損傷の有無が確認されています。

 また、深刻な脳障害に至らずとも、頭痛やめまい、諸々の神経症状が残存することがあります。    線状骨折からめまいを発症した実例 👉 続きを読む »

「いつの間にか、渋っ!」

 先日、お客様の自転車保険を調べていたところ、au損保の自転車保険に加入しているとの事だったため、久々にHPを確認しました。これから相手方に後遺障害の請求をするのですが、認定された場合にはご自身加入の保険からも一時金が出るかもしれないと説明していたのですが、なんと!後遺障害保険金の補償範囲が縮小されていました。      ~au損保 HP参照~

<後遺障害保険金>

① 保険開始日が2017年10月1日以降のご契約

 事故によるケガのため、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害等級第1~14級のうち、第1~7級に掲げる保険金支払割合(100%~42%)を適用すべき後遺障害が発生した場合

(注)後遺障害等級第1~7級限定補償特約がセットされています。   ② 保険開始日が2017年9月30日以前のご契約

 事故によるケガのため、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に後遺障害等級第1~14級に掲げる保険金支払割合(100%~4%)を適用すべき後遺障害が発生した場合    以前はムチウチを除く14級9号や醜状痕(14級~9級)でも保険金がおりたのですが、重度な後遺障害が生じない限り保険金を受け取れなくなってしまったのです。

 確かに掛金のわりに補償が充実していたこともありますが、自転車事故が日々増加し、後遺障害保険金の請求が多かったことが理由ではないかと思います。

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 この記事は数日遡って書いていますので、本日、関東に梅雨明け宣言が出たことも、今週が6月の観測以来、最悪の猛暑日の連続であることも知っています。例年にない急激な気温上昇に人間の対応力、体温調整力とでも言いますか、まったく追いつきません。体調不良どころか、熱中症での救急搬送、高齢者の死亡は連日続くと思います。    人間はじめ、多くの動物は急激な温度変化が苦手です。クマムシのように、灼熱から冷凍まで耐えられる生き物は少数です。生き物の体は繊細なのです。ところが、急激な温度変化や高温状態が続いても、歳と共にそれを感じる感度が鈍ります。実は、統計上、熱中症での救急搬送は炎天下より、家の中が多いそうです。暑ければ、水分を意識的に取ることは必須ですし、クーラーはなくとも、水を浴びるなど対策がとれようものです。が、感度が鈍っているであろう高齢者は、高温が体を蝕んでいることに気付くのが遅れます。だからこそ、ご家族ご親戚はじめ、近隣の人も独居老人に気をかけてもらいたいと思います。ちゃんと暑さ対策をしているのか、本人より周囲が注意してあげるべきでしょう。

 私は家に祖母がいました。祖母は寒がりでしたが、暑さには強かった印象です。真夏でも夕方には窓をしっかり閉めてしまいます。「暑くないの?」と聞くと、「窓が開いていると物騒でしょ、誰かに見られるし」と言います・・(のぞいた人は、おばあちゃんでがっかりすると思いますが)。     お年寄りの温度センサーの低下は温泉でも感じるところです。湯温が45度を超えると、たいていの若者は入れません。もはや、我慢比べ、罰ゲームの類です。ここでも、高齢者は抜群の耐性を発揮します。高温の浴槽には必ず、地元のお年寄りが占拠しています。いくさ場に臨むような険しい表情で、じっくりと湯に耐えています。熱くて悲鳴を上げる若者を傍目に、まるで「若者は根性がない」と言わんばかりです。

 このような温泉の構図は各地で見られます。そのような代表の温泉が、有名な栃木県那須の「鹿の湯」です。ここの男湯は温度別に6槽の湯舟が並びます。一番高温は右奥の48度です。以下、1~2度ごと下がって、一番手前左で、およそ42度位でしょうか。ここからチャレンジして、だいたい44度で挫折する人が多いようです。ところが、地元の長老達は48度槽の周囲に陣取り、砂時計を傍らに置き、4人ほどが一斉に浸かり1分、また、呼吸を合わすように一斉に上がります。これを数度繰り返します。まるで、熟練の刀鍛冶が業物を鍛えているかのようです。よそ者がこのルーチンを崩す、つまり、途中から入ったり出たりすると、「湯が乱れる #」と怒られます。      私も十数年前に挑戦、この長老達に果敢に挑みました。手前の浴槽から浸かり、徐々に48度槽へ。この時の気分は、難敵を倒しながら6重の塔を昇っていくブルース・リーです。45度位までなら楽勝でしたが、47度槽に浸かるさい、周囲のおじさんから「お兄さん、大丈夫?」と声をかけられました。若年者が立ち入れない領域に差し掛かったのでしょう。この温度になると熱いを通り越して、足の爪に激痛が襲い、それは爪をはがされるような痛みです。(「こんなところで根性だしてどうするんだ?」)と自問が始まります。確かに誰に誇ることもない、意味のない、愚行でしかありません。しかし、ここでやめたら、負け犬の人生です。引くわけにはいきません。

 そして、長老が囲う48度槽に割り込みました。湯煙の隙間から怪訝な表情の長老達、(「若造、やめておけ」)と、この湯場(結界?)ではテレパシーのように、無言でも意思が伝わってきます。そして、合図はなくとも呼吸を合わせるかのように一斉に浸かる。爪の痛みは最高潮、皮膚は低温火傷の恐怖、硫化水素(硫黄臭)に麻痺されるのか思考能力は失われ・・この1分は10分、いえ、永遠にも思えてきました。     ついに、鹿の湯48度槽を攻略しました。(「よくやったな」)最奥の長老の顔にやや笑みが見られたのは気のせいでしょうか。湯場を出て、蛇口にかじりつくように一心不乱に水を流し込みました。ほどなく、太ももに赤い斑点がいくつも浮かび上りました。激戦で刻まれたこの紋章は、家に着くまで残ったのです・・・。    すみません、本題から大分それました。 那須の長老達に熱中症の危険を感じます。猛暑中は周囲のお年寄りに気を配りましょう。  

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【事案】

自動車にて直進中、右方より信号無視で交差点内に進入してきた車に衝突され負傷。直後から頚腰部痛、両手の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

治療途中に慢性硬膜下血腫が見つかったため、その後のリハビリ頻度が減ってしまった。また、側頭部に裂傷があったが、髪の毛と耳で隠れてしまう箇所であるため、等級認定には結びつかない可能性が高かった。

【立証ポイント】

受傷初期から対応できたため、治療先を整骨院から整形外科に変更していただいた。通院先の医師との折衝や検査依頼等については、弊所のアドバイスに従い独力で進めた。事故から半年後に症状固定とし、スムーズに後遺障害申請が実施できた。

本件は、軽度の意識障害(JCS1桁・健忘もあったが、翌日には意識清明)があったため、自賠責調査事務所から再三にわたって、高次脳機能障害の審査が打診されたが、ご本人にそのような症状が全くなかったため、何度もお断りしてムチウチの審査に絞っていただいた。通院回数は少なかったが、事故態様が「大破」に分類される事案であり、軽度の意識障害もあったことから、何ら問題なく14級認定となった。

(令和4年6月)

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 数年ぶりに山梨県の石和温泉駅に降り立ちました。今回の病院へは10年ぶりの同行です。    

 駅前に足湯があり、以前はよく時間調整に利用していました。机がありますので、足湯に浸かりながら、電話や簡単な事務ができます。奥に見えますイーオンで、足湯用のタオルとお弁当を買いこんで準備万端です。飲食は禁止なので、足湯外のベンチで食べます。休憩も仕事もできる、長閑な駅前なのです。    9年前の様子 👉 I see you ♪ (足湯)    今日の病院は予約時間通りで、列車の接続もよく、足湯タイムなしで東京に戻りました。新宿からの特急、あずさ号とかいじ号は2年前から全席指定席となっています。行楽シーズンでなければ、だいたい空いています。

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 本日の病院同行は、朝・夕のダブルヘッダー、一日に2院は久々です。埼玉と神奈川で、それ程遠方ではなく、難なくこなしました。東京の中心に事務所を置いたメリットを活かしています。

 とくに午後の整形外科は、今まで私が同行した数百軒に及ぶ整形外科の中でも高評価でした。まず、交通事故治療に慣れていらっしゃるよう、患者へ治療はもちろん、的確な対応をしてきたようです。そして、症状固定の診察でも、神経学的所見をしっかりとって、的確に診断書に落とし込んでいます。

 一方、多くの医師は、自賠責の後遺障害の認定基準が知らされていないことから、独自の診断になりがちです。それは、臨床上の判断ですから間違いではありませんが、賠償上の見地とは微妙にズレます。つまり、必要な所見が漏れる、無駄な記述、的外れな観察などです。そして、スカスカな記載はまだましな方で、余計なことを延々と書き込む傾向です。

 何故、私共が病院同行を行い、診断書の記載に立ち会い、医師と折衝するのか・・・それは、不正確、不完全、不明瞭な診断書を排する努力の一環なのです。的確な診断書こそ、審査側が欲する情報と思います。無駄なく正確が一番、そこに、誇張や患者が有利になる誘導などの余地はありません。

 診断書は交通事故被害者の運命を左右する、最初の証明書なのです。だからこそ、積極的に介入する必要があるのです。それを保険会社任せにすれば、右から左へ、何ら内容を精査することなく、事務的に審査に回されます。これが、後に再請求(実態より低い等級が認定されて、異議申立)が必要となる理由の一位です。

 また、弁護士や業者に任せても、その経験や力量の差がもろに出ます。知識や経験が乏しければ、何級を想定して、どの検査を追加し、どのような記載が望まれるか、これらが分からないと思います。多くは書かれてから内容を精査しているようですが、一旦書かれた内容を医師に修正させることはかなりの難行です。できれば、書かれる前に手を打つべきです。しかし、病院同行・医師面談は簡単ではありません。知識と実践の積み重ねにより身に付ける特殊技術です。そのような技術の研鑽が、つい数年前から交通事故に取り掛かった弁護士・行政書士にあるか疑問です。    業者選びの問題はさて置き、まずは、医師の交通事故外傷への理解と知見が問われます。今回の医師は★★★でした。実は、秋葉事務所では、首都圏を中心に全国の個人開業医・整形外科、数千軒の情報・評価リストを、12年以上記録し続けています。このデータは、新たな被害者さんの病院選びに大きく寄与しています。これこそ、他者に抜きんでる実力と自負しています。

   

 

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 弊所は、平素から高次脳機能障害を見逃さないよう、頭部外傷のあった被害者さんをよく観察し、慎重に立証作業を進めています。しかし、頭部や脳にに外傷があったとしても、まったく症状がないこともあります。私達は丁寧に、障害が無かったことを確認するまでです。

 一方、審査側である自賠責保険は、平成12年に高次脳機能障害について、いくつか改定をしました。見逃されやすい障害であるからでしょうか、新システムの一環として、「疑わしい案件」については積極的に調査をすることにしました。今までも、頭部外傷の件に対して、数々高次脳審査の打診を受けてきました。「高次脳的な症状はないので、大丈夫ですよ。ご親切にどうも」と回答しています。本件でも数度に渡って打診がありました。

 このような、審査側からの調査打診・・他の障害ではみられません。神経系統の障害、とくに頭部外傷による高次脳機能障害はそれだけ、見逃されやすい障害なのだと思います。

こういうところに自賠責の親切心を感じます  

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(60代男性・埼玉県)

【事案】

自動車にて直進中、右方より信号無視で交差点内に進入してきた車に衝突され負傷。直後から頚腰部痛、両手の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

治療途中に慢性硬膜下血腫が見つかったため、その後のリハビリ頻度が減ってしまった。また、側頭部に裂傷があったが、髪の毛と耳で隠れてしまう箇所であるため、等級認定には結びつかない可能性が高かった。

【立証ポイント】

受傷初期から対応できたため、治療先を整骨院から整形外科に変更していただいた。通院先の医師との折衝や検査依頼等については、弊所のアドバイスに従い独力で進めた。事故から半年後に症状固定とし、スムーズに後遺障害申請が実施できた。

本件は、軽度の意識障害(JCS1桁・健忘もあったが、翌日には意識清明)があったため、自賠責調査事務所から再三にわたって、高次脳機能障害の審査が打診されたが、ご本人にそのような症状が全くなかったため、何度もお断りしてムチウチの審査に絞っていただいた。通院回数は少なかったが、事故態様が「大破」に分類される事案であり、軽度の意識障害もあったことから、何ら問題なく14級認定となった。  

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3、血管の損傷による障害    ○ 内腸骨動脈損傷(ないちょうこつどうみゃくそんしょう)

① 病態

 赤丸部分の腹大動脈は、左右2本の総腸骨動脈に分岐し、総腸骨動脈は、内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれています。内腸骨動脈は、骨盤の後方部分に分布しており、骨盤骨折による血管損傷では、大量出血につながります。さらに、豊富な側副血行路がはり巡らされており、破綻した血管からの出血は容易にとめることができません。

 骨盤骨折の死因の50%は、出血であると報告されており、骨盤腔内の出血で出血性ショックを引き起こし死亡する例も、珍しくありません。   ② 症状

 骨盤骨折により、骨盤内の血管や臓器が損傷されると、出血斑や血尿、血便などのほか、低血圧や意識障害などの症状が出現します。   ③ 治療

 輸液・輸血にもかかわらず、血圧が上昇しないときは、ただちに内腸骨動脈造影を実施し、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術が行われています。   ※ 出血性ショック

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○ 男性の生殖器の損傷・障害    男性では、勃起障害が多く見られます。勃起障害は、泌尿器科におけるリジスキャンRによる夜間陰茎勃起検査を受けて立証します。夜間の勃起も計測しますので、2泊~3泊の入院が必要です。それなりに大変な検査で、実施できる病院と診察できる医師も限られます。

 完全なる検査はリジスキャン検査です。他の検査として、会陰部の知覚、肛門括約筋のトーヌスおよび球海綿反射筋反射による神経系検査、プロスタグランジンE1海綿体注射による各種の血管系検査があります。以下に図示・説明します。これらの検査により、勃起を支配している神経の損傷を立証しなければなりません。原因がわからず、とりあえずバイアグラが処方されている方もおりました。薬で改善するのであれば、心因性(勃起不全)かもしれません。  

1、会陰部の知覚

会陰部とは、俗に蟻の門渡りと呼ばれる外陰部と肛門の間に位置していますが、肛門の周囲を針で刺して痛みがあれば正常とされています。

 

    2、肛門括約筋の随意収縮

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2. 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷    骨盤輪の中には、S状結腸、直腸、肛門、膀胱、尿道、女性では、これらに加えて、子宮、卵巣、卵管、腟が収納されており、消化管は下腸間膜動脈、女性性器は卵巣動脈と子宮動脈、泌尿器系は内腸骨動脈により必要としている酸素と栄養素が供給されています。   ○ 排便障害

 骨盤骨折に合併するS字結腸・直腸の損傷ですが、人工肛門の造設などの重症例はなく、経験則では、程度は様々ですが便秘を残すものが圧倒的です。S字結腸に外傷があって、その結果、便秘になったものが対象で、便秘を残すものについては、肛門括約筋を支配している骨盤神経もしくは下腹神経に損傷が認められることが条件となっており、これは、直腸肛門機能検査を受けて立証します。その上で、排便回数が週2回以下の頻度で、恒常的に硬便であれば、11級10号の認定がなされています。

 9級11号は摘便(手で肛門から便をかき出す)が条件ですから、重度の介護状態が想定されます。この場合、介護等級である別表Ⅰの第1号1級、2級1号に内包されることになります。単独の9級11号認定は未経験です。

 逆に頻便(便意がしょっちゅう、便の回数が1日数度、単なる下痢ではない)の場合については、13級11号「臓器の障害」に属します。臓器の13級は、各臓器のちょっとした不具合をこの認定に当てはめています。    13級11号:胸腹部臓器の機能に障害を残すもの     以下は、排尿、排便、尿漏れの3点セットが認定された例です。

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ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折、恥骨結合離開・仙腸関節脱臼における後遺障害のポイント>    不安定型の骨盤骨折が癒合不良となった場合、具体的には変形(文字通り形が変わってくっついた)や転位(ズレてくっついた)、もしくは偽関節(くっつかなかった)となれば、変形の12級5号となります。また、これら癒合不良に派生する後遺障害と内臓損傷、神経損傷における障害は以下の3つが想定されます。   ○ 骨盤骨折自体に関するもので、疼痛、股関節の可動域制限、骨盤の歪みによる下肢の短縮

○ 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷・神経損傷による障害

○ 内腸骨動脈などの血管の損傷による障害    以下、骨盤骨折から派生する後遺障害を解説します。  

1.

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(2)恥骨結合離開・仙腸関節脱臼   ① 病態

 骨盤は左右2つの寛骨が、後ろ側で仙腸関節、仙骨を介して、前側で恥骨結合を介してジョイントしており、左右の寛骨は腸骨・坐骨・恥骨と軟骨を介して連結し、寛骨臼を形成しているのです。この輪の中の骨盤腔は内臓を保護し、力学的に十分荷重に耐え得る強固な構造となっていますが、大きな直達外力が作用するとひとたまりもなく複合骨折をするのです。     ② 症状

 骨折部の強い痛みで動くことができず、内臓損傷では、腹痛、血尿、排尿困難、排尿の制御ができなくなり失禁することや下血、性器出血を伴うことがあります。仙骨神経に損傷が及べば、排尿・排便障害となることがあります。「頻尿」は常に尿意があり、回数が増える。または尿漏れ。逆に「閉尿」は尿が出なくなります。便ですと、それぞれ頻便、便秘です。仙骨神経の損傷から下肢のしびれ、ひどいと麻痺で動きが悪くなります。   ③ 治療

 上図のような不安定損傷になると、観血的に仙腸関節を整復固定すると共に、恥骨結合離開についてはAOプレートによる内固定の必要が生じます。

 上のイラストは、右大腿骨頭の脱臼も伴っています。大腿骨頭の納まる部分である、寛骨臼の損傷が激しいときは、骨頭の置換術に止まらず、人工関節の置換術に発展する可能性が予想されます。

  ④ 後遺障害のポイント    安定型の骨折でも触れましたが、骨盤の変形を問うことになります。そこを参照下さい。    👉 骨盤骨折 ④ 後遺障害のポイント    ただし、骨盤の一部とも思える仙骨は、脊柱として判断されます。つまり、「脊柱に変形を残すもの」=11級7号の認定になるわけです。↓ ...

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 中断してていました骨盤骨折、シリーズを再開します。   👉 前回  ① 腸骨骨折   【2】骨盤骨折・不安定型

 前回の①~④までは、【1】安定型とのくくりで、骨盤輪にゆがみや崩れがなく、骨折が癒合することが多い傷病名から解説しました。今回からの不安定型は重傷と言えます。

(1)ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折

① 病態

 骨盤は骨盤輪と呼ばれる内側でぐるりと輪を作る環状構造となっています。この骨盤輪が、一筆書きに連続しているので、骨盤は安定しているのです。両側の恥骨と坐骨の骨折で、骨盤輪の連続性が損なわれている状態をストラドル骨折と呼びます。

ストラドル骨折続きを読む »

 よく会社・法人様から相談される問題です。    従業員が現場への移動中の交通事故で、相手にケガをさせてしまった。この場合、会社が責任を問われないか?    このご質問・ご不安に関して、まず、顧問弁護士に見解を求めたそうです。法的には従業員が不法行為で第3者に損害を与えた場合、使用者である会社にも責任を問われることになります。法律の専門家である顧問弁護士は、法的根拠を検討し、過去の判例なども紐解いて、会社への訴えを回避する策を練ることになります。

 会社に責任を問うとなると・・従業員の指導・管理に問題があって起きた事故か否かが問われます。その交通事故が、単に従業員のハンドルミスではあれば、会社には責任がないように思います。しかし、被害者側に弁護士が立てば、加害者である従業員に対しては「会社の無理な超過勤務で疲労していた」、「会社がしっかり安全講習をしていなかった」などの理由から、会社へ難癖をつけて会社の責任にしようとします。それは、本音を言いますと、個人よりも支払い能力のある会社へ賠償金を請求する方が、回収の目途が立つからです。実際に裁判では、使用者責任が成立するかなどお構いなしに、加害者と会社を一緒に訴えることがマストなのです。    まるで、「飼い犬が噛んだら、その責任は飼い主や」 のようです。それだけ、会社の立場は弱く、使用者責任は容易に用いられる概念なのです。    もっとも、交通事故ですから、自動車に自賠責保険、任意保険がついていれば、従業員と会社共に、その責任を肩代わりして支払ってくれます。使用者責任などを真剣に問う、あるいは回避しようと思案する必要はなくなります。

 交通事故に係わらず、事故の多くは法律より保険で解決している現実があります。私どもは、もめ事や事故に対して、「加害者に賠償保険の加入があるか」に注目します。事故の多くはたいてい保険が解決するものと思っています。    他の例として、   (例1)小学生(10歳)のA君が公園で遊んでいて、他の小学生B君を押し倒して腕を骨折させました。Bくんの親御さん、「Aくんの親に治療費を払わせる!」とすったもんだの始まり・・。   ⇒ 確かにA君の親御さんの親権者責任が問われます。が、そんなことより、Aくんの家族に個人賠償責任保険があるのか、まずこれに注目、保険加入を調査します。個人賠償責任保険相手に、治療費や慰謝料など、賠償請求を突きつければ良いのです。

  (例2)A社の社員さんが市場でフォークリフトで作業中、他社Bの社員の足をひいてしまい、足の甲を骨折させた。「B社の労災の支払いでなんとか収めたい」   ⇒ フォ―クリフトに自賠責保険、任意保険の加入はわりとあるものです。構内事故であっても自賠法上、交通事故は成立するのです。A社B社、共に悩んでいないで、さっさと労災事故を交通事故に転換すれば良いのです。もちろん、治療費と休業補償はまず労災に請求、その不足分は慰謝料と一緒に自動車保険に請求します。A社の使用者責任を問う事より、円満に話は進むはずです。    

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 大学時代、剣道部の関西遠征で訪れて以来となります。当時は夜行バスで一晩かけて移動したものです。今日は新幹線のぞみに乗って3時間で着きました。北口を降りると駅前通りの先に白鷺城、日差しをまばゆく反射しています。30年前の姫路城はリニューアル前で、黒ずんでいました。

   ご依頼者さまとの待ち合わせの間、駅内のジオラマに見入っていました。江戸期の城郭は大なり小なりこのお城を参考にしていると言われています。

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 昨日の病院同行は富士山麓の御殿場へ。山梨と静岡の中間ですから、東京から2時間半はかかります。

(写真は8年前の富士、新幹線の車窓から)

   もうジャケットは荷物になるだけと、シャツのまま事務所をでました。曇りがちながら、新幹線からは富士山を眺めることができました。

 しかし、御殿場に着くと天気は急変、激しい雨が富士山からの吹きおろしと共に横殴り。そして、6月とは思えない程の寒さ。もっとも、その時は病院に到着していましたので難を逃れました。この日は待ち時間が長く、病院に5時間滞在となりました。病院を出る頃には雨は上がり、東京へ折り返しましたが、気温が上がらず、今日一日、寒さに震えていました。    医師面談では、「昔と違って後遺症は取れないよ」と診断書記載に消極的な医師でしたが、何とかご記載をお願いしました。確かに認定は難しい件ですから、ある意味、親切な先生です。しかし、わずかな可能性がある場合、簡単に諦めません。申請書類に工夫を加え、出来るだけ体裁を整えて、審査に付したいと思います。  

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 人身傷害の約款に、過失分を引かれた賠償金と、過失を引かれない人身傷害の保険金、「どちらか多い方に請求を」と書かれているのでしょうか?    結論から言いますと、そのような記述はありません。どちらかを選択するのはあくまで被害者(請求者)です。担当者は「どちらかに」と、アドバイスをしているに過ぎません。もしかしたら、保険会社内部では約款に書かれてはいない、イレギュラーに対応する”運用基準”としているのかもしれませんが・・。    それでは、約款の支払い基準を復習しましましょう。人身傷害の支払いは、過去いくつかの裁判でも争われた、難しい 解釈論になっていました。約款タイプは大きく分けて以下、3メガ損保の3種に大別しています。ところが、他の会社も含め、担当者やセンター長の解釈が定まっておらず、案件ごとにちょっとした会議をして悩んでいる節があります。共済などは、そもそも(何が問題か)理解が及んでいない様子もうかがわれます。担当者の解釈・運用がバラバラな会社もあります。人身傷害の支払いとは、かな~り難しい問題なのです。    また、それを承知の上で、交渉や裁判で裁判基準の満額を獲得できる弁護士がわずかに存在するも、人身傷害の請求には消極的と言うか、端から介入しない弁護士さんが多いようです。これが、(弁護士に依頼したのに)被害者を困らせている現実です。

以下は復習となります。    現在、この問題に直面している被害者さん、頑張って以下を熟読、対策を講じて下さい。     平成24年2月の最高裁判決後、各社、約款を改定しました。人身傷害保険に自身の過失分を請求する場合は「相手と裁判で決着ならその賠償金(裁判基準)で計算」がスタンダードになっています。ただし、各社の約款・運用は異なります。   (1)東京海上日動さんは「先に人身傷害を請求した場合のみ、相手との裁判基準を認める」と、判例に合わせていますが、「先に賠償金を受けとった後に、人身傷害保険を請求すると」、まず「自社基準で支払います」と回答します。突き詰めると、「先の判例は求償の場合ですので、単に人身傷害への請求では人身傷害基準です」とのことです。

 詳しくは 👉 人身傷害の約款改悪シリーズ 人身傷害保険の支払限度は結局、人傷基準 ③   (2)損保ジャパンさんは潔く、「裁判なら、人身傷害の請求の前後に関わらず裁判基準で」としていますが、その約款には制限が仕掛けてあります。相手と裁判した場合、人身傷害の支払い額は裁判基準で計算するとしていますが、その限度額は人身傷害基準の総額なのです。30:70程度の事故なら間に合いそうですが、自身の過失が大きいケース、例えば、自分の方が悪い事故で70:30ともなれば、限度額までで終りそうです。確かに自分が悪い事故で、人身傷害に助けてもらう立場としては理解できますが、もう少し被害者に優しい内容にできないでしょうか。

 詳しくは 👉 人身傷害の約款改悪シリーズ 人身傷害保険の支払限度は結局、人傷基準 ②   (3)三井住友さんに限っては、支払い基準について、約款上、まず人身傷害の基準で提示してきます。「裁判の基準ではないではないですか!」と文句を言えば、①「当社と保険金請求者との間の協議」に移ります。次いで、②「①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停」としています。普通、「相手を訴えた後に、再度、自分の保険会社も訴える?」など現実的ではありません。協議で押し切られそうですね。それに、先に人身傷害を請求すると、「過失分のみ(自社基準で)支払います」と100%払ってくれません。     このように、人身傷害を”裁判基準でなど”支払いたくない! 各社の思惑が読み取れます。だからこそ、担当者の多くは冒頭の回答で対処しているものと思います。    一方、頼るべき弁護士さんも各社の約款を熟知し、それらの対策を心得ている先生はほんのわずかです。保険会社から約款を示され、妙に納得させられ・・請求を引っ込めてしまいます。「交通事故は任せて!」と宣伝を打っている弁護士さんでも、人身傷害へも裁判基準で満額回収できている先生は希少なのです。まして、むち打ちで14級程度で裁判など、採算が合いません。すると、人身傷害の性質を理解し、各社約款の仕組みを熟知し、その対策として高い交渉力を駆使する弁護士に任せるべきです。契約時に「人身傷害への請求は自分でやって下さい」などと言う先生は、実に頼りないと思うべきでしょう。

 詳しくは ...

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(自分30:相手70の過失割合として)

 相手から70%の賠償金が提示された後に、自身が加入している自動車任意保険の人身傷害に、相手から差し引かれた30%分を請求すると・・   「相手の保険会社の賠償額(過失分が引かれた70%)と、人身傷害の算定額(過失をひかれない100%)の高い方を選んで下さい」  

 人身傷害保険、最大の売りは、自身の過失を引くことなく100%支払う事です。そして、人身傷害の支払い基準は、基本的に対人賠償と同水準です。相手の賠償額は相手保険会社の対人賠償ですから、上の回答でも大きな差や損得が生じないことになります。

 しかし、対人賠償は「償い」の保険ですから、請求側(被害者)との交渉によって、支払う保険会社の対人賠償基準を超えることがままあります。請求側が弁護士であれば、確実に保険会社の提示を超えます。なぜなら、仮に裁判にならずとも、裁判での請求の相場でもある「赤い本」の基準で計算するからです。場合よっては保険会社の算定基準・提示の2倍以上にも格差が生じます。したがって、上の回答でどちらかを選択させる運用が幅を利かせてくるのです。

 これですと、相手から30%の過失分を差っ引かれても、その賠償金が人身傷害の算定額100%より多くなることが多く、結果、相手からの賠償金のみを受取り、自身加入の人身傷害保険を使わされずに済みます。

 

 同じ保険と名乗るも、”つぐない”の為の「賠償保険」と、契約で金額が決まった「傷害保険」は性質が違います。賠償保険は被害者への弁償ですから、とくに精神的損害の慰謝料や、収入によって変わる逸失利益などは、交渉で折り合いをつけるものです。もちろん、それらに相場がありますが、保険金は基本的な算定基準はあるものの、弾力的な増減を予定しています。一方、傷害保険は金額が基準で決まっているのですから、交渉の余地は原則ありません。    以前、大型代理店向けの人身傷害の研修で、裁判基準と保険会社基準で大きな差があり、これが人身傷害の最大の問題であるとの解説の中、営業マンさんから「賠償社と人傷社の金額を比べて多い方を選択する(=上の損保側の回答)が普通じゃないですか?」と質問されました。代理店さんも多くはそのような認識のようです。軽傷事故ならまだしも、後遺障害を残すようなケガであれば、障害の重さにもよりますが、数十数百万円から1千万単位で損をします。代理店さんがこれでは、お客様は浮かばれませんね。    では、担当者の言う「どちらか多い方に請求を」は、保険の約款に書かれているルールなのでしょうか?     つづく  👉 後編  

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