自賠責保険の後遺障害審査では、全画像の提出が必須です。

 とくに骨折案件では、レントゲンは当然として、CTやMRIなども加わります。事前認定の場合は、相手保険会社が取り寄せてくれますが、往々に時間がかかります。それは病院側が遅いことが理由ですが、超多忙な保険会社・担当者の催促に任せることになりますので、心もとないものです。被害者請求の場合では、被害者自身、あるいは手続きを任せた業社の取り寄せになります。秋葉事務所でも、矢のような催促に駆られることが少なくありません。病院側も多忙なのはわかりますが、今やパソコンに空ディスクを入れて15分も待てばできるものです。怠慢を感じることが多々あります。  かつて、自賠責保険・調査事務所の職員がブログで嘆いていました。「いくつかの事務所からの被害者請求で、毎度まったく画像を添付していないケースがあります。これは、自賠責側に収集させようと意図しているのか、あるいは、費用負担を自賠責に課す目的か・・非常に困っています(略)」。被害者請求のルールはあくまで、書類収集は被害者(側の代理人)が行い、自らの責任で提出することです。明らかなルール違反ですから厳重注意です。確信犯的な事務所は懲戒ものとまで思います。

 私がより問題視していることは、画像を全く観ないで提出している仕事内容です。宣伝では「後遺障害申請は任せて!後遺障害に強い!」と言っても、事前認定に同じく、右から左へ書類を転送するだけの事務所が多いことを物語っています。弊所では、決して全件すべての画像を観ているわけではありませんが、等級認定のポイントとなる画像は必見としており、提出の際にはその画像をピックアップして打出しを添えている程です。後遺障害申請はクジではありません。申請前に障害の全体像を把握、認定等級を見極めておくべきなのです。その点、素人と言えど、軽易であっても、画像の読影力が求められます。医師面談の場でも、医師と画像を観ながら、打合せをすることが普通です。このような医療調査を経ず、書類を取りまとめて転送するだけの事務所なら、お金をかけて依頼する必要はないと言えます。    最近、画像CDの一部焼き漏らしから、自賠責から追加提出の要請を受けました。病院のミスではありますが、提出前に画像を総覧して気付くべきでした。(念のためですが)決して確信犯ではありません。2ヶ月も待たせた病院のおかげで、どうしても提出を急ぐ事情があったとはいえ、反省しています。今度はわずか1週間で追加提出を果たしました。

 ポーズだけのヘタな被害者請求はやめて、事前認定にすべき業者が少なからず存在するものと思います。審査する側の負担はもちろん、(被害者請求を選択した)依頼者への背信行為でもあると思います。  

続きを読む »

 相変わらず、既に弁護士事務所に相談、あるいは契約しながらの相談者様が多く、その訳は以下に集約されます。   1、契約が済むと、あとは放置。電話で問い合わせるも、担当弁護士は捉まらず、事務員の対応。折り返し電話も「ない」か「遅い」   2、後遺障害に強いと触れ込みで契約したものの、具体的な作業はなく、「後遺障害診断書を待っています」の対応   3、解決までの見通しなどの説明なく、質問しても、ただ「任せなさい」との回答    残念ながら、商売先行で経験薄い弁護士先生を選んでしまったようです。弁護士とて万能ではありません。すべての先生が交通事故に長けているわけではないのです。この当たり前の事実を、ネット広告などの過剰宣伝が覆い隠してしまうのです。弁護士が100人もいる事務所とて、すべての先生が交通事故業務を多く経験しているわけでなく、交通事故裁判を一度も経験していない先生が普通なのです。まして、後遺障害に連なる医療と保険の知識など専門外ですから、特別に経験を積んだ先生以外は素人同然なのです。しかし、ホームページでは、専門業者から買ったコンテンツで埋め尽くし、後遺障害の専門家に化けます。おそらく生まれて初めての交通事故に遭った被害者さんは、見抜くことなど無理でしょう。弁護士事務所側もそれを承知の戦略です。ネット広告費に、年間数千~億単位の経費を投入します。資本主義は玉(金)を持っている者が勝つのです。

 それでも、一定数の被害者さんは、「この事務所ではヤバい」と気付き、セカンドオピニオン=別事務所のドアを叩くことになります。今度は実力のある事務所をシビアに探します。秋葉事務所もご他聞に漏れず、そのドアになっています。

 表題の主張は被害者さんに向けたものではなく、交通事故にまだ知見の浅い弁護士事務所宛です。もしくは、賠償交渉に集中するため、事故直後から症状固定までの諸事務をアウトソーシング(外注)したい事務所向けです。紹介筋かネットから交通事故案件を受任したはいいが、未経験の重傷案件を手探りで進めるのであれば、秋葉が力を貸したいのです。できれば、前半の事務を任せてもらいたい。10年に及ぶ、この連携した被害者救済業務に絶対の自信を持っているからです。

 今まで20近い弁護士事務所に秋葉事務所の有用性を評価いただき、適時、連携業務を行ってきました。それでも、まだまだ少ないものです。窮している被害者さんはたくさん存在します。後は、弁護士先生の理解だけだと思います。しかし、多くの行政書士が弁護士法で禁じられた「賠償交渉」に介入した結果、行政書士は弁護士からの信用を失ったままなのです。本来、行政書士のすべてが適正な業務、具体的には医療調査、保険手続き、法律事務を除いた諸実務に絞って仕事をすべきだったのです。この失った信用を回復することは、並大抵の努力では叶いません。もはや時すでに遅し、行政書士はほぼ交通事故から撤退の憂き目のようです。秋葉事務所としては、実績ページをコツコツ積み上げて、仕事の有用性と実力を示していくしかありません。

 多くの被害者さんの相談が集まることも、その証明になり得ると考えています。ネット集客はもちろん、被害者さまへの声がけ・宣伝もより力を入れる必要があります。

 でなければ、「ぼーっと仕事してんじゃねぇーよ!」とチコちゃんに叱られます。  

続きを読む »

 加害者が自動車ではなく、自転車あるいは歩行者ですと、当然に自賠責保険が無いことになります。本件での相手は個人賠償責任保険となりますが、自賠責に同じく、しっかり後遺障害の等級認定を突き詰めます。本件の場合、より慎重に、労災の等級認定を確保してしてから、相手保険会社(個人賠償責任保険)に審査を求めました。保険会社の機微を計るような手続きですが、弊所ではこのような繊細な仕事をしています。    保険の性質を熟知し、保険会社の機微を知ることが大事です。  

11級7号:胸椎圧迫骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイク搭乗中、青信号の交差点を直進中、相手方自転車が右方から侵入し、接触、転倒した。救急搬送された後、胸椎圧迫骨折の診断となった。  

【問題点】

続きを読む »

 これは、どの商売にも共通することと思いますが、ご依頼者が相談に訪れてきたら、まず、お話を傾聴し、信じることから受任者としての仕事を始めます。依頼を請け負うとは、相互信頼があって成立するものです。

 かつて保険販売の場面で、お客様のお話にどうも嫌な感じがして、契約を慎重に構えていました。上司に相談するも、「バカ、お客様を信頼しないでどうする!」と叱られたことがあります。至極、もっともなことです。しかし、とりわけ保険業界はそれ程単純ではありません。上司はこう続けました。「まず、信頼が基本だが、よく話を聞いて、慎重に契約判断をすることも大事だ」と。結局、契約を引き伸ばす私に見切りを付けて、そのお客様は去りました。後でわかったことですが、そのお客様は、(不自然な)保険金支払い歴が10回を越える要注意人物でした。今で言うところの、「保険支払、半端無い」保険会社が契約を拒んで当然のお客様だったのです。

 保険の営業マンは、このお客様を直ちに保険金詐欺者と断定する立場ではありません。それでも、正しい保険運営には、契約段階から未然に不当な支払を防ぐことが絶対に必要です。残念ながら、信頼してはいけない契約者、依頼者も一定数存在するのです。

 被害者救済業とはいえ、今もそのスタンスは変わらないと思います。交通事故の受任経験の少ない、若手弁護士さんなどが、依頼者を信じて受任してしまい、後に保険会社と裁判上で、(不正請求の)証拠を突きつけられて火達磨に・・少なからず聞いてきました。依頼者を信じるという、原則的な美徳を持ったこの弁護士さんを責めることはできません。しかし、迂闊に保険金詐欺の片棒を担ぐ事は、故意過失は無いにしろ、犯罪に加担することになります。その点、士業者は盲目的な受任を避けるべきで、犯罪を未然に防ぐ、助長を防ぐ、社会的役割があるように思います。

 昨年も、ある交通事故被害者さんが相談会にやってきました。相手保険会社の横暴な対応を切々と訴えています。実際、相手弁護士から債務不存在確認訴訟(「びた一文支払う言われはない!」と加害者側から逆訴訟されて・・)を打たれました。気の毒な被害者を救うべく、受任することになる寸前、「本当に助けるべき被害者なのだろうか?」私の頭を過ぎりました。・・・調べてみると、数度の保険金詐欺容疑で実刑判決を食った経歴がありました。本件事故の状況や経過も、過去の手口に類似しています。直ちに、弁護士に受任謝絶するよう伝え、事なきを得ました。

 依頼のお断りを伝えた際、その被害者さんは「今後、私は交通事故にあっても信じてもらえないのでしょうか?」と言いました。

 私はこう答えました。「そうですよ。イソップのオオカミ少年の童話を知っていますか? 人の信用を踏みにじった以上、仕方ありませんよ。 もっとも、まったく疑いのない事故状況で、それなりの大ケガをすれば別ですが。」

 実際にオオカミに食われるまで、信用の回復は難しいということです。

続きを読む »

 交通事故被害者さまのご相談を頂く中で、もっともご回答に窮することは、被害者感情の持っていきどころです。

 車の修理費など物損の場合、被害者さんにとって、その修理費を相手から取ることで全てOKとはいきません。純粋に修理費は直接損害と呼ばれ、まともな見積もりを突きつければ、大抵の損保は支払いに応じます。しかしながら、細かいことになりますが、車の修理に出す手間や様々な書類や交渉ごとに割く時間、これらの損害・対価は法律上、認められません。また、買って間もない新車などは「修理ではなく、取り替えてくれ!」と言いたくなります。高級車となれば、「格落ち」も発生しているかもしれません。これらは間接損害と呼ばれ、これを相手保険会社に請求しても、すんなり支払いを受ける事は困難です。それこそ、裁判などで白黒をつけない限り取れないものです。もっとも、裁判でも負ければ取れません。

 つまり、自動的にすべての損害を回収することなど、そもそも無理なのです。手間暇・金銭をかけて、苦労を重ね、自ら戦わなければ実現できません。この原則をすんなり理解できるか?一般的に欧米人と日本人の意識の違いを感じるところです。とくにアメリカ人の場合、歴史やメンタリティから、他人に対する信頼は大変に薄いものです。交通事故の相手があっさり「すみません」と非を認めて、即座に賠償してくれる期待など持っていないのです。明らかに自分が悪い追突事故でさえ、加害者は「I’m sorry」とは言わないことが普通です。また、お金がなく、任意保険に加入していないかもしれません。一方の被害者も、相手の誠意と賠償資力を期待していませんから、しっかり車両保険・人身傷害保険に加入、あるいは弁護士を雇うのです。言葉さえ通じない多種多様の民族の合衆国ですから、自分が受けた被害は自助努力や戦いで回復することが身に染みているのです。

 その点、日本はほぼ単一民族、全国的に日本語が通じ法律も統一、島国ならではのご近所関係・相互扶助もあり、他人に対する信頼は世界一のレベルではないでしょうか。その証拠に、落とした財布が届く率は63%との統計があります。ちなみに他国の統計は目にしたことがありません。他国にとって、ほとんど0%のことなど数えないからだと思います。これは世界に誇るべき日本人と美徳と同時に、被害者感情に大きく作用しているのではないかと私は考えるのです。交通事故の被害にあったのだから、「(信用すべき他人が)すべて弁償してくれるはず・・これって普通でしょ!」と。

 残念ながら、こと交通事故の争いとなれば日本人の美徳は薄れます。相手保険会社はさながらアメリカ人になります。グローバルスタンダードを高圧的に押し付ける存在ですから、法律に従って決して甘くない対応となります。基本、被害者側が証拠を集めて突きつけなければ払いません。間接損害の請求など、端から拒否します。

 それでも、直接損害の支払ならかなり信頼できる存在です。また、ケガをすれば、治療費の一括払い(病院に直接、治療費支払い)など、アメリカ人のくせに、似合わないサービスをしてくれます。また、強制保険(自賠責保険)により、任意保険以前に被害者に多少の過失があっても、一定額まで100%の治療費が確保できます。ヨーロッパの福祉国家さながら、健保・労災・自賠責と、社会保障制度が確立しています。これらは、発展途上国が目標としている社会保障制度:3種の神器で、世界的にあたり前に実現しているものでありません。国民国家としての努力の賜物です。実に、世界の半分以上の国は自賠責保険がないのです。そして、任意保険の会社があっても、肝心の加入率は30%程度が普通なのです。日本は80%のようです。すると、5台に1台は無保険になりますが、80%以上は世界的に優秀な加入率なのです。これらの比較から、いかに他人から被った被害の回復は大変なことで、当たり前に助けてもらえる事ではない世界基準を知ることになります。

 落ちていた財布を拾って届ける優しく気高い精神の人が、ある日交通事故被害にあったとして、対する他人(加害者側)が決して優しくも道徳的でもないことに直面します。当然、感情的にすんなり受け入れられるものではありません。連携弁護士を含む私達はその意を汲み、できるだけ損害を回復するように働くことになります。それには、被害者さんの自助努力や費用負担も当然に必要です。そして、私達は被害者の皆様の怒りや失望を、戦いへ切り替えさせることから着手します。損害回復は当たり前のことではない、戦いであると理解することからのスタートなのです。    ちなみに、私は過去4度財布を拾い、届け出て無事に持ち主に届きましたが ・・・ 逆に、自身2度財布を落とすも、まったく届きませんでした。日本も信用できませんわ(怒)!  

続きを読む »

 近い将来、否、既に各分野にAI(≒人工知能)導入が進み、これは規定路線と言えます。当然、交通事故の調査・解決の場面でも活用が期待されます。

 ドライブレコーダーと連動したシステムの開発が発表されました。新聞記事から引用します。  

損保ジャパンとジェネクスト、AIでドラレコ映像を解析 責任割合を自動算出へ

 ジェネクストは8日、損害保険ジャパン日本興亜と共同で自動車事故の責任割合自動算出システムを開発すると発表した。このシステムは、自動車事故の発生時、ドライブレコーダーが撮影した映像とGPSの位置情報をもとに事故の状況をAIが分析し、自動車事故の責任割合を自動的に算出する。これによって自動車事故の原因を正確に究明するとともに、事故対応の迅速化を目指す。

 あおり運転による交通事故の報道をきっかけに、ドライブレコーダーが一気に普及した。それに伴い、自動車事故が発生したとき、ドライブレコーダーが記録した映像を事故の責任割合の算出に活用する機会が増えている。一方で、ドライブレコーダーは広角レンズを通して撮影するため、映像に歪みが生じてしまう。事故発生時の速度や車間距離など、ドライブレコーダーをもとに事故発生時の状況を解析し事故の責任割合を判定するためには、解析に必要な専門の技術と多くの時間が必要であった。

 損保ジャパン日本興亜は事故原因追及のプロセス効率化と迅速な対応を実現するため、ドライブレコーダーの映像解析サービスを主要事業とするジェネクストと共同で自動車事故の責任割合自動算定システムを開発することにした。

 ジェネクストはドライブレコーダーが撮影した映像から、速度、車間距離、位置情報を正確に取得できる特許技術を持っている。この技術をもとに、今回開発のシステムではAIが事故発生時の映像から車両の動きや道路の状況を読み取る。そして、AIが事故発生時の映像から読み取った情報と、損害保険ジャパン日本興亜がこれまで蓄積した知見をもとに、自動車事故の責任割合の判定を行う。損害保険ジャパン日本興亜は今回のシステムの開発を通じて自動車事故における責任割合判定プロセスの明確化とともに、事故解決の迅速化を目指すとしている。  <財形新聞さま より>  

続きを読む »

 SJNKの代理店さまは既にご存知と思いますが、ついにベールを脱いだ、今年1月改定の弁護士費用特約を特集します。

 目玉は二つです。一つは、既に他社でも採用している、自転車による被害事故などを含む、日常生活の被害事故に係る法律上の損害賠償請求を行う=「日常型」の発売と、これは業界初となる、お客さまが加害者となった場合、負担する刑事事件の弁護士費用等を補償の対象とする「刑事弁護士費用」の新設です。これは、以前から隠れたニーズと思っておりました。

 もし、交通事故で加害者となって警察に拘留された場合、自責の念や衝撃で誰もがパニック、あるいは頭が真っ白です。その上、人生初となるであろう警察の取り調べが続くのです。以後の対策はもちろん、精神的なケアが急務です。急いで弁護士を警察署に接見に向かわせる必要があります。この特約、他社さんもデフォでお願いしたいと思います。

 また、弁護士の当てのないお客様には、LAC(簡単に言うと日弁連の対保険会社機関、弁護士費用もLAC基準で縛る事ができます)経由で弁護士紹介を可能としました。保険会社が抱える協力弁護士の紹介は、現場では既に各社共に行われてきたことです。

 以下、同社案内から抜粋・加筆します。  

1.開発の背景

 現在の「弁護士費用特約」について、お客さまから「自動車事故だけではなく、自転車事故などの日常生活被害事故も対象にしてほしい」というご要望をいただいていました。また、不慮の自動車対人加害事故を起こしてしまったお客さまから「裁判所から起訴状が届いたが、どうしたらよいか」などの刑事事件に関するご相談をいただくケースがありましたが、この場合には一般的な助言を行い、詳細はお客さま自身で弁護士にご相談いただくようご案内していました。今回、このようなお客さまのご要望にお応えするため、「弁護士費用特約」の補償範囲を拡大し、また同時に弁護士をご紹介することでお客さまの負担を軽減するサービスを提供します。  

2.商品概要

・「弁護士費用特約(日常生活・自動車事故型)」を新設し、日常生活被害事故および自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

・現在ご提供している「弁護士費用特約」を「弁護士費用特約(自動車事故限定型)」に名称変更し、自動車対人加害事故の弁護士費用等を補償の対象に追加します。

 

3.補償内容・金額

続きを読む »

 相手保険会社が治療費を負担してくれるのは、義務ではありません。彼らはいつでも治療費の一括払いを切ることが出来ます。これは裁判判例で決着していることです。

 では、治療費や休業損害が、自賠責保険の限度額120万はもちろん、保険会社の定める基準を越えた場合は・・? なんとか面倒を見てくれるよう、交渉することになりますが、保険会社としては、「後遺障害を含めた賠償金を支払いますから、早く症状固定して下さい」と、解決を急かします。しかし、本件のように感染症となった場合、骨癒合は大幅に遅れますし、症状固定は数年先に遠のきます。

 「公的保険の知識と実務に長けた事務所にめぐり合うか否か」で、被害者の運命は変わります。本件は幸い、依頼した連携弁護士から相談が入りましたので、以下の通り、労災の活用で解決までの道筋を作りました。多くのケースでは、依頼した弁護士も手をこまねき、松葉杖で片足を引き摺っている被害者自身ですべての労災手続きをしています。自身でできる被害者さんはまだ幸運です。相手保険会社ともめて、労働局とも平行線、会社の担当者からも疎まれて・・・窮した被害者さんは「明日の100万円より、今日の10万円」・・・泣く泣く、安い示談金を手にして解決することも少なくないのです。

 交通事故業務は弁護士の”賠償交渉”のみにあらず、公的保険を含めたあらゆる手段を用いる”被害者救済業務”なのです。      うちはそれが出来る事務所です  

併合5級:大腿骨・脛骨・腓骨多発骨折(20代女性・埼玉県)

【事案】

自転車通勤で交差点を横断中、後方からの左折自動車の巻き込みにあい受傷。左脚は大腿骨遠位端・脛骨骨幹部開放・腓骨を骨折、右足は鐘骨骨折、その他骨盤骨折も重なり、とくに左脛骨は開放骨折によって感染症を発症、10回ものデブリ洗浄で脚を切開した。多くの骨折箇所から骨のプレート・スクリュー固定、癒合不良箇所への骨移植・骨採取、皮膚採取・形成術を含めると、実に合計21回の手術を行ったことになる。結果として、症状固定まで4年を要することになった。

【問題点】

治療期間が長期になったことが最大の問題。相手損保に休業損害は当然として慰謝料の先払いを求めた結果、「もう過払いなので・・」と初期に支払いを切られてしまった。では、今後の治療をどうするのか? 感染症を発症していることから、長期の治療は避けられない。自賠責の後遺障害保険金入金もずっと先となる。

また、1下肢・下腿の後遺障害で最大等級は、「 1下肢を足関節以上で失ったもの」=5級5号である。本件の場合、膝から下だけで6級相当まで引き上げたい。その為には骨折の無い足指の用廃を得る必要があった。

【立証ポイント】

ここは、何としても労災の使用である。早速、管轄の労働基準局はじめ会社の担当者に働きかけ、労災を適用させて治療費と休業給付を確保した。この一連の調整は弊所の得意とするところ。以後、労基と会社との連絡・手続きを3年半担当、症状固定まで漕ぎ着けた。

続きを読む »

 会社は労災の請求に消極的です。

 また、社員も労災を請求したのですが、会社の顔色をうかがって遠慮してしまいます。使われている側なので仕方ありません。

 問題は、会社側に正しい知識がないことです。とくに、「労災を使うと、掛金が上がるから・・」、これについて、調べました。

   以下に該当する会社については、一定規模の基準によって労災掛金が±40%の範囲で増減します。   ○ 100人以上の労働者を使用する会社   ○ 建設業等で労災保険料が年間100万円の会社   ○ 20人以上100人未満の労働者を使用し、災害度係数が0.4以上の会社    災害度係数とは{社員数×(業種ごとの労災保険料率-非業務災害率)}で算出します。この非業務災害率は現在0.06%となっております。

 従業員数80名の飲食業の場合、上記の計算式にあてはめると・・・ 80名×(0.3%-0.06%)=0.192≦0.4

 ・・・災害度係数は0.4未満となり、基準を満たさないため労災保険料が高くなることはありません。    つまり、労災保険料率が0.4%を超えない会社については、建設業(掛金100万超)を除き、100人未満であれば労災保険料率が高くなることはありません。20人未満の会社は当然に関係ありません。    また、通勤災害は、被害者・社員か、加害者が悪いのであって、会社にまったく責任がありません。労災側の調査によっては、労災掛金に影響ありません。  

続きを読む »

 労災と加害者側の賠償金(自賠責保険・任意保険)がかぶる場合、労災の障害給付は一時金でも年金であっても、「支給調整」を行います。ここが、皆様の知りたい核心ではないでしょうか。

○ 障害給付の支給調整

 第三者行為災害における損害賠償請求額と労災保険の給付の支給調整方法については、「求償」と「控除」の2種類があります。   ○「求償」とは、被災者等が第三者に対して有する損害賠償請求権を、政府が保険 給付の支給と引換えに代位取得し、この政府が取得した損害賠償請求権を第三者 や保険会社などに直接行使することをいいます。   ○「控除」とは、第三者の損害賠償(自動車事故の場合自賠責保険等)が労災保険の 給付より先に行われていた場合であって、当該第三者から同一の事由につき損害 賠償を受けたときは、政府は、その価格の限度で労災保険の給付をしないことを いいます。   ① 労災の支給調整の対象は「逸失利益」

 逸失利益とは・・・本来得られるべきであるにもかかわらず、債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益を指します。得べかりし利益(うべかりしりえき)とも言われます。逸失利益の算定では果たしてどこまでが本来得られるべきであった利益か、その確定は容易でなく訴訟などでもよく争点となります。

 自賠責保険ではこの逸失利益の限度額を明確に定めており、限度額を下回る80歳超の高齢者を除いては、ほとんど限度額で頭打ちとなります。これは弁護士さんにも多いのですが、自賠責保険の後遺障害保険金を定額の慰謝料と読み違えています。自賠責保険金額はあくまで、定額の慰謝料+計算された逸失利益(限度有)の合計です。

 障害給付金は一定の治療後、後遺症による将来に向けた補償ですから、逸失利益と性質が同じものとされます。したがって、逸失利益と二重に支払われることなく、逸失利益を超えた金額を給付することになります。逆に、労災先行で労災を全額支給した場合、後に自賠責に求償することになります。

 尚、賠償金の内の慰謝料は「精神的損害」ですから、民事上の「償い」であるところ、公共の補償と相殺すべきではなく、別物と考えられます。    つづく(いずれ、計算例をUPします)  

続きを読む »

 交通事故の場合、真っ先に請求する相手は、通常、加害者の保険会社ではないでしょうか。

 それは通勤災害、業務災害の場面でも同じかと思います。まず、加害者が補償するのが筋です。多くの場合、労災適用など気にせずにスルー、相手の任意保険、その加入がない場合は自賠責保険に請求に留まることが多くを占めます。実際、労基に問い合わせも、「労災は、自賠責を使い切ってからですよ」と内規で制限しているような対応です。社会保障制度ですから、じゃぶじゃぶ使われるなど困ります。加害者に支払い能力、つまり何らかの保険がある場合は、そちらを優先させ、支払いを抑制しなければならないことは理解できます。

  

 しかし、労災の法律を紐解くと、健康保険に同じく、「使うか否か」、「その順番」でさえも、請求者の意思が第一です。とくに法律の規制などしていません。したがって、自己に過失がある場合の事故や、重傷で治療費が莫大となるケースは労災も併用すべきと思います。そして、最大の動機は、休業給付と障害給付で、相手からの賠償金とは別腹の「特別給付」がもらえることです。  さらに、再発申請やアフターケア制度もあります。至れり尽くせり、原則、労災使うべきと断言します。

    続きを読む »

 そんなわけはありません。年金制度は国と国民の信用の根幹、これが反故にされたら、もはや国民国家ではありません。

 とは、言いたいものの、12年前、日本中を震撼させた「消えた年金問題」・・ミスで相当数の記録が消されました。昨年9月にも、労災の休業給付のデータがミスで抹消され、大幅な支給遅れとなったことは記憶に新しいと思います。

 亡くなった私の祖父は年金に関する疑念が強く、自営でしたがとうとう国民年金に加入せず、老後は年金がありませんでした。当時、戦争(報道)で国に騙されたと思った世代は、国家・行政への信頼が薄いのでしょうか。「消えた年金問題」とは、その疑念が本当になってしまった事件です。決して間違ってはいけない行政の制度ですが、所詮人のやること、ミスはどうしてもでてしまうものです。いつも思うのですが、何故か間違って多く払ってしまったケースが少ないことです。それはともかく、再発防止の努力と迅速なリカバリーをお願いしたいと思います。

 また、昨日の記事の通り、当時、私もたった12年前の厚生年金記録を消された1人です。「昔の手書きデータを電子化する際に漏れた」との言い訳が利かない年数です。今回の労災記録抹消も、何故バックアップしていなかったのか不思議に思います。やはり、国のやることであっても万全の信頼を置くことなく、自らがチェックすることが必要ではないかと思います。記録を修正してもらうことは当然ですが、責任を追及する手間はそれなりに大変です。ここで行政側のミスを責めても、苦言を呈しても、問題提議しても、何の得にもなりません。何事も取引は相互確認が大切です。それは、買い物をして、お釣りを確認する作業に等しいものかもしれません。  

続きを読む »

 少し古いニュースですが、昨年秋に厚労省から掲題のミスが報告されました。ちょうど、労災セミナーのレジュメを作成していましたので、改めて取り上げたいと思います。

 かつて、「消えた年金」が大問題になったことがありますが、当然、労災でもさもありなん、と思います。私も3年分の厚生年金の加入記録を見事に消されました(怒)。

 実際、労災請求の現場では、従前から「労災はできるだけ使わないように」と会社側が労災請求に消極的な姿勢を感じています。使われている側・社員も、会社に逆らってまで請求はできません。それが、パート・アルバイト、契約社員なら尚更です。構造的に労災はアンタッチャブルなのです。では、手続きを助けてくれる業者や士業の先生が望まれますが・・肝心の社労士先生は会社側から顧問料をもらっている、言わば会社側の立場です。会社の意向に逆らって従業員を助けるわけがありません。もちろん、福利厚生に理解ある社長、つまり、従業員を大切にしている企業であれば、顧問の社労士先生にお願いしていただけます。しかし、このような企業は少数ではないかと思っています。

 今回、問題となった休業給付の手続きも、まぁ面倒なもので、特別給付を知らない人も多い。一部上場企業ならまだしも、会社側の事務員が不慣れな書類作成に右往左往、社労士の先生の多くも会社の要請無くば、まして無償では手伝いません。そして、昭和のお役所体質は改善したとはいえ、厚労省職員の信じられない電子的なミス・・・やはり、誰かが、手続き面で目を光らせる必要があります。今のところ、交通事故絡みならば私達がそれを担っていますが・・。

 人は基本的にミスをするものです。二重三重にチェックをする必要があり、請求側=民間の自助努力として、労災事故で苦しむ被害者を救済する体制も望まれると思う次第です。、  

休業補償27億円、処理ミスで1.1万人分支給遅れ 厚労省

  厚生労働省は7日、休業中の賃金を補償する労災保険の休業給付と休業特別支給金について、約1万1千人分(総額約27億8千万円)の支払いが遅れていると発表した。職員のシステムの誤操作が原因。同省は14日までの支払いを目指すとしている。

休業給付と休業特別支給金は労働者災害補償保険法に基づき、業務上の負傷などで労働ができない場合、休業4日目から支給される。支給額は休業1日につき賃金相当額の8割程度。

同省によると、6日に担当職員が会計システム上で支給に関係ない事務処理をしていたところ、誤操作で支給に関するデータを消去。本来は7日または10日に支給予定だったが、ほとんどが復元できず、予定通りの支払いができなくなった。

会計システムの操作は通常、複数人でチェックする体制だった。同省は誤操作の理由を検証し、再発防止策を検討する。

これまでに支給の申請者から支払いの遅れに関する問い合わせの電話が100件以上寄せられているといい、ホームページに問い合わせ先を公表するなどして対応している。同省担当者は「発表が遅れ、多大なご迷惑をおかけして申し訳ない。適切に対処していきたい」としている。 <日本経済新聞 平成30年9月7日>  

続きを読む »

 近年、悪質・危険な運転者に対する罰則強化のために、「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」(略称:自動車運転死傷処罰法)が、平成26年5月20日施行されました。従前の過失運転致死傷罪とは別物になったのです。

 交通事故で他人を傷つけたとしても、それは故意犯=「わざとではない」ので、殺人罪に比べてはるかに軽い罪に扱われてきました。確かに、飲酒運転や悪質な運転で被害にあった人にとって、「過失によるもの」など受け入れがたく、故意犯に近い厳罰を求める声が強かった背景があります。早速、内容を確認してみましょう。

 

続きを読む »

 年末です。飲みの席が多いこの季節、注意したいのは飲酒運転です。罰則強化の影響で違反者・摘発数は減少傾向です。それでも、今年は元アイドルグループの飲酒ひき逃げ事故など、飲酒運転をする人は一定数いるものです。

 近年の改正で処分・処罰の範囲が広がっています。まずは、飲酒運転者の基準について復習したいと思います。  

(1)飲酒ドライバー

続きを読む »

 若手に指導する立場となって数年・・事務所でも偉そうに訓戒をたれている毎日です。

 知識は文献をあさり、技術は経験で磨くものと思います。さらに、現場での応用力は、その人の持つセンスや人間性を加味した総合力の結集です。弊所の医療調査業務も、応用力が究極のスキルです。それは、まず原則を知ることから始まり、例外の経験を重ね、終には原則を打ち破る仕事を到達点と考えています。

 他事務所に目を向けると、以前から気になっていたことですが・・交通事故の経験浅い弁護士が、相場を大きく上回る慰謝料・逸失利益で賠償請求、結果として交渉が難航、解決まで大幅に時間を食っていることです。他事務所のことでもありますし、また、法律の専門家に対して苦言をできる立場ではないことは重々承知しています。しかし、明らかに知識の欠如に思えるケースが目につくのです。

 実例で説明します。交通事故・後遺障害の実に70%近くを占める、頚椎捻挫(腰椎捻挫含む)で相手の損保に逸失利益(将来の損害)を請求する場合、特殊な事情がない限り、通常、裁判上でも喪失期間は最長5年が相場です。当然、個々の症状に軽重はありますが、生涯その障害で苦しむ事は極めて稀で、神経症状は数ヶ月~数年で収まります。それを越えるものは、単なる頚椎捻挫を越えるもので、別の診断名で手術適用となります。単純なむち打ちであれば、相手損保も医学的なデータから、神経症状の残存をおよそ2年と主張してきます。対して、弁護士は交渉あるいは斡旋機関、裁判で5年の満額を目指して戦うことになります。ところが、赤い本の慰謝料満額である110万は良いとしても、なんと、むち打ちでほとんど生涯をふいにする=67歳までの逸失利益を請求する先生が今まで何人かおりました。

 おそらく、相手損保の担当者も苦笑していることでしょう。「ど素人先生」と内心小バカにしているかもしれません。世の中には相場というものがあります。確かに交渉ごとですから、最初は大きくふっかけるものでしょうが、度を越した山盛り請求は逆に、相手どころか斡旋機関や裁判官の心証を損なうリスクとなって跳ね返ってきます。これは業界における無知をさらす事になるのです。大体、捻挫の診断名で神経症状が一生続くなど・・医学・法律以前に、まず一般常識で考えればわかるでしょう?と言いたくなります。とりあえず単純に「最大限の請求を!」と、論拠乏しく計算したのかと思います。その点、事務所のボス・先輩弁護士が、あまりにも手放しで案件を任せていることは気になります。無法図な主張を放置ですから、しっかり監督・指導していないのでしょう。

 では、原理・原則に縛られ、判で押したように相場の範囲の主張に終始する姿はいかがでしょう?

 被害者の症状・事情を鑑み、個別具体的な賠償論を構築することこそ、法律家ではないかと思います。それらが成果となれば、判例ジャーナル等に掲載されますので、類似ケースを戦う者にとって大きな指標になります。もし、医学的常識を越えるようなひどい症状の被害者に対して、67歳まで神経症状が続く理由を立証し、賠償金を獲得すれば、それは画期的な仕事に生まれ変わります。それこそ、「常識を知って、常識を打ち破る」仕事かと思います。

 もちろん、法律家に限らず、あらゆる職業で応用力を発揮し、新しいアイデアを打ち立て、刮目すべき成果を残す者がおります。攻める姿勢は、原則を熟知したところからスタートします。原則を知らずに突っ走るなど蒙昧の徒に他なりません。まず、原則を知って、原則に拘泥することなく挑戦する姿勢はすべての仕事に通じると思います。    <最期に例題を> 

 ご存知、漫画・アニメのタッチから。17歳高校生で甲子園予選を前に、交通事故で亡くなった、主人公 上杉 達也の双子の弟 上杉 和也くん。彼の死亡による逸失利益を最大限に獲得する法理論構成をお願いしたいと思います。

続きを読む »

佐藤が担当します    労災の後遺障害等級認定には面談があり、顧問医や職員が等級を決定する為に「調査結果復命書」というものを作成致します。その文書一式に「顧問医の等級認定に関する意見書」と資料、「認定理由書」が入っている為、審査請求を行う場合には開示することが必須かと思われます。手続きについては診療報酬明細書開示等とほとんど一緒ですが、記載していきます。   1、まずは、厚生労働省のホームページにある「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」をダウンロードして、記入します。

2、具体的には、行政機関の長の欄には「労災指定病院の所在地の都道府県の労働局長」を記入し、開示請求する個人情報には「私が、〇年〇月〇日に負傷した通勤災害にかかる、〇〇労働基準監督署から支給決定を受けた障害等級認定の決定理由がわかる調査結果復命書文書一式。(障害補償給付請求書及び診断書を含む。)」というような文言を記載すればよいでしょう。開示するには300円(収入印紙)がかかります。

3、請求は窓口・郵送どちらでも可能ですが、

 窓口であれば・「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書」を郵送であれば「保有個人情報開示請求書(標準様式第1号)」、「身分証明書のコピー」、「住民票(請求の30日以内のもの)」を用意し、労働局総務部(各都道府県によって担当部署が違いますので、電話で確認をするとよいでしょう)に提出します。

4、その後決定の書類が届きますので、開示請求の意思を示します。開示書類の金額(切手)を支払うと、無事に資料が届きます。    ※:審査請求は、労災保険給付の決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に行う必要がありますので、ご注意ください。 続きを読む »

 労災の申請の場合、治療費や休業給付はそれぞれ病院・会社に記載いただければ、記載を間違えない限り、支給金額は請求どおりに支給されます。ここで、油断できない請求項目は何と言っても後遺障害です。

 後遺障害は第1級から14級まで細かく規定されています。ご存知の通り、自賠責保険はこれを準用しています。双方、まず、主治医に記載をお願いしますが、脊髄損傷や高次脳機能障害はじめ、難しい傷病・障害となれば、A4の診断書1枚ではとても足りません。診断書に添付すべき準診断書や意見書、各種検査データ、レントゲン、MRI、CTなど画像もすべて揃えて提出する必要があります。もっとも、労基の担当者が追って五月雨に要請してきますし、最終的には労災顧問医の診断の機会があります。そこで、誤診(誤判断)がなければ、無事に等級認定となります。

 ちなみに、自賠責は書面審査が原則です。(醜状痕の面接はその例外です。)だからこそ、後遺障害診断書の記載が重要で、それがおざなりであれば、残念な結果となります。異議申立件数の多さがそれを物語っています。

 (しかしながら、再請求で等級変更となる率は、ここ数年約5%と残念な結果)

 顧問医の診断があるからと言って、労災の審査・認定にも間違いがないとは言えません。必要な検査と正確な診断書を漏らさないよう、しっかり取り組む必要があります。ここに、医学的な知識がないと、どんな検査が必要で、どのような診断書が望ましいのかわかりません。したがって、医師に丸投げではなく、正確な誘導ができる専門家が潜在的に望まれています。

 弊所では年間200~300件の病院同行(場合によっては紹介)と医師面談、検査誘致を実施、間違いのない障害認定を確実にしています。また、地域の医療情報の精通につながっています。    

続きを読む »

  カルテ開示手続きは病院によって違います

 初回の自賠責保険請求ではほぼ使用しないカルテですが、再請求(異議申立)をする際に、初期症状や症状の推移を確認をするため、また、裁判上で症状の有無・程度が争われる場合、病院で開示請求をする必要が出てくることがあります。実際に、自賠責調査事務所に異議申立てをした際、カルテの提出を指示されることがありました。

 しかし、カルテ開示の請求は病院にとって一番嫌うことです。なぜなら、治療に疑問を持たれたと思われる上に、膨大な量のカルテをコピーすることになるからです。

 後述しますが、このため、カルテ開示請求の方法は病院によって異なってきます。具体的なカルテ開示方法については以下説明していきます。    方法1:郵便での取得    カルテが必要になった旨、必要な期間について記載された依頼書・請求書を病院に郵送して依頼する方法です。但し、この方法を拒否する病院が一般的です。なぜなら、カルテは重要な個人情報であり、診断書に記載されている個人情報以上に外部に漏れた場合のリスクが高いからです。そんなに簡単に考えてもらっては困るのでしょう。   方法2:病院窓口での取得    カルテが必要になったことを病院で直接説明し、取得申込書等に記入して行う方法です。この方法を採る病院が多い印象を持ちます。直接請求者を確認し、請求の理由と意思を検討できます。やはり、患者本人からの申請が望ましく、本人が高齢者や障害者であって難しい場合はご家族からの申請を原則としているようです。

 自賠責調査事務所へ提出するために取得するのであれば、方法1、2によることが多くなります。上記の法1、2による場合でも、士業の方が取得するには同意書も必要になります。但し、士業等や代理人の場合、病院がカルテ開示を拒絶して、本人からの請求のみ対応する場合もあります。なぜなら、治療行為が特に問題がなかったとしても、病院は医療過誤訴訟を恐れる立場にあるため、とくに相手が弁護士ともなると、当然に慎重になります。   方法3:弁護士会や裁判所からの命令    数ある病院の中には、患者本人からも、士業からもカルテ開示を拒否する場合もあります。セカンドオピニオンや患者への事前説明が重要視されている昨今では、珍しい部類になってきていると思います。このような場合には、弊所では連携先の弁護士に協力を要請します。弁護士会照会による診療記録を取り寄せる方法や、裁判中であれば裁判所からの命令による取得方法もあるそうです。      病院によってなるべく避けたいカルテ開示であることから、その開示方法は決まっていないことが多く、またその方法も病院によって異なるため、事前に病院の医事課に連絡してカルテ開示の担当者と密に連絡を取っていくことが必要になります。    もっとも、被害者請求や異議申立てであっても、不用意に病院を刺激することになりますので、できればカルテ開示をしないことに越したことはないと考えています。  

続きを読む »

お問い合せはお気軽に!

事務所メンバー

「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

代表者略歴を見る!

部位別解説 保険の百科事典 後遺障害等級認定実績(初回申請) 後遺障害等級認定実績(異議申立)

今月の業務日誌

2025年10月
« 9月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

月別アーカイブ