Q 営業の佐藤さんは仕事を終え、「いつもの飲み屋で待っているよ、」と同僚に声をかけ、先に仕事を上がりました。いつもの飲み屋は佐藤さんの行きつけの店で、日比谷線八丁堀駅出口前にあり、佐藤さんの通勤経路上となります。その飲み屋に向かう途中の横断歩道で交通事故受傷したのですが、通勤災害の適用は可能でしょうか?

A 終業後、飲み屋に向かう途中の事故受傷であっても、事故場所が通勤の経路上にあれば、通勤災害の適用が可能です。

 確かに、飲み屋に出かける目的で会社を後にしているのですが、労災保険では通勤行為について、そこまで厳格に個人の意思を捉えているのではありません。 外形的に判断すれば、紛れもなく通勤途上となりますので、適用がなされます。

 ただし、飲み屋に寄った後は、通勤経路上であっても、寄り道となり、通勤目的から外れますので、適用できなくなります。     Q 妻の入院している病院から通勤の途上、交通事故受傷したが、通勤災害となるでしょうか?

 これは、妻の付添看護のため、夫が寝泊りしている病院から徒歩で通勤の途上に事故受傷したものです。 自宅ではありませんが、通勤災害の適用は可能でしょうか?

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Q 出勤を断念し、家へ帰る途中の事故受傷は、通勤災害となるのでしょうか?

  A これは、通勤行為の中断となり、通勤災害は認められません。

 本件は、遅刻が確実となったことから、会社に電話、有給の請求をして、再び家に戻る途中の事故受傷です。これには合理的な理由がなく、通勤行為を中断した後の被災事故は、就業の予定もないため私的行為となり、通勤災害とはなりません。

 同じケースでも、列車事故により到底、勤務先に向かうことが不可能な場合や、交通事情による遅延等は、通勤災害として認められます。     Q 出社後、眼鏡を取りに戻る際に事故受傷しましたが、通勤災害となるでしょうか?

A 退勤ではなく、出勤行為の連続で通勤災害となります。

 労災は、1日について1回のみを、通勤と認めているのではありません。パートの主婦が昼休みに自宅に戻って食事を摂ることは、午前中の業務を終了して帰り、午後の業務に就くために出勤すると認められています。

 本件では出社後、眼鏡を忘れたことに気がつき、眼鏡がないと仕事にならないと判断、取りに戻ったケースです。出勤途中に忘れ物を取りに戻っても、出勤行為中となります。 合理的な経路を逸脱しない限り、通勤災害として認められます。

 なお、先のケースで、会社から「眼鏡を取りに帰るように」との指示がなされた場合、これは業務災害となります。 いずれにしても、適用される事実に違いはありません。  

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 被害者請求の方法について、復習したいと思います。(先月の山梨代協セミナーから抜粋)

後遺障害部分の損害が、重度の障害になると、 賠償金全体の平均85%・・・逃した魚は、本当に大きいのです。

   損害賠償を氷山に例えると、眼に見える部分が傷害部分=治療を完了するまでの損害です。後遺障害部分の損害は、海の中で見えませんが、総損害額に占める割合は、12級以上ともなれば、85%となります。 赤本基準で、ムチウチで非該当、14級9号、12級13号を比較してみましょう。

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 毎度、繰り返していますが、交通事故の重傷事案の解決に一番大事な書面は、後遺障害診断書に尽きます。    その診断書は医師が記載することになりますが、正直、完璧な診断書は少ないと思います。記載不足、不正確、余計な記述あり、左右を間違える、記載要領が自己流で的外れ・・・残念ながら、これが普通です。改めて復習したいと思います。近時の秋葉事務所が開いた研修会レジュメから抜粋しました。   (1)後遺障害診断書は医師に任せればOK? 不備だらけの診断書

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 最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 被害者請求の方法について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   被害者請求、必要書類と手続き

① 自動車損害賠償責任保険支払請求書

 これは、被害者請求の表紙となるもので、請求者と振込銀行を明示し、実印を捺印します。 ② 印鑑登録証明書

 請求者本人を確認するための印鑑登録証明書です。 ③ 交通事故証明書

 郵便局から申請すれば、1週間以内に送達されます。 ...

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 後遺障害申請のタイミングについて、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)   原則として、受傷から6カ月を経過すれば申請する。

ダラダラと漫然治療を続けてはならない。 却って認定率が下がる。

ムチウチでは、受傷から3、4カ月で、強引な治療の打ち切りが行われている。

 例外を除いて、事故受傷から6カ月を経過すれば、いつでも申請することができます。 自賠責は6ヶ月にこだわらないと言っていますが、一定の治療努力の果てに残存した症状が後遺障害です。  例外とは、頭部外傷後の高次脳機能障害、PTSDなどの非器質性の精神障害は、少なくとも受傷から1年間の治療の継続と経過観察が重視されています。 逆に切断肢(腕や脚の切断)は見た通りですので、受傷直後に申請しても問題ありません。  西洋医学においては、治療の延長線上に、治癒と症状固定の概念を有しています。治癒とは、文字通り、治ったことであり、症状固定は、現在の治療を継続しても、短期的に改善が得られることはなく、治療を中断しても、悪化する可能性が考えられない状態となったことです。 ...

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 最近、基本的な問い合わせ、質問が多い傾向です。私達にとっては日常業務の基本でも、被害者さんにとっては、生まれて初めて遭遇する交通事故かもしれません。当たり前ですが、被害者さん達にとって、基本的なことであっても難関となる問題です。

 後遺障害の定義について、復習したいと思います。 (先月の山梨代協セミナーから抜粋)  

 後遺症と後遺障害は、同じようで違います

   自賠法に規定されている後遺障害認定基準の詳細は、公開されていません。現状、労災の認定基準を基本として参照し、経験則に基づく違いを把握するようにしています。    一般に馴染みのある言葉は「後遺症」ですが、後遺症=後遺障害ではありません。 一般的にケガは、一定の期間、治療を続けて回復を目指すことになります。しかし、すべてのケガが完治に至るわけではありません。手足の欠損は当然として、治療が完了しても症状が残ることがあり、これら残存する症状は、後遺症と呼ばれています。    では、「後遺障害」とは何か・・自賠責保険で認定された後遺症のことです。 交通事故による後遺障害は、1~14級、140種の後遺障害が35系列に分類され、自動車損害賠償保障法に細かく規定されています。労災の規定に準拠したものですが、100%同じではなく、わずかの違いがあります。ただし、後遺障害の認定基準に関する詳細情報は開示されていません。    後遺障害ですが、上位等級となれば、就労復帰も実現できない深刻な状態ですが、10~14級の中には、5年も経過すれば、限りなく元通りとなるモノも、数多く存在しているのです。      常識的には、後遺障害といえば、植物人間や手足の切断を連想しますが、保険のプロである皆様は、「一生を棒に振ってしまうモノだけが後遺障害でない」ことに、認識を新たにする必要があります。      

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 TFCC損傷は珍しい傷病名のはずです。確定的な診断など、専門医以外は困難です。しかし、この10年、その診断名を口にする被害者さんが激増しました。昔は単なる手首の捻挫でしたが、今や交通事故関連のHPには必ず解説されています。ある傷病名がネット情報で拡散され、ブレイクするのです。おかしな現象と思います。これを業界では”宮尾シンドローム”と呼んでいます。  そんな診断名は、まぼろし~

 さて、本件のミッションは橈骨骨頭部の骨折を起因とする、尺骨突き上げによるTFCC損傷の立証です。過去に類似例を経験していますので、まずは12級を目指しました。しかし、そう簡単ではありません。

 かつて、日本でも指折りの手関節専門医である3名の医師に面談しましたが、MRIの画像上、断裂やはく離が明確なものは手術適用ですが、不明瞭なものが圧倒的多数であり、真のTFCC損傷の診断名とするかは、かなり慎重でした。専門医は口を揃えて、「MRI画像は一つの要素であり、自覚症状の聴取はもちろん、触診や検査を重ねて、ようやく確定診断に至る」そうです。

 あいまいな所見の場合、「手術をするか、しないか?」が問われます・・本当に痛みがひどいのか否か、ある意味、踏み絵のようです。    話を変えましょう。自賠責が画像所見を絶対とする理由は、事故受傷との直接因果関係を重視するからです。つまり、事故による人体の破壊(器質的損傷)にこだわります。一方、労災は経年性の変性が原因の一端であっても、「痛みがある」状態を大事にしてくれます。その点、労災は12級が取り易い。双方の審査基準の違いを感じるところです。とくに、(あいまいな)TFCC損傷を追求すると、自賠14級&労災12級の結果が定番に思えます。  ←誰だ?  TFCC損傷は、どんだけ~?   

14級9号:橈骨骨頭部骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

バイクで直進中、左折自動車に巻き込まれ受傷、右腕の肘(橈骨骨頭部)と第3指(中指)末節骨を骨折したもの。その後、尺骨突き上げ症候群を併発、手首のTFCC損傷の診断名が加わった。 ...

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 ここまで毎度のごとく、人身傷害をディスってきました。裏を返せば、発売当時、保険に関わる者すべてが「本当にいい保険がでたものだなぁ」と大歓迎の保険だったのです。  

「夢の全額補償」 と 「安心の実額補償」

   「夢の全額補償」とは、自身の過失に関わらず、損害の全額が支払われる、しかも、相手との示談を待たず、支払ってくれる・・保険の常識を覆すものです。三井住友さん、あいおいニッセイ同和さんはこれを捨て去りましたけど。

 「安心の実額補償」とは、死亡で○○万円、通院1日あたり○○円と、保険金額が決定している状態で契約する従来の保険ではなく、治療費や休業損害を実費で支払うことです。これによって、充実した補償が得られるはずですが、問題は、慰謝料や逸失利益といったものまで保険会社の基準で計算されてしまう点です。

 人身傷害は元々、アメリカのNo Fault保険をベースに日本版を開発したものです。訴訟社会のアメリカでは、交通事故も当然に長い争いとなり、少なからず訴訟に発展します。No Fault保険は、相手との示談を待たずに、当面の補償が得られる画期的な保険なのです。ただし、No Fault保険には慰謝料や逸失利益は含まれません。この部分は簡単に決まるものではなく、多くは交渉や訴訟の末に決まるものです。その金額も人によって差が莫大です。よって、保険会社が安易に自社基準で決定するに馴染まないのです。ところが、日本の人身傷害は、これらを入れてしまった・・これが、支払保険金算定の問題(訴訟基準差額説、人身傷害基準差額説)として残ってしまったのです。

 私は、人身傷害はその商品開発自体に問題があったと思っています。

 実は、保険会社の立場も理解できるのです。保険会社はそもそも人身傷害を補償保険として売りたかった、ところが勢い余ってか、慰謝料や逸失利益など賠償保険と重なる項目を混ぜてしまった・・。

 それでも、事故の責任が100%自分にある事故や自爆事故の場合、今までは補償保険である自損事故保険のみ、あとは、自身で加入している傷害保険や共済しか頼れなかったところ、人身傷害で治療費や休業損害が実額で確保でき、さらに、自分が悪いのにも関わらず、慰謝料や逸失利益など賠償的なものまで払ってくれる・・これは画期的なことです。

 また、事故の加害者が無保険で(あるいは、最悪の無自賠)あっても、人身傷害で保障されるのです。無保険の加害者はたいてい支払能力がありません。今までは相手の自賠責、あるいは政府の保障事業への請求が残された手段でした。被害者は苦労して、その手続きをするしかなかった・・しかし、人身傷害が(裁判で勝ち取る額より低いとはいえ)慰謝料や逸失利益を払ってくれるのです。

 つまり、この2ケースの場合、人身傷害は被害者を助ける新たなセーフティーネットになったのです。その大恩ある保険会社さんに向かって、「慰謝料・逸失利益を裁判基準で払って」は、図々しいにも程があると思います。

 私が提唱しているのは契約者・保険者(保険会社)双方にフェアな契約、納得のいく支払基準にして欲しいことです。

 やはり、加害者が存在する場合、相手が無保険の場合、自損事故の場合、支払基準を分けるわけにはいかないでしょうか。

 それは、以前の記事 ⇒ 人身傷害特約 支払い基準の変遷 ⑱ 最終回 誰がために金は成る?  

第6条 損害額の決定(理想)

(1)損害の総額は当社の基準で算定します。

(2)相手からの回収金、もしくは相手との交渉で決まった総損額が(1)の金額を上回る場合、弊社と協議の上、(1)の規定に関わらず、その金額を総損害額とみなします。 ...

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 現在、人身傷害の支払基準は各社、一応の落ち着きをみせたようです。

 平成24年2月の最高裁判決「裁判基準差額説」を受けて、敗訴となったあいおいさんがいち早く約款を現在に近い内容に改定し、各社もそれぞれ知恵を絞って(?)、人身傷害基準での支払で済ますように工夫した結果です。他の2グループを復習します。   ○ 東京海上日動さん

なお、賠償義務者があり、かつ、判決又は裁判上の和解において、賠償義務者が負担すべき損害賠償額がこの人身傷害条項の別紙の規定と異なる基準により算定された場合、であって、その基準が社会通念上妥当であると認められるときは、自己負担額(被害者の過失分)の算定にあたっては、その基準により算定された額を(2)の規定(=人身傷害の支払保険金)により決定された損害額とみなします。    私が読んだ保険約款でもっとも難解な文章です。弁護士先生も理解に苦しんでいます。

 この条項で、「人身傷害を先行し、後に裁判で勝ち取った額から返す分は、裁判で決まった総額を基に計算します」と、裁判基準差額説に適応させましたが、判決で宮川判事が宿題とした・・「人傷か賠償か、請求の順番で被害者が得る保険金が変わるのはおかしい」という問題は解決していません。完全にスルーされています。事実、この数年間、連携弁護士はがいくつかの事案で、賠償先行の末、人身傷害に被害者の過失分を請求したところ、「上の規定は求償の場合であって、賠償先行し、そこで決まった裁判基準額を丸々払う規定など約款のどこにもありません」とはねつけられています。約款解釈ではそうなりますが、これは約款の不作為であって、納得できないものです。   ○ 三井住友さん

第5条(損害額の決定)

(2)賠償義務者がある場合には、保険金請求権者は、(1)の区分(=傷害、後遺障害、死亡)ごとに<別紙)(=人身傷害支払基準)に定める基準により計算された金額のうち、賠償義務者に損害賠償請求すべき損害に係る額を除いた金額のみを当社が人身傷害保険金を支払うべき損害の額として、当社に請求することができます。

 太字は、つまり、自身の過失分を指します。私達はこの条項を「過失分限定払い」と呼んでいます。この条項によって、人身傷害に先に請求しても、人身傷害発売以来の売りだった「夢の(過失減額のない)全額補償」はダメになったのです。三井住友さんやあいおいニッセイ同和さんは、人身傷害そのものを改悪させたと言っていいでしょう。さらに、

① 当社と保険金請求者との間の協議

②  ①の協議が成立しない場合は、当社と保険金請求者との間における訴訟、裁判上の和解または調停。    支払保険金はこの2行で決定すると・・つまり、「加害者との裁判で決まった額を認める」とはしていません。まず、協議、そして、まとまらなければ、「うちに保険金請求訴訟を起してね」と居直り約款で締めくくっています。なんとしてでも裁判基準では払いたくない強い信念を感じます。この点のみでは、損J日興は潔いと思います。    そして、両グループとも、無保険車傷害保険は人身傷害に組み込まれ、支払基準を同じくしています。

 つづく  

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 昨日の約款条項を、損保ジャパン日本興亜さん(平成30年1月版)から確認してみましょう。

第6条(損害額の決定)

(3)(1)および(2)の規定にかかわらず、賠償義務者があり、かつ、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額をこの人身損害条項における損害額とみなします。 ただし、その損害額が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

※ 緑字は弊社が定める損害算定基準に従い算定された金額=人傷基準 を指しています。    普通なら、ここで、「あぁ、ついに裁判基準を認めてくれたのだな」と思ってしまいます。    ところが、以下の8条で、「ただし、限度額があります。それも人身傷害の基準額です」と・・   第8条 (支払保険金の計算)

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毎度お馴染み、人身傷害ウォッチャーの秋葉です。 久々にこのシリーズを続けます。    以前まで・・・人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ①    今回の問題ですが、以前から損保ジャパン日本興亜のグループは賠償先行でも人傷先行でも、裁判となれば、その基準を総損害額とみなす規定であることを評価して、「24年2月最高裁判例に応じた約款改定をして、潔い」としました。しかし、ある約款条文を見落としていました。これは既に、あいおいニッセイ同和さんが採用していた、上限規定です。これについては過去記事をご覧下さい。    人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ③    この③で指摘していることは・・・「人身傷害の損害額について、裁判で決まった額を総損害額と認めますが、支払う人身傷害保険金は限度があり、その限度額は人身傷害基準で計算された額です」との条項によって、以下の不都合が起きることです。

 自身に過失が大きい場合、例えば80:20ですと、裁判で相手から20%を回収し、次いで自契約の人身傷害に80%を請求しても、人身傷害の限度額規定によって、この裁判基準の80%は確保できない、つまり、総損害額の全額確保はできない問題です。

 これが、損保ジャパン日本興亜の約款にも含まれていたのです。書き方が巧妙で、気付くのが遅れました。この条項は、日本興亜と合併を機とした約款改定(平成26年7月1日~27年9月30日)から確認できます。この約款によって、裁判基準額で人身傷害(無保険車傷害)を回収する方法が潰されています。具体的に説明します。

 加害者が無保険で過失割合は0:100、相手が一方的に悪い事故です。この場合、相手からの回収は諦め、自契約の人身傷害に請求することが、残念ながら普通のことでした。多くの交通事故相談でも、そのように回答しているようです。しかし、私達が以前から推奨してきた策は、「まず、相手と裁判して、(すんなり回収できれば解決ですが)、相手の支払可能の有無に関わらず、判決額を確保します。

 そして、その額を人身傷害、あるいは無保険車傷害に請求するものです。

 この、いわゆる宮尾メソッドを全国の弁護士に流布してきました。

 人身傷害の約款では裁判基準で支払うか否か、長い間、不明瞭な記載が続きました。これが平成24年2月の最高裁判例で定まったのですが、定まったのはあくまで、人身傷害の先行請求後の求償額についてです。これを受けて、各社、約款改定しましたが、どうもスッキリしません。東海のグループは求償規定のみで、賠償先行については記述無し(つまり、無視?)、三井住友のグループは「協議」で逃げて(?)います。

 また、無保険車傷害保険が人身傷害に併存しており、その支払基準は、そもそも「まず、保険会社基準で計算しますが、裁判となればその額を支払う」としていましたので、支払基準のダブルスタンダード状態だったのです。

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 先日の代理業協会のセミナーから、反響が大きかったテーマを少し取り上げます。    私の保険会社での研修時代は、SC配属時も含め、徹底的に知識を詰め込まれましたが、何故か後遺障害の知識だけはポッカリ穴が空いたように、学ぶ機会がありませんでした。あたかも後遺障害だけを避けているかのようです。

 また、ある代理店さんから聞きましたが、「秋葉事務所は保険会社の支払を増大させる、リザルトを悪化させる立場の人間」であり、拒絶感をもっているそうです。しかし、講義を聴いた皆様はお分かりと思います。保険とは適正な支払と、それに応じた掛け金によって、制度が保たれているものです。支払いの増大は、掛金値上げ、あるいは補償内容の縮小で調整するものです。本来、保険会社が払い渋りをする必要などないのです。それなのに、保険会社や代理店さんが、自らのお客様に対して後遺障害を秘匿し、不当に低い支払いをすることは、むしろ、このバランス・均衡を阻害するものです。

 そして、真にリザルトを悪化させる者は不正請求者のはずです。この者達が共通の敵であり、保険会社や代理店さん、そして交通事故に携わる者すべてが、協力してその排除に注力すべきなのです。適正な保険金支払と、リトン・ベイシス・ロスレシオから適正な保険料が算出されること、これこそ、人智が生み出した保険と言うシステムだと思います。  

排除すべき被害者御三家

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(Q1) 会社で禁止されているマイカー通勤で交通事故受傷したのですが、通勤災害の適用はできますか?

(A) 通常用いられる交通方法である限り、通勤災害となります。 労災保険法7条の2では、「通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路および方法によって往復することをいい、業務の性質を有するものを除く、」 と規定しています。つまり、勤務先がマイカー通勤を禁止していたとしても、先の要件に合致しているか否かで判断がなされます。したがって、労災はOKですが、会社は嫌な顔をすると思います。やはり、会社のルールも守るべきでしょうか。   (Q2) 出張中の事故?  弊社の社員の井上さんが鹿児島に出張しました。駅近くの酒屋で土産の焼酎を物色中に、酒屋の店舗に運転を誤って飛び込んだ自家用車の衝突を受け負傷し、現在入院を続けています。 土産物の物色中は、厳密には業務ではありませんが、業務災害の適用は可能でしょうか?

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 秋葉事務所では、交通事故被害者が労災も併せて請求できる場合、積極的にお手伝いをしています。自賠責で揃えた書類のコピーが使えますので、その申請作業など、行きがけの駄賃に等しいものです。

 後遺障害は労災と自賠、両方に請求はできますが、丸々二重取りはできません。どちらか先に入金した場合、片方は重なる部分を計算・控除します。これを、支給調整と言います。

 問題は労災7級以上の重傷者です。7級以上は一時金ではなく、年金払いとなりますので、支給調整の計算が困難です。そこで、特別給付金などの一時金は即時に支払われますが、年金は数年間、支給据え置きの措置となります。この据え置き年数は長らく3年でしたが、最近、改正されました。詳しくは、以下、労災の文章を読んでみましょう。(通達を原文のまま転載しました)

第三者行為災害事案に関する控除期間の見直しについて

{現状}

○ 災害事故が第三者の行為によって生じた事案については、被災労働者が、労災保険の請求権と第三者に対する損害賠償請求権を同時に取得する場合がある※。

※ 例えば、仕事中の交通事故について、被労働者が、労災保険の請求権に加え自賠責等の損害賠償請求権を取得する場合   ○ 被労働者が第三者から損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険供給を控除することができるとされており、現行では控除を行う期間を3年間としている※。

〔控除期間が3年である理由〕

○ ...

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 今月号の通信で特集した「労災」ですが、よくまとまっていましたので、こちらにも掲載したいと思います。    労災は大きく分けて、「業務災害」と「通勤災害」です。補償内容については、労働基準法に「災害補償」に関する条文が定められています。条文に沿って、補償内容を確認しましょう。   【1】補償内容(第8章 災害補償)    (1)療養補償(第75条)

・・・労働者が業務上、ケガもしくは病気にかかった場合、その治療費を支払います。

(2)休業補償(第76条)

・・・ケガや病気での療養で仕事を休んだ場合、賃金の60/100(平均賃金)を休業4日目から支払います。 (3)障害補償(第77条)

 ・・・ケガや病気で障害が残った場合、その程度(1級~14級)に応じて、補償金がでます。7級以上の重い障害には年金での支払いとなります。

(4)遺族補償(第79条)

(5)葬祭費(第80条)

 ・・・死亡の場合、平均賃金の1000日分が支払われます。   葬祭費は平均賃金の60日分。   【2】労災使用のメリット   続きを読む »

 東京はじめ関東地方は4年ぶりの大雪となりました。昨日、社員は3時に帰宅としましたが、少し遅れて退社した者は渋谷の大渋滞に引っかかってしまいました(帰宅まで3時間半もかかったそうです)。

 火災保険の家庭用商品の多くで、雪災は支払いの対象となっております。この機に火災保険の雪災について復習しましょう。以下、ベーシックな商品の解説で、最新の商品までチェックしていません。詳しくは保険証券と約款を確認して下さい。

 また、転倒してケガをした場合(入院・通院を伴うケガ)は、ほとんど傷害保険で支払い対象です。火災保険に傷害特約が付いている場合は要チェックです。     (1)風災・雹災(ひょうさい)・雪災

 風災・雹災(ひょうさい)・雪災により家屋が損傷した、などの損害に、保険金をお支払いします。対象は家屋のみならず、通常、ガレージ・物置・門塀垣根も含まれますので証券にそれらが含まれているか確認して下さい。今回もガレージが潰れた被害が多かったようです。また雨どいが落ちたなどの損害も対象なので、家の周りをチェックして下さい。

★ フランチャイズ20万とは?

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 自賠責保険の後遺障害認定基準は労災から派生したもので、内容の大部分は準用されたものです。しかし、細部には色々と違いがあります。私達がとくに違いを感じる部分は、「因果関係」に関して自賠責は異常に厳しい目をむけることです。当該事故による障害なのか否かについて、自賠責は厳格にジャッジしますが、労災は緩いものです。

 本件は加害者が誰かわからないものの、交通事故受傷によるケガ・後遺症が明らかだったと言えます。仮に自爆事故であっても労災はOKですから。いつもと違うのは、加害者が自動車・人間ではないことでしょうか。また、労災申請のほとんどは自賠責の申請に続く付帯作業ですが、労災オンリーの申請は珍しいものです。

 ちなみに動物は道路交通法上、「物」扱い、所有者がいれば動物のケガは対物賠償の対象となります。野生動物だから所有者はいないことになりますが・・。  

労災 7級3号:高次脳機能障害(60代男性・静岡県)

【事案】

山中の道路を2輪車で走行中、動物と衝突して受傷した。熊か鹿か猪か?・・いずれも自賠責保険未付保は間違いない。    続きを読む »

 自賠責保険の資金、つまり、契約者から集めた掛金が勝手に他所に貸し出して、戻ってこない? 問題があります。

 簡単に説明しますと・・自賠責保険の支払い準備金は、所管の国土交通省、要するに国が管理しています。交通事故被害者救済のために貯めたお金ですが、割と余裕を持って貯めてこんでいるものです。これを、国が財政難の名目で、自由に使えるお財布へ一時的に貸し出しをしています。しかも、一向に返さない・・。この問題ですが、以下、毎日新聞さんの記事を読んでみましょう。  

度重なる延期 6000億円超の期限が来年度に 

 交通事故対策のために限定して集められた自賠責保険の資金が、国の歳入不足を補填するため一般会計に繰り入れられている。それを自賠責保険の勘定に繰り戻す期限が来年度に迫っている。ところが、来年度予算の概算要求額は4年連続で100兆円の大台を突破し、拡大に歯止めがかからない状態だ。その一方で、2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げは、これまで2度にわたり繰り延べされており、ひょっとしたら3度目があるかもしれない。6000億円を超す自賠責の資金は一般会計に取り込まれたまま戻ってこないのではないかと、関係者の心配は募るばかりだ。

 一般に自賠責保険と呼ばれている自動車損害賠償責任保険は、交通事故に遭った被害者の救済を目的とした制度だ。自動車と原動機付自転車で公道を走る場合、自賠責保険に加入した車両以外は運転してはならないことから、強制保険とも形容されている。

 1955年の自動車損害賠償保障法施行に伴い開始され、あらかじめ自賠責保険に加入することで、被害者は被害者請求制度を使って交通事故の加害者を介さず、最低限の損害賠償金を被害者が直接受け取ることができる。

 自賠責保険に加入していない車両が引き起こした事故や、ひき逃げで加害者が不明なケースでも、交通事故の被害者補償を行っている。公益性の高い制度で、その原資は、自賠責保険の保険料がベースとなっている。

 この自賠責保険を基盤に運営されている自動車損害賠償保障制度は、01年の自賠法改正で現在の仕組みに移行した。損害保険会社の支払い能力に問題がないとして、政府が行っていた再保険の仕組みを廃止した。再保険料の運用益などプールされていた約2兆円の資金のうち1兆1000億円は保険料の引き下げなどユーザーの利益還元に用い、残る8700億円は積立金とし、その運用益を被害者救済と事故防止対策のための資金にすることになった。

 ところが、再保険制度が廃止となる前から、政府が運営していた自賠責の再保険運用益は「埋蔵金」とみなされるようになり、財政赤字の穴埋めのため、自賠責にまつわる特別会計から一般会計へ繰り入れられてしまった。

 94年度と95年度で1兆1200億円が一般会計に繰り入れられた。96年度から繰り戻しが始まったものの、基金への繰り戻し額は今年度末で6921億円にとどまり、元本で4848億円、その間の運用益相当分の1321億円と合わせ、6169億円が一般会計から返還されないままになっているという。  

積立金の取り崩し続く

 その結果、自動車事故対策機構(NASVA)などが行っている被害者救済や事故防止のため、その運用益を充てるとされた積立金の額は1786億円に細ってしまった。被害者救済と事故防止のための年間の経費127億円のうち運用益で賄える分は約30億円で、毎年100億円程度は積立金を取り崩さざるを得ず、このままでは制度の維持が心配される事態に至るのではないかと心配されている。

 被害者救済と事故防止対策の充実が、このままでは妨げられてしまうとして今年9月には、国土交通省が設けた「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」と、金融庁の「自動車損害賠償責任保険審議会」のメンバーを中心に、「自動車損害賠償保障制度を考える会」をつくり、意識障害の交通事故被害者の家族でつくる会や、自動車産業の労使でつくる団体、損害保険会社の労組連合会などの支援を受け、一般会計からの全額繰り戻しを実現するため、政官界に向けた要請活動を行うことになった。

 積立金の運用益をもとにした被害者救済と事故防止対策については、交通事故の件数や死者の減少とは異なり、対応のさらなる充実が求められている。それが、「考える会」の要請活動の背景にあるようだ。

 交通事故による死者数はさまざまな対策の結果、大きく減っているものの、重度の後遺障害者は交通戦争と言われた時代と比べそれほど減っていない。救急医療も含めた医学の進歩や車の安全性能が向上し、道路設備の整備も進んだこともあって、死亡事故になる確率が減っている。

 交通事故により遷延性意識障害を負った重度の後遺障害者については、積立金の運用益をもとにNASVAが運営している療護施設の役割が大きい。NASVAが運営している療護施設での症例は、脳神経外科学会や意識障害学会での研究発表を通じ学術的にも貢献し、これからの医療にとって最大の課題と言ってもいい大脳機能の解明にも役立つだろう。意識障害の患者の家族を長期に支えるための介護料の支給も重要な役割だ。

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 今年も多くのセミナーを開催しました。中でも損保代理店さま向けのセミナーでは、交通事故最前線の皆様であるゆえ、たくさんのご参加、そして、ご質問を頂きました。久々のシリーズで、質疑応答例を紹介します。(個人情報に配慮し、内容を改変しています)   (質問:相手が保険を使わないと言って・・)

交差点で自動車同士の接触事故となりました。幸い、ケガもなく、自動車の修理費は30万円程でしょうか。当然、お互いの任意保険会社で交渉・示談しましょうと持ちかけました。ところが、相手は「俺は悪くない」の一点張りで埒が明かず、分かれて保険会社に事故報告しました。しかし、相手の保険会社は対応してくれません。相手の担当者が言うには、「契約者さんが保険を使わないと言っていますので、弊社としても対応できかねます」・・だそうです。こんなことが許されるのでしょうか(怒)!

(回答)

 契約者が保険を使わないのだから、対応できない・・・頭にきますが、一見、納得させられそうな理屈です。しかし、ほとんどすべての自動車保険約款には”直接請求権”という条項があります。これは、一定の条件のもとに被害者側が賠償請求してきた場合、保険会社は契約者の意向に関わらず、対応しなければならないルールです。

 例えば、被害者が裁判で訴えてきた場合、判決・和解がでたら、加害者の保険会社はその額を請求されたら応じなければなりません。また、加害者・被害者間でお互いに賠償金のやり取りをしないと書面で合意したケース(もっとも、この場合、最初から保険会社同士の交渉・示談になりますね)、加害者側が死亡や破産したケースです。

 つまり、先の相手損保担当者の(対応できないと言う)言い訳は約款違反です。「直接請求権の条件を満たせば対応できます」と回答すべきです。もっとも、保険会社のSC職員であっても、この条項を良く知らないようです。信じられないですが、すっとぼけているのではなく、本当に「初めて聞いた」との担当者さんに何人も出くわしました。     以下、約款(損保ジャパン)を転載します。対人、対物の第8条です。

 より詳しく知りたい方は ⇒  事故の相手が保険を使ってくれない を熟読して下さい。  

 第8条(損害賠償請求権者の直接請求権) (1)対物事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して(3)に定める損害賠償額の支払を請求することができます。 (2)当会社は、次の①から④までのいずれかに該当する場合に、損害賠償請求権者に対して(3)に定める損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当会社がこの対物賠償責任条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うベき保険金の額(同一事故につき既に支払った保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)を限度とします。 ① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合 ② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合 ③ ...

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