昨日の約款条項を、損保ジャパン日本興亜さん(平成30年1月版)から確認してみましょう。

第6条(損害額の決定)

(3)(1)および(2)の規定にかかわらず、賠償義務者があり、かつ、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって、判決または裁判上の和解において(1)および(2)の規定により決定される損害額を超える損害額が認められた場合に限り、賠償義務者が負担すべき法律上の損害賠償責任の額を決定するにあたって認められた損害額をこの人身損害条項における損害額とみなします。 ただし、その損害額が社会通念上妥当であると認められる場合に限ります。

※ 緑字は弊社が定める損害算定基準に従い算定された金額=人傷基準 を指しています。    普通なら、ここで、「あぁ、ついに裁判基準を認めてくれたのだな」と思ってしまいます。    ところが、以下の8条で、「ただし、限度額があります。それも人身傷害の基準額です」と・・   第8条 (支払保険金の計算)

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毎度お馴染み、人身傷害ウォッチャーの秋葉です。 久々にこのシリーズを続けます。    以前まで・・・人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ①    今回の問題ですが、以前から損保ジャパン日本興亜のグループは賠償先行でも人傷先行でも、裁判となれば、その基準を総損害額とみなす規定であることを評価して、「24年2月最高裁判例に応じた約款改定をして、潔い」としました。しかし、ある約款条文を見落としていました。これは既に、あいおいニッセイ同和さんが採用していた、上限規定です。これについては過去記事をご覧下さい。    人身傷害の約款改悪シリーズ 夢の全額補償が破壊された ③    この③で指摘していることは・・・「人身傷害の損害額について、裁判で決まった額を総損害額と認めますが、支払う人身傷害保険金は限度があり、その限度額は人身傷害基準で計算された額です」との条項によって、以下の不都合が起きることです。

 自身に過失が大きい場合、例えば80:20ですと、裁判で相手から20%を回収し、次いで自契約の人身傷害に80%を請求しても、人身傷害の限度額規定によって、この裁判基準の80%は確保できない、つまり、総損害額の全額確保はできない問題です。

 これが、損保ジャパン日本興亜の約款にも含まれていたのです。書き方が巧妙で、気付くのが遅れました。この条項は、日本興亜と合併を機とした約款改定(平成26年7月1日~27年9月30日)から確認できます。この約款によって、裁判基準額で人身傷害(無保険車傷害)を回収する方法が潰されています。具体的に説明します。

 加害者が無保険で過失割合は0:100、相手が一方的に悪い事故です。この場合、相手からの回収は諦め、自契約の人身傷害に請求することが、残念ながら普通のことでした。多くの交通事故相談でも、そのように回答しているようです。しかし、私達が以前から推奨してきた策は、「まず、相手と裁判して、(すんなり回収できれば解決ですが)、相手の支払可能の有無に関わらず、判決額を確保します。

 そして、その額を人身傷害、あるいは無保険車傷害に請求するものです。

 この、いわゆる宮尾メソッドを全国の弁護士に流布してきました。

 人身傷害の約款では裁判基準で支払うか否か、長い間、不明瞭な記載が続きました。これが平成24年2月の最高裁判例で定まったのですが、定まったのはあくまで、人身傷害の先行請求後の求償額についてです。これを受けて、各社、約款改定しましたが、どうもスッキリしません。東海のグループは求償規定のみで、賠償先行については記述無し(つまり、無視?)、三井住友のグループは「協議」で逃げて(?)います。

 また、無保険車傷害保険が人身傷害に併存しており、その支払基準は、そもそも「まず、保険会社基準で計算しますが、裁判となればその額を支払う」としていましたので、支払基準のダブルスタンダード状態だったのです。

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 先日の代理業協会のセミナーから、反響が大きかったテーマを少し取り上げます。    私の保険会社での研修時代は、SC配属時も含め、徹底的に知識を詰め込まれましたが、何故か後遺障害の知識だけはポッカリ穴が空いたように、学ぶ機会がありませんでした。あたかも後遺障害だけを避けているかのようです。

 また、ある代理店さんから聞きましたが、「秋葉事務所は保険会社の支払を増大させる、リザルトを悪化させる立場の人間」であり、拒絶感をもっているそうです。しかし、講義を聴いた皆様はお分かりと思います。保険とは適正な支払と、それに応じた掛け金によって、制度が保たれているものです。支払いの増大は、掛金値上げ、あるいは補償内容の縮小で調整するものです。本来、保険会社が払い渋りをする必要などないのです。それなのに、保険会社や代理店さんが、自らのお客様に対して後遺障害を秘匿し、不当に低い支払いをすることは、むしろ、このバランス・均衡を阻害するものです。

 そして、真にリザルトを悪化させる者は不正請求者のはずです。この者達が共通の敵であり、保険会社や代理店さん、そして交通事故に携わる者すべてが、協力してその排除に注力すべきなのです。適正な保険金支払と、リトン・ベイシス・ロスレシオから適正な保険料が算出されること、これこそ、人智が生み出した保険と言うシステムだと思います。  

排除すべき被害者御三家

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(Q1) 会社で禁止されているマイカー通勤で交通事故受傷したのですが、通勤災害の適用はできますか?

(A) 通常用いられる交通方法である限り、通勤災害となります。 労災保険法7条の2では、「通勤とは、労働者が就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路および方法によって往復することをいい、業務の性質を有するものを除く、」 と規定しています。つまり、勤務先がマイカー通勤を禁止していたとしても、先の要件に合致しているか否かで判断がなされます。したがって、労災はOKですが、会社は嫌な顔をすると思います。やはり、会社のルールも守るべきでしょうか。   (Q2) 出張中の事故?  弊社の社員の井上さんが鹿児島に出張しました。駅近くの酒屋で土産の焼酎を物色中に、酒屋の店舗に運転を誤って飛び込んだ自家用車の衝突を受け負傷し、現在入院を続けています。 土産物の物色中は、厳密には業務ではありませんが、業務災害の適用は可能でしょうか?

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 秋葉事務所では、交通事故被害者が労災も併せて請求できる場合、積極的にお手伝いをしています。自賠責で揃えた書類のコピーが使えますので、その申請作業など、行きがけの駄賃に等しいものです。

 後遺障害は労災と自賠、両方に請求はできますが、丸々二重取りはできません。どちらか先に入金した場合、片方は重なる部分を計算・控除します。これを、支給調整と言います。

 問題は労災7級以上の重傷者です。7級以上は一時金ではなく、年金払いとなりますので、支給調整の計算が困難です。そこで、特別給付金などの一時金は即時に支払われますが、年金は数年間、支給据え置きの措置となります。この据え置き年数は長らく3年でしたが、最近、改正されました。詳しくは、以下、労災の文章を読んでみましょう。(通達を原文のまま転載しました)

第三者行為災害事案に関する控除期間の見直しについて

{現状}

○ 災害事故が第三者の行為によって生じた事案については、被災労働者が、労災保険の請求権と第三者に対する損害賠償請求権を同時に取得する場合がある※。

※ 例えば、仕事中の交通事故について、被労働者が、労災保険の請求権に加え自賠責等の損害賠償請求権を取得する場合   ○ 被労働者が第三者から損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険供給を控除することができるとされており、現行では控除を行う期間を3年間としている※。

〔控除期間が3年である理由〕

○ ...

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 今月号の通信で特集した「労災」ですが、よくまとまっていましたので、こちらにも掲載したいと思います。    労災は大きく分けて、「業務災害」と「通勤災害」です。補償内容については、労働基準法に「災害補償」に関する条文が定められています。条文に沿って、補償内容を確認しましょう。   【1】補償内容(第8章 災害補償)    (1)療養補償(第75条)

・・・労働者が業務上、ケガもしくは病気にかかった場合、その治療費を支払います。

(2)休業補償(第76条)

・・・ケガや病気での療養で仕事を休んだ場合、賃金の60/100(平均賃金)を休業4日目から支払います。 (3)障害補償(第77条)

 ・・・ケガや病気で障害が残った場合、その程度(1級~14級)に応じて、補償金がでます。7級以上の重い障害には年金での支払いとなります。

(4)遺族補償(第79条)

(5)葬祭費(第80条)

 ・・・死亡の場合、平均賃金の1000日分が支払われます。   葬祭費は平均賃金の60日分。   【2】労災使用のメリット   続きを読む »

 東京はじめ関東地方は4年ぶりの大雪となりました。昨日、社員は3時に帰宅としましたが、少し遅れて退社した者は渋谷の大渋滞に引っかかってしまいました(帰宅まで3時間半もかかったそうです)。

 火災保険の家庭用商品の多くで、雪災は支払いの対象となっております。この機に火災保険の雪災について復習しましょう。以下、ベーシックな商品の解説で、最新の商品までチェックしていません。詳しくは保険証券と約款を確認して下さい。

 また、転倒してケガをした場合(入院・通院を伴うケガ)は、ほとんど傷害保険で支払い対象です。火災保険に傷害特約が付いている場合は要チェックです。     (1)風災・雹災(ひょうさい)・雪災

 風災・雹災(ひょうさい)・雪災により家屋が損傷した、などの損害に、保険金をお支払いします。対象は家屋のみならず、通常、ガレージ・物置・門塀垣根も含まれますので証券にそれらが含まれているか確認して下さい。今回もガレージが潰れた被害が多かったようです。また雨どいが落ちたなどの損害も対象なので、家の周りをチェックして下さい。

★ フランチャイズ20万とは?

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 自賠責保険の後遺障害認定基準は労災から派生したもので、内容の大部分は準用されたものです。しかし、細部には色々と違いがあります。私達がとくに違いを感じる部分は、「因果関係」に関して自賠責は異常に厳しい目をむけることです。当該事故による障害なのか否かについて、自賠責は厳格にジャッジしますが、労災は緩いものです。

 本件は加害者が誰かわからないものの、交通事故受傷によるケガ・後遺症が明らかだったと言えます。仮に自爆事故であっても労災はOKですから。いつもと違うのは、加害者が自動車・人間ではないことでしょうか。また、労災申請のほとんどは自賠責の申請に続く付帯作業ですが、労災オンリーの申請は珍しいものです。

 ちなみに動物は道路交通法上、「物」扱い、所有者がいれば動物のケガは対物賠償の対象となります。野生動物だから所有者はいないことになりますが・・。  

労災 7級3号:高次脳機能障害(60代男性・静岡県)

【事案】

山中の道路を2輪車で走行中、動物と衝突して受傷した。熊か鹿か猪か?・・いずれも自賠責保険未付保は間違いない。    続きを読む »

 自賠責保険の資金、つまり、契約者から集めた掛金が勝手に他所に貸し出して、戻ってこない? 問題があります。

 簡単に説明しますと・・自賠責保険の支払い準備金は、所管の国土交通省、要するに国が管理しています。交通事故被害者救済のために貯めたお金ですが、割と余裕を持って貯めてこんでいるものです。これを、国が財政難の名目で、自由に使えるお財布へ一時的に貸し出しをしています。しかも、一向に返さない・・。この問題ですが、以下、毎日新聞さんの記事を読んでみましょう。  

度重なる延期 6000億円超の期限が来年度に 

 交通事故対策のために限定して集められた自賠責保険の資金が、国の歳入不足を補填するため一般会計に繰り入れられている。それを自賠責保険の勘定に繰り戻す期限が来年度に迫っている。ところが、来年度予算の概算要求額は4年連続で100兆円の大台を突破し、拡大に歯止めがかからない状態だ。その一方で、2019年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げは、これまで2度にわたり繰り延べされており、ひょっとしたら3度目があるかもしれない。6000億円を超す自賠責の資金は一般会計に取り込まれたまま戻ってこないのではないかと、関係者の心配は募るばかりだ。

 一般に自賠責保険と呼ばれている自動車損害賠償責任保険は、交通事故に遭った被害者の救済を目的とした制度だ。自動車と原動機付自転車で公道を走る場合、自賠責保険に加入した車両以外は運転してはならないことから、強制保険とも形容されている。

 1955年の自動車損害賠償保障法施行に伴い開始され、あらかじめ自賠責保険に加入することで、被害者は被害者請求制度を使って交通事故の加害者を介さず、最低限の損害賠償金を被害者が直接受け取ることができる。

 自賠責保険に加入していない車両が引き起こした事故や、ひき逃げで加害者が不明なケースでも、交通事故の被害者補償を行っている。公益性の高い制度で、その原資は、自賠責保険の保険料がベースとなっている。

 この自賠責保険を基盤に運営されている自動車損害賠償保障制度は、01年の自賠法改正で現在の仕組みに移行した。損害保険会社の支払い能力に問題がないとして、政府が行っていた再保険の仕組みを廃止した。再保険料の運用益などプールされていた約2兆円の資金のうち1兆1000億円は保険料の引き下げなどユーザーの利益還元に用い、残る8700億円は積立金とし、その運用益を被害者救済と事故防止対策のための資金にすることになった。

 ところが、再保険制度が廃止となる前から、政府が運営していた自賠責の再保険運用益は「埋蔵金」とみなされるようになり、財政赤字の穴埋めのため、自賠責にまつわる特別会計から一般会計へ繰り入れられてしまった。

 94年度と95年度で1兆1200億円が一般会計に繰り入れられた。96年度から繰り戻しが始まったものの、基金への繰り戻し額は今年度末で6921億円にとどまり、元本で4848億円、その間の運用益相当分の1321億円と合わせ、6169億円が一般会計から返還されないままになっているという。  

積立金の取り崩し続く

 その結果、自動車事故対策機構(NASVA)などが行っている被害者救済や事故防止のため、その運用益を充てるとされた積立金の額は1786億円に細ってしまった。被害者救済と事故防止のための年間の経費127億円のうち運用益で賄える分は約30億円で、毎年100億円程度は積立金を取り崩さざるを得ず、このままでは制度の維持が心配される事態に至るのではないかと心配されている。

 被害者救済と事故防止対策の充実が、このままでは妨げられてしまうとして今年9月には、国土交通省が設けた「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会」と、金融庁の「自動車損害賠償責任保険審議会」のメンバーを中心に、「自動車損害賠償保障制度を考える会」をつくり、意識障害の交通事故被害者の家族でつくる会や、自動車産業の労使でつくる団体、損害保険会社の労組連合会などの支援を受け、一般会計からの全額繰り戻しを実現するため、政官界に向けた要請活動を行うことになった。

 積立金の運用益をもとにした被害者救済と事故防止対策については、交通事故の件数や死者の減少とは異なり、対応のさらなる充実が求められている。それが、「考える会」の要請活動の背景にあるようだ。

 交通事故による死者数はさまざまな対策の結果、大きく減っているものの、重度の後遺障害者は交通戦争と言われた時代と比べそれほど減っていない。救急医療も含めた医学の進歩や車の安全性能が向上し、道路設備の整備も進んだこともあって、死亡事故になる確率が減っている。

 交通事故により遷延性意識障害を負った重度の後遺障害者については、積立金の運用益をもとにNASVAが運営している療護施設の役割が大きい。NASVAが運営している療護施設での症例は、脳神経外科学会や意識障害学会での研究発表を通じ学術的にも貢献し、これからの医療にとって最大の課題と言ってもいい大脳機能の解明にも役立つだろう。意識障害の患者の家族を長期に支えるための介護料の支給も重要な役割だ。

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 今年も多くのセミナーを開催しました。中でも損保代理店さま向けのセミナーでは、交通事故最前線の皆様であるゆえ、たくさんのご参加、そして、ご質問を頂きました。久々のシリーズで、質疑応答例を紹介します。(個人情報に配慮し、内容を改変しています)   (質問:相手が保険を使わないと言って・・)

交差点で自動車同士の接触事故となりました。幸い、ケガもなく、自動車の修理費は30万円程でしょうか。当然、お互いの任意保険会社で交渉・示談しましょうと持ちかけました。ところが、相手は「俺は悪くない」の一点張りで埒が明かず、分かれて保険会社に事故報告しました。しかし、相手の保険会社は対応してくれません。相手の担当者が言うには、「契約者さんが保険を使わないと言っていますので、弊社としても対応できかねます」・・だそうです。こんなことが許されるのでしょうか(怒)!

(回答)

 契約者が保険を使わないのだから、対応できない・・・頭にきますが、一見、納得させられそうな理屈です。しかし、ほとんどすべての自動車保険約款には”直接請求権”という条項があります。これは、一定の条件のもとに被害者側が賠償請求してきた場合、保険会社は契約者の意向に関わらず、対応しなければならないルールです。

 例えば、被害者が裁判で訴えてきた場合、判決・和解がでたら、加害者の保険会社はその額を請求されたら応じなければなりません。また、加害者・被害者間でお互いに賠償金のやり取りをしないと書面で合意したケース(もっとも、この場合、最初から保険会社同士の交渉・示談になりますね)、加害者側が死亡や破産したケースです。

 つまり、先の相手損保担当者の(対応できないと言う)言い訳は約款違反です。「直接請求権の条件を満たせば対応できます」と回答すべきです。もっとも、保険会社のSC職員であっても、この条項を良く知らないようです。信じられないですが、すっとぼけているのではなく、本当に「初めて聞いた」との担当者さんに何人も出くわしました。     以下、約款(損保ジャパン)を転載します。対人、対物の第8条です。

 より詳しく知りたい方は ⇒  事故の相手が保険を使ってくれない を熟読して下さい。  

 第8条(損害賠償請求権者の直接請求権) (1)対物事故によって被保険者の負担する法律上の損害賠償責任が発生した場合は、損害賠償請求権者は、当会社が被保険者に対して支払責任を負う限度において、当会社に対して(3)に定める損害賠償額の支払を請求することができます。 (2)当会社は、次の①から④までのいずれかに該当する場合に、損害賠償請求権者に対して(3)に定める損害賠償額を支払います。ただし、1回の対物事故につき当会社がこの対物賠償責任条項および基本条項に従い被保険者に対して支払うベき保険金の額(同一事故につき既に支払った保険金または損害賠償額がある場合は、その全額を差し引いた額)を限度とします。 ① 保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、判決が確定した場合または裁判上の和解もしくは調停が成立した場合 ② 被保険者が損害賠償請求権者に対して負担する法律上の損害賠償責任の額について、被保険者と損害賠償請求権者との間で、書面による合意が成立した場合 ③ ...

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 保険業界ではお馴染みの言葉ですが、一般的に知られていない用語があります。例え弁護士先生といえど、通じないことがあります。ここに、交通事故を解決すべき法律家に専門性があるか否かの境界線を感じることになります。つまり、保険用語がすらすら解る法律家は交通事故に精通していることになりますが、その逆は専門性に疑い有となるわけです。

 事務所内でも、時折、保険用語について解説しています。交通事故に携わる者が当然に知るべき用語を、この業務日誌でも取り上げていきたいと思います。 ① ノンフリート契約とフリート契約 

 フリート{fleet}・・・ 艦隊、(一国の)全艦隊、(商船・漁船などの)船隊、船団、(飛行機の)機団、(輸送車・戦車などの)車隊、<英和辞典>

 このような意味を持つ英単語ですが、自動車保険の世界では、”同一会社所有の自動車群”の意味を持ちます。フリート契約とは自動車保険の団体契約のようなものです。一枚の契約書で複数車両の契約をします。個々の自動車は明細書で管理することになります。

 個人で契約する自動車保険の証券に、「ノンフリート等級」という言葉を見かけます。これは、フリートのようにまとめて複数台契約ではなく、1台の契約であること、その無事故割引等級を示しています。無事故割引であるノンフリート等級は、標準的な会社で、1等級~20等級となっており、新規契約は6等級からスタートします。同居家族内で2台目を購入・契約した場合は、複数所有割引の特典として、7等級からのスタートになります。契約期間の事故数(保険を使った事故に限定)によって、この等級がダウンします。事故が無ければ1等級づつ上がっていきます。4年前の改定では、事故(による支払い)があった契約者は特別に「デメリット等級」(これも保険用語)に移行し、割引率、あるいは割増率が厳しくされました。

 では、フリート契約の無事故割引ですが、事故の件数でカウントしません。契約期間内での支払金額から、翌年の割引・割増率が上下動する仕組みです。大きな支払事故がかさむと、翌年の掛金がうなぎのぼりです。担当する代理店さんは事故の抑制に気を使うことになります。最も、死亡事故など、一気に数千万~数億円が支払われた場合は、「ヘビークレーム」(これも保険用語)扱いとして、その支払金額が無事故割引の算定に直接影響しない仕組みになっています。  

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 代理店さんがお客様にお勧めした保険・特約が必ずしも、付保頂けるわけではありません。それでも、代理店さまにおかれましては、契約の際に、「お勧めしていたが、お客さまの判断で加入しなかった」と「その保険・特約の説明をしていなかった」では、大違いです。前者はお客様も納得するしかありませんが、後者では信頼が揺らぐ事は間違いありません。これは保険代理業を営むプロにとって、常態的なテーマと言えるでしょう。今年の事例から、注意喚起の意味も込めて紹介したいと思います。(個人情報に配慮して、内容を改変しています)    自動車保険に契約しているAさん、同居の父が(認知症の影響か)赤信号で交差点を横断して、自動車と接触して高次脳機能障害となった件がありました。当然、自身の過失を大きく取られ、相保からの一括対応はありません。しかしながら、契約していた自動車の人身傷害は「搭乗中のみ担保」です。これは、”契約している自動車に乗っている時”にケガをした場合のみ、保険金を支払うと限定したもので、その分、掛金が少し安くなります。人身傷害は、契約者及び同居の親族(別居の未婚の子含む)が、他の車に搭乗中だけでなく、歩行中や自転車搭乗中のケガでも人身傷害保険が支払われます。人身傷害の補償範囲の広さを実感するものですが、掛金を安くするためか、わざわざ契約車両に乗っている時のみに限定して契約してありました。本件事故では当然に免責=”支払いなし”となります。

 後遺障害は恐らく3級以上です。少なくとも相手の自賠責保険から2000万円は回収できますが、賠償総額は4000万円を見込めます。つまり、わずか2000円掛金を安くした結果、2000万円を失うことになりました。保険設計上、ご契約者さまの同居に高齢者や子供さんがいれば、「搭乗中のみ」は避けるべきでしょう。さらに弁護士費用特約も未加入で、弁護士にも頼めず、自身で相手の自賠責に被害者請求をする難儀となりました。    通販系の保険なら、自己責任で済まされますが、本件は代理店担当者がおりました。Aさんは事故後、初めて対応する保険契約があるにも関わらず、付保していないことを知ったのです。時既に遅しですが・・。担当者に責任はないとはいえ、悔やまれます。やはり、家族構成や自動車の使用範囲など、契約者さまの観察に遺漏無く、保険設計しなければなりません。保険契約とは、それだけ怖いものなのです。  

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 行政機関の定めるルールはいつもなんの前触れもなく変更されます。人知れず、こっそりとは公表していますが、私達のような業者がそれをキャッチするのは、大抵、相談者からの情報です。

 労災も行政機関です。「行政機関への審査請求」と言えば、行政不服審査法が根拠条文となりますが、これはズバリ行政書士試験の課目です。(これも古い情報ですが、行政書士でも特定行政書士には行政不服審査法に基づく不服申立等における代理権が付与されました。)

 本題に戻ります。労災の認定理由の開示と審査請求(労災請求の結果への異議申立て)について、説明した文章を引用しますと、

 これまでは、労災保険の認定等級に不満がなくても、認定通知後60日以内に審査請求を行うとしていました。 なぜなら、労災保険は、等級認定の詳細情報を開示することなく、等級の通知だけを行っているからです。 ところが、近年、労災保険は認定理由の開示に積極的になっています。 したがって、労働基準監督署に出向いて、認定理由の開示請求を行ってください。  もちろん、労働基準監督署で不十分な対応がなされたときは、60日以内に審査請求に踏み切ることになります。 <交通事故110番HPより>    この60日ルールが、最近、労災請求を経た相談者さまからの情報で、以下に改定されておりました。    決定理由の詳細についてお聞きになりたい点があれば、表記の労働基準監督署まで照会して下さい。

(1)表記の保険給付に関する決定(以下「本件処分」といいます。)に不服がある場合には、本件処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に表記の労働基準監督署を管轄する都道府県労働局の労働者災害補償保険審査官(以下「審査官」といいます。)に対して審査請求をすることができます。

(2)審査請求に対する審査官の決定に不服がある場合には、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に労働保険審査会(以下「審査会」といいます。)に対して再審査請求をすることができます。また、審査請求をした日からか3か月を経過しても決定がないときは、決定を経ないで審査会に対して再審査請求をすることができます。

(3)本件処分に対する取消訴訟は、当該処分についての審査請求に対する審査官の決定を経た後に、国を被告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣になります。)、決定があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に提起することができます。ただし、決定があったことを知った日から1年を経過した場合は、提起することができません。

 また、審査会に対して再審査請求をした場合には、裁決を経る前又は裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に本件処分に関する取消訴訟を提起することができます。ただし、裁決があった日から1年を経過した場合は、提起することができません。

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 遅ればせながら、今夏の弁護士研修会で担当した、弁護士費用特約の各社比較から紹介します。    三井住友の不合理条項として、以前から取り上げてきた、弁護士費用特約の労災免責が最新約款(2017.4.1改訂版)から無くなっていました。えらく細かい事を言っているようですが、交通事故の現場で一体、何人がこの免責(つまり、保険がおりない)で泣かされたことでしょう。これを削除した三井住友さんの約款改正を称えたいと思います。是々非々でいきましょう。

 弁護士費用特約の労災免責とは? ⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑩

(改定=削除前の約款> 太字の部分です

(3) 当社は、次のいずれかに該当する被害を被ることによって生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。 ① 被保険者が麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響を受けているおそれがある状態で発生した易体の障害または財物の損壊 ② 液体、気体(注13)まだは固体の排出、流出またはいつ出により生じた身体の障害または財物の損壊。だだし、不測かつ突発的な事由による場合を除きます。 ...

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 交通事故でも健保が使える? 以前に比べ、この質問は大分減りました。長らく、病院窓口ですったもんだが続いてきましたが、病院側はもちろん、ネットのおかげで周知が進んだのかと思います。ただし、届出書類が必要になります。改めて復習しましょう。    交通事故のように第三者によって、起こったケガや病気は、本来、その第三者である加害者が治療費や休業補償費を負担すべきものですが、被害者は健保組合に届出をすることによって、健康保険による治療を受けることができます。この場合、健康保険で治療や休業補償を受けた部分について、健保組合が賠償請求権を代位取得(被害者に代わって健保組合がその請求権を取得する)します。

 健保組合が負担する治療費の範囲内で相手方もしくは、相手方が加入されている損害保険会社に損害賠償を請求することになりますので、健保組合に届出が必要となります(このことは法律で定められています)。   (事例)

1.自動車等の交通事故によりケガをした

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 保険を売るプロは言うまでもなく代理店さんです。通販の保険会社も保険販売を担うプロです。しかし、両者の区分けはどんどん薄れています。保険は生保、損保限らず、ネット販売が拡大し、もはや、個人宅に訪問しての更新手続きは珍しくなっています。

 保険代理店時代はそれこそ、自動車、火災、傷害保険の更新のたびに契約者様宅にお伺いしていたものです。しかし、保険業界はネット手続きに移行することは規定路線で、スマホでの契約、更新、異動(変更)、解約、すべての手続きは完了することになります。すると、保険の営業担当者の仕事はもはや、新規獲得だけです。また、保全作業(普段の顧客メンテナンス)が減少すれば、お客様との親密度が下がり、契約落ち、つまり、他保険へに切り替えが多くなります。長らく人間関係で保ってきた契約関係が希薄になるので仕方ないと言えます。

 確かに、保険販売は時代の流れ、それでよいかもしれません。しかし、いざ、事故の場面となれば、ネットで完遂するわけではなく、保険会社SC(サービスセンター=保険金支払部門)の人身担当、物損担当の交渉業務、アジャスター(損害調査)の査定業務など、人的サービスが絶対的に必要です。それは、保険会社だけに生じるものではなく、契約者さまが請求者となった場合にも生じるものです。

 例えば、高齢者や重傷者がケガをした場合、保険金請求を円滑に進めることにそれなりの困難があります。特に、後遺障害などはしっかり医療立証しなければ、等級が薄まります。また、複雑を極める保険から、何がどのように支払われるのか? もはや、保険代理店さんやSC職員でさえ、簡単に見落とします。それは、相談会で被害者の皆様と対峙していて痛感します。例えば、傷害一時金がでることを知らない、実家の保険が適用されることを誰も指摘しない、弁護士費用特約の加入に気付かないなど、様々な保険金請求漏れの根です。私達の相談業務はあたかも、これらの指摘が第一に思えてきます。「この事故でおりる保険を精査します」・・このような業務が、保険の世界で残された人的サービスの一つかもしれません。

掛金を払ったら、いざと言う時に保険金(恩)を返してもらわないと・・詐欺になってしまいます

   最近は保険代理店さまとタッグを組んて、保険金の請求場面に力を入れています。結局、保険は加入しても、請求しなければ、何の役にも立ちません。保険の請求手続きは加入手続きより重要であり、必要あれば誰かがそのサービスを担わなければなりません。それこそ、弊社の業務の一つと思っています。常に医療調査の傍ら、損保、生保、共済のみならず、労災その他公的保険への請求手続きを行っています。つまり、保険請求のプロを自覚しています。  

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 交通事故に関する相談の10件に3件は、既に弁護士に契約している被害者さんです。

 また、昨年から相談会に参加される被害者さんの35%は、既に相談中あるいは、契約している弁護士に不安をもってのセカンドオピニオンです。    無料相談会では、既契約の弁護士さんの評価云々ではなく、解決に向けての最良策を回答します。また、紳士的な対応、業界の筋目を考えれば、弁護士の切り替えを勧めるわけにはいきません。それでも、契約した弁護士と方針が合わないのであれば、弁護士交代も仕方ないのかも知れません。困ったことに私は弁護士ではありませんので、後遺障害に関する保険手続きや調査しかできません。”その部分”だけお願いされても、既契約の弁護士さんと委任契約を結んでいる以上、その先生の許可なくお手伝いはできません。毎度、困ったものです。

 結局、多くの弁護士先生は後遺障害等級が認定されるまで、何もしてくれないことが普通のようです。交通事故の解決は、賠償交渉が主作業であることに異論ありませんが、実は、後遺障害の等級認定を代表に、損害の調査・立証が事故解決の重大なポイントなのです。その他、被害者さんは、健保や労災、障害者手帳、障害年金・・数々の手続きに忙殺されます。頼りの弁護士さんがやらなければ、誰かが助けなければならないのです。そもそも、交通事故には専門性が必要です。保険知識、医療知識が重要で、むしろ法律知識以上のウェートを占めているとさえ思えます。交通事故の経験少ない先生に任せた結果、重大な見落としがあり、数百万円も取り損なった例をたくさんみてきました。これを、「被害者の二次被害」とまで断罪する先生もおります。

 また、実力どころか、「弁護士と連絡がつかない」、「連絡がないので経過がまったくわからない」、「電話をしても折り返しがない」、「弁護士は最初の電話だけ、あとは事務員しか話ができない」、「弁護士費用特約から着手金をとった後、連絡がこなくなった」・・実は、こんな非常識な対応をよく耳にします。先生と呼ばれる職業はまるで殿様商売、世間の常識と隔絶しているように思います。もちろん、常識的に真面目に業務を遂行している先生の方が多いですが・・。    昨今、大型法人弁護士事務所の業務停止処分や懲戒のニュースが多くなってきました。ここ数年の交通事故業界に限定しても、さもありなん、でしょうか。問題は、交通事故という大問題に直面した被害者さんが路頭に迷うことです。ダメな先生に依頼をしてしまったら、早めに見切りをつける決断もやむを得ません。    今まで以上にセカンドオピニオンは増加するでしょう。幸い、秋葉事務所では交通事故に精通した弁護士事務所と連携、全国20に及ぶ事務所を紹介できます。積極的に呼びかけはできませんが、弁護士交代はもはや普通のこと、困ったら、迷ったら、不安があったら、ご相談下さい。

   万能の先生はいません。依頼前に、その先生が交通事故に精通しているか見極める必要があります。HPの宣伝をまんま信じないことです。(多くのHPはその弁護士先生が書いているのではなく、業者から買ったコンテンツです)  

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 保険に加入した認識がなく、自動的に保険に入っていることがあります。その代表が、クレジットカードに自動付帯されている保険です。その保険の多くは、損保会社が引き受ける傷害保険と個人賠償保険(←解説)になります。とくに、歩行中や自転車搭乗中の交通事故で、自身の過失によって相手に損害を与えてしまった場合、個人賠償責任保険が頼りになります。相手の修理費や治療費など、賠償に関する費用が確保できるからです。

 逆に自転車や歩行者から被害にあった場合、被害者は相手の個人賠償責任保険を探すことになります。 その実例 ⇒ 個人賠償責任保険への請求

 毎度、該当の事故の相談で、個人賠償責任保険が自動車保険、火災保険、傷害保険に付帯されていないかを質問します。残念ながら、加入がなかった場合、最後には・・「クレジットカードをお持ちではないですか? そこに個人賠がついている場合があります」とダメ押しです。相談者さんが半信半疑でカード会社に電話すると・・「はい、1億円まで補償がついていますよ」\(^o^)/ となったケースを何度か経験しています。

 さて、クレジットカードに付帯する保険も様々な種類があり、多くは限定的な補償内容を自動付帯、もしくは有償付帯しています。この機会に主な付帯保険を整理してみました。保険内容は普通に加入する場合と違って、削減されています。年会費が無料のカードですと、条件が付き、補償内容も低いようです ※。   (1)海外旅行傷害保険

 おなじみの海外旅行保険です。ケガだけではなく、旅行中の病気も対象です。他に、救援者費用や携行品損害も含まれます。これらに加え、個人賠償責任保険の有無もカードのグレードによります。やはり、普通の海外旅行保険に比べ、条件があり、補償項目や限度額は低くなっているようです。

※ 例として、楽天カードは海外旅行傷害保険(最大2000万円)が付いていますが、楽天で購入した旅行パックに限られます。年会費無料のカードは、なにかと条件があるようです。

(2)国内旅行傷害保険

 海外旅行保険との最大の違いは、病気が対象外です。また、通常、旅行会社の企画旅行ではないと、認められません。旅行ではなく、買い物なのか、仕事の出張なのか・・判別がつかないからだと思います。 

(3)ショッピング保険

 クレジットカードで買い物をした場合、その買った商品が壊れたり、盗難にあった場合、一定期間まで補償してくれます。ただし、適用される商品及び支払い条件はかなり厳しく、カードのグレードによっても違いますので、注意が必要です。

(4)盗難・紛失保険

 盗難保険は、万一、クレジットカードを落としてしまったり盗まれてしまって、それが不正に使われた場合の損害をカバーしてくれます。日本で発行されているほぼ100%のクレジットカードに付いています。

(5)シートベルト保険

 被保険者が、シートベルトを着用中の交通事故によって被った死亡および重度後遺障害に対して保険金を支払う保険です。昔のカードに多く、最近は少なくなった印象です。

(6)スポーツ傷害保険

 スポーツで自身がケガをした場合、他人を傷つけてしまった時(=個人賠償責任保険)に補償。

(7)ゴルフ保険

 スポーツでも、ゴルフに特化した保険。プレー中に発生しうる事故、および不測の出費を補償します。普通のゴルフ保険には、他にホールインワン・アルバトロス費用、携行品損害などがセットされていますが、カード付帯ではグレードによって補償範囲が違います。安価なカードではケガと個人賠のみが多いようです。

(8)クレジットセイバー保険

 カード保有者が死亡した際に、残高の支払いを免除してくれる保険です。ただし、悪用が多いことから現在は廃止のようです。

(9)航空傷害保険

 飛行機に搭乗中の事故により死亡または傷害を被ったことによる損害を補償します。

(10)個人賠償責任保険

 (1)~(9)までの保険に含まれているケースの他、単体で付帯されているカードもあります。限度額は1000万~1億円が多いようです。年会費○万円のグレードの高いカードは2億を超える補償もあります。

・・交通事故以外ではこんな補償も・・   続きを読む »

 たいてい、逃げます。 もちろん、ひき逃げは少数例ですが、「自賠責保険で勘弁して下さい」と泣き崩れるか、「お金はありません」と居直ります。

 道を走っている自動車の5台に1台は任意保険に入っていません。日本の任意保険付保率は世界で上位ながら、無保険車の数はかなり多いと感じます。毎回、相談会に1名はおりますので。多くの被害者は加害者からの補償を期待しますが、20%は報われないのです。すると、相手の強制保険である自賠責保険だけが頼りとなります。しかし、ご存知のように自賠責には限度額があり、ケガで120万、後遺障害・死亡で3000万(介護状態で4000万)までとなります。自賠責だけでは補償が足りず、また、慰謝料なども最低金額で、がっかりすることになります。

 したがって、あらゆる保険をフル動員しなければなりません。まず、通勤途上・業務中であれば労災を適用、治療費と休業給付を確保します。後の後遺障害の請求も視野に入れます。労災の適用外であれば、当然に健康保険を使って治療費を圧縮します。治療費が一定額を超えれば高額医療費の請求を、休業が長期化すれば傷病手当金を請求します。 

 そして被害事故で最も役に立つ保険は、ご自身が加入している自動車保険の人身傷害や無保険車傷害です。できれば、自身向けの補償もしっかり備えておきたいものです。交通事故の解決には、加害者や相手保険会社に期待せず、また、弁護士や業者を選ぶ以前に、まずは自ら保険にしっかり加入しておくことが大事です。

 最悪例は、相手が無自賠(車検切れで自賠責未加入の状態)で、さらに、ご自身も人身傷害・無保険車傷害などの自動車保険が未加入、弁護士費用特約なし、その他、傷害保険や共済の加入もないケースです。最後の砦として、政府の保障事業への請求が残るのみです。ここから自賠責保険と同等の補償を確保できますが、重度の障害を負った場合、焼け石に水です・・。    ここまで、様々な無保険車対策を挙げました。さて、本来責任を取るべき加害者はどこへ行ったのでしょう? 私の交通事故業務26年の歴史で、「私が悪うございました。きっちり賠償金を払います」などと言った、頼もしい?無保険の加害者に会った事がありません。冒頭で言いました通り、加害者の資力、支払い能力など、ほとんど期待できません。お金持ちで誠実な人なら、そもそも、しっかり賠償保険に加入しているものです。

 それでは、加害者に辛うじて支払い能力があった場合ですが・・これも当てになりません。裁判で勝って、月額○円で分割支払としても、大抵、3ヶ月目から入金が途絶えます。そして、本人との連絡も途絶えます。つまり、夜逃げか、行方をくらまします。加害者はこれからの人生、毎月○万円を支払うことなど真っ平ごめんなのでしょう。弁護士は一様に「裁判に勝っても回収が・・」と嘆きます。  ない袖は、  

 最後に、実際にあった例を一つ。

 ある保険未加入の加害者は、障害を負った被害者から3000万円もの請求を強いられ、自己破産しました。「びた一文払えん」と、ケツをまくったのです。この加害者は確か土地・建物を持っていたし、ベンツに乗って、それなりに現金も持っていたはずです。むしろ、羽振りのいい自営業者さんでした。

 その加害者の言い分ですが、「離婚して、女房に全財産を持っていかれた」とのことです。しかし、夫婦仲は悪いわけではなく、こっそり一緒に住んでいるようです。つまり、計画的な財産隠匿です。賠償の支払いを逃れるために財産を奥さん名義にした後、離婚し、自己破産したのです。ほとぼりが冷めれば、また籍を戻すのでしょう。

 このように、汚い人もおります。いえ、むしろ、人間は追い詰められたらこんなものです。性悪説を実感する瞬間です。

 最近は、このあからさまな債務逃れに鉄槌するような、厳しい司法判断も聞きます。それでも、周到な準備の上、夫婦が別居して、こっそり会っている程度では、回収は困難、手も足も出ません。    最後に本ケースにはオチがあります。この奥さん、自己名義となった財産をもって別の男に走りました。主人が主人なら奥さんも奥さん、皆、悪党です。もう、ぐちゃぐちゃ。  

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 ここ数年の業務日誌で、常にアクセス数が上位の記事はこれです。

弁護士対応とされた被害者は交渉失敗です    事故で大変な目にあったのに、相手保険会社の無感情な対応に、かっとする気持ちはよくわかります。しかし、感情に任せてケンカをすれば、益々、不利な状況に追いやられます。その中でもむち打ちなどの14級9号認定こそ、後遺障害審査への影響が大きくなります。それを示す1例をご紹介しましょう。私が保険会社のSC(サービスセンター=保険金支払い部門)に配属された時の電話です。   秋葉:「はい、○○火災 埼玉第1SCです。」

自賠責:「大宮の調査事務所の○○だけど、いつもお世話になっています。対人担当の山本さんをお願いします。」 

秋葉:「はい、おつなぎします。」 (以下、会話内容を横耳で聞き取り)   山本:「はい、山本です。○○さんご無沙汰しております(※)。」 

 ※ 自賠責・調査事務所には一定数、損保会社からの出向社員がおります。   自賠責:「先日、佐藤さんという被害者の後遺障害請求を受けて、審査中だけど・・担当は山本さんでしたね。」

山本:「ええ、あの佐藤ですね。何か?」

自賠責:「通院日数もけっこうあって、14級とするか検討中だけど・・どんな人?」

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