実績文からだけでは、背景と問題点がはっきりしないと思いますので、まず、補足説明します。   ・最後まで相手建設会社の保険会社は出てきませんでしたが、おそらく請負賠償責任保険と思います。この保険は自動車保険のように示談代行がついていませんので、最初に代理店さんが前面にでてくることがあります。また、当方が弁護士を立てて賠償交渉に臨むと、たいてい相手も弁護士を選任してきます。あくまで、加害者となる建築会社が雇った体ですが、保険会社から送り込まれた弁護士です。   ・本件の医師が意地悪なまでに後遺障害を否定した理由ですが、おそらく、事故の状況から、「自分で転んでおきながら、お金目当てで会社を訴えている」不道徳な患者と思ったのかもしれません。確かに、100%建築会社に責任があるものではなく、転倒する側の注意義務も問われます。それは交通事故に同じく、過失割合で50:50などと責任割合を後に交渉することになります。ですので、後遺障害診断書の記載においては、客観的に残存する症状を証明してくれさえすれば良いのです。賠償問題に対して、医師が法的判断=「患者が悪いので書かない」などと決めるなど、医師の診断権の埒外、越権でしかないと思います。たまに、このような主義者の医師がおります。たいていは、秋葉が同行して事情をご理解頂きますが、この医師は難物でした。   苦労させられます・・  

請負賠償 14級9号:脛骨高原骨折(60代女性・茨城県)

【事案】

自転車で走行中、建設中の建物からロープが伸びて放置されており、その上に乗り上げ転倒したもの。膝部の脛骨を骨折、プレート固定術を施した。   【問題点】

工事側は責任をやや認めており、相手の保険代理店から治療費他、支払いの準備はあったよう。しかし、賠償保険会社は前面に出てこず、おそらく慰謝料等は自賠責保険基準が予想された。企業の加入する工事保険では毎度の事なので、弁護士介入とした。

最大の問題は、治療先の医師がこの事故状況から患者に対して”賠償金目当て”とでも考えたのか、後遺障害に対してまったく協力的ではなかった。最初から「症状固定は1年後」と決めてしまい、仕方なく1年後に診断書を依頼すると、「後遺症はない」との見解。残存する痛みや諸症状を訴えても、「痛みが消えるまでリハビリ再開しますか?」と言う。   【立証ポイント】

幸運にも、その医師が転勤した。後任の医師に後遺障害診断書を記載頂き、加害者側の代理人に提出したが、痛みの症状が薄く「非該当」の見解。再度、記載内容を修正頂き再提出、渋々14級9号を認めた数字が返ってきた。連携弁護士が過失割合など交渉を重ね、容認できる数字で示談となった。  

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 他の自動車からの積載物、あるいは家屋や施設からの落下物による交通事故も少なくありません。たいては、加害者となる者に賠償保険がありますが、ない場合もあります。その場合、賠償請求は簡単ではありません。弁護士の助力が求められます。

 また、それ以前の問題として、損害調査を徹底しなければなりません。本件の場合、その診断名は、橈骨遠位端骨折と尺骨茎状突起骨折でした。後者は秋葉事務所の得意な傷病名ですから、適切な診断書と画像所見を揃えて進めました。    ☞ 上肢の後遺障害 ㉛ 尺骨茎状突起骨折    相手が保険会社でない場合、その支払い能力に疑問が生じますが、そこそこの企業であれば、顧問弁護士がおりますので、交渉は可能と思います。   相手がまともな会社なら、丁寧に立証すれば話は進みます。  

企業への賠償 12級8号:尺骨茎状突起骨折(50代男性・神奈川県)

【事案】

二輪車で走行中、左斜面の敷地から落下物があり、その衝突を受けて受傷。どうやら前腕が折れたよう。敷地の持ち主は警察が調べてくれたそうで、その会社に対して賠償請求することになった。   【問題点】

その企業は、真正面から責任を認めないようだが、治療費含めわずかな賠償には応じてくれるよう。しかし、その額がほとんどお見舞い金程度・・みかねたご親戚が秋葉を紹介下さった。交通事故として、弁護士と共にしっかり解決の道筋をつけなければなりません。   【立証ポイント】

賠償金の多寡、その根幹を握るものは後遺障害に他なりません。まず、折れた橈骨の状態を確認、プレート固定後の癒合状態は良好であることから、「14級9号に落ちるか・・」と思ったが、尺骨の茎状突起が折れて骨片化していることに気づいた。

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 相手が自動車ではない場合、自賠責保険がないことになります。後遺症が残った場合、誰が等級審査と認定をするのでしょうか? 

 本件加害者は自転車ですが、まず、個人賠償責任保険の付保を調べます。次いで、その会社に自社認定と言う形で、後遺障害の審査に付すのですが、その判断は簡単ではありません。困った保険会社は、専門機関としての自賠責保険・調査事務所に諮問します。このような経路で認定を導くことができます。本件の場合、それに先立って、共済での審査・認定を一つの根拠として示しました。このようなプロセスを使いこなせるか否か、事務所の実力が問われると思います。

弊所では毎度のやり方です

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・東京都)

【事案】

自転車で歩道を走行中、車道から急に歩道へ乗り上げてきた自転車に衝突される。直後から頚部痛、右上肢の痺れ等、強烈な神経症状に悩まされる。

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 久々に弁護士費用特約を特集します。発売以来の大きな変更は、交通事故のみならず日常の被害事故にも対応する「日常型」、そして、自身が加害者となった場合の「刑事弁護」が加わったことでしょうか。後は、有無責に関わることで、約款改正と言うか微調整を重ねている印象です。私がこの15年間で確認した有無責の変更は、以下の通りです。   1.

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 等級を取ることは、何も自賠責保険に限りません。秋葉事務所では、労災はじめ障害年金、障害者手帳はもちろん、傷害保険や共済の認定も豊富です。

 多くは自賠責と同程度の等級に収まりますが、不一致も少なからず存在します。本件は最初から自賠責は14級止まりを予想、むしろ傷害保険の12級を模索しました。    被害者にとって実利ある解決とは・・最終的にお財布になんぼ入れるか、と思っています。   デリバリー業の受傷事故、増えました  

14級9号・傷害保険12級13号:脛腓骨 近位端骨折(50代男性・埼玉県)

【事案】

2輪車で走行中、駅前ロータリーで合流するタクシーと衝突、脛骨&腓骨を骨折したもの。それぞれプレート固定術を施行した。整復と骨癒合は良好、リハビリを継続した。   【問題点】

流行のデリバリー業、ただし、特別加入制度の労災( 👉 労災特別加入の対象拡大 )に未加入であった。自身の過失も大きく、相手損保の一括対応(治療費の直接払い)は無かったため、自賠責保険とデリバリー業者の傷害保険( ...

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損Jの新保険 紹介!

 都市部では自家用車を持たない家庭が徐々に増えてきている印象ですが、そのようなユーザーに嬉しい保険が発売されました。損保ジャパンのUGOKUです。この保険は、ネットから申し込むのですが、なんといっても補償内容が充実しています。早速みてみましょう!    ① 個人賠償責任特約・・・お馴染みの個賠の付帯です。国内で発生した事故については無制限、国外で発生した事故については1事故につき1億円程度です。尚、国内で発生した事故については、示談交渉もしてくれるので安心ですね。    ② 自転車等のロードアシスタンス特約・・・ロードアシスタンスは今まで自動車保険だけのものでした。1事故につき5万円限度ですが、自転車や車いすが壊れた際の運搬費用を払ってくれます。

 ③ 宿泊・移動費用特・・・上のロードアシスタンスに同じく、自転車までも・・。自動車はもちろん、自転車等で遠方に行った際に事故やトラブルに巻き込まれてしまい、その車両が運搬された場合、宿泊費は1事故1被保険者につき1万円限度、移動費用は1事故1被保険者につき2万円限度で払ってくれます。(この特約を請求する方は珍しいと思いますけどね。サイクリングが趣味の方には最適?)    ④ 弁護士費用特約・・・被害事故の場合、1事故1被保険者につき300万円限度、法律相談・書類作成費用は1事故1被保険者につき10万円限度。今度はこちらが加害者となった場合、刑事弁護士費用が1事故1被保険者につき150万円限度、法律相談費用は1事故1被保険者につき10万円限度で払ってくれます。     損Jの自動車保険の弁護士費用特約を転用した形でしょうか。これも、自動車がなくても携帯できる補償です!    👉 損保ジャパン日本興亜の新型・弁護士費用特約    ⑤ 人身傷害 交通乗用具事故保険(自動車運転中対象外)・・・交通乗用具に搭乗中や歩行中の交通乗用具事故(自動車、自転車、車椅子、ベビーカー、電車、ロープウェー等)の場合、1事故1被保険者につき3000万円限度、尚且つ入通院日数が5日以上となった場合には入通院定額給付金として10万円がもらえます。これは本当に嬉しいサービスです。

※ ただし、加害者のいない自爆事故の場合、慰謝料と休業損害、定額給付金はでないようです。死亡・後遺障害なら、これらもでるようです。

 同社、今年の自動車保険・人身傷害の改定で交通乗用具を復活させました。この異例の補償復活劇は、この保険と揃える為だったのかもしれません。    👉 人身傷害・今年の約款改定 ① ~ ...

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佐藤がまとめました

 コロナ禍でフードデリバリーサービスに注目が集まり始めたため、街中で見かけることも多くなってきたのではないでしょうか。その一方で、事故の相談も増えておりますので、今回は都内でサービスを提供している6社が加入している障害保険について記載したいと思います。各社、独自に補償内容を設定しているようです。     <ウーバーイーツ>

 2020年10月1日付で「傷害見舞金等支給規定」が出されており、「配達中」であることが条件となっています。

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 直ちに弁護士介入すべき事故もあれば、相手の反応を窺うように、まず、本人からの請求とすることがあります。    自賠責保険や労災が絡まない事故の場合、その後遺障害等級は誰が決めるのでしょうか? 多くの場合、企業・スポーツ施設は施設賠償責任保険を付保しています。加害者側である、その保険会社の”自社認定”の審査に付すことになります。すると、お手盛り審査ですから、最初から弁護士が介入するのは得策ではありません。施設側の保険会社は、被害者と穏便に(つまり、安い保険金額)相対交渉で解決する期待を持ちます。ですから、相手の等級回答を待ってから、弁護士介入が望ましいのです。これを、私達は「時間差介入」と呼んでいます。交渉事ですから、駆け引きは当然で、綺麗ごとだけでは済まないのです。    本件もその形を取りましたが、高望みなく、妥当な等級に落ち着きました。一方、施設側(裏に隠れた保険会社)も、最初から賠償保険の存在を隠し、安い傷害保険金のなめた提示をしてきたのですから、お互いさまです。    このような企業保険では、約款上、自動車保険のように担当者がじかに示談代行をしません。相手保険は加害者側企業の後ろに隠れて、操ることになります。その点からも、自動車保険の示談代行は便利です。お金を取っての示談代行は、非弁護士行為との指摘もありますが、保険会社の示談行為は、弁護士会が許している数少ない例です。このような企業の賠償保険でも、お互い駆け引きの無駄をなくすためも、示談代行OKとすべきかなぁ、少し思います。   現場調査でコースを回ってみたかった(経費で落ちますよね?)    

施設賠償11級7号:胸椎・腰椎圧迫骨折(50代男性・神奈川県)

  【事案】

ゴルフのプレイ中、キャディが操縦するリモコン式カートが背後から衝突、転倒したもの。直後から全身の痛みに悩まされる。診断名は胸椎と腰椎の圧迫骨折となった。

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 今更、改定前の約款を読解しても意味はありません。昨日の記事は、専門家としての筋を通すために書きました。では、今年から改正、名称を変更し、補償を3区分した三井住友さんの弁護士費用特約を解説します。   (旧)弁護士費用特約 ⇒

 ① 弁護士費用(自動車・日常生活事故型)特約   (旧)自動車事故弁護士費用特約 ⇒

 ② 弁護士費用(自動車事故型)特約   (新設) ③ 弁護士費用(自動車・自転車事故型)特約

 新約款を読みこんだ結果、ポイントは以下の通りです。

1、改定前の(旧)弁護士費用特約(=「日常型」)でしか補償範囲とならなかった”加害者が自転車の場合の被害事故”を、(旧)自動車事故弁護士費用特約に含めた中間型=③を新設した。

 自転車による加害事故が加わることで選択の幅が広がり、より実用的な特約になったと思います。自転車型の弁特は、他社ではあいおいニッセイ同和さんが採用しています。また、AU損保さんは自転車専用商品に付帯しています。   2、(旧)自動車事故弁護士費用特約で、不合理と断じた補償範囲の制限が撤廃され、従来から馴染みの補償範囲である「家族の自動車1台に特約がついていれば、家族内所有すべての自動車・バイクに弁特が適用」できるようになった。

 補償範囲が今まで馴染んだ自動車保険のルールに戻ったので、契約者の理解は容易ですし、代理店さんの設計ミスも防げると思います。    3、掛金が若干上がった? 三井住友さんに限らず、ここ数年各社、値上げ傾向です。     ★ これで、三井住友さんの弁特は無敵となったでしょうか。惜しむらくは損保ジャパン日本興亜が唯一採用している「刑事弁護士費用」を加えれば最強かと思います。

 損保ジャパン日本興亜の新型・弁護士費用特約   ★ ...

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 人身傷害保険や無保険者傷害特約の請求では、非常に難しい約款解釈の問題があります。興味のある方は昨日の記事のリンク先を熟読して下さい。    昨日の内容を簡単に解説します。

 相手が無保険かつ回収も絶望的な件では、通常、自身加入の人身傷害保険の請求で諦めることになります。人身傷害を支払った保険会社は、一応、加害者に求償(払った保険金を加害者に請求)しますが、自賠責保険分程度が関の山、なかなか回収は難しいようです。

 すると、回収の難しい相手に対して、弁護士報酬を払ってまで訴えるものでしょうか。人身傷害に請求すれば、裁判基準ほどの額ではないにしろ、人身傷害基準での保険金支払いで直ちに解決となります。ところが、この理屈を捻じ曲げるのが「弁護士費用特約」(以後、略して弁特)なのです。なにせ、只で弁護士を雇えます。しかし、ここで弁護士の道徳心と能力によって、被害者さんの運命は激変することになります。

 昨日の宮佐古弁護士は、「依頼者の利益=人身傷害保険への回収など知らん」と、”加害者に対する損害賠償”までの仕事で終わらせました。確かに違法ではありませんし、契約上もそうなっているはずです。しかし、これでは弁護士だけが利益を確保(しかも、おいしい事件)できますが、多村さんはおろか吉本海上保険も損するだけです。宮佐古弁護士は「加害者Iさんに賠償金を払わせる目的の依頼(訴訟)ですし、加害者が判決額を払えないのは結果論ですから・・」と言い訳するかもしれません。もちろん本心とは思えません。回収困難な相手に無駄に訴訟?弁特があったからでしょ?・・被害者救済などどこ吹く風です。

 これも新たな弁護士費用特約の悪用例に加えたいと思います。

 それでは、本件事故の解決はどうすべきだったのでしょうか。手前味噌になりますが、私どもの連携弁護士であれば、人身傷害保険への請求まで責任を持って交渉します。なぜなら、人身傷害保険の約款に精通していますから、本件の結果(結局、人身傷害基準での回収)は最初から読めています。本件のポイントは相手への訴訟ではなく、人身傷害保険への請求がクライマックスなのです。被害者の利益を考え、以下の選択肢から慎重に進めます。   A:スピード解決・消極案

最初から裁判などせす、人身傷害保険の請求で終わらす。 保険会社によって約款に違いがありますが、上限規定を設けている会社の場合、相手無保険かつ0:100の事故で総損害額を積算すれば、裁判基準での回収は困難です。その金額の多寡から、約款の上限規定に屈して我慢することも一つの案です。少なくとも無駄な時間と保険会社の無駄な弁特支出は避けられます。   B:裁判基準の回収にチャレンジ

① 宮佐古弁護士に同じく、回収は困難であろうと相手を訴えて判決額を確定させ、その額を人身傷害社(人身傷害保険、無保険車傷害保険)に請求します。これを私達は宮尾メソッドと呼んでいます。

② 恐らく、人身傷害社は約款の上限規定から、「弊社が支払えるのは人身傷害基準の満額までです」と回答がくる。

③ 対して、「約款では裁判での判決額を総損害額と認めつつ、上限規定で否定するとは、2重併記でおかしい!」と反論。「保険金請求訴訟するぞ!」との勢いで人身傷害社の妥協を引き出す。    今年、類似ケース(相手無保険、死亡事案)にて、この方法で人身傷害保険(無保険車傷害特約)から、裁判・判決額のほぼ満額の回収に成功しています。弁護士がリアルに人身傷害保険へ判決額の回収を迫れば、人身傷害社は最初「約款の規定ですから」と回答するも、折れてくることもあるのです。この約款問題を裁判で公に争いたくない保険会社の立場が浮き彫りとなります。

 平成24年2月最高裁の「裁判基準差額説」の判決以来、各社、人身傷害の約款にかなり神経質になっていると思います。万が一、この保険金請求訴訟で負ければ、裁判基準差額説判決の悪夢が蘇ります。全社、再び約款改定をしなければならなくなるのです。リスクある裁判を避けたい保険会社は、約款を曲げて支払う英断をします。つまり「約款は絶対ではない」のです。B案は人身傷害の約款の性質を熟知している弁護士だけがなせる技です。 続きを読む »

 弁特エトセトラはかなり長い期間シリーズにしています。

 前回の巻 ⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑮ 労災免責について、研修会に追補します。    さて、今回取り上げるテーマは、民事の紛争で付き物である回収の問題です。民事事件のなかでも、不法行為に対する賠償金請求を行うケースで常に問題になるのが、「相手から実際に賠償金を取れるのか?」です。賠償金請求に応じない加害者に対し、弁護士に報酬を払って依頼したとして、仮に裁判に勝っても「相手が払わない」、あるいは「相手にお金がない」、「相手に強制執行(財産の差押え)をかけようにも対象となる財産もない」、ついに「相手が行方をくらました」・・・つまり、交渉がまとまろうが、裁判に勝とうが、賠償金が回収できるとは限らない現実があります。私達は加害者について、”お金を持っていない奴が最強”と思っています。

 無い袖は、

 したがって、相談を受けた弁護士は「争えば勝てますが、回収できないかもしれない」と、受任に慎重になるのが普通です。弁護士に道徳心あれば、依頼者の無駄な報酬支出を考え、回収困難な事件は引き受けないものです。しかし、ここでも弁護士費用特約を応用した儲けを画策する弁護士がおりました。実例から説明します。   1、多村さん(仮名)はバイク走行中、外国人(自称空手家Iさん)が運転する無保険車の衝突被害に遭って受傷、腕を骨折して12級6号の後遺障害となった。   2、相手から何ら補償得られず、自身加入の吉本海上保険㈱の人身傷害保険で治療費等を確保した。   続きを読む »

 遅ればせながら、今夏の弁護士研修会で担当した、弁護士費用特約の各社比較から紹介します。    三井住友の不合理条項として、以前から取り上げてきた、弁護士費用特約の労災免責が最新約款(2017.4.1改訂版)から無くなっていました。えらく細かい事を言っているようですが、交通事故の現場で一体、何人がこの免責(つまり、保険がおりない)で泣かされたことでしょう。これを削除した三井住友さんの約款改正を称えたいと思います。是々非々でいきましょう。

 弁護士費用特約の労災免責とは? ⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑩

(改定=削除前の約款> 太字の部分です

(3) 当社は、次のいずれかに該当する被害を被ることによって生じた損害に対しては、弁護士費用保険金を支払いません。 ① 被保険者が麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、シンナー等の影響を受けているおそれがある状態で発生した易体の障害または財物の損壊 ② 液体、気体(注13)まだは固体の排出、流出またはいつ出により生じた身体の障害または財物の損壊。だだし、不測かつ突発的な事由による場合を除きます。 ...

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 最後は個人賠償責任保険ではなく、施設賠償責任保険です。

 個人賠はあくまで、日常生活上で第三者に損害を与えた場合に対応する賠償保険です。したがって、業務上の賠償問題は専用の賠償保険の対象となります。   ・工事現場で請負工事の作業中に第三者に損害を与えた場合 ⇒ 請負賠償責任保険

・商品を購入したら、商品が不良品だった場合 ⇒ 生産物賠償責任保険

・品物を預る業者が預り物を壊してしまった場合 ⇒ 受託物賠償責任保険

・お店の設備に問題があり、お客さんに損害を与えた場合 ⇒ 施設賠償責任保険  他にもありますが、代表的なものは以上です。    本件は宿泊施設が加入していた施設賠償保険に頼ることになりました。賠償保険の多くは、自動車の任意保険のように積極的に示談代行ができない上、担当者は自賠責保険の基準で押し切ろうとします。それでダメなら、弁護士介入がパターンです。それでも、保険の加入はありがたいものです。連携弁護士とのコンビでしっかり解決させます。

賠償保険なら何でも来い!  

施設賠14級9号:頚椎棘突起骨折(30代女性・長野県)

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 歩行者が加害者になることもあります。    急に飛び出してきた歩行者を避けるために、バイクが転倒・受傷するケースが少なくありません。もちろん、交通弱者(歩行者)保護の原則がありますので、バイクや自動車は常に歩行者の動向に注意する義務があり、道路交通法にも定められています。

 それでも、過去数件、明らかに歩行者に大きな責任がある事故を経験しています。例えば、酔っ払った歩行者が幹線道路のガードレールを乗り越えて横断、自動車と衝突したケース。信号無視で交差点を横断しようとした歩行者と自動車の衝突。また、明らかに自殺目的で道路に飛び出した歩行者のケース。この場合、自動車に前方不注意の過失はありますが、常識的に考えても歩行者に大きな過失が指摘されるでしょう。 

 本件は過失割合の争いになるべきですが、非接触事故かつ、バイク側のみのケガともなれば、周囲は「バイクの自爆事故」の流れに・・。事実、バイクの任意保険も契約者に自損事故特約(自爆事故の場合にでる保険)の請求書を送る始末・・。そんな解決には「待った!」をかけます。

歩行者の責任も問うべきと思います  

個人賠12級5号:肩鎖関節脱臼(60代男性・神奈川県)

【事案】

バイクで走行中、歩行者が歩道から横断の為に急に飛び出し、衝突を回避するためにフルブレーキをかけて転倒、肩を受傷したもの。診断名は肩鎖関節の脱臼。

【問題点】

相談時には既に受傷から2年が経過しており、治療も終了していた。鎖骨の脱臼は外見上に明らかなピアノキーサインが残っていた。後遺障害申請を行いたいが、この時点では自損事故特約への請求しか選択肢がなかった。つまり、被害者バイクが自ら転倒しただけの自爆事故扱いとされていた。 続きを読む »

 近年、自転車の加害事故の増加がニュースになっています。自転車は道路交通法上、軽車両とされ、自動車と同様に道路交通法で規制される”車”です。交通事故賠償の世界での自動車との違いは、「自賠責保険があるか、ないか」ではないでしょうか。

 自転車対歩行者、あるいは自転車同士の事故は交通事故相談の中でも、実はかなりの数なのです。私達が注目することは、やはり、個人賠償責任保険です。相手に保険があること、すなわち、回収の問題をクリアできるのです。加害者のお財布から治療費や慰謝料を取ることは非常に難しく、相手に資力がなければ「ない袖は振れん」と・・お手上げです。どんな敏腕弁護士でも苦戦必至、あるいはあきらめとなります。

 保険さえあれば・・解決の目処がつくのです。

日々、保険の勉強が大事です  

個人賠14級9号:頚椎捻挫(40代女性・東京都)

【事案】

歩行中、横断歩道で信号待ちしていたところ、自転車から衝突を受ける。直後から頚部痛や頭部痛、膝や肩の痛み、めまいや不眠に悩まされる。続きを読む »

 相手に自賠責なくとも対応は変わりません。これがこのシリーズの決め言葉でしょうか。

 本件はTFCC損傷+突き上げ症候群のケースで、同症状で何度も自賠責や労災に障害申請してきた経験の応用に過ぎません。自信を持って対応、連携弁護士と完全解決へまっしぐらです。

 国内事務所で最もTFCC損傷に取り組んでいるかも?です  

個人賠14級9号:TFCC損傷(50代女性・静岡県)

【事案】

T字路で自転車同士自転車の出会い頭衝突。両手関節を痛め、特に右手関節は尺骨突き上げ症候群となった。下図青丸の部分が小指側の手関節部にある「三角線維軟骨複合体」を突き上げて激痛が起きるのです。前腕~手関節の骨折で発症し、これもTFCC損傷の原因と言えます。この場合、手術で尺骨を骨切りして短縮し、突き上げを抑えることになります。

問題点】

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 秋葉事務所の特徴は、なんと言っても「後遺障害に特化した専門事務所」です。

 それは、自賠責保険の後遺障害に限ったことではありません。労災への後遺障害申請は毎度のこと、そして、保険金を回収するためには自身加入の諸保険・共済、人身傷害へ審査を求めます。これは業界用語で「自社認定」と言います。また、相手になんらか賠償保険の加入があれば、その保険会社に障害審査・保険請求を敢行します。

 加害者が自転車や歩行者の場合は、多くのケースで個人賠償責任保険がその対象となります。また、相手が企業であれば、施設賠償、請負賠償、生産物賠償・・会社加入の賠償保険を探すことになります。

 これら、いくつかの好取組が重なったので、シリーズで紹介したいと思います。    おさらい ⇒ 個人賠償責任保険をあらためて解説    保険に精通した事務所ならではの解決方法をご披露しましょう!  

個人賠12級5号:鎖骨骨折(20代男性・東京都)

【事案】

バイクで直進中、交差点で信号無視の自転車を回避して、転倒したもの。肋骨骨折と左鎖骨を折り、鎖骨は粉砕骨折のため、プレート固定とした。自らの国民健康保険を使って治療にあたる。

【問題点】

どの相談先でも「相手は自転車ですか・・・」と一様にトーンダウン。自転車のため、任意保険や自賠責保険は無く、確かに相手の対応は限られる。幸い、加害者の同居者に個人賠償責任保険の加入があり、賠償のあては確保できた。問題は後遺障害の認定と賠償交渉である。

【立証ポイント】

私達の対応は普通の自動車事故と変わりません。病院同行の末、鎖骨の変形で12級5号、肩関節の可動域制限12級6号を明らかにする診断書を完成させた。続いて、相手の個人賠償責任保険に診断書を提出、自社認定に付す。

相手からの回答は、変形のみの認定で12級5号となった。確かに肩関節の可動域は回復傾向、ここは変形障害のみで了承する。現在、連携弁護士の賠償交渉によって、赤本満額の賠償金に引き上げ中である。  

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 先日の研修会で23社の弁護士費用特約の比較を行いました。    補償内容・約款の比較は、各社細々と約款改定を行っていますので、実に大変な作業です。見落としはないか、チェックが今でも続いています。やはり、当日の研修会でも、弁護士費用特約の「労災免責」について、ソニー損保で該当条項の有無の検証が生じました。

 私達の認識では、ソニーさんは三井住友さんと並んで「労災免責」を採用していたはずです。「労災免責」とは、”通勤や業務中の交通事故は、労災適用事故なので、自身が加入している自動車保険の弁護士費用特約が使えない、但し契約車両に搭乗中は除く”との条項です。

 具体的な例で言いますと、「徒歩で通勤中、交差点で車にはねられても、自身が加入の自動車保険の弁護士費用特約は使えない」ことになります。

 以前、三井住友さん他、通販系の数社にみられる、この不合理な免責条項について、疑義を表明したことがあります。⇒ 弁護士費用特約にまつわるエトセトラ ⑩

 前述の通り、今回の研修会の為に最新の約款から、各社の比較を行いました。三井住友さんは相変わらず、この免責条項が健在でした。国内社では他に富士火災さんにも存在を確認しました。

 通販系はソニーさんとアクサさん、と承知していましたが、なんとソニーさんの約款にその記載が見当たりません。研修会では、「重要事項説明書では免責となっています!」とK弁護士先生がその場で調べて下さいました。その場では、「約款では不記載、しかし、重要事項説明書での免責記載は有効か?」との議論になりました。

※ 重要事項説明書・・・契約の際、契約者に説明・交付する、読んで字のごとくの書類

 早速、研修明けの昨日、ソニーさんの約款、重要事項説明書を数年間にわたり精査、さらに直接、ソニーさんに電話でも問い合わせを行いました。

 結果は、少なくとも2年前の平成26年4月以降版から「労災免責」の記載は消えておりました。

 何らかの理由で削除されました。ここは不合理を理由に削除されたと、好意的に解釈したいと思います。これが保険会社の自浄作用かもしれません。    さて、残るは三井住友さん、富士火災さん、アクサさんです。    もちろん、このような細かい約款規定を比較して、加入の選択をする消費者は存在しないでしょう。しかし、自家用車に保険をつけてのマイカー通勤ではなく、歩行・自転車・他の自動車で通勤している契約者は大勢います。いざ、事故に遭い、弁護士に頼ろうとも通勤中を理由に免責となり、せっかく掛金を負担した保険から払われない・・怨嗟の声は小さくないはずです。   20070119  

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 もう、普遍的な事となりました、他事務所からの契約切替えについて、意見します。

 せっかく弁護士他に依頼をしながら、その後の対応に不安・不満をもった被害者さんからの相談は、相談会参加者でも25%ほどまでに登ります。他の弁護士先生からも「今月は○○法律事務所から2件、△△法律事務所から1件、□□法律事務所から3件・・」と他事務所からの契約切替えを定期報告のように聞きます。

 確かに依頼をしてみた結果、「合わないな」と思って解任することもそれなりにあるでしょう。しかし、こと交通事故に関しては日常茶飯事、本当に多すぎるのです。それほど被害者さんは軽薄に契約しているのでしょうか。しっかり説明を受けて契約したはずです。また、依頼を受けた事務所も誠実に業務を遂行しているはずです。なぜ、交通事故に限って依頼先の変更が常態化してしまったのでしょうか?     交通事故で弁護士が活躍するのは、当然ですが賠償交渉です。そして、その前段階である諸手続き、損害の立証作業も腕の見せ所です。しかし、現実は前段階の事務をやらない、できない事務所が圧倒的多数です。賠償交渉ですが、裁判などは3%に満たない珍事であって、大多数は赤本などの基準表を見て計算し、相手保険会社と賠償金の計算書の交換をするだけで交渉が進みます。そうです、まるでクレサラ業務と同じ、すべてとは言いませんが楽~な作業なのです。近年、クレサラ事務所が交通事故に大挙参入してきたことと無縁ではないでしょう。

 対して、賠償交渉以前の事務では、ある程度、保険会社との折衝はするでしょうが、健保切替えに付随する第三者行為の書類作成、労災の手続き、身体障害者手帳の申請などすべて被害者に任せ、やってくれません。場当たり的なアドバイスはしますが、多くの弁護士は「それは窓口に聞いて進めて下さい」と丸投げです。さらに、後遺障害の立証も、被害者さんがすべて自分で医師と折衝し、検査を手配し、書類・画像を集め、争いとなれば自ら鑑定先を探し、異議申立て手続き・・頼るべき弁護士は等級が確定するまで待っているだけです。

 結局、このような事務所を選んだ被害者は、様々な対処に困って依頼したものの、全部自分で動かなければならないのです。

 弁護士たるもの「わからない」、「できない」、のであれば派手なホームページで「交通事故に強い」「後遺症も任せて」等、あたかもできるように書いてはいけないと思います。「当事務所は賠償交渉のみしかやりません」と書かなければ、誇大広告となるはずです。それでも生まれて初めての交通事故である被害者は比較しようもなく、宣伝だけで弁護士を選びがちです。    さて、それだけのことで済めば、どの商売でもよくある話です。交通事故の場合はそれだけでは済みません。普通、依頼を受けながら解任される弁護士事務所は、売り上げが逃げますのでそれなりに困るはずです。また、依頼者に問題がある場合を除き、解任自体を反省、恥じるべきです。しかし、弁護士費用特約(以後、弁特)の存在がそれらを打ち消します。

 契約を受けて、その依頼者の契約している保険会社に着手金を請求・受領すれば売上は達成されます。解約によって成功報酬はなくなるにせよ、ほぼ何もしないで、10~50万円を手に出来ます。そして、多くは(着手金はいかなる理由でも返還しない)契約を盾に着手金を返しません。やってくれた仕事と言えば、契約時の面談に、後は電話数本程度・・それでも頑として着手金を返しません。そもそも着手金の性質は手付け、経費の前払いとの理解です。業務量に見合った金額以外は返還するのが常識的な態度でしょう。しかし、依頼者も弁特からの支出ゆえ、自らの懐が痛んでいません。苦情もなくそのままに・・。

 こうして、依頼者に弁特があれば何でもかんでもとりあえず契約に持ち込み、着手金GET、その後何もしないで解約されても「あぁ、そうですか」で平然と応じます。弁特が無い場合は正式契約せず、相談を継続(実質、何もしない)して等級がでるまで様子見を決め込みます。この”相談状態”の宙ぶらりんな対応に不安を感じた(セカンドオピニオンとしての)2重相談者も非常に多い。残念ながら、少なからずの事務所がこの体たらくで、これが「異常に解約が多い」ことの温床になっていると思うのです。

 毎月何十件も受任している事務所は一定割合の解約もこのように利益にしています。弁特のおかげで、着手金稼ぎのビジネスが成立です。商売上手?ではなく、悪質とさえ思えてきます。保険会社も苦々しく思っており、いくつかの事務所に苦情を申し入れています。LAC(日弁連の)が着手金を「10万円まで!」に固執している理由は、この着手金稼ぎビジネスを防ぐためでもあるのです。    最後に最近の相談者さまを代弁して、  eEeS1ECvGkjZQON_VRgoj_67

「それが、お前らの、やり方かぁー!」

 

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 行政書士の請求に対する各社の動向ですが、かつて「行政書士への費用は明確に制限規定を設けた」件について書いたと思います。詳しくは ⇒ エトセトラ⑧

 以前から国内社の対応は「法律相談費用(10万円限度)の範囲でなんとかしたい」意向がありました。最近は約款まで記載せずとも、重要事項説明書やパンフレットに行政書士への支払い制限を書くようになっています。外資系は元々、”支払い対象は弁護士のみ”が多数であったのですが、近年、行政書士へ対象範囲を広げています。しかし、支払い内容は当然に渋いものでしょう。

 久々に某通販系の担当者と弁護士費用(以下、弁特)について、電話でお話をする機会がありました。その会社はLAC基準を前面とし、小額案件は弁護士でも着手金は10万円まで、行政書士は「着手金・報酬」などそもそも発生せず、「文章作成料金」の費用について10万円限度と徹底した対応をしています。元来、弁特は各社、各支払い課、担当者によって支払い基準・解釈がばらばらの対応ですが、この会社は珍しく全国的に支払い基準が統一しているようです。

   第三者的な分析が多いこのシリーズですが、今回は私(弊事務所)の姿勢を明確にしておきましょう。

 最初に言いますが、”保険会社が事前に支払い基準を示すこと”について、私は賛成です。それさえクリアにしているなら弁特社を横暴と思いませんし、担当者と喧嘩になることもありません。会話の応酬は以下の通り・・ tel13 (担当者)  行政書士は資格上、文章作成の費用しか発生しないはずです。したがって、着手金・報酬は弁護士のみで、行政書士には10万円の費用までです。

(秋葉)  確かに文章作成料としての代書代・手間賃は5万円程度です。弊事務所ではそれに調査費用が上乗せされます。そちらの費用がはるかにかさみます。その初期経費は着手金でまかなっています。また、その調査の成果に応じて報酬を決めますので、「着手金&報酬」制度は依頼者の理解が得られやすいのです。  弁護士のみ「着手金&報酬」が発生する?といった概念は単に御社のお考えでしょう。

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