世の中には2度も3度も結婚する人がいるもので・・    この業界に飛び込んで数年経ちますが、同じような「傷病名」、「流れ」といったものが続くということが多々あります。例えば、HPから「腰椎圧迫骨折の後遺障害申請について依頼したい。」というご連絡があった翌週に「胸椎圧迫骨折で困った人がいるからサポートしてあげてほしい。」というご連絡を頂いたりと・・・。理由はよく分かりませんが、このような流れは「あるある」なのです。

 最近、受任したムチウチ患者さんは、被追突にて整形外科に通院していましたが、相手保険会社から「今回の事故態様・症状を鑑みると、治療費は4ヶ月が妥当だと考えております。」と言われてしまい、有無を言わさず打ち切られることになりました。今後は健康保険を使って通院することになるのですが、被害者さんは「被害者の意見も聞かずに、保険会社が勝手に治療期間を決めるなんて納得できません!」と怒り心頭です。「後遺障害が認定されれば、賠償交渉で取り返せる可能性が高いので、今は怒りを収めて立て替えたつもりで治療を継続しましょう。」と気持ちを切り替えていただき、治療に専念してもらっています。

 そのような案件をサポート中、旧依頼者からご紹介いただいたムチウチ患者さんと面談したところ、保険会社からいきなり「交通事故賠償では「捻挫・打撲・挫傷」の傷病名による治療は、3ヶ月以内に治癒となる方が8割という医療統計があることから、検査上異常がない時には、治療のご対応は3ヶ月間を目処として賠償対象期間と考えられています。当〇〇としましては、受診された医療機関から提出される診断書の内容、受傷機転等から事故賠償における「症状固定」に至っていると判断し、残存する自覚症状による治療については、事故との相当因果関係の問題から目処を付けさせていただきたいと存じます。〇月〇日をもって現在ご通院されている医療機関様との一括対応は終了させて頂きますのでご了承願います。」という通知が届き、一方的に打ち切られたようです。どうやらこの保険会社では、器質的損傷のない方は「3ヶ月で打切り」と決めているようです。この被害者にも同じような説明を申し上げ、現在、自費(健康保険・労災等)で通院しています。

 私は常日頃からこのようなこのような流れを見ておりますので、「またか。」くらいにしか思いませんが、被害者にしてみれば「こちらには過失がないのに、なぜこのような仕打ちを受けなければならないのか!」といったお気持ちはとてもよく分かります。強制的に打ち切る保険会社が悪いのか、骨折等がないのに3ヶ月以上も通院する被害者が悪いのか。元凶は「大した症状もないのに、お金のために通院する詐病者」だと思います。世の中から詐病者がいなくなれば、保険会社も被害者の症状を信用して、このような治療費の早期打切り争いも起こらないのではないか、そんな気がします。

 「詐病者」は交通事故業界全体で排除しなければなりません。秋葉事務所は全ての被害者をサポートする訳ではなく、助けるべき被害者をサポートしております。

 二度あることは三度ある。近々、早期打切りにお悩みの被害者からご相談があるのではないかと期待しながら、7月も頑張ってまいります。  

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 先日、顔面麻痺の被害者がいらっしゃったのですが、顔面麻痺の検査方法がありましたので、記載してみます。    柳原40点法とは、1976年に柳原尚明先生をはじめとする顔面神経麻痺の臨床研究に携わるグループにより作成され、1976年および1984年の国際顔面神経シンポジウムで報告されたものです。柳原40点法は、※「安静時の左右対称性と9項目の表情運動」を4点(ほぼ正常)、2点(部分麻痺)、0点(高度麻痺)の3段階で評価されます。微妙な場合は、中間の3点、1点を採用する場合もありますが、合計点数を計算するには偶数の方が簡便で検者間の誤差が少なくなるため、より妥当な偶数点に変更し、2進法で評価します。柳原40点法は、顔面表情の主要な部位の動きを個別に評価することで、検者の主観をおさえて再現性を高めるとともに、経時的な部位別評価をすることができます。40点満点で10点以上を不全麻痺、8点以下を完全麻痺、あるいは20点以上を軽症、18~10点を中等症、8点以下を重症とします。また、36点以上で中等度以上の病的共同運動(口を動かすと、一緒に目が閉じてしまうなどの症状)のないものを治癒と判定するようです。

 柳原40点法を使用することにより、顔面神経麻痺発症初期に麻痺程度を診断することで予後評価が可能であり、的確な治療法の選択にも有用であることが報告されているようです。発症から1~2ヶ月の経過観察で機能予後をある程度判定できるため、術前評価法として神経再建をすべきか否かの判断の一助となっているようです。しかし、評価基準が3段階のため、術後評価としては実際には大雑把すぎるというのが問題であり、今後の課題でもあるようです。   ※ 10項目としては、「安静時の左右対称性」、「額のしわ寄せ」、「軽い閉眼」、「強い閉眼」、「片目つぶり」、「鼻翼を動かす」、「頬をふくらます」、「口笛」、「イーと歯を見せる」、「口をへの字に曲げる」があります。    後遺障害認定においては、この柳原40点法は参考程度にしか捉えられず、診断名、画像所見によって主に判断されていることが予想されます。「現場で使用する検査」と「立証で使用する検査」に乖離があるのは仕方のないことですが、問題はこの乖離を現場の医師が知らないという点です。交通事故(労災事故もですが)において、この問題が解決する日は来るのでしょうか。まだまだ秋葉事務所の活躍の場がありそうです。

 

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 交通事故を契機に、肩関節の不調を訴える被害者が後を絶ちません。むち打ち・腰痛の次に多い症状かもしれません。    多くの場合、むち打ちを契機とした、いわゆる頚肩腕症候群の範ちゅうに入ると思います。40~50代が圧倒的に多く、若年層はほとんどいません。中高年ともなれば、体が硬く、頚椎にも年齢変性がみられ、首から肩にかけて過緊張の状態になっています。交通事故外傷以前に、中高年の4人に1人は何等かの症状を持っていると言えます。

 さて、毎度、賠償問題となるのは、これらの症状が事故を原因とするものか否かです。保険会社は受傷の状況に不自然がなければ、およそ3か月の治療は容認します。しかし、それ以上となると・・「打撲・捻挫でいつまで通っているの(怒)」とは言いませんが、治療費打切りを切り出してきます。通常、打撲捻挫の類は消炎・鎮痛処置をすれば、1か月もすれば軽快するものです。3か月でも十分、それ以上は長過ぎると思うわけです。これは、単なる”保険会社の払い渋り”とは言えません。

 しかし、3か月でも症状が治まらない被害者さんは、確かに一定数存在します。さらに、その一定数からも大きく2つに分かれると思います。一つは、頚椎捻挫から頚部の神経症状が発症したタイプです。これは単なる捻挫を通り越して、上肢のしびれを代表に、様々な不定愁訴(頭痛や吐き気、肩の重だるさ、その他不調でなんだか調子悪い)が半年から数年続くことになります。肩関節も痛みから動かさないので、関節が拘縮し可動域制限が残る方も含みます。これを、「90°までしか肩が挙がらない! 肩腱板不全断裂ですから!」と、10級10号の診断書を提出したら・・自賠責保険の怒り(非該当)を買うこと必至です。絶対に10級を認めないと思います。    このような被害者さんは、痛みの継続をもって、後遺障害14級9号「局部に神経症状を残すもの」の認定を受け、その賠償金を得て、長期間の治療・リハビリに備えるべきと思います。この程度(と言っても200万円~)で手を打つべきなのです。治らないからと言って、いつまでも保険会社と戦争すべきではありません。この解決の流れを作ることが私達の仕事でもあります。    もう一つのケースは、事故受傷を契機に頚部や肩の痛みは当然として、肩にそれ程のダメージがないであろう受傷状況から、「どんどん肩が挙がらなくなった」人です。先の説明、神経症状の一環とも思えず、いわゆる四十肩・五十肩、老化による自然な肩関節周囲炎の症状そのままです。この場合、事故受傷により、その衝撃から発症してしまう不幸なケースもあれば、実は事故前から不調だった、あるいは事故後から拘縮が進むケースですから、ケガと言うより年齢変性・運動不足による疾病に近づきます。事故との因果関係について、保険会社は当然に否定します。肝心の医師も判断に困ります。それがわかるほど、現代の医学は進歩していません。そして、賠償問題に関わりたくないので、患者と距離を置きます(逃げ出します)。

 単なる打撲・捻挫、挫傷の類で、「肩が半分までしか挙がらなくなったのは事故のせいだ!」と保険会社と対峙しても、その争いは自賠責保険の後遺障害審査はもちろん、裁判でも負けると思います。骨折や脱臼、棘上筋断裂で手術でもしていれば別ですが、ズバリ、証拠がありません。その点、この問題をさらに複雑にするのが、医師の診断名です。半分も肩が挙がらないことのみをもって、「肩腱板断裂(損傷)」の診断を下してしまうのです。画像検査もなしに確定診断?は軽率に過ぎますが、そもそも町医者の先生に、MRI画像を正確に読影して頂くことなど高望みなのです。

   独り歩きを始めた診断名(診断書)ですが、賠償問題で保険会社と争う段階になれば、「肩腱板断裂」→「肩腱板不全断裂」→「肩腱板損傷の疑い」と、だんだん自信喪失、薄まっていきます。本来、慎重な医師であれば、予想的な診断名を口にしません。肩関節の専門医にコンサル(紹介)します。その専門医も安易に断定しません。問診・徒手検査を経て、MRIやエコー検査の画像を基に丁寧に診断を下します。そして、たいてい「年齢変性による肩関節の拘縮ですね」となりますが。    このように、中高年にとって、事故外傷と(年齢変性による)諸症状の切り分けこそ、交通事故解決の宿命と思います。私達は日夜、被害者さん・保険会社・医師の3者の交通整理をしているようなものです。    かく言う、私も肩の痛みに悩まされています。私には無縁と思っていた(根拠のない自信)五十肩になったのでしょうか? この件はまた、後日レポートしたいと思います。  

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 次に、指を曲げることができなくなった、または伸びたまま硬直した状態、伸展拘縮も検討します。曲がらなくなった理由は一つではありませんが、屈筋腱損傷を前提に考えます。これも基本知識から。

 

(2)屈筋腱損傷の基礎解説 手の掌側にある屈筋腱が断裂すると、筋が収縮しても、その力が骨に伝達されないので、手指を曲げることができなくなります。切創や挫創による開放性損傷、創のない閉鎖性損傷、皮下断裂がありますが、圧倒的に前者です。屈筋腱の損傷では、同時に神経の断裂を伴うことが高頻度で、そんなときは、屈筋腱と神経の修復を同時に行うことになり、専門医が登場する領域です。

手指の屈筋腱は、親指は1つですが、親指以外では、深指屈筋腱と浅指屈筋腱の2つです。親指以外で、両方が断裂すると、手指が伸びた状態となり、まったく曲げることができなくなります。

深指屈筋腱のみが断裂したときは、DIP関節だけが伸びた状態となり、曲げることができません。しかし、PIP関節は、曲げることができるのです。

屈筋腱損傷の治療は、手の外傷の治療のなかで最も難しいものの1つで、腱縫合術が必要です。年齢、受傷様式、受傷から手術までの期間、オペの技術、オペ後の後療法、リハビリなどにより治療成績が左右されます。治療が難しい理由には、再断裂と癒着の2つの問題があります。オペでは、正確かつ丁寧な技術が求められ、オペ後の後療法も非常に重要となります。

(3)DIP関節の伸展拘縮と屈曲拘縮、どちらかで14級7号は認められるのか?

 労災の認定基準では、以下の通りです。

 14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの

 MCP(指の根元)やPIP(第2関節)は1/2までしか曲がらなくなった場合で用廃と、労災・自賠責共に基準とされています。

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 多くの指の認定例を誇る秋葉事務所でも、まだ未経験の部位・症状があります。今後、それらの受任と実績を待つとして、自賠責・労災の認定基準を明確に把握しきれないケースについて、最新の認例実績をもとに解明していきたいと思います。

 指のケガを検索、秋葉事務所に引っかかった方は、どしどしご相談下さい。初の相談例であっても、指にまつわる経験則は抜きんでていると思いますので。     【1】 DIP関節における機能障害の等級認定は?

 DIP関節は指の一番先の関節です。根本の関節(MP)、中間の第二関節(PIP)、親指の場合は(IP)・・これらの機能障害、欠損の認定基準は上の一覧表を見れば、容易に判断できます。しかし、細かい症状で悩むことがあります。最初に取り上げるのは、第1関節(DIP)の障害です。機能障害としての認定基準、例えば可動域制限などは明記なく、14級7号が唯一明記されています。   「14級7号:1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの」    このような障害の代表は、いわゆる「突き指」で第一関節が曲がったまま固まった状態でしょうか。多くは、伸筋腱か屈筋腱の損傷を原因に、そのまま長期間装具固定した、あるいは放置した結果、関節が拘縮してしまった状態です。こうなると、手術での改善も時すでに遅しに感じます。

 この後遺障害で秋葉が感じる謎は、「屈伸できなない=硬直」は当然として、では、「伸ばすことはできるが曲げることはできない(伸びたまま)=伸展拘縮」、逆に「曲げることはできるが、伸ばすことはできない(曲がったまま)=屈曲拘縮」、これらも14級7号に該当するのか?です。 まずは、基礎解説から(交通事故110番より)。   (1)伸筋腱損傷の基礎解説   指を上から見たときの解剖図

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 秋葉事務所がもし「他事務所との違いは何ですか?」と聞かれたら、こう答えるでしょう。  

 「画像を観てから提出しています」

   後遺障害の仕事は、単に診断書などの書類を集めるだけではありません。等級認定を決めるのは画像です。審査側の自賠責調査事務所は、とりわけ受傷時と症状固定時の骨や靭帯の状態に注視しています。私共、申請側もそれに倣っています。まさに、本件は癒合状態が等級認定の決め手となりました。

 秋葉事務所では、これまで医師が見落とした画像所見を指摘、診断書に追記頂くことが何度もありました。これは、決して医師に勝るなどと自慢しているわけではありません。医師は限られた時間で患者に接し、治療上に影響のない骨片程度の確認の為に、画像を隅から隅まで観る時間などありません。何より、自賠責や労災の認定基準など守備範囲の外、あくまで治療に尽くすのが医師の役割だからです。その点、医師任せでは等級を取りこぼす危険性が潜んでいると言えます。

 また、画像を観ない、理屈ばかりで後遺障害等級の経験少ない事務所に任せてしまうと・・本件のようなケガでは、その障害は無かったことにされるかもしれません。   お手柄の金澤 「レントゲン再検査して良かった!」  

14級6号:第5指PIP関節脱臼骨折(30代女性・静岡県) 

【事案】

交差点にて横断道路を歩行中、前方不注意の右折車に衝突を受ける。転倒した際、小指を脱臼し負傷。事故から6ヵ月目、相手保険から打切り打診があった段階での相談となった。

【問題点】

受傷した小指は、可動域制限あるも、13級6号「1手のこ指の用を廃したもの」に届かない数値だった。残るは靭帯損傷か神経症状の残存か・・選択は厳しくなった。

【立証ポイント】

左小指の軟部組織状態を精査する為、急遽主治医にMRIの紹介状を貰うよう手配。MRI撮影後、本人から画像のコピーを速達で送って頂き確認。軟部組織に異常が無いと判断し、症状固定の日取りを調整した。

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 普通、ホームページでは華々しい成功の記録を誇示するものです。集客・宣伝ですから、それは当然のことです。しかし、秋葉事務所の姿勢は異なります。

 HPで実績をUPして10年を超えますが、そのアクセスを分析すると、全国の交通事故被害者さんはもちろん、弁護士・関連業者のアクセスが半数を超えると思われます。ネット情報とは言え、一定の信頼から秋葉事務所の実績を参考にして下さっているようです。多少なりとも被害者さんや同業者さんの役に立っていること、これは人助けに通じる名誉なことだと思います。

 このシリーズ、あえて人には見られたくない認定例も隠さず紹介してきました。失敗例もきっと誰かの役に立つはずです。

多くの経験値を誇るも、まだ未経験の症例や知らない事も多いのです  

12級5号:肩峰骨折・肩鎖関節脱臼(10代男性・千葉県)

  【事案】

自転車で交差点右折の際、左方よりの自動車と衝突、転倒したもの。右肩の激痛から、レントゲン検査したところ、肩甲骨の肩峰が骨折、数日後、転院先で手術(鋼線での固定)となった。  

【問題点】

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 昨年の自賠責の審査結果には、疑問が多かったと記憶しています。おかけで再請求(異議申立)が頻発しました。    自賠責保険の後遺障害審査ですが、14級程度の審査や明らかな障害では地区審査で判定します。申請のほぼ80%はそうではないかと思っています。しかし、高度な判断が必要となる案件は上部審査に上がり、顧問医の判断が加わることになります。今まで、上部審査とその顧問医の判断に一定の信頼を持っていました。

 それが近年、運用に変化があったのか、専門的な判断が必要なケースを地区審査で済ませる件が目立ちます。それは、審査期間からわかるもので、1か月~40日で結果がでます。上部審査へ上がる場合は2か月以上かかるもので、その通知が届きます。本件の初回審査はおよそ1か月、主治医に診断書と別に記載頂いた意見書、検査画像など、特別用意したものはスルーされました。恐らく画像など観ていない、あるいはチンプンカンプンなのでしょう。恣意的と言うよりは、難しい判断から逃げたかのようです。それなら、「顧問医に聞いてくれよ!」と思います。少なくとも、慎重な審査とは言えません。    結果的に3度の申請を強いられました。初回から(一応、専門家を名乗る)秋葉が全面的にフォローしながらです。障害の真実に到達するには・・「被害者さんにかくも茨の道を課すものなのか」と、悲嘆しています。    高度な後遺障害は秋葉に相談して下さい・・としか言いようがありません

 

非該当⇒12級7号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県)

 

12級7号⇒10級11号:前十字靭帯損傷 異議申立(30代男性・埼玉県)

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 腰椎や胸椎の骨折から、脊柱の変形=11級7号は画像と診断名だけで認定は容易です。しかし、後の賠償交渉では、11級の慰謝料は問題ないとして、相手損保は逸失利益を0円回答してきます。これは、最初に東京海上日動さんが、「単なる変形では痛みは消失傾向」、「骨再生が進めば限りなく治るもの」との医学的論文を根拠に、逸失利益を否定する流れを作ったと思います。他損保もそれに倣って、逸失利益0円回答が目立ちます。

 もちろん、そのように緩解する(症状が緩む)患者さんもいるでしょう。しかし、個別具体的に症状をみる基本は変わりません。多くの患者さんの場合、深刻か否か程度の差はありますが、一定期間は痛みや不具合が残るようです。

 したがって、自賠責保険の後遺障害認定において、「腰痛は(脊柱の変形と)通常派生する関係にある障害と捉えられることから、前記等級に含めての評価となります・・・」の文言を、認定書の理由に必ず残してもらうように申請しています。これで神経症状が内包されている評価になります。後に弁護士はこれを基に、痛みの継続を逸失利益(喪失期間5~10年)の請求根拠としています。本件に関しても、後遺障害診断書の記載に際し、主治医に自覚症状の記載を怠りなくお願いしました。さらに、別部位での14級9号認定も加えて、万全の状態で連携弁護士に引き継ぎました。     併合とならない14級9号の認定であっても、障害によっては無駄にならないのです     11級7号・14級9号:腰椎破裂骨折(10代男性・千葉県)

【事案】

バイクで直進中、左側民家から自動車が発進、衝突したもの。第1腰椎の破裂骨折は手術で前後3椎体を固定、他は両恥座骨、鎖骨、肩甲骨をそれぞれ骨折した。 受傷初期からご相談を頂き、入院先に訪問した。重傷案件ではあるが、術後から元気で、以後もどんどん改善が進んだ。「これが若さか」。

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 顔面線状痕は3cmで12級が取れます。書面審査が原則の自賠責保険ですが、その例外として醜状痕は面接審査があります。ただし、面接を絶対としていません。これは数年前からの傾向でしたが、この節コロナの影響もあってか、12級程度では面接や写真なしでも、医師の図示と計測で認定の件も増えました。

 醜状痕12級は自賠責保険の基準で、慰謝料と逸失利益(将来の損害)を一律に合算して224万円限度としています。しかし、後の賠償交渉では、逸失利益を0円と言わないまでも否定する傾向です。その理由は「モデルでもあるまいし、仕事上、顔の傷で減収はないでしょう」です。ぶん殴ってやりたくなりますが、確かに芸能人でもない限り、ただちに減収のない人がほとんどでしょう。これについて、弁護士は職種などから具体的な損害を主張、「営業職なので、顔のキズは仕事上なにかとマイナスがある」とします。弁護士は苦労して逸失利益の獲得交渉をしているのです。ましてや本件は未就職の学生さん、将来、顔の傷がどのように影響するか、現時点ではわからないのです。

   医者なら、「自分の傷も治せないの?」と思われそうです     その点、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)あるいは「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)の場合、膨大な裁判判例が積み重なり、逸失利益の喪失期間について、相場がそれぞれ5年(14級)、10年(12級)とされています。つまり、神経症状の認定があれば、逸失利益は交渉し易くなります。

 だからこそ、本件は神経症状の認定にこだわりました。もって行き方次第では、醜状痕だけの認定で済まされていたかもしれません。このような等級の模索は、後の賠償交渉を想定したものです。私達の医療調査は事実証明を果たすものですが、後の賠償方針に最適な解答を探す作業でもあります。受任のほぼ全件が弁護士との連携業務ですから、その点、研ぎ澄まされていると思います。   続きを読む »

 顔面醜状痕、顔に傷が残るのは辛いものです。老若男女によって、その障害によるダメージはそれぞれ格差があると思います。10年前の基準では男女で差があり、3cm線状痕では、男子は14級、女子は12級としていたのです。それが、男女差別として改正されたのは以下の通りです。    ⇒ 醜状痕は残らないほうがいい    現在、医療の進歩から、形成術、美容整形術でかなり消すことができるようになりました。本件の場合は瘢痕でしたが、手術によってわずかな線状痕まで回復させる見込みがありました。面積から7級となる瘢痕も、12級の線状痕まで治すことができそうでなのす。

 しかし、損害賠償金の請求上、これはかなり賠償金が減ることになります。自賠責保険の保険金額ですら、7級は1051万円、12級は224万円です。つまり、手術前に症状固定して1000万円もらってから、20~30万円自腹となる手術費を払う方が圧倒的に賠償金が手元に残ります。多くの被害者さんは、たいてい「完全に治るまで示談しない!」と治療を続けますが、12級まで治してしまうと・・224万円まで減るのです。だったら、手術は示談してから(賠償金をもらってから)が得ではないですか。    この損得勘定は、あさましい考えでしょうか?    私達はこう考えます・・・己の治療方針と賠償方針を選択するは、被害者の権利です。   私達の仕事は、その情報提供をすることです。  

7級12号:顔面醜状痕(10代女性・山梨県)

【事案】

自転車で信号待ち停止中、信号無視で交差点に進入してきた車が青信号で進入してきた車と衝突、その衝撃で歩道に乗り上げてきた車に跳ね飛ばされた。まったくの”とばっちり事故”。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。

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 高次脳機能障害の様々な症状の中で、性格変化の立証には苦心します。検査でそれを数値化できないからです。そもそも、事故前の被害者さんに、医師は会ったことがありません。審査側も事故後の検査資料を見ることはできますが、事故前の情報はないので、比較できません。そして、何より、依頼を受けた私どもや弁護士も、被害者さんに会うのは事故後です。事故前の性格など知らないのです。

 以前、長野県の高次脳機能障害の被害者さんからの相談で、「頼んでいる弁護士先生に、うちの主人の性格が変わったことを訴えました。『事故前は、万事細かく、厳しい性格でしたが、事故後からはまったく別人で、柔和になってしまいました。』と相談したのですが、先生は、『性格が優しくなって良かったじゃないですか』と言われました」。 性格が良くなろうと、それは家族にしかわからない立派な『障害』です。その弁護士先生を急ぎ交代としました。    事故前後の変化を明らかにするには、家族の克明な説明はもちろんですが、映像が効果的です。本件の場合は、考え方や発言が子供帰りした、話し方が極端にゆっくりになったなどです。これらの変化は、言葉で説明するより、事故前後の”本人スピーチ”を比較すれば一目瞭然なのです。幸い事故前の映像があったので、主治医にも事故前後の映像をご確認頂き、障害の全貌を明らかにできました。

 自賠責保険にとって、ビデオ映像自体は審査資料の対象ではありません。しかし、十分に判断の助けになると思います。   映像を駆使する、うちの事務所でなければ・・7級だったかもしれません  

5級2号:高次脳機能障害(20代男性・埼玉県)

【事案】

歩行中、自動車に衝突される。頭部を強打し、意識不明の状態で救急搬送され、急性硬膜外・硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血の診断が下された。   【問題点】

依頼者の過失が大きく、相手方保険会社から一括対応を拒否されており、健康保険にて治療を受けていた。そのため、自賠責で終わってしまう懸念があった。

一方、障害面は、神経心理学検査の数値からは、注意機能・遂行能力にやや兆候有、せいぜい7級を想定したが、果たして・・・。   【立証ポイント】

既に高次脳機能障害としてリハビリがなされており、主治医も別病院にてお世話になったことのある高次脳機能障害に精通した医師であったため、立証作業自体はやりやすかった。検査数値や主治医の見解をお聞きした結果、弊所では7級は固いと踏んだ。

ご家族によると、事故前後で性格が変わり、幼児退行がうかがわれた。そこで、事故前のご本人が収録されているDVDが、出身校の大学教授の手元に資料として残っていると聞き、ご家族に取り寄せていただいた。その映像を確認したところ、話し方や動きが現在のご本人とはかけ離れ、まるで別人のよう。急遽、5級認定に標準を切り替えた。新たに映像を撮影し、事故前の映像と比較するビデオを編集・作成した。この比較映像に、主治医やリハビリスタッフもあまりの変化に驚かれ、診断書の内容を修正するに至った。

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 人身事故の被害者さんにとって、交通事故被害の回復とは、できるだけ治すこと、そして、少しでも多くの金銭賠償を得る事ではないでしょうか。    本例は、かつて相談会に参加された被害者さんの話です。面白かったので紹介します。    自転車走行中、自動車と衝突・転倒して、顔面裂傷に。病院で5針程縫ったそうです。幸い、他のケガは打撲・捻挫程度でした。事故から半年、相手保険会社からも慰謝料の提示が届き、解決に向けて相談会にいらっしゃいました。

 腕や脚の打撲では、整形への通院は最初の数回のみでしたので、神経症状の後遺障害は望めません。しかし、顔面の傷ははっきり残っておりました。後遺障害は顔面の醜状痕(線状痕は長さ3cmで12級14号)狙いとします。12級が取れれば、自賠責保険で224万円、弁護士介入後の慰謝料なら290万円の増額が見込めます。

 早速、計ったところ、2.5cm、3cmにわずかに至りません。顔面の線状痕は、頭髪や眉で隠れているところは対象外です。本件の被害者さんは、以下のイラスト(実際の自賠責保険の書類から勝手に改造、すみません)の通り、眉にまたがる傷で、眉の部分を計測から除外すると3cmに至らないのです。          12級14号は諦めか・・と私達は意気消沈、重苦しい空気が流れました。    するとその時、この被害者さん、なんと「それなら、眉を剃ります!」と宣言。    その想像図は以下の通り、    続きを読む »

 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。本日は毎度毎度のむち打ちです。      交通事故外傷の実に60%はむち打ちです。正式には、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群、頚椎症などの診断名になります。これは、歩行中、自転車・バイク搭乗中でも頻発しますが、何と言っても代表的なケースは追突です。追突の衝撃によって、首が急激に前後に振られて痛めます。多くは、捻挫ですから、安静と消炎鎮痛処置を続ければ、痛みは軽減します。通常の捻挫であれば、後遺症などは残りません。しかし、頚椎は体幹部でも細く脆弱ながら、脊髄の神経を中心に、神経根~末梢神経など神経のターミナルです。これらに衝撃が加わると、しつこい神経症状を惹起することがあります。神経症状となれば、捻挫の腫れが引いても、上肢へのしびれ、頭痛、めまい、耳鳴り、不定愁訴、諸症状が長引く原因とされています。  しかし、保険会社はそれら目に見えない症状に、いつまでも耳を傾けてはくれません。打撲・捻挫の症状は、せいぜい3か月と基準しています。したがって、治療費支払いの延長には、単なる捻挫ではない神経症状を信じてもらうしかありません。それには、医師によるジャクソン・スパーリングテスト、腱反射など、またはMRI画像における神経圧迫所見など、他覚的所見を示さなければなりません。経験上、それらが明確であれば、自賠責の後遺障害認定にも有利に働きます。ところが、それら他覚的所見がほとんどみられない被害者さんが大多数なのです。つまり、本人が痛いと言っているだけで証拠がない。これが、交通事故外傷・むち打ちにおける最大の問題となるのです。

 「被害者は、被害者意識から大げさに症状をまくし立てる」と保険会社は確実に思っています。そのような相手に、いくら痛い、つらいと言っても、信じてもらえるでしょうか? ここでも受傷機転が大きく関与することになります。例えば、同じ追突でも、ノーブレーキの大型トラックに突っ込まれ、小型車が全壊、バールでドアをこじ開けて、救急搬送された場合・・これは大ケガだと推定されます。交差点で横っ腹に突っ込まれ、自車が横転した場合も大ケガの範疇です。むしろ、骨折なく、むち打ちで済んでよかったと思います。これなら、通院が長期化しても、保険会社の支払いは優しいものです。自賠責の後遺障害も、リハビリ通院が一貫して半年続けば、14級9号を認定し易くなります。

 一方、信号待ち停車中、後ろの軽自動車がブレーキから足を離したため、コツンと衝突、修理費はバンパー交換程度の10万円。誰がどうみても大ケガをしたとは思ってくれないはずです。駐車場内(低速度)で、車の角がちょこんと当たっただけ、直進道路で割り込みされて、左前のフェンダーをこすっただけ・・・大した衝撃ではないはずです。中には、すれ違いざまにお互いのサイドミラーがこすっただけで、入院した被害者さんもおりました。もちろん、これらは詐病者扱いされます。軽い衝撃でも、心配なので数回通院した程度ならOKですが、3か月以上も通おうものなら、保険会社は治療費をきっぱり打ち切ってきます。それでも、文句を言えば、弁護士を立ててくるでしょう。これを保険会社の横暴と思いますか?    確かに例外的に軽度の衝撃でも、不意打ちに弱い人体ですから、頚部に神経症状が起きることはあります。それらレアケースでも、保険会社は(どうせでない)明確な他覚所見を要求します。仮に頑張ってリハビリを半年続けて、自賠責に後遺障害の申請をしても、14級認定は絶望的です。最近も、提出後、自賠責保険・調査事務所から、「物損の見積もりを提出してくれませんか」と追加要請が入り、10数万円の見積もりを提出した瞬間、非該当と通知がきました。やはり、受傷機転をみています。車同士の場合は、衝突の衝撃程度=修理費でまず予断しています。そもそも、自動車搭乗中の受傷事故の場合、調査の第一歩は修理費の確認です。大まかに大破、中破、小破の3段階に分けています。小破の場合、その程度の衝撃で具体的にどのように痛めたのか、厳しく審査されるわけです。  

 「その程度の衝撃で、何か月も通院するケガのわけはない。被害者はいつも大げさだ」と思われても、仕方ないと言えます。稀に、軽度の衝撃に関わらず、神経症状が重い場合は、専門医の診断と検査を重ね、自ら立証しなけらばなりません。むち打ち裁判の多くは、明確に勝訴の判例は少なく・・自賠責が認めなかった「軽度の受傷機転」に裁判官も傾くようです。    自賠責保険は、まず常識で判断しているのです。    中には、不幸にも軽度の衝撃ながら、神経症状が重度化してしまった被害者さんもおります。その救済は、私達も大変です。あらゆる検査、検証を加えて、自賠責保険にすがりつくような申請を試みます。この場合、多くは受任せず、諦めるよう言います。可能性のある方だけ受任、頑張っても30%程度の勝率です。どこの事務所でも、受任するか否か、非常に迷うのです。  

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 受傷機転とは、「どような事故状況で、どのように受傷部位に衝撃が加わったか」を説明したものです。これを、自賠責保険の後遺障害審査では非常に重視しています。受傷部位・診断名ごとにその理由を説明します。不定期ですが、シリーズ化の予定です。本日は、よもやよもやの膝関節。    以前から、再々受傷機転の重要性を語ってきました。自賠責保険は、審査上、医師の診断名を鵜呑みにしません。必ず、レントゲンやCT、MRIの画像を確認します。ここで「確かに損傷がある」としても、直ちに等級認定しません。受傷機転に戻ります。①「このような事故状況で膝を強打するだろうか?」、②「この程度の衝撃で靭帯や半月板が損傷するのか?」と、極めて常識的な疑問を持ちます。

 私達がよく相談者さんに説明する話法はこうです。「床に固いガラスの玉と柔らかいゴムの玉を落とすと・・・割れるのはガラスですよね」。ガラス玉は骨で、ゴム玉は靭帯を指します。つまり、膝に衝撃が加わったとして、骨折を回避できたのに、都合よく靭帯や半月板だけ痛めるのは、極めてまれなことだと思うわけです。例えば、自動車搭乗中に追突されて、踏ん張った拍子に膝を痛めた・・・この程度の衝撃で膝の靭帯が切れるはずはないと思われるでしょう。仮に、玉突き衝突で前車にも追突して、ダッシュボードに膝を打撃した場合、可能性は感じます。そこで、膝蓋骨(膝のお皿)が骨折していれば、靭帯や半月板の損傷は信用されます。ところが、骨に異常なく、都合よく靭帯だけが切れたとなると、にわかに信用できなくなるわけです。

 一方、自転車搭乗中に交差点で左折自動車の巻き込みにあって、人体への打撃はほとんどなかったが、脚が自転車に挟まって膝関節をひねり、前十字靭帯が断裂した例はありました。これは、事故状態から十分に説明できるので、靭帯損傷は納得できるものです。    通常、医師はこれら受傷機転を考慮することなく、画像検査や問診・触診から損傷があれば、診断名にします。受傷の原因はどうであれ、診断を下すことが医師の仕事です。しかし、相手保険会社、そして、自賠責保険の調査事務所は受傷機転に納得いかなければ、医師の診断名を疑う、あるいは陳旧性(事故以前の古傷)病変と思うのです。これが、交通事故外傷にまつわる紛争化の原因なのです。    MRIを撮って、靭帯の不全断裂、もしくは軽度損傷が見つかりました。医師も画像から診断名をつけました。さて、この損傷は事故受傷によるものでしょうか? これを、ケガと事故の直接因果関係と呼びます。ここでも、最も参考とするのは受傷機転なのです。次いで、事故直後の行動でしょうか。例えば、中高年の男性が自転車で自動車と衝突・転倒し、膝を強打したとします。しかし、骨折なく、多少のスリ傷程度です。通常、靭帯が断裂した瞬間、「ゴリッ」「ボキッ」と音がします。アキレス腱断裂などは周囲にも音が聞こえます(剣道部のあるあるです)。関節内出血が起きれば、膝部が腫れあがって膨張します。 でも、それらがない。

 何より、大の男がのたうち回る位に激痛です。まともに歩けません。それが、立って普通に歩けるのは何故か? これらの情報から、事故受傷が主原因ではなく「元々、経年性の損傷が半月板や靭帯にあった」との推定が働きます。とくに、変形性膝関節の兆候がある中年女性の場合、半月板がすり減っている人が多いものです。

 事故現場から普通に自転車に乗って帰宅し、翌日になって痛みで病院に行ったら、靭帯損傷の診断名となりました。これも、実に不自然でしょう。対して被害者さん達は、事故直後はアドレナリンがでて痛みを感じなかった、仕事に遅れるので痛みをこらえて急いで会社に行った、痛みはあったが日曜だったので翌日病院に行ったと言い訳します。しかし、一般人にそんな我慢は無理です。訓練された軍人やスポーツ選手なら可能性がありますけど(ランボーやマイク・タイソンなら可能でしょう)。普通、事故の衝撃で靭帯が切れたら、歩けない程痛みます。それを現場検証に来た警察や周囲の人がほっておくでしょうか? 救急搬送が普通、自転車など漕げるはずがないのです。

 ただし、すべてが嘘とは言えません。経年性で靭帯や半月板に劣化があったとして、無症状だった人が、事故の衝撃から痛みや不具合を発症することはあり得ます。そこは、自賠責も鬼ではありません。受傷直後~半年間、症状の一貫性があれば、14級9号(局部に神経症状を残すもの)のお茶を濁すような認定もあります。ただし、自転車を漕いで帰った人や、1週間後にやっと病院に行った被害者さんは、苦しい・・「非該当」になると思います。    このシリーズ、毎回の結論ですが、「自賠責保険はまず常識で判断」しているのです。    受傷者がアスリートなど特殊な例は除外。これら個別具体的な事情のある後遺障害は、裁判で後遺障害等級を勝ち取らねばなりません。

 

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 自らの症状をしっかり医師に伝え、後遺障害診断書に記載頂き、後遺障害の審査に付す、この当たり前と思える手続きは、自動的に進むものではありません。相手保険会社の担当者は、骨折なきケガですと、後遺障害など起きるはずがないものと、サクサク事務的に示談・解決に進めます。私はそこに悪意はないものと思っています。常識的に、捻挫・打撲の多くは3か月も治療を続ければ軽減するものです。

 ただし、物事には例外があるもの、中には症状が長引く被害者さんもおります。ここで、立ち止まって、誰かが正しい誘導をしなければなりません。本件は、ギリギリで後遺障害14級にできました。    また、もう一つの論点として、自賠責保険の14級審査の着眼点を再確認です。長引く打撲・捻挫には、それ相当の事故の衝撃が無ければ説得力を失います。また、リハビリ努力=通院回数もその裏付けとなります。バンパー交換程度の小損害での認定は困難です。また、車が大破・廃車となっても、月数回程度の少ないリハビリ日数では深刻度は下がります。いずれも、骨折していれば話は別です。    それだけ、打撲・捻挫は軽傷、後遺症など残らないと思われるのが常識なのです。   9回裏逆転さよならホームランです!  

併合14級:頚椎・腰椎・膝関節捻挫(40代女性・山梨県)

  【事案】

自動車にて直進中、コンビニの駐車場に入ろうとしてきた右折車に衝突され、横転。直後から頚腰部痛はじめ、痺れ頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。さらに、膝を強打、その痛みもしつこく残った。

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 関節の機能障害(可動域制限や動揺性)なく治るのが一番です。しかし、本件の診断名・骨折箇所では、何かと痛みや不具合が残るものです。それで骨癒合に問題が無ければ、あっさり14級9号に落とされます。どこまで、癒合後の不整を追及できるか・・画像の精査と専門医の読影が勝負を決めます。   地味な仕事でしたが、十二鬼月クラスの認定です。  

12級13号:脛骨高原骨折(50代女性・東京都)

  【事案】

T字路を自転車にて走行中、前方不注意の自動車と出合い頭衝突し転倒し、右脛骨プラトー骨折となる。救急搬送された後、観血的整復固定術(スクリュー固定)を受ける。

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  <第3問> 「ブラックジャック」から      『ブラックジャック』、漫画やアニメを観ない方でも知っているでしょう。彼の場合、左半面に移植した皮膚が青黒く、これは瘢痕になります。さらに斜めに10cmを超える線状痕(手術痕と思われる)がざっくり入っています。現在の技術では皮膚を再移植して、手術痕の縫い痕もレーザーで何回か焼き落とす手術をすれば、かなり目立たなくなります。なぜこのままなのかは、(答え)で解説するとして・・。

 それでは問題です。瘢痕と線状痕の両方が残存した、ブラックジャックの顔面醜状痕は何級でしょうか?      基準表だけでは判明しませんが・・。

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  <第2問> 「ゴールデンカムイ」から      こちらも大人気、アイヌブームの火付け役『ゴールデンカムイ』、もはや令和のスカーフェイス代表、ご存じ「不死身の杉元」登場!

 キズ=線状痕は長さで判断します。杉本の場合は、横1本縦2本ざっくりいってます(図の赤線)。彼の場合は日露戦争(有名な二百三高地)での負傷です。 実際、明治政府は日露戦争後の傷痍兵(しょうい軍人)へ、初めて国家の制度として補償を行った記録が残っています。

 さて、杉元 佐一の線状痕は何級でしょうか?   続きを読む »

 秋葉は弁護士向けの研修で、後遺障害・醜状痕を度々取り上げました。醜状痕はややマニアックな分野であり、被害者さんや医師も、あまり注目していません。形成術は日進月歩ですから、ひと昔前と違って、かなり醜状痕は消せるようになりました。限りなく消せること、医学の進歩が進めば、認定は少なくなるのではないかと思います。

 さて、研修上では醜状痕の実例を漫画やアニメから説明すると、参加者の食いつきが良好で、実に理解が深まります。そこで、今日から3問、皆さまも一緒に考えて頂きたいと思います。クイズ大好きの秋葉が、今話題のアニメから(かなり便乗)、手塚 治虫先生の有名マンガまで、誰もが知っているキャラクターの力を借りて出題します。(著作権への配慮から仕方なく鉛筆でイラスト書きました)   <第1問> 「鬼滅の刃」から  

 このコロナ下、閑古鳥が鳴く映画館が満席に。空前の大ヒット、もはや社会現象『鬼滅の刃』から主人公 竃門 ...

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