少し前の事故だが、神奈川県の小学校で6年生の男の子が体育の授業で左目を失明した事故があった。

 

なんともお粗末な事故なんですが、内容がこう。

走り高跳びの練習をしていたらしいのですが、その高跳びに使われたバーが教諭の手作りのものだったのだ。

 

ふつうは安全等考慮され、作られたものを学校側が購入している筈だし、私が学生時代はそのような器具を使っていた。

 

だけど今回の高跳びの器具は教諭の手作りで、園芸用の細長い棒があるじゃないですか?長さ1.5メートルくらいの棒2本にゴムひもを結び付けて作った簡易的な器具。

 

 

これを両端で自動に持たせて、どんどん飛ばせていたらしい。

こんな…見るからに危ないってわかるよな…

 

なんでそんな危機感の無い奴が先生やってんだよ…

 

ふつうはバーに当たったらバーが落ちる仕組みになってんのにゴム紐って、ゴム紐に当たったら棒は引っ張られてそりゃ事故になるだろーよ。

 

本当にバカすぎて呆れてしまいますよ。

 

しかも事故当時先生は他の教諭と話していて気付かなかったって、1~2回飛んでる姿見てたら危険と判断できたはずだけど、本当に頭空っぽだったんでしょうね…

 

この子は左目を失明してしまいました。

自賠の後遺症で言うと8級1号

819万で労働能力喪失率は100分の45

12歳だとして賠償額は合計4000万を少し越す程でしょうか。

 

平均賃金549万×0.45×13.558で遺失利益を計算し慰謝料1000万足しても

4500万に到達しません。

あとは弁護士次第なところはありますが…

 

これを国に求めて賠償していくことになります。

 

仮に無いと思いますが5000万だとしても、片目を失うと思うとあまりにも苦しいな…

 

それにしても、自賠責の後遺障害等級にはややビックリする。

 

8級1号の例で言うとですよ。

 

1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの

 

つまり、1眼失明と視力0.02以下が同じ基準なんだ。

 

じゃあ、死神が出てきてどちらか選べと言われたら、絶対0.02以下を選びますよね?

 

私は視力が元々悪く右目は0.02以下ですが、普段コンタクトや眼鏡をしていて長年そのスタイルなので特に不自由していません。

 

メガネをかけないと、今あなたが見ている距離のパソコンやスマホの文字が全く読めません。

そりゃ裸眼でなんでも見えるに越したことはないですが、別に慣れてしまっています。

 

でも失明してしまったら、メガネかけても意味ないじゃないです。

慣れるのかもしれませんが、視野は狭くなり、距離感もつかめず、非常に苦しいですよ。

 

時々、なんだか基準が可愛そうだな…と思うときもあります。

まあ、基準に助けられてる人もたくさんいるので、それ以上は言えませんが、なんだか6年生の子供がバカな教諭のせいでこんな目にあってしまって、いたたまれない気持ちになりました。

 

 

こんなこと言うと不謹慎なのかもしれませんあ、

怪我をした男の子のご家族さん、困っていないですか?

ちゃんと良い弁護士がついてくれるといいんですが、後遺症等級から遺失利益の計算等、しっかりしてくれる弁護士はついているのでしょうか…

そんなことを考えてしまいます。

 

では終わりです。

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 これは、交通事故後遺障害の立証を生業としている者の格言です。    交通事故被害者の相談の中でも、後遺障害が取れるか否かは、賠償金の増減において重大な勝負所となります。誰が見ても明らかな骨折であれば、人体への”高エネルギー外傷”ですから、予後の機能障害や神経症状、付帯する靭帯損傷や軟骨損傷などは、高い信憑性をもって後遺障害の審査先(自賠責保険・調査事務所)に伝わります。問題は骨折等の器質的損傷が不明瞭ながら、関節が曲がらない、痛み・不具合が深刻なケースです    被害者さん側は、「医師が診断書で○○損傷と診断したのだから・・当然、等級は認められるはず!」と考えます。しかし、自賠責が診断名とそれに連なる症状を認めるには、厳格に証拠を必要とします。それが第一にレントゲンやCT、MRIなどの画像です。画像に明確な所見がなければ、医師の診断名も被害者の訴えも信じません。つまり、等級認定はありません。。

 秋葉事務所でも、明確な画像所見を見出す為にシビアに画像検査を繰り返す、重ねて別の専門医や放射線科医に読影を依頼します。画像所見が得られない場合でも、打撲・捻挫程度の非器質性の損傷や「○○損傷の疑い」に留まる診断名では、神経系の検査などを用いて医学的に証明する作業を行います。それらは、(賠償問題に関わりたくないであろう)医師の協力を取り付けることはもちろん、検査設備のある病院への誘致など、大変に難易度の高い作業になるのです。   その実例(画像は不明瞭だが) ⇒ 14級9号:第一肋骨亜脱臼?(50代男性・茨城県)   その実例(骨折はあるが、癒合後の変形を画像読影で立証) ⇒ 14級9号⇒12級13号:頬骨骨折 異議申立(70代女性・東京都)   その実例(筋電図で立証) ⇒ 14級9号⇒12級13号:外傷性頚部症候群 異議申立(40代男性・千葉県)    「せめてどこか骨が折れてくれれば、苦労はないのに・・」となります。交通事故被害者はその被害者意識も相まって、症状を重く主張しがちです。治療費を支払う加害者(側の保険会社)から「骨折がないのに大げさな!」と思われるのも無理はありません。だからこそ、骨折のない場合や骨折が不明瞭な場合の諸症状の立証こそ、請け負った事務所の力量と根性が問われると思うわけです。

 画像所見や検査結果を抑えて12級以上を取る、決定的な所見はないが症状の一貫性と信憑性から14級に収める・・・連日、苦労と工夫が続きます。  

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 先週は人身傷害の研修会の講師を拝命、ディープ神奈川、厚木市まで。

 円卓式の研修で、終始、ご意見・ご質問を頂きました。余談が多発しましたが、その中で、イーデザインさんやアクサさんの特約「形成手術の保険金」に触れました。女性の顔面の形成術に限って支払うイーデザインさんに比して、9年前に自賠責や労災は男女平等に改正されたこと、任意で付帯する特約・保険と違って線状痕や瘢痕、陥没等の長さや大きさで等級が細かく設定されていることを説明しました。

 顔面醜状痕では、漫画ブラックジャックの顔面が非常に説明し易くなります。推測すると、ざっと以下の通りです。

・手術痕と思われる線状痕は5cm以上 = 9級16号

・植皮部の瘢痕(変色)は鶏卵大以上 = 7級12号 同系統の障害ですので、優位等級が認定されますから、7級12号は確定的です。

※ ...

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 醜状痕の認定では数々のパターンを経験してきました。医師が診断書の該当欄に計測値を記載さえすればで済むものではなく、写真の添付や時には別紙に図示していただくこともあります。それでも、ほとんどのケースで自賠責調査事務所から”実際にキズを見て計測する”ための面接の要請が入ります。もちろん、即座に面接に応じ、連携弁護士が同席して計測を見守るなど万全を期します。

 しかし、全件に面接をしているわけではなく、面接を割愛することがあります。それは以下、4パターンを把握しています。   ① 高齢、重傷で外出不能、車イスなど、被害者さんの健康状態など事情によっては、自賠責側が面接を遠慮してくれる時があります。その場合、写真判定になりますから、角度を変えて数枚撮影するなど写真の充実と、写真からキズの大きさが計測できるようメジャーをあてた写真などの工夫を加えることになります。   ② 下腹部や臀部など、とくに女性の場合は写真もはばかられますので、これは、医師の図示から判定して頂きます。まさか、面接でパンツを下ろせとは言えません。   ③ 明らかに醜状痕の基準に満たないキズの場合。自賠責から念のため面接の打診が入りますが、申請者側から「非該当でいいですから面接はいいです」と断るケースです。   ④ 逆にキズが明らかで、容易に判定できるケース。意外と稀だと思います。本件実績はこれにあたります。    私も何度か面接に立ち会いました

9級16号:顔面線状痕(50代男性・埼玉県)

【事案】

自転車搭乗中、交差点で右折しようとしたところ、自動車が進入し衝突、受傷した。顔面挫創の診断。

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 後遺障害が二つ以上重なる場合、「併せ技1本!」ではないですが、等級が1~3つ繰り上がります。   ① 第13級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害を1級繰り上げる。   ② 第8級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害を2級繰り上げる。   ③ 第5級以上に該当する後遺障害が2つ以上あるときは、重い方の後遺障害を3級繰り上げる。    本件は、この併合のルールを睨んでの立証作業でした。人工関節が決まった瞬間、10級はほぼ決定です。それを一つ繰り上げさせた、胸椎・腰椎の圧迫骨折の立証の方がてこずりました。診断権を持つ医師の判断で後遺障害等級が、運命が、左右されることがあります。”被害者側の医療調査”=私達の介入が必要な理由です。 今年、二階級特進の佐藤(シャアVa.)が担当

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 「むち打ち・打撲捻挫で、なんで耳鳴り・難聴になるのよ?」・・・つまり、常識的に考えてそれはレアケースだと思うのです。確かに頚部神経症状の発露から、聴覚や視覚、嗅覚、味覚に異常をきたすことは医学的に説明可能です。しかし、事故受傷と結びつける医学的な証拠、因果関係の証明はほとんど不可能です。

 事故の衝撃で本当に発症したのか?、元々あったのでは?、加齢の影響?(中高年で耳鳴り持ちは珍しくありません)、さらに一過性の症状で数ヵ月後には軽減するのでは? 

 このようにあらゆる疑いの中、決定的な証拠のない立証作業となります。それでも、秋葉事務所では数例の実績を挙げています。逆に認定を得られなかった(信用されなかった)ケースは、事故後、しばらく経ってからの相談で、対策を逸した被害者さんでした。

周到な準備が必要です!  

12級相当:耳鳴り(50代男性・東京都)

【事案】

自動車運転中、センターラインオーバーしてきた相手方自動車と衝突し、受傷する。直後から頚部痛、腕の痺れだけではなく、耳鳴りと難聴を発症した。

【問題点】

診断は頚椎捻挫。つまり、骨折はなく、神経や脳を損傷していないにもかかわらず耳鳴り、難聴を発症している。耳鼻科の通院・検査を継続していること、半年後の検査から一過性の症状か否か、なにより信憑性が問われる。

【立証ポイント】

おなじみの検査、聴力:オージオグラム、耳鳴り:ピッチマッチ検査を継続的に実施した。また、受傷機転”衝突の際、サイドエアバックの展開から右耳・側頭部を強打したこと”も判断材料とした。 続きを読む »

 私達の医療調査は、通常、自賠責保険の後遺障害認定を目指すもので、ある意味、自賠法・自賠責基準のリングの中でしか戦えません。対して弁護士は個別具体的に損害を立証、時には訴訟でそれを実現させますから、自賠や労災のリング内に縛られるものではなく、場外乱闘もありなのです。

 本件は自賠責の認定基準を超えられない秋葉に、弁護士が訴訟認定を引き出し、それがアシストとなって自賠責の認定をひっくり返すことに成功しました。事案の性質から、判決⇒再認定、いつもと逆の流れになった珍しいケースでした。弁護士にパスを送る立場で、そのアシスト数を誇る秋葉ですが、逆に弁護士から絶妙のパスを受けてゴールを決めた感があります。順番は違えど、交通事故の仕事は「立証」と「賠償」の両輪が機能してこそなのです。

これも理想的な連携業務だと思います(奈良判定Va.秋葉)  

14級9号⇒8級2号:頚椎・棘突起骨折 異議申立(40代男性・埼玉県)

【事案】

道路で作業中、前方不注意の自動車が工事中の表示を乗り越えて進入、跳ねられた。顔面の頬骨、頚椎、胸椎、胸骨、肋骨、骨盤、中足骨に至るまで20箇所以上の骨折に歯牙損傷、血気胸も加わる重傷となった。

【問題点】

症状が多肢に渡るが、その内で首を反らす「後屈」に制限が残存した。しかし、頚椎の骨折箇所が棘突起であった為、可動域制限は認めてもらえないだろうと予断した。C3とC4、C6とC7の棘突起の癒合が進むも、下のCT画像の通り癒着を起こしていた。これが後屈制限の原因である。せめて変形障害を主張するも、神経症状の14級9号の判断をされた。

尚、労災では顧問医の診断で後屈の制限から、素直に8級を認めて頂けた。 続きを読む »

 先日、久々に骨盤骨折の被害者さんの股関節の計測を行いました。診断名と骨折部位から、内転・外転の可動域制限を予想しました。計ってみたらビンゴ! 案の定、12級レベルの可動域制限を確認しました。 そこまでは良かったのですが、参考運動である外旋と内旋の計測に際し、どちらが外旋と内旋だったか、疑問が生じました。

 下図を見ると、外側に下腿(すね)を倒すからこれが外転、逆に内側に倒せば内転と一瞬思いがちです。しかし、正解は逆です。計測するのはあくまで股関節です。下腿を外側に倒せば、大腿骨の骨頭は骨盤の寛骨臼の中を、内側にぐるりと回って曲がる(だから内旋)ことになります。下腿を内側に倒せば、その逆です。

 

 後遺障害等級の評価上影響は無かったとはいえ、あまり計測することがない関節ですので、すっかり油断していました。   続きを読む »

 秋葉事務所の力量を示す、好取組と思います。脊髄損傷の完全麻痺は、難しい立証作業などなく、誰が介入しようと1級です。解決の肝は等級申請ではありません。本件では3つの重要ポイントでお役に立ったと思っています。   1、奇跡を信じて治療継続

 まず、治らない障害だから治療費は無駄と考える保険会社 vs 奇跡を信じて治療を続けたい本人・家族 の構図が生まれます。本件の場合、20代と若く、わずかでも回復の可能性を感じていましたので、弁護士との連携によって、地元のリハビリ病院に次いで専門性の高い国立病院に転院させ、1年間の治療期間・費用を確保しました。これが、好結果を生むことになりました。完全な四肢麻痺が、たとえ1cmでも動くようになることは、本人・家族にとって涙が出るほどうれしいことです。保険会社に交渉を重ね、渋面ながら1年間治療費を持たせました。

2、膨大な諸手続き

 公的・民間の保険手続き始め、膨大な事務が生じます。ほとんど家族はこれで疲弊してしまいます。仮に、受任した弁護士先生が担うにも、それは大変です。ここは手続きのプロに任せてもらいたいのです。現在も各種手続きが進行中です。   3、介護費用の完全獲得がクライマックス

 経験のない弁護士に依頼すると、後の介護費用の請求で泣くことになります。脊髄損傷1級の判例に目を通すと、画期的な判例は同じ弁護士が相次いで獲得してます。これは、日本でほんの数事務所・数人の弁護士だけが、十分な介護費用を獲得できる事実を示しています。秋葉事務所はそのような事務所から教えを頂き、実践しています。経験のない事務所には決して依頼しないことです。大げさではなく、数百~数千万円も取りそびれます。

1cmでも本人家族にとっては希望なのです

別表Ⅰ 1級1号:頚髄損傷(20代男性・静岡県)

【事案】

ワゴン車に搭乗中、高速道路で併走車の割り込みを受け、側壁に衝突した。首を車内に打ちつけて頚椎を骨折、頚髄を損傷したもの。首から下はまったく動かず、感覚も失われ、自力排泄も不能、絶望的な四肢麻痺となった。

【問題点】

後遺障害について、立証するほどの作業はない。しかし、諸保険の請求手続きや転院等リハビリ環境の調整に加え、社会福祉をフル活用する必要がある。身体障害者手帳やNASVA申請など、賠償交渉以前の作業が膨大となった。

リハビリの目標は、電動車イスの自力操作。わずか数cm動く右上肢に望みを託すことになった。しかし、不可逆的(治らない)障害である以上、相手保険会社は早期の治療費打切りを切望、その折衝が続くことになる。

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 事務所開設以来、圧迫骨折の様々なケースを積み重ねてきました。昨年は5件を数えます。

 圧迫骨折は、ズバり画像勝負です。高齢者の場合、陳旧性(事故前から骨が潰れている)と新鮮骨折(事故受傷で骨が潰れた)との区別に注意が必要です。したがって、受傷直後からのMRI検査が必要です。軽度の圧迫骨折の場合、レントゲンしか残っていないケースがありますが、これは大ピンチです。だからこそ、私達はいつでも早期の相談を呼びかけているのです。

立証作業は画像を的確に残すことです

11級7号:胸椎圧迫骨折(50代女性・千葉県)

【事案】

自動車にて高速道路のトンネルを走行していたところ、対向車に正面衝突される。直後から全身の痛みに悩まされる。

【問題点】

当日撮影されたMRIにて外形の圧壊についても所見が取れており、11級認定は堅かった。

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 つまり、後から症状を訴えても信じてもらえません。受傷初期から専門科を受診し、検査結果を残す必要があります。また、事故受傷のダメージから初期に神経症状の一環として症状が発露し、後に軽減するパターンも多いものです。その場合は、症状固定時期に再度の検査を重ねる必要があります。

 周到な計画なくして、交通事故被害の立証は果たせません。本件も微妙な症状はすべて蹴られました。もっとも、症状の軽減は良いことで、諸症状を一くくりに、14級9号に収めた結果を残せたと言えます。

感覚器の立証には毎回、苦戦します

14級9号:前頭骨骨折(30代男性・山梨県)

【事案】

自動車同乗中、運転手が信号柱に衝突した為、受傷した。直後から顔面部痛のみならず、しびれや目眩、複視等多岐にわたり強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

事故から1年経過してからの相談だったため、すぐに医師面談して、今後の方針について打合せをした。また、目眩については耳鼻科を受診していなかった為、諦めとなった。

【立証ポイント】

骨折部と痺れの領域が一致していた為、形成外科の医師に働きかけたところ、専門外ながら後遺障害診断書に神経症状の残存を記載いただけた。提出時には受傷初期に撮影された3DCTを添付して12級13号認定を試みたが、骨癒合良好の為、神経症状の14級9号認定止まりとなった。

複視については、受傷直後から定期的にヘススクリーンテストを実施していたが、全ての結果で5度以上離れていなかった為、非該当となった。このように重篤な怪我で後遺症に苦しんでいるにも関わらず、14級9号認定に留まってしまうという認定基準の負の面を見た案件となった。 続きを読む »

 加害者が自動車ではなく、自転車あるいは歩行者ですと、当然に自賠責保険が無いことになります。本件での相手は個人賠償責任保険となりますが、自賠責に同じく、しっかり後遺障害の等級認定を突き詰めます。本件の場合、より慎重に、労災の等級認定を確保してしてから、相手保険会社(個人賠償責任保険)に審査を求めました。保険会社の機微を計るような手続きですが、弊所ではこのような繊細な仕事をしています。    保険の性質を熟知し、保険会社の機微を知ることが大事です。  

11級7号:胸椎圧迫骨折(40代男性・埼玉県)

【事案】

バイク搭乗中、青信号の交差点を直進中、相手方自転車が右方から侵入し、接触、転倒した。救急搬送された後、胸椎圧迫骨折の診断となった。  

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 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。    さて、昨年も多くの認定結果が蓄積されました。年始からシリーズで、30年中の未投稿案件を紹介したいと思います。

 最初は醜状痕です。ご存知の通り、書面審査を原則とする自賠責保険では、その例外として面接による審査が行われます。弊所で事前に計測していますのでほとんど等級は読めていますが、やはり、人が審査するもの、微妙なジャッジで左右されることもしばしば。本件は明らかに被害者寄りの計測・認定をして下さいました。醜状痕の判定に関しては、「自賠責は優しいな」と感じることがあります。 私も面接に立ち会ました

9級16号:顔面線状痕、14級5号:下肢醜状痕(50代女性・埼玉県)

【事案】

歩行中、バイクに衝突される。全身を強く打ち、多発骨折、顔面にも傷を負った。 続きを読む »

  (4)外分泌機能と内分泌機能の両方に障害が認められる場合

 服することができる労務が相当な程度に制限されると考えられるところから、9級11号が認定されています。   (5)膵臓損傷では、膵臓の切除術が実施されることが一般的ですが、 術後は、腹部にドレーンが挿入され、膵液の漏出に対応しています。

 膵液は、脂肪、蛋白、炭水化物を分解するための消化酵素を含んだ液です。 重症の膵液瘻では、多量の膵液漏出があり、電解質バランスの異常、代謝性アシドーシス、蛋白喪失や局所の皮膚のただれ、びらんが生じ、膵液ドレナージと膵液漏出に伴う体液喪失に対しては、 補液、電解質を供給するなどの治療が必要となります。つまり、このレベルでは、治療が必要であり、症状固定にすることはできません。

 しかし、軽微な膵液瘻で、治療の必要性はないものの、難治性のものが存在しているのです。これが続くと、瘻孔から漏れ出た膵液により、皮膚のただれ、びらんを発症します。 軽度な膵液瘻により、皮膚にただれ、びらんがあり、痛みが生じているときは、局部の神経症状として12級13号、14級9号のいずれかが認定されています。  

※ 代謝性アシドーシス  ヒトが生存していくには、体内の酸性とアルカリ性を、良いバランスに保たなければなりません。 これを、酸塩基平衡と呼ぶのですが、具体的には、ph=水素イオン濃度が7.4の状態です。 酸は、酸性、塩基は、アルカリ性、平衡は、バランスをとることなのです。 pHの数値が7.4以下となると、酸性に傾く=アシドーシス、以上では、アルカリ性に傾く=アルカローシス状態となります。 酸性の物質が体内に増えればアシドーシスとなるのですが、アルカリ性の物質を大量に喪失しても、酸性に傾きます。

 ひどい下痢で、アルカリ性の腸消化液を大量に喪失すると、pHは酸性に傾く、アシドーシス状態となり、 ...

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(3)膵臓の内分泌機能の低下    経口糖負荷検査により判定します。

① 正常型 膵損傷後に障害を残さないものであって、

 空腹時血糖値<110mg/dlかつ75g OGTT 2時間値<140mg/dlであるもの

② 境界型 膵損傷後に軽微な耐糖能異常を残すもの

 空腹時血糖値≧110mg/dlまたは75g OGTT 2時間値≧140mg/dlであって、 糖尿病型に該当しないもの

③ 糖尿病型 膵損傷後に高度な耐糖能異常を残すもの

 空腹時血糖≧126mg/dlまたは75g OGTT 2時間値≧200mg/dlのいずれかの要件を満たすもの。要件を満たすとは、異なる日に行った検査により2回以上確認されたことを要します。

 内分泌機能の障害による後遺障害の認定基準

① 経口糖負荷検査で境界型または糖尿病型と判断されること。

 インスリン投与を必要とする者は除かれています。

② インスリン異常低値を示すこと。

 インスリン異常低値とは、空腹時血漿中のC-ペプチド=CPRが0.5ng/ml以下であるものを言います。

③ 2型糖尿病に該当しないこと。

 上記3つの要件を満たせば、内分泌機能の障害として、11級10号が認定されています。   ○ 経口糖負荷検査

空腹時血糖値および75gOGTTによる判定区分と判定基準 続きを読む »

 後遺障害は(1)切除、(2)部分切除、(3)内分泌機能の低下、と3分します。   (1)膵臓が切除されると、外分泌機能が障害され、低下することが通常とされています。 膵臓の部分切除がなされており、上腹部痛、脂肪便および頻回の下痢など、 外分泌機能の低下に起因する症状が認められるときは、 労務の遂行に相当程度の支障があるものとして11級10号が認定されています。

※ 脂肪便とは、消化されない脂肪が便と一緒にドロドロの状態で排出されるもので、 常食摂取で1日の糞便中、脂肪が6g以上であるものを言います。   (2)膵臓周囲のドレナージが実施されるも、部分切除が行われていないときは、

①  CT、MRI画像で、膵臓の損傷が確認できること、

②  上腹部痛、脂肪便および頻回の下痢など、外分泌機能の低下に起因する症状が認められ、かつ、PFD試験で70%未満または、糞便中キモトリプシン活性で24U/g未満の異常低値を示していること、

 上記の2つの要件を満たしているときは、11級10号が認められています。

 また、他覚的に外分泌機能の低下が認められる場合として、血液検査で血清アミラーゼまたは、血清エラスターゼの異常低値を認めれば、11級10号が認定されています。  

※ PFD試験=膵臓の外分泌機能検査

 膵臓は2つの異なる働きをしており、1つは、食物の消化に必要な消化酵素、炭水化物を分解するアミラーゼ、 蛋白を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどを含んだ膵液を12指腸に分泌する外分泌機能です。 2つ目の作用は、血糖を下げるインスリンと血糖を上げるグルカゴンを血液中へ分泌して、血糖を調節する内分泌機能です。

 PFDは、膵臓の外分泌機能検査法の1つです。薬剤を服用後、6時間尿を採取する方法ですので、体に負担はかかりません。 膵臓の外分泌機能が低下するような病気で、異常値、低値を示します。 この薬剤は小腸から吸収され、肝で化学変化を受けた後、腎から排泄されます。 したがって、膵外分泌機能の低下以外に、小腸における吸収低下のある場合、 肝機能や腎機能低下のある場合にも、尿中の値は低下します。

 早朝空腹時排尿後に、BT-PABAというPFD試薬500mgを水200mLとともに服用します。開始6時間後の尿を全部集め、尿量を測ります。 採取した尿の一部を使って、尿中PABA濃度を比色測定し、尿中PABA排泄率(%)を計算いたします。正常値は71%以上です。  

※糞便中キモトリプシン活性測定試験

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1、膵臓の働き

 膵臓はおたまじゃくしのような形で、胃の後ろに位置する長さ15cmの臓器で、消化液を分泌する外分泌機能とホルモンを分泌する内分泌機能の2つの機能を有しています。 膵液は、膵管を通して十二指腸内へ送られ、糖質を分解するアミラーゼ、たんぱく質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼなどの消化酵素、核酸の分解酵素を含んでいます。また、膵臓のランゲルハンス島細胞からは、ブドウ糖の代謝に必要なインスリン、グルカゴン、ソマトスタチンなどのホルモンが分泌されています。

 インスリンは、血液中のブドウ糖によりエネルギーを作るのですが、インスリンの不足、働きが弱くなると肝臓・筋肉・脂肪組織などの臓器でブドウ糖の利用や取り込みが低下し、血中のブドウ糖が増えることになり、血液中の血糖値が高くなります。 逆に、血液中の糖が低下すると、グルカゴンが分泌され、肝臓に糖を作らせて血糖値を上昇させます。 インスリンとグルカゴンによって、血液中のブドウ糖の量が一定になるように調節されているのです。 膵臓は、食物を消化し、ホルモンによって糖をエネルギーに変えるという、2つの働きを調節する役割を果たしているのです。

 膵臓は胃の後面の後腹膜腔に位置しており、前方向からの外力では、損傷されにくい臓器です。 損傷を受けたとしても初期に診断することは難しく、膵臓液が腹腔内に漏れて激しい腹痛を訴えるようになってから膵臓損傷が疑われています。 とは言え、日本では、交通事故による膵臓の損傷が増加しています。 バイク、ワンボックスの軽四輪では、ダッシュボードやハンドルなどで腹部を強打することにより、損傷しているのです。 事故直後は、おへその上部に、軽度の痛みを訴えるのみですが、時間の経過で、痛みは強くなり、背部痛、吐き気を訴え、実際に嘔吐することもあります。

 血液検査により、膵臓の酵素の1つ、アミラーゼの血中濃度がチェックされています。 一度正常化した値が、再び上昇するときには、膵臓損傷が疑われます。主膵管損傷を伴う膵臓損傷は、造影CTにより診断されています。 所見が明確でないときは、12時間後に再度、造影CTを行うか、内視鏡的逆行性膵胆管造影が実施され、確定診断がなされています。 主膵管損傷を伴う膵臓損傷に対しては、膵臓摘除術が選択されています。  

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 膵臓損傷を語る前に、膵臓の病気で代表的な膵炎から基礎知識を学びたいと思います。膵臓だけではなく、他臓器の損傷後に発症した患者さんがおりました。(内容はメディックノート様より引用)  

1、膵炎とは?

 膵炎には、急性膵炎と慢性膵炎があり、急性膵炎は何らかの原因でアミラーゼなどの膵臓の酵素が活性化して膵臓の組織にダメージを与える病気のことです。一方、慢性膵炎は長い間、膵臓に小さな炎症が繰り返されたことで徐々に破壊され、膵臓の機能が著しく低下する病気です。

 急性膵炎と慢性膵炎はどちらも男性に多く発症し、発症の原因はほぼ共通していますが、症状や経過は大きく異なります。

2、発症の原因と症状

○ 急性膵炎

 もっとも多い原因はアルコールの多飲によるもので、全体の約40%を占めます。次に多いのは胆石が膵管と胆管の合流部にはまりこんだもので、女性の急性膵炎に多いです。原因不明のものも約20%あります。そのほかには、内視鏡検査や手術などが原因となる医原性のもの、腹部外傷、膵臓や胆道の奇形、高脂血症、感染症などが挙げられます。

 急性腹症のひとつであり、症状は重症度によって大きく異なります。みぞおちから背中にかけての断続的で強い痛みが起こり、吐き気や嘔吐、発熱などの症状が続きます。また、重症になると、腹膜炎を併発し、腸管の運動が麻痺するために高頻度で腸閉塞が起こり、ショック状態となるため、全身状態としては、頻脈や血圧低下、出血傾向、呼吸障害などがみられ、非常に重篤な状態へ移行します。また、膵臓の組織が壊死えしを起こすため、膵臓から遊離した脂肪と血中のカルシウムが結合して低カルシウム血症を呈することがあります。また、慢性膵炎が急激に悪化すると、急性膵炎のような症状が現れることもあります。   ○ 慢性膵炎

 もっとも多い原因は急性膵炎と同じくアルコールの多飲によるもので、男性では70%を占めています。原因不明のものが約20%で、女性の慢性膵炎の約半数は原因不明の特発性とされています。そのほかには、胆石などの胆道系疾患、高脂血症、腹部外傷、奇形など急性膵炎と共通した原因となります。

 症状は発症してからの時間によって異なります。発症してから10年ほどは、主な症状はみぞおちから背中にかけての痛みであり、飲酒や脂肪が多い食事を食べた後にひどくなるのが特徴です。また、発症後10年以降には腹痛は軽減しますが、膵臓の機能が低下し、消化酵素やインスリンなどのホルモンの分泌が次第に減少します。このため、脂肪が消化されず、脂肪便や下痢、体重減少などがみられ、インスリンが正常に分泌されないことで糖尿病を併発します。慢性膵炎はしばしば急激に悪化することがあり、その場合には急性膵炎と同様の症状が現れます。   3、検査・診断

 膵炎の診断にはCT検査が有用です。そのほかにも補助的な診断や全身状態を評価する目的で、血液検査や他の画像検査、消化酵素やホルモンの分泌能を評価する検査などが行われます。

○ 画像検査

 造影剤を用いたCT検査がもっとも有用な検査です。急性膵炎では、膵臓の腫れや周囲の炎症がみられ、慢性膵炎では膵管の拡張や膵石がみられます。腹部超音波検査やMRCP検査なども膵管や膵石の状態を確認することができますが、第一に選択されるのは造影CT検査でしょう。また、もっとも簡便に行えるレントゲン検査では、腸閉塞や膵石を確認することができ、急性腹症の場合には緊急的に消化管穿孔などとの鑑別が行える検査です。   続きを読む »

(1)一側の腎臓を失ったもの

①  一側の腎臓を失い、腎機能が高度低下していると認められるものは、7級5号が認定されます。

 腎機能が高度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が31~50 ml/分であるものを言います。高度低下は、腎機能の低下が明らかであって、濾過機能の低下により、易疲労性、ホルモンの産生機能の低下により貧血を起こし、動悸、息切れを生じるような状態です。   ②  一側の腎臓を失い、腎機能が中等度低下していると認められるものは、9級11号が認定されます。

 腎機能が中等度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が51~70 ml/分であるものを言います。中等度は、高度に至らないまでも同様の症状が生じる状態です。また、健常人と腎機能低下の者(血清クレアチニン1.5~2.4mg/dl)を比較すると、 前者に比べ後者は運動耐容能が有意に低く、嫌気性代謝閾値が約4.3METsという報告がなされています。この知見を踏まえると、おおむね高度低下では、やや早く歩くことは構わないが、 早足散歩などは回避すべきと考えられています。   ③  一側の腎臓を失い、腎機能が軽度低下していると認められるものは、11級10号が認定されます。

 腎機能が軽度低下しているとは、糸球体濾過値(GFR)が71~90 ...

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1、実質臓器 腎臓の働き

 腎臓は、腰のやや上部、胃や肝臓の後ろ側に位置する2つが一対の臓器で、主に、血液中の老廃物をろ過し、尿を作る身体の排水処理工場の役目を担っています。 拳よりもやや大きめで、130gの重さがあり、脾臓と同じくソラマメの形をしています。

 腎臓には、心臓から血液が1分間に200ml程度送り込まれます。腎臓に送られた血液は、腎臓の糸球体でろ過され、原尿=尿のもとが作られています。腎臓でろ過される原尿は、1日あたりドラム缶1杯、150lですが、 糸球体でろ過された原尿は膀胱へ尿として貯められるまでに、 尿細管、集合管で必要な電解質やたんぱくなどが再吸収され、水分量の調整も行われています。原尿の99%は体内に再吸収され、最終的には約1.5リットルが尿として体外に排泄されています。 尿を生成する腎臓の部位は、糸球体と尿細管をあわせてネフロンと呼ばれます。1つの腎臓には約100万個のネフロンがあります。

 尿細管は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、重炭酸イオンなどの内、身体に必要なものを取り込み、また、不要なものを尿中へ分泌して排泄しています。これにより、体内のイオンバランスを一定に保ち、血液を弱アルカリ性に保っています。

 腎臓のろ過機能が円滑に働くには、血液の流れが一定に保たれている必要があるのですが、腎臓では血流の流れが悪くなるとそれを感知し、レニンという酵素が分泌されます。レニンが血液中のたんぱく質と反応して血管を収縮させて血圧を上昇させます。腎臓は、レニンの分泌量を増減させて血圧の調整もしているのです。

 腎臓は、エリスロポエチンというホルモンを分泌し、赤血球の数を調整しています。ビタミンDは肝臓で蓄積され、腎臓に移ると活性型に変化し、さまざまな働きをしています。活性型ビタミンDは小腸からのカルシウムの吸収を促進し、利用を高める作用があります。   2、 腎挫傷、腎裂傷、腎破裂、腎茎断裂

 交通事故における腎臓損傷は、それなりの件数が発生しています。バイクの事故で、身体を壁、電柱、立木などに強く打ちつけることで、腎 臓が破裂することもあります。自動車VS自動車の事故では、シートベルトによる損傷も経験しています。

 腎外傷では、あざができる軽度な挫傷から、尿や血液が周辺組織に漏出する裂傷や破裂、腎動脈が切断される腎茎損傷まで、大雑把には1下の4つがあります。

     ①     ②      ③     ④

① 挫傷、打撲、被膜下血腫 ...

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