交通事故を起こすと加害者に3つの責任が科されます。

1、 行政処分 2、 刑事罰 3、 民事賠償

普段、交通事故の解決と言えば3の民事賠償が中心の話題となります。しかし事故相談において加害者側の相談も少なくありません。加害者には被害者への賠償以外にも2つのペナルティがあります。いわゆる免許点数の減点や反則金、罰金のことです。これらを混同している方も多いので、1の行政処分と2の刑事罰について、できるだけ簡便に説明しておきます。

1、行政処分

行政処分は免許の点数制度に減点が加えられること、程度によって反則金が課されることです。交通事故の場合、計算は以下のようになります。

基礎点数 + 付加点数 + 措置義務違反の加算 = 合計点数

基礎点数とは駐車違反やスピード違反など、安全運転を怠った場合の減点です。事故の場合これに付加点数が課されます。ひき逃げ、当て逃げには措置義務違反点数がさらに加算されます。

<計算例> 交差点で信号無視の自動車が横断中の自転車を跳ね、逃走。後日、目撃証言から加害者は捕まりました。被害者は脛骨骨折で全治1か月です。

信号無視2点 + 全治1か月&専らの責任 9点 + 救護措置違反23点 = 34点

2年間免許取り消しとなります。

付加点数について以下の表にて整理しました。

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 中断していましたシリーズを再開。前回まで 被害者救済業務 を分析 ④

 テーマは 「交通事故業務を保険会社から弁護士の手に取り戻せ!」

 なぜこのようなテーマに至ったのか、交通事故における保険会社vs弁護士の歴史で解説します。  

<1> 交通大戦争

 1974年3月に示談代行付きの自動車保険が販売されました。一番の注目は「示談代行を保険会社がやってくれる」ことです。当時の日本は60年代のモータリゼーションを経て、一家に一台自動車保有が定着した頃です。そして「交通大戦争」と呼ばれるほど交通事故が多発していた時代でした。

 警察庁交通局「平成24年中交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」から事故数の推移を見てみましょう。(↓クリックするとはっきり見れます)

 74年当時の数字を見てください。死亡者数、年間16000人超のピークから12000人まで減少したとはいえ、5000人以下に減少した平成24年に比べすごい数です。もちろん負傷者数や物損を含む事故総数自体も、当時の車の台数約4000万台と現在の約9000万台と比べると異常な件数であることがわかります。  

<2>弁護士vs保険会社

 このような背景から、保険会社の自動車保険の販売促進と内容充実は社会的要請でもありました。この膨大な事故数に対し、当時9,830人の弁護士が担うことには限界があります。ちなみに平成24年は司法制度改革の成果で32088名となり、当時の3倍超となっています。  そのような状況で保険会社は「示談代行付き保険」の認可を求めました。現在では当たり前となりましたが、保険会社が対人事故や対物事故で、加害者と被害者の間に入って交渉をしてくれるのが「示談代行付き保険」です。しかし弁護士会は「弁護士以外が他人の事件に介入し、示談をするのは弁護士法72条『非弁行為』にあたる」と反対したのです。簡単に言いますと、「お金を取って、他人に代わり、示談交渉ができるのは弁護士だけ!」と弁護士法で定められているからです。しかし大量の事故の解決には、保険会社が間に入って交渉するのが合理的なのはわかりきっています。保険会社、弁護士の両者で行政を巻き込み調整作業が行われました。

 

<3>示談代行付き保険、ついに発売、その背景

 法的な解釈論は長くなりますので、ここもざっくり言いますと、「法的に白黒つけず、被害者保護に乗っ取った社会的な公益性を優先させた」決着をしました。弁護士法72条は弁護士の職域を守るものではなく、示談屋さんなど被害者を食い物にする悪い人を排除するのが正当な目的です。だから保険会社さんの示談は悪いことではない・・と解釈が進みます。  そして、保険会社、弁護士両者の調整は以下の制度を作ることによって成されました。まさに現在の交通事故業界を形作るシステム(下線)がこの時生まれたのです。

  ① 特段の支障がない限り、原則として被害者が直接請求権を行使できるものとして、被害者救済の途を開くとともに、これによって、保険会社の当事者性を強く打ち出すこととした。

・・「他人のために」示談をすることがダメなら、保険会社は「保険金支払い義務を負う当事者でもあるので、他人のためだけではないよね」・・・このような解釈とし、違法性から遠ざけます。

 もっとも72条違反を回避する目的での「直接請求権」ですので、現場ではほとんど意識されていません。例えば、加害者が自分に責任がないと思って、自分の契約している保険を使わないと言えば、保険会社の担当者の多くは、「契約者(加害者)が保険を使わないと言ったので、うちは対応できません」としれっと答えます。そのような場合、被害者は「直接請求権」を発動すればよいのですが・・・この議論は本筋にはずれますので別の機会に取り上げます。

  ② 「交通事故裁定委員会」の設立。被害者(または被保険者)に不満が生じた場合に備えて、中立かつ独立の第三者機関である「交通事故裁定委員会」を設立することとした(昭和49年2月27日発足)。この裁定委員会は、学識経験者および弁護士により構成され、被害者等の正当な利益の保護に資することを目的として、自動車保険に関し、保険会社、被保険者および自動車事故の被害者のうち二者以上を当事者とする民事紛争について、無料で和解の斡旋を行うこととしている。  裁定委員会はその後昭和53年3月に「財団法人 交通事故紛争処理センタ-」に改組され、現在では、高等裁判書が所在する8都市(東京、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡)および金沢とさいたまに設置されている。

・・・行政側は保険会社に示談権を与えた(あくまで代行権、代理権とは歯切れ悪いながら区別)、つまりこれは絶大な力です。なぜなら、支払う側の保険会社が交渉上、有利に決まっています。お金を握っているのだから当然です。したがって被害者が保険会社と交渉決裂した場合、駆け込み寺が必要となります。こうして一種のガス抜き機関、紛争センターが誕生したのです。

  ③ 保険会社が顧問弁護士、協力弁護士を一定数、常に契約し続ける。

・・これは明文にされていないので裏協定かな? 保険会社からの仕事は新人弁護士にとって良い収入源となります。

  ①で法的な問題を回避、②で行政の立場から公平性を確保、③で弁護士にも利益を、でしょうか。

難しいことを簡単に説明するのは難しいです。来週に続きます。

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 昨日、カルテの保存期間を5~7年と曖昧な書き方をしましたので、少し説明を加えます。

 保存義務と期間は医師法に定めれています。

<医師法> 第24条(診療録の記載および保存) 第1項 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。 第2項 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。

 1項で記録義務、2項で保存義務が明記されています。町の病院では5年きっかりで処分しているようです。大病院だとカルテは地下の文章室などに保管されており、割と長めに保存されています。文章係に聞くと「当病院では7年間保存しています」と答えが返ってきました。なぜか7年と病院内で規定されている病院に出くわします。いずれにしても保存スペースが限られていますので、長い期間の保存は敬遠気味です。

 さて、このカルテも遅ればせながらデジタル化の波が押し寄せています。「電子カルテ」、導入が進んでいます。今週訪問した病院でも導入が決定、文章科の職員の仕事もシステムオペレーターとなります。英語、独語まじりの複雑怪奇な文字を解読する手間が省けて、私達は大歓迎です。将来あの達筆が見られなくなる?のは寂しいですが。

  

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 昨日の記事には少なからず反響をいただきました。

 「そんなことはない!」と弁護士から反論が来ると思っていましたが、まるで逆で、「痛いところを突いてくるなぁ」、「その通り!よく言った!」とおおむね共感する意見です。被害者救済を根幹に置いている弁護士先生には清々しい物言いに聞こえますが、複雑な心境の先生もいらっしゃると思います。この手の議論で迷ったら私たちのチームはこう考えます、

 「それが被害者のためになるのか」

 被害者救済をスローガンにする限り、答えは明らかです。色々な考え方があっても決してブレません。     ではテーマを変えて行政書士の書面交渉も検証してみます。

書面による賠償交渉は適法or違法?→ 有効or残念?

 10年前より多くの行政書士が交通事故業務に参入しています。昨日の議論「事前認定か被害者請求か?」について言えば、大多数が被害者請求を推奨しています。さすがに「事実証明」が仕事なので、まさに等級認定業務はそれにかなうものです。  しかし少なからず違った業務を主としている先生もおります。それは等級が認定されてから相手の保険会社と交渉をしている先生です。被害者請求すらせず、事前認定で等級認定作業を相手保険会社に任せて、等級がでたらそれをもとに裁判基準で賠償金請求書を作成、保険会社に提出する作業です。私なら30分でできる作業です。いやいや中には凝った先生もおり、様々な判例やデータを添付し、良い仕事をするなぁと感心することもあります。                        もちろん直接、保険会社の担当者と顔を突き合わせての交渉は「代理行為」なのできません。紛争センターなどの斡旋機関でも同席できません。被害者の「代理行為」ができるのは弁護士資格をもつもののみだからです。では書面作成だけなら代理行為(交渉)ではない?このような議論になります。多くの弁護士会の見解では「たとえ書面作成であっても実態上は賠償交渉ではないか?」と厳しい目をむけております。

 さてこのような議論を前に、私の見解はこうです。

 「それが被害者のためになるのか」

 難しい法解釈は学者先生に任せるとして、被害者救済の最前線の実働部隊である私たちは、書面による交渉など「生ぬるい」と感じています。なぜなら、最初から被害者に寄り添い、損害の立証作業を積み重ね、適正な後遺障害認定へ導くことが一番大事と考えています。そしてもう一つ大事なことである賠償交渉においても、連携弁護士による裁判・紛争センターを前提とした強交渉で良い結果を量産している事実があります。

 ここで、某大手保険会社の担当者Ζさんの本音を、

 「あくまで被害者本人との交渉では、いくら書面で裁判基準を要求してきても、『相対交渉なので自社基準でしか払えません』と、突っぱねます。まぁ少しは上乗せしてあげますが。」

 そこで行政書士が被害者と同席して交渉に臨んできても、

 「被害者との交渉で、相手に行政書士が入ってきて話をするのはある意味、楽です。なぜなら弊社の提示額と赤い本(≒裁判基準)の中間くらいで手を打ってくれますので。もし赤い本基準の満額要求で引かなければ、『先生、これ以上の交渉は非弁行為ですよ』と言えば引っ込みますので(笑)」

 とまぁ、実態はこのような体たらくです。(担当者喜ばせてどうするのよ!)

 ここで保険会社と被害者置き去りの妥協的解決を図るか、紛争センターに持ち込むかの選択となります。紛争センターでは被害者一人を交渉に向かわせ、ここでも書面だけ渡して、先生自身は廊下で遠隔操作です。以前も取り上げましたが、こんな中途半端な方法で満足のいく数字は取れませんし、このようなサポートに被害者から多額の報酬を取ることに疑問が残ります。

 ここで、紛争センターの斡旋弁護士の本音を、

「僕が苦労してあなた(被害者)のために保険会社から弁護士基準の賠償金を交渉してあげているのに、なんで計算しただけの行政書士に何十万も払うの?その報酬は払う必要はないよ!」。

 とまぁ、実態はこのような体たらくです。書類を持たすだけで「増額は行政書士の(仕事の)おかげ」と見せかけて、成功報酬を得る、これはズルいと思われています。  このような周囲の厳しい監視から、行政書士は賠償交渉の場面に、こそこそ介入するしかない立場なのです。  もちろんごく少数の被害者に「自ら交渉をしたい、書面、資料だけサポートしてほしい」というニーズもあります。しかし保険会社はそんな甘い存在ではないことを認識してほしいと思います。紛争センターでも徹底的に争う姿勢が大事です。ここでダメなら訴訟をも辞さない気概を示さねばいい数字は獲れません。これは有能な弁護士により成し得る交渉です。

 昨日、今日と同業批判のような記事になってしまいましたが、誤解しないで下さい。自由経済では書面作成や交渉も経済活動の一つに過ぎません。違法でなければどのような解決方法でもニーズがある限り、私ごときが口をはさむ問題ではありません。

 しかし被害者は情報過多の中、しっかり解決方法を吟味し、ご自身にとって最適な専門家を間違わずに選択してほしいと思っています。だからこそ包み隠さず、関係者の本音をあえて披露しました。

 これから誰に交通事故の解決をゆだねるのか?しっかりと見極めて下さい。

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さらに弁護士費用の第2条(4)について。

第2条 (4)この特約において弁護士費用および法律相談費用とは下表のとおりです。

①弁護士費用 あらかじめ当社の同意を得て弁護士、司法書士、行政書士、裁判所またはあっせんもしくは仲裁を行う機関に対して支出した弁護士報酬、司法書士もしくは行政書士報酬、訴訟費用、仲裁、和解または調停に必要とした費用 ②法律相談費用 法律相談の対価として弁護士、司法書士または行政書士に支払われるべき費用

    弁護士費用が支払われる対象者と内容についてさらに詳しく規定しています。T社他、国内損保はおおよそこのような内容となっております。外資系通販損保は司法書士や行政書士が対象外となっている会社もあります。

ここでのポイントは下線「あらかじめ当社の同意を得て」の部分です。これは弁護士等が依頼者と先に報酬を取り決め、契約したとして、その金額を無条件で支払うことはしません、ということです。あくまで保険会社の納得する金額までしか払いません、という意味です。これは保険会社の約款には欠かせない、毎度おなじみの条件です。この条件をめぐって、以下のやり取りが繰り返されています。  

依頼者:「先生、交通事故で依頼をしたいのですが、費用はどのくらいかかりますか?」

弁護士:「ご安心下さい。あなたには弁護士費用特約が付いていますので、保険会社に請求します。」

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 今朝の病院同行は後遺障害診断書の訂正・加筆依頼です。医師に書いていただいた診断書に修正をお願いするとき、メディカルコーディネーター(MC)や病院同行者が注意しなければならないことについて・・・

 

 無事に医師に診断書を直していただいた後、お礼を述べて診断書を受け取って帰ります。

 しかしそのままでは危険です。必ず医事課や文章課を通して診断書のコピーを病院に残すようにしなければなりません。

 診断書は公的な証明書でもあります。そして診断権を持った医師しか書けません。通常患者に交付する際、必ずコピーを取って病院に残します。後で改ざんされ不正使用、悪用を防ぐためです。これはどの病院でも徹底されています。しかし修正の場合は、うっかりして修正後の診断書のコピーを医師や医事課が忘れてしまうことがあります。

 するとどうなるか・・・  後で診断書の内容が争いになっとき、相手側の保険会社や弁護士が病院に開示を求めて、修正前の診断書を入手したとします。そこで修正後の診断書と食い違うことに気づきます。

 これは誰が修正をしたのか?それは被害者(側の弁護士が)勝手に修正したのでは!・・・このような疑いをもたれてしまいます。

 そして疑いを晴らすため病院に修正を証明してもらうよう、奔走しなければなりません。

 さらに、もし書いた医師がそのことを忘れてしまったり、転勤してしまっていたり、病院側、医事課の方々も修正のことなど覚えていないとしたら・・・

 「私文書偽造等罪」(刑法159条各号)の成立です。

 このような危険をはらんでいますので、こちら側(MC)が気を付けて、医師もしくは医事課・文章課に「コピー残しました?」と確認してから受け取るようにして下さい。

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離婚、相続分野について

・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・遺産分割協議に関する紛争

これは今まで行政書士が行ってきた業務をなぞるようにADRの対象となりました。離婚も相続も膨大な件数が発生します。これらのほとんどが、厳密な法的判断を必要としたり、高額の慰謝料の争いとはならないものです。当事者間の話し合いで解決するのが理想です。しかしそれはそれでもめ事、冷静な第3者の仲裁、助けがないとまとまらないものです。ADRの本丸はここかもしれません。

 今までもこの分野に多くの行政書士が介入してしてきた事実があります。代理権を持たない行政書士が有償で離婚や相続の解決に乗り出すこと自体、弁護士法72条「非弁行為」(弁護士以外は代理人として有償で交渉してはいけない)に抵触するといった解釈があります。交渉を伴わず、文章作成にとどまる業務であれば、行政書士でもOKとの認識もあります。しかし当事者の間に入って説明・説得という場面は常に生じやすく、厳密な法解釈は実情にそぐわないと思います。やはり代理交渉までいたらずとも、それなりの介入が望まれます。だからこそ、このグレーゾーンというべき民事部門に行政書士が関わるなら、紛争性を帯びた瞬間にADRの利用、弁護士への連携という流れが適切かつ自然であると思います。  つまり常に紛争化の危険をはらむ民事業務について、ADRは行政書士で完結できる流れを作り出したといえます。

賃貸借について

・居住用賃貸借建物の敷金の返還に関する紛争

・居住用賃貸借建物の現状回復に関する紛争

簡単に言うと”大家と店子のもめごと”です。アパート退去の際、「敷金の返却が少ない!」、「クロスや畳の取り換え費用を請求された!」など頻繁に起きる問題です。近年、仲介業(不動産屋さん)に対して、賃貸借契約の約款をわかりやすく明示すること、事前説明の徹底について厳しく行政側は指導をしています。私も最近物件を借りる時、不動産屋さんの担当者から丁寧な説明を聞いて、それを実感しています。  さらに敷金というしきたりも、もはや都市圏では下火、どんどん無くなってきています。さらに修理費についても法的解釈がはっきりしており、「畳やクロスの日焼けは自然劣化であり、店子の現状回復義務(元通りにして退去する約束)には入らない」となっています。  それでも特に地方では古いしきたりや、ルールの不徹底から、賃貸借にまつわる紛争は少なくありません。この問題も一つ一つ司法判断に頼っていくには数が多すぎます。当然ながら、争うお金の額からも裁判には馴染みません。第三者の仲裁・斡旋で解決することが適切です。簡易裁判所の調停や少額裁判という方法もありますが、行政書士に相談が持ちかけられることが多い案件でもあります。なにせ全国に4万人以上も行政書士がいるのです。紛争化した時の受け皿(ADR)があってこそ、積極的に相談が受けられる土壌ができたといえます。

 時間が無くなってきたので「交通事故」は明日に

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 昨夜は全国のMCとスカイプ会議でした。集合せずとも、様々な議案について同時に意見交換ができるので便利です。  それぞれ地域、環境が違う中、抱えている問題にも若干の温度差を感じました。その中で各地の行政書士会が推進するADRに話題が及びました。

 ADRとは「裁判外紛争解決手続」の略で、訴訟社会のアメリカでは広く知られています。アメリカは桁違いに訴訟が多く、裁判所の渋滞を防ぐため、軽微な紛争はこのような斡旋・仲裁機関での解決が必要とされています。これの日本版を行政書士会が認証機関となり主宰するのです。つまりもめごとの解決を当事者がADRに申し込み、そこで話し合いがなされ、合意された内容を公に認めるものとする働きをもちます。

 司法制度改革の一貫でADR法が制定されて以来、各地の行政書士会が続々と組織を立ち上げています。私の所属する埼玉会でも「行政書士ADRセンター埼玉」がこの夏、発足しました。奔走された諸先輩方には頭の下がる思いです。

 内容は民事部門で4つに整理されています。早速みてみましょう。

離婚

・離婚時の離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

・離婚後に生じた離婚給付(財産分与、慰謝料)に関する紛争

※ 未成年の子供がいる夫婦の離婚は除く

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 法令から読んでも具体的にとらえられませんので、厚生労働省のパンフレットから転載しました。認定基準にもう少し踏み込みます。

  (1)介護の手間に係る審査判定   1. 要介護認定は、介護サービスの必要度(どれ位、介護のサービスを行う必要があるか)を判断するものです。従って、その方の病気の重さと要介護度の高さとが必ずしも一致しない場合があります。

 [例]認知症の進行に伴って、問題行動がおこることがあります。例えば、アルツハイマー型の認知症の方で、身体の状況が比較的良好であった場合、徘徊をはじめとする問題行動のために介護に要する手間が非常に多くかかることがあります。しかし、身体的な問題が発生して寝たきりである方に認知症の症状が加わった場合、病状としては進行していますが、徘徊等の問題行動は発生しないため、介護の総量としては大きく増えないことが考えられます。

2. 介護サービスの必要度(どれ位、介護サービスを行う必要があるか)の判定は、客観的で公平な判定を行うため、コンピュータによる一次判定と、それを原案として保健医療福祉の学識経験者が行う二次判定の二段階で行います。

3. コンピュータによる一次判定は、その方の認定調査の結果を基に、約3,500人に対し行った「1分間タイムスタディ・データ」から推計します。

 要介護度判定は「どれ位、介護サービスを行う必要があるか」を判断するものですから、これを正確に行うために介護老人福祉施設や介護療養型医療施設等の施設に入所・入院されている3,500人の高齢者について、48時間にわたり、どのような介護サービス(お世話)がどれ位の時間にわたって行われたかを調べました(この結果を「1分間タイムスタディ・データ」と呼んでいます。)。

4.① 一次判定のコンピュータシステムは、認定調査の項目等ごとに選択肢を設け、調査結果に従い、それぞれの高齢者を分類してゆき、「1分間タイムスタディ・データ」の中からその心身の状況が最も近い高齢者のデータを探しだして、そのデータから要介護認定等基準時間を推計するシステムです。この方法は樹形モデルと呼ばれるものです。

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 認定する際の審査体制と区分について続けます。  

9 介護認定審査会について

(1)審査判定業務を行わせるため、市町村に介護認定審査会を置く。・・・法第14条   (2)認定審査会は、委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体で、審査及び判定の案件を取り扱う・・・施行令第9条第1項

(3)合議体の委員の定数は、5人を標準として市町村が定める。・・・施行令第9条第3項 10 一次判定、二次判定の位置づけ

介護認定審査会は、基本調査の調査結果及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果(一次判定)を原案として、特記事項及び主治医意見書の内容を加味した上で決定(二次判定)を行う。(「介護認定審査会の運営について」平成21年9月30日老健局長通知)

11 法第7条第1項の厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)について 「要介護認定等基準時間」により状態を区分(要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令)

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用語と法令について続けます。今日は認定に関わる事項について。

6 要介護(要支援)認定について 1) 介護(予防)給付を受けようとする被保険者は要介護(要支援)者に該当すること及びその該当する要介護(要支援)状態区分について市町村の認定を受けなければならない。 ・・・法第19条第1項及び第2項

(2) 介護認定審査会は、審査及び判定を求められたときは、厚生労働大臣が定める基準に従い、当該審査及び判定に係る被保険者について、審査及び判定を行い、その結果を市町村に通知する。・・・法第27条第5項

※ 厚生労働大臣が定める基準:要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令

(3) 市町村は法第27条第5項前段の規定により通知された認定審査会の審査及び判定の結果に基づき、要介護(要支援)認定をしたときは、その結果を当該被保険者に通知しなければならない。・・・第27条第7項及び第32条第6項

7 「認定調査」について

市町村は、被保険者から要介護認定等の申請があったときは、当該職員をして、当該申請に係る被保険者に面接させ、その心身の状況、その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査させる。・・・法第27条第2項

※ 厚生労働省令で定める事項:要介護認定申請に係る被保険者の病状及び当該者が現に受けている医療の状況

8 「主治医意見書」について

市町村は、被保険者から要介護認定の申請があったときは、主治医に対して、身体上又は精神上の障害の原因である疾病又は負傷の状況等について、意見を求める。・・・法第27条第3項続きを読む »

交通事故で受傷し、介護認定を受けるケースがあります。 改定が多い介護認定制度ですが、数回にわたり勉強していきましょう。まずは用語と関連法令を確認します。

1 介護保険制度における被保険者の定義・・・法第9条

① 市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(第一号被保険者)   ② 市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者(第二号被保険者)

2 「要介護状態」の定義・・・法第7条第1項

身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。 ※ 厚生労働省令で定める期間:原則6ヵ月

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 運転免許取得には視力および聴力の一定基準を満たす事が条件です。免許取得や更新の際の検査でお馴染みですね。  先月、てんかんの持病を持つドライバーの重大事故が起き、業務日誌で少し触れました。  → 障害者への免許付与について

 精神病患者や知的障害者など、特定の疾患を持つドライバーの欠格について、法改正の面からもう少し語りたいと思います。

(1)平成14年道路交通法改正

 飲酒運転の罰則強化を柱とした、2002年6月より施行された道路交通法の改正では、飲酒運転の罰則強化以外にも改正が行われています。その一つに、免許取得に関する欠格条項の改正がありました。  これまでは「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを一律に行う方式」(絶対的欠格事由に基づく方式)でしたが、法改正より「特定の基準を満たすものを対象に、免許取得の拒否や免許更新の取り消しを行うことができるとする方式」(相対的欠格事由に基づく方式)に変わりました。これだけを見ると「欠格事由の緩和」のようですが、欠格事由の対象となった病気や障害の患者団体を中心に、この改正の中身に異を唱える意見がでました。さらに交通事故遺族団体を中心に、「免許申請時の診断書の提出」や「定期的な健康診断の義務付け」といった規制強化を主張する団体も異論を展開し、現在まで続く法律議論となっています。

(2)問題とされた事項と改正点

 従来より欠格条項自体は存在しましたが、一見して判断できるケース(足が不自由であるなど)を除いて厳格に運用されているわけではありませんでした。それは申請時に病気を隠して申請する者も多く、実態を把握できなかったこと、さらに欠格条項に違反したからといって、ただちに罰則とならなかったことが問題とされています。  この法改正の中身、骨子ですが、運転免許の取得や更新には、相対的欠格事由に該当するかどうかを判断するための申告書の記入が義務付けられることになりました。申告書への記入内容によっては、運転適性相談を受けることが義務付けられ、適正であると診断された場合にのみ免許の取得や更新が可能となります。また、運転免許取得後も、病状に変化がある場合には、運転適性相談を再度受けることが義務付けられました。当然ですが、義務ですから違反すれば罰則となります。

(3)プライバシー問題

 本改正に伴い、申告書への記入内容にて運転適性相談が必要となった場合、医師の診断書の提出が義務付けらることになりました。しかし病歴はプライバシー情報であり、プライバシー情報を警察が集めることになるとの指摘が起きたのです。 この問題は、未だ解消されていません。  実は14年6月の法改正の素案段階において、欠格条項に病名が複数盛り込まれていました。これは、特定の病気に対する偏見を引き起こし、雇用差別などにつながるとの指摘があっため、患者団体の働きかけを受け、法案からは病名が取り除かれました。

(4)法案に挙がった病名

・統合失調症

・双極性障害

・躁病、 重度だと判断されるうつ病、 持続性の妄想障害

・てんかん(意識障害)

・ナルコレプシー(睡眠発作)

・脳虚血(意識障害)

・糖尿病(治療薬の副作用である、低血糖によって引き起こされる意識障害)

・睡眠時無呼吸症候群(睡眠発作)

先日のバス事故も直接原因が運転手の居眠りです。ナルコレプシーという聞き慣れない病名がありますが、睡眠障害の一種で、簡単に説明すると発作的な「寝落ち」を繰り返す病気です。神経学の分野となりますが、最新の研究では脳に病原があるとの指摘があります。単なる居眠りか?ナルコレプスキーか?このような議論も起きそうです。

 これらの病気を持つドライバーの事故が多発している以上、法規制の強化へ傾きつつあるのが現状です。

 今後一連の法改正について重度の障害者、とくに高次脳機能障害の方などの免許取得に関して私たちも注視していかなければなりません。

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 私の所属する越谷支部では若手有志による勉強会を隔月で続けています。昨日は司法書士N先生講師による「成年後見相談における対応」でした。高齢化社会のなかでますます後見人のニーズが高まっていますが、今回の講義で印象に残ったのは、

1、本人(成年被後見人)のための制度であること

 後見人になりたい近親者や他人が自身の都合や利益のために後見人申請をするケースがあり、本人の利益という観点からしっかりと説明し、理解を促すことが大事です。

2、後見制度において利用する信託制度

 やはり不道徳な後見人が本人の財産を侵すケースが多いのか、家庭裁判所も法律家が後見人となること、もしくは後見監督人(後見人をさらに監督する専門職)を推奨しています。

 さらに本人の財産を信託化、一定の管理により保護する制度が最近できました。今後この制度の普及、動向に注目です。

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既に報道でご存知と思いますが痛ましい交通事故が起きてしまいました。  京都・祇園で発生した乗用車が歩行者を次々とはねた死傷事故、車を運転していた男性はてんかんの持病があることが報道されています。

 私も高次脳機能障害の検査・診断の傍ら、てんかんの有無はもちろんですが、障害が自動車運転に与える影響について家族と一緒に医師と相談します。軽度、障害9級で車の運転を続ける方も多いのです。その際、医師が運転の可否について診断を下します。今後この診断書に重みが増すことは間違いありません。

 実は事故発生の2日前となる4月10日、小川敏夫法務大臣が危険運転致死傷罪の法改正に関する考えを述べていました。大臣の発言は、昨年4月に発生した栃木県鹿沼市クレーン事故の遺族が、危険運転致死傷罪の適用範囲にてんかん無申告の運転免許不正取得者による死傷事故も盛り込むようにとの要望書を提出したことを受け発言したものです。遺族が集めた最終的な提出署名数は、刑法の条文改正が17万0829名、運転免許交付制度の改正が16万7398名でした。

 このタイミングでの昨日の事故、法改正への動きが加速しそうです。現在免許を取得、更新する際に自らの障害を申告するのはほぼ任意です。病歴情報はセンシティブ情報(特に取り扱いに配慮が必要な個人情報)で、行政側はその病歴・既往症の告知義務に消極的なのです。しかしこれに一定の法的義務を課すべきとの声は以前からありました。

 以下は、法務省のウェブサイトに掲載された記者会見の概要から抜粋しました。

 質問:昨日、栃木県鹿沼市クレーン事故の御遺族の方がお見えになって,危険運転致死傷罪の適用範囲にてんかん無申告の運転免許不正取得者による死傷事故も盛り込むようにとの要望書を手渡されました。 危険運転致死傷罪に関しては,元々は,交通事故遺族からの強い要望で創設された条文ですが,適用をめぐっては慎重な適用が多いかと思われます。一方,罰則強化をすると道路交通法との兼ね合いでひき逃げといいますか,逃げ得を許してしまうのではないかとの指摘もあります。法改正の是非も含めて大臣の御見解を伺えればと思います。   小川大臣:危険運転致死傷罪を導入する際にも,随分と議論があったわけですが,その際には,国会の議論の中で附帯決議等で厳格な運用をということが言われていいました。  最近出てきている現象の中では,危険な行為というものは千差万別でいくつもあるので,その中で危険運転致死傷罪を適用する4つの類型だけを取り上げている関係で,同程度に悪質でありながら,4つの類型に入らないから危険運転致死傷罪が適用されないというような構造的な問題があると思います。   ですから,本来,それまでは過失犯ということで事件処理していたものが,法改正を行うと故意犯に近い量刑になってくるということの問題点もありますので,今すぐ法改正を行うとは言えないと思います。

 しかし,実際に,危険運転致死傷罪に規定されたこの類型と同じ程度に悪質な態様でありながら,一方で法が適用され,他方で適用されないという現象が起きてますので,これはこの法の背景も踏まえて検討する必要があるのかなというところです。   今,どういう方向にという方向性を私の方で説明できる状況ではありませんが,そういう問題意識を持っているということで御理解いただきたいと思います。  一方、こうした動きを受け日本てんかん協会も、てんかんと運転免許についての要望書を、法務大臣と国家公安委員長宛に提出していた。要望の項目は、次の3点です。 1.

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 前日に書いています。月曜は事務所を6時に出発、平塚の病院へ。その後横浜地方検察庁に寄って、夕方は事務所に来客2件です。ふぅ~。

 事故報告や相談など電話が殺到する月曜日ですが、なんとか対応していきます。移動中は携帯にでられない場合もありますので予めご了承下さい。

 先週の金曜日は行政書士会越谷支部の研修でした。講師は弁護士坂本先生です。行政書士の「代理」についての解釈は新鮮でした。

AさんとBさんで商談があるとします。

 Aさんの代理で行政書士がBさんに契約を持ちかけることは、民法でいう「意思表示」です。

しかし、Aさんの代わりに行政書士が自らの判断でBさんと契約してしまっては「代理権」行使です。

代理の意味も日常の言葉使いと民法上の定義では違いがあります。ここがまさに民法の勉強度が問われるところです。

 したがって、民法上の代理権行使でなければ、行政書士も相当の範囲で仕事ができるはず、との持論が続きます。    講義後の懇親会でも話は尽きません。「紛争性のある問題が仕事として利益性が高い。」、そして「しっかり民法を勉強するように」等々・・・。いろいろなヒントを与えてくださいました。    弁護士以外の各士業にはどこまでの「代理権」が許されるのか?学術上ではある程度整理できますが、実務上、法解釈はやっかいです。なぜなら3人いれば3通りの解釈が生まれる場合があります。商売上重なる部分があれば、例えば離婚業務や交通事故業務など、弁護士会としては代理権のない行政書士を排除する動きがあります。やはりこのような業際問題は全体的な働きかけ、行政書士会がきちんと有力学説を用い、理詰めで調整してくべきだと再認識しました。  まず個人としてできることは民法の勉強でしょうか。 

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 今朝は6時30分に事務所を出たため、日誌のUPが遅れました。鎌倉方面で、大船からモノレールに乗りました。

 さて、ADRの続きです。弁護士会や保険会社や地方自治体が主催するもの以外に行政書士会のADRがあります。

 裁判をする程ではない些細な紛争ついて、行政書士が解決のお手伝いをすることがよくあります。簡易裁判所の代理権をもつ司法書士は当然に140万までの訴額に対し代理解決が可能です。また労使間のトラブルでは社労士などが実質仲介を行って解決しています。正式な代理権をもたない士業が代理を行う、仲裁に乗り出すことが事実上存在しています。もちろん非弁行為で違法です。しかし弁護士過疎地である田舎では必要悪として仕方ない、暗黙の了解?とされているのでしょうか。

 そこで行政書士会はADR機関を主催し、「ADRの範囲内で当事者の代理人として、行政書士に代理・弁護をさせること」を目標として、紛争代理行為の合法化を計画しています。民事上一定範囲の代理権を取得するという、行政書士の宿願に近づくためです。  行政書士の業務範囲拡大と社会的地位の向上はすばらしいことです。反対する行政書士はいないと思います。

 しかし、私は若干の不安を感じています。それは制度を作る事を目的として、その機関や権利が誰の為であるかを置き去りにしていないか?です。 それはADRによる解決がそれほど実効力を持たないのではないか、と思っているからです。

 例えば簡易裁判所の調停の成立率ですが、民事調停に限定すると30%に満たない地域がほとんどです。調停が成立しない=第3者を交えた話し合いでも解決できなかった・・・。これはつまり仲裁・斡旋の失敗です。裁判所がやっても調停をまとめるのは大変難しいのです。    では交通事故の場合、おなじみの紛争センターでは・・・

 平成22年度の集計で、依頼件数8666件中 → 和解成立7036件 =成立率81.2% 

 調停成立率30%との差はなんでしょうか?

 簡単です。それは紛争センターには斡旋者である嘱託弁護士の斡旋案に一定の拘束力があるからです。  保険会社は斡旋案を尊重することになっています。被害者寄りの斡旋案でもイスを蹴る事はしません。渋々ですが歩み寄ります。これは保険会社と紛争センターが被害者救済を実践している事実として賛辞すべきです。

 しかし、調停では 仲裁する裁判官=あくまで話し合いの仲介者 で、当事者のどちらか一方が斡旋案を蹴ったらおしまいです。  

 斡旋・仲裁機関は裁判ほどの強制力を持たないとしても、一定の拘束力がなければ、もめごとをまとめる力は乏しいのです。    話を戻します。私はADRの成功はこの拘束力にかかっていると思います。

 紛争中の方が当事者同志の話し合いで解決できないので、ADRを利用したとします。しかし和解成立率が2割ではどうでしょう? 調停員を交えて話し合ったとしても、「相手がイスを蹴ったら終わり」だったら・・・利用者をがっかりさせるだけです。調停の民間版では社会に根付く制度には成りえないのではないかと思います。

 将来、弁護士・司法書士・行政書士がローヤー(法律家)として一つの職種に統一する構想があります。その前置としてADRの代理権獲得を推進することは、「まず形を作る」ことを急務としているように思えます。  しかし利用者の利便、社会的存在意義、紛争当事者救済 の志がないと、「とりあえず制度ありき」になってしまいます。

 「仏像彫って魂入れず」 とならない事を願っています。  

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 最近「ADR」ってよく目にしませんか

 民事上のもめごと、たとえば相続分割、離婚、貸金回収、契約トラブル、傷害事件などが起きた時、どうやって解決を図っているのでしょうか?

 ほとんどは裁判とならず、当事者同士の話し合いである示談で解決が図られています。もちろん交通事故もその範疇で、保険会社との示談が圧倒的です。「全交通事故の94%は保険会社が解決しています!」と保険会社の社員から聞いたことがあります。

 示談はあくまで当事者同士で完結します。そこに第3者が仲介・斡旋を行うと、これを紛争処理機構と呼ぶことになります。

 紛争処理は裁判所が主催する調停がよく知られています。当事者に裁判官を交えて話し合いをするものです。ちなみに離婚裁判は調停前置が条件です。(調停前置とは、「裁判を起こす条件は、まず調停をやってから」です。)  交通事故では「財団法人 紛争処理センター」がお馴染みです。他に「日本損害保険協会 そんぽADRセンター」、「日弁連 交通事故相談センター」、自治体が主催する交通事故相談・斡旋窓口も存在します。

 それらは広くADRのカテゴリーに入ると思います。ではADRとは何か・・・

 ADRとは Alternative Dispute Resolution の略で、訳すると 「裁判外紛争解決手続き」です。訴訟手続によらない紛争解決方法を広く指すもので、紛争解決の手続きとしては、「当事者間による交渉」と、「裁判所による法律に基づいた裁断」との中間に位置します。   ADRは相手が合意しなければ行うことはできず、仲裁合意をしている場合以外は解決案を拒否することも出来きます。アメリカ合衆国で訴訟の多発を受けてできた制度で、アメリカから日本に輸入された制度です。  紛争が多発し、裁判が追い付かないアメリカならではの制度ですが、日本でも裁判によらない細かな紛争のスピード処理に期待を込めて続々と出現しています。

 行政書士会でもADRの認可が目下最大の取り組み課題のようです。町の法律家である行政書士が斡旋機関を主催し、もめごとを解決します。将来的にはこのADRの中での弁護士になるべく、ADR代理権の獲得を視野に入れています。  

 ADRやこれら紛争処理機構について少し意見展開したいと思います。明日に続きます。 

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 おはようございます。毎度のことですが、交通事故相談で「相談者自身の保険契約を精査すること」、これを忘れないようにしています。  

<実例>

 自転車で走行中、交差点で自動車と出合い頭で衝突し、足を骨折しました。そして自分にも事故の責任を指摘され、相手との過失割合が10:90となりました。結果として最終的に賠償額から10%削減されて支払われることになりました。 

 「悔しいです・・なんとか0:100にできませんか」  

★ ポイント1

 しかし、必死になって過失割合の交渉をしなくても、ご自身が契約の自動車保険の人身傷害特約でその削減分を請求し補填することが可能です。これは自動車との事故であれば、契約自動車に乗っていない場合、歩行中や自転車搭乗中でもOKなのです。

 ※ ただし「搭乗中のみ担保特約」となっていれば、契約自動車搭乗中に限定されます。   通販型の保険はこれが多いので注意です。  

★ ポイント2

 この自身契約の自動車保険ですが、自分が契約していなくても、「同居の親族」の誰かが契約していれば、保険が適用されます。

★ ポイント3

 さらに、被保険者(保険が受けられる人)の欄に「同居の親族」だけではなく「別居の未婚の子」が記載されていませんか?この別居の未婚の子とは、通学のために別居に下宿している子などが代表例です。しかし、学生に限らず、独身の40歳OL一人暮らしも範囲に入ります。このOLさんが東京で交通事故でケガをして、なんと!九州の実家の親の自動車保険が使えるケースが有り得るのです。

※ 「別居の未婚の子」に年齢制限はありません。婚姻歴無のみが条件です。  一度結婚し、離婚して独身になってもダメです。ですので18歳で結婚し、19歳で離婚バツ1となった人は、未成年であっても「別居の未婚の子」から外れます。なんか腑に落ちませんが、保険約款が民法の「成年擬制」の条項に準じているためと思われます。

<民法第753条>

未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

民法上、未成年でも婚姻すれば成年と同じように行為能力者とみなします。男子の場合18歳、女子の場合16歳になると婚姻をする事ができますが、婚姻によっても成年に達したものとみなされます。これによって親権者の同意を得ずに単独で法律行為が可能になります。この効果は離婚しても消滅しません。つまり、法律上20歳で大人ですが、未成年でも1度結婚したら大人と扱う、ということです。

  ★ ポイント4

 この「別居の未婚の子」の解釈は他の特約や保険でも共通です。

・ 弁護士費用特約   ・ 無保険車傷害特約 ・ 個人賠償責任保険 ・ 家族傷害保険(共済)      <まとめ>   保険適用に気付かずに請求漏れが多いと推測します。請求しなければ保険会社は払ってくれませんので。また、弁護士や行政書士に相談しても、その先生方が保険に精通していなければ見落とします。

事故相談で必ずすること・・・「自身の保険契約を洗い直す!」です。

  

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 今朝は保険関係のお客さんの緊急の事故で、現場と警察署へ。

 事故相手が「人身事故にしないで!」と泣きついて、警察への届け出を拒否していて困っている、とのことです。現場は近所なので、出向きました。

 相手を説得して、警察を呼び、その後事情聴取で某警察署へ。そこでも自分の都合で「物損事故に」と言っています。つまり人身事故では6点減点で免許停止になる、運転の仕事なので困る、といった身勝手な理屈です。よくある話なので私がやんわり説得を試みている時、お巡りさんが急に怒り出し、 「人身か物損か勝手に決めるなぁ!」と怒鳴り始めました。最近は少なくなったのですが、この手のお巡りさん、まだ生存しています。私に対しても、せっかく冷静に話を進めようと間に入っているのに、「何だお前は」扱いです。私も寝不足でいつもの穏便・微笑対応も限界です。大声なら負けません、さらにでかい声で「いつもお世話になっていますっ、行政書士の秋葉です!これくらいの大声でないと会話できませんかぁー!」と。署内の警官全員がこちらに注目です。さすがに上司がなんだなんだと間に入ってきて、その後穏便に話は進みました。大声出すなんて、私もまだ錬成されていません。    このケースでは、被害者が全治2週間以内の軽傷なので他に違反無ければ相場は4点、累積点数でもないかぎり、一発免停にはなりません。また6点以上となって一発免停でも半日講習を受ければ、即に免許復活です。大騒ぎするほどの事ではないのです。しかし、基本として相手の支払い能力や保険契約状況がわからない状態では、しっかりと人身事故の届け出をすべきです。ちなみに交通事故の「届出」は道路交通法72条1項で運転者の義務として定められています。人身か物損かは、実務上、診断書を提出したら人身扱いとなります。   道路交通法 (交通事故の場合の措置)

第72条第1項

交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。  

無料相談会のご案内

市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。 交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。    NPO法人、協力行政書士の交通事故専門家が対応する 「無料 首都圏・交通事故相談会」 にてお待ちしています。   【日時】 9月17日(土) am10:00~pm5:00

【会場】 赤坂エクセルホテル東急 東京都千代田区永田町2-14-3

【費用】 無料

 人数に限りがありますので完全予約制です。当方HPメールフォームから「無料相談会参加希望」と明記し送信頂くか、お電話にて申し込み下さい。追って予約時間・詳細をお知らせします

 

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「交通事故被害者救済」がスローガン! 病院同行に日夜奔走しています。解決まで二人三脚、一緒に頑張りましょう。

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