win医師が通常撮るものとして、レントゲンがあげられます。

  レントゲンは、X線を利用して体内情報を画像にするものです。これに対し、MRIとは、簡単に言えば、磁気を利用して体内情報を画像にするものです。

 これらの違いは何かといいますと、

・レントゲン→骨を診るときに使うもの

・MRI→筋肉や椎間板、神経などを診るときに使うものです。

 ムチウチの場合、骨折はしていません。通常、レントゲンだけでは神経圧迫があるかどうかを診察するのは困難です。MRIであれば、椎間板ヘルニアや椎骨が神経(脊髄)を圧迫しているのを確認することが出来ます。

 しかし、たいていの医者は、MRIを撮らずにムチウチの診断を下します。理由としては、まず、医者がレントゲンを撮るのは、骨折の有無を診るためです。ここで骨折を見逃すと医療過誤につながるため、ここは慎重です。そこで、画像上骨折がなければ、たいていの医者はムチウチ(頸椎捻挫、腰椎捻挫等)と診断します。そのような医者の立場からすると、MRIをいちいちとるのが面倒で、撮らなくていいと考えることもあります。

 ここで、皆様に質問をしてみたいと思います。

 とある医者が、レントゲンで骨折がないことを確認した後、頸椎捻挫を診断しました。医者は、わざわざMRIを撮る必要はないと言っております。必要があれば保険会社にもこのことを伝えるし、裁判でも証言すると言っておりました。

 ※ここまでしてくれる医者はかなりのレアケースです。

 では、質問です。

 保険会社(自賠責・調査事務所)はこの医者の言うことを信じて後遺障害を認めると思いますか。確かに、医療上では、専門家である医者の言うことの信用性は高いはずです。 (最も、医療過誤の問題が注目され始めている昨今では、一概に言えないのかもしれませんが、ここでは、そのような問題はないと仮定します。)

 しかし、保険会社(自賠責・調査事務所)としてはそういうわけにはいきません。何故なら、ヘルニアや椎骨が神経(脊髄)を圧迫しているかどうかを診るための画像は、MRIです。当たり前の話ですが、医者が、MRIを撮って、実際に椎間板ヘルニアや椎骨が神経(脊髄)を圧迫しているかどうかを確認した上での診断の方が、レントゲンのみで診断した場合よりも信用されるといえるからです。

 それにもかかわらず、本件では、医者がMRIを撮らなかったのです。この結果については、保険会社(自賠責・調査事務所)はこう考えるとはずです。

 「MRIで実際に圧迫しているかどうかがわかるのに、その医者はMRIを撮るという簡単なことでさえやらかったのであるから、この患者はMRIを撮るまでもない軽い症状だったのだろう。」

 「仮に、その病院にMRIを撮る設備がなくても、必要があれば紹介するはずであって、それすらやらなかった以上は、撮る必要のないレベルの症状なのだろう。」

 また、確かに医者は後遺障害がある旨の診断をする権限はあります。しかし、後遺障害で等級を認める権限があるのは、事実上保険会社側(自賠責・調査事務所)にあります。

 ※ 極稀に裁判で等級が認められることがありますが、その数は極めて少数です。よって、仮に医者がいくら強く保険会社等に言っても意味がほとんどありません。

 結論として、MRIを撮ったかどうかは、医療上では問題は無くても、保険手続上では大問題なのです。ムチウチの患者は、MRIを医者に撮っていただかないと、等級申請の土台にも乗れませんので、ご注意ください。

 なお、MRIを撮るのは事故からなるべく早めに、少なくとも事故から3ヶ月以内に撮ることをお勧めします。仮に事故から6ヶ月目にMRIを撮った場合、事故当初よりも治療によって画像上緩和されている場合があります。

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 それでは、お待たせしました。各社、最新の動向について発表しましょう。

 この各社の約款をトレースする作業に10時間要しました。これは出版を予定して調査したものです。後日、加筆・修正した「保険約款」の解説本の出版を予定しています。

   この特約はおおむね2つのタイプに分かれます。ここではAタイプBタイプと区分します。3年前の約款から変化が見られるようです。  

A:『年齢条件特約の不適用に関する特約』

1.「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。 2.『対人賠償』と『対物賠償』のみ補償 3.「家族か否か」、「免許を取ってからの期間」などの条件はありません。 4.年齢条件に適合した本来負担すべき保険料と、実際に負担した保険料との差額に応じて保険金は減額されます。(全年齢 と 35歳未満不担保 の掛金差はおよそ 100 : 50 ) 5.最初から「記名被保険者・本人が年齢条件を満たしていない」契約の場合は、そもそも適用できません。

<主な適用社>

富士火災 全労災 セコム  ・・・この3社はAタイプBタイプを併存させています。適用上、Bタイプが優先です。

  B:『運転免許取得者に対する「賠償損害」自動担保特約』

1.「新たに免許を取得した家族」が「年齢条件に違反」して被保険自動車を運転して起した事故を補償します。適用には保険会社の承認が必要です。 2.補償の対象となるのは、 続きを読む »

 3年前に「隠れ特約」として記事にした「年齢条件不適用特約」を再度取り上げます。この特約は(例)から説明しないといけません。

(例)「35歳未満不担保」のお父さんが契約していた自動車に、18歳になって免許を取った息子さんが年齢条件の変更をしないまま運転、人身事故を起こしました。この場合は契約ルール上、年齢条件違反となり、保険は使えません。しかし、この車に被害に遭った被害者にとって保険の契約違反など関係なく、補償が得られず困ってしまいます。そこで、一定の条件下、保険会社が対人・対物について支払いをOKとするものです。

 過去記事 ⇒ 「隠れ特約」 c_y_170 この記事を書いたのは3年前のゴールデンウィークでした。この特約、相変わらず周知されていません。元々、掟破りの特約であるゆえ、保険会社の隠しておきたい心情も理解できます。しかし、実務上、被害者が強く主張しないと黙っているような対応がみられるのです。いくら表面化したくなくても「バレるまでしらばっくれる」姿勢に非難は避けられないでしょう。そもそも被害者救済の措置ですから。  

 この特約の解説前に、年齢条件について復習しましょう。

○ 全年齢担保    = 免許があれば何歳でもOK

○ 21歳未満不担保 = 21歳以上が保険の対象     ・・・ 18~20歳の運転事故は保険が出ない

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 用語説明です。

 病院や介護施設における医療介護情報提供書のことを指します。入院中の患者の治療や経過、検査結果など、すべての診察内容の記録を要約したものであり、別の機関への申し送りを円滑に行うため、看護サマリーや退院サマリーなど様々な種類があります。  診察内容の記録の要約ですが、具体的には退院後、転院後の患者への処置を指示したものや、検査結果の数値及び説明などが書かれることがあります。  

 検査先の病院と診断先の病院を結ぶ、このサマリーが後遺障害の立証上、大変重要な書類となります。高次脳機能障害の場合は特に治療や診断をする病院と検査を行うの病院が違うことが多くなります。検査先の病院で行った神経心理学検査等の資料を回収し、診断先の主治医に託すことになります。この橋渡しはメディカルコーディネーターが担うことになります。    今日の病院同行でも、まず担当医 → OT(作業療法士)の説明 → CT(臨床心理士) → ST(言語聴覚士)と 院内を被害者家族と共に面談、各担当に「サマリーをよろしく!」と言って回りました。

 本件も高次脳機能障害の客観的なデータを確保しました。材料の揃った状態でシェフに料理をオーダー、つまり、後は主治医に診断書を記載していただくのみです。

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win 山本の出番! 今日もシュールです

 前回で述べさせていただいた通り、他覚的所見の無いムチウチの後遺障害を信じてもらう要素として、およそ90~100回以上(1週間に3~4回)の通院を述べさせていただきました。

 しかし、これまで様々なムチウチの患者にお話を聞かせていただいたところ、ほとんどの方にとある共通の悩みがありました。

 では、皆様に質問です。

 とある、他覚的所見の無い、ムチウチの被害者が、 「仕事が忙しくてそんなに通えないよ!」 「仕事を休んだら生活がままなりませんよ!」 「日曜日は病院休みだけど、土曜日だけなら何とか通えるから週に1回は必ず病院で治療してきました。」と言っております。

 その後、保険会社は事故から6ヶ月目で治療費を打ち切り、Drも症状固定をしました。 それでも首や手に痺れが残ったので後遺障害があると主張しております。

 言い方がひどいかもしれませんが、保険会社(自賠責・調査事務所)にこの言い訳は通用すると思いますか。

 通常、保険会社(自賠責・調査事務所)はこう考えるでしょう。 「後遺障害とは、通常、生涯にわたって治らない症状をいうのであって、そんなに重いのであれば、なにがあっても治療のために通院するはずである」と。 よって、保険会社(自賠責・調査事務所)には、このような言い訳は通用しません。

※さらに、ムチウチの多くは他覚的所見の無い場合が多く、このような被害者は症状が辛いことを証明できる客観的な証拠が無いわけですから、特に通院回数しか判断基準がない可能性があります。

→ 通院回数が多ければ後遺障害が確実に認められるわけではありませんが、少ない方よりも多い方が信用されやすいといえるので、幾つかあるうちの一つの要素として重要な位置にあるといえます。

 しかし、被害者の中には本当に仕事が忙しくて、通院するのが難しい者も存在します。

 そこで、このような被害者の皆様には、ご自身の環境と照らし合わせて頂く必要があります。

(1)まず、病院が開いている時間帯に通えるようにできるかを考えてみてください。 自宅から少し離れている場所に病院があるのであれば、より自宅により近く、かつリハビリ施設が整っている病院を探してみてはいかがですか。

(2)それでも自宅近くの病院に通い続けるのが厳しいというのであれば、最寄り駅の近くで探してみてください。 最寄り駅であれば、仕事から帰る途中等で通いやすいはずです。

(3)そこでも無理があるのであれば、職場近くの病院を探してみてください。 職場近くであれば、通勤途中に通いやすく、最悪、休み時間中にリハビリだけでもすることは可能のはずです。

 病院にもよりますが、リハビリは10分から20分位です。待ち時間で昼休みが終わってしまう恐れがありますので、医者としっかり相談してみてください。病院によっては融通が利くところもございます。

※ それでも、通院できず、しかも仕事をしないと生活が苦しいという場合には、最悪、仕事をお休みしてください。休んで通院した場合、仕事を休んで収入が減ってしまった分については、「休業損害証明書」を会社に書いてもらい、保険会社にその損害分を支払ってもらうようにしてみましょう。

 たくさん通院してしまい、後遺障害が残らないのではないかという不安を抱く方がいらっしゃるという噂を耳にします。本当に辛い交通事故被害者は、何よりも、完治することを願っております。私達は、そのような被害者の救済を手助けすることを生業としております。

 後遺障害が残るように治療をします?

 そのような依頼者がいないことを願っておりますが、仮に本当にいたとしても、保険会社(自賠責・調査事務所)はすぐに見抜きます。

 敢えて解答しませんが、最後に皆様に質問です。

 全国レベルで展開しており、何千・何万もの交通事故案件を見てきており、かつ全国の病院のデータをも押えている組織を欺くことが出来るでしょうか?  

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 しかし、よく眠ります。ここ数日は一日平均8時間ほど。医師によるとよく眠れるのは疲れているだけではなく、健康の証拠らしいです。

 連休までもう一ふん張り、異議申立書、その他文章作成を仕上げます。提出を急ぐ案件が山となっています。  

 ポールのライブ行きたかったなぁ・・

paul

 HOW(do you sleep ?)・・睡眠優先の生活なもんで  

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 福井地裁判決の判旨が待たれるところですが、最後に私の注目点について触れます。  

3、司法はこの民事事件の判決の根拠を自賠法にのみ置いたのか?

  20saibannkann 自賠法第3条により有責!

 新聞によると「無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。」とのことです。何が問題かといいますと、判断を自賠法に置いたことです。通常、不法行為を問う民事裁判では民法を根拠に考えます。もちろん、他の法律が検討されないわけではありませんが、まずは対向車の運転手に責任があるかないかについて判断して欲しいところです。

 例えば、「時速○kmでセンターラインを超えて来た自動車を回避することは不可能である。したがって責任はなし。原告の訴えを棄却する。」もしくは、「○m前からセンターラインオーバーの車両を認めることができたはずであるから回避の可能性があった。したがって1割の責任がある(10:90)。被告は賠償金○円の10%を支払え。」とします。つまり、物の筋から言えば、まず、責任関係を明らかにすべきでしょう。

 しかし、これまで解説したように自賠責保険が適用されれば、被害者に大変有利な救済的支払いが成されます。今回の例でも4000万円の支払い判決です。少なくとも自賠責から死亡限度額3000万円が支払われるでしょう。では残り1000万円を対向車の任意保険会社が支払うのか?と疑問が残ります。もし、対向車に過失があったしても仮に10%とすれば、自賠内で支払いが済むはずです。よって、任意保険は支払いを免れます。過失割合はこの裁判で判断されたのでしょうか?この謎は追って確認したいと思います。

 それはさておき、裁判官は民法の不法行為の判断を無視して自賠法のみを根拠に判断したのでしょうか?それとも2つの判断をそれぞれした上で、結論で自賠法を用いたのでしょうか?  

 これは、実は今後の交通事故裁判で重要な分岐点になると思います。

・被害者に有利な自賠法を民法の特別法(優先適用する法律)と位置づけるのか?

 それとも、

・一応は民法で過失の有無が判断されたが、あたかも事情判決のようにそれは適用せず、自賠法にて解決を図りなさい、との判断か?

   前者の考え方であれば、今後の人身事故裁判で、原告側は常に「自賠法に基いた」主張をするようになってしまいます。後者なら私的には納得です。  これから何人かの弁護士先生に意見を聞いてみようと思います。  

 人身事故解決の実際、ほとんどが自賠責保険の支払いで解決しています。任意社は自賠限度額(傷害:120万円、死亡3000万、後遺障害4000万)までなら自賠責保険(自賠法)か任意保険の(被害者にとって)有利な方を適用し、超えれば任意保険(約款)、もめたら民事交渉・司法判断(民法)となります。そのような流れである中、被害者にもっとも有利である自賠法を最後の司法判断まで優先的に通せば、過失責任の判断がすっ飛んでしまうように思うのです。

 この地裁判決はあくまで、被害者救済に則った特別な判断で、実は民事上の責任の有無はしっかり決着されていることを願います。そうでなければ、対人・対物賠償を支払う立場の相手の任意保険会社、人身傷害保険、車両保険を支払う自身契約の保険会社、求償する立場の健保や労災、その他、自賠責保険金を超えた額を請求する立場の人達は困ってしまうはずです。     c_s_j_1

 

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 本判決は自賠責保険の勉強に大変役立つケーススタディとなります。

(注)現在、福井地裁の判決内容を精査していませんので、推測含みな解説となることをご了承下さい。

  2、わずかでも責任がある可能性があれば賠償責任を負う?

 一見、責任がないかに見えた対向車は、「自分にまったく責任がないと証明できない限りは自賠法上、賠償責任を負うべき」と司法判断されました。

 この点、まずは自賠法第3条を復習しましょう。  

第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

   この条文から自賠責が支払われる3要件が規定されています。  

① 自動車の運行について過失がなかったこと   ② 被害者または第三者(運転者を除く)に故意・過失がなかったこと   ③ 自動車に欠陥がなかったこと    損害賠償を法律面で論じるなら、民法の不法行為から「被害者が立証責任を負う」こと(過失責任主義)が原則となります。つまり、「証拠は被害者が探して突きつけなければ、加害者は弁償しないで済む」ことを意味します。しかし、自賠法では逆で上の3要件=「加害者が自分に責任がないことを証明しなければ、賠償義務を負う」ことになり、立証責任が被害者から加害者へ転換されています。これは自賠責保険の理念である被害者救済の精神が反映されたもので、ほとんど無過失責任(≒無条件で責任を追う)に近いものです。

 したがって、本判決は一見、非のない対向車であっても、「クラクションやハンドル操作で衝突回避ができた可能性がまったくなかったとまでは証明できない⇒わずかながら責任の余地が存在する」と判断されたのです。   c_y_21  常識で考えると勝手にセンターラインを越えて突っ込んできた自動車に対して、「避けないほうが悪い」となれば納得のいかないものです。また、民法上も過失割合に応じた責任を負うこと(仮に回避措置の可能性があったとして、おそらく10:90程度)になり、責任は10%以下となるでしょう。しかし、自賠責保険(自賠法)では被害者を手厚く保護するのです。

 「過失減額」から如実に表れています。

  被害者の過失割合   後遺障害・死亡    傷害 7割未満 ⇒ 減額なし ⇒ 減額なし 7割以上8割未満 ⇒ 2割減額 ⇒ 2割減額 8割以上9割未満 ⇒ 3割減額 ⇒ 2割減額 9割以上10割未満 ⇒ 5割減額 ⇒ 2割減額

   実際、わずか10%程度の責任でも自賠責が支払われて助かった経験が少なくありません。

 実例⇒ほとんど自分が悪い事故ながら、自賠責保険から補償を得た

 この実例は過失減額すらなく、相手の自賠責から100%(4000万円)が支払われました。

 自賠責保険を熟知している私からすれば、福井地裁の判断は決して特異な判決ではないのです。しかし、尚、意見があります。それは次週に・・

 つづく  

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 被害者に手厚い自賠責ですが、手厚すぎる?との批判が起こりそうな判例がでました。本件、自動車保険(任意保険、自賠責保険)について、非常に勉強になる論点が含蓄されています。

 まずは以下、福井新聞の記事(引用)をご覧下さい。  

「もらい事故」でも賠償義務負う 福井地裁判決、無過失の証明ない

 車同士が衝突し、センターラインをはみ出した側の助手席の男性が死亡した事故について、直進してきた対向車側にも責任があるとして、遺族が対向車側を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが13日、福井地裁であった。原島麻由裁判官は「対向車側に過失がないともあるとも認められない」とした上で、無過失が証明されなければ賠償責任があると定める自動車損害賠償保障法(自賠法)に基づき「賠償する義務を負う」と認定。対向車側に4000万円余りの損害賠償を命じた。

 遺族側の弁護士によると、同様の事故で直進対向車の責任を認めたのは全国で初めてという。

 死亡した男性は自身が所有する車の助手席に乗り、他人に運転させていた。車の任意保険は、家族以外の運転者を補償しない契約だったため、遺族への損害賠償がされない状態だった。対向車側は一方的に衝突された事故で、責任はないと主張していた。

 自賠法は、運転者が自動車の運行によって他人の生命、身体を害したときは、損害賠償するよう定めているが、責任がない場合を「注意を怠らなかったこと、第三者の故意、過失があったこと、自動車の欠陥がなかったことを証明したとき」と規定。判決では、対向車側が無過失と証明できなかったことから賠償責任を認めた。

 判決によると事故は2012年4月、福井県あわら市の国道8号で発生。死亡した男性が所有する車を運転していた大学生が、居眠りで運転操作を誤り、センターラインを越え対向車に衝突した。

 判決では「対向車の運転手が、どの時点でセンターラインを越えた車を発見できたか認定できず、過失があったと認められない」とした一方、「仮に早い段階で相手の車の動向を発見していれば、クラクションを鳴らすなどでき、前方不注視の過失がなかったはいえない」と、過失が全くないとの証明ができないとした。  (福井新聞社)

c_y_21    対向車にしてみればとばっちりの事故です。この交通事故から、保険の適用上の重要論点2つを検証します。   1、自分が契約している任意保険、自賠責保険は自分(の被害)に対して免責となるのか?

 自賠・任意ともに契約者である自分に対して賠償保険は適用となるのか?知人とはいえ、この事故の最大の責任者は運転者のはずです。運転を代わった知人は加害者となります。この自動車に付いていた任意保険及び自賠責保険は契約者自身が被害者となった場合にも適用できるのでしょうか?

 まず自賠責ですが、そもそも賠償保険は「他人」に対して償うものです。いくら加害者にとっては他人であっても、自賠責の契約者自身が被害者であれば他人性は否定されます。  また、おそらく亡くなった被害者は同乗の運転者と知人で、同じ目的地に向かっていると推測しますので運行供用者となるはずです。運行供用者は自賠責の賠償対象から外れます。

★ ...

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 システム改修中と書けば体裁がいいのですが、古いPCの入れ替え作業が続いています。その最中、メインのPCがまさかのマザーボードとハードディスクのダブル故障!手に負えず、修理業者を呼んでデータの保全に当たっています。  このようにシステムが混乱中の新年度となってしまいました。GWまで遅れている書類に追いつくよう奮闘中です。お待ちの皆様、もう少しのご猶予お許し下さい。

   さて、連日、補助者の応募をいただいております。特殊な仕事ですので行政書士に限らず志のある人材を待っております。今日は入所後の研修について少し語ります。    個人事務所ゆえ、大会社のような体系的な研修というわけにはいきません。それでもマンツーマンの指導の良さはあると思います。単なる知識の習得ではなく、徒弟制度のような関係から交通事故外傷、障害立証に関するエッセンスを学んでいただいています。そこには言葉にできない人の機微、臨機応変の判断などがあり、実務でしか得られないものばかりです。

 また、新卒者にはビジネスの基本からしっかり教える必要があります。挨拶から電話応対、文章作成、ビジネスマナー全般を叩き込みます。実はこの基本ができていない人が非常に多いのです。若い弁護士先生と一緒に仕事をしていて、特に感じる部分です。

 資格者は学生時代から現在まで資格試験一辺倒ですから、社会的マナーやもっと言えば人の機微を学ぶ機会が非常に限られてしまうのです。弁護士といえど司法修習を終えて事務所に属すれば、単なる新人・新卒者・新入社員なのです。そこで社会人、ビジネスマン一般の常識・マナーを学び損なえば、今後の仕事に大変なマイナスとなるでしょう。なまじっか先生と呼ばれる立場から、周囲から指導・指摘を受けないままキャリアが進み、40過ぎれば手がつけられない非常識先生の完成です。特徴は傍若無人でとにかく威張っていますのですぐわかります。

 逆に新司法制度下、民間企業に一度就職し、脱サラで弁護士となった先生はその辺がしっかりしており、非常に仕事がしやすい傾向があります。やはり、ビジネスの基本が身についているからでしょう。一様に謙虚で礼儀正しい先生です。

 先生・専門家と呼ばれる前に、まず、しっかりとした一社会人、一ビジネスマンにならなければなりません。そのような意味で、新卒者を預かることは人間育成からなのです。責任を感じます。

 私もかつて旧安田火災で徹底して「猿から人間になる」厳しい研修を半年間強いられました。今もってその時の経験が糧となっています。

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win 今日も頼むぞ!山本

 前回では、事故直後から痺れや痛みがあることを要素として述べました。

 診断書にも、診断名にムチウチがあったとします。

 

 しかし、これだけでいいのでしょうか。

 

 皆様に質問です。

 

 事故直後から痺れなどがあって辛いというムチウチの被害者がいます。

病院には月に1回行っておりました。

 

 この者は本当に辛いのだと保険会社(自賠責・調査事務所)は信じてくれるでしょうか?

 

 人によっては辛いという方もいらっしゃるでしょう。

 しかし、もし本当に辛ければ、普通、もっと通院するのではないかと考えませんか?

 

 既に述べたことではありますが、ムチウチでは、明確な証拠と言うべき骨折も靭帯損傷も神経切断等もありません。

 痺れや痛みの裏づけがないのです。

 つまり、保険会社に信じてもらうしかないのです。

 

 月に1回しか通院していない者は、保険会社から見れば、

 「本当に辛い被害者であれば、もっと病院に行っているはずだ!」

 「後遺障害が残ったと喚いていても、真面目に通院(リハビリ)をして、治療していなかった方が悪い!」

 と考えるのが自然です。

 

 本当に辛い方であれば、整形外科で真面目に通院(リハビリ)をするはずです。

 そして、保険会社に信用してもらえる通院日数は、症状との兼ね合いもありますが、概ね90~100以上です。他覚的所見、たとえば画像所見や神経学的所見が顕著であれば、それほどの通院日数はいりません。しかし、多くの被害者は自分が「痛い」と言っているだけで、他覚的所見が乏しいのです。すると、症状の一貫性と通院日数でしか症状の信憑性を計れなくなるのです。

 つまり、1週間に3~4の通院が必要な計算になります。

 

 しかし、ここで注意点がございます。

 

 最近では、病院だけでなく、接骨院や整骨院等、病院ではない所に通っている場合も多くなっております。

 接骨院や整骨院等に通っていれば痛み等が緩和されて、病院に行くよりもいいという被害者の声もしばしば耳にします。

 多くの被害者は後遺障害を残さずに治しきりたいはずです。

 どのような治療を望むのかは、本人次第です。

 

 ただ、一つ知っておいてほしいのは、保険会社は西洋医療を基準に判断しているという事です。

 

 このことから、病院での西洋医療を受けずに、東洋医療のみで頑張って治そうとしても、保険会社からすると、それは「治療」ではなく、「施術」であって、真面目に治療しているとみられないのです。

 

 さらに、後遺障害が残ったとしても、後遺障害診断書を書いてもらう医者がいなければなりません。

c_g_a_7続きを読む »

 本日は病院同行もなく、終日事務所でした。おかげで事務仕事がはかどりました。体調も1日で復調しましたが、寄る年波を感じます。

 年間200件以上の病院同行はそう何年も続くものではありません。春からの新人採用を急がねばなりません。一方、気になったので私の労働時間と世間の相場を比べてみました。

 この3年間の勤務表を見ると・・休日は月平均4日、加えて盆暮れGWの連休を除くと年間308日勤務です。労働時間は1日平均12時間です。合計すると年間3696時間、月当り308時間です。すると残業時間だけで、月平均102時間、これを3年以上続けているわけです。軽く過労死ラインを突破、こんな生活を続けていてはダメですね・・   (過労死ラインについて)  過労死ラインとは、日本において、健康障害リスクが高まるとする時間外労働時間を指す言葉で、月80時間。1か月の労働日を20日とすると、1日4時間の時間外労働が続く状態をいう。

 『脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について』(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)による。同通達は「発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できる」とした。

   従業員・労働者に対しては基準はもちろん、雇用者は責任をもって彼らの健康を守らねばなりません。企業は残業時間を減らす努力が必要です。しかし、現実は難しい問題で、中小企業の多くは残業の規定などまったく守っていません。ある外食チェーンでは超過勤務を回避させるために労働者を管理職(店長)にするそうです。私の身分は店長のようなもので、規定もガイドラインもないのです。これが個人事業主、社長と呼ばれる立場の宿命でしょう。

   最近は毎年風邪をひきます。年に1回は体調を損なうようになりました。小学校から高校卒業まで12年間皆勤の健康体はもはや過去のもの・・事務所の若手にはバリバリ頑張ってもらいたいところです。でも、補助者には週休2日と8時間労働、法定残業時間を厳守していますので心配ないですよ。引き続き、交通事故被害者救済の志を持った方をお待ちしています。 c_h_36

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 体力だけが自慢なのに面目ないです。昨日から頭痛、胃痛で難儀しています。先ほど病院同行を終えて事務所に戻りましたが、少しお休みをいただきます。明日には復活すると思いますが・・。ここのところの病院同行は精神的に堪えました。医師からも休むよう命令を受けてます。

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 甲府は今年初です。今回も15名のご参加を頂きました。傷病名もバラエティに富んでいます。毎回、所感として共通することは相談時期による明暗です。

  1、受傷から3か月以内の方は解決に向けて先手を取ることができます。あれこれと事前に対策を練ります。どのように保険会社へ対処すべきか、健保・労災の使用について、物損の解決、そして予想される後遺障害について・・言わば作戦会議になります。

2、半年ほど経過した方はのんびり作戦を練る時間はありません。やるべきことを急ぎます。つまり、足りない検査の実施と症状固定に向けたアクションです。相手保険会社はのんびり待ってはくれません。

3、相手保険会社が治療費を打ち切った、相手保険会社が弁護士をいれてきた・・これらで行き詰った状態での相談では、もはやすべきことが限定されます。とにかく症状固定、後遺障害審査に進めるしかありません。治療経緯に問題があっても取り返しがつきません。

4、既に等級審査が終わった後・・認定等級が妥当であれば賠償交渉に進めます。

5、等級が認められなかった・・異議申立の検討となりますが、認定率はわずか7%です。多くの場合、諦めることになります。  

 このように交通事故の解決は先手必勝が望ましいのです。「もっと早く相談に来れば良かった・・」このようにため息をつく相談者さんが少なくありません。

   相談会の会場をでたのは7時を回っていましたので、現地で夕食をとりました。おなじみ、甲州名物の鳥もつ、山菜の天ぷらなどを頂きました。

2015041119580000  

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win 本日は補助者・山本が投稿します

 前回からの続きです。

 治療をしても、頸椎捻挫や腰椎捻挫(以下、ムチウチと略す)で痛みや痺れが消えず、どうすれば後遺障害を認めてもらえるのかという問題について、前回では、結論として、「保険会社(調査事務所)に信じてもらう」ことを述べました。

 その為の要素について、今回は数あるうちの1つを述べていきたいと思いますが、その前に、皆様に質問したいと思います。

 皆様は自動車保険会社の立場とします。交通事故でムチウチになってひどい思いをしたと主張している被害者がおります。調べてみると、首や手の痺れは、交通事故から3ヶ月後に主張されておりました。それまでの診断名は「打撲」とありました。

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 皆様に質問です。

 この痺れは交通事故によって発生したものと思いますか。

 この質問に対し、大多数の方は交通事故のせいではないと考えるでしょう。何故なら、交通事故から3ヶ月も経ってからはじめて痺れを訴えているからです。

 交通事故が原因で首や手に痺れが生じたのであれば、通常、事故直後から症状が出てくるはずです。にもかかわらず、事故から、本件では3ヶ月も経過してからはじめて症状が現れています。この痺れは交通事故が原因ではないと考えるのが自然です。

 (例)事故の後に、階段で転んだ、スポーツをやっているときに怪我した、仕事中に重いものを持ち上げて痛めた等で痺れが生じてきた。

 これらのようなことがあった場合に、これ幸いと交通事故のせいにして無償で治療していこうと考える人も中にはいます。前回も説明した通り、保険金詐欺のリスクを負う保険会社は、このような詐病者ではないかと常に疑っています。客観的に後遺障害があるようにはみえないムチウチの被害者は、特にいえることです。

 自動車保険会社の立場としては、交通事故以外の怪我で自動車保険を利用されるいわれはありません(勿論、自動車保険以外の保険であれば、利用できる場合もありますが、本件は交通事故について説明しておりますので、その他の保険については割愛させて頂きます)。

 以上から、保険会社にムチウチの後遺障害を信じてもらう要素の1つとして、

 ① 事故直後から痺れや痛みがあること、があげられます。

 ムチウチによって痺れや痛みが生じるのは何故か。ある医者からは、神経が骨(骨棘)やヘルニア等で圧迫されていたのが、交通事故等の外傷がきっかけで痺れや痛みが出てくる旨の説明を受けました。

 このことから、ムチウチと信用してもらうには、首や腕、手、腰、足等の痺れや痛みが事故直後からある場合に、その旨をしっかり医者に伝えることが重要です。

 ※なお、単なる痛みのみでは、神経が圧迫されておらず、打撲と診断する場合もありますので、痺れも感じている場合には、その旨も伝えるようにしてください。

 自動車保険会社は、診察室にいるわけではありません。常に事後報告で判断しています。被害者のムチウチの症状やその辛さについては、口頭で説明しきれません。そのような立場の自動車保険会社にとって、後遺障害が残るほどの怪我であったのかを見極めるための判断材料としては、医者の残した診断書等の書面しかないのです。

 事故直後の医者の診断書を見て、診断名に「頸椎捻挫」や「腰椎捻挫」等、ムチウチのことが記載されており、さらに事故直後からムチウチについて一貫した治療がなされていると、保険会社は嘘をついていないと考えて、信用してくれる可能性が高くなります。

 つづく  

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 原発事故で被害を受けた被害者の皆さんは怒り心頭で東電側弁護士の反証を聞いたことでしょう。では、法律以前の非常識論理が交渉材料となり、加害者側に有利に働くのでしょうか?かえって被害者の態度を硬化させ交渉が長引き、訴訟上では裁判官の心証すら害する・・つまり、逆に加害者側に不利に働くことはないのでしょうか?法律家ではないど素人の私はそう心配してしまうのです。

 これは交通事故でもよく聞く話です。それでは、加害者側(保険会社の)弁護士の「とんでも反証・交通事故編」を紹介します。全部実話です。

  〇 片目を失明した被害者の損害賠償請求に対し、相手弁護士は・・ とんでも反証 「片目が残っているから大丈夫、ちゃんと見えるので逸失利益はない」

 これに対し、被害者は「じゃ、今から(その弁護士の)片目を潰してやる!」と当然に激怒、裁判官もこの反証は一切取り上げず、怒気を示したそうです。  ハムラビ法典がしっくりきますね。 20061121

  〇 横断歩道上の歩行者をスピード超過(およそ60km)の自動車ではねた加害者の弁護士は・・

  とんでも反証 「自動車が来たらよけるべき、したがって歩行者に過失20%ある」

 この弁護士は70代の高齢者である被害者にアスリートを超越した運動神経を要求しています。  刑事裁判でもこの加害者は「被害者は後ろ歩きで横断していた」などと供述しました。被害者はマイケル・ジャクソンのようにムーンウォークで横断したようです。結果は、裁判官「そんなわけないでしょ!」と激怒。民事裁判と同じ弁護士でしたがこれを言わせちゃまずいでしょ。 mj続きを読む »

 連携弁護士さんからよく苦言を聞きます。「相手には(実態上、保険会社の)弁護士が介入しています。今後はその弁護士と交渉します。それ自体は問題ないのですが、めちゃくちゃな反論をしてきてイラっとしています・・」 i-b_1  加害者側が弁護士を立てることは正当な権利です。そこで、双方の主張をぶつけ合うこと、その結果で解決が導かれることは自然な流れです。今日、問題として挙げるのはその主張内容です。

 私の場合、連携弁護士に被害者の窮状を「自賠責の認定等級」という形で託します。これは、それなりに権威のある審査機関での審査結果として重きをなします。また、認定等級の過程で得た、医師の診断書や検査結果も重要な証拠です。これらに被害者自ら語る陳述書を添えます。対して、加害者(保険金を払う立場の保険会社)の弁護士も保険会社の顧問医の意見書や自ら検索した判例、医学的な文献を根拠に反論します。

 繰り返しますが、その結果、双方が歩み寄る示談や訴訟上の和解、または判決が下ることによって、損害の真実、もしくはより双方が納得できる賠償金に近づくわけです。しかし、中にはどう考えても非常識、法律以前のめちゃくちゃな論理展開をする弁護士がいるのです。  

 震災・原発事故に関するニュースから引用します。震災による原発事故の補償問題で東電と被災者の交渉が続いています。以前、放射能の被害について、東電の弁護団からとんでも論理が飛び出しました。(以下、要約)

 「放射性物質のようなもの(セシウム他)がそもそも民法上の「物」として独立した物権の客体となり得るのか?仮にその点が肯定されたとしても、債務者として放射性物質を所有しているとは観念していないことに鑑みると、もともと無主物であったと考えるのが実態に即している。」  つまり、放射性物質は東電がそれをコントロールし、支配している所有物ではない。したがって、責任を取って取り除けと言われても困る。飛んで行った放射能、およびその被害に責任など持てない、ということです。

 これは小学生が聞いても「おかしい(怒)!」と思います。民法上の「無主物」にすり替えるなど、どう考えても通る話ではありません。  直接には自然災害による事故・被害であるから東電の過失はないのか? だとすれば東電の安全措置、災害予見に瑕疵はなかったのか?・・これがすべての争点と思っていました。しかし、呆れたことに「そもそも拡散された放射能など知ったこっちゃない、責任がまったくない」との主張もされていたのです。

 この弁護士団は有名な先生方です。頭が悪いわけはありません。敢えて交渉上の戦略なのでしょうが、無茶な論理を恥や外聞もなく持ち込んだのです。おかげで東電はマスコミから大バッシング、「東電は悪」という風評に拍車をかけました。この論陣は東電の擁護になったのでしょうか?

 つづく

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 事故で受傷後、画像検査にて様々な症状が浮き彫りになります。もちろん明らかに事故による損傷であれば何も問題はありません。しかし、陳旧性(≒古傷)であったり、受傷機転(どのようにケガをしたのか)に疑問があれば、既往症?と疑われます。また、内在的な、つまり事故後に病気が発症した可能性もあるでしょう。

 このような被害者さんの多くは、往々にして長い治療期間を要し、その間に訴える症状が増えていきます。受傷箇所の痛みに留まらず、嗅覚や味覚の低下、視力や聴覚の低下、各関節部の神経痛、頭痛、めまい、頻尿、不眠、生理不順、パニック障害 等々・・つまり体の不調、老化現象はすべて事故のせいと訴えます。最後は心療内科行きです。当然ですが事故との因果関係について、保険会社はまったく信用しません。「証明を!」と言われた医師もお手上げです。それでも解決に向けて舵を切らなければなりません。 c_h_76  訴えを検討し、多くは因果関係を突き詰めることを諦めます。自賠責は当然に認定しませんし、後に裁判で争っても勝ち目はありません。落としどころは14級9号をとって、ある程度の賠償金を手にすることです。メディカルコーディネーターの立証作業は時に現実的です。この段階から解決までの設計図を確定します。本件も14級を目指し、後の弁護士の交渉にて400万円も得ました。もやもや感を残しつつも、それなりの金額をゲットしたのです。  

 それでは、調査事務所の「しょうがないな・・14級をつけとくか」とため息が聞こえてくるような実例を紹介します。  

14級9号:TFCC損傷(30代女性・東京都)

【事案】

自動車搭乗中、踏切前で停車のところ、大型車に追突される。その際、頚椎捻挫、胸腰部挫傷等の診断名に加え、後にTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)が加わる。専門医に受診し、手首は手術で断裂部を縫合した。

【問題点】

追突事故でどのように手首を痛めたのか?受傷機転が問題となる。また、胸腰部についても圧迫骨折が見つかったが、これも画像をみると陳旧性と思われる。多くの謎を残しながら治療はダラダラ3年も続いていた。

【立証ポイント】

とにかく各科の医師に面談して事情を聴き、症状固定へ進めた。治療実績から頚椎捻挫は14級9号を確保しつつ、胸腰椎は諦める、手首は専門医の診断書次第とした。後遺障害診断書は3枚にまとめ、膨大な時間をかけて3年間の診断書、画像を集積した。

申請後、案の定、調査事務所から各科へ医療照会が入った。それぞれ対処した結果、手首について受傷機転は謎だが手術を伴う治療経過から14級9号が認められた。  

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 先日、自賠責保険・調査事務所の審査担当者様からメールを頂きました。なんでもご自身のHPに私の記事を引用したいとのことです。

 理由は巷の弁護士・行政書士のHPで「調査事務所は意地悪で非該当を出すために審査している」「保険会社寄りの組織」などの悪評ばかりで辟易していたところ、私のHPはそのような偏見はく、公平な見方をしている記事に共感を覚えたとのことです。申請側と審査側、立場は違えどそれぞれ忠実に己の業務に取り組んでいます。私は経験上、一方からの隔たった見識は障害立証に効果的ではなく、むしろ双方の思惑、視点を考慮した作業が功を奏することが多いと実感しています。何事も敵味方で考える2分論は浅慮というものです。

 立証作業(障害の存在・程度を明らかにすること)は調査事務所の審査(障害の存在・程度を判断すること)と実は同じ思考回路で進んでいくのです。この感覚は熟練した者にしかわかりません。「調査事務所、保険会社は敵!」と放言しているだけの業者はまったく経験が浅いと思います。    本事案は調査事務所の真面目さが際立ちます。むしろ(認定等級に)私よりこだわりがありました。もっとも、いかに医師が正確な審査の妨げになっているか・・の例でもあります。 

10級10号:手根骨骨折(30代男性・埼玉県)

【事案】

自転車で交差点を横断中、左折するトレーラーに巻き込まれ、右手関節(尺骨遠位端、手根骨、第二中手骨)、右足関節(両顆部)を骨折した。手関節、足関節共にプレート固定を施行した。 手根骨は具体的に大菱形骨、有鉤骨の骨折。

【問題点】

画像上、10級レベル(2分の1以下)の可動域制限が見込める。しかし、主治医は多忙で後遺症に協力的ではない。計測など面倒なようで、あまり時間をかけてくれない。健側(掌屈90°背屈90°・・柔らかい)に対して患側(掌屈70°、底屈30°)であった。つまり合計(180:100°)、10°足らずで10級を逃している状態。それでも足関節で10級認定が確実な為、併合9級の結果となる。医師の機嫌を考え、橈屈・尺屈の計測は諦めた。

【立証ポイント】

申請後、調査事務所から醜状痕(手術創)の計測及び橈・尺屈計測の追加依頼がきた。これを理由に再度、医師面談を行った。「先生のせいで再調査が来ちゃったよ!」と主治医を責め、傷の計測(醜状痕の基準以下であったが・・)、橈屈・尺屈を改めて計測いただいた。

結果は橈屈・尺屈が2分の1以下制限となり、掌屈・背屈の10°足らずを繰り上げて10級10号に。手関節は12級であっても併合9級の結果は変わりません。調査事務所は正確な認定にこだわっているのか・・かなり生真面目に審査していているようです。

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 本日は補助者 山本が投稿します。

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 簡単な質問です。

 皆様は自動車保険会社の社員とします。とある交通事故の被害者が、「治療したけど、まだ痛いし、痺れる! 後遺障害があります!」と主張しておりました。

 この被害者は、画像上、骨折がなく、また、筋肉、靭帯、神経も切れていません。しかも見た目では痣や傷痕らしきものが見当たりません。

 この被害者に後遺障害があると思いますか?

 ほとんどの方は、後遺障害を認めるのをためらうと思います。なぜなら、見た目では怪我がないからです。当たり前ですが、怪我がないなら、後遺障害を認める必要はありません。もっと言うなら、治療費を出す必要もありません。仮に、そのような(自称?)被害者すべてに保険会社が治療費等を出す決定をする世の中ですと、保険金詐欺がとても行いやすくなっている社会といえるでしょう。

 しかし、見た目では怪我がなくても、本当に辛い思いをしている被害者が存在しております。特に多いのが、交通事故の約60%を占めているムチウチ(「頚椎捻挫」・「腰椎捻挫」等)の患者です。交通事故の大多数の被害者が、見た目上怪我がないからという理由で自動車保険会社が何もしないとするわけにはいきません。あまりにも冷たい社会になってしまいます。

 そこで、保険会社は上記した骨折ない、筋肉・靭帯・神経切れてない場合でも、治療費等を出しています。さらに、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)として、後遺障害をも認める余地をも残しております。

 ※なお、ここまで述べてきたこととは異なり、ムチウチの中でも、画像上神経圧迫が明確であるような場合は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、12級13号の後遺障害が認められますが、このようなケースは非常に稀ですので、ここでの(通常の)ムチウチは、14級9号レベルとして述べさせていただきます。

 ただし、すべてのムチウチ被害者に後遺障害が認められるとは限りません。先ほど申しましたように、保険金詐欺のリスクを負う保険会社は、お金を出すに値する被害者とそうでない被害者とに分けております。

 例えば、事故の内容から、後遺障害を認めないと判断する場合もあります。また、はじめは治療費を出していても、暫くしてからその者に治療の必要性がなくなったと判断すると、事故から数カ月であったとしても、すぐに打ち切ってきます(もはや後遺障害の有無以前の問題です)。

 では、本当に辛い被害者はどうすれば後遺障害を認めてもらえるのでしょうか。

 結論として、「保険会社(調査事務所)に信じてもらう」しかないのです。何故なら、先ほども申しましたように、見た目では怪我がはっきりしないからです。

 それでは、どうすれば信じてもらえるのでしょうか?

 次回から、信じてもらうためのいくつかの要素をお話ししたいと思います。

 つづく    

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