調子に乗って、もう1例挙げましょう。    主婦の休業損害です。これは、自賠責保険では1日あたり6100円と決まっています。任意保険もおおむね同額を提示してきます。弁護士が請求する金額は、赤い本の賃金センサスから計算します。こちらは1日あたり1万円を超えています。

 では、損害賠償上の主婦の定義ですが、単に家事従事者というだけに留まりません。東京地裁・民事27部(私どもは交通事故部などと言っています)が定義するところ、”内助の功”として、就業している家族の助けとなっていることを要求しています。ハウスハズバンド(奥さんが働いて、旦那が家事)は当てはまります。親子間でも、息子と二人暮らしで、”独身の息子が働き、母が家事”もOKです。息子夫婦が常勤で共働きの場合の同居の母も、主婦を認めさせました。兄弟姉妹や他人同士の同居でも、就労者と家事従事者の関係があり、内助の功がみられれば同様です。  「内助の功がない」とされるケースは、独居者(自分の為の家事でしかない)、それと、主婦休損の相談数トップとなる、シングルマザーです。

 シングルマザーは、働き手としての父、家事を担う母(それぞれ逆もしかり)の両者の役割を一手に担っておりますが、子供他の家族にとっては、働き手扱いとなります。したがって、お母さんの休業損害は、その勤務による収入から計算することになります。主婦としての6100円~では計算しません。シングルマザーはお父さんの役割・・ほとんど判決で一致をみせています。しかながら、シングルマザーでは、実収入より主婦休損の額が上回るケースが度々あります。まして、会社員は休んだ日だけの請求に対し、主婦は通院日(全日ではありませんが)からカウントするので、日数も多く算定できます。したがって、できれば、主婦として請求したいのです。    さて、当然に損保でも裁判所の定義を踏襲しており、シングルマザーに主婦休損の適用はありません。しかし、ここにも勉強不足の担当者がいます。シングルマザーに対し、その代理人弁護士が請求するところの1日あたり約10700円を、通院日数分の30日支払ってきました。大手損保の担当者では見たことがありませんが、小規模損保や共済、とりわけ地方の担当者で度々経験しています。要するに、勉強不足から裁判例や東京地裁の定義を知らないようです。いずれ、保険会社のすべてに浸透する原則論と思いますが、情報不足、勉強不足の担当者は間違いなく残っているのです。    一方、被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:シングルマザーで主婦休損を請求後、相手損保の担当者から、「先生、ご存じと思いますが、シングルマザーはお父さん扱いなので、その労働収入から休業損害を計算します」とピシャリ。依頼人に対して、当初は大盛の賠償額(一日10700円×通院日50日)から、「休業損害はお勤め先の1日6500円×会社を休んだ日の5日だけになりました」と大幅減額に・・最初の勢いはどこへ、段々小声になっていきます。    二流:最初から原則通り「シングルマザーでは主婦の休業損害になりません」と、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「裁判でも無理とされています」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。確かに正しい知識からの賠償請求なので、スムーズに交渉は進みます。

 それでも、一言残したいと思います。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。相手あっての交渉事ですから、まず相手側の考えも探る必要はあったと思います。ご丁寧に原則通りの請求・・杓子定規に感じてしまうところです。     一流:上級者は、相手損保(と担当者)が勉強不足と察すれば、最初からしれっと、シングルマザーでも主婦の金額を請求してみます。前述のように、勉強不足から払ってくる担当者もいるのです。実際、過去に数例成功しています。主婦は職場の休業日がありませんので、通院日からカウントすることになります。通院日数が多ければ、何十万円もの増額になるのです。

 まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。 続きを読む »

 小説のタイトルにもなりそうな題目ですが、交通事故の解決で大変に含蓄のある賠償交渉の話です。もちろん、行政書士は賠償交渉をしませんので、連携弁護士の報告を交え、シリーズでまとめました。    例えば、鎖骨の変形で12級5号が認定された案件で、その逸失利益を請求する場合、相手損保は「鎖骨の変形から、とくに将来の収入が減りませんので、逸失利益は0円ではないですか」との回答になります。確かに、被害者さんのその後の仕事や日常生活で、大きな障害にならないことが普通です。裁判例でも、とくに事情が無ければ、逸失利益0円がスタンダードなのです。  

 逸失利益・・・障害による以後の労働能力低下を金銭化したもの

   そこは、交通事故に秀でた弁護士は慣れたもので、「痛みや不具合の残存があり、自賠責保険の認定理由でも、それら症状を含むとされています。したがって、逸失利益は〇年に及びます」と反論、いくばくかを獲得するわけです。

 しかし、小規模損保社の担当者は、知ってか知らずか、最初から逸失利益を認めて、「12級だから逸失利益は10年ですね」と、相対交渉でくれたことがありました。骨変形で逸失利益が生じない原則を知らなかったのか、12級ならすべて10年、と勘違いしているのか・・12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」なら、確かに10年が相場です。

 東京海上日動さんであれば、鎖骨のみならず腰椎圧迫骨折でも、その逸失利益は0円回答です。医学的な資料や、骨変形による逸失利益を否定した裁判例まで用意して、否定の論陣を張ってきます。損保担当者のレベルの違いを感じるところです。    被害者の味方である弁護士さんも、レベルの差は歴然です。一流~三流で、以下のような差になります。   三流:12級が取れてよかった! 逸失利益を原則通り67歳まで計算して請求も、相手担当者の反撃にあい・・・今度は依頼者に対して、「骨変形での逸失利益は裁判でも認められないので・・慰謝料は増額させますが・・ゴニョゴニョ」とトーンダウン、依頼者に減額の説得をすることになります。

 これも弁護士選びの失敗例ですが、最初から原則通り逸失利益は取れない事が正しいと、まったく請求してくれない先生がおりました。交通事故の知識は豊富で裁判例にも詳しいのですが・・法律やルールに従順過ぎるのです。依頼者にも初めから「骨変形での逸失利益は無理です」とピシャリ。相手担当者の提示を待つことはしません。本来、民事上の示談とは、(公序良俗に反しない限り)双方の合意があれば、どんな金額・条件でも問題ありません。それが法律や原則に沿わないものであっても、です。杓子定規を絵に描いたような先生でした。    二流:骨変形での逸失利益獲得の困難さを知っているので、後遺障害診断書の自覚症状に、「痛みや不具合」を記載させ、自賠責保険にもそれを含めた認定であることを認定票に明記させます。変形だけではない、障害の困窮点をしっかり把握し、「神経症状も含んでいる」と、逸失利益の根拠を示して請求します。   一流:さらに上級者は、相手損保がどこであれ、後遺障害診断書の自覚症状に「痛みや不具合」が記載とされている以上、勝手な判断で忖度せずに、最初から逸失利益を請求します。前述のように、普通に支払ってくる担当者もいるのです。まさに、原則を知りながら、憎いまでに臨機応変な請求をするのです。  事実、鎖骨骨折後に痛み等が残り、苦しんでいる被害者さんもいらっしゃいます。秋葉事務所の連携弁護士達も、お互い事例研究や情報交換に余念なく、”原則を知りながら原則に固執しない”請求をしています。   

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【事案】

信号待ち停止中、後続車に追突され、負傷。直後から頚部痛、左手の痺れ等強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

ご連絡を頂いたときには事故から既に1年4ヶ月が経過していたが、相手保険会社が打ち切ることを忘れていたらしく、中途半端に回復が進んでいた。受傷機転は軽微だったが、通院回数がものすごいことになっていたため、ギリギリ14級認定はされるだろうと思いきや、2週間で非該当通知が届いた。   【立証ポイント】

症状固定後もリハビリを継続していたこともあり、初診時から直近時までも推移の書類を医師に依頼し、ご協力いただくことができた。しかし、通院期間が長すぎた弊害なのか「不変」に〇をしてはもらえず、全ての項目において「軽減」との記載しか頂けなかった。

それでも、症状の一貫性を取り繕い、非該当通知到着から1ヶ月も経たないうちに再申請したところ、1ヶ月も経たずに14級9号が認定された。今回の事案は通院先が1箇所しかなく、医療照会をするまでもないため、審査に時間がかからなかったのかもしれない。

(令和6年12月)    

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【事案】

自動車で交差点を直進中、信号無視で侵入してきた自動車に衝突され、負傷。直後から頚部痛腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

乗っていた自動車は自走不能でレッカー対応となったほどの衝撃だったにもかかわらず、なぜか保険会社が4ヶ月ちょうどで治療費を打ち切ってきた。また、主治医もそこまで重い症状だと思っていなかった。   【立証ポイント】

打ち切られてからは健康保険を使って継続することとなり、通院頻度やMRI検査の手配等、遠隔でサポートした。医師面談にて、主治医に後遺障害診断書の記載を依頼した際、非常に理解ある医師だったため、記載内容についても親身になってくださり、シンプルで好感度の高い診断書が完成した。

本件は治療費がそこまでかさんでいなかったため、後遺障害に加え、傷害部分についても請求、申請から1ヶ月も経たないうちに、14級の75万円と傷害部分の保険金が入金された。

通常、保険会社が半年間の一括対応をして、無事に後遺障害認定までいくような被害事故だと思われたが、「保険会社が嫌う職業」ということが、早期打切りという対応に繋がったのではないか・・と思ってしまうような案件であった。    保険会社が嫌う職業 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ②   (令和6年10月)  

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【事案】

自動車で信号のない交差点を直進中、左方から走行してきた自動車に衝突される。直後から頚部痛、腰痛等、強烈な神経症状に悩まされる。   【問題点】

半年で治療費を打ち切られていたが、症状が残存しているということで、事故治療のまま半月以上、健康保険を使って継続していた。   【立証ポイント】

弊所での面談時に、① 後遺障害診断書を依頼すること、② 症状固定日を打切り日に遡って作成する旨を説明し、日程調整後に病院同行した。患者に協力的な医師のため、過剰な診断名までつけられてしまったが、大勢に影響はないものと判断(多少の修正は施したが)し、受け取った診断書を自賠責へ提出した。

不要な診断名の影響からか審査に2ヶ月以上かかったものの、なんとか初回申請で14級9号認定がおりた。「プランニングを見誤ると非該当まっしぐら」という状況であったため、いかに「14級9号」という認定が危ういものか依頼者自身がまざまざと感じる案件となった。

  (令和7年1月)   

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【事案】

信号待ち停止中、後続車に追突された。同乗していた家族2名と共に受傷した。   【問題点】

① すでに、別件の事故で通院中であった。異時共同不法行為での申請とした。

② 他の家族2名は14級が認定されたが、一人だけ非該当。   【立証ポイント】

異時共同不法行為での申請は正しい方策であったが、一人だけ非該当は納得のいくものではない。初回申請での必勝を期して意見書を提出済で、再請求に提出する書類は限られていた。そこで、秋葉流と言うべき家族の陳述書を付しての再申請とした。

提出した連携弁護士に対して、1回目事故の資料の追加要請があったが、無理くり認定をもぎ取った。14級認定の要素は・・担当者の印象に左右されると思う次第。

(令和7年2月)    

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【事案】

自動車で直進中、カーブで対向車の衝突を受けたもの。頚椎・腰椎捻挫の診断となった。   【問題点】

責任関係で双方の主張が食い違っているが、それは後の賠償交渉で決着をつけるとして、まずは14級を目指すべく、丁寧にフォローを続けた。治療費は人身傷害で進め、途中の打切り打診については、担当代理店さんに交渉していただき、半年を迎えた。   【立証ポイント】

主治医の理解もあり、スムーズに申請できたが、相手側の主張する事故状況の違いから審査に5か月も要することに。重過失減額の適用を検討する為と思うが、回答書を2回も提出することで、無事に認定となった。

(令和7年3月)  

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 私が担当した近時の3例を紹介します。    頚椎捻挫・むち打ちでの認定は、レントゲンに写る骨折と違い、決定的な証拠がありません。まさに、症状の信憑性を取り繕う作業なのです。  

14級9号:頚椎捻挫(30代男性・埼玉県)

 

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・埼玉県)

 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫(50代男性・山梨県)

 

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【事案】

自動車で直進中、側道から侵入の自動車の衝突を受けたもの。     【問題点】

親戚筋からの早めのご相談となった。急性期にしっかり理学療法を重ねることなど、王道を進んでもらった。問題と言えば、通院中の整形外科が急遽閉院となって、転院したこと。   【立証ポイント】

 波風なく立たず半年を迎えた。受傷機転から認定は危ぶまれたが、真面目に治療を重ね、症状の一貫性が整っていれば認定がつく。

(令和7年2月)  

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 ある行政書士から、「近年、14級認定が厳しくなった」との意見がありました。秋葉事務所での申請数から語るには、あまりにも数が少ないのですが、決して基準はぶれていないと思います。ただ、審査の精度は上がったと思います。認定となる件、非該当となる件、調査事務所はよく見ているものだと感心しています。10年前位の方が、わりと甘い認定、不合理な非該当が多かった印象です。

 画像や検査数値に現れない頚椎・腰椎捻挫での認定は、審査員の(残存する症状の真贋を)見抜く目に左右されると思います。私共としては、被害者の症状を丁寧に伝える努力あるのみです。  

14級9号:頚椎捻挫(40代男性・静岡県)

 

併合14:頚椎・腰椎捻挫(30代女性・静岡県)

 

非該当⇒14級9号:頚椎捻挫(30代女性・茨城)

 

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 本日は八潮の病院へ。例の陥没事故当時、市内は交通規制されており、自動車での移動が大変だったそうです。今日現在、規制も徐々に解除されて、通行ができるようになったそうです。ただし、転落したトラックドライバーは埋まったままのようです。転落時に意識はあったと聞いており、切ない交通事故です。    同行の本件ですが、非常に珍しい症例であることから、相手損保は治療費の支払いをためらっています(調査中とのこと)。紆余曲折が続きましたが、これからの後遺障害認定が勝負を決すると思います。粛々と進めていきたいと思います。  

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 一昨年、遷延性意識障害で受任した依頼者様ですが、先日、ついに逝去との報がご家族から入りました。本件は連携弁護士による交渉により、すでに解決しています。遷延性意識障害の方は、命脈永らえることなく、数年以内に亡くなることが多いのです。本件の被害者様もご高齢から、意識の回復なく旅立ちました。

 思えば、この依頼者様には、損保時代からご契約を賜り、ご家族皆様にもご懇意に頂いたと思います。そして、最後の最後に、自ら私に仕事を下さったことになります。実は、私は30年来、ご用命下さる保険の仲間、契約者様に恵まれております。これは、簡単なこと、普通のことではないと思います。長年に渡り、一緒に仕事ができる、仕事を任せて下さる、これは大変に僥倖なことなのです。

 長く関わって下さる皆様に対し、改めて感謝の念を持ちたいと思います。  

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 先日、桜下のさくら通り、路上で寝ている酔っ払いをみかけた。かなりので泥酔で、ちょっと心配なレベル。起こして帰宅を促そうか、と考えましたが、この世知辛い世情から躊躇してしまいます。理由ですが、   1、一人で帰宅できず、結局、タクシーに乗せるか、場合によっては送るか、つまり、最後まで面倒をみることになるリスク。ゲロでも吐かれたら大惨事です。   2、また、介抱するふりして財布をまさぐる、泥酔者への泥棒の疑いがかかるリスク。後で「財布がない!」となれば、いらぬ疑いをかけられます。   3、今回は男性でしたが、女性の場合はさらに危険度上昇、痴漢者と間違われるリスク。外では不用意に女性に触れるもではありません。    これだけのリスクがあります。体を壊さないか、最悪、亡くなる方もおりますから、見て見ぬ振りはできないのですが・・。    そういえば、先日、自転車置き場の自転車が風で5台ほど将棋倒しになっていました。せっかくだから、他の自転車も立て直しているところ、持ち主らしき人が現れて、「ちゃんと直しておいてよ(怒)」と言われました。誤解で怒られてしまった。親切心が仇となるケースは多いもの、一日一善も慎重な判断を要するのです。  

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 ちょうど桜の咲く頃、ひどい花冷えは3年に1回はあるものです。今日から今週は2月の天候です。明日は都心でもみぞれ交じりの冷たい雨が予報されています。とにかく、寒い。コート類をクリーニングに出さなくて良かった。

 昨年に同じく、今年も激務の3カ月でした。一息つきたいところですが、一月も経たない内にゴールデンウィークです。初夏の企画の準備を怠らず、丁寧に業務を積んでいきたいと思います。

 花冷えでさくらの持ちが2日位延びます。個人的には、年度をまたぐ開花期間がちょうど良いと思っています。今週末は桜吹雪になるでしょう。  

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【事案】

自宅の敷地内に停車中、自車からドアを開けて荷物を降ろしている際、後方から前方不注意の自動車の衝突を受け、体がドアに挟まれ受傷したもの。右鎖骨と左右14本の肋骨が折れた。   【問題点】

当初、退勤時であることから労災適用の可能性があった。ただし、途中の買い物により、寄り道で免責の可能性が・・。トライしてみましょうと申請のところ、労災OKとなった。

症状としては、骨癒合が中々進まず、激痛に耐えながら症状固定まで13カ月を要することに。また、症状固定後も、リハビリしていた整形外科が閉院してしまうなど、山あり谷ありであった。

当初から注力した部位は、肋骨の変形癒合(12級5号)。「裸体で確認できる」ことが条件であるが、多くの場合、外側から確認できるほどの変形に至らない。   【立証ポイント】

骨癒合をじっくり待って、仕上げの作業に移った。鎖骨の撮影は慣れたもので、簡単に変形・左右差を確認できた。肋骨は、家族に協力により撮影角度などを工夫して残した。また、治療経過や困窮点など、文章4頁で補完した。

そのような努力が審査側に伝わったのか、鎖骨と肋骨、双方に12級5号が認定された。ひどいケガであることは審査側もわかっているはず。必要書類となる診断書と画像だけではなく、それ以外の添付書類を緻密に作成すること、これらの立証努力は審査側の助けにもなるのです。   (令和6年12月)  

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 朝は7:00事務所に入り、少々事務をこなしました。雨の中、東京駅まで都バスに乗って、8:30発の高速バスで出発、水戸への病院同行です。病院はやや混んでおり、まず被害者さんと打ち合わせ、その後、1時間以上の待ち時間でやっと診察でした。さらに関節の計測でリハビリ室待ち、最後に窓口で画像ディスク待ち・・・時計は15:00を過ぎており、予想以上の滞在になりました。一気に仕事が進んだことはよかったのですが。

 帰りのバスは、都心に差し掛かると大渋滞、年度末&週末の夕方ですから、覚悟はしておくべきでした。40分遅れで東京駅に18:00過ぎに到着、事務所まで早歩きで戻りました。ようやく、残務をかたずけて21:00超え・・。昔と違って、疲労の回復に時間がかかりますので、きつい週末でした。いくつかの連絡、折り返し電話ができなく、申し訳ありませんでした。世の中では、週休3日制も提言されていますが、相変わらず週1の休みの確保が精いっぱいです。    事務所を出ると、茅場町のさくら通りは一気に七分咲きに。この時間ですので、道行くオフィスワーカー達はすでに頬が桜色です。色めき立つ街に一変していました。道路で寝てると風邪ひくよ。

 

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 もう、最初から肋骨変形狙いでした。左右14本バキバキで、14級ではかわいそうです。おそらく審査側も同じ感想をもつはずです。初期の相談から、丁寧にフォローを続けて、体幹骨の変形12級を鎖骨・肋骨双方で達成しました。  その後の賠償交渉では、本来、多額の逸失利益の見込めない鎖骨・肋骨の変形でありながら、連携弁護士はしっかり交渉、がっつり確保しました。折れ方や治療経緯をみれば、痛み・不具合の残存は強く残るはず、逸失利益が生じて然るべきと思います。

なかなか取れない肋骨変形、弊所では3例目の成功です  

併合11級:鎖骨・肋骨骨折(50代女性・静岡県)

  【事案】

自宅の敷地内に停車中、自車からドアを開けて荷物を降ろしている際、後方から前方不注意の自動車の衝突を受け、体がドアに挟まれ受傷したもの。右鎖骨と左右14本の肋骨が折れた。   【問題点】

当初、退勤時であることから労災適用の可能性があった。ただし、途中の買い物により、寄り道で免責の可能性が・・。トライしてみましょうと申請のところ、労災OKとなった。

症状としては、骨癒合が中々進まず、激痛に耐えながら症状固定まで13カ月を要することに。また、症状固定後も、リハビリしていた整形外科が閉院してしまうなど、山あり谷ありであった。

当初から注力した部位は、肋骨の変形癒合(12級5号)。「裸体で確認できる」ことが条件であるが、多くの場合、外側から確認できるほどの変形に至らない。   【立証ポイント】

骨癒合をじっくり待って、仕上げの作業に移った。鎖骨の撮影は慣れたもので、簡単に変形・左右差を確認できた。肋骨は、家族に協力により撮影角度などを工夫して残した。また、治療経過や困窮点など、文章4頁で補完した。

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 前回 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ①   ③ 職業

 これは無駄と言うか、無理に書かれない方が良い情報です。このシリーズに挙げることをためらいましたが・・あえて書きましょう。

 医師によっては、患者の名前や住所、生年月日を事務方や患者本人に、あらかじめ記載させる院もあります。そのような患者情報の欄の中で、職業欄はそう重要ではないため、空欄のままとする医師が多いものです。私共も空欄だからと言って、「先生、職業欄に”会社員”と記載が漏れています」など、わざわざ言わないものです。ところが、訴えの信憑性が検討される”むち打ちの14級9号”では、少し気を遣います。例えば、以下の職業はそのまま書くより、書かない方が良いと・・   〇 タクシー運転手

 おそらく、保険会社の社員では、タクシーの運ちゃんに偏見を持っている人が多いと思います。内心、「タクシー運転手は事故慣れしているので、嘘くさく半年も通ったのでは?」と、疑念される事を懸念してしまうのです。むち打ちですぐ温泉療養をしたがるので、保険会社から嫌われています。

  〇 生保外交員

 保険慣れしており、生保のおばちゃんは、都合よく会社員と自営業者の立場をとります。何より、外務員(ほぼ自由業)ですから、通院日数を稼ぎやすいのです。通院の傷害保険に入っていれば、〇日いくらで保険金がでますので、頑張って通うのでは・・と思われます。どうしても、過剰通院と思われる危機感を覚えてしまうのです。   〇 水商売全般

 こちらも残念ながら、保険会社から疑念を持たれがちです。とくに、休業損害で、自分で書いたいい加減な(お手盛り)休業損害証明書が上がってくれば、胡散臭い被害者成立です。源泉徴収票のない自営業者全般に言えますが、第3者の証明が乏しいのです。まして、税金の申告をしていないキャバ嬢(自営業者が多いのです)は、その休業の証明に受任した弁護士も苦慮します。かつて、病院に通って休業しているはずが、(店とグルで)出勤していた方もおりました。

 やはり、お堅い会社員や公務員の肩書が安心できます。職業によっては、あまり具体的に書きたくありません。せいぜい自営業と記載頂くようにしています。   〇 一部上場企業

 逆に、「〇紅」「〇下電器」「〇ニー」など、名の知れた大企業の方は、その信用は絶大です。1日あたりの給与が3万円以上あるような方は、慰謝料や保険金の為に、必死に通院日数を稼ぎません。そもそも、多忙で責任のある部署についていれば、通いたくても通えないのです。そのような身分の方が、業務時間を削ってまで何日も通っている・・症状の深刻度・信用度は爆上がりです。そこで、職業欄にあえて企業名を記載頂いたこともありました。    画像に写る骨折など、はっきりした証拠のない、自分が「痛い」と言っているだけの打撲捻挫での申請には、この職業欄にちょっと気を付けることになります。もちろん、有名企業以外の職業の被害者さんであっても、いたって真面目な方で、ひどい症状に悩まされての申請もあります。そのような人達の信用を担保しなければなりません。そこで、医師が職業欄にタクシー運転手と書こうとした瞬間、「先生、簡単に”会社員”でいいです」と言いたくなるのです。    

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 症状や障害の状態によって、後遺障害診断書の記載項目は絞られます。すべての欄に記載する必要はありません。当たり前ですが、腕の骨折で、目や耳の障害の欄に記載しないでしょう。私達は医師面談の際に、「先生、そこの記載は必要ないです」とお伝えすることがあります。医師や病院スタッフに対し、いらぬご負担となるからです。ご多忙の中の記載依頼ですから、病院側への配慮です。このサイトを医師が観ているとは思いませんが、いくつか挙げてみます。    ① 頚部の運動障害

 打撲捻挫の類で、首が曲がりづらくなったことなど、自賠責保険は認めてくれません。何度に制限されようと、審査上はスルーされます。この角度が必要となるのは、頚椎の骨折・脱臼、あるいは固定術施行の場合です。わざわざ、計測頂くのは申し訳なく、よく提言しています。しかし、医師の無駄な記載率1位だと思う位、ここをしっかり計測・記入下さる先生が多いのです。

② 関節機能障害

 上肢・下肢の骨折後、関節の可動域が制限されることがあります。ただし、画像上「曲がらなくなった」ことがわかるような、骨癒合後の変形や転位(骨がずれてくっつく)、骨が癒合しなかった場合など、物理的に関節が曲がらなくなった状態が障害認定の前提です。つまり、問題なく癒合した場合、可動域制限があっても障害認定は否定されます。明らかにひびが入った程度の骨折で、関節の角度がひどくても、「高度な可動域制限は起きないはず」との結果は見えています。可動域制限を装う悪だくみに加担しないため、嘘や大げさな記録は当然にダメです。嘘くさい角度など、かえって悪印象、痛み・不具合の14級9号の審査に悪影響すらあると思っています。

 また、この30年間の整復術をみていますと、金属(プレートや髄内釘、ワイヤーなど)が、手術の技術と共に進歩しており、可動域制限なく治る傾向です。昔と違って、ヤブは少なくなったと思います。おかげで私共にとっては、機能障害の等級は取りづらくなった印象です。もちろん、患者さんにとっては良い事に違いありません。したがって、明らかに12級レベルの制限がなく治ってる場合や、ほぼ正常値に回復しているのであれば、無駄な計測・記入は控えてもよいと思います。

 ① ②いずれも、医師によっては「通例として、受傷箇所の計測・記録はするもの」と律儀に考えます。その場合は従うようにしています。    つづく 👉 後遺障害診断書に無駄な記載 ②  

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