3、血管の損傷による障害    ○ 内腸骨動脈損傷(ないちょうこつどうみゃくそんしょう)

① 病態

 赤丸部分の腹大動脈は、左右2本の総腸骨動脈に分岐し、総腸骨動脈は、内腸骨動脈と外腸骨動脈に分かれています。内腸骨動脈は、骨盤の後方部分に分布しており、骨盤骨折による血管損傷では、大量出血につながります。さらに、豊富な側副血行路がはり巡らされており、破綻した血管からの出血は容易にとめることができません。

 骨盤骨折の死因の50%は、出血であると報告されており、骨盤腔内の出血で出血性ショックを引き起こし死亡する例も、珍しくありません。   ② 症状

 骨盤骨折により、骨盤内の血管や臓器が損傷されると、出血斑や血尿、血便などのほか、低血圧や意識障害などの症状が出現します。   ③ 治療

 輸液・輸血にもかかわらず、血圧が上昇しないときは、ただちに内腸骨動脈造影を実施し、スポンゼルコイルを使用し両側内腸骨動脈の根元から血管塞栓術が行われています。   ※ 出血性ショック

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○ 男性の生殖器の損傷・障害    男性では、勃起障害が多く見られます。勃起障害は、泌尿器科におけるリジスキャンRによる夜間陰茎勃起検査を受けて立証します。夜間の勃起も計測しますので、2泊~3泊の入院が必要です。それなりに大変な検査で、実施できる病院と診察できる医師も限られます。

 完全なる検査はリジスキャン検査です。他の検査として、会陰部の知覚、肛門括約筋のトーヌスおよび球海綿反射筋反射による神経系検査、プロスタグランジンE1海綿体注射による各種の血管系検査があります。以下に図示・説明します。これらの検査により、勃起を支配している神経の損傷を立証しなければなりません。原因がわからず、とりあえずバイアグラが処方されている方もおりました。薬で改善するのであれば、心因性(勃起不全)かもしれません。  

1、会陰部の知覚

会陰部とは、俗に蟻の門渡りと呼ばれる外陰部と肛門の間に位置していますが、肛門の周囲を針で刺して痛みがあれば正常とされています。

 

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2. 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷    骨盤輪の中には、S状結腸、直腸、肛門、膀胱、尿道、女性では、これらに加えて、子宮、卵巣、卵管、腟が収納されており、消化管は下腸間膜動脈、女性性器は卵巣動脈と子宮動脈、泌尿器系は内腸骨動脈により必要としている酸素と栄養素が供給されています。   ○ 排便障害

 骨盤骨折に合併するS字結腸・直腸の損傷ですが、人工肛門の造設などの重症例はなく、経験則では、程度は様々ですが便秘を残すものが圧倒的です。S字結腸に外傷があって、その結果、便秘になったものが対象で、便秘を残すものについては、肛門括約筋を支配している骨盤神経もしくは下腹神経に損傷が認められることが条件となっており、これは、直腸肛門機能検査を受けて立証します。その上で、排便回数が週2回以下の頻度で、恒常的に硬便であれば、11級10号の認定がなされています。

 9級11号は摘便(手で肛門から便をかき出す)が条件ですから、重度の介護状態が想定されます。この場合、介護等級である別表Ⅰの第1号1級、2級1号に内包されることになります。単独の9級11号認定は未経験です。

 逆に頻便(便意がしょっちゅう、便の回数が1日数度、単なる下痢ではない)の場合については、13級11号「臓器の障害」に属します。臓器の13級は、各臓器のちょっとした不具合をこの認定に当てはめています。    続きを読む »

ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折、恥骨結合離開・仙腸関節脱臼における後遺障害のポイント>    不安定型の骨盤骨折が癒合不良となった場合、具体的には変形(文字通り形が変わってくっついた)や転位(ズレてくっついた)、もしくは偽関節(くっつかなかった)となれば、変形の12級5号となります。また、これら癒合不良に派生する後遺障害と内臓損傷、神経損傷における障害は以下の3つが想定されます。   ○ 骨盤骨折自体に関するもので、疼痛、股関節の可動域制限、骨盤の歪みによる下肢の短縮

○ 骨盤輪内に収納されている臓器の損傷・神経損傷による障害

○ 内腸骨動脈などの血管の損傷による障害    以下、骨盤骨折から派生する後遺障害を解説します。  

1.

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(2)恥骨結合離開・仙腸関節脱臼   ① 病態

 骨盤は左右2つの寛骨が、後ろ側で仙腸関節、仙骨を介して、前側で恥骨結合を介してジョイントしており、左右の寛骨は腸骨・坐骨・恥骨と軟骨を介して連結し、寛骨臼を形成しているのです。この輪の中の骨盤腔は内臓を保護し、力学的に十分荷重に耐え得る強固な構造となっていますが、大きな直達外力が作用するとひとたまりもなく複合骨折をするのです。     ② 症状

 骨折部の強い痛みで動くことができず、内臓損傷では、腹痛、血尿、排尿困難、排尿の制御ができなくなり失禁することや下血、性器出血を伴うことがあります。仙骨神経に損傷が及べば、排尿・排便障害となることがあります。「頻尿」は常に尿意があり、回数が増える。または尿漏れ。逆に「閉尿」は尿が出なくなります。便ですと、それぞれ頻便、便秘です。仙骨神経の損傷から下肢のしびれ、ひどいと麻痺で動きが悪くなります。   ③ 治療

 上図のような不安定損傷になると、観血的に仙腸関節を整復固定すると共に、恥骨結合離開についてはAOプレートによる内固定の必要が生じます。

 上のイラストは、右大腿骨頭の脱臼も伴っています。大腿骨頭の納まる部分である、寛骨臼の損傷が激しいときは、骨頭の置換術に止まらず、人工関節の置換術に発展する可能性が予想されます。

  ④ 後遺障害のポイント    安定型の骨折でも触れましたが、骨盤の変形を問うことになります。そこを参照下さい。    👉 骨盤骨折 ...

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 中断してていました骨盤骨折、シリーズを再開します。   👉 前回  ① 腸骨骨折   【2】骨盤骨折・不安定型

 前回の①~④までは、【1】安定型とのくくりで、骨盤輪にゆがみや崩れがなく、骨折が癒合することが多い傷病名から解説しました。今回からの不安定型は重傷と言えます。

(1)ストラドル骨折・マルゲーニュ骨折

① 病態

 骨盤は骨盤輪と呼ばれる内側でぐるりと輪を作る環状構造となっています。この骨盤輪が、一筆書きに連続しているので、骨盤は安定しているのです。両側の恥骨と坐骨の骨折で、骨盤輪の連続性が損なわれている状態をストラドル骨折と呼びます。

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< 後遺障害のポイント>   【1】後遺障害の前提

Ⅰ. 腸骨翼骨折に限っては、単独骨折であっても骨盤腔内に3000mlを超える大出血をきたすことがあり、その際は、出血性ショックに対応して全身管理を行う重症例となります。それ以外は骨癒合さえ問題なければ、後遺症なく回復傾向、等級も14級9号止まりか、痛みなどの神経症状が無ければ非該当になります。

Ⅱ.

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(3)尾骨骨折(びこつこっせつ)

① 病態

 仙骨の下についている骨で、しっぽの名残であり、尾てい骨ともいわれています。交通事故では、自転車、バイクでお尻から転倒したときに骨折することが多いのですが、尾骨は、退化した3~5つの尾椎が一塊となって存在しており、つなぎ目があることと、事故前から屈曲変形していることもあり、XPでは骨折と判断することが困難なことがあります。確定診断には、CT、MRI撮影が必要です。

 経験上、事故前にすでに軽い脱臼状態、変形や転位(折れて分離)しているなど、既往症もいくつか目にしました。産婦人科医に聞くと、経産婦で出産時に曲がったまま、それが残る例もあるそうです。   ② 症状

 尾てい骨部分に激烈な痛みがあり、歩くことや座ることで痛みが増強する。長時間、座っていると尾てい骨の痛みが強くなってくる。尾てい骨に痛みがあり、下肢にしびれがあり、歩きにくさを生じている。それでも、深刻な後遺症は稀で、後遺障害として認定されること少ないと思います。   ③ 治療

 治療は、通常は保存的に安静加療が行われています。   ④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。    ⇒ 骨盤骨折 ④ 後遺障害  

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(2)恥骨・坐骨々折(ちこつ・ざこつこっせつ)

① 病態

 骨盤骨折で経験上、最も多い例です。恥・坐骨②③は、前方と下方からの外力で骨折しており、恥骨と坐骨の両方が折れることも多く、併せて「恥坐骨骨折」と書かれることもあります。

 交通事故では、自転車やバイクを運転中、出合い頭衝突で前方向から衝撃を受け、ドスンとお尻から落下して骨折しています。この事故発生状況では、腰椎の圧迫骨折を合併することもあります。   ② 症状

 横になっても座っても、鼠径部に強い痛みが生じます。坐骨骨折では、半腱・半膜様筋・大腿二頭筋により、骨折部は下方へ転位し、股関節の伸展運動ができなくなります。   ③ 治療

 片側の恥骨や坐骨の単独骨折は、ほとんどは安定型骨折であり、高齢者などは入院することがあるものの、手術に至ることはありません。安静下で、鎮痛薬や非ステロイド性抗炎症薬、NSAIDが投与されます。

 多くは、1週間の経過で歩行器を使用して短い距離を歩くリハビリが開始され、1~2カ月の経過で、後遺障害を残すことなく、症状は軽快しています。弊所でも認定例が無かったように思います。   ④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。    ⇒ 骨盤骨折 ③  

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 今年いくつか相談・受任を頂きました骨盤骨折について、交通事故110番から引用、シリーズで集中解説したいと思います。

 一口に骨盤骨折と言っても、骨折箇所や様態を細かく分類して覚えておく必要があります。まずは、安定型と不安定型に2分、それに属する傷病名別に整理します。   【1】骨盤骨折・安定型

 骨盤は左右の恥骨、坐骨、腸骨と仙骨で構成され、後方は仙腸関節、前方は恥骨結合で融合して骨盤輪を形成しており、体幹の姿勢を支え、身体の要となっています。

 骨盤骨折でも、内臓器損傷がなく、転位が小さい単独骨折では手術によらず、保存的に安静臥位で経過観察しています。深刻な後遺症とならないケースが多いようです。   (1)腸骨翼骨折(ちょうこつよくこっせつ)

① 病態

 腸骨翼は、腰の両横にあって、ベルトがかかる部位です。腸骨翼は、前方、後方、側方からの衝撃で骨折しており、出血を伴わないものは、軽症例です。

② 症状

 骨折部の強い痛み、歩行すると痛みが増強します。

③ 治療

 ドーヴァネイ骨折(ドゥベルネ骨折と言う医師もおりました)とも呼ばれていますが、入院下で、安静が指示されますが、1週間もすれば、歩行器使用によるリハビリが開始され、1~2カ月で後遺障害を残すこともなく、軽快しています。

④ 後遺障害のポイント

 シリーズの最後にまとめて解説しています。

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家の祖母は悪口だけよく聞こえるようです    日常生活において「この人は、自分に都合のいい部分だけ切り取って話を聞いているな。」と思ったことはありませんか?これは、その方の性格によるところもありますが、実は「脳」が関係しているかもしれません。    例えば、人が大勢集まる場所で、「自分自身の話をしているグループの会話が聞こえる」、「気になる人の話だけはしっかり聞こえる」なんてことはありませんか?これは、心理学でいう「カクテルパーティー効果」と言われるものです。このカクテルパーティー効果とは、1953年にイギリスの認知心理学者 エドワード・コリン・チェリーが提唱し、音声の選択的聴取や選択的注意とも呼ばれています。コリン・チェリーは以下の実験にて、このカクテルパーティー効果を発見したようです。 続きを読む »

 スキー・スノーボードなどスポーツ中の事故の受任も多いものです。本件は毎度のTFCC損傷の立証がミッションです。交通事故と違い、相手に自賠責保険がなくとも、何等かの保険があれば、回収の目途が立ちます。

 最大の障壁は、主治医が骨折の整復までが仕事と、TFCC損傷は自分の守備範囲外の立場からMRI検査を拒否・・勝手に診断名を訴える患者にヘソを曲げたのか、患者との関係も上手くいかなかったことです(これは、よくあることです)。それでも、弊所は普段から医師の無理解には慣れています。平素から、やっかいな交通事故で鍛えられていますので。

どんな事故でも秋葉に相談を!  

個人賠償 12級6号:TFCC損傷(50代女性・埼玉県)

【事案】

スノーボード中、後方より衝突を受けて転倒、手首を骨折。診断名は左橈骨遠位端骨折、処置はプレート固定術とした。

加害者は外国人であったが、スキー・スノーボード保険(個人賠償責任保険が付保)の加入あり、保険会社への請求の目途が立った。

その後、骨癒合は進み、可動域制限などの障害を残さず治癒と思われたが、手首の小指側にグラグラ感が残った。

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 私が担当した被害者さんの中で、頚椎捻挫に伴う難聴や耳鳴りが発症したケースがいくつかありました。器質的損傷が認められる場合には、聴力検査や耳鳴りの検査で十分に後遺障害等級が認定されますが、そうではない場合には、認定を受けることは容易ではありません。基本的に調査事務所では、単純聴力検査の数値だけでは判断しません。その中でもごまかしがきかないABR検査について触れてみたいと思います。

 ABR検査とは聴性脳幹検査といい、Auditory Brainstem Responseの略です。脳波で聴力を見る検査で、ある一定の音を被験者に聞かせて、聴覚進路の脳幹から出てくる脳波を解析し、その脳幹反応が出るかどうかで聞こえているかを調べる検査です。この検査は年齢に関係なく、生後間もない赤ちゃんから高齢者まで実施できるそうです。聴力を調べるだけではなく、手術時に生じる脳幹の機能異常を調べることや、脳死の判定なんかにも使われているみたいです。

 ABR検査は、音を聞かせたときに神経路からの反応波形を記録します。通常、人間が音を聞くと、その後約1.5ミリ秒で音が蝸牛神経に到達し、その後約1ミリ秒間隔でいくつかのピークを持つ反応が蝸牛神経→脳幹→橋→下丘にかけて発生します。この反応はとても弱いので、1回の記録でははっきりしませんが、約1,000回重ね合わせると、波のピークが見えてきます、純音聴力検査と違い、被験者自らスイッチを押さなくてもいいので、客観的な聴力検査が可能です。(福島病院 臨床検査科より抜粋)

 さて、ABR検査の方法ですが、被験者は左右の耳たぶと頭部(頭頂部と前額部)の計4ヵ所に脳波形の電極を付けます。ヘッドホンから音が聞こえると、脳が反応して脳波に変化が生じるため、その波形を医師が読み取ります。

 純音聴力検査では、40dBでやっと聞き取ることができるといった結果があったとしても、ABR検査で閾値が20dBだとします。このような場合、ご自身の感覚では20dBの音が聞こえないが、耳の機能としては20dBでも聞き取れているということを意味します。音がどのように聞こえているかについては、本人にしか分かりませんが、そのことを客観的に示すためには最適な検査です。本当に症状のある方については、立証方法として役立ちますが、心理的な症状や詐病者には、逆証明となってしまいます。自賠責からABR検査の実施を求められたことはありませんが、上位等級を狙う場合には必要な検査です。町中の耳鼻科では、検査できないことが多いので、専門医のいる病院で検査をすることが一般的だと思います。    聴力の障害を立証することは非常に難しく、厳しい戦いです。まずは、基本的は知識のある弁護士、行政書士に相談されることをお勧めします。  

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 前回まで、自動車事故の衝撃度を表す上でよく使われる「ビルからの落下・計算」を説明しました。ケーススタディを重ねましょう。今度はバイクが衝突した場合です。   3、自動車にバイクが追突した場合  

 Cさんは原付バイク(ヤマハ 車体重量90㎏)で走行、信号待ちのハイエースバンに追突してしまいました。原付なので時速30kmが制限速度です。まぁ、これを守っていたとして30kmとします。修理費はバンパー交換+αで20万円でした。修理費は問題なく保険で支払いました。しかし、ハイエースのドライバーDさん、むち打ちとなって毎日通院を始めました。治療費を払う損保は「3カ月まで!」と、業を煮やして治療費を打切りました。不満のDさんに対して、損保は以下の計算を示しました。    それでは、ハイエース(車体重量1960kg)の受けた衝撃を計算してみましょう。    時速30km ≒ 秒速 8.3m の場合では、    8.3m × 8.3m  ÷ ( 2 × ...

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 シリーズ再開! かつて相談会に参加した相談者さまの実例から計算してみましょう。    その前に、2019年10月にシリーズ化したまま途絶した前回記事は以下の通り。

👉 受傷機転について、その衝撃を科学する ② 自動車事故の衝撃度   

1、自動車の単独事故 ~ 壁に衝突した場合

 Aさんは小型自動車(日産マーチ 940kg)で壁に衝突、つまり自爆事故で負傷しました。その時のスピードは30kmだっだったそうです。マーチは全損となりました。シートベルトをしていなかった為、フロントガラスに顔面を強打、10針を縫うケガに。6か月の通院の後、後遺障害は醜状痕の9級16号、頚椎捻挫14級9号が認定されました。

 どの位の衝撃か、例の「ビル落下衝撃度」から計算してみましょう。   ○ 時速36km = 秒速10m/s の場合・・・5.1mの落下衝撃となります。

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 令和4年最初の認定、新年早々に結果が届きました。    本件は医師が手術により、肩関節の棘上筋を再生させました。さらに、予後のリハビリで理学療法士さんが、出来るだけ元通り腕が挙がるように努めて、一定の回復を果たしました。被害者さんが最大限、回復に努めることは当然です。医師はじめ、治療者の尽力にも感謝しかありません。しかし、それで後遺障害が無かったことにされてはたまりません。    医師による「後遺症」の見解と、自賠責保険が認定する「後遺障害」は別物と言えます。    手術による再生とリハビリによって一定の回復は計れるも、治りきっていない症状を見逃してはなりません。本件は示談の直前、ギリギリで数百万円を失わずにすみました。世の中には、このような被害者さんが大勢いると思います。   後遺障害が見逃される典型例です  

12級6号:肩腱板断裂(60代女性・埼玉県)

【事案】

車イスにて交差点を横断中、左折してきた対抗自動車に衝突され横転したもの。全身打撲、とくに強打した肩の痛みに悩ま され、リハビリを継続するも挙上不能が続いていた   【問題点】

主治医の見落としにより、肩腱板断裂の発見が救急搬送から約3ヶ月後、そこからの専門科の受診となった。その後、専門医によって関節鏡下・腱板再生(縫合)術が施された。術後は良好、執刀医は「MRIの画像所見がないと後遺障害診断書を作成できない」との判断、診断書の記載を断られてしまった。

あきらめて示談に応じるところ、見かねた保険代理店さまからの相談が入った。   【立証ポイント】

直ちに自宅へ訪問し、現状の把握と可動域の計測を実施した。ご本人曰く、腕は上がるようになったそう。しかし、それはリハビリ指導から、上がり易いように斜めに挙上訓練した結果であり、正しく計測すると1/2超えるのがやっとであった。

これで「治った」とする主治医を説得すべく病院同行へ。今度は私達から事情を説明、主治医の理解を得て、肩関節の計測と診断書記載までこぎつけた。可動域計測については、外転が3/4以下の数値となり、理想的な診断書が完成した。

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 毎度のことですが、2度目の14級9号の認定率は低いものです。ただし、0%ではない。

 神経症状14級9号の認定を受ける部位は、主に頚部と腰部です。これらの部位に神経症状が生じると、短期間での完治は難しく、以後も再発する傾向です。それは、年齢変性(加齢による脊椎の変形、ヘルニア等が神経に触り易い)が関与するからと医学的に説明できます。つまり、慢性疾患に近い。したがって、自賠責は一度、その部位に認定すると、数年後にもう一度痛めたとしても、審査は厳しく再度の認定を簡単に下しません。

 そもそも、過去に14級の障害を受けた部位に、重ねて同じ障害を追っても、加重障害となり、保険金は0円になるのです。    その辺の理屈 👉 保険会社は知っている ② 5年ぶり3回目の出場(じゃなくて申請)    対して賠償的な観点からすると、裁判でも14級9号の逸失利益(障害を負ったことによる将来の損害)の相場は5年限度が多いようです。すると、過去の受傷・認定で決まった逸失利益の年数、又は5年経てば「治った」ことになり、再度の障害認定に矛盾はないはずです。しかし、前述の通り、あたかも「味をしめたな」とでも思うのか、自賠責は厳しく判断します。ここが、自賠法に規定された自賠責保険と、民法の不法行為による損害賠償の違いが生じるところです。     本件被害者さんにも以上の理屈を事前に説明しました。しかし、20年ぶりに襲ってきた痛みや不具合を前に、そう簡単に納得などできません。「なんとか認定にならないでしょうか?」・・・同部位2度目認定へのチャレンジ、困難ながら佐藤は懸命に立証作業を行ったと言えます。   「依頼者は無理難題をおっしゃる」 再登場、クアトロ佐藤(カズレーザーじゃないよ)  

14級9号:頚椎捻挫(40代男性・神奈川県)

【事案】

自動車にて直進中、対向車が中央線を越えて走行してきたため、避けきれず衝突、負傷。直後から頚部痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

本件被害者さん、20年ほど前に頚椎で14級9号認定を受けていた。

【立証ポイント】

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鬱の検査シリーズ    QIDS-Jとは、Quick Inventory of Depressive Symptomatology(※JはJapaneseのことだと思います。)の略で簡易抑うつ症状尺度と呼ばれています。この検査は、16項目の自己記入式の評価尺度で、うつ病の重症度を評価できるほか、アメリカ精神医学会の診断基準DSM-IVの大うつ病性障害(中核的なうつ病)の診断基準に対応しているという特長を持っているようです。世界的に知られた精神科医ジョン ラッシュ先生によって開発され、世界10ヵ国以上で使用されています。尚、日本語版は慶応大学医学部の藤澤大介先生のグループによって作成されました。    それでは、質問について記載していきます。

第1.

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 前回、SDS検査を特集しましたが、うつ病について、簡易検査がいくつかありましたので、シリーズとして少し記載してみます。    PHQ-9とは、Patient Health Questionnaire-9の略で患者の健康状態に関する9つのアンケートという訳になるでしょうか。元々はアメリカの多忙なプライマリ・ケア医(普段から何でも診てくれるような身近な医師のこと)が、短時間で精神疾患を診断・評価するシステムとしてPRIME-MD(Primary Care Evaluation of Mental Disorders)が開発されましたが、実施時間がかかるため、時間短縮のために改良されたのがPHQのようです。そこから更に大うつ病性障害に関わる9つの質問項目のみを抽出したのがPHQ-9だとされています。    この2週間、次のような問題にどのくらい頻繁に悩まされていますか?右の欄の最もよく当てはまる選択肢( 0.

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鬱の検査です    交通事故では、精神面にも影響が出てしまうことがあります。後遺障害申請の場面で必要とすることはあまりないかもしれませんが、精神科の病院などを受診すると、入口としてこの検査を実施することがあるようです。

 SDSとはSelf-rating Depression Scaleの略で自己評価式抑うつ性尺度と呼ばれています。この検査では患者さんが20の質問に答えていく心理検査で、うつの程度を客観的に数値化することができるようです。主観的な心理検査なので、SDSの結果でうつ病が診断できるわけではないようですが、症状の程度を推測することで、治療方針や治療効果の判定に生かすなどを目的として用いられているようです。この検査の原案を作ったのは、デューク大学のツアン教授ですが、日本においては1965年に福田一彦さん、小林重雄さんらで日本語版の作成に至りました。作成時から大幅な改定もありませんが、古くなるということもなく妥当性を得られている検査なので、未だに多くの医療機関の心理検査として実施されています。    SDSはうつ症状による心身両面の特徴的な症状を質問(下記の表)し、点数の高さである程度の状態判断をします。

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