排尿障害が一時的なものであれば、専門医への受診によって、ある程度の改善が見込めます。ただし、中高年の病的疾患の場合は完治は難しく、長期な通院を必要とします。

 交通事故外傷で、膀胱や尿路に損傷があった場合は手術での改善を検討します。やはり、やっかいなのは神経因性のもので、完全に治す(根治療法)より、症状の抑制が中心(対処療法)の傾向です。   【1】閉尿の処置  出ないものは出さなければなりません。   ① 導尿 ⇒ おなじみのカテーテル

 カテーテルを”おしっこの度に”挿入するものを「導尿」といい、カテーテルを”挿入したまま”を「持続導尿」といいます。カテーテルはこの2種に加え、長さに差のある男性用、女性用があります。

  ② 尿路拡張 ⇒ 糸状ブジー

 尿道狭窄(文字通り尿路が狭くなった)の場合は、尿道よりブジーを挿入して尿道の拡張をはかります。ブジーは、管腔を探ったり、拡張したりする棒状、管状のものです。拡張する場合は細いものから順次太いものへと変更していきます。

 尿道狭窄の拡張は、一般に金属ブジーを用いますが、狭窄が著しい場合は、糸状ブジーを挿入して順次拡張します。

 読んでいるだけで痛そうですが、カテーテルも挿入時に使うローションがあり、特に麻酔効果のあるキシロカインゼリーが代表です。   ③ 服薬 

 神経因性膀胱では、エブランチル、ウブレチドの服用を考慮します。

・エブランチルはα1受容体遮断作用により、末梢血管を拡げ、血圧を下げます。その結果、前立腺・尿道の平滑筋収縮を抑え、尿道を拡げることにより、尿を出しやすくします。

・ウブレチドは、筋肉を収縮させるアセチルコリンという神経伝達物質を増やします。膀胱の収縮を助け、排尿をスムーズにします。    ★ 尿路拡張術など、観血的手術を伴うものは、また、別の機会に解説します。   

【2】頻尿・尿失禁の処置    ① 抗コリン剤の服用  定番薬はこれ

 頻尿、過活動膀胱には、対処薬があります。抗コリン剤は、副交感神経を亢進させる(アセチルコリン)の作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える薬です。

 アセチルコリンという物質は副交感神経を刺激⇒筋肉の緊張⇒膀胱の収縮⇒排尿を促す、これらの運動を活発にさせる作用があります。コリン剤はこのアセチルコリンの働きを抑える作用(抗コリン作用)があるので、消化管の過活動=頻尿を抑えることになります。  これは、前述の閉尿のウブレチドと逆の作用になります。

 頻尿のお薬は他に、バップフォー、デトルシトール、ベシケアがあります。   ② 物理的な対処  多い日も安心?

 尿失禁への対処はオムツ、尿パッドがあります。それぞれ、市販のものがあります。症状が酷ければ抗コリン剤の服用ですが、それでも漏れてしまう場合はパッドで対処するしかありません。

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 「おしっこがでないからここ(病院)にきたんでしょ?」

 ・・・(今更、でないことを検査してどうするの?)    毎度おなじみ、医師の対応です。交通事故受傷で排尿障害となった場合、例えば、おしっこが出なくなった証拠を突きつけなければ、障害等級の認定はありません。医師は患者の「おしっこがでない」ことに疑いを持たず、治療にあたります。しかし、自賠責保険・調査事務所は「客観的な検査結果」がなければ信じません、つまり障害の判定ができないのです。ここに、臨床判断と賠償請求の壁が存在するのです。

 もっとも、検査の設備があり、30年前の知識のままのおじいちゃん医師でなければ、速やかに排尿検査を実施します。大学病院の泌尿器科となれば、尿流量検査はじめ、一連の設備があります。ただし、ウロダイナミクスを完備している病院は極めて少なく、検査誘致はメディカルコーディネーターの活躍場の一つとなります。    排尿障害の検証、2段階目は各種検査を紹介します。検査にて障害の実態を明らかにする事は治療の第一歩であり、障害審査、しいては賠償請求の証拠として必要なのです。   【1】尿の成分検査

 尿中の蛋白、血液、糖などの有無とその量を調べます。通常は中間尿(はじめの尿を取らずに、途中からコップに取り、途中までの尿を入れる)を採取します。結果は30分後に成分表が作成されます。  内蔵機能の病的疾患の検査ですので、交通事故外傷とは離れますが、腎損傷などの場合はその初期検査には有用と思います。腎臓機能の障害はさらに、GFR検査(※)に移ります。

※ GFR =糸球体濾過値(しきゅうたいろかち)  腎臓の能力、どれだけの老廃物をこしとって尿へ排泄することができるのか? つまり、腎臓の能力は、GFR値で判断されています。 この値が低いほど、腎臓の働きが悪いということになります。腎機能の障害については、また別の機会に解説します。

  【2】尿流量検査(ウロフロメトリー)

 専用トイレで排尿し、検査機器が自動的に尿流のカーブを描く検査です。10分程度できますので、閉尿・頻尿・尿失禁、どの場面でもまず実施すべき検査です。この検査で、尿の勢い・排尿量・排尿時間などが明らかになります。このデータから、排尿障害の種別・状態が客観的に把握できますので、排尿検査の出発点となります。  検査前には十分に水分を取って、検査までトイレは我慢となります。   ← 測定用の専用便座   【3】残尿測定

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       脊髄損傷では多くの場合、排尿障害を発症します。

 脊髄損傷以外の原因ですと、骨盤骨折など下腹部への直接のダメージがあれば、膀胱や尿路への物理的な損傷、末梢神経性・膀胱の神経障害(排尿括約筋不全など)が考えられます。また、病的疾患として前立腺肥大、さらに心因性での発症もあります。

 医学的な難しい解説はほどほどに、実例や簡易なイメージから説明します。これから、排尿障害が自賠責や労災の後遺障害として認定を受けるまでを、4段階で追っていきましょう。   【1】排尿障害の種類  一般的に、以下、3種でしょうか    ① 閉尿 ・・・ 尿がでない、でずらい、尿が途切れる、尿意が乏しい

② 頻尿 ・・・ 尿の回数が頻繁になる、尿意がありすぎる

③ 尿失禁・・・ 尿意がすると我慢できない、くしゃみ程度で漏れる、知らずに漏れてしまう    経験上、頻尿の多くは尿失禁を伴います。高齢者は外傷に関係なく、頻尿・尿失禁に悩まされている方が多いようです。当然に既往症の影響を検討します。また、むち打ち等、外傷性頚部症候群で排尿障害となった被害者さんの場合、「なぜ、むち打ちでおしっこに異常が?」からの出発となり、因果関係や病的疾患との区分けに大変な苦労を強いられます。    【2】尿失禁の種類  ここで、尿失禁について、さらに3分類します。    ① 持続性尿失禁

  ...

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○ 鼻の障害は、

 外貌の醜状(鼻の欠損、鼻が曲がった)と嗅覚障害 に大別できます。   ○ 口の障害は、

 咀嚼障害(食べ物を噛み砕けない)、嚥下障害(飲み込めない)

 言語障害(上手く話せない)

 歯牙の障害(抜けた、折れた、補綴(人工物を使って修理)した)

 味覚障害(味がしない)  このように、大きく5分類できます。

   例えば、顔面の多発骨折や脳損傷の場合、上記の障害が複数生じる可能性があります。しかし、顔面や脳の手術が優先され、その後のリハビリが続く中、徐々に上記の障害が確認されていくのです。鼻の醜状や言語障害は周囲が気付きますが、咀嚼や嚥下、味覚・嗅覚は注意深く観察する必要があります。とくに、高次脳機能障害の被害者さんの場合は、周囲がチェックしなければ、何かと見落とされるものです。

 本人が主張しない症状、家族が気付かない症状、そして、医師が見落とした症状は・・「障害はなかった」ことにされてしまいます。

 交通事故外傷による後遺障害の世界では、”病院にさえかかっていれば”、障害が自動的に認められるわけではありません。目耳鼻口の中でも感覚器の障害は、被害者側の医療調査・損害立証の必要性を強く感じる分野でもあります。    それでは、味覚障害が(そもそも、高次脳機能障害が)見落とされた実例をご参照下さい。   

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 目や耳では様々な障害の種類があります。代表的な症状に、視力を失う失明や視力低下、二重に見える複視、見える範囲が狭まる視野狭窄があります。耳であれば、聴力が低下する難聴、耳鳴りでしょうか。これらが障害として認定される場合、目や耳、または脳に直接の損傷あれば容易でしょう。しかし、直接の損傷がない場合が問題なのです。   c_g_e_13  c_g_ea_2

 目立った外傷のない頭部への衝撃や、頚椎捻挫(いわゆる、むち打ち)で視覚や聴覚の症状を訴える被害者さんは多く、今までも相談会に多数参加されました。おそらく、神経系統に何らかの衝撃があったのでしょう。しかし、直接の器質的損傷がないケガでは、自賠責は因果関係を疑います。確かに、ケガがなくとも視力や聴覚の低下は起きますので、内在的な病気の影響を捨て切れません。

 秋葉事務所では、これら因果関係に乏しいケースの立証に数例、成功しています。ポイントは受傷直後からの症状の訴えと専門科の受診、早期の検査実施です。そして、その症状が好悪転せず、一貫して続いていることでしょうか。自賠責は、因果関係に確固たる証拠がなくとも、症状の信憑性と一貫性で認定することがあるのです。

 逆に、障害を否定された被害者さんは、症状の発生、もしくは訴えが事故受傷からしばらく経ってからで、眼科・耳鼻科への受診が遅く、又は、検査数値が好調不調から?上下動します。つまり、原因が事故外傷から離れてしまうのです。

 以下の実例からも、「顔面骨折や脳損傷なら立証は容易、直接に損傷の無かったケースは苦労」、がお解かりと思います。   

 

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 非器質性精神障害とは、脳神経に外傷がない精神的な障害を指します。その代表的な傷病名であるPTSD(心的外傷後ストレス障害)は一般的に知られるようになってきました。現代人の4人に1人は日常や仕事に強いストレスを感じており、心療内科の診断・カウンセリングを受けている人も20人に1人との統計データを目にします。もはや、心の病気は国民病の様相です。当然ですが、交通事故を契機に重度な症状に陥る方もおります。

 交通事故の被害にあえば、誰もがブルーになります。ケガの痛み、治療の苦労、保険会社との折衝でイライラ、その他、労災やら健保やらが絡んで・・まさにストレスの大洪水です。夜も眠れず、事故の場面が常に頭から離れない・・これでは皆、程度の差こそあれ、鬱になってしまうでしょう。

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 しかし、それが治らないもの=後遺症として、日常生活や仕事に深刻な支障をきたし、専門医の継続的な治療が必要な疾病と認められるには、一定の基準が存在します。それがタイトルの2大ポイントです。加えて、症状の程度や既往症(事故前からの心身症治療歴)も検討されます。自賠責保険では、とくに事故との因果関係を重視します。

 専門的な解説ではなく、わかりやすい実例から説明しましょう。    1、死を意識するような事故状況であったのか?   ○ 多重衝突で潰れた車に長時間、閉じ込められて、ガソリンが漏れている中、救出されるまでの恐怖で・・。   ○ 自動車が壁に衝突し、脱出できないまま、血だるまとなった隣の家族が息を引き取るまで見届けた・・。   続きを読む »

 以前も意見しましたが、頚椎と腰椎の14級9号は一緒に、あるいは別の部位で等級認定がある場合、ついでに認定される傾向です。

 ⇒ 併合にゲスの勘ぐり

 本件は膝の靱帯損傷(疼痛・神経症状)で14級が認められた件ですが、腰椎単独では絶対に非該当だったでしょう。頚部と腰部の症状は再発多く、慢性化しやすいものです。もし、次の交通事故で再び後遺障害申請をされた場合、「以前の事故で14級が認めれていますので・・加重障害として支払いはありません」と切り易くなります。

 加重障害とは、同じ障害を二度被った場合、2度目は保険金0円となります。従前の障害を上回る障害となった時は、差額の保険金が支払われます。自賠責独自のルールながら、よくできたものです。被害者に幸いすることもあり、不利に働くこともあり得ます。私達としても、「ついでの認定」には複雑な心境です。

佐藤イラストsj14級をたくさんとっても良いのでしょうか?

14級9号:腰椎捻挫(30代女性・埼玉県)

【事案】

道路工事の警備中、停止させていた車に衝突され受傷した。直後から腰部痛のみならず、足のしびれ、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

アルバイト中であったため、救急車は呼ばずに自力で帰宅し、当日は整骨院に行き、次の日に総合病院へ受診することに。その後1ヶ月間、病院の通院が空いてしまった。本来なら14級9号の認定はない。

【立証ポイント】

本件は腰椎捻挫のみではなかったため、1ヶ月の空白があっても認定されたが、通常であれば非該当確実のため、注意が必要。その後紹介した整形外科に8カ月間、労災で治療し症状固定となる。診察のたびに医師が変わるため、後遺障害診断の際には苦労したが、なんとか14級9号認定となった。  

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20150108kai(脊髄損傷のMRI画像における高輝度所見)

脊椎に軸圧、屈曲、回旋、伸展、剪断、伸延などの強力な外力が加わり、脊髄の神経伝導路が遮断され、運動麻痺、知覚麻痺、自律神経障害、排尿排便機能障害を起こします。一口に脊髄損傷と言っても、タイプや症状の軽重は様々です。

まず、完全損傷と不完全損傷に分かれ、不完全損傷は4つの典型に分かれます。等級は表の通り1級~9級ですが、脊髄損傷の有無は不明瞭ながら、軽度の麻痺の場合は12級評価もあります。   完全損傷

脊髄が完全に脊椎や椎間板によって遮断されたり、脊髄そのものが引きちぎれるので、非可逆性で回復はしません。ほぼ、全身麻痺で寝たきり状態は必至です。環椎・軸椎部分の場合、呼吸困難で多くは死亡となります。

不完全損傷

① 前部脊髄損傷・・・運動麻痺はあるが、触覚、位置覚、振動覚は保ちます。 ② 中心性脊髄損傷・・・下肢より上肢の運動障害が強く、温覚と痛覚が麻痺、触覚は保ちます。 ③ 後部脊髄損傷・・・少数例。触覚、位置覚、振動覚は麻痺しますが、運動障害はありません。 ④ ブラウン・セカール型損傷・・・脊髄の片側損傷で、損傷側の運動麻痺と反対側の温覚・痛覚が麻痺。  

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 最近、めっきり相談者の減った脳脊髄液減少症ですが、一昨年、健保治療が復活して名前も改められました。

 CSFH は、 Cerebro Spinal Fluid Hypovolemia の略語です。健保適用から自由診療、再び健保適用へと変遷にあわせて傷病名も変わりました。現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群に戻りました(現場では脳脊髄液漏出症も合わせ、主に3つの傷病名で呼称されています)。この謎の症例には以下の診断基準が存在します。

image2701   (1)症状(自覚症状)

起立性頭痛

 国際頭痛分類の特発性低髄液性頭痛を手本として、起立性頭痛とは、頭部全体に及ぶ鈍い頭痛で、坐位または立位をとると 15 分以内に増悪する頭痛と説明されています。

 CSFHを訴える患者さんは横になると症状が緩和されるそうです。また、応急処置として水分を取ることも有効のようです。点滴で体液を増やす?処置も多く目にしています。

体位による症状の変化

 国際頭痛分類の頭痛以外の症状としては、項部硬直、耳鳴り、聴力の低下、光過敏、悪心、これらの5つの症状です。しかし、多くの患者さんはこの5つに留まらず、あらゆる不定愁訴を訴えています。    (2)基準(他覚的所見)

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 脳脊髄液減少症の相談は大分少なくなりました。MTBIの相談はその診断を下す医師の引退のおかげで、ほぼなくなりました。    交通事故外傷では時折、大流行する謎の傷病名があります。その2大傷病名が前述の脳脊髄液減少症とMTBIです。臨床上、脳脊髄液の漏出で重い不定愁訴で悩まされる患者さん、軽度の衝撃でも脳障害が生じる患者さん、いずれもその存在は報告されています。しかし、多くの執刀数をこなす脳神経外科の医師、脊椎はじめ神経科、精神科医の専門医のほとんどが懐疑的です。それらの傷病名は未だ科学的に解明されていないからです。専門分野の医師を科学者と読み替えれば、臨床上になんらかの症例が存在しようと、あいまいな定義からその傷病名の存在を肯定できないのです。もちろん、障害を調査・立証する私達としても医学の進歩を待つしかありません。

 現在、脳脊髄液減少症は低髄圧液症候群と名前を変え、以下の基準で診断されています。

 ⇒ 日本神経外傷学会による基準

 この基準全てを満たす患者さんに、未だ出会ったことがありません。極めて少数となるはずです。    それにしても、それら傷病名の信憑性を最も貶めていることは、”流行り廃り”があることではないでしょうか。一時期、相当数の患者さんが相談会に参加され、それが地方相談会でわかるのですが、各地に波及していきました。だいたい、インフルエンザじゃあるまいし、事故外傷による症状が流行するのでしょうか? 急に増えたり、下火になったりするわけはありません。

 また、根底に別の力が働いているのではないでしょうか。脳脊髄液減少症は、健保対応になったり、自由診療になったり、その都度、傷病名が変わりました。この謎の傷病名に熱心に取り組んでいる医師もいる一方、どうも政治や金の臭いがしてきます。ある特定の医師の診断を受けたら、その患者のすべてがMTBIになってしまうのもおかしなものです。その傷病名の存在が深刻であれば、もっと多くの医師から声が上がってくるはずです。そう言えば、一時期、積極的に取り組んでいた弁護士・行政書士も(傷病名を主張して争った裁判の連敗からでしょうか?)すっかり大人しくなってしまったようです。

 これらの傷病名について、事務所のスタッフへの指導や、研修会で弁護士先生から質問を受けた時、このように答えています。    「UFOは存在すると思いますか?」    ・・未確認飛行物体は確かにあるでしょう。空にある物の全てが常に確認できるものではないからです。問題はUFOは宇宙から宇宙人が乗ってきたと推定することが、認識の飛躍なのです。未確認=必ず宇宙人なのでしょうか? 光の反射、たまたま確認できない飛行機他、たくさんの可能性があるでしょう。それらを排除して宇宙人とは、まったくもって短絡的な決め付けです。どうして、そんなロマン溢れる説明に飛躍してしまうのでしょうか。 

 つまり、症状を訴える患者さんは存在するとして、その謎の症状のすべてをある傷病名に断定してしまうことがおかしいのです。 症状を訴える患者さん達は、別の疾患、更年期障害、神経症状の一環、心因性の関与等が多く含まれており、実はほとんどこれらが原因との指摘もあるのです。 yjimage2HG2MA3F  医学上、まだ研究段階にあるものを追いかけることは、私達の仕事ではないと思います。障害の立証作業は、ある種の謙虚さが必要です。病名はともかく、事故外傷・症状の深刻さを主張するお助けはできますが、不確定な傷病名を振りかざすなど、僭越極まりないと思うのです。  

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PIC00016w 新ドラマーは以前バンドを組んいた女性ドラマーにヘルプをお願いしました。女性ながらタイトなビート、リズム感抜群の腕利きです。安いギャラながら快諾してくれました。

 O君はその間、腕が挙がるよう、リハビリの毎日でした。当時、近所の温泉のスーパー銭湯によく一緒に行ったものです。kansetu_12続きを読む »

 さて、ある日のスタジオリハーサル、いくら待てどもドラマーが来ません。電話をかけてもでません。寝てるのか?いずれにしても、その日はドラムなしでリハを行いました。   HE7D9649web  当時の所属バンドは70年代のディスコソングをカバーする”Rosso Nero”でした。ドラムはプロデビューを目指して岡山から上京のO君、年齢詐称の怪しい素性でしたが、気のいい奴で誰からも好かれていました。    心配で翌日アパートを訪ねると、同居者から、「前日、交通事故で重傷、即入院した」ことを聞かされました。早速、病院に行くと、包帯でグルグル巻きのミイラ男が横たわっていました。「あ、こりゃダメだ・・しばらくライブはできないな」と覚悟しました。診断名は右鎖骨粉砕骨折だったでしょうか、あと、いくつか骨が折れていたようです。    O君は当初、痛みでひぃひぃ言ってましたが、しばらくすると右腕がまったく動かないことに気付きました。上腕神経麻痺を併発したようです。わずかながら手首・指先の自動運動できますので、正確には神経の完全断裂や引き抜き損傷のない不全麻痺でしょうか。リハビリ次第で、ある程度の回復の希望は残ります。それでもドラムの演奏は致命的、本人も「これで音楽人生は終わった」と・・。     <上腕神経麻痺を解説>   続きを読む »

 上腕神経叢(じょうわんしんけいそう)とは、頚部から鎖骨下を通り、上肢まで伸びる神経の束です。    上腕神経麻痺は麻痺の程度によりますが、軽度では上肢のしびれ、重度では肩~指先の自動運動が失われます。上肢、手の運動は、頚髄から出ている5本の神経根、C5頚髄神経根からT1胸髄神経根を通過して、各々の末梢神経に伝えられており、左鎖骨下動脈部を指で圧迫すると、左上肢が痺れてくるのは鎖骨下動脈の下に、上肢に通過している5本の上腕神経叢が存在しているからです。   c_byo_k_15   神経の損傷が微細、もしくは絞扼性(こうやくせい:神経が締め付けられる)の場合は、リハビリや手術で回復の目処が立ちますが、神経の切断や引き抜き症候群(神経が引っ張られて千切れてしまう)の場合は、手術での改善も難しく、腕は一生動かなくなり、「1上肢の用廃=5級6号」が認定される深刻な後遺障害となります。

 一定の回復が見込める12級レベルですが、過去に一度、上腕神経麻痺を担当しました。当時のバンドメンバーです。

   <片腕のドラマー> 

hisreria メンバーの上腕神経麻痺に入る前に・・・。ハードロック、ヘビメタファンにはおなじみ、80年代英国を代表するバンド、デフレパードをご存知でしょうか。

 ツインギターの凝ったアンサンブル、美しいコーラスワークからヘビメタファンに留まらず、幅広い人気を誇り、私もアルバム「ヒステリア」が大のお気に入りでした。       このバンドと交通事故に何の関係が?とお思いでしょう。それは、ファンなら誰でも知っている、ドラム担当のリック・アレンの自動車事故による片腕切断です。1984年、リック運転の自動車が壁に激突・横転しました。後続車に煽られていたようですが、自損事故です。ちなみに、片腕の欠損による後遺障害は「1上肢を肘関節以上で失ったもの=4級4号」となります。

 アルバム「ヒステリア」製作開始直後の事故でしたので、バンドもレコード会社も大困りです。当然、代わりのメンバーで製作を進めるところ、メンバー一同「ドラムはリック以外いない!」と、解散を辞さないほどの強い希望から、アルバム製作を中断し、リックの復帰を待ちました。

 リックもメンバーの心意気に応え、わずか1ヶ月で退院しました。そして、当時の楽器メーカー、シモンズに片腕で叩けるドラムセットを特注しました。シモンズもバンドの意気を感じ、リック専用セットを急造しました。こうして、アルバムの製作が再開され、かの大ヒットアルバムが生まれたのです。その第一弾シングル「アニマル」のPVで片腕でドラムを叩くリックと、シモンズのドラムセットを観ることができます。

  rick続きを読む »

佐藤イラストsj今回はあまり重要視されていない検査をご紹介します。    筋萎縮検査というものもあります。ほとんどの個人整形外科医では行われませんが、記載しておきます。神経症状が起こると、その腕をほとんど使わなくなり、筋力が低下するため、腕が以前に比べて細くなるといった現象が起こるのです。その計測の方法は肘の関節から直角に10センチ上を計測することを上腕周径、10センチ下を計測することを前腕周径といいます。患側と健側で1センチ以上差があるときは記載していただくのがいいでしょう。しかし、利き腕や、スポーツ歴等により元々1センチ以上の差がある方もいらっしゃるため、この検査結果は参考程度にしか見られていないかと考えております。

※ 上記の考えはあくまで、頸椎捻挫であり、頚髄損傷等の深刻な神経症状を起こしている場合は参考に留まらず、他覚的所見として判断されるかと思います。

 よく行われるテストで握力のテストがあります。普通に握力計測を行うため、特に解説は必要ないかと思いますので、割愛させていただきます。

 その他に10秒テストというものがあります。グーとパーを交互に行い、10秒間に何回できるかをみるものです。一般的には10秒間に20回を下回ると運動障害ありと判断されます。ただ、この検査も参考にされる程度で目立った所見ではないかと思われます。

 握力続きを読む »

山本さんイラストsj

 はじめに述べました通り、味覚障害・嗅覚障害は交通事故で鼻や顔面の骨折、脳挫傷等の器質的損傷が認められていれば、神経や脳がやられている可能性があり、疑われることは少ないですが、器質的損傷が認められない場合には、保険会社は疑う可能性が高いです。

 さらに、器質的損傷が認められていない場合には特に大切ですが、いずれにしても症状が確認できたら直ちに医師や保険会社に相談する必要があります。何故なら、受傷直後の段階からでも、食事等をした際に気付くはずだからです。また、味覚・嗅覚の障害は交通事故外傷だけではなく、ストレスや病気、更年期障害等で発症することがあります。    c_n_6  事故から数カ月目で症状が現れた場合、仮に事故後すぐに発症しても相談するのが遅くなってしまった場合、交通事故によるものではなく、別の病気によるものではないかと保険会社は疑い、また病院も事故によるものかどうかを判断できなくなります。最悪、保険会社は通院治療費も出さない対応をすることもあります。症状を訴えることを遅れてしまった場合、後遺障害の申請の際にも影響が出ます。

 後遺障害申請では、自賠責調査事務所は醜状痕を除き、原則、書面のみで審査をします。発症したかどうかは、原則、診断書で判断することになります。事故から数カ月経過した診断書で傷病名や症状が書かれても、保険会社や調査事務所は事故によるものではないのではないかと疑いやすくなります。

 どうしても診断書のみでは受傷直後に発症したかどうかがわからい場合、最悪、受傷直後のカルテや看護記録等を開示請求して内容を確認することがあります。過去の案件で、受傷直後の看護記録に嗅覚についての記載がわずかに残っていたため、看護記録も申請時に提出したことがあります。なお、その案件では12級相当が認められました。

 しかし、カルテや看護記録の開示請求は、病院側はとても嫌がります。治療面でも後遺障害の申請面でも医師には協力して頂かなければなりません。なるべく医師の負担になるようなことは避けるべきです。   

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山本さんイラストsj シリーズ3回目です

 嗅覚についての必要な検査として、① アリナミン検査(P)、② T&Tオルファクトメーター検査、があげられます。    ①アリナミン検査(P)とは、においがする物質(アリナミン注射液、プロスルチアミン注射液)を静脈に注射して、肺から気化することで自分の呼気から自分でにおいを自覚できるかどうかを検査するものです。

 ここで感じるにおいは、甘い香=ニンニクに含まれる成分であり、市販の栄養剤、滋養強壮ドリンクに含まれているものです。

 この点、アリナミン検査には、もう一つ、フルスルチアミン塩酸塩を使用した、アリナミン検査(F)というものがあります。

 ここで注意が必要なのは、自賠責保険で重要視しているのは、前者のアリナミン検査(P)であり、後者のアリナミン検査(F)は参考にしか使われない点です。病院によってはFの検査しかやらない場合もあり、また、医師もどちらかがわからないで実施している場合もあります。よって、Pの方の検査をして頂くためには、慎重になる必要があり、紹介先や通院している病院で実施できるかどうかを調べる必要があります。   ②T&Tオルファクトメーター検査とは、ニオイ紙にあるにおいをつけて、鼻先約1cmに近付けてにおいを嗅ぐことで、何のにおいがするかを当てる検査です。

 においは5種類あり、バラのにおい、焦げたにおい、腐敗臭、甘いにおい、糞臭があり、さらに、においの濃さを、原則、5段階で分けて検査します。しかし、焦げたにおいの場合は検査液を作成できないため、例外的に、4段階で分けて検査することになります。

 検査結果を表に○と×でチェックを入れて記載されます。この点、○は検知域値(においを感じる所)、×は認知域値(どんなにおいかわかった所)であり、自賠責等級は×の方の数値を計算して決まります。

 数値は、5種類の×の各段階の数値を合計した数値を5で割ることで原則出します。しかし、チェックの下に下矢印が記載されている場合があります。これは、5段階で測定できなかった場合に記載するもので、その場合はその種類の数値に1を足して計算します。

 計算式:(A+B+C+D+E)÷5

 自賠責等級は、嗅覚を喪失した場合は12級相当が、脱失した場合には14級相当、がそれぞれ認められます。 具体的には数値が5,6以上であれば12級相当、2,6以上5,5以下は14級相当です。なお、上記数値の最大値は5,8です。

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山本さんイラストsj前回の続きです

 味覚について、保険手続上で代表的な検査として、①電気味覚検査、②ろ紙ディスク法検査、があげられる。

① 電気味覚検査とは、簡単に言ってしまうと、舌に電気を流して神経が正常に働いているかどうかを確認する検査です。

 手順は以下の通りです。

・首に極線の首輪をはめます。 ↓ ・舌の前後左右の表面に電極を当てて電気を流します。 ↓ ・びりびりと感じたら手持ちのスイッチを押して、その舌の部位の神経が働いていることがわかり、逆にびりびりと感じなかった場合、電気が流れていることがわからず、スイッチを押さないままとなり、舌の神経が働いていないことがわかります。

 なお、舌の後ろ部分の味覚を支配している神経は舌咽神経、舌の前の部分の味覚を支配している神経は鼓索神経です。検査表にはこれら2つの神経支配領域をさらに左右に分けて4部位で検査します。   c_g_m_3 ② ろ紙ディスク法検査とは、ある味のついたろ紙をピンセットでつまんで舌の左右にそれぞれ付けることで何の味かを当てる検査です。

 味は、基本となる、甘味・塩味・酸味・苦味の4種類にわけられます。

 味の濃さのレベルについては、薄い味から濃い味まで5段階あります。

 なお、検査で何も感じなければ、味がしない旨を伝えます。

 上記各検査で、味覚を減退したと認められれば14級相当が、味覚を脱失したと認められれば12級相当が認められる可能性があります。

 味覚の減退は、上記基本の4種類の味のうち、1つ以上を認知できない場合を指し、味覚の脱失は、4種類の味のうち、すべてが認知できない場合を指します。  

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山本さんイラストsj山本、今日は熱海へ

 交通事故でにおいがわからなくなった、あまりにおいを感じなくなった、または味がしなくなった、味がわかりにくくなった、と相談されることがあります。

 味覚障害の原因は、交通事故等の外傷によるものから、加齢による味蕾の機能低下や唾液分泌の低下、亜鉛不足、ストレス、その他病気によるもの等、様々な点があげられます。他方、嗅覚障害の原因も、交通事故等の外傷によるものから、単なる鼻づまり、加齢、ストレス、その他病気によるもの等、様々です。

 交通事故で鼻や顔面の骨折、脳挫傷等がされていれば、神経や脳がやられている可能性があり、疑われることは少ないですが、そうではない場合、保険会社は高い確率で疑います。

 相談者も整形外科の方の治療費は出してくれるが、味覚・嗅覚の方は治療費を出してくれないこと、後遺障害の申請で、嗅覚障害が認められないこと等で相談に来られることがあります。

 しかし、上記相談をした方々は、大抵の場合時間が経過しすぎたために認められない場合が多くあります。

 味覚・嗅覚障害は他の怪我の場合と同様、交通事故の後に発症した場合には、直ちに医師や保険会社に相談してください。症状を早く明らかにすることはどの怪我の場合でも同じですが、器質的損傷が認められない場合(鼻や口の怪我、脳、神経の損傷がない場合)の味覚・嗅覚障害は特に大切です。整形外科の医師に相談しても、大抵の場合はそのままにせず耳鼻咽喉科を紹介して頂けます。

 なお、味覚障害か嗅覚障害となった場合、双方を患っている場合があります。その場合、味覚、嗅覚それぞれの傷害を併せて治療・検査を耳鼻咽喉科で出来ますので、併せて紹介状を作成して頂くことができます。

 しかし、病院先によっては、治療はできても検査が出来ず、今後の立証に影響が出ることがあります。必要な検査ができる病院も抑える必要があります。  c_n_2 c_n_5続きを読む »

佐藤イラストsj 本日は佐藤が担当します

 先日、病院同行にて主治医が患者さんにこのようなことを仰っていました。

 「あなたは標準体型よりも太っているから、その分頚部に負担がかかっている。まずは減量をしてみてはどうか?頚部の痛み等も軽減する可能性がありますよ。」

 このように仰ったあと、主治医は患者さんのBMIを計測し始めました。

 BMIとは、Body Mass Indexの略で「ボディマス指数」や「体格指数」とも呼ばれているそうです。肥満度を表す指標として用いられます。肥満の基準は国によって異なりますが、日本の基準では以下のようになっています。

 日本肥満学会の肥満度判定基準(出典:日本肥満学会) 

BMI 肥満度判定 18.5未満 低体重(やせ) 18.5~25未満 普通体重 25~30未満 続きを読む »

山本さんイラストsj  山本です。現在、高次脳機能障害の依頼者様を担当しています。      交通事故で高次脳機能障害となる方の家族や本人から相談が来ることがあります。

 脳を損傷したり、血腫で脳を圧迫したりした場合、様々な症状が現れます。記憶力が低下してたり、事故前と事故後で人格が変化したりした、等多種多様です。

 高次脳機能障害を立証するにあたっては、その人の事故前と事故後の変化を分析し、病院にその症状の立証に必要な検査を依頼したり、検査ができない病院であれば検査先を紹介して頂いたりする必要があります。医師は被害者の事故前を基本的に知りません。よって、人格が変化したり、記憶力が低下してももともとそういう人だったとしか見ない場合があります。脳を損傷した場合には、医師に事故前と事故後との変化を伝える必要があります。

 高次脳機能障害は脳の損傷部位によって現れる症状が変化します。これは、脳の部位によって働きが異なるからです。

 一般的には以下のように考えますが、その部位を損傷したからといって必ずその症状が現れるとは限りません。これも個人差があります。また、その部位を明確に損傷したわけではないが、その部位を損傷した場合にあらわれる症状を発症することもあります。現状の考え方はまだ脳の構造が明確になっていないところがあるからです。

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(1)前頭葉

前頭葉(左右含む)→遂行機能障害(旅行の計画を立てたりできなくなる)

左前頭葉→非流暢性失語(話すとき突っかかってしまう・ブローカー失語)   (2)側頭葉

左側頭葉→流暢性失語(話し方は流暢であるが、中身が意味不明な会話になってしまう)・聴覚失認(会話を理解できない)

右側頭葉→地誌的障害(迷子になったり、自分がビルの何階にいるのかわからなくなったりする)

両側側頭葉の内側→記憶障害(見当識障害)(日時、場所、人の名前を憶えられない等)    (3)頭頂葉

頭頂葉→失行症(日常生活の動作がわからなくなる、道具の使い方がわからなくなる)

右頭頂葉→半側空間無視(視界に入る情報の半分が脳で認識できず、何かにぶつかっても気づかなかったり、並べられた食事を半分は全く手を付けずにいたりする)   (4)後頭葉

後頭葉→視覚失認・相貌失認(人の顔を覚えられない)     先月の某新聞に、脳の構造や働きに関して180の領域に分けたと米ワシントン大のチームが英科学雑誌ネイチャー(電子版)に発表したという記事が掲載されていた。脳の構造はいまだ謎なところが多くあり、前述したように、損傷部位と症状が合致しないこともあります。

 しかし、脳の構造が解明されていけば、医師が家族でしか知りえない症状についても、脳の損傷部位から推測でき、効率的に検査ができれば治療やリハビリ、今後の生活で起こりうる支障等について診察ができるようになる可能性もあります。  

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