病院同行を励行している理由の一つにその地域の病院情報を把握することがあげられます。病院の対応に合わせて立証作業を進めますので、事前情報は何より重要です。

 話は変わりますが、CD-ROMが普及の中、レントゲンフイルム1枚=○千円の病院は困ります。レントゲン数枚であればいいのですが、MRIやCTまでフィルム(非常に観づらい)にすれば数十枚~100枚を超えます。これはもう、嫌がらせに近いと思います。このような病院への画像請求には泣かされます。 c_g_l_12

14級9号:頚椎捻挫(70代男性・山梨県)

【事案】

自動車運転中、交差点を直進中に、よそ見運転の右折自動車が衝突した。事故直後から頚部痛、指のしびれの神経症状が現れる。

【問題点】

被害者は事故前から頚部痛の治療を受けていた。したがって、交通事故による症状とそれ以前の症状を分ける必要があった。

また、交通事故で通っている病院はむち打ちでなんと毎月、計7回もレントゲンを撮っていた。さらに、画像はフィルム枚数で値段設定していたため、請求したところ合計15万円以上かかる計算になった。

【立証ポイント】

この病院は士業者等を嫌うことを数年前の案件で知っていたので、直接の面談は回避、手紙等でフォローした。予想に反して医師は既往症と交通事故による症状をしっかり区別、それなりに良い診断書ができあがった。これは同地域の病院情報に精通していた賜物。

頚椎捻挫は、画像所見が現れなくても症状を信じてもらえれば14級9号が認められるものである。MRIは提出必須であるが、骨折なくば審査上レントゲンの必要性は薄い。よって、初回撮影のみを購入して提出した。

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 亡くなった私の祖母もそうでしたが、昔気質の方の多くは医師に何を言われても「はい」しか答えません。こちらからお医者様に意見など、とんでもないことなのです。明治~昭和初期生まれの方はそれは奥ゆかしいのです。

 それでも、しっかり主訴を説明できねばよい診断書は上がりません。本件はご家族の助力により無事に等級認定に漕ぎ着けました。    

14級9号:腰椎捻挫(60代女性・山梨県)

【事案】

自動車運転中、直進道路で走行車線側を走行中、前方追越車線上で停止していた自動車を避けるために車線変更した並走自動車の追突を受ける。直後から頚部・腰部痛の各神経症状に悩まされる。

【問題点】

頚椎捻挫及び腰椎捻挫の診断を受け、その後、頚部痛は改善したが腰部痛が残存する。問題は被害者が高齢で、手続きの流れを理解することや医師と話すのが苦手な方であった。

【立証ポイント】

幸い依頼者の長女が近所に住んでおり、全面的に協力を仰いだ。病院同行に随行頂き、主訴を的確に医師に伝えることができた。結果、的確な診断書が完成、14級認定となった。 本案件はご家族の協力があってこその認定結果であったと考える。  

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win  被害者請求の場合と事前認定の場合とで、被害者自身が回収する必要のある書類の量に差がでます。 後者の場合、これまで前者に比べて非常に楽である旨を何度も述べさせて頂きました。その楽である特徴の一つとして、回収する書類が非常に少ない点にあります。  大抵、交通事故の加害者側の任意保険会社(以下、相手方保険会社と略す)が被害者にお願いする書類はたった一つに絞られます。それは、後遺障害診断書です。残りの書類、例えば、診断書や診療報酬明細書(レセプト)事故証明書等は、既に相手方保険会社が回収しているのが通常です。何故なら、相手方保険会社は、治療費等を出す際に、自賠責保険に求償するため、どのような事故なのか、どのような治療をしたのか、どのぐらい病院に通ったのかを調べるからです。

※ 求償とは、単純に言ってしまえば、本来お金を支払う者が別にいるのに、違う者が代わりに支払った場合には、代わりに支払った者が、来支払う必要のある者に対してお金を請求することです。

※ ちなみに自賠責保険の制度は国民皆保険制度に近いものであり、被害者には、契約者に代わって自らに保険金を支払うように請求する権利(16条請求=被害者請求)があります。この自賠責保険が支払う金額は、最低限度分であり、相手方保険会社の支払いよりも優先されるものです。

 もし、交通事故の被害者がまず自分で病院に治療費を支払い、その分のお金を加害者が被害者に支払い、その後、加害者は自分が加入している自賠責保険に支払った分のお金を請求する・・・このやり方ですと非常に面倒なので、相手方保険会社がサービスとして、まず、相手方保険会社が治療費を負担して直接病院に払い、その分を自賠責保険に請求することで運用するのが普通の流れです。このことを一括対応といい、長くなってしまいましたが、最後に任意社が自賠社に一括対応分を請求することを求償と呼んでおります。

 以上から、症状固定をするまで、相手方保険会社は各種書類を集めつつ治療費等を支払い続けていくことがわかります。そして、後遺症(後遺障害)の申請の際に、最後に欲しがるのは、お医者様自身が後遺症(後遺障害)と認めた点をまとめた書類だけなのです。それが、後遺障害診断書です。

 しかし、これまで様々な相談者を見てきましたが、ここまできれいにいかない場合もありました。例えば、相手方保険会社が診断書や診療報酬明細書をすべて回収せずに、病院からの領収書のみで治療費等を支払い続けている場合もあります。(もっとも自賠責保険の傷害限度120万円を超えれば、自賠責に求償する必要がなくなるので、超えた治療費は領収書で済ますこともあります。)この点、良心的な相手方保険会社であった場合、最後にまとめて回収する場合もありますが、まったく回収せずに手続きを進める場合があります。    20121107  また、後遺症(後遺障害)の申請では、我々は画像を併せて提出しますが、事前認定の場合では、相手方保険会社がすべての画像を回収せずに申請してしまうこともありました。何故、画像を回収しなかったのか?ですが、自賠責保険のパンフレットもご覧いただければわかりますが、画像は必要書類リストに入っていないことがあり、相手方保険会社も迅速に手続きを進めていきたい思惑と、後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低いとみていることから、画像回収に積極的になりにくいことがあるとみています。

 以上から、結果、中途半端な書類のみで申請にあげられる可能性があることになります。さらに、被害者からすると、申請するために提出した書類は何かがわからないまま申請が進みます。

 一方で被害者請求は、すべての提出書類と画像を用意するという大変な思いをしますが、ご自身の症状を必要な書類にまとめて、かつご自身の画像等、自ら必要な書類を確認してから提出できます。

 結論として、被害者にとって、一番安心できる申請は被害者請求であるといえます。しかし、書類等の回収が大変です。そこで、交通事故を専門としている等の士業の方々に被害者請求を依頼する方法もあります。 このようなことから、交通事故に遭われた方々は、なるべく早めに専門家等に相談することをお勧めしております。

※ 但し、士業者の中には事前認定のみしかやらない方もおりますので、相談される際には質問してみてください。  

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 今月の札幌出張は病院同行です。

 長い治療期間、骨折の治療でいくつかの病院に通いました。毎度のことですが肝心の高次脳機能障害は十分な検査が成されていません。訪問した病院では既に主治医は転勤しています。それでもまず、最初の脳外科に戻って必要な検査の実施について検討しなければなりません。

 運よく、代わりの医師は高次脳機能障害の評価に速やかに応じていただけました。続いて最後のMRI検査を経て、言語聴覚士の先生と神経心理学検査の選択について打合せをしました。ここで検査について「何をどこまでできるか」を確認、短時間ながら綿密な計画を策定します。最後に医事課と一括対応の継続について調整、これにて被害者は高次脳機能障害の立証に向けてレールに乗ったことになります。飛行機代をかけてまで随行するのはこのような流れに誘導するため、現場で話をつけることが最も確実だからです。      coordninate     それでは恒例の温泉立ち寄りをレポートします。千歳空港から50分足らずの登別温泉に泊まりました。ろくに夏休みを取っていないのでよい休暇となりました。宿はビジネス利用っぽいホテルですが、高層階からの山々が美しい。 2015082104430001続きを読む »

【事案】

T字路で自動車停車中、後続車の追突を受ける。さらに、治療中、自転車で直進中に左側道から飛び出した自動車の衝突を受けた。1回目事故の症状は回復傾向であったが、2回目事故から頚部痛と右上肢に痺れがしぶとく残った。

【問題点】

異時共同不法行為とするか否か?まずはここから検討、回復の経過から2回目事故のみで申請した。医療照会が入ったところ、訴えていた主訴「痺れ」の記載が受傷初期からないことを理由に非該当となった。

【立証ポイント】

そんなはずはない。カルテを回収・確認したところ、折り悪く電子カルテへの移行の際、手書きの所見が電子カルテに移転載されていないことが判明した。医師に「神経学的所見の推移」を記載いただくと共に、新旧カルテを付した異議申立書で事情を説明した。

このような被害者に責のないミスで等級を取りこぼすことがあります。本件は運が悪かったとしか言いようがない。それでも私の油断が招いたこと、しっかりリカバリーしました。

(平成27年5月)    

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 症状固定を急かすのは治療費を抑制したい、案件を早く消化したい保険会社の専売特許ではありません。被害者側でフォローする私達も必要があれば、被害者を説得します。理由は色々ですが、いたずらに長い治療期間が好ましい結果を生まない事例をたくさん見てきているからでしょう。    

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(40代女性・埼玉県)

【事案】

信号待ち自動車搭乗中、交差点で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、両手のしびれ、下肢裏のしびれが続いた。

【問題点】

通勤中の事故であり、労災請求が先行されていた。労災で治療費がでると、相手保険会社は負担する治療費が抑えられるため、治療費打切り攻勢が和らぎます。よって、だらだらと長い治療期間となるケースが多い。治療効果があれば良いが、社会復帰の遅れや体力・気力の低下など、患者にとって必ずしも好ましいものではない。

【立証ポイント】

おかしな話ですが本件は私が症状固定を急かすことになりました。 中途半端な回復による等級認定の危惧もさることながら、事故が長引き、社会復帰が遅れるマイナス面を感じたからです。患者の多くは治したいが故、長い治療を志向します。しかし、外傷性頚部症候群の神経症状は、医学だけに頼っては治らず、長期となれば日常のリハビリが効果的であると、どの医師も口を揃えます。被害者とて甘えてばかりでは失うものが多いと思っています。

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 8月はお盆を挟み、病院同行も少な目です。この機に事務所の書類棚を拡充、ご依頼増加に備えています。たくさんのご相談を待っております!!(ようやく言えるセリフです)

 また、日頃使用するツール(診断書や調査書)もコツコツ作っています。今まで必要ながら、時間がなくて作れなかったものです。日曜大工から書類作成まで、働き者の補助者の皆さんに作ってもらって大助かりです。

 来る受任拡大に向け、準備が整いつつあります。これにて、本来の私のビジネス属性=「営業」にターボをかけることができます。私が一番やりたい仕事は、新企画の立案・新規獲得の営業と思っています。

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win 事前認定が多く利用されるのは何故か。

 前回説明した内容から、事前認定は、加害者側の任意保険会社が、サービスで後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。この事前認定が多くなされる理由(視点)として、以下の(1)~(4)が挙げられるとみています。これらはそれぞれ重なり合う箇所があります。   (1)交通事故被害者が手続方法を調べることにまで手が回らないこと。

 交通事故に遭われた方は、ご自身の治療で大変な思いをされています。中には治療するために通院していくだけでも体力がすり減っていく者もいます。そのような方ですと治療途中で後遺症(後遺障害)の申請方法を調べる余裕がない場合があります。そのような状況で、保険会社がサービスとして申請しますといえば、頼んでしまうことも無理はありません。   (2)交通事故被害者が交通事故での手続の流れをそもそも知らないこと。

 交通事故について調べるのは、実際に交通事故にあってからであることが通常です。そして、交通事故で大怪我をし、治療しながら交通事故の手続き等を調べることは、とても困難です。ご自身の治療で忙しい中、交通事故について調べる余裕がない方の場合、次の(3)で説明致しますが、専門の方から勧められる楽な事前認定を選択することがあります。また、調べる余裕がある幸運な方は、被害者請求と事前認定とを比較できる場合もありますが、後述する(4)であげられるように、手続きが面倒で複雑であることがわかると、やはり手続きが楽な事前認定を選択することがあります。   (3)相談した弁護士や保険会社の人から事前認定を勧められたこと。

 治療で忙しいと交通事故の手続きを調べられない方もいます。そのようなときは誰かに相談します。その際に思い浮かべやすい各交通事故の専門の方として、いつも連絡が来る加害者側の任意保険会社や、ご自身が契約している任意保険会社が筆頭としてあげられます。

 これらの保険会社がアドバイスする際に、事前認定のみを勧められることが多く、またそれしか説明されないことが多いのが現状です。そうなると、被害者にとってはその情報のみが唯一の答えになりますので、事前認定を選択することが多くなります。

 では、何故、事前認定を勧めるのでしょうか。

 理由の1つとして、保険会社の担当者が、事前認定の方法しか知らない場合が多いことがあげられます。交通事故で実際に後遺症(後遺障害)が認められるレベルの大怪我をする人の割合は、交通事故全体からすると少ないのが現状です。このことから、保険会社の担当者は後遺症(後遺障害)が認められない人の処理が大多数となります。また、その担当者は年間に交通事故の処理をおよそ100件もしています。そのような多忙な中で、被害者の一部が交通事故の後も症状が残存していると相談してきたとしても、そもそも後遺症(後遺障害)が認められる可能性が低い現状、さらに、審査するところは同じなのでどちらを選択しても結果は変わならい故、担当者は被害者にとって煩雑な被害者請求よりも、簡易な事前認定をアドバイスすることが多くなります。

 また、別の回で説明致しますが、事前認定は申請者が任意保険会社であることと関連して、任意保険会社が後に交渉しやすくなる場合があることもあげられます。そして、このような事前認定を普通とする歴史を繰り返してきた保険会社からすると、相手が無保険(任意保険に入っていない)の場合しか被害者請求はしないものだと担当者は思っています。そのような方の場合ですと、事前認定しか紹介されません。   (4)交通事故被害者にとって被害者請求の手続が非常にめんどくさいこと。

 交通事故のことについて、親切な任意保険会社の担当者や、詳しい士業者の説明によって、被害者請求と事前認定とを比較して調べることができる方も近年では増えつつあります。しかし、手続きで取得する必要のある書類は多く、また怪我の内容・症状によっては、特殊な書類も必要になることもあります。そして、被害者請求の申請者は被害者自身です。よって、交通事故に遭い、怪我で大変な思いをしており、治療で忙しい被害者はそれらの書類を回収する必要があります。常識的に考えて被害者は嫌がります。しかも、事前認定は保険会社が申請してくれるのでとても楽です。よって、仮に被害者請求と事前認定とを比較できたとしても、事前認定を選択するは無理もありません。  

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 お盆休みを経て、朝晩大分過ごしやすくなりましたね。逃げ場のない酷暑は峠を越したようです。

 さて、秋からは来年の展望に繋がる仕事が目白押しです。8月の残りはまさに準備期間、まずは業務日誌の空白を早く埋めたいところです。書きたいテーマは山ほどあるのですが、日々の事務に忙殺されつつ・・来週までにまとめて更新、継続したいと思います。

 明後日からはまたも札幌出張です。涼しさを満喫したいと思います。

kuma  

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 街行く人並みもまばらになりました。

 事務所は明日から日曜日まで夏季休暇に入ります。しかし、期間中は病院同行2件、仕上げるべき書類2件、細かな事務も残っています。そして、日誌の更新も4日分溜めてしまいました。まとめてUPしないと休む気分になりません。例年に同じく、秋葉の休みは飛び飛びとなるようです。(補助者、社員の休みはちゃんと確保されていますよ!)

 一気に1週間の休みなど夢のまた夢、それでもいずれ休暇をしっかり取れる体制にしたいと思います。休むことも仕事のうちです。

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win  後遺症(後遺障害)の申請については、被害者請求と事前認定と比較して説明していきます。 c_g_a_5-118x300  被害者請求とは、端的に言えば、交通事故の被害者が、ご自身の怪我によって残存した症状(後遺症)が、等級が認められるレベル(後遺障害であること)である旨の主張を被害者自身で自賠責調査事務所に申請することです。

 自分の怪我について、一番詳しいのは医者と本人ぐらいなので、その本人(被害者)自身が申請をするのは自然な流れです。これだけ聞くと、何を当たり前のことを言っているのかと思う方が多くいらっしゃると思われます。しかし、この被害者請求は現実的には行われないことの方が多いのです。

 この点、後遺症(後遺障害)が残るレベルの怪我をする者の絶対数の割合は、交通事故全体の割合からすると多くありません。よって、後遺症(後遺障害)の申請数自体は少ないといえます。ここでは、交通事故の被害者のうち、後遺症(後遺障害)が残ってしまった者のみを前提にして説明させて頂きます。

※交通事故の発生件数  警視庁の発表によれば、平成24年は66万5,138件、25年は62万9,021件、26年は57万3,842件、と減少傾向にあり、損害保険損率算定機構(平成25年度の事業概況)によれば、交通事故による死亡者、負傷者も年々減少してきています。

 後遺症(後遺障害)の申請方法には、被害者請求の他に事前認定という方法があります。事前認定とは、通院するために治療費等を出してくれた加害者側の任意保険会社が、サービスの一環として、自賠責調査事務所に後遺症(後遺障害)の申請をしてくれるものです。後述しますが、後遺症(後遺障害)の申請方法として一番多く選択されるのはこの事前認定です。

 以上から、被害者請求と事前認定との違いとして、

 申請者が、  前者の場合は被害者、  後者の場合は加害者側の任意保険会社、  であることがわかります。

 このことのみでは単に申請者が異なるだけで別に変わらないようにも見えます。しかし、この申請者が誰であるかが、その後の交通事故被害者の行方に大きく影響してしまうことがあります。

 次回から、この申請者の違いによる観点を中心に、被害者請求と事前認定について述べていきたいと思います。  

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 本日の病院同行は新幹線に乗って他県まで足を伸ばしました。本件むち打ちの依頼者さまは、当初、弁護士に依頼して進めてきたのですが、等級審査の結果は「非該当」。やり直しの仕事となりました。

 詳しく事情を聞くと、その弁護士からMRIについて「所見がないから提出は止めましょう」と留められ、相手保険会社に後遺障害診断書のみを提出するよう指示を受けたそうです。つまり、交通事故の知識がお粗末ゆえ、提出書類不足まま「事前認定」としてしまったのです。おまけに、弁護士は単なるむち打ちながら、主治医に電話でカルテ提出を要請したそうです。

 その主治医と面談したのですが、当然ですが、法律家への不信感から苦言をいただきました。

 主治医よると・・その弁護士から電話で高圧的にカルテ開示を求められ、理由を尋ねると、「何で出せないんだ!」と逆切れされたそうです。この弁護士って・・調べてみると案の定、悪いことをして懲戒を受けている先生でした。

 この弁護士の是非は言うまでもないのですが、問題は根底にある人間性、言い換えると歪んだ職業意識ではないでしょうか。

     その日の夜、BSで映画『おくりびと』が放映されました。2度目ですがしっかり鑑賞しました。ご存知と思いますが、本木 雅弘さん演じる主人公は「納棺士」という、この映画によって認知が広まったマイナーな職業です。亡くなった人をきれいにして棺桶に治める仕事です。劇中、主人公の妻である広末 涼子さんはその仕事に偏見を持ち、最初は反対します。しかし、夫の仕事に立会い、その真摯な姿勢をみて・・その職業への意識を改めます。    okuri  この映画で特出なことは、納棺士の所作の美しさではないでしょうか。死者を送る作業随所に誠心が感じられ、凛とした緊張感だけではなく、清清しさ、暖かさやユーモアすら感じます。そして、周囲の遺族のすべてに追悼の念が沸き起こります。この映画が宗派を越えて、世界中から評価された理由がよくわかります。そこには誰にでも訪れる死に対し、”人間の尊厳”が宗教を超えて普遍的に謳われているからではないでしょうか。

   このように、真に仕事に打ち込む姿は職種に限らず「美しい」ものだと思います。「心は所作に表れる」と言いますが、心を尽くして作業に没頭する姿は人間の一番美しい姿ではないでしょうか。仕事はそのような境地で取り組むことが理想と思います。そこには損得計算、傲慢など、雑念はありません。

 そのような仕事人は美しく見えるはずです。しかし、驕慢心があっては決して美しく見えない。また、人の仕事に敬意を払っていなければ美しさを見出すこともできない。「職業に貴賓なし」と言われる通り、他人や他人の職業に敬意を払えない人には何も写らないでしょう。そして、そのような人は自らを醜く描出してしまうと思うのです。これは、医師、弁護士、どのような職業でも同じです。    私の仕事、メディカルコーディネーターも世間的にはマイナーな仕事です。人知れず日々病院に同行しています。医師にご迷惑をおかけすることもあります。なかなか周囲に理解されないかもしれません。

 それでも、私の所作は美しく見えているでしょうか?  

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 埼玉県代理店協会のセミナー講師を拝命、無事、務めてまいりました。事務所の総力をあげて準備し、灼熱の大宮に昼過ぎに入りました。37度を記録する猛暑日、空気が重いのなんのって・・。

2015080714060000  テーマはむち打ちを中心とした交通事故・後遺障害を取り上げました。県内、各社をリードする錚々たる大型損保代理店さま、およそ70代理店のご参加をいただきました。随所にギャク炸裂、ご質問も活発に頂き、楽しい勉強の時間となりました。普段は弁護士先生を対象とする講義が多い中、やはり代理店さんは昔からの仲間、親和性を感じます。 続きを読む »

 被害者に責任のない事務上のミス。これが病院内で生じれば等級は認定されません。たとえ医師の書く診断書や医療回答書であっても、絶対に正確とは言えません。誰かがチェックしなければなりません。間違ったままでも一人歩きします。

20060502 【事案】

T字路で自動車停車中、後続車の追突を受ける。さらに、治療中、自転車で直進中に左側道から飛び出した自動車の衝突を受けた。1回目事故の症状は回復傾向であったが、2回目事故から頚部痛と右上肢に痺れがしぶとく残った。

【問題点】

異時共同不法行為とするか否か?まずはここから検討、回復の経過から2回目事故のみで申請した。医療照会が入ったところ、訴えていた主訴「痺れ」の記載が受傷初期からないことを理由に非該当となった。

【立証ポイント】

そんなはずはない。カルテを回収・確認したところ、折り悪く電子カルテへの移行の際、手書きの所見が電子カルテに移転載されていないことが判明した。医師に「神経学的所見の推移」を記載いただくと共に、新旧カルテを付した異議申立書で事情を説明した。

このような被害者に責のないミスで等級を取りこぼすことがあります。本件は運が悪かったとしか言いようがない。それでも私の油断が招いたこと、しっかりリカバリーしました。

(平成27年5月)

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 一回目の事故で治療中、再度事故に遭い、同一受傷箇所に更なるダメージが加わって・・・2度の事故が重なって障害が残った場合、自賠では特別ルールとも呼ぶべき「異時共同不法行為」の申請が可能です。

 この場合、14級であれば後遺障害保険金の75万円が×2で150万円の支払いが受けられます。もっとも、最終的にもらえる額が倍になるわけではなく、後遺障害はあくまで一連の事故の結果として1つで考えます。それでも先に保険金を多く確保できます。また、自己の責任が大きい事故の場合や後遺障害の賠償金がそれ程伸びない場合など、この2回分支払いは大いに助かることになります。

 本件は2つの事故を併せて障害が等級相応にまとまった印象を受けます。  

14級9号:頚椎捻挫(20代男性・埼玉県)

【事案】

信号待ちで自動車搭乗中、後続車の追突を受けて受傷したもの。直後から頚部痛、右上肢のしびれが生じた。治療中、さらに同様の追突事故で悪化、異時共同不法行為である。

【問題点】

神経学的所見がややや甘い。検討の結果、双方の衝撃が加重されたことによる症状と判断、自賠責に「異時共同不法行為」として申請した。

【立証ポイント】

治療中に再度事故に遭う事は意外とよくあります。申請方法も事案ごとに最良の選択を検討します。  

 

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 早期相談=確実な勝利です。本例のように解決すれば、被害者の苦労は少ないのです。

 

併合14級:頚椎・腰椎捻挫(50代男性・埼玉県)

  【事案】

交差点で信号待ち停車中、後続車の追突を受ける。

【問題点】

比較的、受傷初期に相談会に参加された。やるべき事を指示し、症状固定まで順調に進んだ。 マイナス要素は「物損扱い」の事故証明書くらい。

【立証ポイント】

頚部、腰部それぞれMRI検査を実施し、症状固定時は医師面談にて確実な診断書を仕上げる。認定後も連携弁護士の交渉でスピード解決。  

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 未投稿の実績例を総ざらいします。特にむち打ち、腰椎捻挫は交通事故外傷の最多例です。なかなか全件UPできませんが、それぞれ思い出深いものがあります。  

 さて、保険会社の打ち切りに対し、病院側は患者と板ばさみで毎度苦労するものです。医師・病院によって打ち切りへの対応が別れます。およそ以下、3パターンでしょうか。   ① 患者と保険会社の争いに巻き込まれるのは面倒なので、保険会社から打診あると即座に患者を説得にかかる、または「交通事故(むち打ち)治療は3ヶ月までです!」と最初から決めてしまう、保険会社の顔色重視型

② 「保険会社の打ち切りは横暴だ!」「症状固定は医師が決める」と抵抗、治療を出来るだけ続ける戦闘型

③ それなりの所見を示し、保険会社の打切りをある程度伸ばす、もしくは相応の所見なければ、やんわりと打ち切りを患者に納得させる(健保切替えするなど)、柔軟型    しかし、本例はその例外です。医師の情熱には頭が下がりますが・・・。  

14級9号:頚椎捻挫(50代女性・埼玉県)

【事案】

自動車搭乗中、直進道路で後続車の追突を受ける。直後から頚部痛のみならず、手のしびれ、頭痛等、強烈な神経症状に悩まされる。

【問題点】

むち打ちながら治療に積極的過ぎる?医師はなかなか症状固定としない。おかげで1年8ヶ月の通院となった。その間、相手保険会社の打ち切り打診に決してケンカするわけでもなく、のらりくらりとかわし続ける医師に脱帽、ある意味すごい医師。当然ながら立証側の私達も待つしかなく・・。

【立証ポイント】

このような医師なので神経学的所見については、黙っていても詳細に記載下さった。また、上肢の温度低下を示すサーモグラフィーを添付いただくなど、斬新な試みもあった。もっとも、自賠責の審査では参考程度にしかならず14級9号に留まる。私としては早期に症状固定し、12級を狙いたかった案件でもある。  

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 これは私が25歳の時、上司から言われた評価です。   

 23歳で安田火災(現・損保ジャパン)に入社以来、気が狂ったように保険を売りまくっていた時代でした。その時の上司は頭が切れるものの、あまり周囲から好かれていなかったようです。その性格ゆえか、私達若手へは容赦ない指導をしていただきました。当時の私は保険営業の常識である、いわゆる”縁故営業”を嫌い、自らの企画で契約を取り続けました(もっとも縁故がなければ、23歳ではお手上げの業界です)。企画と言えばかっこよいですが、要するに、飛び込み営業、電話営業、チラシなど、ひたすらを汗かき、足を使い、体と精神を酷使するやり方です。それでも売上は上位、一人悦にいっていたものです(若いころは格好がすべてのアホでした)。

 しかし、このような無茶な方法は長く続くものではありません。若さと人の3倍の体力にものをいわせても、もって3年のやり方です。それを傍目に縁故やコネ、保険を売る市場を確保している人たちは悠々と売上を伸ばしていきます。そもそも平等な条件で競争しているわけではありません。社会における競争は同じスタートラインではないのです。やはり、長いレースでは敵いっこありません。そのようなことはわかっていましたが、仕事のやり方にこだわって気位が高かった、つまり、生意気だったのでしょう。この時期に上司から冒頭の人物評を頂きました。褒められたのか貶されたのか・・当時はどう受け取って良いかわかりませんでした。別の上司から噛み砕いて「バカ正直、ズルさがない」と言われました。

   それから20年以上が経過して、まったく進歩していない自分に気付きます。ご依頼を断れず、体力ギリギリの業務が続いています。性格的に手を抜けない。効率よりやり方にこだわる、格好しいのスタイルは健在です。それが、自分一人の事務所で職人気質でやっていくなら良いでしょう。しかし、現在は事務所に補助者が毎年のように増えています。頑固一徹の職人ではなく、スマートな経営者に変わらなければなりません。

 経営で大事なことは多くの啓発本で「理念と効率」と言われています。「理念」はともかくとして、「効率」については経営者失格でしょう。いくら技術があろうと、効率的に利益をだしていかなければ事業の発展はありません。俗な言い方ですと、「要領よく稼ぐ」ことが経営上、奨励されます。

 職人から経営者へ・・日々、迷いの中、まさに生みの苦しみの中にいるようです。    それでも、利口と言われるよりバカと言われる方がましな気がします。歳を重ね経験を積んだ今、周囲を見るに、利口な人は単なる「ズルい人」となり、結局は評価が下がって憂いき目に陥るようです。対してバカは愚直でも、貫けば「信念の人」に成ります。単なるバカは困りますが、信念を転じて職業者の矜持・経営理念に昇華できれば、もはや尊敬の対象です。

 私の、いえ、会社社員の、効率に流れない真っ正直な仕事は、弁護士、医師、保険会社、何より依頼者の皆様に評価されているはずです。そして、そのような評価とそれを成しうる社員が集えば、いずれ「効率」すらも凌駕する力=「信用」を獲得すると思います。その信用を長い年月積み重ねれば、いずれ恒久的な利潤を引き寄せると信じています。

 少々、甘いでしょうか?    採用した社員・補助者さん達は、決して優れた能力を持っているわけでありません。採用は人間がまっすぐであることを最大評価としています。技術など私が徹底的に仕込めば大丈夫です。変えようがないのはハートの部分です。誰しも、何年経っても譲れないものがあるはずです。私はそこを見ていきたいのです。

   20数年経った今、人物評を言い換えましょう、

 バカは困るが、中途半端な利口もいりません

    sakata  坂田師匠を本当のアホと思っている人はいないでしょう?   

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win

 人身傷害特約と無保険車傷害特約 その3

  3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使う。

 前回のまとめですが、 1:では5000万円、 2:でも5000万円を回収できますので、結論としては変化がないと説明させて頂きました。

 しかし、皆様はここで一つ疑問が出てくると思います。

 過失分は人身傷害特約で回収し残りの分は無保険車傷害特約から回収できないのか?

 本件では人身傷害特約で2500万円、残りについては、無保険車傷害特約で回収し、合計5000万円を回収できないかという流れです。この流れでは手続きも早く、交通事故の早期解決が出来そうです。では、実際にそのようなことができるのでしょうか。

 結論から申しますと、保険会社は実際の運用段階では、約款上、併用を認めない記載があり、人身傷害特約と無保険車傷害特約のいずれかしか適用を認めないようにしているところが大多数です。 c_y_39  仮に約款やホームページ等でいずれも適用できるようなことが記載されていても、保険会社の担当者はどちらかのみ適用させるか、若しくは人身傷害特約を適用させて運用していこうとします。後者は、保険会社に勤めていた方からのお話では、担当者が無保険車傷害特約を知らないからであると言われています。何故なら、担当者は無保険車傷害特約を使ったことが無く、保険会社も研修や業務で教える機会があまりないことが多いことが理由として挙げられます。

 よって、 3:人身傷害特約と無保険車傷害特約双方を使うことは現実的ではないのかもしれません。

 しかし、無保険車傷害特約は、死亡もしくは後遺症(後遺障害)が認められないと利用できないという特徴があります。  この点、交通事故の内容によっては、当初は重傷でも、腕のいい医者に巡り合うことができて、外観上完治しているような場合がありますが、目に見えない障害が残存してしまうようなケースもあります。また、治療期間が一定期間あるものの、死亡してしまったケースもあるでしょう。このように、死亡、後遺症(後遺障害)が残存するかどうかがわからない時期に保険会社が人身傷害特約と無保険車傷害特約のどちらを適用すべきかが判断できないことがあります。

 そのような場合はどのように保険会社は運用していくのでしょうか。

 元保険会社社員の方のお話ですと、この場合には、保険会社は先に人身傷害特約を適用させます。治療費(実額損害)を人身傷害特約で支払った後、後遺症(後遺障害)申請をして等級が認められた場合には、まずそのまま人身傷害特約で保険会社は運用していき、人身傷害特約の支払いで足りない分(慰謝料等)を無保険車傷害特約を適用して支払う運用をするようです。

 上記したように、無保険車傷害特約を保険会社の社員は知らないことが多く、後で気がつく場合が多いことからこのような事態が生じることもあるのです。

 前回からの比較をまとめますと、相手方加害者が保険に入っている場合には過失分、支払限度額で人身傷害特約、無保険車傷害特約のどちらが得になるのかを判断することになります。

 これに対して相手方が無保険車であった場合、弁護士の運用次第ですが、人身傷害特約、無保険車傷害特約のいずれも同額回収できますので、結論としては変化がありません。後者の場合で皆様に必要なのは、弁護士がこれらを知っているか否かを判断する力です。  

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