サッカーワールドカップ2026、日本代表が決まりました。最大の痛恨事は三苫選手の負傷でしょうか。ハムストリング損傷との発表ですが、これはスポーツ全般にみられるケガで、交通事故では未経験のままです。ただし、膝靭帯の再建術でハムストリングを採取して移植したケースを数例経験しています。ハムストリング損傷は全般的な傷病名で、頻度としては軽度の「肉離れ」「筋違い」が多いようです。

 
 肉離れ・捻挫について専門ページ 👉 下肢の後遺障害 ㉓ 肉離れ・筋違いと捻挫
 
(1)病態と治療 

 ハムストリングス損傷とは、太ももの裏側の筋肉(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)が急に引きちぎられるケガ、筋肉系のトラブルです。股関節を曲げた状態で膝を伸展する際に起こり易く、その多くは肉離れ・筋違い、筋挫傷に留まり、損傷度が高いと部分断裂、完全断裂となります。競技者では、走行やキックの動作でよく起こりますので、サッカー選手に多くなります。

 治療はまずRICEを行います(下のイラストを参照)。次いで、超音波断層撮影やMRIなどから画像診断を行い、受傷程度により治療方針を決定します。
 
 
(2)損傷度の分類と治療期間 <JISS分類>
 
 MRI等、画像検査から3つに分類されます。
 
○ Ⅰ型 僅かな損傷
 出血型(筋線維部の損傷・出血)、浮腫所見(むくみ)。腱・腱膜部に直接の損傷が無く、筋肉内または筋間(筋膜)の出血の場合。多くは保存治療となり、復帰まで1~2週間を要します。

○ Ⅱ型 部分断裂
 筋腱移行部損傷型。筋腱移行部での損傷、もしくは途絶。保存療法となります。復帰は平均1ヵ月から6週間です。

○ Ⅲ型 完全断裂
 筋腱付着部損傷型。付着部付近での腱性部の断裂、または腱付着部での裂離損傷。手術で縫合することになります。3~数カ月が必要となります。
 
 三苫選手は残念ながらこのタイプと思います。
 
(3)後遺障害

 交通事故外傷では稀ですが、半年後に深刻な障害を残すことは少ないようです。Ⅲ型の完全断裂となれば、手術で改善したとしても、痛みや不具合の残存はあるかもしれません。以前、膝の前十字靭帯の断裂で再建術となった被害者さんは、自身のハムストリングから筋腱を採取し、膝に移植しました。その後、採取した裏もも部分の痛みが残ったそうです。その点から言えば、14級9号「局部に神経症状を残すもの」の対象にはなると思います。

 残念ながら、交通事故外傷での認定は未経験ゆえ、説明はここまでとなります。