まさに、労災の落とし穴!
弊所では通勤災害・業務災害中の交通事故についても多くのご相談を頂いており、その都度、自賠責だけではなく、労災にも後遺障害申請すべきと回答しております。中には、会社の理解が得られず、労災申請を諦める方もいらっしゃいますが…。自賠責と労災で重複する部分(休業損害や逸失利益)をもらうことはできませんが、今回はその中でも逸失利益に関して、判明したことがありますので、記載します。
まず、労災で後遺障害が認定された場合には、障害一時金(認定された等級に応じた日数分の給付基礎日額を受給することができる)、定額特別支給金(認定された等級により、決められた額の給付金)、障害特別一時金(認定された等級に応じた日数分の算定基礎日額を受給することができる)という3つの給付を受けることができます。定額特別支給金と障害特別一時金というのは、相手方(第三者)がいる場合であっても、別枠でもらうことができますが、障害一時金は、相手方(多くの場合は保険会社)からもらう逸失利益と重複しており、差額しかもらえません。(障害一時金よりも逸失利益が上回った場合には、支給されません。)
ほとんどの場合、逸失利益>障害一時金となるので問題ありませんが、自賠責で非該当・労災で14級の場合はどうでしょう。自賠責では非該当なので、そもそも逸失利益はありませんが、労災で14級が認められると給付基礎日額×56日分がもらえることになります。これは、労災が自賠責よりも上位の等級認定となった場合にもあり得ることです。
この際、保険会社と示談する前に労災を請求するのと、示談した後に請求するのでは、給付が変わってしまいます。示談する前に請求した場合には、給付基礎日額×56日分の障害一時金と障害特別一時金、定額特別支給金がもらえますが、示談した後に請求した場合では、なんと障害一時金がもらえません!給付基礎日額が10,000円だとしたら、56万円ももらい損ねてしまうのです。これっておかしくありませんか?理由としては、「示談によって今回の交通事故に関する請求権限を全て放棄したとみなされる」というものだそうですが、年金の場合には、控除年数があることから、例え示談後の請求であったとしてももらえるようなのです。 以下の文言がいつからか東京労働局のHPにも載っていました。 示談を行う場合について
示談とは、被災者が交通事故による不法行為などによって他人から損害を受けたことにより損害賠償請求権が発生した場合に、第三者との合意に基づいて早期に解決するため、当事者の話し合いにより互いに譲歩し、互いに納得し得る額に折り合うために行われるものであり、その全部又は一部を自由に免除することもできます。
なお、労災保険の受給権者である被災者等と第三者との間で被災者の有する全ての損害賠償についての示談(いわゆる全部示談)が、真正に(錯誤や脅迫などではなく両当事者の真意によること。)成立し、受給権者が示談額以外の損害賠償の請求権を放棄した場合、政府は、原則として示談成立以後の労災保険の給付を行わないこととなっています。
例えば、労災保険への請求を行う前に100万円の損害額で以後の全ての損害についての請求権を放棄する旨の示談が真正に成立し、その後に被災者等が労災保険の給付の請求を行った場合、仮に労災保険の給付額が将来100万円を超えることが見込まれたとしても、真正な全部示談が成立しているため、労災保険からは一切給付を行わないこととなりますので、十分に注意してください。
したがって、示談を行ったときは、速やかに労働局又は労働基準監督署に申し出るようにしてください。その際には、示談書の写しも提出するようにしてください。
なお、同一の事由について労災保険の給付と民事損害賠償の双方を受け取っている場合には、重複している部分について回収されることになりますので、この点についても十分に注意してください。
因みにですが、先程の例のように、自賠責が非該当、労災だけ14級だった場合でも、56日分の一時金を労災が保険会社に求償するようです。保険会社としては、自賠責で非該当だったのに、なぜ労災が勝手に認定した分を支払わなければならないのか(怒!)と思うでしょう。このようなケースでは、恐らく回収不能です。労災と保険会社がどのようなやり取りをしているのか、現場の担当者に聞いてみたいものです。


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現在、弊所のご依頼者でも、NASVA施設に入院の方が1名おります。
前日のつづきです
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世に言う、3メガ損保(※)。東京海上日動、三井住友、損保ジャパン。
※ 3メガとは○○ホールディングスなどグループ企業(持ち株会社)の呼び方です。正しくは大手3社とよぶべきでしょうか。
国内社20数社から抜きんでた規模を誇る3つの巨大金融カンパニー、その補償内容については、常に他社が追従する傾向と思います。長らく全社同一補償・同一掛金であった戦後の護送船団方式は、1996年金融ビックバンより、各社、自由な掛金、自由な補償が可能となりました。それでも、会社ごとに大きな変化はなく、おおむね横並びは続いているようです。
横並びの補償であっても、ゆっくりとですが各社、約款に独自色をだしています。約款上の支払い条件などは、少々マニアック、契約する前に比較はしないでしょう。ただし、補償範囲はパンフレットで容易に比較できます。その象徴的なものとして、人身傷害保険の「交通乗用具」が挙げられます。
それでは、令和4年1月1日の改定、3メガ損保の変化を比較してみましょう。魏(東海日動)・呉(損保ジャパン)・蜀(三井住友)3国鼎立は崩れたのか、消費者(契約者)は厳しく見ていくべきと思います。あと、乗合代理店さん(複数の保険会社を取り扱う)もね。

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各社、補償の範囲はほとんど一緒ながら、一つだけ絶大な差がありました。それが、交通乗用具への補償です。交通乗用具とは、自動車や二輪車以外の乗用具の総称で、その代表は自転車でしょうか。自転車以外の乗り物は、約款で細かく指定されています。
人身傷害保険と交通乗用具の復習はこちらを 👉 
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今回3つのパターンを紹介しますが、⑴、⑵の先生に依頼すると残念な結果と迷走が待っています(弁護士名は仮名です)。
(1)交通事故経験の少ない弁護士:甘利先生

では、保険に入っていない人が、お財布を開いて治療費や慰謝料を払ってくれる確率は?・・極めて低いと覚悟するべきです。たいてい、「お金がない」か「俺は悪くない」と居直ります。
初回審査(地区審査)の精度・・私達の苦労は絶えません





