昨年の医師面談数は約200件、うち新規の医師にお会いしたのが80名ほど。そのなかで面談を拒否された医師は3名です。

 数字からみると96%強の面談率なので、面談拒否はレアケースと言えます。

 本日は珍しく面談拒否の医師でした。病院の姿勢というより医師の判断での拒否です。

 面談を拒否する医師の拒否理由ですが、多くは「患者以外の第三者の介入を断る」もしくは「診断中なのでお断り」です。この判断は診断権を持つ医師なら当然の権利です。したがって面談をしていただけること、これはありがたいことになります。もっとも正式な面談ではなく、患者の付き添いをお願いすることが大多数です。これは時間的にご迷惑をかけるわけではないので、96%の医師は特に問題なく許可となります。

 医師は患者を治すことが仕事です。それ以外の保険であるとか、賠償であるとか、これらに医師は関与したくないのです。そのような原則がある以上、昨年の96%の医師の皆様に感謝です。 

 と、ここまでは優等生的発言。

 実際、面談を拒否する医師は、単に「面倒」、「患者以外の第三者に対処できない」、「独自の哲学に凝り固まっている」、「ごう慢」・・・等々、あまり評価できるものではありません。やはりと言いますか、この医師達の評判ですが、病院内でも事務方や患者から批判をよく耳にします。病院外(保険会社、調査会社)からも良いことを聞きません。総じて難しいタイプの方が多いようです。

 したがって気にしてはいられません。被害者の診断書をしっかり仕上げて頂くことが、私たちメディカルコーディネーターの仕事です。面談叶わずとも他に方法はあります。年間200件も医師面談していれば、様々な対処が身に付くのですよ。

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 本日の病院同行は脛骨骨幹部骨折の被害者。骨の癒合は順調ですが、足首の背屈(上に反らす)ができません。脛骨(すねの骨)の中間あたりが折れたのに、なぜ足首が曲がらなくなるのか?

 そこでの医師との会話・・・

秋葉:「先生、脛骨骨幹部が折れた場合、足関節に影響を及ぼすことは考えられますか?」

主治医:「骨折の影響で周辺の軟部組織も損傷を受けているケースもあります。神経麻痺や関節の硬縮、関節の隙間の狭小化も考えられます」

秋葉:「患者さんは足を反らすと関節がぶつかって曲がらないと言っています。先生のおっしゃるとおり、これは関節の隙間の狭小化、関節裂隙(かんせつれつげき)に問題があるのではないでしょうか?」

主治医: 「ではXPで確認してみましょう・・・・・やはり狭くなっている可能性はありますね。」

秋葉: 「先生、脛骨の下方転位、足関節の軟骨損傷どちらでしょうか?」

主治医: 「両方考えられますね。でもそこまで突き詰めないと保険はおりないの?脛骨骨幹部骨折でも十分説明はつくし、そのように診断書に書いてあげるよ。」

秋葉: 「先生、保険会社は『脛の骨が折れて、癒合も良好なのに、足首の可動域制限が起きるはずがない』と考えます。証拠として画像や検査結果を示す必要があるのです!」

主治医: 「XP(「レントゲン)の画像だけではだめなの?」

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 骨折にもさまざま種類・形態があります。癒合後の変形や転位の予断ができることが、交通事故外傷を扱う者の必須条件です。

 交通事故相談の場面で単に「足の骨折です」と言われても何も予断できません。そこから足のどの部位?、どの骨?、どのような折れ方?、どのような処置としたか? 質問が続きます。

 それと当然ながら主治医の読影(レントゲンやCT、MRIを診て診断すること)が最初の判断材料となります。しかし骨折の正式な診断名も医師によってニュアンスが変わります。例えばわずかな圧迫骨折を骨挫傷(骨の表面に傷がつく程度)と判断することもあります。さらに癒合後の評価も医師の主観に左右されます。例えば変形癒合です。わずかな変形でも変形と評価する医師もいれば、「これ位は変形のうちに入らない」と判断する医師もいるわけです。では後遺障害の審査において、変形癒合か否かの判断をする場合、主治医の診断が絶対であるか?・・答えは「否」、あくまで調査事務所の判断、より詳しく言えば調査事務所の顧問医の判断に委ねられます。

 したがって後遺障害診断書に主治医が「脛骨の変形癒合」と記載しても、それだけで審査の決め手にはなりません。この医師の判断の違いによって涙を呑む被害者も少なくないのです。    医師の診断の違い、主観については致し方ないにしても、どの医師が診ても明らかに変形癒合なのに、診断書に記載してくれない場合は困ります。医師は骨がきれいにくっつくように努力した故に、「わずかな変形など認めたくない」、このような意思が働くことも想像できます。その場合、熱心に医師を説得し、感情を排した診断を仰ぎます。これも私たちメディカルコーディネーター(MC)の仕事です。  逆に微細な骨折を主治医が骨折と診断したが、自賠責調査事務所の回答は「骨挫傷」(←写真:矢印の黒ずんだところ)ということもよくあります。この場合、被害者に障害等級に過度な期待を持たないよう戒めます。そのためにもMCは読影能力を磨かねばなりません。

 私の読影結果は自賠責の判断とよく一致します。平素ご指導をいただいている先生方のおかげですが、まだまだ勉強不足です。精進を続けねばなりません。

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 先日の出来事ですが、いつもご指導いただいている整形外科医から、ご指摘(ぼやきかな)を受けました。

医師: 「最近、弁護士からの診断書等の依頼が増えているのですが・・・どうも一方的に『診断書を書いて下さい』、『意見書をお願いします』等々、的が絞れてない依頼が多いです。何が必要なのかわからなくて困っているのです。」 秋葉: 「先生、すみません」 (私が謝ることではないですが・・)

医師: 「いえ、秋葉さんは具体的な請求、最小限の依頼なので、こっちの負担もなく助かります。」

 物腰柔らかい先生なので、このような言い方ですが、これは明らかに苦言です。

 またお世話になっている他県の先生からも・・

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本日の病院同行は、足関節の骨折です。

 初回の相談時に「どこが折れたの?」と質問しても、「足首の骨折です」と返答され、本人も具体的にどこが折れたのかわからないようです。この部位の後遺障害を予断する場合、まず3つを検証します。

1、可動域制限 2、変形 3、神経麻痺

 関節部の骨折はやっかいで上記3つのうちどれか、もしくは3つ全部、障害が残り易いと言えます。そこでさらに踏み込むためには具体的に6つ聞き込みます。

1、脛骨、腓骨、距骨、踵骨のどれが折れたのか?

2、折れた部分は骨幹部、遠位端? 遠位端であれば外顆部、内顆部、それとも前後?

3、骨折の状態は亀裂?開放?粉砕?剥離?、そして固定方法は?現在の癒合状態は?続きを読む »

 被害者さんはもちろん、医療調査、病院同行を業としている方に知ってもらいたい事を。

 骨折等、交通事故外傷で後遺障害が残った場合、その部位が関節であれば、その関節の可動域に制限が起きることがあります。その制限の程度はどのくらいか?これを「関節の用廃、関節の著しい障害、関節の障害」と3段階に重篤度を判定します。これは医師、もしくは理学療法士(PT)、作業療法士(OT)がゴニオメーターと呼ばれる分度器で計測します。この計測で保険金が決まります。この角度によって数百万円もの差が生じることがあります。したがって間違えて計測されるわけにはいかないのです。

 ← ゴニオメーター 

 しかし経験上、半分くらいが不正確な計測方法、いい加減な目見当で計測されていると思います。まさか医師や専門家が間違えるはずが・・と皆思います。しかし断言します。日本整形外科学会の基準通りに正確に計測されることは少ないのです。

 これは整形外科の医師から聞いた話ですが・・・「医大時代、さらっと見ただけでよく勉強していない。試験にも出てこない。これを専門的に勉強するのはPT、OTで医師は専門ではない」と。医師は教科書にでている計測方法を見たことがある程度で、実習をしているのはPT、OTのみです。私も仲間と練習したり、何人もの障害者を計測した「実習」の結果マスターしたのです。したがって実習経験もない医師は自己流の計測になりがちです。実際、計測方法は一つではなく、2~3種存在します。  勉強熱心な医師は、臨床の場で専門書を見ながら正確に計測する実践を積んでいます。しかしこのような医師は少数と覚悟しなければなりません。

 では専門家であるはずのPTやOTの先生なら安心でしょうか?もちろん正確な計測方法を熟知しています。資格取得の試験にもでてくる内容ですし、なにより実習を積んでるからです。しかし油断はできません。

 普段、PT、OTの先生はリハビリで患者の機能回復訓練を行っております。リハビリ室で「はい、今日は少し頑張って曲げてみましょう」と言いながら、患者の膝をぎゅーっと曲げています。これは訓練なので、患者は痛くても頑張らなければなりません。訓練、リハビリであれば当然の場面ですが、困ったことに後遺障害の計測の時においてもぎゅーっと曲げる先生がいるのです。

 後遺障害診断における計測値はエンドフィール(関節終端感覚)と呼び、痛くて「もう曲がりません!」と感じるところを限界としています。ですので機能回復訓練のように頑張って痛みに耐え、限界を超えて曲げたところではないのです。なぜなら日常生活で痛みをこらえて限界まで曲げることなど通常生じないからです。このエンドフィールが障害の生じる角度なのです。これを勘違いしている医師やPT、OTの先生も多いのです。

 計測では2つの値を測ります。

① 自動値・・・患者が自分の意志で曲げる限界点

② 他動値・・・補助者が手を添えて曲げる限界点

関節可動域制限では、機能障害は②の他動値で判定します。神経麻痺の場合、例外的に自動値で判定します。続きを読む »

 事故で相当の外傷が無いのに神経性麻痺となり、上肢または下肢、あるいは四肢が動かなくなる患者がいます。またケガは完治しているのに症状が変わらない、むしろ麻痺はひどくなる。昨日の年間ランクで「心因性ジストニア」は8位に甘んじましたが、今後上昇株の事故外傷「難病・奇病」の一つです。

 多くは外傷性頚部症候群のカテゴリー、頚部神経根症による末梢神経障害と思われます。頚部から手指までしびれが残り、手の感覚異常、握力低下となります。しかし腕が全く動かなくなるのは頚髄損傷のレベルです。どうにも症状が重すぎる。そしてどんどん悪くなっていく。これは心因性と考えられます。

 人間の心(精神)が体に強い影響を持っていることは多くの臨床実験でも解明されています。自分が病気だと思い込み、その思い込みが強ければ強いほど、本当に体が悪くなります。「動けない」と思えば本当に動かなくなるのです。これは交通事故など第三者の加害行為で、理不尽な被害を受けた患者が、強い被害者感情と結び付いたためと想像できます。長期にわたる痛みや加害者側の保険会社や医師の冷たい対応も相まって、精神的に追い込まれます。普通、受傷直後がもっとも重篤で日ごとに軽快するのがケガの常識ですが、このような周囲の無理解の影響で心身ともにどんどん病んでいくのです。

 体はそれほどひどい症状ではない、痛みやしびれはそれほどでもない、ケガはほとんど治っている、ちゃんと体は動くはず・・・

 そこで思い出すのが「クララとハイジ」です。

 クララの病気は下肢麻痺です。偏食と閉じこもりがちのせいか、ビタミンD不足の「くる病」と思われます。

 医師の治療でもう治ったはずとされていますが、本人はまだ立てないと思っています。事実、立てないのです。

 男性視聴者も病弱美少女に萌え気味です。それに業を煮やしたのか、主役の天然元気少女ハイジがクララを叱責します。ある意味、超無神経なハイジが・・・

「クララのバカっ! 何よ意気地なしっ! 一人で立てないのを足のせいにして、足はちゃんと治ってるわ、クララの甘えん坊! 恐がり! 意気地なし! どうしてできないのよ、そんな事じゃ一生立てないわ! それでもいいの? クララの意気地なし! あたしもう知らない! クララなんかもう知らない!」

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 遅れがちの日誌も追いついてきました。

 さて今年を振り返る時期です。今年もたくさんの交通事故相談会に参加しました。正確な集計データは年明けに発表しますが、ざっと数えただけでも30回、一回平均12人としてもおよそ360人の被害者さんとお会いしたわけです。

 ほとんどの被害者は何らかの解決策を講じて前へ進ませます。しかし、どうにもこうにもらちがあかない被害者さんもいます。それは謎の重症、因果関係のはっきりしない症状を訴える患者です。この方たちのほとんどが骨折や入院などの重症事案ではなく、むち打ちや打撲捻挫を契機として、受傷から日を追うごとに悪化し、ひどい症状に陥ります。当然、加害者側の保険会社は詐病(うその病気)、心因性(心の病気)として、冷たい対応に切り替わります。保険会社だけではなく、病院ももてあまし気味、さらに自らの職場や家族にとっても困った存在に陥ります。

 

そこで心因性?と疑われる、今年の被害者、難病・奇病 年間ベスト10

 

1 MTBI 脳の傷病名もなく、些細な衝撃で脳障害を訴える… 今年、堂々の1位を獲得! 不定愁訴を訴える患者はすべてMTBIと診断する医師の活躍のおかげか?この業界での勢いはAKB48並み。 2 脳脊髄液減少症 ムチ打ちで脳の髄液が漏れた! 続きを読む »

 最近鎖骨の脱臼、亜脱臼の相談が続いています。多くは胸鎖関節ではなく肩鎖関節の脱臼です。

今日の病院同行もGradeⅡの被害者さんです。まずこのGradeとは

 

 

分類

肩鎖関節の脱臼は3段階に分けられます。これをtossy分類とよびます。

Grade1 靱帯の軽度の損傷のみで捻挫と同様、明らかな脱臼はない。 Grade2 肩鎖靱帯の損傷があり、亜脱臼位 を呈する。 Grade3 肩鎖靱帯損傷に烏口鎖骨靱帯の損傷が加わり、完全脱臼位を呈する。

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<トランス・コスモス健康保険組合の発表から>

 保険者代表として参加したトランス・コスモス健康保険組合の美山博邦常任理事は、捻挫の症状で柔道整復に1年間通ったり、医師の診断よりも負傷部位が増えるなどの不自然な事例を報告した上で、「『手技』や『後療』の定義を明確にするほか、長期施術の実態について明らかにしてほしい」と訴えた。さらに、「国は、『給付は保険者の義務』としているが、払い過ぎた保険料の回収は『保険者の義務』としていて、保険者の財政が保護されない」と指摘し、国の姿勢を批判した。 JCOAの医療システム委員会の山根敏彦委員は、医業類似行為の広告の実態を報告。「交通事故治療」とうたっているケースや、雑誌に広告か記事かが分からないような形で文章が掲載されているケースなどを問題視した。山根氏は、柔道整復が広告に掲載できない例として、

(1)「各種保険取扱」をうたうこと

(2)「交通事故」「労災」「生活保護」を記載すること

(3) 料金を広告すること              などを挙げた。

 その上で「厚生労働省にも、しっかり監視するように申し入れた。違反する広告を見た場合、県の担当部局や保健所に通報するのが良いのでは」とアドバイスした。山根氏は、柔道整復師の療養費の適正化の動きが出てきたことを踏まえて、「今後はあん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費が、大きく増えていく可能性がある」との危機感も示している。   <解説、意見>

 各種保険適用は×であっても、慢性的な腰痛にも親身に施術してくれる整骨院・接骨院や針鍼灸・マッサージは一定の治療機関として、その存在は欠かせません。しかし、昨年私の実家の近所に「マッサージ無料!」の広告がドンと掲示された接骨院が開業しました。チラシにも「マッサージ30分無料」とあります。それを見た父が試しに行ってみたようです。何故か健康保険証持参で。そして、お財布からは広告通りお金は払わなかったのですが、しっかり健康保険の提示を要求され、健康保険から施術料を請求したようです。(この院、後に閉院となりました)    「どこが無料やねん!」 思わず関西的な突っ込みをしてしまいました。    このような例から、柔整師の保険請求にはモラル的な問題が散見されます。とにかく柔整師の施術料請求にはトラブルが頻発しています。このエセ無料マッサージ、しかも、急性期としての治療など必要ない患者に対する施術料は、皆の健康保険の掛金から捻出されているのです。医療費の健康保険財政の問題はその支出の増大から国家の一大問題です。やはり不正・不当な請求に対しては厳しい監視が必要です。    背景には・・・「2000年から2010年にかけて柔道整復師が2万人近く増えて、5万428人となったことなどを報告。」・・・増えすぎた柔整師と競争の激化が背景にあると思います。もちろん素晴らしい技術と精神を持った先生もたくさん存在しますが、技術・モラルの低下傾向も指摘されます。それは3年間半日程度通学しただけで80%が合格する試験制度にも問題の温床があると言えます。準医療行為とはいえ、人の生命・健康にかかわる仕事なのですからそれなりの重みは必要ではないでしょうか。

 とくに交通事故受傷者で自賠責保険での施術に対しては、柔整師は医師の診断・治療を経てから指示・紹介のある患者を受けもつ・・現状、この連携体制が徹底されていないように思います。柔整師は応急処置以外では疼痛の緩和が主目的のはずです。整骨院・接骨院が医師の紹介状なしに、急性期の患者の施術(少なくとも健保、労災、自賠責を使った)をすれば罰則、にまで厳しくすべきではないでしょうか。これですべてが解決するとは思えませんが、各種保険に対して、医師の初期診断や紹介状で保険治療の判断が付与されれば、無駄な保険利用の施術には抑制が効くはずです。

 

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JCOAの自賠・労災委員会の山下仁司委員長は、医療機関と柔道整復の受診(受療)形態について、4パターンに分類しています(少し補足を加えてあります)。

(1)柔道整復にかかった後、医療機関にかかる「経過後受診」

事故と後遺症の関連性が不明なままに、患者が後遺障害診断書の依頼のために病院に再診に来るケースが「悪質」と指摘し、「施術証明書を、診断書と同様に扱う警察があるのが問題を大きくしている」と指摘。

(2)柔道整復の前後に医療機関にかかる「なか飛ばし」

 損害保険会社が推奨しているケースもあると言い、「診断書に『医業類似行為での施術には同意していない』旨を明記すればトラブルは避けられる」とした。

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【質問】  MRI検査をすべきとのご教示ありがとうございます。主治医に相談したところ、「閉所恐怖症はないですか?」と聞かれました。私は閉所恐怖症なので、検査できるか不安になりました。どうしたらよいでしょうか?

【回答】

 MRIは筒状のトンネルに入り、30分もじっとていますので、確かに苦痛です。しかし最近国産メーカーで解放感のあるマシンが開発、普及が進んでいます。日立メディコの製品で開放型と呼ばれています。ちなみに大手フィリップス社も開発・発売しています(2億円らしい)。  難しい説明を避けますが、MRIは磁気を体に通し、体の成分が磁気に反応する様子を写します。したがってトンネル型は大きい円形の磁石の中に入り、磁気の中に体を通すイメージです。対してオープン型は、より強い磁気を体の一部に放射して写しこみます。

 医師に開放型(オープン型)を導入している病院の紹介を受けるとよいです。もし探せなければ私からも紹介可能です。

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 昨日は六本木相談会で、10名の相談者を担当させていただきました。弁護士、メディカルコーディネーター、行政書士、保険調査員、各分野のプロフェッショナルが総力をあげて対応しました。

 今回珍しい事例がありました。それは舟状骨骨折とTFCC損傷が右手首に同時に受傷、そして左手首にTFCC。手首の受傷では小指側を痛めるTFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷:さんかくせんいなんこつふくごうたいそんしょう)、親指側を痛める舟状骨骨折のどちらかのケースになりますが、両方が併発しているケースは初めてです。また舟状骨は破裂骨折をしており、2か所の亀裂を確認しています。この場合、癒合状態が後遺障害の程度の大きなポイントになります。

      

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 ロキソニン、リリカにつづきトラムセットについて。トラムセットも痛みをおさえるお薬です。慢性疼痛や抜歯後の痛みに用います。私はこの3薬を勝手に「痛み止め御三家」と呼んでいます。

【適用】

 一般的な鎮痛薬では十分な効果が望めない痛み、たとえば しつこい腰痛症や変形性関節症関節リウマチ、帯状疱疹後神経痛、糖尿病性神経障害性疼痛、線維筋痛症、あるいは骨削除を必要とするような難治な抜歯後などです。  交通事故外傷では最初から服用されることは少なく、ロキソニンやリリカで効き目がない、副作用がある場合などに、交代して登場します。しかし医師によってはその副作用から、やや敬遠される薬でもあります。

【薬理】

 2種類の有効成分からできている鎮痛薬です。第一の成分はトラマドール(トラマール)。オピオイドと呼ばれる特殊な鎮痛薬で、ふつうの鎮痛薬が効きにくい神経痛などによい効果を示すのが特徴です。麻薬系オピオイドの代表はモルヒネです。モルヒネに比べれば作用がおだやかで副作用も少ないと言われています。  もう一つの配合成分は、昔からあるアニリン系解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン。こちらは、痛みの神経に働きかけ、痛みに対する感受性を低下させて痛みをしずめます。必ずしも強力とはいえませんが、安全性が高く、各種の痛みに汎用される良薬です。処方薬としてはもちろん、一般薬の多くにも採用されています。  これら2成分がいっしょに作用することで、鎮痛効果の早期発現、効果増強、作用時間の持続がはかれます。

【副作用】

 通常、1日4回、1回1錠です。服用間隔は4時間以上空ける必要があります。アスピリン喘息(鎮痛薬や解熱薬で喘息発作を誘発)のある人は使用できません。てんかん、胃潰瘍、血液の病気、肝臓病、腎臓病、心臓病、喘息など、その病状により使用できない場合があります。市販のカゼ薬や解熱鎮痛薬の多くにアセトアミノフェンが配合されています。この薬と重複することになりますので、これらとの併用は危険です。  また、抗うつ薬と飲み合わせると、セロトニン症候群やけいれんを起こしやすくなる可能性があります。当然ですが飲酒は控えます。多量のアルコールにより、めまいや眠気、肝障害、呼吸抑制などの副作用がでやすくなります。重い副作用として、けいれんと意識消失が報告されています。めったにないと思いますが、もともと てんかんや脳に病気のある人はより注意が必要です。  また、長期服用中に急に中止すると、イライラ、興奮、不安、不眠、震え、吐き気や嘔吐など反発的な症状が現れることがあります。モルヒネのような依存性も指摘されています。したがってトラムセットを「麻薬系?」と呼ぶことがあります。もっとも鎮痛剤の多くは麻薬と成分が同じなのですが。

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 一般的には神経痛をやわらげる薬として知られています。交通事故外傷では末梢性神経障害性疼痛に用い、むち打ち、外傷性頚部症候群で上肢~手指、腰痛打撲で下肢に、それぞれ痛みやしびれが生じる神経症状の緩和のために服用されます。打撲や打ち身の痛みにではなく、神経性の痛み、しびれ等に処方されるところが単なる痛み止めとの違いです。

【適用】  神経障害性疼痛は、神経の損傷から起こる痛みです。このうち脳や脊髄以外の末梢性のものを”末梢性神経障害性疼痛”といいます。代表的なのが、帯状疱疹のあとに残る”帯状疱疹後神経痛”、糖尿病にともなう”糖尿病性神経障害”、”三叉神経痛”などです。  また、慢性腰痛においても、神経障害が複合要因のひとつとしてあげられます。痛みの感じ方はまちまちですが、ピリピリと焼け付くような痛みは ときに激烈で耐え難いです。  今までリリカ(プレガバリン)は帯状疱疹後の神経痛にのみ使用可能でしたが、平成22年10月に末梢性神経障害性疼痛の適応を取得したため幅広く使用できるようになったのです。

【薬理】  ちょっと難しい話になります。過剰に興奮した興奮した神経系統において、電位依存性カルシウムチャネルの機能に対し補助的な役割をになうα2δ(アルファ2デルタ)サブユニットと強く結合します。すると、神経シナプスにおけるカルシウム流入が低下し、グルタミン酸等の興奮性神経伝達物質の放出が抑制されます。その結果、神経障害性疼痛がやわらぎます。

【副作用】  以下の初期症状等に注意が必要です。 心不全…息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、体重増加。意識消失。意識がなくなる 横紋筋融解症…手足のしびれ・けいれん、手足に力が入らない、筋肉痛、歩行困難、赤褐色の尿。 腎不全…だるい、吐き気、むくみ、尿の濁り、血尿、尿が少ない・出ない。 血管浮腫。顔や唇、舌、喉がひどく腫れる、飲み込みにくい、息がしにくい、手足が腫れる。 低血糖…力の抜けた感じ、ふるえ、さむけ、動悸、冷や汗、強い空腹感、頭痛、不安感、吐き気、目のちらつき、イライラ、眠気、ぼんやり。さらに重くなると、異常な言動、けいれん、昏睡(意識がなくなる)。

 リリカの代表的な副作用は、眠気を催したり、めまいやふらつきです。とくに高齢の人は、それらの症状から転倒や転落につながるおそれがあります。当然、飲酒は控えるべきで、アルコールとの飲み合わせで、より眠気やめまい、ふらつきなどを起こしやすくなります。

【さらにMC向け注意】  リリカは、カプセル25mg、リリカカプセル75mg、リリカカプセル150mgと含有量別に調節されています。濃度は医師の指示を守って服用します。ふつう、少量から開始し、効果や副作用をチェックしながら1週間以上かけて増量していきます。そしてめまいなどの副作用が強いときは濃度・回数を下げます。  以前75mgを1か月飲み続けて「(むち打ちから3か月経っているのに)めまいがひどくなった・・・」被害者さんがいましたが、これはリリカが強すぎたことが原因と思いました。早速、医師にこれを訴えて、25mgに変更、服用の回数を減らしてもらいました。  バレリュー症候群のような不定愁訴はリリカのせい?もありえるのです。痛み、しびれを強く訴え続けると医師も処方濃度・回数を減らす指示をしない(忘れる?)ことがあります。

 この辺に気を配るのもMCの仕事と思います。

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 たまに取り上げる超簡単解説「薬」シリーズ。やはり痛み止めと言ったらこれ!当然に交通事故外傷でも処方されることが多い薬です。

ロキソニン

 解熱鎮痛消炎剤。第一三共や後発医薬品として各社から発売されています。かつては劇薬で医師の処方箋を要したが、現在は劇薬指定を解除され、処方箋がなくとも後述のようにドラッグストアなどでも入手できるようになりました。一般用医薬品としてはロキソニンS錠が第一類医薬品として発売されています。  正式名はロキソプロフェンナトリウムというナトリウム塩の一種。効能は炎症をしずめて、腫れや発赤、痛みなどの症状を抑制・解熱する。ただし、対症療法薬なので、熱や痛みの原因そのものを治すことはできません。 しかし効き目は周知の通り、痛み止めの定番薬です。

■ 適用

 変形性関節症、慢性関節リウマチ、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、筋肉痛、腰痛、急性上気道炎、歯痛、手術後の鎮痛など、ほぼ万能鎮痛薬です。

■ 薬理

 簡単に説明しきれませんが・・炎症や発熱を引き起こすプロスタグランジン(PG)という物質の生合成を抑制し、プロスタグランジン(PG)の合成酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することにより効果を発揮する。

■ 副作用

 発疹、かゆみ、皮膚障害、胃部不快感、腹痛、まれに間質性肺炎やアナフィラキシー様症状、肝障害や腎障害などが報告されている。 消化管出血、穿孔などを起こすこともあり、注意が必要。 やはり胃への負担が大きく、痛みが我慢できずついつい朝昼晩と服用が多くなり、胃炎になった人が多いように思います。  他の薬との飲み合わせに注意が必要。特に、メトトレキサート(抗リウマチ薬)、キノロン系抗菌薬、ワルファリン(抗凝血薬)、チアジド系利尿薬、糖尿病薬。その他、アルコールは肝臓、胃などへの副作用を増幅する。

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先日の記事「橈骨神経浅枝麻痺」から質問を頂きました。

「メチコバールってよく聞くけど何?」 

お答えします。(それほど難しい薬ではありません)

 メチコバールは4種類あるビタミンB12の一種で、神経修復作用を持ち、活性型ビタミンB12と呼ばれています。ビタミンB12の中でも、体内で利用されやすく、末梢神経に直接作用します。末梢神経とは体の隅々に張り巡らされた神経で、文字通り指先など末端に伸びている神経です。感覚を伝える神経ですので、この神経が損傷すれば、当然痛みやしびれも伝えることになります。ビタミンB12は末梢神経に作用し、傷ついた部分を修復し、外傷後の神経症状のみならず、肩こりや腰痛のつらい痛みやしびれ感を緩和する効果があります。ビタミンB12は末梢神経の構成成分であるタンパク質やリン脂質を体内で生成する働きをするからです。 

 ちなみにメコバラミンとも呼び、製薬会社により表記名を違えています。現在どちらの名前でもジェネリック製品が出ており安価になっていますが、ただのビタミン剤の割には高価な薬です。交通事故の場合、有無を言わせず正規製品となります。しかし病気で受診の場合は「ジェネリック薬品で」と医師に伝えて下さい。

 メチコバールは末梢神経のしびれ、痛み、麻痺などに使用される薬剤で、たとえば、顔面神経麻痺、坐骨神経痛、大腿神経痛、上肢、下肢のしびれ痛み、などによく処方されます。しかし交通事故のむち打ちで手指がしびれる場合、骨折後の神経症状に対し、劇的に効いた話は聞きません。もちろん服用自体は良いと思いますが、しびれや麻痺の程度がひどい場合、手術(神経縫合術、神経移植術、神経剥離術・・・文字通り切れた神経をつないだり、他から移植してつないだり、周辺を切って広げたりする手術)の対象です。

 手術には踏み切れないが、事故後しびれや異常感覚が続く方はほとんどが保存療法と併せて処方されることが多いです。ビタミン剤なので副作用も少ないのかと思います。

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最終更新:2019年11月25日

週末の相談会から~  橈骨神経麻痺にも種類、程度が・・・ 復習・・・腕・肘の後遺障害 8 橈骨神経麻痺

橈骨神経麻痺には手首や指の動きが全く障害されずに、しびれ感覚だけが残存する場合があります。これは橈骨神経麻痺でも特に橈骨神経浅枝麻痺(とうこつしんけいせんしまひ)が疑われます。

 

橈骨神経は浅枝深枝(後骨間神経)に分かれます。

 

◇橈骨神経の深枝(康橈骨神経)が損傷すれば、手首自体が動かなくなり、麻痺がひどいと下垂手となります。

 

◇浅枝は前腕で腕橈骨筋の深部を前外側に向かって走り、手首の手前、親指側の表皮に達します。

この神経は知覚枝であり、感覚を司るだけなので手関節、指の動きに影響はありません。

 

手の甲の感覚が無い?橈骨神経浅枝麻痺の可能性!後遺障害の立証を

 

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 先日の弁護士セミナーにて、S先生の講義から得た事がたくさんありました。研修資料をもとに、いくつかの論点を語っていきたいと思います。

 まず、MTBIと高次脳機能障害の区別についてです。これは以前も取り上げてきたテーマですが、数千件の高次脳機能障害の評価とMTBI患者の診断を行ってきたS医師の解説で、ようやく一定の理解を得ました。

 MTBIは外傷軽度脳損傷の略で、WHOの基準が良く知られています。これをベースに行政側が障害認定をする上で高次脳機能障害と区別しています。    詳しくは 👉 高次脳機能障害の立証 13 <新認定システム> 6    言葉通り、外傷による軽度の脳損傷(と推測される)患者は、現実に多くの症例が報告されています。臨床上の基準であるMTBIは、PTSDや高次脳機能障害の症状を含み、症状の類別はかなり広範囲です。問題はこの診断名が、補償制度や労災、自賠責などの対象外のものとする、行政側の定義と混同することにあります。臨床診断からの「広義のMTBI」と、補償制度の認定基準外と位置づける「狭義のMTBI」、このダブルスタンダードをS先生はご指摘されました。これは後日詳しく解説します。    ・・・S先生は、まずMTBIの症状について説明下さいました。以前、S先生の診断に一度立会ったことがります。患者に対し専門用語を控え、例え話や道具を使い、とてもわかりやすいものでした。    今回の研修では「あしたのジョー」を引用して下さいました。S先生へ敬意を込めて、秋葉なりに追補、まとめました。  

まず「あしたのジョー」を30秒で説明

 1968年連載のボクシング漫画。テレビアニメ放映、アニメ映画化。最近は山下智久さんの実写版も公開されました。

 主人公、矢吹丈という不良少年が南千住 泪橋にふらりと現れます。そこで元ボクサーの丹下段平に見いだされ、ボクシングの指導を受けます。

 その後、少年鑑別所を経てプロボクサーとなり、鑑別所で出会ったボクサー力石 徹とリングで再戦します。しかし試合直後、力石はジョーのパンチがもとで死亡してしまいます。そのショックでスランプに陥るもののカーロス・リベラとの戦いで復活します。

 その後も数々の強敵と戦い、自身もパンチドランカーとなりながら、ついに世界チャンピオン ホセ・メンドーサと対戦します・・・  

強敵カーロス・リベラ戦、そして廃人となったカーロス

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