おはようございます。今日は4年に1度の2月29日ですね。

 昨日は研修会の事後に関する挨拶や相談、問題処理に忙殺されました。来月も引き続き実り多い勉強の場にしたいものです。

 さて、既に月曜から病院まわりは続いています。今日は神奈川県藤沢市~埼玉県川越市、移動距離もけっこうなものです。その合間、移動時間に様々な事務を消化させます。日々の足を使った業務が強固な医療ネットワークを作り上げるものと思います。頑張らねば!

 先日、講義でレントゲンやMRIの画像断について解説しました。絵が下手だの不評を買いましたので、少しリベンジ。ネットでよい絵を見つけました。

←これじゃダメか・・・

    赤:矢状断     青: 冠状断     続きを読む »

 骨折の場合、医師は当然XP(レントゲン)を写して骨折箇所を確認します。

 そして骨の癒着を観察するために定期的に撮影が続きます。

 中には無駄とも思える回数の撮影を続ける病院もあります。これは点数(医療費稼ぎ)のためとも思ってしまいますが・・・。

 さて、半年~1年後、骨の癒着がなされ、いよいよ症状固定です。しかし、痛みの残存がひどい、関節が曲がらなくなった、しびれがあって指がよく動かない・・・なにかと症状が残る場合があります。

 そこで、「医師チェック」です。

手首の骨折を例にとります。以下の回答例を参考にして下さい。

Q) 先生、痛くて手首がよくまがらないのですが・・

Bad Dr.) 骨はきれいにくっついたんだから、リハビリを頑張って

Good Dr.) 

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 器質的損傷がないとき。

 器質的損損傷とは骨折、靭帯損傷、軟骨損傷など目に見える(レントゲン、MRIに写る)ケガのことです。

 交通事故外傷ではしばしば、これら目に見えるケガがないのに痛みや痺れなど不調を起こすことがあります。そして自分しかわからない苦しみを抱え、医師の治療も効果が表れず、立ち往生してしまいます。相手の保険会社からも「嘘のケガ?」と疑われて、ますます精神的にも衰弱していきます。

 現在、医学や検査方法の進歩によって、神経麻痺や自律神経の失調など検査、診断が可能な傷病名もありますが、すべての症状が解明されたわけではありません。「私は脳脊髄液減少症、MTBI、CRPS、胸郭出口症候群なんです」・・・お医者さんでもめったに口にしない傷病名をすらすら挙げてくる被害者さんもいます。もちろん医師から確定的な診断をされたわけではありません。現実に専門医からそのような診断を受けることは稀なのです。その中には心身症、心の病気の範疇に入る方も残念ながら大勢います。

 患者が一番不安な事・・・それは原因不明の症状に悩まされ、処置の方法、改善の希望が見えないことです。だから(珍しい)傷病名にすがりつくことになります。 もちろん、原因の精査・検査、専門医の診断を仰ぐことは大事です。しかしそれでも原因を特定できないこともあるのです。

 やはりケガを克服するのは患者本人です。病院も薬もそれを助ける手段でしかありません。いつまでも「気の毒な被害者」で落ち込んでいてはいけないと思います。傷病名にすがりついて安心するより、前向きに不調と付き合い、しっかり治療をこなし、早く社会復帰してもらいたいと思います。                        

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 先週に続き週末3日間は赤坂のホテルに缶詰。相談会を挟んで打ち合わせも山盛りで、くたくたの3日間でした。

 この相談会、先日の具体例からどんな内容か少し紹介します。     ○まず可動域の計測をしちゃいましょう

 理屈よりまずその場でゴニオメーター(関節計測用定規)で測ってしまいます。

「ええと・・掌屈25°、背屈30°、このまま回復しなければ10級ですね」。 

 ここから後遺障害立証計画がスタートします。被害者は解決への道筋がぱっと開けます。

 

○ 画像を確認します

 「肩の腱板損傷?じゃ画像見せて」 (T2で高輝度所見がでています) 「おお、棘上筋が部分断裂してますね」 

 次に手術するか先に症状固定するか検討に移ります。

 器質的損傷が定かではないのに話を進めても意味ありません。画像を診ずに後遺障害を語るのはナンセンスです。

○ これが12級獲得の条件です

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 続いて開放骨折にについて。  

■ 開放骨折 (open fracture)

 開放骨折とは、折れた骨が外皮を突き破って飛び出ることです。説明しただけで痛そうです。初期治療では徹底的な洗浄、そして破傷風防止から抗生物質の服用が必須です。開放創からの感染に注意を払っていきます。  

ガステロ分類と感染リスク                        

   タイプ Ⅰ             タイプ Ⅱ     ...

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 骨折シリーズ続けます・・・

(1)骨折の分類   まず学術的な分類から

1、完全骨折   

  完全に連続性が絶たれている。

2、不全骨折   

  骨梁が途絶しているが、骨全体の連続性は維持。若木骨折など。

3、病的骨折   

  骨腫瘍など局所の骨強度の低下による。

4、疲労骨折   

  健常な骨に繰り返し付加が加わり起こる。行軍骨折。 ・・・剣道部時代が懐かしいです。

5、脆弱性骨折 

  骨粗鬆症など脆弱な骨に軽微な外力が加わり生じる。・・・高齢者がリハビリ中に起こす例があります。

6、不顕性骨折 

  X線で検出できない骨折。MRI、骨シンチが有用。 ・・・立証にも力が入ります!

7、骨挫傷

  骨折に至らないが、骨内出血がみられる。MRIが有効。 ・・・器質的損壊と呼ぶには弱いです。

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 骨折と一口に言っても、その折れ方にいくつかの分類があります。

 最近の例ですが・・・圧迫骨折なのか骨挫傷なのか? 

           骨幹部骨折なのか骨顆部骨折なのか?

           複雑骨折なのか粉砕骨折なのか?   

 このよう臨床での判断を迷っているケースを見ます。

 もちろんこれらは診断した医師が判断します。しかしどっちつかずの微妙な画像所見の場合、医師の主観で左右される結果となります。その骨折具合の判定も後遺障害の認定に少なからず関わってきます。

 したがって臨床においての骨折状態を正しい後遺障害診断に結び付けるため、骨折について正確な知識が必要です。

 例えば圧迫骨折における圧壊率は等級認定上の条件に重きをなします。また関節可動域制限も骨顆部(関節の部分)の骨折では説明がつきますが、骨幹部(骨の両端を除いた幹の部分)の骨折では可動域制限の根拠になりづらいのです。

 下肢の骨、大腿骨(太もも)と脛骨(すね)で見てみましょう

骨幹部 

骨顆部 骨の末端の一方ですが心臓から遠い方は 遠位端です 骨顆部 続きを読む »

 交通事故で医療立証をする際、意外と軽視されている「受傷機転」について。

 医師が診断書に書くことは当然、ケガの具合や治療内容、画像所見、残存する障害等になります。しかし交通事故外傷とそれら症状・障害を結び付けるのは事故・受傷の状況です。

 例えば追突されてムチウチや頚部症となることは容易に想像できます。しかし ・・

① 「追突されて、肩腱板を損傷しました」

② 「追突されて、嗅覚がなくなりました」

・・・こう説明されても審査する者は 「?」 です。「なんで追突のショックでそうなるのよ?」と思うのが自然です。医師の診断書では客観的に医学的見地を証明しますが、そのケガに至った状況と合理的な説明が曖昧では入り口でつまづきです。せっかくの医学的所見も疑われてしまうのです。

 実際、先月の相談・受任でこのようなケースが2つありました。

 対応としては、 ①の場合、追突のショックで肩がダッシュボード附近に打撃する様子を写真を使って解説し、状況説明書の補助資料として後遺障害の申請に添付します。

②の場合は、すでに書きあがった診断書に受傷機転として、追突の反動で後頭部がバックレストに強く打ち付けられた様子を(脳神経の損傷に結び付いたとして)補記していただく予定です。  おそらく医師は「事故状況は診断とは関係ないのでは・・・」と難色を示すと思います。それに対してはきちんと必要性を説明し、ご納得いただきます。このやり取りが我々協力行政書士の腕の見せ所と自負しています。

                  

 後遺障害診断書を漫然と書いてもらうだけでは心配です。被害者の後遺障害を立証することは「一つの物語を紡ぐ」ことに似ています。ストーリー(もちろんノンフィクション=事実です)を描くことで客観的な判断(調査事務所の審査)に結び付けることが大事です。

 後遺障害診断書を書いてもらう前にご相談を! ぎりぎりで間に合いますよ

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電話相談でたまに専門外の相談が舞い込みます。

< リンリンリン ♪

  私   「はい!秋葉行政書士事務所です」

相談者 「すみません、交通事故の相談ではないのですが・・・」

  私   「?・・・人生相談ですか?」

相談者 「いえ、ケガなんですけど・・・たぶんヘルニアかも・・」

  私   ...

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  頚椎や腰椎のヘルニアの切除や脊柱管狭窄症の改善のため、前方固定術、後方固定術の手術名が頻繁に登場します。毎度医学書を参考にしていますので漠然とした知識です。しかし実際に執刀している医師からご教示頂くとイメージが変わってきます。おかげで文献ばかりの「頭でっかち」になることを防げます。  

■頚椎の前方固定術       腸骨とは骨盤の腰の部分です。

■腰椎の固定術いろいろ  ・・・主に後方からの固定術となります。

前方と後方・・・簡単ではありません。以下、正確な理解が必要です。

★脊椎手術における前方と後方

 脊椎手術における前方と後方には、手術展開としての前方(腹側からの手術)と後方(背側からの手術)の意味と、除圧あるいは固定を行う部位としての前方(椎体や椎間板)と後方(椎弓、黄色靭帯、椎間関節など)の意味があります。  たとえば後方経路椎体間固定術という術式では、背中側から手術を行い、後方要素である椎弓を切除して硬膜管を展開し、これを避けながら前方要素である椎体間に骨移植などを行って固定します。  つまり後方術で前方固定というわけです。

無料相談会のご案内

 市町村や公的機関の無料相談、弁護士・行政書士の法律相談・・・交通事故相談はたくさん存在します。しかしそれらに足を運んだが、「悩みが解消した」「方針が定まった」「道が開けた」に至らず、あっちこっちまわっている被害者さんを見かけます。それは解決に向けての全体的な流れ(どの時期に何をするか?)や具体的な作業(どの病院で検査をするか?どの弁護士、行政書士が精通しているか?)に踏み込んでいないからです。  交通事故解決の道は、解決までの方針を固める事、具体的な機関に誘致できること、各分野の専門家を熟知していること、です。それらの施策は早ければ早いほど良いのは言うまでもありません。

 NPO法人、協力行政書士の交通事故専門家が対応する 「無料 首都圏・交通事故相談会」 続きを読む »

 今朝は早くから病院同行でした。そこで「脳血流SPECT検査」を行いました。   ■ 脳血流SPECT検査 (脳血流シンチグラフィー)   1、検査の目的

 脳の各部における血流状態や、脳の働きをみるための検査です。脳の形態を見るX線CTやMRIではとらえられない、早期の脳血流障害の検出、神経症状の責任病巣の検出、脳の機能の評価などに有効です。

 例えば、脳挫傷が経度で、CTやMRIでの病変部が微妙でも、SPECTではっきり描出できる場合があります。病変部の脳血流が弱まると図のように色がはっきりつきます。

 本日の被害者さんは受傷から5年経った事故でしたが、左前頭葉、左側頭葉脳に血流の低下があり、受傷部と一致していました。   2、検査の方法

 造影剤を静脈注射後、ガンマカメラで脳を撮影し、脳血流分布を示す脳の輪切り画像(断層像)を作ります。検出はベットの上に仰向けに寝ているだけで、1回の撮影は30分程度で終わります。検査の目的によっては、脳の血管を拡張させる薬を投与する場合があります。   3、この検査でわかる疾病

 脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血など、脳血管障害が一般的です。    他に脳神経細胞の機能低下や脱落を原因とする精神疾患、てんかん、認知症(痴呆)があります。高次脳機能障害はこのカテゴリーに入ります。これらの障害では、脳の形態に変化がない部分で脳血流が低下することが多く、脳の病気の診断、病状の評価や治療判定に役立ちます。      <まとめ>

 平成23年4月の審査基準の新様式でも、未だ主流はCT、MRIです。脳血流の低下は病気でも起きます。CT、MRIに外傷性所見がなく、スペクトに異常が現れたとしても、事故受傷による障害の証拠にはなりません。スペクトはCT、MRIによる画像所見の裏付け、あるいは、障害程度を説明する為の補強と考えています。  

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 本日はMRI検査同行です。被害者の症状を説明することが主目的ですが、初めて伺う病院なので、ご挨拶や勉強のためでもあります。  検査前の診断にて、医師から丁寧に説明とご教示をいただきました。早速その内容、私の質問とその回答のやり取りを紹介します。  

秋葉:Q.一般に頭部を打った事故では、頭蓋骨に骨折はないか、脳に損傷はないか、をCTで検査しますが、見落とすことはありますか?

医師:A.

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 5時起きで6時前には事務所をでました。朝一で小田原、その後昼には埼玉に戻り、病院をはしご・・・東奔西走、頑張っています。被害者さんも猛暑の中、必死で通院していますので、弱音を吐いている場合ではありません。

 本日はバレ・リュー症候群の症状で苦しんでいる被害者さんを連れ、専門医の診断に立会です。なんと諸々の症状から「脳脊髄液減少症」の疑いが持ち上がりました。これは事故との因果関係で、常に保険会社と厳しい折衝となる、やっかいな診断名です。健康保険適用になったもののブラッドパッチ等の治療に積極的な病院も限られます。私たち、協力行政書士の連携体制が試されます。気合いを入れて取り組みます!!!

※脳脊髄液減少症について・・・過去記事むち打ち損傷の病態分類 5

                                本日の車窓から

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 本来朝に書くべき業務日誌を夜に書いています。(なんとか今日の日付中にUPできました)

 今朝は5時起きで事務を処理、6時すぎに事務所をでました。朝はラッシュ等で時間が読めない自動車を避けて電車移動です。 小田原への往復は移動中に食事、仮眠ができる特急ロマンスカーが便利です。簡単な事務も可能です。到着後、被害者さんに同行し、医師と後遺障害診断書について打合せ、今後も数回の面談が必要になると思います。遠方ですとなかなか大変です。

 さて後遺障害診断書を書く、「症状固定日」とはどの時期を指すのでしょう。これはなかなか難しいテーマです。何故ならそれぞれの立場で各々判断されているからです。

1、医師・・・・治療の効果がなくなり、症状が一定、もしくは一進一退となった時期。

2、保険会社・・・・打撲・捻挫は3か月、ちょっと重いと半年、それからしぶしぶ延長。            (部位・症状で基準表があります)

3、患者・・・・通院に疲れた時。

4、多くの弁護士、行政書士・・・・1~3者任せ。  

 理論的には医師の考えが最も正当であると言えます。しかし、症状固定時期を「保険会社がせっつくから・・」、「症状固定時期は患者が決めるもの・・」と人任せな判断をする先生もいます。正直何が正しいのやら、わからない時があります。

 我々協力行政書士は後遺障害の認定は傷病名にもよりますが、早い時期に認定を取ってしまおうと考えます。一定の治療を行った後ならば、早期解決のためと審査の易しい初期を見定めて等級認定を早めに行います。症状の改善はその後でもゆっくり果たせばよいと思うからです。ある意味、合理的な判断です。

 交通事故のスムーズな解決は患者本人だけでなく、これら関係者の関与がありますので難しくなるのです。私の仕事は患者主体の立場でこれらを整理することです。立ち止まって理論を追求している暇はありません。帰路そんな事を考えていたら列車は新宿に着きました。  来週の月曜日も小田原です。

            

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 最近の相談事例から・・・

 事故で足首を痛めました。捻挫ですが、腫れと痛みがかれこれ1か月以上も続いています。主治医も初診時にレントゲンを撮り、「骨に異常はないですね」と言ったきりです。湿布による消炎と電気治療が続きます。しかし回復せず、関節もよく曲がりません。医師に相談しても、「様子をみましょう」と・・・

 さて、このまま漫然と治療を続けるとどうなるでしょう。半年後の症状固定時になっても足首の可動域は回復していません。底屈30度、背屈10度と計測し、後遺障害診断書に書いて頂きました。しかし傷病診断名は右足首捻挫です。画像もレントゲンのみ、骨に異常なしのままです。

 これでは確実に「非該当」=後遺障害はなし、です。

 この段階になって、異議申立をして、いくら関節の痛みや可動域制限を訴えてもダメです。

 骨折や靭帯損傷など器質的損壊がないもの、例えば「捻挫・打撲」は治るもの、と解釈されています。そして可動域制限があったとしても、その原因となる傷病名が診断されていなければ無視されます。

 この方は、足首の靭帯に損傷があるものと疑う必要があります。丁寧に足首の靭帯をMRIで描出する必要があります。それも受傷直後、遅くとも3か月以内に。そして「後距腓靭帯、踵腓靭帯、前距腓靭帯の損傷」のような確定診断の記入が必須です。    

 もうおわかりですね、医師の指示は絶対ではないのです。あとで泣くのは自分自身です。「おかしいな?」と思ったら、自分から医師に検査の依頼をしなければなりません。それでも「患者は医者の言うことを聞いていればいい!」と相手にしてもらえないのなら、残念ながらただちに転院です。

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 悪いタクシー会社の運転手は事故にあうと、必ず懇意にしている病院で「温泉治療が必要」との診断書を書いてもらい、長期休暇=湯治に出かけました。・・・保険会社在籍時、事故処理課(社内ではサービスセンターと呼びます)で研修をしていた時、人身事故担当者からよく聞いた話です。  悪名高い「温泉治療」、当然、ケガの程度からすれば単なる詐病者のバカンスかもしれません。しかし昔から日本人は「湯治」により、自然治療や自己回復を図ってきました。もっと踏み込んで言えば、骨折、靭帯損傷、関節拘縮や神経麻痺、挫傷・・・ほとんどのケガの治療に温泉は一定の効果が認められています。ただ西洋医学との比較の中で、「療養」の位置づけに抑え込まれています。  大事なことは専門医による診断を伴った、効能と目的が合致した温泉治療の確立です。草津をはじめ、いくつかの温泉地では病院を併設し、診断と温泉をリンクしています。今後、温泉専門医と専用病院がすべての温泉地に常設できれば、交通事故外傷の治療としてもっと陽の当たる分野となるはずです。  温泉好きとしては、正しい形での温泉治療について、及ばずながら啓蒙活動をしていきたいと思います。ネタのない日は温泉治療について散発的に取り上げます。今日はプレリュードという事で・・。 

                                                                                                          

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■ 腰部神経ブロック

 腰部への神経ブロックは、トリガーポイントブロック、硬膜外ブロック、神経根ブロック、椎間関節ブロックなどがあり、腰痛の種類によって使い分けています。硬膜外ブロックも腰椎の棘突起の間から注射する「腰部硬膜外ブロック」と、お尻の仙骨裂孔から注射する「仙骨硬膜外ブロック」がありあます。

 「腰部硬膜外ブロック」は、腰椎(せぼね)の中の硬膜外腔という所に局所麻酔薬を注入し、痛みを一時的に和らげ、腰部と下肢の血行を改善し自己治癒力を高める療法です。エピやエピドラと略することもあります。神経を包んでいる一番外側の膜(硬膜)より外側のスペースに注射をする神経ブロックで、神経に直接針を刺したりしませんから、痛みもほとんどなく、腰痛治療の代表的神経ブロックです。

 腰椎椎間関節症(ギックリ腰)は効き目が顕著にでます。交通事故外傷でおなじみの腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症は「硬膜外ブロック」より「神経根ブロック」の方がより直接的な効果が期待できます。しかし脊髄周辺の極めてデリケートな部分に針を刺すので、医師の技術がものをいいます。不慣れな医師はビビってしまい、ピンポイントで神経に注入できないと聞きました。

                                   ■ 最後に

 痛みやしびれの緩和に絶大な効果をもたらす、これらの神経ブロック療法。これはつまり根本的な治療というより、自然治癒能力を高める処置と言えます。大事なことは整形外科医の外科的治療と両輪で進めるべき処方で、整形とペイン、両医師の連携と治療情報の交換が必須です。

 もしこの記事をご覧のペインクリニックの先生がいらしましたら、今後バレリュー症候群や腰椎間板症等の交通事故の患者さんをお願いしたいと思いますので、ご一報下さり、適時ご指導を頂ければと思います。   <参考文献:「星状神経節ブロック療法」 若杉 文吉 先生 著>   

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 レーザーを星状神経節近傍に照射することで、局所麻酔薬を用いての星状神経節ブロックに類似の効果をもたらすレーザーSGBについて。

※ SGB…stellate ganglion block  訳すると「星状神経節ブロック」です。現場の麻酔医は星状神経節ブロックと言わず、SGBと言っています。

■ レーザーSGB

 星状神経節ブロックと同じ要領で、第6または7の頚椎(C6またはC7)横突起のやや内側に(胸椎T1付近が正しい)、半導体レーザーのプローブを圧迫気味に当てます。照射時間は、60mWでは5分間、150mWで3分間、1000mWで1分間が目安です。レーザー照射により、頭頚部および上肢の局所温度上昇に伴い、疼痛の軽減、しびれ感の改善および患部の温感を自覚します。つまり、星状神経節ブロックに近似の効果をもたらします。

 神経ブロックとは異なり、ホルネルの徴候(縮瞳、眼球陥没、眼瞼下垂)の発現をみることはほとんどありません。また、ブロックではブロック側だけの局所温度上昇を認めますが、レーザー照射では両側の温度上昇がみられます。

 ブロックと比較して、レーザー照射の場合には、手技が容易で、合併症がなく、局所麻酔薬を用いないので薬物アレルギーの心配もありません。注射針を使用しないので痛みや恐怖感もありません。浦和のペインの先生から聞きましたが、女性は「早くブロック注射を!」と言いますが男性は「まずはレーザーで・・」との傾向だそうです。男性は度胸がないようです。

 レーザー照射の効果はブロックに比較すれば穏やかですが、効果の持続時間は、ほぼ同程度です。レーザー照射は、星状神経節ブロックの適応となる非定型顔面痛、緊張性頭痛、偏頭痛、群発頭痛、レーノー現象などの有痛性疾患、無痛性疾患である顔面神経麻痺、突発性難聴、鼻アレルギー、網膜血管閉塞症などに応用できます。高齢者や年少者に対する適応は大きく、頻回の治療が必要となる場合には、とくに有用な手段となります。

 開心術後患者などの抗凝固治療中の患者や糖尿病患者などでは、ブロックに伴う出血や感染が危惧されますので、レーザー照射が有用となります。     バレリュー症状がひどい場合、やはりブロック注射が望ましいと思います。しかしペインクリニックの現場では、まずレーザー+投薬で様子を見て、次に注射とする傾向です。    次回 ⇒ 腰部への神経ブロック    

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■ 自律神経について

 バレ・リューの代表的な症状、めまい、ふらつき、不眠、吐き気、耳鳴り、倦怠感はどのようにしておこるのでしょうか?これは自律神経の異常からおこる症状です。

 自律神経系には、交感神経系と副交感神経系とがあり、その中枢は間脳の視床下部にあります。呼吸、脈拍、血圧、体温、発汗、排尿、排便など、みんな自律神経によってコントロールされています。早い話、眠っているときでもちゃんと呼吸をして、心臓も止まらず、生命が維持できるのは、自律神経が働いているからです。

 交感神経と副交感神経は、拮抗的に働き、心拍数は交換神経が興奮すると早くなり、副交感神経が働くと遅くなります。運動している時=交感神経、休んでいる時=副交感神経、両者の関係はアクセルとブレーキに例えられます。 バレリュー症候群のしくみは自律神経の失調でも、とりわけ交感神経、副交感神経両者の異常亢進があげられます。つまり、アクセルとブレーキを逆に踏む、両方踏む状態です。日中は副交感神経が働き、だるくなり、眠りに入る時は交感神経が興奮して眠れない・・・。

 これらの悪循環を断ち切らない限り、患者の体力は奪われ、回復どころではなくなるのです。星状神経節ブロックは交感神経の異常亢進を抑え込むことを目的とします。星状神経節は胸から上の皮膚、内蔵の交換神経が集まっている、交感神経のバスターミナルのようなところです。ここの交通整理をすることで、自律神経の失調を回復させます。    つづく ⇒  レーザーSGB?  

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■ 痛みのしくみ

 痛みには「有用な痛み」と「無用な痛み」の2種類があります。

 体に傷を受け、痛みが起こると、反射的に自律神経系の交感神経が緊張し、副腎(腎臓の上部にあるホルモン分泌器官)からアドレナリン(血管や内臓を支配し、全身の活動力を高める働きをする交感神経を刺激して、心臓や血管の収縮力を高めるホルモン。一般に興奮状態を促すものと解釈されています。)が分泌され、心臓の働きが早くなり、血圧が上がり、呼吸も大きくなります。血管が収縮し、障害された局所への血流が少なくなり、血管が固まり易くなって、血液が失われるのを防ぎます。

 こうした、自分の体で「痛み」を直そうとするものは「有用な痛み」です。これは、体を守るための応急処置といえます。しかし何日も、何か月も、何年も、続く慢性的な「痛み」となると話は変わります。

 もう警告の役目はとっくに終わっているのに、スイッチの切れた警報器のようにいつまでも続く慢性の疼痛は「痛み」そのものが病気です。これによって体力が失われ、ケガの回復を遅らせ、辛い状態が続きます。   ■ 神経を「ブロック」するとは?

 先に述べた通り、神経ブロックは皮膚の外から注射針を刺し、麻酔液を注入することです。つまり、脊髄から分かれる末端神経を麻酔液によって麻痺させ、抹消神経節から脊髄に渡る神経伝達を遮断します。これによって「無用な痛み」の伝導路を断ち切るのです。   ■ 星状神経はどこにある?

 先日の被害者さんは、「あれって喉から刺すんですね・・」と言っていました。頚部=うなじ、と思う方も多いです。頚部の交感神経節は上から、上頚神経節、中頚神経節、椎骨動脈神経節、そして星状神経節の4つです。星状神経節は長さ約3cm、幅1cm、厚さ0.5cmで、最新の研究で第一胸椎の横にあることがわかりました。(古い本では第7頸椎の横と記載されていますがこれは間違いです。)つまり首の付け根、鎖骨のすぐ上のあたりでしょうか。

(第7頸椎)の下がT1(第一胸椎)です

    次回 ⇒ 自律神経  

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